JPH06306164A - ポリアニリン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

ポリアニリン誘導体およびその製造方法

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JPH06306164A
JPH06306164A JP11656993A JP11656993A JPH06306164A JP H06306164 A JPH06306164 A JP H06306164A JP 11656993 A JP11656993 A JP 11656993A JP 11656993 A JP11656993 A JP 11656993A JP H06306164 A JPH06306164 A JP H06306164A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機溶剤に可溶またはゲル化可能で、可撓性
のある自立性のフィルムを形成することが可能なポリア
ニリン誘導体及びその製造方法を提供する。 【構成】 ポリアニリン誘導体は、式(I) 【化1】 (m,n=0以上の整数、m/(n+m) =0 〜1 、m+n=
10〜5000)の構造単位よりなる数平均分子量2000〜5000
00のポリアニリンを主鎖とし、式(II)の架橋構造を有
し、その架橋構造に関与する窒素原子の数が、主鎖のポ
リアニリンの窒素原子の0.01〜50%である。 【化2】 (式中、RP=エーテルまたはポリエーテル構造を有す
る平均分子量200 〜100,000 のポリアミド鎖、A1 およ
びA2 =連結基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶剤に可溶または
ゲル化可能であり、可撓性のある自立性のフィルム形成
することができるポリアニリン誘導体およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリアニリンは、新しい電子材
料、導電材料として、電池の電極材料、帯電防止材料、
電磁波遮蔽材料、光電子変換素子、光メモリー、各種セ
ンサー等の機能素子、表示素子、各種ハイブリッド材
料、透明導電体、各種端末機器など、広い分野への応用
が検討されている。しかしながら、一般にポリアニリン
は、π共役系が高度に発達しているため、高分子主鎖が
剛直で、分子鎖間の相互作用が強く、また分子鎖間に強
固な水素結合が数多く存在するため、ほとんど有機溶剤
に不溶であり、また加熱によっても溶融しないので、成
形性に乏しく、フィルム化等の加工ができないという大
きな欠点を有している。
【0003】そのために、例えば、高分子材料の繊維、
多孔質体等の所望の形状の基材にモノマーを含浸させ、
このモノマーを適当な重合触媒との接触により、或い
は、電解酸化により重合させ、導電性複合材料にした
り、或いはまた、熱可塑性重合体粉末の存在下で、モノ
マーを重合させ、同様の複合材料を得ていた。これに対
して、重合触媒と反応温度の工夫により、N−メチル−
2−ピロリドンのみに可溶なポリアニリンが合成されて
いる(M.Abe et al.;J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,1989,173
6)。しかしながら、このポリアニリンも、その他の汎
用有機溶剤に殆ど溶解せず、その適用範囲が限られてい
た。また、種々のアニリンの誘導体を利用して、有機溶
剤に可溶なポリアニリン誘導体も合成されているが、充
分に可撓性を有するフィルムを与えることはできなかっ
た。一方、高分子化合物は、もしもゲル化が可能であれ
ば、ゲル延伸やゲル紡糸、ゲル形成等の技術を用いて加
工することが可能であることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実情に鑑みてなされたものであ
る。すなわち、本発明の目的は、有機溶剤に可溶または
ゲル化可能であり、可撓性のある自立性のフィルムや繊
維を形成することができるポリアニリン誘導体およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解決すべく鋭意検討した結果、還元型ポリアニリンと両
末端に芳香族第2アミンと反応する官能基を有する反応
性ポリアミド化合物とを反応させることにより、架橋構
造を有し、有機溶剤に可溶またはゲル化可能で、可撓性
のある自立性のフィルムを形成することができるポリア
ニリン誘導体が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】本発明のポリアニリン誘導体は、下記式
(I)
【化7】 (式中、mおよびnは0以上の整数を意味し、m/(n
+m)=0〜1、m+n=10〜5000である。)で
示される構造単位よりなる数平均分子量2000〜50
0000のポリアニリンを主鎖とし、該主鎖が下記式
(II)
【化8】
【0007】[式中、RPは下記式(III )で示される
平均分子量200〜100,000のポリアミド鎖を表
わし、
【化9】 (式中、RP1 は炭素数1〜30の二価の非芳香族系炭
化水素基を表わし、RP2 はエーテルまたはポリエーテ
ル構造を有する炭素数2〜60の二価の基またはそのハ
ロゲン若しくはアルコキシ置換体を表わし、kは1〜5
00の整数を表わす。) A1 は下記式(1)〜(9)から選択された連結基を表
わし、
【0008】
【化10】 (式中、Rは直接結合、炭素数1〜30の2価の炭化水
素基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換体(た
だし、Mは水素原子、Li、Na、K、Cs、Rbまた
はNH4 を表わす。)を表わし、Xは酸素原子または硫
黄原子を表わし、Yは酸素原子、硫黄原子またはNHを
表わし、Bは炭素数1〜30の炭化水素基または炭素数
1〜30のアルコキシ基を表わし、pは0〜2の整数を
意味する。)、A2 は下記式(1′)〜(9′)から選
択された連結基を表わし、
【0009】
【化11】 (式中、R、X、Y、Bおよびpは、上記したと同意義
を有する。)よりなる群から選択された基を表わす。]
で示される架橋構造を形成してなり、該架橋構造に関与
する窒素原子の数が、主鎖のポリアニリンの窒素原子の
0.01〜50%であることを特徴とする。
【0010】本発明のポリアニリン誘導体の製造方法
は、アニリン酸化重合体をアンモニアで処理して得た可
溶性アニリン重合体を、過剰のヒドラジンで処理して、
イミノ−1,4−フェニレンを構造単位とする数平均分
子量2000〜500000の還元型ポリアニリンを製
造し、次いで、下記式(IV) W1 −A3 −RP−A4 −W2 (IV)
【0011】[式中、W1 およびW2 は、それぞれ下記
式(a)〜(h)から選択された官能基を表わし、
【化12】 (式中、Halは、ハロゲン原子を表わし、X、Y、B
およびpは前記と同意義を有する。)、A3 は、直接結
合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはそのハロ
ゲン置換体、−R−C(=X)−、−R−NH−C(=
X)−または−R−SOp −(ただし、R、Xおよびp
は前記と同意義を有する。)を表わし、A4 は、直接結
合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはそのハロ
ゲン置換体、−C(=X)−R−、−C(=X)−NH
−R−または−SOp −R−(ただし、R、Xおよびp
は前記と同意義を有する。)を表わし、ただしW1 およ
びW2 が式(c)の分子内カルボン酸無水物基を表わす
場合には、A3 およびA4 は、それぞれ>R1 −C(=
O)−または−C(=O)−R1 <を表わし(ただし、
1 は炭素数1〜30の3価の炭化水素基を表わ
す。)、また、RPは上記と同意義を有する。]で示さ
れる両末端に芳香族第2アミンと反応する官能基を有す
るポリアミド化合物と反応させることを特徴とする。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のポリアニリン誘導体は、上記式(II)で示される
架橋構造を有することを特徴としているが、本発明にお
いては、溶解性を向上させるため、或いはゲル化時の流
動性を向上させるため、架橋鎖中にエーテル構造、より
好ましくはポリエーテル構造を導入している。本発明に
おいて、上記式(II)で示される架橋構造に関与する窒
素原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の0.01〜5
0%の範囲にあることが必要である。架橋構造に関与す
る窒素原子の数が50%よりも高い比率になると、生成
するポリアニリン誘導体は導電性が低下し、同時に有機
溶剤に対し溶解もゲル化もしにくくなり、加工性にも問
題が生じる。また、0.01%よりも小さいと、溶解性
はポリアニリンと大差ないものになってしまう。
【0013】上記式(II)で示される架橋構造におい
て、連結基A1 は、式(1)〜(9)から選択されたも
のであり、連結基A2 は、式(1′)〜(9′)から選
択されたものであって、これらの連結基は、溶解性や製
膜性も含め、本発明のポリアニリン誘導体の物性に影響
を与えるものではない。連結基中のRは、連結基が、式
(1)、(7)、(1′)および(7′)を示す場合
は、直接結合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、ま
たはそのハロゲンまたは−COOM置換体であり、連結
基がその他の場合は、炭素数1〜30の2価の炭化水素
基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換体である
のが好ましい。炭素数1〜30の2価の炭化水素基につ
いて、さらに具体的に述べれば、例えば、メチレン、エ
チレン、トリメチレン、ヘキサメチレン、プロピレン等
の直鎖および分枝鎖脂肪族炭化水素基、フェニレン等の
芳香族炭化水素基、2,2−ジフェニルトリメチレン等
の芳香環を含む炭化水素基をあげることができる。
【0014】また、RPは、下記式(III)
【化13】 で示される平均分子量200〜100,000のポリア
ミド鎖を表わすが、式中、RP1 は、メチレン、エチレ
ン、トリメチレン、ヘキサメチレン、プロピレン、シク
ロヘキシレン等の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基ま
たは脂環式炭化水素基等の炭素数1〜30の二価の非芳
香族系炭化水素基を表わす。RP2 は、エーテルまたは
ポリエーテル構造を有する炭素数2〜60の二価の基ま
たはそのハロゲン若しくはアルコキシ置換体を表わし、
具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、ヘキ
サメチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、ビニレン
等の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水
素基およびアルケニレン基等の炭素数1〜30の二価の
非芳香族系炭化水素基またはそのハロゲンまたはアルコ
キシカルボニル置換体を表わすが、具体的には、エチレ
ンオキシエチレン、プロピレンオキシプロピレン、エチ
レンオキシエチレンオキシエチレン、3,6,9−トリ
オキサウンデシレン、3,6,9,12−テトラオキサ
テトラデシレン、(エチレンジオキシ)ジフェニレン、
フェニレンオキシフェニレン、およびポリオキシエチレ
ン構造(6量体、10量体、20量体、90量体等)等
があげられる。また、kは1〜500の整数を表わす。
【0015】具体的には、例えば、エチレンジアミン・
ジエチレングリコール酸重縮合体、テトラメチレンジア
ミン・トリエチレングリコール酸重縮合体、テトラメチ
レンジアミン・オキシジ安息香酸重縮合体、ヘキサメチ
レンジアミン・ジエチレングリコール酸重縮合体、ヘキ
サメチレンジアミン・3,3′−オキシジプロピオン酸
重縮合体、オクタメチレンジアミン・ジプロピレングリ
コール酸重縮合体、デカメチレンジアミン・ポリエチレ
ンオキシド(PEO)二酸(約6量体、10量体、20
量体、90量体等)重縮合体等のポリアミドオリゴマー
をあげることができる。
【0016】本発明において、式(II)で示される架橋
構造の具体例として、下記式(II−1)〜(II−4)で
示されるものをあげることができる。
【化14】 (式中、A5 は炭素数1〜10のアルキレン基、アルケ
ニレン基またはフェニレン基を表わし、A6 は炭素数1
〜8のアルキレンを表わし、RPは、前記と同意義を有
する。)
【0017】本発明のポリアニリン誘導体は、次のよう
にして製造される。すなわち、過硫酸アンモニウム等を
酸化剤として用いて、アニリンを低温、例えば−20〜
50℃の範囲の温度で酸化重合することによって得たア
ニリン酸化重合体を、まず、アンモニアで処理して、可
溶型ポリアニリンを得る。その後、可溶型ポリアニリン
を過剰のヒドラジンで処理して、イミノ−1,4−フェ
ニレン構造を構造単位とする数平均分子量2000〜5
00000[GPC(N−メチル−2−ピロリドン溶
媒)で測定、ポリスチレン換算の数平均分子量]の還元
型のポリアニリンを得る。ヒドラジン処理は、可溶型の
ポリアニリンを水またはメタノールに分散し、ポリアニ
リン中の窒素原子に対して当量以上、好ましくは3倍以
上のヒドラジンを窒素雰囲気下で加え、24時間以上、
0〜30℃で攪拌することにより行う。なお、還元型ポ
リアニリンは、典型的には式(I)におけるn=0のも
のであるが、上記反応中、雰囲気に微量に存在する酸素
により、或いは反応後、空気にさらされることにより酸
化されて、m:nが1:1に近付く場合もある。
【0018】得られた還元型ポリアニリンは、N−メチ
ル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルアセトアミ
ドに可溶であるが、他の汎用有機溶剤、たとえばクロロ
ホルム或いはテトラヒドロフランには殆ど不溶である。
本発明において、上記ポリアニリン主鎖の数平均分子量
が2,000よりも低くなると、最終的に形成されるポ
リアニリン誘導体から可撓性のある自立性のフィルムや
ファイバーを得ることが困難になり、また500,00
0を越えると、溶剤に対する溶解性或いは膨潤性が十分
でなくなり、キャストやゲル延伸等の加工性の点で好ま
しくなくなる。
【0019】この還元型ポリアニリンに上記架橋構造を
導入するには、前記式(IV)で示される両末端に芳香族
第2アミンと反応する官能基(W1 )(W2 )を有する
ポリアミド化合物が用いられる本発明の主眼となる点
は、ポリアニリン主鎖を適当なポリアミド鎖よりなる架
橋鎖で架橋することにあり、架橋鎖とポリアニリン主鎖
の連結部分、すなわち、A1 およびA2 の構造は、溶解
性や製膜性も含め、本発明の誘導体の物性に大きな影響
を与えるものではない。したがって、架橋鎖の両末端
は、第2級の芳香族アミンと反応する官能基によって連
結されていればよい。
【0020】上記式(IV)におけるポリアミド化合物の
末端官能基(W1 、W2 )としては、具体的には、ハロ
ゲン原子、カルボキシル基、ハロホルミル基、イソシア
ナート基、イソチオシアナート基、スルフィニルハライ
ド基、スルフェニルハライド基、スルホニルハライド
基、オキシラン環、アジリジン環、チイラン環、ホスフ
ィニルハライド基、チオホスフィニルハライド基および
分子内環状カルボン酸無水物基等をあげることができ
る。また、A3 、A4 で表わされる基において、炭素数
1〜30の炭化水素基としては、メチレン、エチレン、
トリメチレン、ヘキサメチレン、プロピレン等の直鎖お
よび分枝鎖脂肪族炭化水素基、フェニレン等の芳香脂肪
族炭化水素基および2,2−ジフェニルトリメチレン等
の芳香環を含む炭化水素基等をあげることができる。な
お、RPについては、前記例示したものがあげられる。
【0021】両末端に芳香族第2アミンと反応する官能
基を有する上記式(IV)で示されるポリアミド化合物と
しては、例えば、ジカルボン酸成分を過剰にして縮合し
た両末端にカルボキシル基を有するポリアミド化合物、
ジアミン成分を過剰にして縮合して得られた両末端にア
ミノ基を有するポリアミド系化合物の末端アミノ基を芳
香族第2アミンと反応する官能基に変換することによっ
て得られるポリアミド化合物、或いはほぼ当量のジアミ
ンとジカルボン酸の縮合により得られたポリアミド化合
物の両末端のカルボキシル基およびアミノ基を、芳香族
第2アミンと反応する官能基に変換することによって得
られるポリアミド化合物等があげられる。
【0022】例えば、次の化合物があげられる。ジアミ
ン成分を過剰にして縮合したポリアミド化合物を出発物
質とし、その末端アミノ基をトリメリト酸無水物または
ハロゲン化トリメリト酸無水物と反応させて末端を環状
の酸無水物構造にしたもの、過剰のジイソシアナートと
反応させて末端をイソシアナート構造にしたもの、過剰
のジイソチオシアナートと反応させて末端をイソチオシ
アナート構造にしたもの、ジスルフィニルハライド、ジ
スルフェニルハライド、ジスルホニルハライドの各々と
反応させて、それぞれ末端をスルフィニルハライド、ス
ルフェニルハライドまたはスルホニルハライド構造にし
たもの、エピハロヒドリンの如きエポキシ環を有するハ
ロゲン化物と反応させて、末端をエポキシ構造にしたも
の、末端に二重結合を有するハロゲン化炭化水素、例え
ば、ハロゲン化アリル、または末端に二重結合を有する
カルボン酸、例えば、アリル酢酸と反応させて、末端に
二重結合をもつ構造にした後、これを酸化してエポキシ
環構造にしたもの、五塩化リンで処理して水酸基をハロ
ゲンに変換したもの等があげられる。また、ジアミン成
分とジカルボン酸成分をほぼ当量用いて縮合して得た末
端にカルボキシル基およびアミノ基を有するものを、例
えば、ホスゲンで処理して、それぞれハロホルミル基お
よびイソシアナート基に変換したものをあげることもで
きる。
【0023】本発明において、上記式(IV)で示される
ポリアミド化合物の具体例としては、下記式(IV−1)
〜(IV−4)で示される化合物を例示することができ
る。
【化15】 (式中、A6 およびRPは、前記したと同意義を有す
る。)
【0024】還元型ポリアニリンと、両末端に芳香族第
2アミンと反応する官能基(W1 、W2 )を有する上記
式(IV)で示されるポリアミド化合物との反応は、上記
還元型ポリアニリンのアミド系溶液に、両末端に芳香族
第2アミンと反応する官能基を有するポリアミド化合物
またはそれを有機溶剤に溶解した溶液を加え、窒素気流
下で1〜48時間、−10〜80℃の温度の範囲で攪拌
を続ける。必要に応じて、ピリジンまたはトリエチルア
ミン、ジエチルアニリン等の第3級アミンを加えて反応
を行ってもよい。反応混合物をアルコールまたは水中に
注ぎ込み、生成したポリマーを沈殿させる。得られたポ
リマーをさらにアンモニア水で処理することによって、
本発明のポリアニリン誘導体を製造することができる。
【0025】なお、末端官能基がカルボキシル基(a)
の場合は、以下のような経路を経て本発明のポリアニリ
ン誘導体を得ることができる。両末端にカルボキシル基
を有するポリアミドのアミド系溶液に、末端カルボキシ
ル基と当量以上のN,N′−二置換カルボジイミド類を
−10〜10℃に冷却しながら加え、1〜4時間、その
温度で攪拌を続けた後、上記の還元型ポリアニリンのア
ミド系溶液を加え、ゆっくりと室温に戻しながら、さら
に1〜48時間攪拌を続ける。反応混合物をアルコール
中に注ぎ込み、生成したポリマーを沈殿させる。得られ
たポリマーをさらにアンモニア水で処理することによ
り、本発明のポリアニリン誘導体を製造することができ
る。
【0026】ここで使用されるN,N′−二置換カルボ
ジイミド類は、下記構造式(V) R′−N=C=N−R″ (V) (式中、R′およびR″は、同一または異なっていても
よく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、3−ジメ
チルアミノプロピル基等の置換または非置換アルキル
基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、フェニル
基、p−トリル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニ
ル基、p−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基、
p−シアノフェニル基等の置換または非置換アリール基
等を表わす。)で示される化合物であり、より具体的に
は、ジエチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジ
イミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニル
カルボジイミド、ジ−p−トリルカルボジイミド、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド等があげられる。
【0027】また、末端のカルボン酸基をハロホルミル
基に変換し、上記方法によって本発明のポリアニリン誘
導体を製造することができる。この末端のカルボン酸基
のハロホルミル基への変換は、一般式(IV)で示される
ポリアミド化合物であるジカルボン酸、そのジカルボン
酸のエステル(メチル、エチル等の低級アルコールエス
テル)またはそのジカルボン酸の塩(アルカリ金属塩、
アンモニウム塩等)から、以下の方法により容易に実施
可能である。
【0028】すなわち、ジカルボン酸からは、該ジカル
ボン酸に対し、塩化ホスホリル、塩化チオニル、五塩化
リン、三塩化リン等の無機ハロゲン化合物を当量以上加
え、ベンゼン等の不活性溶媒中で反応させて、本発明に
用いる両末端にハロホルミル基を有するポリアミド化合
物を得ることができる。この場合、塩化亜鉛、ピリジ
ン、よう素、トリエチルアミン等を触媒として加えても
よい。また、同じくジカルボン酸から、そのジカルボン
酸に対し、塩化ベンゾイル、フタル酸塩化物、シュウ酸
塩化物等の酸ハロゲン化物、α,α−ジハロゲノエーテ
ル類、ハロゲン化アルキルアミン類、トリフェニルホス
フィン/四塩化炭素、ピロカテキルホスホ三塩化物、ジ
エチルハロホスホ塩化物、トリフェニルハロホスホ臭素
物等の有機リンハロゲン化物等の有機ハロゲン化物を加
え、ベンゼン、クロロベンゼン等の不活性な溶媒中で反
応させて得ることもできる。
【0029】ジカルボン酸エステルからは、そのジカル
ボン酸エステルに対し、トリフェニルハロホスホハロゲ
ン化物またはそのフッ化ホウ素との錯体を用いて、本発
明に用いる両末端にハロホルミル基を有するポリアミド
化合物を得ることができる。ジカルボン酸塩からは、そ
のジカルボン酸塩に対し、塩化ホスホリル、五塩化リン
等の無機ハロゲン化合物や塩化チオニルとジメチルホル
ムアミドの錯体を用いて、本発明に用いる両末端にハロ
ホルミル基を有するポリアミド化合物を得ることができ
る。これらの他にも、カルボン酸基をハロホルミル基に
変換することができる反応であれば如何なる方法を用い
てもよく、それにより本発明に用いる両末端にハロホル
ミル基を有するポリアミド化合物を得ることができる。
【0030】本発明で使用されるアミド系溶剤として
は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメ
チルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン等があげられる。
【0031】本発明のポリアニリン誘導体は、その製造
中にポリアニリン主鎖の長さが変化することはないの
で、m+nの値は、出発物質の還元型ポリアニリンのn
の値と同じになる。さらに、m/(n+m)の値は、得
られた本発明のポリアニリン誘導体を酸化或いは還元す
ることにより制御することができる。すなわち、酸化剤
を用いて、或いは電気化学的に本発明のポリアニリン誘
導体を酸化すれば、mの値が増加し、還元剤を用いて、
或いは電気化学的に本発明のポリアニリン誘導体を還元
すれば、mの値が減少する。なお、m/(n+m)は、
13C NMRスペクトルのキノイド構造由来のピーク
(ケミカルシフト138ppm/TMS)とベンゼノイ
ド由来のピーク(ケミカルシフト122ppm/TM
S)とのそれぞれの強度比から決定することができる。
【0032】上記のようにして製造された本発明のポリ
アニリン誘導体は、N−メチル−2−ピロリドン或いは
N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロ
ロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロゲ
ン化炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系
溶剤、ピリジン等のアミン系溶剤、ジメチルスルホキシ
ド等の極性溶剤で溶解またはゲル化可能である。この溶
液またはゲルから、自立性のフィルム或いはファイバー
を製造することが可能である。さらに、このフィルムや
ファイバー等の加工物は、アクセプター性のドーパント
でドープすることにより、10-3〜10S/cmの高い
導電率を示す。
【0033】ここで使用されるドーパントは、特に制限
されるものではなく、アニリン系導電性高分子のドープ
に際し、ドーパントとして使用されるものであれば、何
如なるものでも使用することができる。具体例をあげれ
ば、ヨウ素、臭素、塩素、三塩化よう素等のハロゲン化
合物、硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸塩、ホウフッ化水素
酸等のプロトン酸、前記プロトン酸の各種塩、三塩化ア
ルミニウム、三塩化鉄、塩化モリブデン、塩化アンチモ
ン、五フッ化砒素等のルイス酸、酢酸、トルフルオロ酢
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ド
デシルベンゼンスルホン酸、しょう脳スルホン酸等の有
機酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリエチレンカルボン
酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分
子酸等、各種の化合物をあげることができる。これらの
化合物をドープさせる方法については、特に制限はな
く、公知のあらゆる方法が可能である。一般には、ポリ
アニリンの誘導体、そのゲルまたはその成形加工物とド
ーパント化合物とを接触させればよく、気相或いは液相
中で行うことができる。或いは、上記プロトン酸やその
塩の溶液中で電気化学的にドープする方法を用いること
もできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 アニリン2.0gおよび濃塩酸21.9gを水に溶かし
て100mlとし、−5℃に冷却した。一方、濃塩酸2
1.9gおよび過硫酸アンモニウム6.28gを水に溶
かし100mlとした。この溶液を−10℃に冷却した
後、上記のアニリン溶液にゆっくりと滴下し、−10℃
で6時間撹拌を続けた。こうして得られた数平均分子量
21,000(GPC、N−メチル−2−ピロリドン溶
媒中で測定、ポリスチレン換算の数平均分子量)のアニ
リン酸化重合体を、水で充分に洗浄した後、アンモニア
水で脱ドープ処理を行なった。得られた可溶型ポリアニ
リンを200mlの水に分散し、窒素雰囲気下で50m
lのヒドラジンを加え、24時間室温で撹拌を続け、瀘
別、乾燥して灰白色の還元型ポリアニリン(数平均分子
量21,000、m+n=約115)を得た。こうして
得られた還元型ポリアニリン1gを窒素気流下でN−メ
チル−2−ピロリドン30mlに完全に溶解させた。
【0035】一方、両末端にカルボキシル基を有するポ
リアミド化合物は、以下のようにして合成した。ポリエ
チレンオキシド(PEO)二酸(平均分子量400)と
ヘキサン−1,6−ジアミンを1.05:1.00のモ
ル比で反応させた。末端カルボキシル基の量は2.0
1、平均分子量は3700であった。このもの2.03
1gをベンゼンに溶解し、過剰のオキサリルクロライド
と反応させて末端基をクロロホルミル化した。(W1
2 =COCl、A3 =−(CH2 p −CO−、A4
=−CO−(CH2 p −、ただしp=5〜7) 未反応のオキサリルクロライドを除去した後、末端基を
クロロホルミル化したポリアミドのテトラヒドロフラン
溶液を、0℃に冷却しておいた上記の還元型ポリアニリ
ンのアミド系溶液に加え、ゆっくりと室温に戻しなが
ら、さらに6時間攪拌を続けた。反応混合物をアルコー
ル中に注ぎ込み、生成したポリマーを沈殿させた。得ら
れたポリマーをさらにアンモニア水で処理して、本発明
のポリアニリン誘導体2.89gを得た。
【0036】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1650cm-1(ア
ミドC=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族
C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、
1500、1300、1170、820cm-1に一般式
(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンが
みられ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認され
た。反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素
原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約10%であっ
た。また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)
=0.4であった。得られたポリアニリン誘導体1gを
N−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌す
るとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能であ
った。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に24
時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は1.0S
/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドンの
代わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロ
エタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、m−ク
レゾール等の有機溶剤を用いても同様のゲル化が可能で
あった。
【0037】実施例2 両末端にアミノ基を有するポリアミド化合物は、以下の
ようにして合成した。3,3′−オキシジプロピオン酸
とヘキサン−1,6−ジアミンを1.00:1.50の
モル比で反応させた。末端アミノ基の量は2.01であ
った。これを塩化トリメリト酸無水物と反応させて、両
末端に酸無水物構造を有するポリアミド化合物を得た。
平均分子量は2100であった。(W1 =W2 =カルボ
ン酸無水物、A3 =>C6 3 −CO−、A4 =−CO
−C6 3 <) このもの4.610gをとり、還元型ポリアニリン1g
をN−メチル−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液
に加え、6時間40℃で反応させて、本発明のポリアニ
リン誘導体5.412gを得た。
【0038】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1650cm-1(ア
ミドC=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族
C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、
1500、1300、1170、820cm-1に一般式
(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンが
みられ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認され
た。反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素
原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約38%であっ
た。また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)
=0.40であった。得られたポリアニリン誘導体1g
をN−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌
するとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能で
あった。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に2
4時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は0.0
4S/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリド
ンの代わりに、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジ
クロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、
m−クレゾール等の有機溶剤を用いても同様のゲル化が
可能であった。
【0039】実施例3 プロピレンジアミンと4,4′−エチレンジオキシ安息
香酸とから、実施例2におけると同様の方法で、両末端
にアミノ基を有するポリアミド化合物を得た。この末端
アミノ基をエピクロロヒドリンと反応させて、両末端に
エポキシ基を有するポリアミド化合物を得た。平均分子
量は3100であった。(W1 =W2 =エポキシ基、A
3 =A4 =メチレン基) このもの3.402gをとり、還元型ポリアニリン1g
をN−メチル−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液
に加え、6時間40℃で反応させて、本発明のポリアニ
リン誘導体4.342gを得た。
【0040】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1650cm-1(ア
ミドC=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族
C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、
1500、1300、1170、820cm-1に一般式
(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンが
みられ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認され
た。反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素
原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約19%であっ
た。また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)
=0.48であった。得られたポリアニリン誘導体1g
をN−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌
するとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能で
あった。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に2
4時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は0.1
S/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドン
の代わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロ
ロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、m−
クレゾール等の有機溶剤を用いても同様のゲル化が可能
であった。
【0041】実施例4 PEO二酸(平均分子量1000)とヘキサン1,6−
ジアミンを1.00:1.00のモル比反応させて、末
端カルボキシル基数1.0および末端アミノ基数1.0
を有するポリアミド化合物を得た。このポリアミド化合
物をホスゲンで処理して、末端をそれぞれクロロホルミ
ル化およびイソシアナート化した。平均分子量は450
0であった。(W1 =COCl、W2 =NCO、A3
−CH2O(CH2 CH2 O)p CH2 −CO−、A4
=−CO−CH2 O(CH2 CH2 O)p CH2 −CO
NH−(CH2 6 −、ただしp=18〜20) このもの0.494gをとり、還元型ポリアニリン1g
をN−メチル−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液
に加え、6時間40℃で反応させて、本発明のポリアニ
リン誘導体1.432gを得た。
【0042】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1650cm-1(ア
ミドC=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族
C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、
1500、1300、1170、820cm-1に一般式
(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンが
みられ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認され
た。反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素
原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約2%であっ
た。また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)
=0.49であった。得られたポリアニリン誘導体1g
をN−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌
するとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能で
あった。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に2
4時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は1.7
S/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドン
の代わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロ
ロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、m−
クレゾール等の有機溶剤を用いても同様のゲル化が可能
であった。
【0043】実施例5 PEO二酸(平均分子量400)とヘキサン−1,6−
ジアミンを1.00:1.50のモル比で反応させた。
これをベンゼンスルホニルクロリドと反応させて、末端
をスルホニルクロリド基に変換した。平均分子量は32
50であった。(W1 =W2 =SO2 Cl、A3 =−C
6 4 −SO2 −、A4 =−SO2 −C6 4 −) このもの1.784gをとり、還元型ポリアニリン1g
をN−メチル−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液
に加え、6時間40℃で反応させて、本発明のポリアニ
リン誘導体2.610gを得た。
【0044】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1640cm-1(ア
ミドC=O構造)、1351cm-1および1176cm
-1(S(=O)2 伸縮)、2850〜2950cm
-1(脂肪族C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、
1600、1500、1300、1170、820cm
-1に一般式(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収
パターンがみられ、主鎖がポリアニリン構造であること
が確認された。反応収率から、式(II)の架橋構造に関
与する窒素原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約1
0%であった。また、13C NMRスペクトルよりm/
(n+m)=0.48であった。得られたポリアニリン
誘導体1gをN−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、
室温で攪拌するとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム
化が可能であった。さらに、このフィルムを20%塩酸
水溶液に24時間つけてドープし乾燥したところ、導電
率は0.4S/cmであった。また、N−メチル−2−
ピロリドンの代わりにN,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロホル
ム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフ
ラン、m−クレゾール等の有機溶剤を用いても同様のゲ
ル化が可能であった。
【0045】実施例6 実施例1におけると同様にして、デカメチレンジアミン
とオキシジプロピオン酸から両末端にカルボキシル基を
有するポリアミド化合物を合成した。平均分子量は33
00であった。(W1 =W2 =COOH、A3 =−(C
2 2 O(CH2 2 −CO−、A4 =−CO−(C
2 2 O(CH2 2 −) このもの1.818gをとり、N−メチル−2−ピロリ
ドン10mlに溶解し、さらにジシクロヘキシルカルボ
ジイミド0.4gを加え、1時間攪拌した。得られた溶
液を、還元型ポリアニリン1gをN−メチル−2−ピロ
リドン30mlに溶解した溶液に加え、6時間40℃で
反応させて、本発明のポリアニリン誘導体2.702g
を得た。
【0046】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1650cm-1(ア
ミドC=O構造)、2850〜2950cm-1(脂肪族
C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、
1500、1300、1170、820cm-1に一般式
(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンが
みられ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認され
た。反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素
原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約10%であっ
た。また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)
=0.47であった。得られたポリアニリン誘導体1g
をN−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌
するとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能で
あった。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に2
4時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は0.7
S/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドン
の代わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロ
ロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、m−
クレゾール等の有機溶剤を用いても同様のゲル化が可能
であった。
【0047】
【発明の効果】本発明のポリアニリン誘導体は、種々の
有機溶剤に溶解またはゲル化可能であり、容易に加工す
ることが可能であり、可撓性のある自立性のフィルムや
ファイバー等の成形品を得ることができる。そして、こ
れら成形品は、ドーピングにより高い導電率を示すの
で、本発明のポリアニリン誘導体は、電子材料、導電材
料等、種々の用途に非常に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、mおよびnは0以上の整数を意味し、m/(n
    +m)=0〜1、m+n=10〜5000である。)で
    示される構造単位よりなる数平均分子量2000〜50
    0000のポリアニリンを主鎖とし、該主鎖が下記式
    (II) 【化2】 [式中、RPは下記式(III )で示される平均分子量2
    00〜100,000のポリアミド鎖を表わし、 【化3】 (式中、RP1 は炭素数1〜30の二価の非芳香族系炭
    化水素基を表わし、RP2 はエーテルまたはポリエーテ
    ル構造を有する炭素数2〜60の二価の基またはそのハ
    ロゲン若しくはアルコキシ置換体を表わし、kは1〜5
    00の整数を表わす。)A1 は下記式(1)〜(9)か
    ら選択された連結基を表わし、 【化4】 (式中、Rは直接結合、炭素数1〜30の2価の炭化水
    素基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換体(た
    だし、Mは水素原子、Li、Na、K、Cs、Rbまた
    はNH4 を表わす。)を表わし、Xは酸素原子または硫
    黄原子を表わし、Yは酸素原子、硫黄原子またはNHを
    表わし、Bは炭素数1〜30の炭化水素基または炭素数
    1〜30のアルコキシ基を表わし、pは0〜2の整数を
    意味する。)、A2 は下記式(1′)〜(9′)から選
    択された連結基を表わし、 【化5】 (式中、R、X、Y、Bおよびpは、上記したと同意義
    を有する。)よりなる群から選択された基を表わす。]
    で示される架橋構造を形成してなり、該架橋構造に関与
    する窒素原子の数が、主鎖のポリアニリンの窒素原子の
    0.01〜50%であることを特徴とするポリアニリン
    誘導体。
  2. 【請求項2】 アニリン酸化重合体をアンモニアで処理
    して得た可溶性アニリン重合体を、過剰のヒドラジンで
    処理して、イミノ−1,4−フェニレンを構造単位とす
    る数平均分子量2000〜500000の還元型ポリア
    ニリンを製造し、次いで、下記式(IV) W1 −A3 −RP−A4 −W2 (IV) [式中、W1 およびW2 は、それぞれ下記式(a)〜
    (h)から選択された官能基を表わし、 【化6】 (式中、Halは、ハロゲン原子を表わし、X、Y、B
    およびpは前記と同意義を有する。)、A3 は、直接結
    合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはそのハロ
    ゲン置換体、−R−C(=X)−、−R−NH−C(=
    X)−または−R−SOp −(ただし、R、Xおよびp
    は前記と同意義を有する。)を表わし、A4 は、直接結
    合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはそのハロ
    ゲン置換体、−C(=X)−R−、−C(=X)−NH
    −R−または−SOp −R−(ただし、R、Xおよびp
    は前記と同意義を有する。)を表わし、ただしW1 およ
    びW2 が式(c)の分子内カルボン酸無水物基を表わす
    場合には、A3 およびA4 は、それぞれ>R1 −C(=
    O)−または−C(=O)−R1 <を表わし(ただし、
    1 は炭素数1〜30の3価の炭化水素基を表わ
    す。)、また、RPは上記と同意義を有する。]で示さ
    れる両末端に芳香族第2アミンと反応する官能基を有す
    るポリアミド化合物と反応させることを特徴とする請求
    項1に記載のポリアニリン誘導体の製造方法。
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