JP3281433B2 - ポリアニリン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

ポリアニリン誘導体およびその製造方法

Info

Publication number
JP3281433B2
JP3281433B2 JP02712093A JP2712093A JP3281433B2 JP 3281433 B2 JP3281433 B2 JP 3281433B2 JP 02712093 A JP02712093 A JP 02712093A JP 2712093 A JP2712093 A JP 2712093A JP 3281433 B2 JP3281433 B2 JP 3281433B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyaniline
group
carbon atoms
polymer
hydrocarbon group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02712093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06220192A (ja
Inventor
修 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tomoegawa Paper Co Ltd filed Critical Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority to JP02712093A priority Critical patent/JP3281433B2/ja
Publication of JPH06220192A publication Critical patent/JPH06220192A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3281433B2 publication Critical patent/JP3281433B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶剤に可溶または
ゲル化可能であり、可撓性のある自立性のフィルム形成
することができるポリアニリン誘導体およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリアニリンは、新しい電子材
料、導電材料として、電池の電極材料、帯電防止材料、
電磁波遮蔽材料、光電子変換素子、光メモリー、各種セ
ンサー等の機能素子、表示素子、各種ハイブリッド材
料、透明導電体、各種端末機器など、広い分野への応用
が検討されている。しかしながら、一般にポリアニリン
は、π共役系が高度に発達しているため、高分子主鎖が
剛直で、分子鎖間の相互作用が強く、また分子鎖間に強
固な水素結合が数多く存在するため、ほとんど有機溶剤
に不溶であり、また加熱によっても溶融しないので、成
形性に乏しく、フィルム化等の加工ができないという大
きな欠点を有している。
【0003】そのために、例えば、高分子材料の繊維、
多孔質体等の所望の形状の基材にモノマーを含浸させ、
このモノマーを適当な重合触媒との接触により、或い
は、電解酸化により重合させ、導電性複合材料にした
り、或いはまた、熱可塑性重合体粉末の存在下で、モノ
マーを重合させ、同様の複合材料を得ていた。これに対
して、重合触媒と反応温度の工夫により、N−メチル−
2−ピロリドンのみに可溶なポリアニリンが合成されて
いる(M.Abe et al.;J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,1989,173
6)。しかしながら、このポリアニリンも、その他の汎
用有機溶剤に殆ど溶解せず、その適用範囲が限られてい
た。また、種々のアニリンの誘導体を利用して、有機溶
剤に可溶なポリアニリン誘導体も合成されているが、充
分に可撓性を有するフィルムを与えることはできなかっ
た。一方、高分子化合物は、もしもゲル化が可能であれ
ば、ゲル延伸やゲル紡糸、ゲル形成等の技術を用いて加
工することが可能であることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実情に鑑みてなされたものであ
る。すなわち、本発明の目的は、有機溶剤に可溶または
ゲル化可能であり、可撓性のある自立性のフィルムや繊
維を形成することができるポリアニリン誘導体およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解決すべく鋭意検討した結果、還元型ポリアニリンと両
末端に芳香族第2アミンと反応する官能基を有するポリ
尿素化合物とを反応させることにより、架橋構造を有
し、有機溶剤に可溶またはゲル化可能で、可撓性のある
自立性のフィルムを形成することができるポリアニリン
誘導体が得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0006】本発明のポリアニリン誘導体は、下記式
(I)
【化7】 (式中、mおよびnは0以上の整数を意味し、m/(n
+m)=0〜1、m+n=10〜5000である。)で
示される構造単位よりなる数平均分子量2000〜50
0000のポリアニリンを主鎖とし、該主鎖が下記式
(II)
【化8】
【0007】[式中、RPは下記式(III )で示される
平均分子量100〜100000のポリ尿素鎖を表わ
し、
【化9】 (式中、RP1 およびRP2 は、その一方が炭素数1〜
30の二価の非芳香族系炭化水素基またはそのハロゲン
またはアルコキシカルボニル置換体を表わし、他方が炭
素数6〜30の芳香族系炭化水素基を表わし、そしてk
は1〜500の整数を表わす。)A1 は下記式(1)〜
(10)から選択された連結基を表わし、
【0008】
【化10】 (式中、Rは直接結合、炭素数1〜30の2価の炭化水
素基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換体(た
だし、Mは水素原子、Li、Na、K、Cs、Rbまた
はNH4 を表わす。)を表わし、Xは酸素原子または硫
黄原子を表わし、Yは酸素原子、硫黄原子またはNHを
表わし、Bは炭素数1〜30の炭化水素基または炭素数
1〜30のアルコキシ基を表わし、RP2 は上記と同意
義を有し、pは0〜2の整数を意味する。)、A2 は下
記式(1′)〜(10′)から選択された連結基を表わ
し、
【0009】
【化11】 (式中、R、X、Y、B、RP2 およびpは、上記した
と同意義を有する。) よりなる群から選択された基を表わす。] で示される架橋構造を形成してなり、該架橋構造に関与
する窒素原子の数が、主鎖のポリアニリンの窒素原子の
0.01〜50%であることを特徴とする。
【0010】本発明のポリアニリン誘導体の製造方法
は、アニリン酸化重合体をアンモニアで処理して得た可
溶性アニリン重合体を、過剰のヒドラジンで処理して、
イミノ−1,4−フェニレンを構造単位とする数平均分
子量2000〜500000の還元型ポリアニリンを製
造し、次いで、下記式(IV) W1 −A3 −RP−A4 −W2 (IV)
【0011】[式中、W1 およびW2 は、それぞれ下記
式(a)〜(h)から選択された官能基を表わし、
【化12】 (式中、Halは、ハロゲン原子を表わし、X、Y、B
およびpは前記と同意義を有する。)、A3 は、直接結
合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはそのハロ
ゲン置換体、−R−C(=X)−、−R−NH−C(=
X)−、−R−SOp −または−RP2 −NHCO−
(ただし、R、X、RP2 およびpは前記と同意義を有
する。)を表わし、A4 は、直接結合、炭素数1〜30
の2価の炭化水素基またはそのハロゲン置換体、−C
(=X)−R−、−C(=X)−NH−R−、−SOp
−R−または−CONH−RP2 −(ただし、R、X、
RP2 およびpは前記と同意義を有する。)を表わし、
ただしW1 およびW2 が式(c)の分子内カルボ1酸無
水物基を表わす場合には、A3 およびA4 は、それぞれ
>R1 −C(=O)−または−C(=O)−R1 <を表
わし(ただし、R1 は炭素数1〜30の3価の炭化水素
基を表わす。)、また、RPは上記と同意義を有す
る。]で示される両末端に芳香族第2アミンと反応する
官能基を有するポリ尿素化合物と反応させることを特徴
とする。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のポリアニリン誘導体は、上記式(II)で示される
架橋構造を有することを特徴としているが、上記式(I
I)で示される架橋構造に関与する窒素原子の数は、ポ
リアニリンの窒素原子の0.01〜50%の範囲にある
ことが必要である。架橋構造に関与する窒素原子の数が
50%よりも高い比率になると、生成するポリアニリン
誘導体は導電性が低下し、同時に有機溶剤に対し溶解も
ゲル化もしにくくなり、加工性にも問題が生じる。ま
た、0.01%よりも小さいと、溶解性はポリアニリン
と大差ないものになってしまう。
【0013】上記式(II)で示される架橋構造におい
て、連結基A1 は、式(1)〜(10)から選択された
ものであり、連結基A2 は、式(1′)〜(10′)か
ら選択されたものであって、これらの連結基は、溶解性
や製膜性も含め、本発明のポリアニリン誘導体の物性に
影響を与えるものではない。連結基中のRは、連結基
が、式(1)、(7)、(1′)および(7′)を示す
場合は、直接結合、炭素数1〜30の2価の炭化水素
基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換体であ
り、連結基がその他の場合は、炭素数1〜30の2価の
炭化水素基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換
体であるのが好ましい。炭素数1〜30の2価の炭化水
素基について、さらに具体的に述べれば、例えば、メチ
レン、エチレン、トリメチレン、ヘキサメチレン、プロ
ピレン等の直鎖および分枝鎖脂肪族炭化水素基、フェニ
レン等の芳香族炭化水素基、2,2−ジフェニルトリメ
チレン等の芳香環を含む炭化水素基をあげることができ
る。
【0014】また、RPは、下記式(III)
【化13】 で示される平均分子量100〜100000のポリ尿素
鎖を表わすが、式中、RP1 およびRP2 は、その一方
が、メチレン、エチレン、トリメチレン、ヘキサメチレ
ン、デカメチレン、プロピレン、シクロヘキシレン等の
直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水
素基等、炭素数1〜30の二価の非芳香族系炭化水素基
またはそのハロゲンまたはアルコキシカルボニル置換体
を表わし、他方が、1,2−フェニレン、1,3−フェ
ニレン、1,4−フェニレン、2,6−トリレン、2,
4−トリレン、キシリレン、ナフチレン、3,3′−ジ
メチル−4、4′−ビフェニリレン、ジフェニルメタン
−4,4′−ジイル等の炭素数6〜30の二価の芳香族
系炭化水素基またはそのハロゲンまたはアルコキシカル
ボニル置換体を表わす。具体的には、次のものを例示す
ることができる。
【0015】例えば、p−フェニレンジアミンとエチレ
ンジイソシアナートとの重合体、p−フェニレンジアミ
ンとトリメチレンジイソシアナートとの重合体、p−フ
ェニレンジアミンとテトラメチレンジイソシアナートと
の重合体、p−フェニレンジアミンとオクタメチレンジ
イソシアナートとの重合体、p−フェニレンジアミンと
デカメチレンジイソシアナートとの重合体、p−フェニ
レンジアミンとウンデカメチレンジイソシアナートとの
重合体、m−フェニレンジアミンとエチレンジイソシア
ナートとの重合体、m−フェニレンジアミンとトリメチ
レンジイソシアナートとの重合体、m−フェニレンジア
ミンとテトラメチレンジイソシアナートとの重合体、m
−フェニレンジアミンとヘキサメチレンジイソシアナー
トとの重合体、m−フェニレンジアミンとオクタメチレ
ンジイソシアナートとの重合体、m−フェニレンジアミ
ンとデカメチレンジイソシアナートとの重合体、m−フ
ェニレンジアミンとウンデカメチレンジイソシアナート
との重合体、m−フェニレンジアミンとリジンジイソシ
アナートとの重合体、エチレンジアミンとトリレンジイ
ソシアナートとの重合体、テトラメチレンジアミンとト
リレンジイソシアナートとの重合体、ペンタメチレンジ
アミンとトリレンジイソシアナートとの重合体、ヘキサ
メチレンジアミンとトリレンジイソシアナートとの重合
体、ヘプタメチレンジアミンとトリレンジイソシアナー
トとの重合体、オクタメチレンジアミンとトリレンジイ
ソシアナートとの重合体、ノナメチレンジアミンとトリ
レンジイソシアナートとの重合体、デカメチレンジアミ
ンとトリレンジイソシアナートとの重合体、ウンデカメ
チレンジアミンとトリレンジイソシアナートとの重合
体、エチレンジアミンとフェニレンジイソシアナートと
の重合体、テトラメチレンジアミンとフェニレンジイソ
シアナートとの重合体、ペンタメチレンジアミンとフェ
ニレンジイソシアナートとの重合体、ヘキサメチレンジ
アミンとフェニレンジイソシアナートとの重合体、ヘプ
タメチレンジアミンとフェニレンジイソシアナートとの
重合体、オクタメチレンジアミンとフェニレンジイソシ
アナートとの重合体、ノナメチレンジアミンとフェニレ
ンジイソシアナートとの重合体、デカメチレンジアミン
とフェニレンジイソシアナートとの重合体、ウンデカメ
チレンジアミンとフェニレンジイソシアナートとの重合
体、エチレンジアミンとビフェニレンジイソシアナート
との重合体、テトラメチレンジアミンとビフェニレンジ
イソシアナートとの重合体、ペンタメチレンジアミンと
ビフェニレンジイソシアナートとの重合体、ヘキサメチ
レンジアミンとビフェニレンジイソシアナートとの重合
体、ヘプタメチレンジアミンとビフェニレンジイソシア
ナートとの重合体、オクタメチレンジアミンとビフェニ
レンジイソシアナートとの重合体、ノナメチレンジアミ
ンとビフェニレンジイソシアナートとの重合体、デカメ
チレンジアミンとビフェニレンジイソシアナートとの重
合体、ウンデカメチレンジアミンとビフェニレンジイソ
シアナートとの重合体、ヘキサメチレンジアミンとジフ
ェニルメタンジイソシアナートとの重合体、デカメチレ
ンジアミンとジフェニルメタンジイソシアナートとの重
合体、ヘキサメチレンジアミンとキシリレンジイソシア
ナートとの重合体、デカメチレンジアミンとキシリレン
ジイソシアナートとの重合体等のポリ尿素オリゴマーを
あげることができる。
【0016】本発明において、式(II)で示される架橋
構造の具体例として、下記式(II−1)〜(II−4)で
示されるものをあげることができる。
【化14】 (式中、A5 は炭素数1〜10のアルキレン基、アルケ
ニレン基またはフェニレン基を表わし、A6 は炭素数1
〜8のアルキレンを表わし、RPは、前記と同意義を有
する。)
【0017】本発明のポリアニリン誘導体は、次のよう
にして製造される。すなわち、過硫酸アンモニウム等を
酸化剤として用いて、アニリンを低温、例えば−20〜
50℃の範囲の温度で酸化重合することによって得たア
ニリン酸化重合体を、まず、アンモニアで処理して、可
溶型ポリアニリンを得る。その後、可溶型ポリアニリン
を過剰のヒドラジンで処理して、イミノ−1,4−フェ
ニレン構造を構造単位とする数平均分子量2000〜5
00000[GPC(N−メチル−2−ピロリドン溶
媒)で測定、ポリスチレン換算の数平均分子量]の還元
型のポリアニリンを得る。ヒドラジン処理は、可溶型の
ポリアニリンを水またはメタノールに分散し、ポリアニ
リン中の窒素原子に対して当量以上、好ましくは3倍以
上のヒドラジンを窒素雰囲気下で加え、24時間以上、
0〜30℃で攪拌することにより行う。なお、還元型ポ
リアニリンは、典型的には式(I)におけるn=0のも
のであるが、上記反応中、雰囲気に微量に存在する酸素
により、或いは反応後、空気にさらされることにより酸
化されて、m:nが1:1に近付く場合もある。
【0018】得られた還元型ポリアニリンは、N−メチ
ル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルアセトアミ
ドに可溶であるが、他の汎用有機溶剤、たとえばクロロ
ホルム或いはテトラヒドロフランには殆ど不溶である。
本発明において、上記ポリアニリン主鎖の数平均分子量
が2000よりも低くなると、最終的に形成されるポリ
アニリン誘導体から可撓性のある自立性のフィルムやフ
ァイバーを得ることが困難になり、また500000を
越えると、溶剤に対する溶解性或いは膨潤性が十分でな
くなり、キャストやゲル延伸等の加工性の点で好ましく
なくなる。
【0019】この還元型ポリアニリンに上記架橋構造を
導入するには、前記式(IV)で示される両末端に芳香族
第2アミンと反応する官能基(W1 )(W2 )を有する
ポリ尿素化合物が用いられる 本発明の主眼となる点は、ポリアニリン主鎖を適当なポ
リ尿素よりなる架橋鎖で架橋することにあり、架橋鎖と
ポリアニリン主鎖の連結部分、すなわち、A1およびA
2 の構造は、溶解性や製膜性も含め、本発明の誘導体の
物性に大きな影響を与えるものではない。したがって、
架橋鎖の両末端は、第2級の芳香族アミンと反応する官
能基によって連結されていればよい。一方、ポリ尿素鎖
が非芳香族系炭化水素のみよりなると、耐薬品性や耐熱
性が低下し、芳香族系炭化水素のみよりなると、溶解
性、膨潤性が低下すると言う問題がある。したがって、
本発明においては、ポリ尿素鎖を構成するRP1 及びR
2 の両者が同時に非芳香族系炭化水素基、または芳香
族系炭化水素基を示す場合は除かれる。
【0020】上記式(IV)におけるポリ尿素化合物の末
端官能基(W1 、W2 )としては、具体的には、ハロゲ
ン原子、カルボキシル基、ハロホルミル基、イソシアナ
ート基、イソチオシアナート基、スルフィニルハライド
基、スルフェニルハライド基、スルホニルハライド基、
オキシラン環、アジリジン環、チイラン環、ホスフィニ
ルハライド基、チオホスフィニルハライド基および分子
内環状カルボン酸無水物基等をあげることができる。ま
た、A3 、A4 で表わされる基において、炭素数1〜3
0の炭化水素基としては、メチレン、エチレン、トリメ
チレン、ヘキサメチレン、プロピレン等の直鎖および分
枝鎖脂肪族炭化水素基、フェニレン等の芳香脂肪族炭化
水素基および2,2−ジフェニルトリメチレン等の芳香
環を含む炭化水素基等をあげることができる。なお、R
Pについては、前記例示したものがあげられる。
【0021】両末端に芳香族第2アミンと反応する官能
基を有する上記式(IV)で示されるポリ尿素化合物とし
ては、例えば、ジイソシアナート成分を過剰にして縮合
した両末端にイソシアナート基を有するポリ尿素化合
物、ジアミン成分を過剰にしてジイソシアナート化合物
またはジウレタン化合物と縮合して得られた両末端にア
ミノ基を有するポリ尿素系化合物の末端アミノ基を芳香
族第2アミンと反応する官能基に変換することによって
得られるポリ尿素化合物、あるいはほぼ当量のジアミン
とジイソシアナートの縮合により得られたポリ尿素化合
物の両末端のイソシアナート基およびアミノ基を、芳香
族第2アミンと反応する官能基に変換することによって
得られるポリ尿素化合物等があげられる。
【0022】例えば、次の化合物があげられる。ジアミ
ン成分を過剰にして縮合したポリ尿素化合物を出発物質
とし、その末端アミノ基をトリメリト酸無水物またはハ
ロゲン化トリメリト酸無水物と反応させて末端を環状の
酸無水物構造にしたもの、過剰のジイソシアナートと反
応させて末端をイソシアナート構造にしたもの、過剰の
ジイソチオシアナートと反応させて末端をイソチオシア
ナート構造にしたもの、ジスルフィニルハライド、ジス
ルフェニルハライド、ジスルホニルハライド、ジハライ
ドの各々と反応させて、それぞれ末端をスルフィニルハ
ライド、スルフェニルハライド、スルホニルハライド、
またはハロゲン化物構造にしたもの、エピハロヒドリン
の如きエポキシ環を有するハロゲン化物と反応させて、
末端をエポキシ構造にしたもの、末端に二重結合を有す
るハロゲン化炭化水素、例えば、ハロゲン化アリル、ま
たは末端に二重結合を有するカルボン酸、例えば、アリ
ル酢酸と反応させて、末端に二重結合をもつ構造にした
後、これを酸化してエポキシ環構造にしたもの、ホスゲ
ンで処理してアミノ基をイソシアナート基に変換したも
の等があげられる。
【0023】本発明において、上記式(IV)で示される
ポリ尿素化合物の具体例としては、下記式(IV−1)〜
(IV−4)で示される化合物を例示することができる。
【化15】 (式中、A6 およびRPは、前記したと同意義を有す
る。)
【0024】還元型ポリアニリンと、両末端に芳香族第
2アミンと反応する官能基(W1 、W2 )を有する上記
式(IV)で示されるポリ尿素化合物との反応は、上記還
元型ポリアニリンのアミド系溶液に、両末端に芳香族第
2アミンと反応する官能基を有するポリ尿素化合物また
はそれを有機溶剤に溶解した溶液を加え、窒素気流下で
1〜48時間、−10〜80℃の温度の範囲で攪拌を続
ける。必要に応じて、ピリジンまたはトリエチルアミ
ン、ジエチルアニリン等の第3級アミンを加えて反応を
行ってもよい。反応混合物をアルコールまたは水中に注
ぎ込み、生成したポリマーを沈殿させる。得られたポリ
マーをさらにアンモニア水で処理することによって、本
発明のポリアニリン誘導体を製造することができる。
【0025】なお、末端官能基がカルボキシル基(a)
の場合は、以下のような経路を経て本発明のポリアニリ
ン誘導体を得ることができる。両末端にカルボキシル基
を有するポリ尿素のアミド系溶液に、末端カルボキシル
基と当量以上のN,N′−二置換カルボジイミド類を−
10〜10℃に冷却しながら加え、1〜4時間、その温
度で攪拌を続けた後、上記の還元型ポリアニリンを加
え、ゆっくりと室温に戻しながら、さらに1〜48時間
攪拌を続ける。反応混合物をアルコール中に注ぎ込み、
生成したポリマーを沈殿させる。得られたポリマーをさ
らにアンモニア水で処理することにより、本発明のポリ
アニリン誘導体を製造することができる。
【0026】ここで使用されるN,N′−二置換カルボ
ジイミド類は、下記構造式(V) R′−N=C=N−R″ (V) (式中、R′およびR″は、同一または異なっていても
よく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、3−ジメ
チルアミノプロピル基等の置換または非置換アルキル
基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、フェニル
基、p−トリル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニ
ル基、p−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基、
p−シアノフェニル基等の置換または非置換アリール基
等を表わす。)で示される化合物であり、より具体的に
は、ジエチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジ
イミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニル
カルボジイミド、ジ−p−トリルカルボジイミド、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド等があげられる。
【0027】また、末端のカルボン酸基をハロホルミル
基に変換し、上記方法によって本発明のポリアニリン誘
導体を製造することができる。この末端のカルボン酸基
のハロホルミル基への変換は、一般式(IV)で示される
ポリ尿素化合物であるジカルボン酸、そのジカルボン酸
のエステル(メチル、エチル等の低級アルコールエステ
ル)またはそのジカルボン酸の塩(アルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩等)から、以下の方法により容易に実施可
能である。
【0028】すなわち、ジカルボン酸からは、該ジカル
ボン酸に対し、塩化ホスホリル、塩化チオニル、五塩化
リン、三塩化リン等の無機ハロゲン化合物を当量以上加
え、ベンゼン等の不活性溶媒中で反応させて、本発明に
用いる両末端にハロホルミル基を有するポリ尿素化合物
を得ることができる。この場合、塩化亜鉛、ピリジン、
よう素、トリエチルアミン等を触媒として加えてもよ
い。また、同じくジカルボン酸から、そのジカルボン酸
に対し、塩化ベンゾイル、フタル酸塩化物、シュウ酸塩
化物等の酸ハロゲン化物、α,α−ジハロゲノエーテル
類、ハロゲン化アルキルアミン類、トリフェニルホスフ
ィン/四塩化炭素、ピロカテキルホスホ三塩化物、ジエ
チルハロホスホ塩化物、トリフェニルハロホスホ臭素物
等の有機リンハロゲン化物等の有機ハロゲン化物を加
え、ベンゼン、クロロベンゼン等の不活性な溶媒中で反
応させて得ることもできる。
【0029】ジカルボン酸エステルからは、そのジカル
ボン酸エステルに対し、トリフェニルハロホスホハロゲ
ン化物またはそのフッ化ホウ素との錯体を用いて、本発
明に用いる両末端にハロホルミル基を有するポリ尿素化
合物を得ることができる。ジカルボン酸塩からは、その
ジカルボン酸塩に対し、塩化ホスホリル、五塩化リン等
の無機ハロゲン化合物や塩化チオニルとジメチルホルム
アミドの錯体を用いて、本発明に用いる両末端にハロホ
ルミル基を有するポリ尿素化合物を得ることができる。
これらの他にも、カルボン酸基をハロホルミル基に変換
することができる反応であれば如何なる方法を用いても
よく、それにより本発明に用いる両末端にハロホルミル
基を有するポリ尿素化合物を得ることができる。
【0030】本発明で使用されるアミド系溶剤として
は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメ
チルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン等があげられる。
【0031】本発明のポリアニリン誘導体は、その製造
中にポリアニリン主鎖の長さが変化することはない。さ
らに、m/(n+m)の値は、得られた本発明のポリア
ニリン誘導体を酸化或いは還元することにより制御する
ことができる。すなわち、酸化剤を用いて、或いは電気
化学的に本発明のポリアニリン誘導体を酸化すれば、m
の値が増加し、還元剤を用いて、或いは電気化学的に本
発明のポリアニリン誘導体を還元すれば、mの値が減少
する。なお、m/(n+m)は、13C NMRスペクト
ルのキノイド構造由来のピーク(ケミカルシフト138
ppm/TMS)とベンゼノイド由来のピーク(ケミカ
ルシフト122ppm/TMS)とのそれぞれの強度比
から決定することができる。
【0032】上記のようにして製造された本発明のポリ
アニリン誘導体は、N−メチル−2−ピロリドン或いは
N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロ
ロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロゲ
ン化炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系
溶剤、ピリジン等のアミン系溶剤、ジメチルスルホキシ
ド等の極性溶剤で溶解またはゲル化可能である。この溶
液またはゲルから、自立性のフィルム或いはファイバー
を製造することが可能である。さらに、このフィルムや
ファイバー等の加工物は、アクセプター性のドーパント
でドープすることにより、10-3〜10S/cmの高い
導電率を示す。
【0033】ここで使用されるドーパントは、特に制限
されるものではなく、アニリン系導電性高分子のドープ
に際し、ドーパントとして使用されるものであれば、何
如なるものでも使用することができる。具体例をあげれ
ば、ヨウ素、臭素、塩素、三塩化よう素等のハロゲン化
合物、硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸塩、ホウフッ化水素
酸等のプロトン酸、前記プロトン酸の各種塩、三塩化ア
ルミニウム、三塩化鉄、塩化モリブデン、塩化アンチモ
ン、五フッ化砒素等のルイス酸、酢酸、トルフルオロ酢
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の
有機酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリエチレンカルボ
ン酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸等の高
分子酸等、各種の化合物をあげることができる。これら
の化合物をドープさせる方法については、特に制限はな
く、公知のあらゆる方法が可能である。一般には、ポリ
アニリンの誘導体、そのゲルまたはその成形加工物とド
ーパント化合物とを接触させればよく、気相或いは液相
中で行うことができる。或いは、上記プロトン酸やその
塩の溶液中で電気化学的にドープする方法を用いること
もできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 アニリン4.1gおよび濃塩酸21.9gを水に溶かし
て100mlとし、−5℃に冷却した。一方、濃塩酸2
1.9gおよび過硫酸アンモニウム6.28gを水に溶
かし100mlとした。この溶液を−10℃に冷却した
後、上記のアニリン溶液にゆっくりと滴下し、−10℃
で6時間撹拌を続けた。こうして得られた数平均分子量
12000(GPC、N−メチル−2−ピロリドン溶媒
中で測定、ポリスチレン換算の数平均分子量)のアニリ
ン酸化重合体を、水で充分に洗浄した後、アンモニア水
で脱ドープ処理を行なった。得られた可溶型ポリアニリ
ンを200mlの水に分散し、窒素雰囲気下で50ml
のヒドラジンを加え、24時間室温で撹拌を続け、瀘
別、乾燥して灰白色の還元型ポリアニリン(数平均分子
量12000、m+n=約130)を得た。こうして得
られた還元型ポリアニリン1gを窒素気流下でN−メチ
ル−2−ピロリドン30mlに完全に溶解させた。
【0035】一方、両末端にイソシアナート基を有する
ポリ尿素化合物は、以下のようにして合成した。ヘキサ
メチレンジイソシアナートとp−フェニレンジアミンを
1.05:1.00のモル比で反応させた。末端イソシ
アナート基の量は2.01、平均分子量は2000であ
った。(W1 =W2 =NCO、A3 =−(CH2 6
NHCO−、A4 =−CONH−(CH2 6 −)この
もの1.098gをN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)に溶解し、次いで、上記の還元型ポリアニリンのア
ミド系溶液を加え、ゆっくりと室温に戻しながら、さら
に6時間攪拌を続けた。反応混合物をアルコール中に注
ぎ込み、生成したポリマーを沈殿させた。得られたポリ
マーをさらにアンモニア水で処理して、本発明のポリア
ニリン誘導体2.011gを得た。
【0036】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、1650cm-1(C=O伸
縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H伸縮)
の吸収が認められた。さらに、1600、1500、1
300、1170、820cm-1に一般式(I)で示さ
れるポリアニリンに特有の吸収パターンがみられ、主鎖
がポリアニリン構造であることが確認された。反応収率
から、式(II)の架橋構造に関与する窒素原子の数は、
ポリアニリンの窒素原子の約9%であった。また、13
NMRスペクトルよりm/(n+m)=0.48であ
った。得られたポリアニリン誘導体1gをN−メチル−
2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌するとゲル化
し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能であった。さら
に、このフィルムを20%塩酸水溶液に24時間つけて
ドープし乾燥したところ、導電率は0.9S/cmであ
った。また、N−メチル−2−ピロリドンの代わりに
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロエタン、
ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤を用
いても同様のゲル化が可能であった。
【0037】実施例2 両末端にアミノ基を有するポリ尿素化合物は、以下のよ
うにして合成したオクタメチレンジイソシアナートとキ
シリレンジアミンを1.00:1.50のモル比で反応
させた。末端イソシアナート基の量は0.01であり、
平均分子量は2500であった。これを塩化トリメリト
酸無水物と反応させて、両末端に酸無水物構造を有する
ポリ尿素化合物を得た。平均分子量は2800であっ
た。(W1=W2 =カルボン酸無水物、A3 =>C6
3 −CO−、A4 =−CO−C6 3 <)このもの6.
146gをとり、還元型ポリアニリン1gをN−メチル
−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液に加え、6時
間40℃で反応させて、本発明のポリアニリン誘導体
7.052gを得た。
【0038】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、1650cm-1(アミドC
=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H
伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、150
0、1300、1170、820cm-1に一般式(I)
で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンがみら
れ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認された。
反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素原子
の数は、ポリアニリンの窒素原子の約40%であった。
また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)=
0.42であった。得られたポリアニリン誘導体1gを
N−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌す
るとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能であ
った。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に24
時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は0.00
8S/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリド
ンの代わりに、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジ
クロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等
の有機溶剤を用いても同様のゲル化が可能であった。
【0039】実施例3 デカメチレンジアミンとトリレンジイソシアナートとか
ら、実施例2におけると同様の方法で、両末端にアミノ
基を有するポリ尿素化合物を得た。これをエピクロロヒ
ドリンと反応させて、両末端にエポキシ基を有するポリ
尿素化合物を得た。平均分子量は1300であった。
(W1 =W2 =エポキシ基、A3 =A4 =メチレン基)
このもの1.427gをとり、還元型ポリアニリン1g
をN−メチル−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液
に加え、8時間40℃で反応させて、本発明のポリアニ
リン誘導体2.212gを得た。
【0040】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、1650cm-1(アミドC
=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H
伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、150
0、1300、1170、820cm-1に一般式(I)
で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンがみら
れ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認された。
反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素原子
の数は、ポリアニリンの窒素原子の約18%であった。
また、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)=
0.47であった。得られたポリアニリン誘導体1gを
N−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌す
るとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能であ
った。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に24
時間つけてドープし乾燥したところ、導電率は0.7S
/cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドンの
代わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロ
エタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機
溶剤を用いても同様のゲル化が可能であった。
【0041】実施例4 実施例2におけると同様にしてノナメチレンジアミンと
ビフェニレンジイソシアナートより合成した両末端にア
ミノ基を有するポリ尿素化合物を、無水コハク酸と反応
させ、次いでオキシ塩化リンで処理して、末端をクロロ
ホルミル化した。平均分子量は1900であった。(W
1 =W2 =COCl、A3 =−C(=O)CH2 CH2
−、A4 =−CH2 CH2 C(=O)−)このもの0.
230gをとり、還元型ポリアニリン1gをN−メチル
−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液に加え、6時
間40℃で反応させて、本発明のポリアニリン誘導体
1.212gを得た。
【0042】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、1650cm-1(アミドC
=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H
伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、150
0、1300、1170、820cm-1に一般式(I)
で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンがみら
れ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認された。
反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素原子
の数は、ポリアニリンの窒素原子の約2%であった。ま
た、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)=0.
48であった。得られたポリアニリン誘導体1gをN−
メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌すると
溶解し、キャストによるフィルム化が可能であった。さ
らに、このフィルムを20%塩酸水溶液に24時間つけ
てドープし乾燥したところ、導電率は1.8S/cmで
あった。また、N−メチル−2−ピロリドンの代わりに
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロエタン、
ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤を用
いても同様の加工が可能であった。
【0043】実施例5 両末端にアミノ基を有するポリ尿素化合物を以下のよう
にして合成した。すなわち、キシリレンジイソシアナー
トとウンデカメチレンジアミンを1.00:1.30の
モル比で反応させた。末端イソシアナート基の量は0.
01であり、平均分子量は2560であった。この両末
端にアミノ基を有するポリ尿素をベンゼンジスルホニル
クロリドと反応させて、末端をスルホニルクロリド基に
変換した。平均分子量は3200であった。(W1 =W
2 =SO2 Cl、A3 =−C6 4 −SO2 −、A4
−SO2 −C6 4 −)このもの1.756gをとり、
還元型ポリアニリン1gをN−メチル−2−ピロリドン
30mlに溶解した溶液に加え、6時間40℃で反応さ
せて、本発明のポリアニリン誘導体2.612gを得
た。
【0044】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、1351cm-1および11
76cm-1(S(=O)2 伸縮)、2850〜2950
cm-1(脂肪族C−H伸縮)の吸収が認められた。さら
に、1600、1500、1300、1170、820
cm-1に一般式(I)で示されるポリアニリンに特有の
吸収パターンがみられ、主鎖がポリアニリン構造である
ことが確認された。反応収率から、式(II)の架橋構造
に関与する窒素原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の
約9%であった。また、13C NMRスペクトルよりm
/(n+m)=0.49であった。得られたポリアニリ
ン誘導体1gをN−メチル−2−ピロリドン5gに入
れ、室温で攪拌すると溶解し、キャストによるフィルム
化が可能であった。さらに、このフィルムを20%塩酸
水溶液に24時間つけてドープし乾燥したところ、導電
率は0.08S/cmであった。また、N−メチル−2
−ピロリドンの代わりにN,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロ
ホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒド
ロフラン等の有機溶剤を用いても同様の加工が可能であ
った。
【0045】実施例6 両末端にアミノ基を有するポリ尿素化合物を以下のよう
にして合成した。すなわち、トリレンジアミンとデカメ
チレンジウレタンとを1.30:1.00のモル比で反
応させた。末端アミノ基の量は2.01であり、平均分
子量は2200であった。この両末端にアミノ基を有す
るポリ尿素を塩化トリメリト酸無水物と反応させて両末
端に酸無水物構造を有するポリ尿素化合物を得た。平均
分子量は2500であった。(W1 =W2 =カルボン酸
無水物、A3 =>C6 3 −CO−、A4 =−CO−C
6 3 <)このもの6.860gをとり、還元型ポリア
ニリン1gをN−メチル−2−ピロリドン30mlに溶
解した溶液に加え、16時間40℃で反応させて、本発
明のポリアニリン誘導体7.722gを得た。
【0046】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、2850〜2950cm-1
(脂肪族C−H伸縮)の吸収が認められた。さらに、1
600、1500、1300、1170、820cm-1
に一般式(I)で示されるポリアニリンに特有の吸収パ
ターンがみられ、主鎖がポリアニリン構造であることが
確認された。反応収率から、式(II)の架橋構造に関与
する窒素原子の数は、ポリアニリンの窒素原子の約50
%であった。また、13C NMRスペクトルよりm/
(n+m)=0.41であった。得られたポリアニリン
誘導体1gをN−メチル−2−ピロリドン5gに入れ、
室温で攪拌するとゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム
化が可能であった。さらに、このフィルムを20%塩酸
水溶液に24時間つけてドープし乾燥したところ、導電
率は0.005S/cmであった。また、N−メチル−
2−ピロリドンの代わりにN,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロ
ホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒド
ロフラン等の有機溶剤を用いても同様のゲル化が可能で
あった。
【0047】実施例7 実施例1と同様にして、m−フェニレンジアミンとリジ
ンジイソシアナートから、両末端にイソシアナート基を
有するポリ尿素化合物を合成した。平均分子量は190
0であった。(W1 =W2 =NCO、A3 =−(C
2 4 CH(COOCH3 )NHCO−、A4 =−C
ONHCH(COOCH3 )(CH2 4 −)このもの
1.043gをとり、還元型ポリアニリン1gをN−メ
チル−2−ピロリドン30mlに溶解した溶液に加え、
6時間40℃で反応させて、本発明のポリアニリン誘導
体1.979gを得た。
【0048】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の架橋構造に起因する1660cm-1(−
NH−CO−NH−構造)、1650cm-1(アミドC
=O伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H
伸縮)の吸収が認められた。さらに、1600、150
0、1300、1170、820cm-1に一般式(I)
で示されるポリアニリンに特有の吸収パターンがみら
れ、主鎖がポリアニリン構造であることが確認された。
反応収率から、式(II)の架橋構造に関与する窒素原子
の数は、ポリアニリンの窒素原子の約9%であった。ま
た、13C NMRスペクトルよりm/(n+m)=0.
47であった。得られたポリアニリン誘導体1gをN−
メチル−2−ピロリドン5gに入れ、室温で攪拌すると
ゲル化し、紡糸や延伸によるフィルム化が可能であっ
た。さらに、このフィルムを20%塩酸水溶液に24時
間つけてドープし乾燥したところ、導電率は1.8S/
cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドンの代
わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロエ
タン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機溶
剤を用いても同様のゲル化が可能であった。
【0049】
【発明の効果】本発明のポリアニリン誘導体は、種々の
有機溶剤に可溶またはゲル化可能であり、容易に加工す
ることが可能であり、可撓性のある自立性のフィルムや
ファイバー等の成形品を得ることができる。そして、こ
れら成形品は、ドーピングにより高い導電率を示すの
で、本発明のポリアニリン誘導体は、電子材料、導電材
料等、種々の用途に非常に有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、mおよびnは0以上の整数を意味し、m/(n
    +m)=0〜1、m+n=10〜5000である。) で示される構造単位よりなる数平均分子量2000〜5
    00000のポリアニリンを主鎖とし、該主鎖が下記式
    (II) 【化2】 [式中、RPは下記式(III )で示される平均分子量1
    00〜100000のポリ尿素鎖を表わし、 【化3】 (式中、RP1 およびRP2 は、その一方が、炭素数1
    〜30の二価の非芳香族系炭化水素基またはそのハロゲ
    ンまたはアルコキシカルボニル置換体を表わし、他方が
    炭素数6〜30の二価の芳香族系炭化水素基またはその
    ハロゲンまたはアルコキシカルボニル置換体を表わし、
    そしてkは1〜500の整数を表わす。)A1 は下記式
    (1)〜(10)から選択された連結基を表わし、 【化4】 (式中、Rは直接結合、炭素数1〜30の2価の炭化水
    素基、またはそのハロゲンまたは−COOM置換体(た
    だし、Mは水素原子、Li、Na、K、Cs、Rbまた
    はNH4 を表わす。)を表わし、Xは酸素原子または硫
    黄原子を表わし、Yは酸素原子、硫黄原子またはNHを
    表わし、Bは炭素数1〜30の炭化水素基または炭素数
    1〜30のアルコキシ基を表わし、RP2 は上記したと
    同意義を有し、pは0〜2の整数を意味する。)、 A2 は下記式(1′)〜(10′)から選択された連結
    基を表わし、 【化5】 (式中、R、X、Y、B、RP2 およびpは、上記した
    と同意義を有する。) よりなる群から選択された基を表わす。] で示される架橋構造を形成してなり、該架橋構造に関与
    する窒素原子の数が、主鎖のポリアニリンの窒素原子の
    0.01〜50%であることを特徴とするポリアニリン
    誘導体。
  2. 【請求項2】 アニリン酸化重合体をアンモニアで処理
    して得た可溶性アニリン重合体を、過剰のヒドラジンで
    処理して、イミノ−1,4−フェニレンを構造単位とす
    る数平均分子量2000〜500000の還元型ポリア
    ニリンを製造し、次いで、下記式(IV) W1 −A3 −RP−A4 −W2 (IV) [式中、W1 およびW2 は、それぞれ下記式(a)〜
    (h)から選択された官能基を表わし、 【化6】 (式中、Halは、ハロゲン原子を表わし、X、Y、B
    およびpは前記と同意義を有する。)、A3 は、直接結
    合、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはそのハロ
    ゲン置換体、−R−C(=X)−、−R−NH−C(=
    X)−、−R−SOp −または−RP2 −NHCO−
    (ただし、R、X、RP2 およびpは前記と同意義を有
    する。)を表わし、A4 は、直接結合、炭素数1〜30
    の2価の炭化水素基またはそのハロゲン置換体、−C
    (=X)−R−、−C(=X)−NH−R−、−SOp
    −R−または−CONH−RP2 −(ただし、R、X、
    RP2 およびpは前記と同意義を有する。)を表わし、
    ただしW1 およびW2 が式(c)の分子内カルボン酸無
    水物基を表わす場合には、A3 およびA4 は、それぞれ
    >R1 −C(=O)−または−C(=O)−R1 <を表
    わし(ただし、R1 は炭素数1〜30の3価の炭化水素
    基を表わす。)、また、RPは上記と同意義を有す
    る。]で示される両末端に芳香族第2アミンと反応する
    官能基を有するポリ尿素化合物と反応させることを特徴
    とする請求項1に記載のポリアニリン誘導体の製造方
    法。
JP02712093A 1993-01-25 1993-01-25 ポリアニリン誘導体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3281433B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02712093A JP3281433B2 (ja) 1993-01-25 1993-01-25 ポリアニリン誘導体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02712093A JP3281433B2 (ja) 1993-01-25 1993-01-25 ポリアニリン誘導体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06220192A JPH06220192A (ja) 1994-08-09
JP3281433B2 true JP3281433B2 (ja) 2002-05-13

Family

ID=12212206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02712093A Expired - Fee Related JP3281433B2 (ja) 1993-01-25 1993-01-25 ポリアニリン誘導体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3281433B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06220192A (ja) 1994-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3281433B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP3281434B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP3105677B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP3105676B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP3137469B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP3129541B2 (ja) ポリアニリン誘導体及びその製造方法
JP2727040B2 (ja) ポリアニリン誘導体の製造方法
JP3129543B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP2683995B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH06256509A (ja) ポリアニリン−ポリエーテルブロック共重合体およびその製造方法
JP2992150B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP2683996B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH06220191A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH0718073A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH06256511A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP2612524B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP2992149B2 (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH06166749A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP2909853B2 (ja) ポリアニリン誘導体及びその製造方法
JP2909852B2 (ja) ポリアニリン誘導体及びその製造方法
JPH06107788A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH06107787A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JP2961631B2 (ja) ポリアニリン誘導体及びその製造方法
JPH06107790A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法
JPH06256510A (ja) ポリアニリン誘導体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020212

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080222

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090222

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090222

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100222

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees