JPH06329057A - クローラベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クローラベルトが上方に向けて湾曲状に屈曲
する、また、クローラベルトの各車輪に対するなじみが
悪く、脱輪の恐れ大である、また、駆動バーの接当部分
において、幅方向において剛性差が大であり、クローラ
ベルトの左半分と右半分とで駆動力が異なる、また、従
動輪及び転輪の転動面も左半分と右半分とで剛性差が大
であり、振動が大である等の問題点を解消することを目
的とする。 【構成】 無端帯状に形成された本体部２Ａの外周面
に、第１，第２のラグ６Ａ，６Ｂを周方向に亘って間隔
をおいて交互に設け、この隣合う第１のラグ６Ａと第２
のラグ６Ｂを、本体部２Ａの幅方向中央側において、幅
方向一対の係合突起７の幅方向の中心線Ｂに対してクロ
ーラ回走方向前後に配置すると共に、これら第１，第２
のラグ６Ａ，６Ｂ２列で、本体部２Ａの厚さ方向から見
て左右の係合突起７をつなぐように設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンバイン、ハーベス
タ又は雪上車等の走行車両のクローラ式走行装置に採用
されるクローラベルトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】クローラベルトとして、図１０及び図１
１に示すようなものがある。同図において、２１は弾性
体から無端帯状に形成された本体部で、この本体部２１
の内周面の幅方向中央側には、幅方向一対の係合突起２
２が周方向に亘って間隔をおいて一体形成されている。
また、本体部２１の外周面には、第１のラグ２３と第２
のラグ２４とが一体形成され、これらラグ２３，２４は
周方向に亘って間隔をおいて交互に配置されている。

【０００３】本体部２１内には長手方向の多数本のスチ
ールベルトからなる抗張体２５が埋設され、金属或いは
樹脂製の補強芯材は設けられていない。また、本体部２
１内周面の係合突起２２左右両側部分は、従動輪又は転
輪としての跨ぎ転輪２８が相対的に転動する転動面２６
とされている。前記クローラベルトは駆動輪，従動輪及
びこれらの間に配置される転輪に掛装され、そして、駆
動輪を回転させ、駆動輪の外周部に設けた駆動バー２７
を一対の係合突起２２に接当させて噛み合わせること
で、クローラベルトを周方向に循環回走させるようにな
っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のものにあっ
ては、クローラベルトの幅方向中央側の左右係合突起２
２間の剛性が弱く、そのため従動輪或いは転輪を通過す
る際に、図１１に仮想線で示すように、クローラベルト
が上方に向けて湾曲状に屈曲すると云う問題がある。

【０００５】また、第１のラグ２３は、クローラベルト
の幅方向中央側から一側縁に向けて係合突起２２を横切
るように設けられ、第２のラグ２４は、クローラベルト
の幅方向中央側から他側縁に向けて周方向に隣接する係
合突起２２間を通過するように設けられているので、ク
ローラベルトが駆動輪或いは従動輪に巻掛けられる部分
において、本体部２１の第２のラグ２４が設けられてい
る側は曲がり難く、その左右反対側は曲がり易い。この
ため、各車輪に対するなじみが悪く、脱輪の恐れ大であ
る。

【０００６】また、駆動バー２７の接当部分において
も、幅方向において剛性差が大であり、クローラベルト
の左半分と右半分とで駆動力が異なると共に、抗張体に
対して張力が変わると云う問題がある。さらに、従動輪
及び転輪の転動面２６も左半分と右半分とで剛性差が大
であり、これが振動が大となる要因とされている。

【０００７】そこで本発明は、前記各問題点を解消する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明が、前記目的を達
成するために講じた技術的手段は、無端帯状に形成され
た本体部２Ａと、この本体部２Ａの内周面の幅方向中央
側に周方向に亘って間隔をおいて設けられた幅方向一対
の係合突起７と、本体部２Ａの外周面に周方向に亘って
間隔をおいて交互に設けた第１，第２のラグ６Ａ，６Ｂ
とを弾性材料によって一体形成したクローラベルトにお
いて、前記隣合う第１のラグ６Ａと第２のラグ６Ｂを、
本体部２Ａの幅方向中央側において、幅方向一対の係合
突起７の幅方向の中心線Ｂに対してクローラ回走方向前
後に配置すると共に、これら第１，第２のラグ６Ａ，６
Ｂ２列で、本体部２Ａの厚さ方向から見て左右の係合突
起７をつなぐように設けた点にある。

【０００９】前記第１，第２のラグ６Ａ，６Ｂの長手方
向の中心線と左右一対の係合突起７の根元側内側縁との
交点Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４は、係合突起７の幅方向の
中心線Ｂから本体部周方向に関して略同距離とされてい
て、該中心線Ｂを境とした略対称位置にあることが好ま
しい。

【００１０】

【作用】弾性体から無端帯状に形成されたクローラベル
ト本体部の外周面に一体形成した隣合う第１のラグと第
２のラグは、本体部の幅方向中央側において、幅方向一
対の係合突起の幅方向の中心線に対してクローラ回走方
向前後に配置すると共に、これら第１，第２のラグ２列
で、本体部の厚さ方向から見て左右の係合突起をつなぐ
ように設けられており、これによって左右の係合突起間
の剛性が向上すると共に、クローラベルト周方向の係合
突起間のラグが及ぼす影響は極めて少なくなって、駆動
輪又は従動輪の巻掛け部分において、クローラベルトは
幅方向に亘って略同じ様に屈曲する。

【００１１】さらに、駆動バーの接当部分において、幅
方向における剛性差が少なくなると共に、従動輪，転輪
の通過部分もクローラベルトの幅方向一側と他側とで剛
性差が少なくなる。また、特に、第１，第２のラグの長
手方向の中心線と左右一対の係合突起の根元側内側縁と
の交点を、係合突起の幅方向の中心線から本体部周方向
に関して略同距離として、該中心線を境とした略対称位
置に位置させることで、駆動輪又は従動輪の巻掛け部分
において、クローラベルトの捻じれが抑えられる。

【００１２】そして、駆動輪巻掛け部では、左右一対の
係合突起に対して、これに接当して駆動力を伝える駆動
輪の駆動バーが略等しい圧力で接当し、駆動力が確実に
伝達され、また、従動輪巻掛け部では、脱輪が防止され
ると共に、クローラベルトが円滑に回走する。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１乃至図７は第１実施例を示し、図２におい
て、１はクローラ式走行装置で、ゴム等の弾性材料から
無端帯状に形成されたクローラベルト２を、駆動輪３、
従動輪４及びそれらの間の転輪５に掛装して成る。

【００１４】図１、図４及び図５に示すように、クロー
ラベルト２は、無端帯状の本体部２Ａの外周面（接地
面）に多数のラグ６Ａ，６Ｂを一体形成すると共に、内
周面の左右方向（クローラベルト幅方向）中央側に左右
一対の係合突起７を周方向に亘って等間隔をおいて一体
形成してなる。また、クローラベルト２の内周面の左右
方向中央側は帆布等からなる被覆体８によって覆われて
おり、クローラベルト２内部には長手方向に配設された
スチールコード９が多数本埋設されている。

【００１５】駆動輪３は、図２及び図５に示すように、
ホイール１０の外周に左右両側に突出する駆動バー１１
を周方向等間隔をおいて設けて成り、この駆動輪３を回
転させ、駆動バー１１を一対の係合突起７に接当させて
噛み合わせることで、クローラベルト２を周方向に循環
回走させるようになっている。従動輪４及び転輪５は、
図６に示すように、本体部２Ａの内周面の、一対の係合
突起７の左右両側上を相対的に転動する跨ぎ転輪とされ
る。なお、従動輪４及び転輪５は、図７に示すように、
本体部２Ａの内周面の、一対の係合突起７間上を相対的
に転動する中転輪とされてもよい。

【００１６】図１に示すように、ラグ６Ａ，６Ｂは第１
のラグ６Ａと第２のラグ６Ｂとからなり、これら第１の
ラグ６Ａと第２のラグ６Ｂとはクローラベルト周方向に
亘って間隔をおいて交互に配置されている。また、第１
のラグ６Ａ及び第２のラグ６Ｂは、クローラベルト２の
左右方向中央側に位置すると共に、左右方向に配置され
た直線状の中央部１２Ａ，１２Ｂと、この中央部１２
Ａ，１２Ｂの左右方向一方の外端部から左右方向外方に
向けて斜め方向に延びる側部１３Ａ，１３Ｂとからな
り、側部１３Ａと側部１３Ｂとは夫々左右反対位置に設
けられている。

【００１７】隣合う第１，第２ラグ６Ａ，６Ｂの中央部
１２Ａ，１２Ｂは、一対の係合突起７の左右方向の中心
線Ｂを境としてクローラベルト２の回走方向前後に振り
分け状に配置されている。また、第１のラグ６Ａの長手
方向の中心線と係合突起７の根元部内側縁との交点Ｐ
１，Ｐ２及び第２のラグ６Ｂの長手方向の中心線と係合
突起７の根元部内側縁との交点Ｐ３，Ｐ４は、夫々一対
の係合突起７の左右方向の中心線Ｂからのクローラベル
ト周方向に関する距離が同距離とされていて、該中心線
Ｂを境として対称位置にある。

【００１８】さらに、第１，第２のラグ６Ａ，６Ｂの中
央部１２Ａ，１２Ｂは、これら２列で、本体部２Ａの厚
さ方向から見て左右の係合突起７をつなぐように形成さ
れている。図８は第２実施例を示し、前記第１実施例に
おける第１，第２ラグ６Ａ，６Ｂの中央部１２Ａ，１２
Ｂが、左右係合突起７の中央部で同方向に屈曲されてく
字状とされたものである。

【００１９】図９は第３実施例を示し、第１のラグ６Ａ
がクローラベルト２本体部２Ａの一側縁から他側縁に亘
って左右方向に直線状に形成され、第２のラグ６Ｂが本
体部２Ａの左右方向中央側にのみ左右方向に直線状に形
成されたものである。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、弾性体から無端帯状に
形成されたクローラベルト本体部の外周面に一体形成し
た隣合う第１のラグと第２のラグを、本体部の幅方向中
央側において、本体部の厚さ方向から見て左右の係合突
起をつなぐように設けたので、左右の係合突起間の剛性
が向上して、クローラベルトが上方に向けて湾曲状に屈
曲するのを防止できる。

【００２１】また、クローラベルト周方向の係合突起間
のラグの影響は極めて少なく、駆動輪又は従動輪の巻掛
け部分において、クローラベルトは幅方向に亘って略同
じ様に屈曲し、駆動輪，従動輪へのなじみがよく、脱輪
する恐れもない。さらに、駆動バーの接当部分において
も、幅方向において剛性差があまり無く、クローラベル
トの幅方向に亘って略均等な駆動力が得られる。

【００２２】さらに、また、従動輪，転輪の通過部分も
クローラベルトの幅方向一側と他側とで剛性差があまり
無く従動輪，転輪がスムースに転動し、大きく振動する
こともない。また、特に、第１，第２のラグの長手方向
の中心線と左右一対の係合突起の根元側内側縁との交点
を、係合突起の幅方向の中心線から本体部周方向に関し
て略同距離として、該中心線を境とした略対称位置に位
置させることで、駆動輪又は従動輪の巻掛け部分におい
て、クローラベルトの捻じれが抑えられ、これによっ
て、駆動輪巻掛け部では、左右一対の係合突起に対し
て、これに接当して駆動力を伝える駆動輪の駆動バーが
略等しい圧力で接当し、駆動力が確実に伝達され、ま
た、従動輪巻掛け部では、脱輪が防止されると共に、ク
ローラベルトが円滑に回走すると云う効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例を示すクローラベルトの外周面の図
である。

【図２】クローラ式走行装置の簡略図である。

【図３】駆動輪巻掛け部分の拡大側面図である。

【図４】クローラベルトの内周面の図である。

【図５】図４のＡ−Ａ線矢示断面図である。

【図６】従動輪又は転輪の正面図である。

【図７】他の従動輪又は転輪の正面図である。

【図８】第２実施例を示すクローラベルトの外周面の図
である。

【図９】第３実施例を示すクローラベルトの外周面の図
である。

【図１０】従来例を示すクローラベルトの外周面の図で
ある。

【図１１】従来例を示し、従動輪又は転輪の通過部分で
クローラベルトを断面した断面図である。

【符号の説明】

２ クローラベルト ２Ａ 本体部 ３ 駆動輪 ６Ａ 第１のラグ ６Ｂ 第２のラグ ７ 係合突起

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端帯状に形成された本体部（２Ａ）
   と、この本体部（２Ａ）の内周面の幅方向中央側に周方
   向に亘って間隔をおいて設けられた幅方向一対の係合突
   起（７）と、本体部（２Ａ）の外周面に周方向に亘って
   間隔をおいて交互に設けた第１，第２のラグ（６Ａ），
   （６Ｂ）とを弾性材料によって一体形成したクローラベ
   ルトにおいて、 前記隣合う第１のラグ（６Ａ）と第２のラグ（６Ｂ）
   を、本体部（２Ａ）の幅方向中央側において、幅方向一
   対の係合突起（７）の幅方向の中心線Ｂに対してクロー
   ラ回走方向前後に配置すると共に、これら第１，第２の
   ラグ（６Ａ），（６Ｂ）２列で、本体部（２Ａ）の厚さ
   方向から見て左右の係合突起（７）をつなぐように設け
   たことを特徴とするクローラベルト。
2. 【請求項２】 第１，第２のラグ（６Ａ），（６Ｂ）の
   長手方向の中心線と左右一対の係合突起（７）の根元側
   内側縁との交点Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４は、係合突起
   （７）の幅方向の中心線Ｂから本体部周方向に関して略
   同距離とされていて、該中心線Ｂを境とした略対称位置
   にあることを特徴とする請求項１記載のクローラベル
   ト。