JPH0623208Y2 - 田植機の苗供給構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、田植機の苗供給構造に関し、詳しくは、田植
機の予備苗載台に対して畦畔上から苗を補給するための
技術に関する。

〔従来の技術〕

従来では、例えば下記の[1],[2]に示す構造のものが知
られている。

[1]予備苗載台の左右側部に伸退揺動自在な捕助台を設
け、苗補給時にこの捕助台を伸長させて、畦側からこの
捕助台上に向けて苗補給するよう構成したもの（例え
ば、特公昭57-18765号公報）。

[2]トラクターの後部に昇降自在な苗枠台を装着し、そ
の苗枠台に機体横幅方向に沿う二列のレール状の摺動ガ
イドを設け、かつ、摺動ガイドに上下複数段でかつ前記
摺動ガイドの案内方向で長い苗枠を用い、この苗枠に多
数の予備苗を載置支持させ、苗枠ごとトラクター側と田
植機との間における予備苗の脱着を行えるように構成し
たもの（例えば、特開昭61-202609号公報）。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来構造のうち、前者[1]は、苗補給作業を水田内
に入り込むことなく畦畔上から人手により行えるよう考
慮したものであるが、畦からの苗の供給は他の苗運搬装
置から手作業によって予備苗を個別に載せ替える必要が
あり、作業性が悪く改善すべき余地があった。

また後者[2]に記載ものは、多数条分の苗を載置支持す
る苗枠を単位として予備苗の交換が行われるものである
から、その予備苗の交換作業に多大な手数を時間を要す
る。つまり、予備苗を田植機に供給するには、例えば田
植機またはトラクターの停止している位置にトラクター
または田植機を移動させてきて、その田植機の予備苗載
置部とトラクターの予備苗載置部とを一致させた状態と
し、この状態で空になった苗枠を田植機側からトラクタ
ーの苗枠台側に写し替えた後、再びトラクターまたは田
植機を位置移動させて、田植機の予備苗載置部と、トラ
クターの苗枠台の予備苗載置部との位置を正確に一致さ
せてから苗補給を行わなければならない。したがって、
二度にわたる田植機とトラクターとの予備苗載置部どう
し一致操作が煩わしく、多大な労力と時間を要するもの
であった。

本考案は、上記不都合点を解消し、合理的構造改良によ
って苗補給における作業性を向上させることを目的とし
ている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は、苗植付装置を備えた走行機体に、育苗
箱又は苗のせ板に収容された一条分のマット苗からなる
予備苗単位体を、略水平姿勢で列状に載置収容可能な予
備苗載台を配備するとともに、前記予備苗単位体を略水
平姿勢で列状に載置可能な載置部と移動用車輪とを備え
て畦上を移動可能に構成された苗供給を備え、かつ、前
記予備苗載せ台、及び前記苗供給台の夫々の載置部に、
前記育苗箱又は苗のせ板を転動案内する案内ローラを設
け、さらに、前記予備苗載台の端部と前記苗供給台の端
部とを嵌合接続可能に構成し、その接続状態において苗
供給台上の予備苗単位体を列状のまゝ予備苗載台上にス
ライド移動可能に構成してある点にあり、その作用・効
果は次の通りである。

〔作用〕

つまり、予備苗載台に苗を補給する際には、補給用苗を
載置した前記苗供給装置を、畦に近接した走行機体の近
くまで移動させて、前記苗供給台の端部を予備苗載台の
端部に嵌合接続する。そして接続した状態において、苗
供給台から予備苗載台上に向けて一条分のマット苗が育
苗箱又は苗のせ板に収容された状態の予備苗単位体の列
をスライドさせて列状のまま移載させることができる。

予備苗はこのように単位体の列の状態で供給されるか
ら、植付け作業により消費された後は、育苗箱や苗のせ
板を機体の収容部に積載収納しておいて、次回苗補給時
にまとめて畦に返却したり、又は畦に向けて放り投げる
ことにより、畦上に返却することが可能で、次回苗補給
の際には、走行機体に対して苗供給装置を位置合わせさ
せてそのまま前供給作業を行うことができ、作業を能率
よく行える。

〔考案の効果〕

従って本考案によれば、苗を個別に移し替えるものに比
較して、複数個の苗を一度にスライドさせて移載できる
ので、畦側から田植機への苗の補給作業が効率よく行え
るようになった。しかも、苗は育苗箱又は苗のせ板に収
容された一条分を一単位として取り扱われるものである
から、例えば、複数の苗を載置支持する大型の苗枠を用
いて移載させるような構成を採用する場合等に比べて
も、苗収容手段の畦への返却が用意に行えて、予備苗補
給の手数、及び時間を節約できる利点がある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第６図に本考案に係る乗用型田植機を示している。この
田植機は乗用型走行機体(1)の後部にリンク機構(2)を介
して油圧シリンダ(3)により駆動昇降自在に苗植付装置
(4)を連結して構成するとともに、苗植付装置(4)の上方
位置に、機体横方向に沿って予備苗を列条に載置収容す
る予備苗載台(5)を配備してある。

走行機体(1)は前後各々一対の車輪(6),(7)を備えるとと
もに、上部に搭乗運転部(8)を配備し、機体前部に搭載
したエンジン(9)の動力により、走行可能に構成してあ
る。前記苗植付装置(4)は、傾斜姿勢の苗載台(10)、下
部の接地フロート(11)、苗載台(10)の下端から苗を一株
つづ切り出して田面に植付ける苗植付機構(12)等から成
り、植付作業を進めると苗載台(10)上の苗の量が順次減
少するが、予備苗載台(5)上に載置してある予備苗を運
転者が機体から降りることなく苗載台(10)に供給するこ
とができるよう構成してある。第１図に前記予備苗載台
(5)に対して、畦上からマット苗(W)を補給するための苗
供給装置(13)を示している。この苗供給装置(13)は、前
後中央下部に一対の車輪(14),(14)を備えて畦上を移動
可能に構成してある。

又、苗供給装置(13)は、マット苗(W)を略水平姿勢でし
かも列条に載置するための苗供給台(15)を備え、この苗
供給台(15)は、一対の屈折リンク(16),(16)及びターン
バックル機構(17)によってフレーム(18)に対して水平姿
勢を維持したまま上下高さ調節可能に構成してある。
又、フレーム(18)の前後下部には出退自在な接地スタン
ド(19),(19)を配備し、この接地スタンド(19),(19)を立
てることで、苗供給台(15)が略水平姿勢のままで位置固
定することができるよう構成してある。

前記苗供給装置(13)は、その苗供給台(15)の端部と走行
機体(1)側の予備苗載台(5)の端部とを嵌合接続可能に構
成するとともに、その接続状態において苗供給台(15)上
のマット苗(W)を列状のまま予備苗載台(5)上にスライド
移動させることができるよう構成してある。

詳述すると、第２図に示すように、予備苗載台(5)の側
端に苗供給台(15)の端部の接続導入を行う下方側に向か
う傾斜ガイド部(20)を形成するとともに、苗供給台(15)
の嵌合深さを規制する接当位置決め部としての段差部(2
1)を形成し、下向きコの字型段面の予備苗載台(5)端部
に、円滑に嵌合しやすくするために、苗供給台(15)端部
を段面が山形形状となるよう構成してある。しかも、苗
(W)の移載時に引掛かることがないよう前記段差部(21)
の厚さ(t1)を苗供給台(15)の上面の厚さ(t2)よりも薄く
形成してある。このような構成により嵌合接続された苗
供給台(15)上から予備苗載台(5)上に向けて、第３図に
示すように苗のせ板(22)に載置したままの一条分のマッ
ト苗(W)を予備苗単位体として列状にならべ、その列状
のままで、苗供給台(15)の後方側から手押し作業によ
り、一度に一列前部をスライド移載させることができ
る。ここで、苗(W)のスライドを円滑にさせるために、
苗供給台(15)及び予備苗載台(5)の載置部に案内ローラ
(23)を備えてある。

〔別実施例〕 前記傾斜ガイド部(20)を苗供給台(15)側に形成しても
よく、又、第４図に示すように、平面視において先細状
となるよう傾斜させるものであってもよい。

上記苗供給台(15)上から予備苗載台(5)上への苗の移
載作業を手押しで行うものに代えて、第５図に示すよう
に、螺軸(24)に回転ハンドル(25)を取付け、雌ネジ部材
(26)の螺進により苗を押出するよう構成するものであっ
てもよい。

前記実施例における予備苗を、苗のせ板(22)に載置し
たマット苗の代わりに、以下の如く構成するものであっ
てもよい。

すなわち、前記予備苗載台(5)の機体横方向全幅に相当
する長さを有する車輪付きの台車〔苗供給装置の相当〕
に、植付状数分の育苗箱を並置して、土入れ、播種、出
芽、緑化当の育苗、及びその後の運搬作業を一貫して台
車単位で行い、田植機への苗補給作業においてもこの台
車を予備苗載台(5)に嵌合接続させて、各育苗箱を列状
でスライド供給させるよう構成してもよい。このように
構成すると、作業性の向上、運搬作業の省略化を更に進
めることができる。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の苗供給構造の実施例を示
し、第１図は正面図、第２図は要部の斜視図、第３図は
要部の断面図、第４図は別実施例の要部平面図、第５図
は別実施例の苗供給装置の側面図、第６図は田植機の側
面図である。 (1)……走行機体、(4)……苗植付装置、 (5)……予備苗載台、(13)……苗供給装置、 (14)……車輪、(15)……苗供給台、(22)……苗のせ板、
(23)……案内ローラ、(W)……苗。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】苗植付装置(4)を備えた走行機体(1)に、育
   苗箱又は苗のせ板(22)に収容された一条分のマット苗
   (W)からなる予備苗単位体を、略水平姿勢で列状に載置
   収容可能な予備苗載台(5)を配備するとともに、 前記予備苗単位体を略水平姿勢で列状に載置可能な載置
   部と移動用車輪(14)とを備えて畦上を移動可能に構成さ
   れた苗供給装置(13)を備え、 かつ、前記予備苗載せ台(5)、及び前記苗供給台(15)の
   夫々の載置部に、前記育苗箱又は苗のせ板(22)を転動案
   内する案内ローラ(23)を設け、 さらに、前記予備苗載台(5)の端部と前記苗供給台(15)
   の端部とを嵌合接続可能に構成し、その接続状態におい
   て苗供給台(15)上の予備苗単位体を列状のまゝ予備苗載
   台(5)上にスライド移載可能に構成してある田植機の苗
   供給構造。