JPH06279548A - 含フッ素エラストマー - Google Patents

含フッ素エラストマー

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JPH06279548A
JPH06279548A JP5275693A JP27569393A JPH06279548A JP H06279548 A JPH06279548 A JP H06279548A JP 5275693 A JP5275693 A JP 5275693A JP 27569393 A JP27569393 A JP 27569393A JP H06279548 A JPH06279548 A JP H06279548A
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Keiichi Toda
圭一 戸田
Kenichi Hayashi
憲一 林
Hiroshi Saito
廣 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 含フッ素エラストマーは、ビニリデンフルオ
ライド単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを所定割
合で有し、場合により所定量以下のテトラフルオロエチ
レン単位を含有し、さらに結合ヨウ素を含有する組成を
有し、分子量分布が多ピーク型で、所定極限粘度数をも
ち、この極限粘度数に対する低分子量重合体量比の割合
及び重量平均分子量と数平均分子量との比が所定範囲に
ある。 【効果】 上記エラストマーは、加硫時にその結合ヨウ
素の末端が脱離し、ポリマーは不飽和化合物を介して末
端で連結し、加硫剤でポリマー鎖間が架橋され、低分子
量成分から高分子量成分まで充分に加硫され高強度でか
つ強度と伸びのバランスに優れた加硫物を与え、加硫物
は架橋密度の向上で圧縮永久歪が改善され、耐溶剤性、
耐化学薬品性も改善され、しかも加工性に優れ、加硫物
性に優れ、ロール粘着がなく、作業効率が良く、生産性
に優れるエラストマー配合物としうるので、燃料ホース
や自動車のエンジン回りの部品用の材料として好適。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な含フッ素エラスト
マー、さらに詳しくいえば特に耐化学薬品性や耐溶剤性
が要求される燃料ホース、フィラーホース、バルブ、O
‐リングなどの材料として好適に用いられる含フッ素エ
ラストマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】含フッ素エラストマーは、耐熱性、耐溶
剤性、耐薬品性などが優れていることから、特に過酷な
条件下で使用されるO‐リング、オイルシール、パッキ
ン、ガスケットなどのシール材やダイヤフラムとして広
く使用されている。
【0003】しかしながら、近年、利用分野によって
は、押出加工性、型流れ性のような成形加工性に対する
要求が益々高まるとともに、これまでの含フッ素エラス
トマーでは、これらの要求に対応しきれなくなってきて
いる。
【0004】また、従来の含フッ素エラストマーは、こ
れを加硫する場合に、分子量の高い成分と低い成分とで
加硫の難易性があり、均一な加硫物が得られないという
欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低分子量成
分も高分子量成分も、充分に加硫することができ、しか
も良好な成形加工性、特に押出加工性を有する含フッ素
エラストマーを提供することを目的としてなされたもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、加工性が
改善された含フッ素エラストマーを開発するために種々
検討を重ねた結果、特定の組成を有すると共に、特定の
分子量分布に関する条件を満たしたものが、優れた加工
性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明をな
すに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(イ)ビニリデンフ
ルオライド単位、(ロ)ヘキサフルオロプロピレン単位
及び場合により(ハ)35重量%以下のテトラフルオロ
エチレン単位から成り、かつ(イ)単位と(ロ)単位の
重量比が40:60ないし80:20で、結合ヨウ素を
含有し、(A)分子量分布が多ピーク型であること、
(B)極限粘度数が60〜130ml/gであること、
(C)分子量5万以下の低分子量重合体の重量%で表わ
した量比(M5)と極限粘度数[η]の比M5/[η]が
0.15〜0.60であること、及び(D)重量平均分子
量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが4
以上8未満であることを特徴とする含フッ素エラストマ
ーを提供するものである。
【0008】本発明の含フッ素エラストマーは、ビニリ
デンフルオライド単位(以下VdF単位と略記する)
と、ヘキサフルオロプロピレン単位(以下HFPと略記
する)とを必須構成単位とし、場合によりさらにテトラ
フルオロエチレン単位(以下TFE単位と略記する)を
含むものであって、VdF単位とHFP単位の割合が重
量比で40:60ないし80:20の範囲にあることが
必要である。VdF単位がこれよりも少ない場合は重合
速度が著しく低下する上に高分子量の重合体を得ること
が困難になるし、またこれよりも多い場合には、得られ
る含フッ素エラストマーが樹脂状になり弾性が低下す
る。
【0009】この含フッ素エラストマーは、VdF単位
とHFP単位に加えてさらにTFE単位を含むことがで
きるが、この場合、TFE単位は全量の35重量%以
下、好ましくは5〜25重量%の範囲にすることが必要
である。この含有量が35重量%を超えると、得られる
含フッ素エラストマーの弾性が低下する。
【0010】この含フッ素エラストマーにおけるVdF
単位とHFP単位の好ましい割合は、TFE単位を含ま
ない二元系含フッ素エラストマーにおいては、重量比で
55:45ないし75:25の範囲であり、TFE単位
を含む三元系含フッ素エラストマーにおいては、45:
55ないし70:30の範囲である。この二元系含フッ
素エラストマーは、低フッ素含有量すなわち65重量%
以下のフッ素含有量が要求される用途に供され、三元系
含フッ素エラストマーは高フッ素含有量すなわち67重
量%以上のフッ素含有量が要求される用途例えば耐油
性、耐薬品性を必要とする自動車部品や化学装置部品な
どに供される。
【0011】本発明の含フッ素エラストマーは、前記し
た特定の組成に加えて、その分子量分布に基づく特定の
物性によって特徴づけられている。すなわち、本発明の
含フッ素エラストマーは、分子量分布が2個以上のピー
クから形成される多ピーク型であることが必要である。
このような多ピーク型であることにより、高分子量成分
に基づく優れた機械的物性が付与されるとともに、低分
子量成分に基づく良好な加工性が付与される。モノピー
ク型すなわち分子量分布が1個のピークを示すエラスト
マーでは、このように機械的物性と加工性とを同時に満
足しうるものとはならない。
【0012】また、本発明の含フッ素エラストマーにつ
いては、極限粘度数が60〜130ml/g、好ましく
は70〜120ml/gであること、分子量5万以下の
低分子量重合体の重量%で表わした量比(M5)と極限
粘度数[η]の比M5/[η]が0.15〜0.60、好
ましくは0.20〜0.50の範囲にあること、及び重
量平均分子量(Mw)と数平均分子量との比Mw/Mn
が4以上8未満であることが必要である。
【0013】上記の極限粘度数[η]は、分子量を示す
指標であって、これが60ml/g未満ではロール混練
時の粘着性が大きくなり取り扱いにくいし、130ml
/gを超えると分子量が大きくなりすぎて、流動性が低
下し、押出成形が不可能になる。
【0014】次に、比M5/[η]が0.15未満では押
出成形性が低下し、押出速度が小さくなる上に、押出肌
が不良になる。また0.60を超えるとグリーン強度が
低下し、押出成形時の形状変化を生じ、加硫物の機械的
強度の低下の原因となる。
【0015】本発明の含フッ素エラストマーにおいて
は、分子鎖中にヨウ素を結合した状態で含有することが
必要である。このヨウ素はパーオキシド加硫に際し、容
易に脱離してポリマー鎖中にラジカルを形成し、このラ
ジカルが架橋点となって、架橋形成が行われる。このよ
うにヨウ素は、臭素のような他のハロゲンに比べて脱離
が容易に行われるので、臭素を結合したポリマーよりも
加硫時間が短く、加硫度が高くなり、物性の優れた加硫
物を与える。
【0016】ポリマー鎖中にヨウ素を導入する方法とし
ては、含ヨウ素ビニル化合物を共重合させる方法と、連
鎖移動剤としてヨウ素化合物を用いて重合させる方法が
知られているが、本発明の場合は、後者が有利であり、
例えば特開昭53−125491号公報及び特開昭60
−221409号公報に記載されている方法により、容
易に分子鎖末端にヨウ素を導入することができる。この
際用いる連鎖移動剤としては、例えばモノヨードメタ
ン、1‐ヨードメタン、1‐ヨード‐n‐プロパン、ヨ
ウ化イソプロピル、ジヨードメタン、1,2‐ジヨード
エタン、1,3‐ジヨード‐n‐プロパン及びこれらの
化合物の水素原子のすべてがフッ素原子で置換されたパ
ーフルオロヨウ化物などが好適である。ポリマー中のヨ
ウ素含有量は、VdF単位、HFP単位、TFE単位及
びヨウ素の合計量に対して通常0.01〜5重量%、好
ましくは0.1〜2.5重量%の範囲で選ばれる。この量
が0.01重量%未満では架橋点間が長すぎて、架橋が
不十分となり、満足しうる物性をもつ加硫物が得られに
くいし、5重量%を超えると架橋点間が短くなり、十分
に満足しうる弾性体が得られにくくなる。
【0017】本発明における多ピーク型の含フッ素エラ
ストマーは、例えばそれぞれ別個に製造された高分子量
重合体と低分子量重合体をブレンドすることによっても
製造することができる。しかしながら、懸濁重合法によ
り重合途中で連鎖移動剤を添加して重合させると、比較
的シャープなピークをもった多ピーク型の分子量分布の
ポリマーが得られるので有利である。この場合、最初に
高分子量側にピークをもつ高分子量重合体を生成させた
のち、連鎖移動剤及び必要に応じ重合触媒を添加するこ
とにより低分子量側にピークをもつ低分子量重合体を生
成させる。連鎖移動剤としては前記のヨウ素化合物を用
いるのがよい。
【0018】この懸濁重合法の好適な例について説明す
ると、まず、所定の混合モノマー(仕込モノマー)を溶
存した不活性有機溶媒を水媒体中に分散させ、さらに懸
濁安定剤、油溶性触媒を添加し、さらに必要に応じ、前
記連鎖移動剤を添加し、機械的にかきまぜながら温度を
50〜60℃に保ち、圧力が5〜17kg/cm2・G
の範囲で一定となるように新たに前記混合モノマー(追
添モノマー)を添加して重合を進行させる。生成する含
フッ素エラストマー中のモノマー単位の組成は仕込みモ
ノマー組成と追添モノマー組成との関係によって決定さ
れる。なお、仕込みモノマー組成及び追添モノマー組成
はガスクロマトグラフにより、含フッ素エラストマー中
のモノマー単位の組成は、エラストマーをアセトン溶解
後、19F‐NMRによって測定する。また、重合の途中
で、前記連鎖移動剤を添加することにより、分子量分布
の調整、及びヨウ素の導入を行う。
【0019】この懸濁重合法において用いられる不活性
有機溶媒としては、ラジカル連鎖移動を生じやすい炭素
‐水素結合をもたない有機溶媒が用いられるが、1,1,
2‐トリクロロ‐1,2,2‐トリフルオロエタンが性能
的にも経済的にも好ましい。懸濁安定剤としてはメチル
セルロースが好ましい。油溶性触媒としては、ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパー
オキシジカーボネートが高温の分解温度を有しているの
で好ましい。
【0020】本発明のエラストマーを加硫するには、通
常、ポリオール加硫、ポリアミン加硫、パーオキシド加
硫が用いられる。ポリオール加硫用配合剤としては、例
えば架橋剤としてのポリヒドロキシ芳香族化合物と加硫
促進剤としてのアンモニウム塩、ホスホニウム塩及びイ
ミニウム塩の中から選ばれた少なくとも1種と受酸剤と
しての二価の金属酸化物及び二価の金属水酸化物の中か
ら選ばれた少なくとも1種とから成るものなどが挙げら
れる。
【0021】前記ポリヒドロキシ芳香族化合物として
は、例えばヒドロキノン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキ
シフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2‐
ビス(4‐ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン
(ビスフェノールAF)、4,4′‐ジヒドロキシジフ
ェニルメタン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニ
ル)ブタンなどが、含フッ素エラストマー100重量部
当り通常0.1〜10重量部、好ましくは0.6〜5重量
部の割合で用いられる。これらのポリヒドロキシ芳香族
化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0022】また、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、
イミニウム塩としては、例えばテトラメチルアンモニウ
ムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テト
ラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモ
ニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、
ビス(ベンジルジフェニルホスフィン)イミニウムクロ
リド、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルト
リフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリオクチ
ルホスホニウムクロリドなどが適当であり、含フッ素エ
ラストマー100重量部当り、通常0.05〜2重量
部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられる。
これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0023】さらに、二価の金属酸化物や金属水酸化物
としては、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉛
などの酸化物や水酸化物が用いられ、その使用量は、含
フッ素エラストマー100重量部当り、通常1〜30重
量部、好ましくは2〜20重量部の範囲で選ばれる。こ
れらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。
【0024】また、必要に応じ、加硫促進剤の効果を上
げるために、種々の加硫促進活性剤を添加することがで
きる。この加硫促進活性剤の代表的なものとしては、ジ
メチルスルホンやジクロロジフェニルスルホンなどのス
ルホン化合物を挙げることができる。
【0025】一方、ポリアミン加硫用配合剤としては、
例えば架橋剤としてのポリアミン化合物と受酸剤として
の二価の金属酸化物との組み合わせが用いられる。この
ポリアミン化合物としては、例えばヘキサメチレンジア
ミンカルバメイト、N,N′‐ジシンナミリデン‐1,6
‐ヘキサメチレンジアミン、4,4′‐ビス(アミノシ
クロヘキシル)メタンカルバメートなどを含フッ素エラ
ストマー100重量部当り、通常0.1〜10重量部、
好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。これ
らのポリアミン化合物は単独で用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、二価の金属酸化
物としては、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、
鉛などの酸化物が用いられ、その使用量は含フッ素エラ
ストマー100重量部当り、通常1〜30重量部、好ま
しくは5〜20重量部の範囲で選ばれる。これらは単独
で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0026】さらに、ポリオール加硫配合剤とポリアミ
ン加硫配合剤の両方を併用する場合は、含フッ素エラス
トマー100重量部に対して、ポリヒドロキシ芳香族化
合物0.1〜5重量部、アンモニウム塩、ホスホニウム
塩及びイミニウム塩の中から選ばれた塩0.05〜2重
量部、ポリアミン化合物0.1〜5重量部及び二価の金
属酸化物及び二価の金属水酸化物の中から選ばれた化合
物1〜40重量部を配合するのが好ましい。
【0027】パーオキシド加硫配合剤として用いられる
有機過酸化物としては、熱によって容易にパーオキシラ
ジカルを発生するもの、例えば2,5‐ジメチル‐2,5
‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3、2,5‐
ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサ
ンなどのジアルキルパーオキシドが好ましい。
【0028】これらの有機過酸化物は加硫時に熱により
ラジカルを発生し、このラジカルがポリマー中のヨウ素
に作用して、ポリマー中にラジカルを発生させ、そして
ポリマー中の2個のラジカルがたがいに結合することに
より、架橋が形成されると推定される。
【0029】該有機過酸化物は1種用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよく、その添加量は、活
性酸素量や分解温度などから適宜選ばれるが、通常含フ
ッ素エラストマー100重量部当り、0.05〜10重
量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲で選ばれ
る。この量が0.05重量部未満ではラジカルの発生量
が少なすぎて架橋が十分に進行しないし、10重量部を
超えるとその量の割合には効果の向上が認められず、む
しろ経済的に不利となる上、過酸化物の分解ガスによる
発泡が起こり、機械物性が低下する傾向がみられる。
【0030】また、架橋反応をさらに効果的に進行させ
るために、多官能性不飽和化合物を用いるのが有利であ
るが、この多官能性不飽和化合物としては、例えばトリ
アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ト
リス(ジアリルアミン)‐s‐トリアジンなどが有用で
あり、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。こ
れらの多官能性不飽和化合物は単独で用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、
エラストマー100重量部当り、通常0.01〜10重
量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で選ばれる。
【0031】さらに、溶剤に浸せきした時のクラックの
発生いわゆるソルベントクラックを特に改善するために
は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、有機
過酸化物が0.05〜0.6重量部、好ましくは0.05
〜0.4重量部、また、多官能性不飽和化合物が0.01
〜1.5重量部、好ましくは0.01〜1.0重量部配合
するのが望ましい。さらにこの場合のポリヒドロキシ芳
香族化合物の配合量は0.5〜3重量部、好ましくは1.
0〜2.5重量部、アンモニウム塩、ホスホニウム塩及
びイミニウム塩から選ばれる塩の配合量は0.1〜1.0
重量部、好ましくは0.2〜0.75重量部である。
【0032】また、必要に応じ、各種添加剤、例えばカ
ーボンブラック、シリカ、クレー、タルクなどの補強
剤、ワックス類などの加工助剤などを添加することがで
きる。本発明の含フッ素エラストマーを含有する組成物
は、該エラストマーと前記加硫配合剤及び必要に応じて
用いられる添加成分を、ロールやバンバリミキサーなど
で混合、混練することにより調製することができる。
【0033】このようにして得られた組成物は、十分に
混練したのち、帯状に長く切り出して、押出成形機にか
けることによりチューブや異型の棒状物を得ることがで
きる。また、射出成形、プレス成形、カレンダー成形な
どにより成形加工することも可能である。次いで、必要
に応じ二次加硫を行うことにより、所望の加硫物が得ら
れる。
【0034】
【発明の効果】本発明においては、ある限定された分子
量分布をもつ含フッ素エラストマーを用いることによっ
て、加工性特に押出加工性や、加硫物性に優れ、しかも
ロール粘着がなく、作業効率が非常に良く、生産性に優
れた性能をもつエラストマー配合物を得ることができ
る。すなわち低分子量成分と高分子量成分の2つ以上の
ピークからなり、さらに少なくとも低分子量成分にヨウ
素を含むエラストマーを用いることにより、高分子量成
分で優れた加硫物性を保持しつつ、低分子量成分で優れ
た加工性を持たせた配合物を得ることができる。しかも
低分子量成分は分子中のヨウ素により加硫時には結合す
るため加硫物性を低下させることもない。また、加硫物
は溶剤や燃料油に浸せきした時に低分子量成分が抽出さ
れにくく、耐溶剤性が優れている。
【0035】したがって、本発明の含フッ素エラストマ
ーは、燃料ホースや自動車のエンジン回りの部品などの
耐熱性、耐溶剤性、耐燃料油性が要求され、かつ押出成
形等で連続的に加工され、あるいは複雑な形状をしてい
るので加工し難い部品、部材用の材料として好適に用い
られる。また、射出成形、カレンダー成形、圧縮成形な
どの成形材料として好適に用いられる。
【0036】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるも
のではない。なお、各例中の含フッ素エラストマーの物
性、加硫物の物性、加工性は以下の方法によって求めた
ものである。
【0037】(1)極限粘度:試料をメチルエチルケト
ンに溶解して0.1g/100mlの濃度の溶液を調製
し、毛細管粘度計を用いて35℃において測定する。
【0038】(2)分子量分布:昭和電工(株)製のK
F‐80Mカラム2本と、KF‐800Pプレカラム
と、エルマ光学(株)製検出器ERC‐7510Sと、
システムインスツルメンツ社製インテグレーター700
0Aを備えた、島津製作所(株)製LC‐3A型液体クロ
マトグラフ装置を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒
として、濃度0.1重量%、温度35℃において求め
た。また、分子量検量線用標準ポリマーとしては、東洋
曹達(株)製の単分散ポリスチレン各種〔Mw/Mn=
1.2(max)〕を用いた。
【0039】(3)ポリマー中のヨウ素の有無:ポリマ
ーをアセトンに溶解し、蛍光X線法により検出した。
【0040】(4)加硫物の機械的物性:所定の成分を
混合したのち、ロールで混練することにより、調製した
含フッ素エラストマー組成物を金型に充てんしてプレス
加熱し、次いで金型より取り出し、引き続きオーブン加
硫して、厚さ2mmの加硫シートを作成した。このシー
トから3号ダンベル型試験片を打ち抜き、JIS‐K6
301に準じ、引張試験機〔東洋精機(株)製〕を用
い、引張速度50cm/分で機械的物性を測定した。
【0041】(5)ロール粘着性:6インチ練りロール
を用いて、生ゴム又は加硫剤内添ゴムをロールに巻き付
かせて、その剥がれやすさで評価した。
【0042】(6)硬度:JIS‐K6301に準じ、
スプリング式硬さ試験機A形を用いて測定した。
【0043】(7)押出成形性:ブラベンダー社製エク
ストルーダー10DW型(D=19.1mm、L/D=
10)と、チューブダイ(外径9mm、内径8mm)を
用い、スクリュー温度60℃、ヘッド温度100℃、ス
クリュー回転数50rpmの条件下で押出し、押出肌及
び押出速度を評価した。
【0044】押出肌は、目視により表面肌のきめの細か
さを判断し、優れたものを5、劣るものを1として5段
階で示した。押出速度は、ダイスウエルを数1及び数2
に従ってチューブ外径及びチューブ厚みより算出し、単
位時間当りの吐出長さとして求めた。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】実施例1 電磁誘導式かきまぜ機を備えた内容積約50lのオート
クレーブを窒素ガスで十分に掃気し、減圧‐窒素充てん
を3回繰り返して、窒素置換したのち、減圧状態で脱酸
素した純水23.63kg、1,1,2‐トリクロロ‐1,
2,2‐トリフルオロエタン(以下フロン113とい
う)2.96l及び懸濁安定剤としてのメチルセルロー
ス(粘度50cp)23.6gを仕込み、476rpm
でかきまぜながら、温度50℃に保った。次いでビニリ
デンフルオロライド14.6重量%、ヘキサフルオロプ
ロピレン79.1重量%及びテトラフルオロエチレン6.
3重量%から成る混合モノマーを仕込ガスとして、15
kg/cm2・Gとなるまで仕込んだ。
【0048】次に、ジヨードメタン0.2gを仕込み、
さらに触媒として、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート20.1重量%を含有したフロン113溶液11
5.6gを仕込み重合を開始させた。重合反応が進行す
ると圧力が低下しはじめるので圧力が14.5kg/c
2・Gまで低下したときに、さらにビニリデンフルオ
ロライド43.7重量%、ヘキサフルオロプロピレン2
9.3重量%、及びテトラフルオロエチレン27.0重量
%から成る混合モノマーを追添ガスとして追添し、再び
圧力を15kg/cm2・Gに戻した。このような操作
を繰り返し重合反応を行った。
【0049】重合開始後、2.9時間経過した時点で、
ジヨードメタン61.0gを添加し、同様に圧力14.5
〜15.0kg/cm2・Gでさらに4.9時間反応さ
せ、全体で7.8時間重合反応を行った。重合反応終了
後、残存する混合モノマーを掃気し、得られた懸濁液を
遠心分離機で脱水し、十分水洗したのち、100℃で真
空乾燥してエラストマー約9.8kgを得た。得られた
含フッ素エラストマーを19F‐NMRにより分析したと
ころ、VdF単位43.9重量%、HFP単位29.9重
量%、TFE単位26.2重量%であった。このエラス
トマーの[η]は78ml/g、分子量分布のチャート
の形状は図1に示すように2山型であり、Mnは3.6
×104、Mw/Mnは6.2、M5は38.9重量%、M
/[η]は0.50であった。
【0050】実施例2〜5、比較例1 表1に示す重合条件を用い、実施例1と同様にして重合
を行い、含フッ素エラストマーを製造した。この際の重
合開始剤はフロンR113で濃度20重量%に希釈して
添加した。
【0051】
【表1】
【0052】このようにして得た、含フッ素エラストマ
ーの物性を表2に示す。なお、表2には市販品のフロー
レルFT‐2320[住友3M(株)]の物性も比較例
2として併記した。
【0053】
【表2】
【0054】参考例1,2 実施例1〜5及び比較例1で得たエラストマー100重
量部に対し、SRFカーボン[旭カーボン(株),「シ
ーストS」]12重量部、Ca(OH)2[近代化学工
業(株),「カルビット」]6重量部、MgO(I)
[協和化学工業(株),「キョーワマグ♯150」]3
重量部、ビスフェノールAF2重量部、ビス(ベンジル
ジフェニルホスフィン)イミニウムクロリド0.5重量
部、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオ
キシ)ヘキサン[日本油脂(株),「パーヘキサ25B
‐40」,純分40%]0.5重量部及びトリアリルイ
ソシアヌレート0.5重量部を配合して混練したものに
ついて、押出速度、押出肌、ロール粘着性を評価した。
【0055】また、155℃で70分間プレス加硫し、
180℃で3時間オーブン加硫して得た加硫シートにつ
いて引張試験を行った。これらの結果を表3に示す。
【0056】参考例3 比較例2の含フッ素エラストマー100重量部に対し、
SRFカーボン[旭カーボン(株),「シーストS」]
15重量部、Ca(OH)2[近代化学工業(株),
「カルビット」]6重量部及びMgO(I)[協和化学
工業(株),「キョーワマグ♯150」]3重量部を配
合し、参考例1,2と同じ条件下で加硫して得た加硫シ
ートの物性を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】この表から明らかなように、本発明の実施
例で得た含フッ素エラストマーは、ロール粘着せず比較
例のものに比べて、混練しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の含フッ素エラストマーの分子量分布
の1例を示すグラフ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)ビニリデンフルオライド単位、
    (ロ)ヘキサフルオロプロピレン単位及び場合により
    (ハ)35重量%以下のテトラフルオロエチレン単位か
    ら成り、かつ(イ)単位と(ロ)単位の重量比が40:
    60ないし80:20で、結合ヨウ素を含有し、 (A)分子量分布が多ピーク型であること、 (B)極限粘度数が60〜130ml/gであること、 (C)分子量5万以下の低分子量重合体の重量%で表わ
    した量比(M5)と極限粘度数[η]の比M5/[η]が
    0.15〜0.60であること、及び (D)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
    の比Mw/Mnが4以上8未満であることを特徴とする
    含フッ素エラストマー。
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