JPH0644842B2 - 移植機の苗補給方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は移植機に搭載する苗補給装置に関するもの
で、特に紙筒集合体等の育苗容器で仕立てた苗を着脱自
在とした苗台に載せ、これを運搬可能な台枠上に多列に
載置して移植機の苗補給台上に多段に積載して置き、苗
を任意の位置から取り出して補給することのできる苗補
給方法とこれを実施する装置に関する。

（従来の技術） 紙筒等の育苗容器で苗を仕立る場合は、育苗容器に土を
詰め、種を播き、覆土を施して後十分な潅水を行ない所
定期間育成するものである。かようにして仕立てた苗を
移植する場合、数ヘクタール以下の中ないし小規模営農
では移植機まで人手で運搬して苗を補給することが行な
われるが、植付面積が広く大規模営農となると、移植機
も大型多畦化し、それに補給する苗の量も増加するので
特開昭５８−１２１７０５号公報に示すように移植機の
機枠上に鉢体苗の移送載置コンベアと苗引出し及び分離
装置を据付ける荷台を設け、前記コンベアの鉢体苗を全
部移植し終ると、前記荷台を後方に引出し、苗の補給を
容易とする技術が提案されている。

（発明が解決しようとする問題点） 育苗容器で仕立てた苗は大量の土を含むので相当の重量
となる。植付面積が広く大規模営農となると苗補給の合
理化が重要となり、このため前記特開昭５８−１２１７
０５号公報記載の技術が提案されているが、この技術に
あっては荷台の後方への引出しによって隣接する荷台に
邪魔されることなく苗を補給することが可能であるが、
苗の補給をコンベア上の苗が空となる度に行なうので苗
補給の頻度が多くなり、その手間と時間が問題となり、
労力的にも能率的にも改善の余地が残されている。

（問題点を解決するための手段） この発明は上記事情に鑑みなされたもので、苗補給を能
率化すべく鋭意研究した結果、移植機の後方部に設ける
苗補給台上に紙筒苗を載せる苗台を多列に載置する台枠
を多段に積載し、前記苗補給台の後部に前記台枠上の苗
台を載せて移動させるための苗台移動テーブルを移動機
構により上下方向、横方向いずれの方向へも移動自在に
構成したことによって、苗補給台上の苗が空になったと
き、前記苗台移動テーブルを移動機構を操作して任意の
苗台に位置づけ、苗を取り出して載せ、苗補給台に移動
させる簡単な手順で多重量の苗を容易に補給することが
可能となり、上記問題点が解決出来たものである。

（作用） 苗補給台３の上面に設けた脚座４に台枠１の脚部２を嵌
めこみ支承することにより苗補給台３上に紙筒苗Ｐを載
せる苗台９を多列として載置する台枠１を第１段に積載
し、次いで第１段の台枠１の上面に設けた脚座１５に上
記と同様に紙筒苗Ｐを載せる苗台９を多列に載置する台
枠１の脚部２を嵌めこみ支承することにより予備紙筒苗
を多列とする台枠１が苗補給台３に２段に積載される。
この要領で必要に応じ台枠１をより多くの段に積載する
ことが可能となる。

台枠１上面のガイドレール１１ａ，１１ｂは苗台９の車
輪１０を案内するので、搬入，搬出を容易とし、前方ス
トッパー１３及び後方ストップ板１５により、作業中の
脱落等が防止される。同様に苗補給台３上面の案内枠５
ａ，５ｂは苗台９を植付位置に正しく位置づけ、前方ス
トッパー６及び後方部ストップ板８により、位置が固定
する。

苗補給台３の後部に設ける移動機構１７を苗台移動テー
ブル１６に接続することにより、苗台移動テーブル１６
は上下方向、横方向いずれの方向へも移動が自在化す
る。

（実施例） この発明を図面の例により説明する。１，１は台枠で脚
部２を有し、苗補給台３の上部に多段に積載される。苗
補給台３の上部には第２，３図に示すように台枠１の脚
部２を嵌めこみ支承する脚座４が設けてあり、この脚座
４に台枠１の脚部２を支承することにより台枠１を載置
する。３′は棚板で空になった苗台９を１〜２個収容す
る収容部３″が与えてある。５ａ，５ｂは植付ける畦巾
に対応させて後記する紙筒苗Ｐを載せる苗台９を位置さ
せるための案内枠で、畦巾に応じて左右に移動可能とし
てある。６は取り外し可能な前方部ストッパーで前記苗
台９の進行を停止させ、８は後方部ストップ板で保持具
７に嵌めこむことにより苗台９の後退を抑制して苗台９
を所定位置に保持する。

苗台９の下部には車輪１０を取り付け、台枠１上面には
車輪１０を案内するガイドレール１１ａ，１１ｂが第４
図に示すように横方向に並列されている。１２は苗補給
台３の上面に設ける脚座４と同形状の脚座で脚部２の位
置に設けてあり、この脚座１２により台枠１を多段に積
載することを可能とする。１３及び１４はそれぞれ前記
苗補給台３に設けた形状と機能を同じとする前方部スト
ッパー及び後方部ストップ板１５を嵌めこむための用具
である。１６は台枠１上の苗台９を載せて移動する苗台
移動テーブルで移動機構１７によって上下方向、横方向
いずれの方向へも移動自在とする。移動機構１７は苗台
テーブル１６上に紙筒苗Ｐを載置する苗台９を載せて上
下方向、横方向いずれの方向へも自在に移動できる機構
であれば特に制限されるものではないが、簡単な機構で
あることが好ましい。上下方向の移動は無段式のものが
よく、例えばラックとピニオンあるいはウオームの組合
せ，パンタグラフ型式あるいは動力シリンダー等が用い
られ、この場合に、前記ラック、パンタグラフ、動力シ
リンダーのピストンロッドがそれぞれ移動、固定自在と
され横方向の移動には、ずべり案内構造，転がり構造等
が用いられる。図の例は動力シリンダーと転がり構造か
らなる移動機構を示し、水平に位置する上部及び下部フ
レーム１８，１９の外寄りに無段型の動力シリンダー２
０を垂直に固定し、ピストンロッド２１の先端に苗台移
動テーブル１６を水平に取り付ける。この場合苗台移動
テーブル１６を水平方向に回動可能としてもよい。前記
上部及び下部フレーム１８，１９の内面には第１図示の
ように各１対の垂直支持ローラ２２，２３及び２４，２
５を回転可能に取り付け、垂直支持ローラ２２，２４の
内側に水平支持ローラ２６，２７を回転可能に取り付け
る。２８は苗補給台３の後部壁に固着あるいは一体構造
としたレールで、このレール２８には鍔２９，３０が上
下に突出し、この鍔２９，３０を垂直支持ローラ２２，
２３及び２４，２５がそれぞれ挟持して接触により転が
り可能とし、レールの上下水平部３１，３２をそれぞれ
水平ローラ２６，２７が挟持して接触により転がり可能
とする。このように機構することにより苗台移動テーブ
ル１６は上下方向、横方向いずれの方向へも任意の方向
及び位置に移動可能となる。

この発明は上記のように構成されるが各種の変更が可能
であり、例えば苗台９に車輪１０を取り付けることに代
えて台枠１の上面に適当数の転がり体を配するようにし
てもよい。

次にこの発明の苗補給装置を備える移植機の運転方法に
ついて説明する。第５図に示す移植機Ｔは例えば特公昭
５５−３０８０５号公報に記載する如き紙筒間連結部に
分離誘導部を付与した連続紙筒集合体を下敷網３３を用
いて育苗した紙筒苗Ｐを下敷網３３共々苗補給台３上に
供給し、下敷網３３をローラ３４，３５間に挟持して引
き出すことにより紙筒苗Ｐを前進させて苗供給コンベア
３６に供給し苗供給コンベア３６が前記公報に記載する
分離方法を応用する分離装置３７に紙筒苗Ｐを供給して
順次１個１個の紙筒苗に分割して植付ける形式のもので
ある。以下図面を参照しながら説明する。

作業を始めるに当り、先ず紙筒苗Ｐの積みこみを行う。
この発明の苗補給装置を設備した移植機を圃場に搬入
し、下敷網３３を下面に敷く紙筒苗Ｐを載せた苗台９を
苗補給台３上に併列載置（植付畦数の数だけ）し、前方
ストッパー６及び後方ストップ板８をそれぞれセットす
る。次いで別に用意されている２基の台枠１のそれぞれ
に同様にして紙筒苗Ｐを載せる苗台９を併列して前方ス
トッパー１４及び後方ストップ板１５をセットする。こ
のようにして苗台９を載せた台枠１の１基をフオークリ
フト（図示せず）で持ち上げて移植機Ｔに運び苗補給台
３上面の脚座４に台枠１の脚部２を嵌めこみ支承する。
次いで残る台枠１も同様にして運び第１の台枠１の上面
に設ける脚座１２に脚部２を嵌めこみ支承して苗補給台
３及び第１段，第２段にそれぞれ多列の紙筒苗Ｐの積み
こみが完了する。次に苗補給台３上にある苗台９の紙筒
苗Ｐの下面にある下敷網３３をローラ３４，３５の間に
挟持させた状態で移植機Ｔを矢印Ａ方向に進行させると
接地輪３８が回転し、チェーン，スプロケットからなる
伝動機構Ｍによってローラ３４，３５、苗供給コンベア
３６及び分離装置３７が始動する。ローラ３４，３５の
回転により、下敷網３３が連続的に引き出され、これに
よって紙筒苗Ｐが前進して苗供給コンベア３６に引継が
れ更に前進して分離装置３２に達すると先端部から順次
１列状になって引き出され１個１個の紙筒苗に分割さ
れ、苗落下管３９を落下してオープナ４０によって開け
られた植付溝に植付けられる。

このようにして紙筒苗Ｐが順次前進し、苗補給台３上の
紙筒苗Ｐが苗供給コンベア３６に乗り移っている間に空
になった苗台９を取り出して棚板３′で仕切られる収容
部３″に移し、すばやく前記移動機構１７を操作して苗
台移動テーブル１６を２段に積載する台枠１上の任意の
苗台９（紙筒苗Ｐが載っている）に位置づけ、苗台９を
苗台移動テーブル１６上に載せ、再び移動機構１７を操
作して苗補給台３後方に位置づけ苗台９を押し出し前記
要領で苗台９を所定位置におきローラ３４，３５に挟持
状態となっている先に消費した紙筒苗Ｐの下敷網に、新
たに補給した紙筒苗Ｐの下敷網を適宜手段でつなぎ合せ
ると補給した紙筒苗Ｐが順次前進して作業を継続する。
この場合、苗補給コンベア３６上に在る先の紙筒苗Ｐ′
の後端に新たに供給した紙筒苗Ｐの先端を状のつなぎ
具等で接続すると一体化して移植機を停止することなく
作業できることになる。

このように、この発明の苗補給装置は大量の予備苗を移
植機後方に用意することができ、予備苗の取り出し補給
は簡単な機械操作で行いうるので多重量であるにも拘わ
らずきわめて容易に行ない得、従来のように苗が消費し
つくされる都度フオークリフト等を使用して補給するこ
ともないので、苗の補給能率が向上する。

次に、具体的な移植作業成績を説明する。口径１．９c
m、高さ１３cm、２０列×７０段に構成した特公昭５５
−３０８０５号公報に記載する連続紙筒苗集合体でビー
トを４０日間育苗した紙筒苗を第５図に示すこの発明の
苗供給装置を備える１２略畦自動移植機に前記要領で積
みこみ、平均株間２５cm、畦間６０cm、平均作業速度
１．０ｍ／秒で圃場面積２１６ｍ×２８０ｍの植付作業
を行なった。紙筒苗の積みこみは、１台枠当り２０列×
７０段を１冊とする１４００本の苗を載せる苗台を６台
併列として、これの２段重×４列をフオークリフトで行
った。この積みこみに所要した時間は６分（１．５分／
回×４回）であった。この積みこみで２．５往復の植付
けができ、回行に要した時間は１．２分／回であった。
これを従来の移植機として特開昭５８−１２１７０５号
公報に示す装置を比較例として用いた場合と対比の形で
示すと第１表のとおりで、全作業時間では約３４．４％
短縮し、所要時間の内訳から苗補給に所要した時間が大
巾に短縮する様子が知れる。また実作業効率が５０％向
上することは、この発明の作業改善の大なることを如実
に示す。

（発明の効果） この発明の苗補給装置を用いることにより、苗の補給が
簡単であるばかりでなく補給に要する時間が大きく減少
するので作業能率が向上し、装置構造も簡単なので誰で
も操作することができ、かつ安価に提供できるので紙筒
苗の移植作業を大きく改善し、紙筒による育苗移植の利
点をより一層高め営農を合理化するのできわめて有益で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の苗補給装置の全体を説明する側面
図、第２図は苗補給台の平面図、第３図は第２図の後方
視、部分側面図、第４図は台枠の斜視図、第５図はこの
発明の苗補給装置を設備する移植機の要部側面図であ
る。 １……台枠、２……脚部、３……苗補給台、４，１２…
…脚座、５ａ，５ｂ……案内枠、９……苗台、１０……
車輪、１１ａ，１１ｂ……ガイドレール、１６……苗台
移動テーブル、１７……移動機構、３３……下敷網、３
６……苗供給コンベア、３７……分離装置、Ｐ……紙筒
苗、Ｔ……移植機

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】列状に引き出した連続紙筒苗を順次１個１
   個に分離して植付ける紙筒苗移植機において、移植機の
   後方部に多段多列として貯留する予備紙筒苗を移動機構
   の操作により、上下方向、横方向いずれの方向へも自在
   に移動する苗台移動テーブルを用いて任意の位置から取
   り出して、苗補給台に供給することを特徴とする移植機
   の苗補給方法。
2. 【請求項２】列状に引き出した連続紙筒苗を順次１個１
   個に分離して植付ける苗供給部、苗分離部及び植付け部
   を有する紙筒苗移植機において、苗供給部後方の苗補給
   台の上に紙筒苗を載せる苗台を多列に載置する台枠を多
   段に積載し、前記苗補給台の後部に前記台枠上の苗台を
   載せて移動させるための苗台移動テーブルを移動機構に
   より上下方向、横方向いずれの方向へも移動自在とした
   ことを特徴とする移植機の苗補給装置。