JP2005147226A - 減衰機能付き締結部材およびその締結部材を用いた防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 締結機能と制振機能とを併せ持つボルトを提供する。
【解決手段】 ボルト250は、締結部材に設けられためねじに係合するおねじ部252と、質量系のマス部材254と、ダンパー系のゴム部材256と、ボルト本体部258とから構成される。マス部材254の質量や形状およびゴム部材256の硬度は、このボルト250が使用される部位において発生する振動を効率的に制振するように決定される。ボルト本体部258とゴム部材256は接着加硫または圧入により固定され、マス部材254とゴム部材256とは、接着加硫にて固定される。
【選択図】 図4
【解決手段】 ボルト250は、締結部材に設けられためねじに係合するおねじ部252と、質量系のマス部材254と、ダンパー系のゴム部材256と、ボルト本体部258とから構成される。マス部材254の質量や形状およびゴム部材256の硬度は、このボルト250が使用される部位において発生する振動を効率的に制振するように決定される。ボルト本体部258とゴム部材256は接着加硫または圧入により固定され、マス部材254とゴム部材256とは、接着加硫にて固定される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、車両において振動を減衰させる部位に用いられる締結部材およびその締結部材を用いた防振装置に関し、特に、車両一般に用いられるコンパクトな減衰機能付き締結部材およびエンジンユニットと車体とを間に介在されてエンジンユニットから車体へ伝達される振動を低減する防振装置に関する。
車両にエンジンを搭載するにあたっては、エンジンからの振動を車体に伝えないようにして、車両の搭乗者への不快感を低減させる必要がある。このため、このような部位においてはダイナミックダンパーとよばれる制振部材が用いられる。
このような制振部材は、振動が大きく伝達される近傍に設けられるのが好ましい。その一方、車両の設計上、そのような場所に制振部材を設けることができない場合もある。
特開平10−267084号公報(特許文献1)は、ダイナミックダンパーの取り付けを簡単にするとともに、その取付スペースを小さくし、しかも、汎用的な形状でかつマスの小さいダイナミックダンパーで十分な振動低減効果を得ることができる防振装置を開示する。この防振装置は、エンジンユニット側に取り付けられるエンジンユニット取付部と、外筒と内筒との間に弾性体が介装されて車体側に取り付けられるマウントインシュレータと、内筒に挿着されるピン部を有してエンジンユニット取付部に固着される連結部とを備えた防振装置であって、マウントインシュレータのエンジンユニットから離間する側にダイナミックダンパーを取り付けたものである。
この防振装置によると、ダイナミックダンパーがマウントインシュレータのエンジンユニットから離間する側、すなわち、ピン部先端側で振動の振幅が最も大きい位置に取り付けられているため、ダイナミックダンパーを最も効果的に機能させることができ、この結果、マスが小さいダイナミックダンパーでも十分な音振低減効果を得ることができる。また、ダイナミックダンパーのマスが小さくて済むことから、ダイナミックダンパーの取付スペースを小さくすることができ、しかも、ダイナミックダンパーを取付スペースの制約をあまり受けないマウントインシュレータのエンジンから離間する側に取り付けているため、ダイナミックダンパーの取付作業の容易化を図ることができる。さらに、取付スペースの制約をあまり受けないマウントインシュレータのエンジンから離間する側にダイナミックダンパーを取り付ける構造である。このため、ダイナミックダンパーの形状の自由度が増して従来のような特殊な形状のダイナミックダンパーを用いる必要をなくすことができる。
特開平10−267084号公報
しかしながら、特許文献1の図から明らかなように、円筒形ダイナミックダンパーはピン部にボルトにより締結されている。このため、ダイナミックダンパーと締結部材(ボルト)とが別体の物であって、十分なスペースを確保できない場合には、このように、ダイナミックダンパーと締結部材とが別体の物として構成することが困難である場合もあり得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、減衰機能を発現させ、かつ部材間の締結機能を発現する、減衰機能付き締結部材およびその締結部材を用いた防振装置を提供することである。
第1の発明に係る減衰機能付き締結部材は、めねじと係合するおねじ部と、治具にておねじ部が回転可能に把持されるような形状を有する端部と、端部とは反対側の端部に設けられた減衰部とを含む。
第1の発明によると、たとえば、エンジンユニット側に取り付けられるエンジンユニット取付部と、車体側に取り付けられるマウント部と、エンジンユニット取付部とマウント部とを連結するマウントインナー部材とを含む防振装置において、マウントインナー部材を減衰機能付き締結部材により締結する。マウントインナー部材にはめねじが設けられ、減衰機能付き締結部材のおねじ部と係合して締結される。このとき、端部が六角形の形状にするとスパナで容易におねじ部をめねじにねじ込むことができる。端部である六角形の反対側には、たとえばマス部材とゴム部材とから構成される減衰部が設けられているので、エンジンの振動がマウント(車体側)に伝わることが回避される。このようにして、締結部材であるたとえば六角ボルトの中に減衰機能を埋め込んであるので、締結するとともに、減衰機能を発現させることができる。その結果、減衰機能を発現させ、かつ部材間の締結機能を発現する、減衰機能付き締結部材を提供することができる。
第2の発明に係る減衰機能付き締結部材においては、第1の発明の構成に加えて、減衰部は、マス部材とゴム部材とを含む。
第2の発明によると、マス部材(質量系)とゴム部材(ダンパー系)とを用いて、それぞれの部位に適した減衰度等を得ることができる。
第3の発明に係る減衰機能付き締結部材においては、第2の発明の構成に加えて、減衰部は、反対側の端部から予め定められた長さ以上くりぬかれて形成された内筒部に、マス部材とゴム部材とが挿入されて構成されるものである。
第3の発明によると、六角ボルトの頭部とは反対側の端部から、おねじ部の内側を円筒状にくりぬく。このくりぬいた内側の円筒部に、マス部材(質量系)とゴム部材(ダンパー系)とから構成される減衰部を設ける。このため、必要な減衰度に応じてマス材の形状および質量を、ゴム材の硬度を、それぞれ設定して、それらの量から円筒部の長さを算出して、それにマス材とゴム材とを挿入して減衰部を形成することができる。
第4の発明に係る減衰機能付き締結部材においては、第3の発明の構成に加えて、減衰部は、内筒部の外周側に設けられた中空円筒形状のゴム部材と、ゴム部材の中空円筒に設けられたマス部材とで構成されるものである。
第4の発明によると、内筒部の外側にゴム部材を設け、そのゴム部材の内側にマス部材を設けて、減衰部を形成することができる。
第5の発明に係る減衰機能付き締結部材においては、第4の発明の構成に加えて、減衰部は、端部の側において、ゴム部材がマス部材を覆う構造を有するものである。
第5の発明によると、内筒部の開放側(すなわち六角ボルトの頭部側)において、ゴム部材によりマス部材が覆われて、減衰機能を発現させることができる。
第6の発明に係る防振装置は、第1〜5のいずれかに記載の減衰機能付き締結部材を用いた防振装置であって、エンジンユニット側に取り付けられるエンジンユニット取付部と、車体側に取り付けられるマウント部と、エンジンユニット取付部とマウント部とを連結するマウントインナー部材とを含む。マウントインナー部材は、第1〜5のいずれかに記載の減衰機能付き締結部材により締結されるものである。
第6の発明によると、エンジンユニット側に取り付けられるエンジンユニット取付部と、車体側に取り付けられるマウント部と、エンジンユニット取付部とマウント部とを連結するマウントインナー部材とを含む防振装置において、マウントインナー部材を減衰機能付き締結部材により締結する。マウントインナー部材にはめねじが設けられ、減衰機能付き締結部材のおねじ部と係合して締結される。このとき、端部が六角形の形状にするとスパナで容易におねじ部をめねじにねじ込むことができる。端部である六角形の反対側には、たとえばマス部材とゴム部材とから構成される減衰部が設けられているので、エンジンの振動がマウント(車体側)に伝わることが回避される。このようにして、締結部材であるたとえば六角ボルトの中に減衰機能を埋め込んであるので、締結するとともに、減衰機能を発現させることができる。その結果、減衰機能を発現させ、かつ部材間の締結機能を発現する、減衰機能付き締結部材を用いた防振装置を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る防振装置を説明するための分解斜視図であって、図2は、図1の防振装置を車体の正面側から見た図であって、図3は、図1の要部断面図であって、図4はボルトの断面図である。
なお、本実施の形態においては、車幅方向の右側にエンジンを配置して車両に搭載されたパワーユニット(エンジン)と、車体側サイドメンバとの間に配設された防振装置について説明する。
なお、本発明に係る減衰機能付き締結部材は図4に示すボルトであるが、この減衰機能付き締結部材は以下に示す防振装置のみに適しているものではない。以下に示す防振装置以外において、締結機能と制振機能とを同時に必要とする様々な部位に用いることができる。
図1および図2を参照して、この防振装置10は、エンジン20と車体側サイドメンバ30との間に配設される。この防振装置10は、エンジン20に固定されたエンジンユニット取付部50と、外筒60と内筒70との間にマウントラバー(弾性体)80が介装されて車体側サイドメンバ30に固定されたマウントインシュレータ90と、内筒70に挿着されるピン部100を有してエンジンユニット取付部50に固着された連結部110と、マウントインシュレータ90を車体側サイドメンバ30に固定するために取付フランジ62を介してピン部100を締結するボルト250とを備える。
エンジンユニット取付部50は、エンジン20の車幅方向の右側部にボルト130を介して固定された基板140と、基板140の上端部から車幅方向右側に水平に延びた連結部台座150とを備える。連結部台座150の上面は平坦面とされており、その平坦面には、連結部110をボルト止めするための複数のねじ穴が設けられている。
マウントインシュレータ90は、大きい径の円筒状の外筒60と、外筒60の内部に同心に配置された小さい径の円筒状の内筒70とを備える。内筒70は、軸方向の両端部が外筒60から若干突出して配置されている。また、外筒60と内筒70との間にはマウントラバー80が接着加硫により固定されている。
外筒60の周方向の下側部両側には取付フランジ62が固着されており、取付フランジ62はボルト180によって車体側サイドメンバ30に固定されている。固定状態においては、マウントインシュレータ90はその軸心を車幅方向に向けた状態で連結部台座150の車幅方向右方位置に配置されている。
連結部110は、直方体の形状であって、その下面を車体側サイドメンバ30側に対向させた状態で連結部台座150の上面に固着されている。連結部110には2個のボルト挿通穴200が上述した連結部台座150のねじ穴に対応して形成されており、ボルト挿通穴200に挿入されたボルト210を連結部台座150のねじ穴にねじ込むことにより、連結部110がエンジンユニット取付部50の連結部台座150に固着されている。
連結部110の車体側サイドメンバ30の対向面の略中央部には、車幅方向に沿って車体側サイドメンバ30に向けて延びるピン部100が形成されている。ピン部100はマウントインシュレータ90の内筒70の内径より若干大きい径に形成されて内筒70に圧入により挿着されている。挿着状態においては、ピン部100の先端面は内筒70のエンジン20から離間する側の端面と略面一とされており、ボルト250が取付フランジ62を通して、ピン部100の先端面と締結される。
防振装置10においては、エンジン20と車体側サイドメンバ30との相対振動をマウントインシュレータ90のマウントラバー80によって吸収して加減速時のエンジン騒音の車体側への伝達を遮断する。さらに、後述するように、ボルト250は制振機能を有するため、締結機能を発現しうるとともに、大きな低減効果を得ることができる。
図3に、図1および図2の要部断面図を示す。図3に示すように、ボルト250は、取付フランジ62を通して、ピン部100のねじ穴102(めねじ)に係合されて締結される。これにより、ピン部100さらにはマウントインシュレータ90は、取付フランジ62を介して、車体側サイドメンバ30に固着される。
図4に示すように、ボルト250は、おねじ部252と、マス部材254と、ゴム部材256と、ボルト本体部258とから構成される。このようなボルト250は、通常の六角ボルトの端部から長穴を開けて、その長穴の内部に、外周側にゴム部材256が、ゴム部材256の内部にマス部材が配設されるようにして形成される。このとき、ボルト250の頭部(六角形状側)において、ゴム部材256がマス部材254を覆うようにして、マス部材がボルト本体部258に接しないように構成されている。
このボルト250におけるマス部材254の質量や形状は、その使用される部位において発生する振動を効率的に制振するように(すなわち必要な周波数で必要な振動を減衰できるように)、決定される。また、このボルト250のゴム部材256の硬度についても、マス部材254の質量や形状と同様に、その使用される部位において発生する振動を効率的に制振するように決定される。
なお、ボルト本体部258とゴム部材256は接着加硫または圧入にて固定されている。マス部材254とゴム部材256とは、接着加硫にて固定されている。
以上のようにして、本実施の形態に係る防振装置によると、制振機能を有するボルトを用いて、必要な部位を締結した。このボルトには、その部位において発生する振動を抑制するに適したマス部材とゴム部材とがその内部に挿入されている。そのため、その挿入されたマス部材とゴム部材とによる制振機能を発現しうるとともに、必要な部材間を締結する機能をも同時に発現できる。
なお、上述した実施の形態において、ボルト250を、マウントインシュレータ90の内筒70のピン部100のねじ穴102にねじ込むように説明したが、本発明に係る防振装置はマウントインシュレータ90を有しないものであってもよいし、ボルト250はこのような防振装置10以外において用いられてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 防振装置、20 エンジン、30 車体側サイドメンバ、50 エンジンユニット取付部、60 外筒、70 内筒、80 マウントラバー(弾性体)、90 マウントインシュレータ、100 ピン部、102 ねじ穴、110 連結部、250 ボルト、252 おねじ部、254 マス部材、256 ゴム部材、258 ボルト本体部。
Claims (6)
- めねじと係合するおねじ部と、
治具にて前記おねじ部が回転可能に把持されるような形状を有する端部と、
前記端部とは反対側の端部に設けられた減衰部とを含む、減衰機能付き締結部材。 - 前記減衰部は、マス部材とゴム部材とを含む、請求項1に記載の減衰機能付き締結部材。
- 前記減衰部は、前記反対側の端部から予め定められた長さ以上くりぬかれて形成された内筒部に、前記マス部材と前記ゴム部材とが挿入されて構成される、請求項2に記載の減衰機能付き締結部材。
- 前記減衰部は、前記内筒部の外周側に設けられた中空円筒形状のゴム部材と、前記ゴム部材の中空円筒に設けられたマス部材とで構成される、請求項3に記載の減衰機能付き締結部材。
- 前記減衰部は、前記端部の側において、前記ゴム部材が前記マス部材を覆う構造を有する、請求項4に記載の減衰機能付き締結部材。
- エンジンユニット側に取り付けられるエンジンユニット取付部と、
車体側に取り付けられるマウント部と、
前記エンジンユニット取付部と前記マウント部とを連結するマウントインナー部材とを含む防振装置であって、
前記マウントインナー部材を、請求項1〜5のいずれかに記載の減衰機能付き締結部材により締結した、防振装置。
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JP2003383770A JP2005147226A (ja) | 2003-11-13 | 2003-11-13 | 減衰機能付き締結部材およびその締結部材を用いた防振装置 |
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2003
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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