JP2909853B2 - ポリアニリン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

ポリアニリン誘導体及びその製造方法

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶剤で膨潤可能で
あり、可撓性のある自立性のフィルムやファイバーを形
成することが可能なポリアニリン誘導体及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリアニリンは、新しい電子材
料、導電材料として、電池の電極材料、帯電防止材料、
電磁波遮蔽材料、光電子変換素子、光メモリー、各種セ
ンサー等の機能素子、表示素子、各種ハイブリッド材
料、透明導電体、各種端末機器などの広い分野への応用
が検討されている。しかしながら、一般にポリアニリン
は、π共役系が高度に発達しているため、高分子主鎖が
剛直で分子鎖間の相互作用が強く、また分子鎖間に強固
な水素結合が数多く存在するため、殆どの有機溶剤に不
溶であり、また加熱によっても溶融しないので成形性に
乏しく、フィルム化等の加工ができないという大きな欠
点を有している。したがって、例えば、高分子材料の繊
維、多孔質体などの所望の形状の基材にモノマーを含浸
させ、このモノマーを適当な重合触剤と接触させること
により、或いは、電解酸化により重合させて導電性複合
材料を作製したり、或いはまた、熱可塑性重合体粉末の
存在下でモノマーを重合させて導電性複合材料を得てい
た。
【0003】これに対して、重合触媒と反応温度の工夫
によりN−メチル−2−ピロリドンのみに可溶なポリア
ニリンが合成されている(M.Abe et al.;
J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,
1989,1736)。しかしながら、このポリアニリ
ンもその他の汎用有機溶剤には殆ど溶けず、適応範囲が
限られていた。また、様々なアニリンの誘導体を利用し
て有機溶剤に可溶なポリアニリン誘導体を合成すること
も行われているが、充分に可撓性を有するフィルムを形
成することはできなかった。一方、高分子化合物がゲル
化可能であれば、ゲル延伸やゲル紡糸、ゲル成型等の技
術を用いて加工することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような問題を解決することを目的とする
ものである。即ち、本発明の目的は、架橋に関与する窒
素原子の数が増加しても、有機溶剤で膨潤可能であり、
可撓性のある自立性のフィルムやファイバーを形成する
ことが可能なポリアニリン誘導体及びその製造方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解決すべく鋭意検討した結果、ポリアニリンと、両末端
にカルボキシル基又はハロホルミル基を有する1,4−
ポリブタジエンとを反応させることにより、有機溶剤で
膨潤可能であり、可撓性のある自立性フィルムやファイ
バーを形成することが可能な、架橋構造を有するポリア
ニリン誘導体が得られることを見いだし、本発明を完成
するに至った。本発明のポリアニリン誘導体は、下記式
(I)
【0006】
【化5】
【0007】(式中、mおよびnは、それぞれ2以上の
整数であって、m/n=0.01〜100、m+n=1
0〜5000である。)で示される構造単位よりなる数
平均分子量2,000〜500,000のポリアニリン
を主鎖とし、該主鎖に下記式(II)
【0008】
【化6】
【0009】〔式中、Xは下記式(III) で示される1,
4−ポリブタジエン構造を示す。 −(CH2 CH=CHCH2 k − (III) (kは5〜400の整数である。)〕で示される架橋構
造が形成されたものであって、該架橋構造に関与する窒
素原子の数がポリアニリンの窒素原子の15〜40%で
あることを特徴とする。
【0010】本発明のポリアニリン誘導体は、アニリン
酸化重合体をアンモニアで処理して可溶型アニリン重合
体とし、ついで過剰のヒドラジンで処理して得られた下
記式(IV)
【0011】
【化7】
【0012】(nは10〜5000の整数である。)で
示される構造単位よりなる数平均分子量2,000〜5
00,000の還元型ポリアニリンを、(1)下記式
(V) HOOC−X−COOH (V) 〔式中、Xは下記式(III) で示される1,4−ポリブタ
ジエン構造を示す。 −(CH2 CH=CHCH2 k − (III) (kは5〜400の整数である。)〕で示される両末端
にカルボキシル基を有する高分子化合物と、その高分子
化合物に対して当量以上のN,N′−二置換カルボジイ
ミド類の存在下で反応させるか、または、(2)下記式
(VI) YOC−X−COY (VI) 〔式中、Xは下記式(III) で示される1,4−ポリブタ
ジエン構造を示し、 −(CH2 CH=CHCH2 k − (III) (k=5〜400の整数である)、Yは塩素又は臭素を
示す。〕で示される両末端にハロホルミル基を有する高
分子化合物と反応させることにより、製造することがで
きる。
【0013】本発明のポリアニリン誘導体の製造方法に
ついて、さらに説明すると、まず、上記式(I)で示さ
れる数平均分子量2,000〜500,000の還元型
のポリアニリンは次のようにして得られる。即ち、過硫
酸アンモニウム等を酸化剤として用いて、アニリンを低
温、例えば、−20〜50℃の範囲の温度で酸化重合す
ることによって得られたアニリン酸化重合体を、まずア
ンモニアで処理して可溶型ポリアニリンを得る。その
後、これを過剰のヒドラジンで処理する。ヒドラジン処
理は、可溶型のポリアニリンを水に分散し、ポリアニリ
ン中の窒素原子に対して当量以上、好ましくは3倍以上
のヒドラジンを窒素雰囲気下で加え、24時間以上、0
〜30℃で撹拌することにより行うことができる。この
ようにして得られた上記式(I)で示される数平均分子
量2,000〜500,000の還元型ポリアニリン
は、N−メチル−2−ピロリドンあるいはN,N−ジメ
チルアセトアミドに可溶であるが、他の汎用有機溶剤、
たとえば、クロロホルムやテトラヒドロフランには不溶
である。
【0014】次に、上記式(V)で示される両末端にカ
ルボキシル基を有する高分子化合物とその高分子化合物
に対して当量以上のN,N′−二置換カルボジイミド類
とを用いて、または、上記一般式(VI)で示される両末
端にハロホルミル基を有する高分子化合物を用いて、上
記のようにして得られた還元型のポリアニリンを架橋さ
せる。即ち、上記式(V)で示される両末端にカルボキ
シル基を有する高分子化合物をピリジンに溶解し、これ
その高分子化合物に対して当量以上のN,N−二置換
カルボジイミド類を−10〜10℃に冷却しながら加
え、1〜4時間その温度で撹拌を続け、次いで上記還元
型ポリアニリンのアミド系溶液を加え、ゆっくりと室温
に戻しながら更に1〜24時間撹拌を続ける。反応混合
物を希塩酸中に注ぎ込み、生成したポリマーを沈澱させ
る。このポリマーは塩酸でドープされているので、アン
モニア水で脱ドープ処理することにより、目的とする本
発明のポリアニリン誘導体を製造することができる。
【0015】或いは、上記式(VI)で示される両末端にハ
ロホルミル基を有する高分子化合物をクロロホルムに溶
解し、還元型ポリアニリンのアミド系溶液にゆっくりと
滴下し、室温で1〜24時間撹拌を続ける。反応混合物
を希塩酸中に注ぎ込み、生成したポリマーを沈澱させ
る。このポリマーは塩酸でドープされているので、アン
モニア水で脱ドープ処理することにより、目的とする本
発明のポリアニリン誘導体を製造することができる。ま
た、架橋反応終了後に、酸化剤または還元剤を存在さ
せ、或いは電気化学的に酸化または還元することによ
り、生成するポリアニリン誘導体のm/nの比率を適宜
の値に調整することができる。なお、m/nの値は、13
C NMRスペクトルのキノイド構造由来のピーク(ケ
ミカルシフト 138ppm/TMS(テトラメチルシ
ラン))の強度と、ベンゼノイド構造由来のピーク(ケ
ミカルシフト 122ppm/TMS)の比から求める
ことができる。
【0016】上記の場合、アミド系溶剤としては、N−
メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホス
ホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン等が使用できる。
【0017】本発明において用いる上記式(V)で示さ
れる両末端にカルボキシル基を有する高分子化合物は、
重合度5〜400の1,4−ポリブタジエン構造を有す
るジカルボン酸であって、具体的には、Hycar C
TB(グッドリッチ社製)等があげられる。
【0018】本発明で用いる上記一般式(VI)で示され
る両末端にハロホルミル基を有する高分子化合物は、上
記一般式(V)で示されるジカルボン酸、またはそのジ
カルボン酸のエステル(メチル、エチル等の低級アルコ
ールのエステル)、またはそのジカルボン酸の塩(アル
カリ金属塩、アンモニウム塩等)から容易に誘導するこ
とができる。
【0019】即ち、ジカルボン酸からは、該ジカルボン
酸に対し、塩化ホスホリル、塩化チオニル、五塩化リ
ン、三塩化リン等の無機ハロゲン化合物を当量以上加
え、ベンゼン、クロロベンゼン等の不活性溶媒中で反応
させることにより得ることができる。この場合、塩化亜
鉛、ピリジン、ヨウ素、トリエチルアミン等を触媒とし
て加えてもよい。或いは、同じくジカルボン酸から、該
ジカルボン酸に対して等モル量以上の、塩化ベンゾイ
ル、フタル酸塩化物、シュウ酸塩化物等の酸ハロゲン化
物、α,α−ジハロゲノエーテル類、ハロゲン化アルキ
ルアミン類、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、ピ
ロカテキルホスホ三塩化物、ジエチルハロホスホ塩化
物、トルフェニルハロホスホ臭化物等の有機リンハロゲ
ン化物等を用いて、不活性な溶媒中で反応させればよ
い。ジカルボン酸エステルからは、該ジカルボン酸エス
テルに対して等モル量以上のトルフェニルハロホスホハ
ロゲン化物またはそのフッ化ホウ素との錯体を用いて、
反応させることにより、両末端にハロホルミル基を有す
る高分子化合物を得ることができる。
【0020】カルボン酸塩からは、該ジカルボン酸塩に
対して等モル量以上の塩化ホスホリル、五塩化リン等の
無機ハロゲン化合物や塩化チオニルとジメチルホルムア
ミドの錯体を用いて、両末端にハロホルミル基を有する
高分子化合物を得ることができる。これらの他にも、カ
ルボキシル基をハロホルミル基に変換することができる
反応であれば、如何なるものでも利用することができ、
それにより上記一般式(VI)で示される両末端にハロホ
ルミル基を有する高分子化合物を得ることができる。
【0021】本発明で使用されるN,N−二置換カルボ
ジイミド類は、下記式(VII)で示される。 R′−N=C=N−R″ (VII) (式中、R′およびR″は、それぞれ、置換または非置
換アルキル基、シクロアルキル基、または置換または非
置換アリール基を示す。) R′及びR″は、同じでも異なってもよく、例えばメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n
−ブチル基、t−ブチル基、3−ジメチルアミノプロピ
ル基等のアルキル基、シクロヘキオシル基等の環状アル
キル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p
−N,N−ジメチルアミノフェニル基、p−クロロフェ
ニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基
等のアリール基等があげられる。
【0022】具体的には、ジエチルカルボジイミド、ジ
イソプロピルカルボジイミド、ジシクロカルボジイミ
ド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−p−トリルカルボ
ジイミド、1−エチル−3−(3′−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミド等があげられる。
【0023】本発明のポリアニリン誘導体において、式
(II)で示される架橋構造に関与する窒素原子の数は、
ポリアニリンの窒素原子の15〜40%であることが必
要である。架橋構造に関与する窒素原子の数が、ポリア
ニリンの窒素原子の40%よりも高い比率になると、ポ
リアニリン誘導体が膨潤しなくなり、ゲルの調製に問題
が生じるようになる。また、15%より低くなると、ポ
リアニリン誘導体が有機溶剤に溶解してしまい、ゲルと
して充分なゲル強度のものが得られない。
【0024】上記のようにして製造された本発明のポリ
アニリン誘導体は、N−メチル−2−ピロリドンあるい
はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ク
ロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロ
ゲン化炭化水素溶剤や、テトラヒドロフラン等のエーテ
ル系溶剤、ピリジン等のアミン系溶剤、ジメチルスルホ
キシド等の極性溶剤に溶解可能である。この溶液から、
自立性のフィルムやファイバーを製造することが可能で
ある。さらに、このフィルムやファイバー等の加工物
は、アクセプター性のドーパントでドープするにより、
10-3〜10S/cmの高い導電率を示すものになる。
【0025】ここで使用されるドーパントは、特に制限
されるものではなく、アニリン系導電性高分子のドープ
に際し、ドーパントとして使用されるものであれば、如
何なるものでも使用することができる。具体例をあげれ
ば、ヨウ素、臭素、塩素、三塩化ヨウ素等のハロゲン化
合物、硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸
等のプロトン酸、前記プロトン酸の各種塩、三塩化アル
ミニウム、三塩化鉄、塩化モリブデン、塩化アンチモ
ン、五フッ化ヒ素等のルイス酸、酢酸、トリフルオロ酢
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の
有機酸等各種の化合物をあげることができる。
【0026】これらの化合物をドープさせる方法につい
ては、特に制限はなく、公知のあらゆる方法が適用可能
である。一般には、ポリアニリン誘導体のゲル、または
その成形加工物とドーパント化合物とを接触させればよ
く、気相或いは液相で中で行うことができる。あるい
は、上記プロトン酸やその塩の溶液中で電気化学的にド
ープする方法を用いることもできる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 アニリン4.1gおよび濃塩酸21.9gを水に溶かし
て100mlとし、−5℃に冷却した。一方、濃塩酸2
1.9gおよび過硫酸アンモニウム6.28gを水に溶
かし100mlとした。この溶液を−10℃に冷却した
後、上記のアニリン溶液にゆっくりと滴下し、−10℃
で6時間撹拌を続けた。こうして得られた数平均分子量
22,000(GPC、N−メチル−2−ピロリドン溶
媒中で測定、ポリスチレン換算の数平均分子量)のアニ
リン酸化重合体を、水で充分に洗浄した。次いでアンモ
ニア水で脱ドープ処理を行ない、可溶型ポリアニリンを
得た。得られた可溶型ポリアニリンを200mlの水に
分散し、窒素雰囲気下で50mlのヒドラジンを加え、
24時間室温で撹拌を続け、瀘別、乾燥して灰白色の還
元型ポリアニリンを得た。こうして得られた還元型ポリ
アニリン(数平均分子量12,000)1gをN−メチ
ル−2−ピロリドン30mlに完全に溶解させた。
【0028】一方、両末端にカルボキシル基を有する
1,4−ポリブタジエンである、Hycar CTB
(分子量約3,600、グッドリッチ(Goodric
h)社製)3.94gを30mlのピリジンに溶解し、
0℃に冷却した。ジシクロヘキシルカルボジイミド0.
2266gを加え、1時間0℃で撹拌を続けた。この反
応混合物に、上記還元型ポリアニリンの溶液を加え、徐
々に室温に戻しながら、6時間反応を続けた。得られた
溶液を1リットルの希塩酸に撹拌しながら投入し、乾燥
して、本発明のポリアニリン誘導体を4.78gを得
た。
【0029】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の構造に起因する1645cm-1(C=O
伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H伸
縮)の吸収が認められた。更に、1600、1500、
1300、1170、820cm-1に一般式(I)のポ
リアニリンに特有の吸収パターンがみられ、主鎖がポリ
アニリン構造であることが確認された。また、m/n=
0.34、m+n=130であった。反応収率から式
(II)の架橋構造に関与する窒素原子の数は、ポリアニ
リン中の窒素原子の19%であった。
【0030】得られたポリアニリン誘導体1gをN−メ
チル−2−ピロリドン9gに入れてゲル化し、非常に可
撓性のあるフィルムやファイバーを作製した。更に、こ
のフィルムやファイバーを20%硫酸水溶液に24時間
つけてドープし乾燥したところ、導電率は0.01S/
cmであった。また、N−メチル−2−ピロリドンのか
わりにN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロエ
タン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機溶
剤を用いても同様のゲル化が可能であった。
【0031】実施例2 実施例1で、両末端にカルボキシル基を有する1,4−
ポリブタジエンである、Hycar CTB(分子量約
3,600、グッドリッチ社製)7.88g、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド0.9064gを用いて、以下
同様の手順で本発明のポリアニリン誘導体を8.77g
を得た。赤外吸収スペクトルを測定したところ、前述の
式(II)の構造に起因する1645cm-1(C=O伸
縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H伸縮)
の吸収が認められた。更に、1600、1500、13
00、1170、820cm-1に一般式(I)のポリア
ニリンに特有の吸収パターンがみられ、主鎖がポリアニ
リン構造であることが確認された。また、m/n=0.
21、m+n=130であった。反応収率から式(II)
の架橋構造に関与する窒素原子の数は、ポリアニリンの
窒素原子の40%であった。
【0032】得られたポリアニリン誘導体1gをN−メ
チル−2−ピロリドン20gに入れてゲル化し、非常に
可撓性のあるフィルムやファイバーを作製した。更に、
このフィルムを20%硫酸水溶液に24時間つけてドー
プし乾燥したところ、導電率は0.001S/cmであ
った。また、N−メチル−2−ピロリドンのかわりに
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロエタン、
ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤を用
いても同様の加工が可能であった。
【0033】実施例3 両末端にカルボキシル基を有する1,4−ポリブタジエ
ンである、HycarCTB(分子量約3,600、グ
ッドリッチ社製)3.94gを20mlの脱水したベン
ゼンに溶解し、塩化オキサリル0.58gを加えて70
℃で3時間反応させた。溶媒等を減圧除去し、粘稠な液
体を得る。末端基がクロロホルミル化されたことは、赤
外吸収スペクトルの変化で確認した(カルボキシル基由
来の1740cm-1付近の吸収が消え、新たにクロロホ
ルミル基由来の1792cm-1の吸収が生じた)。これ
を10mlの脱水したクロロホルムに溶解し、窒素機流
下でN−メチル−2−ピロリドン30mlに完全に溶解
した還元型ポリアニリン1gの溶液にゆっくりと滴下
し、4時間室温で反応させた。この溶液を1リットルの
希塩酸に撹拌しながら投入し、沈澱物を瀘別し、更にア
ンモニア蒸気に曝し水洗してハロゲン化水素を除去し、
乾燥して、本発明のポリアニリン誘導体を4.57gを
得た。
【0034】赤外吸収スペクトルを測定したところ、前
述の式(II)の構造に起因する1645cm-1(C=O
伸縮)、2850〜2950cm-1(脂肪族C−H伸
縮)の吸収が認められた。更に、1600、1500、
1300、1170、820cm-1に一般式(I)のポ
リアニリンに特有の吸収パターンがみられ、主鎖がポリ
アニリン構造であることが確認された。また、m/n=
0.35、m+n=130であった。反応収率から式
(II)の架橋に関与する窒素原子の数は、ポリアニリン
の窒素原子の約18%であった。
【0035】得られたポリアニリン誘導体1gをN−メ
チル−2−ピロリドン9gに入れ、室温で溶解し、注型
によって非常に可撓性のあるフィルムが得られた。更
に、このフィルムを20%硫酸水溶液に24時間つけて
ドープし乾燥したところ、導電率は0.09S/cmで
あった。また、N−メチル−2−ピロリドンのかわりに
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ピリジン、クロロホルム、ジクロロエタン、
ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤を用
いても同様の加工が可能であった。
【0036】
【発明の効果】本発明のポリアニリン誘導体は、種々の
有機溶剤で膨潤可能であり、得られたゲルは容易に加工
可能であって、可撓性のある自立性のフィルムやファイ
バーを得ることができる。そして形成されたフィルムや
ファイバーは、ドーピングにより、高い導電率を示すの
で、本発明のポリアニリン誘導体は、電子材料、導電材
料等、種々の用途に非常に有用である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、mおよびnは、それぞれ2以上の整数であっ
    て、m/n=0.01〜100、m+n=10〜500
    0である。)で示される構造単位よりなる数平均分子量
    2,000〜500,000のポリアニリンを主鎖と
    し、該主鎖に下記式(II) 【化2】 〔式中、Xは下記式(III) で示される1,4−ポリブタ
    ジエン構造を示す。 −(CH2 CH=CHCH2 k − (III) (kは5〜400の整数である。)〕で示される架橋構
    造が形成されたものであって、該架橋構造に関与する窒
    素原子の数がポリアニリンの窒素原子の15〜40%で
    あることを特徴とするポリアニリン誘導体。
  2. 【請求項2】 アニリン酸化重合体をアンモニアで処理
    して可溶型アニリン重合体とし、ついで過剰のヒドラジ
    ンで処理して得られた下記式(IV) 【化3】 (nは10〜5000の整数である。)で示される構造
    単位よりなる数平均分子量2,000〜500,000
    の還元型ポリアニリンを、下記式(V) HOOC−X−COOH (V) 〔式中、Xは下記式(III) で示される1,4−ポリブタ
    ジエン構造を示す。 −(CH2 CH=CHCH2 k − (III) (kは5〜400の整数である。)〕で示される両末端
    にカルボキシル基を有する高分子化合物と、該高分子化
    合物に対して当量以上のN,N′−二置換カルボジイミ
    ド類の存在下で反応させることを特徴とする請求項1に
    記載のポリアニリン誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 アニリン酸化重合体をアンモニアで処理
    して可溶型アニリン重合体とし、ついで過剰のヒドラジ
    ンで処理して得られた下記式(IV) 【化4】 (nは10〜5000の整数)で示される構造単位より
    なる数平均分子量2,000〜500,000の還元型
    ポリアニリンを、下記式(VI) YOC−X−COY (VI) 〔式中、Xは下記式(III) で示される1,4−ポリブタ
    ジエン構造を示し、 −(CH2 CH=CHCH2 k − (III) (kは5〜400の整数である)、Yは塩素又は臭素を
    示す。〕で示される両末端にハロホルミル基を有する高
    分子化合物と反応させることを特徴とする請求項1に記
    載のポリアニリン誘導体の製造方法。
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