JPH0640592A - シート繰り出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 寸法誤差や支軸のたわみと関係なく押圧ロー
ラーを繰り出しローラーへ略均一に圧接させる。 【構成】 押圧ローラー３…の表面部３ａ…を繰り出し
ローラー１の表面１ａに突き当てて弾性筒５…を弾性変
形させることにより、押圧ローラー３…が支軸２に対し
偏心して寸法誤差や支軸のたわみが吸収され、押圧ロー
ラー３…の表面部３ａ…が繰り出しローラー１の表面１
ａと平行に対向すると共に、シートＡに対して略同じ圧
力で当接する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば紙やフィルムな
どのシートを所定方向へ送るシート繰り出し装置、詳し
くは円柱状の繰り出しローラーと平行に支軸を設け、こ
の支軸に押圧ローラーを回転自在に突設して、これら繰
り出しローラーと押圧ローラーとの間にシートを挟み込
み、繰り出しローラーの回転に伴って挟み込んだシート
を繰り出すものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のシート繰り出し装置とし
て、例えば図５に示す如く支軸１２に複数の押圧ローラ
ー１３…を適宜間隔毎に軸着し、この支軸１２の両端部
を繰り出しローラー１１と接離する方向へ移動自在に支
持すると共に、支軸１２の両端部にスプリング１４，１
４を夫々連設して支軸１２全体を繰り出しローラー１１
へ向け付勢することにより、総ての押圧ローラー１３…
の表面部１３ａ…がシートＡを介して繰り出しローラー
１１の表面１１ａに圧接され、これら押圧ローラー１３
…とシートＡとがスリップせずに繰り出されるものがあ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、このよう
な従来のシート繰り出し装置では、支軸の中心線から各
押圧ローラーの表面までの径が総て同じになるように配
置しなければ、繰り出しローラーの表面に対し総ての押
圧ローラーの表面が均一状態で圧接しないため、押圧ロ
ーラーの表面加工や取り付けに高度な寸法精度が要求さ
れてコスト高になるばかりでなく、支軸の両端部分に突
設した押圧ローラーの表面が繰り出しローラーの表面に
圧接させるのに必要な付勢力より僅かでも付勢力が大き
くなった場合には、支軸が円弧状にたわんで支軸の中央
部分が繰り出しローラーから離れるため、支軸の中央部
分に突設した押圧ローラーとシートとがスリップして、
シートの繰り出し方向が不安定なって真っ直ぐ繰り出せ
ず、特にシートの繰り出し方向と直交する幅寸法が大き
くなって支軸の長さ寸法が長くなる程に、支軸のたわみ
量が多くなるという問題がある。

【０００４】そこで、これを防止するために支軸を硬い
材質で形成してたわみ量を少なくした場合には、支軸の
重量が重くなって支軸の支持構造が大型化するなど、コ
スト高になるという問題があり、更に、押圧ローラーの
表面部を弾性変形可能な軟らかい材質で形成して該表面
部の変形により圧接させた場合には、押圧ローラーの表
面部がシートとの摩擦により磨耗し易くなるため、長期
使用に耐えられず不経済であると共に、押圧ローラーの
表面部が繰り出しローラーの表面より軟らかくて円弧形
に凹むので、これら両ローラーの間に挟まれたシート
は、繰り出しにより繰り出しローラー側へ湾曲して直線
状に安定して繰り出せず、その結果、作動不良が起き易
いという問題がある。

【０００５】また他の改良案として、図６に示す如く支
軸２２を押圧ローラー２３の数だけ分割して設け、これ
ら支軸２２…に揺動レバー２５…を連設して夫々繰り出
しローラー２１と接離する方向へ揺動自在に配設し、こ
の揺動レバー２５…にスプリング２４…を連設して夫々
支軸２２…を繰り出しローラー２１へ向け付勢すること
により、各押圧ローラー２３…の表面部２３ａ…を別個
にシートＡを介して繰り出しローラー２１の表面２１ａ
に圧接させることが考えられる。

【０００６】しかし、この場合には、押圧ローラーごと
に揺動レバーとスプリングを設けなければならず、構成
が複雑化するばかりでなくコスト高になるという問題が
ある。

【０００７】本発明は斯かる従来事情に鑑み、寸法誤差
や支軸のたわみと関係なく押圧ローラーを繰り出しロー
ラーへ略均一に圧接させることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講ずる技術的手段は、支軸と押圧ローラーと
の間に弾性筒を配設し、この弾性筒を押圧ローラーの表
面部より軟らかい弾性変形可能な材質で形成したことを
特徴とするものである。

【作用】本発明は上記技術的手段によれば、押圧ローラ
ーの表面部を繰り出しローラーの表面に突き当てて弾性
筒を弾性変形させることにより、押圧ローラーが支軸に
対し偏心して寸法誤差や支軸のたわみが吸収され、押圧
ローラーの表面部が繰り出しローラーの表面と平行に対
向すると共に、シートに対して略同じ圧力で当接するも
のである。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１０】この実施例は図１及び図２に示す如く、円
柱状の繰り出しローラー１を常時又は間欠的に回転さ
せ、管状の支軸２に揺動レバー７，７を連設して繰り出
しローラー１と接離する方向へ往復動自在に配設すると
共に、支軸２の外周に複数の押圧ローラー３…を適宜間
隔毎に突設し、揺動レバー７，７の揺動により支軸２が
繰り出しローラー１と接近する方向へ平行移動して、押
圧ローラー３…の表面部３ａ…を繰り出しローラー１の
表面１ａに圧接した時のみ、図示しない給紙機構の作動
により一枚ずつ供給されたシートＡを間欠的に繰り出す
ものである。

【００１１】これら押圧ローラー３…は、その表面部３
ａ…をシートＡの繰り出しに最適な材質で同寸法の円筒
状に形成され、これら表面部３ａ…の内周面に例えばボ
ールベアリングなどの軸受け部４…を夫々固着し、この
軸受け部４…の内周面を支軸２の外周面に固着する。

【００１２】そして、支軸２の外周面と軸受け部４…の
内周面との間か、又は押圧ローラー３…の表面部３ａ…
の内周面と回転軸受け部４…の外周面との間には、弾性
筒５…を夫々配設する。

【００１３】弾性筒５…は、押圧ローラー３…の表面部
３ａ…より軟らかい弾性変形可能な例えばスポンジやバ
ネ板などの材質で同寸法の円筒状に形成し、その肉厚寸
法を押圧ローラー３…の加工精度や取り付け精度の誤差
及び支軸２のたわみ変化量より厚くする。

【００１４】図示例では、軸受け部４…としてボールベ
アリングを用い、これらボールベアリングの外レースを
押圧ローラー３の表面部３ａ…として使用すると共に、
各ボールベアリングの内レースと弾性筒５を挟んで、例
えばスペーサーやリングなどの位置決め部材６，６を夫
々嵌め込むことにより、軸受け部４…及び弾性筒５…相
互の軸方向の位置決めする。

【００１５】また、前記揺動レバー７，７には、中心軸
７ａを上記支軸２と平行に挿通し、この中心軸７ａを中
心として揺動自在に支持すると共に、これら揺動レバー
７，７の末端を図示しない駆動部に連係するか、又は中
心軸７ａを図示しない駆動部に連係して該揺動レバー
７，７を間欠的に往復揺動させることにより、支軸２が
繰り出しローラー１と接離する方向へ平行復動して、支
軸２に突設した総ての押圧ローラー３…の表面部３ａ…
を繰り出しローラー１の表面１ａに設定時間だけ突き当
てる。

【００１６】次に、斯かるシート繰り出し装置の作動に
ついて説明する。

【００１７】先ず、揺動レバー７，７の揺動により支軸
２が繰り出しローラー１と接近する方向へ移動して、総
ての押圧ローラー３…の表面部３ａ…を繰り出しローラ
ー１の表面１ａに突き当てると、図１及び図２に示す如
く支軸２がたわみ変形することがあると共に、これら押
圧ローラー３…の表面部３ａ…より軟らかい弾性筒５…
が夫々弾性変形して、総ての押圧ローラー３…全体か、
或いはいくつかの押圧ローラー３…全体が支軸２に対し
偏心した位置へ移動する。

【００１８】これにより、夫々の押圧ローラー３…の表
面加工や取り付けに伴う寸法誤差と、押圧ローラー３…
の突き当てに伴う支軸２のたわみと、更に繰り出しロー
ラー１の表面加工や取り付けに伴う寸法誤差や、支軸２
の取り付けに伴う寸法誤差などまでもが吸収され、これ
ら総ての押圧ローラー３…の表面部３ａ…が夫々繰り出
しローラー１の表面１ａと平行に対向すると共に、シー
トＡに対して略同じ圧力で当接する。

【００１９】その結果、繰り出しローラー１が回転して
も押圧ローラー３…の表面部３ａ…とシートＡとの間に
は、スリップが発生せずにシートＡを真っ直ぐに安定し
て繰り出せる。

【００２０】従って、本実施例のものは、支軸２を押圧
ローラー３…の突き当てに伴うたわみを考慮せずに設計
可能になって、管状にしたり軽量な材質を選定するなど
軽量化が図れ、支軸２の支持構造や駆動機構も小型化で
きてコストを低減できる。

【００２１】尚、この実施例では、支軸２を繰り出しロ
ーラー１と接離する方向へ往復動自在に配設したが、こ
れに限定されず、支軸２を総ての押圧ローラー３…が繰
り出しローラー１の表面１ａに突き当たるように繰り出
しローラー１と平行に配置固定しても良い。

【００２２】一方、図３及び図４に示すものは本発明の
他の実施例であり、このものは、支軸２の外周に円柱状
の押圧ローラー３を突設し、この押圧ローラー３がその
軸方向全長に亙って繰り出しローラー１の表面１ａに突
き当たるように、支軸２を繰り出しローラー１と平行に
配置固定したものである。

【００２３】この円柱状の押圧ローラー３は、その表面
部３ａをシートＡの繰り出しに最適な材質で繰り出しロ
ーラー１と略同じ長さの円筒状に形成され、該表面部３
ａの内周面の両端及び中間位置に例えばボールベアリン
グなどの軸受け部４…を夫々固着し、これら軸受け部４
…の内周面を支軸２の外周面に固着する。

【００２４】そして、支軸２の外周面と軸受け部４…の
内周面との間か、又は押圧ローラー３の表面部３ａの内
周面と回転軸受け部４…の外周面との間には、弾性筒５
…を夫々配設し、押圧ローラー３の軸方向全長を繰り出
しローラー１の表面１ａに突き当てることにより、表面
部３ａより軟らかい弾性筒５…が夫々弾性変形して、押
圧ローラー３の表面部３ａを部分的に支軸２に対し偏心
した位置へ移動させると同時に、押圧ローラー３をその
軸方向全長に亙って繰り出しローラー１の表面１ａと平
行に対向させ、シートＡに略同じ圧力で当接する。

【００２５】尚、この実施例では、押圧ローラー３の表
面部３ａの内周面の両端及び中間位置に軸受け部４…を
夫々固着して、これらと支軸２の外周面との間に弾性筒
５…を配設したが、これに限定されず、例えば円柱状の
押圧ローラー３の表面部３ａを支軸２の材質より硬い材
質で形成した場合には、表面部３ａの内周面の中間位置
に軸受け部４を固着しなくとも良い。

【００２６】更に、支軸２を押圧ローラー３がその軸方
向全長に亙って繰り出しローラー１の表面１ａに突き当
たるように繰り出しローラー１と平行に配置固定した
が、これに限定されず、支軸２を繰り出しローラー１と
接離する方向へ往復動自在に配設しても良い。

【００２７】

【発明の効果】本発明は上記の構成であるから、以下の
利点を有する。

【００２８】１．押圧ローラーの表面部を繰り出しロー
ラーの表面に突き当てて弾性筒を弾性変形させることに
より、押圧ローラーが支軸に対し偏心して寸法誤差や支
軸のたわみが吸収され、押圧ローラーの表面部が繰り出
しローラーの表面と平行に対向すると共に、シートに対
して略同じ圧力で当接するので、寸法誤差や支軸のたわ
みと関係なく押圧ローラーを繰り出しローラーへ略均一
に圧接できる。

【００２９】従って、支軸の中心位置から各押圧ローラ
ーの表面までの径が総て同じになるように配置する必要
のある従来のものに比べ、押圧ローラーの表面加工や取
り付けに高度な寸法精度が要求されず、しかもスプリン
グによる付勢も必要なくなってコストを低減できると共
に、支軸が円弧状にたわんだとしても支軸の中央部分に
突設した押圧ローラーとシートとの間にスリップが発生
せず、シートを真っ直ぐに安定して繰り出せる。

【００３０】更に、支軸を硬い材質で形成してたわみ量
を少なくしたものに比べ、支軸の軽量化が図れて支軸の
支持構造が小型化するなど、コストを低減できると共
に、押圧ローラーの表面部を弾性変形可能な軟らかい材
質で形成して該表面部の変形により圧接させたものに比
べ、押圧ローラーの表面部には、シート繰り出しに最適
なものを選定でき、長期使用が可能となって経済的であ
るばかりでなく、シート繰り出し時に繰り出しローラー
側へ湾曲せず、シートを直線状に安定して繰り出せて、
作動不良が発生しない。

【００３１】また、支軸を押圧ローラーの数だけ分割し
て設け、これら支軸に揺動レバーとスプリングを夫々連
設して、各押圧ローラーを別個に繰り出しローラーに圧
接させるものに比べ、押圧ローラーごとに揺動レバーと
スプリングを設けなくても良く、構成が簡素化してコス
トを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すシート繰り出し装置の
縦断正面図である。

【図２】図１の（２）−（２）線に沿える縦断側面図で
ある。

【図３】本発明の他の実施例を示すシート繰り出し装置
の縦断正面図である。

【図４】図３の（４）−（４）線に沿える縦断側面図で
ある。

【図５】従来のシート繰り出し装置の一例を示す正面図
である。

【図６】改良案の一例を示す正面図である。

【符号の説明】

Ａ シート １ 繰り出しロ
ーラー １ａ 表面 ２ 支軸 ３ 押圧ローラー ３ａ 表面部 ５ 弾性筒

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円柱状の繰り出しローラーと平行に支軸
   を設け、この支軸に押圧ローラーを回転自在に突設し
   て、これら繰り出しローラーと押圧ローラーとの間にシ
   ートを挟み込み、繰り出しローラーの回転に伴って挟み
   込んだシートを繰り出すシート繰り出し装置において、
   前記支軸と押圧ローラーとの間に弾性筒を配設し、この
   弾性筒を押圧ローラーの表面部より軟らかい弾性変形可
   能な材質で形成したことを特徴とするシート繰り出し装
   置。