JPH0711087A - フッ素系エラストマー組成物 - Google Patents

フッ素系エラストマー組成物

Info

Publication number
JPH0711087A
JPH0711087A JP15896293A JP15896293A JPH0711087A JP H0711087 A JPH0711087 A JP H0711087A JP 15896293 A JP15896293 A JP 15896293A JP 15896293 A JP15896293 A JP 15896293A JP H0711087 A JPH0711087 A JP H0711087A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
weight
unit
ratio
extrusion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15896293A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Toda
圭一 戸田
Hiroshi Saito
廣 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP15896293A priority Critical patent/JPH0711087A/ja
Publication of JPH0711087A publication Critical patent/JPH0711087A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)特定の分子量分布を持つフッ素系エラ
ストマー、(b)加硫剤、(c)一般式RaNHb(R
は炭素数12〜22のアルキル基、aは1〜3、bは3
−a)で表わされるアミン化合物からなることを特徴と
するフッ素系エラストマー組成物。 【効果】 特定の分子量分布を持つフッ素系エラストマ
ーと加硫剤及び、特定の脂肪族アミン化合物を配合した
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、従来公知のフ
ッ素系エラストマー加硫物と同等の優れた引張特性、耐
熱性、耐油性、高温におけるシール性などを有しなが
ら、さらに押出加工性、ロール粘着性に優れ、なおかつ
押出機のスクリューへの粘着もない優れた加工成形性を
持っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフッ素系エラストマーの
新規な加硫組成物に関するものである。さらに詳細に
は、本発明は従来公知のフッ素系エラストマー加硫組成
物と同等の優れた引張特性、耐熱性、耐油性、高温にお
けるシール性等を有する加硫物を提供できるのみなら
ず、優れた押出加工性、ロール作業性を持ち、さらには
押出機のスクリューへの粘着もない優れた加工成形性を
持ったフッ素系エラストマー組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】フッ素系エラストマー加硫物は、優れた
耐熱性、耐油性などを有していることから、各種の工業
分野、例えば自動車、船舶、航空機、油圧機器、一般機
械工業、公害防止関連部門などにおいて、Oリング、ガ
スケット、オイルシール、ダイヤフラム、ホース、ロー
ル、シート材などに用いられている。特に自動車分野に
おいては、その耐熱性、耐油性を利用して燃料系の部
品、とりわけホース類に多用されている。具体的には燃
料ホース、インタンクホース、フィラーホース等であ
る。また工業分野において長尺物のシートの用途があ
る。これらホース類、長尺物のシート類は押出加工によ
って得られる。
【0003】しかし、これらの優れた性能を有するフッ
素系エラストマーであるが他のエラストマーに比べて粘
度が高いため押出加工性においては満足のいくものでは
ない。加工性を改良するためには分子量を下げる方法が
取られるが、分子量を下げて流動性を上げたエラストマ
ーにおいては、ロール粘着が激しく作業上問題があるば
かりでなく低分子量成分はポリオール加硫において架橋
しにくいため、圧縮永久歪などの重要な物性も悪くな
る。
【0004】そこで加工性を改良するために、高級脂肪
酸エステル、シリコーン化合物、低分子量ポリエチレン
などの加工助剤が使用されている。(例えば特公昭52
−44896)しかしながら、加工助剤は少量では十分
な効果が得られず、また十分に加工性の改良が達成され
るのに必要な量を使用した場合には引張強度や高温にお
けるシール性の大幅な低下が見られる。また、分子量分
布を多ピーク型にして押出性を改良する方法が提案され
ている。(特開平02−160810)この方法は非常
に効果的であるが、低分子量が比較的多いため作業条件
によってはロールやスクリューへの粘着がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
公知のフッ素系エラストマー加硫物と同等の優れた引張
特性、耐熱性、耐油性、高温におけるシール性などを有
しながら、優れた押出加工性、ロール作業性を持ち、さ
らには押出機のスクリューへの粘着もない優れた加工成
形性を持ったフッ素系エラストマー組成物に関するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、ある特定の分子量分布を持ったフッ素系エ
ラストマーに、ある特定の脂肪族アミン化合物を配合し
て成る加硫組成物が前記目的に適合することを見出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(A)(イ)ビニリ
デンフルオライド単位と(ロ)ヘキサフルオロプロピレ
ン単位及び場合により(ハ)35重量%以下のテトラフ
ルオロエチレン単位からなり、かつ(イ)単位と(ロ)
単位の重量が40:60ないし80:20であり極限粘
度数が40から200ml/g、重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが3から2
5の範囲にあり、分子量5万以下の低分子量重合体量比
(M5)(重量%)と極限粘度数〔η〕の比M5/
〔η〕が0.15から0.70であるフッ素系エラスト
マーと (B)ポリオール加硫剤、ジアミン加硫剤、パーオキサ
イド加硫剤のうち少なくとも1種からなる加硫剤 (C)一般式RaNHbで表わされる脂肪族アミン化合
物(Rはアルキル基、aは1〜3、bは3−a) を含有することを特徴とするフッ素系エラストマー加硫
組成物を提供するものである。
【0008】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
組成物において(A)成分として用いられるフッ素系エ
ラストマーは、ビニリデンフルオライド単位(以下VD
F単位と略記する)、ヘキサフルオロプロピレン単位
(以下HFP単位と略記する)及び場合によりテトラフ
ルオロエチレン単位(以下TFE単位と略記する)とか
らなるフッ素系エラストマーであって、これらのフッ素
系エラストマーにおける該VDF単位とHFP単位との
割合は、重量比で40:60ないし80:20の範囲に
あることが必要である。該VDF単位がこれよりも少な
いと、重合速度が極めて遅く、かつ高分子状のものが得
られにくいし、これよりも多いと得られるフッ素系エラ
ストマーは樹脂状となって、弾性が低下する傾向にあ
る。またTFEを含む三元系フッ素系エラストマーにお
いては、TFE単位の含有量は35重量%以下望ましく
は5から25重量%の範囲にあることが必要であり、こ
の含有量が35重量%を越えると、得られるフッ素系エ
ラストマーは弾性が低下する傾向を生ずる。また、VD
F単位とHFP単位の好ましい割合は、TFE単位を含
まない2元系フッ素系エラストマーにおいては重量5
5:45ないし75:25の範囲で選ばれ、TFE単位
を含む三元系フッ素系エラストマーにおいては45:5
5ないし70:30の範囲で選ばれる。二元系フッ素系
エラストマーは例えば低フッ素含量(66重量%以下)
の必要な用途に使用され、三元系フッ素系エラストマー
は例えば高フッ素含量(67重量%以上)を要求する用
途、耐油性、耐薬品性の必要な自動車部品、化学装置部
品などに使用される。
【0009】また、このフッ素系エラストマーは分子量
を示す指標である極限粘度数〔η〕が40から200m
l/gの範囲にあることが必要である。この〔η〕が4
0ml/g未満では低分子量のものが多くなりすぎて、
圧縮永久歪や機械的特性が低下する上に、ロールに対す
る粘着性が増大するとともに金型離型性が低下するよう
になるし、一方200ml/gを越えると特にフッ素含
量の多い範囲において、ロールを用いて厚みの厚いシー
トを作る事が困難になる。又、該フッ素系エラストマー
においては、分子量分布を表わす重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが3から
25の範囲にあることが必要である。このMw/Mnが
25を超えると分子量分布が広く、低分子量成分及び超
高分子量成分が相対的に多く含まれ、加工性と物性の両
方を同時に満足させることが困難となる。これは、低分
子量成分が多いと加工性は向上するが物性の低下をもた
らし、また、超高分子量成分が多いと前記の逆の関係を
もたらすためである。
【0010】一方、Mw/Mnが3未満のエラストマー
は、分子量分布が狭いため、分子量が比較的高い場合は
低分子量成分が少なくて良好な加工性が得られない。ま
た、分子量が比較的低い場合には高分子量成分が少ない
ため良好な物性が得えられない。
【0011】さらに、分子量5万以下の成分の低分子量
体量比M5(重量%)と極限粘度数〔η〕(ml/g)
との比M5/〔η〕0.15から0.60にあることが
必要である。好ましくは0.30から0.50の範囲に
ある事が望ましい。このM5及び〔η〕は互に影響しあ
って押出成形性を左右しており、M5が大きくなると押
出速度や押出肌が改善される傾向があり、一方〔η〕が
大きくなると押出速度及び押出肌ともに劣化する傾向が
ある。したがって、良好な押出成形性を有するために
は、M5/〔η〕の値は前記範囲にあることが望まし
い。このM5/〔η〕が0.15未満では押出が困難と
なり、押出速度や押出肌が著しく劣化するし、0.60
を超えるとグリーン強度が低下し、押出成形時に変化し
易い上、加硫物の機械強が低下する恐れがある。
【0012】本発明の組成物を効果的に実施するために
は、フッ素系エラストマーの分子量分布が2つ以上のピ
ークから形成される多ピーク型である事が望ましい。多
ピーク型にする事により所望の分子量分布と低分子量の
成分比を得ることが容易に達成される。また高分子量成
分で主として物性をもたせ、低分子量成分で加工性をも
たせる事によりその性能を充分に発揮できる。多ピーク
型の分子量分布の好ましい形として以下に3つのタイプ
を上げる事ができる。好ましいタイプのひとつは下記の
(A)〜(E)に規定するようなものである。
【0013】(A)多ピーク型であることと (B)極限粘度数が100〜170ml/gであること (C)分子量5万以下の低分子量重合体量比(M5)
(重量%)と極限粘度数〔η〕が0.25〜0.60で
あること (D)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
の比、Mw/Mnが10〜25であり (E)分子量1万以下の低分子量重合体量比(M1)が
15重量%未満であること (F)分子量200万以上の高分子量重合体量比(M2
00)が4〜10%重量%であること このようなフッ素系エラストマーにおいては、重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/M
nが10から25の範囲にあることが望ましい。このM
w/Mnが25を超えると超高分子量成分が相対的に多
く含まれ、押出成形時のダイスウェルが悪くなる傾向と
なる。また、Mw/Mnが10未満のエラストマーは、
分子量分布が狭いため低分子量成分が相対的に少なく押
出速度や押出肌などの押出成形性が劣る。また、低分子
量を示す指標である極限粘度数〔η〕は100〜170
ml/gの範囲にあることが望ましい。この〔η〕が1
00ml/g未満ではロール混練時の粘着性が大きくな
る恐れがあるし、170ml/gを超えると分子量が高
すぎて、流動性が低下し、良好な押出成形ができにくく
なる。さらに、分子量5万以下の成分の低分子量体量比
M5(重量%)と極限粘度数〔η〕(ml/g)との比
M5/〔η〕は0.25から0.60、好ましくは0.
30〜0.50の範囲にある事が望ましい。このM5及
び〔η〕は互に影響しあって押出成形性を左右してお
り、M5が大きくなると押出速度や押出肌が改善される
傾向があり、一方〔η〕が大きくなると押出速度及び押
出肌ともに劣化する傾向がある。したがって、良好な押
出成形性を有するためには、M5/〔η〕の値は前記範
囲にある事が望ましい。このM5/〔η〕が0.25未
満では押出が困難となり、押出速度や押出肌が著しく劣
化するし、0.60を超えるとグリーン強度が低下し、
押出成形時に変化し易い上、加硫物の機械強度が低下す
る恐れがある。また、分子量1万以下の低分子量重合体
M1は15重量%未満、好ましくは12重量%以下であ
る事が望ましい。このM1は加硫成形物をメタノールな
どの溶剤に浸漬した際の溶剤への抽出量と相関関係があ
り、M1が大きいほど溶剤への抽出量が大きい。したが
って、このM1が15重量%未満であれば、抽出量を実
用上問題の無いレベルまで保持する事が出来る。さら
に、分子量200万以上の高分子量重合体量比M200
は4〜10重量%の範囲にある事が望ましい。M200
が4重量%未満ではグリーン強度が低下し、押出成形時
に変化しやすいし、10重量%以上では押出時のダイス
ウェルが大きくなる傾向になる。
【0014】好ましいタイプのもうひととつのタイプは
下記の(A)〜(D)に規定するようなものである。 (A)多ピーク型であること (B)極限粘度数が60〜130ml/gであること (C)分子量5万以下の低分子量重合体量比(M5)
(重量%)と極限粘度数〔η〕の比M5/〔η〕が0.
15〜0.60であること (D)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
の比、Mw/Mnが4以上8未満であること このようなフッ素系エラストマーにおいては重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mn
が4以上8未満の範囲にある事が望ましい。このMw/
Mnが4未満では分子量の広がりが小さく、低分子量成
分が少なくなって、押出速度や押出肌などの押出成形性
が劣ったり、あるいは高分子量成分が少なくなって、機
械強度が低下したり、ロールなどへの粘着が大きくな
り、一方8以上では極低分子量成分が増加するので、加
硫物の耐溶剤抽出性が悪くなる。好ましいMw/Mnの
範囲は5〜7の範囲で選ばれる。また、分子量の指標で
ある極限粘度数〔η〕は60から130ml/g、好ま
しくは70〜120ml/gの範囲にある事が望まし
い。この〔η〕が60ml/gg未満ではロール混練時
の粘着性が大きくなる恐れがあるし、130ml/gを
超えると分子量が大きすぎて、流動性が低下し、良好な
押出成形が出来なくなる恐れがある。さらに、分子量5
万以下の成分の低分量体量比M5(重量%)と極限粘度
数〔η〕(ml/g)との比M5/〔η〕0.15から
0.60、好ましくは0.20〜0.50の範囲にある
事が望ましい。このM及び〔η〕は互に影響しあって押
出成形性を左右しており、M5が大きくなると押出速度
や押出肌が改善される傾向があり、一方〔η〕が大きく
なると押出速度及び押出肌ともに劣化する傾向がある。
したがって、良好な押出成形性を有するためには、M5
/〔η〕の値は前記範囲にある事が望ましい。このM5
/〔η〕が0.15未満では押出が困難となり、押出速
度や押出肌が著しく劣化するし、0.60を超えるとグ
リーン強度が低下し、押出成形時に変化し易い上、加硫
物の機械強が低下する恐れがある。
【0015】好ましいタイプのさらにもうひとつは下記
の(A)〜(E)に規定するようなものである。 (A)多ピーク型であること (B)極限粘度数が50〜150ml/gであること (C)分子量5万以下の低分子量重合体量比(M5)
(重量%)と極限粘度数〔η〕の比M5/〔η〕が0.
30〜0.70であること (D)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
の比、Mw/Mnが8〜20であり (E)分子量200万以上の高分子量重合体量比(M2
00)が4重量%未満であること このようなフッ素系エラストマーにおいては、重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/M
nが8から20の範囲にある事が望ましい。このMw/
Mnが20を超えると超高分子量成分が相対的に多く含
まれ、押出成形時のダイスウェルが悪くなる傾向とな
る。また、Mw/Mnが8未満のエラストマーは、分子
量分布が狭いため低分子量成分が相対的に少なく押出速
度や押出肌などの押出成形性が劣る。また、分子量を示
す指標である極限粘度数〔η〕は50〜150ml/g
の範囲にある事が望ましい。この〔η〕が50ml/g
未満ではロール混練時の粘着性が大きくなる恐れがある
し、150ml/gを超えると分子量が高すぎて、流動
性が低下し、良好な押出成形ができにくくなる。
【0016】さらに、分子量5万以下の成分の低分子量
体量比M5(重量%)と極限粘度数〔η〕(ml/g)
との比M5/〔η〕は0.30から0.70、好ましく
は0.25〜0.65の範囲にある事が望ましい。この
M5及び〔η〕は互に影響しあって押出成形性を左右し
ており、M5が大きくなると押出速度や押出肌が改善さ
れる傾向があり、一方〔η〕が大きくなると押出速度及
び押出肌ともに劣化する傾向がある。したがって、良好
な押出成形性を有するためには、M5/〔η〕の値は前
記範囲にある事が望ましい。このM5/〔η〕が0.3
0未満では押出が困難となり、押出速度や押出肌が著し
く劣化するし、0.70を超えるとグリーン強度が低下
し、押出成形時に変化し易い上、加硫物の機械強が低下
する恐れがある。また、分子量200万以下の低分子量
重合体M200は4重量%未満であることが望ましい。
このM200が1重量を超えるとダイスウェルや押出肌
が悪くなる傾向となる。
【0017】前記3つのタイプのポリマーはそれぞれ特
徴があるので適時使い分けが可能である。例えばMw/
Mnが4以上8未満のエラストマーは、極低分子量が少
ないのでロール混練作業時にロール表面が比較的高温の
場合においても粘着することなく容易に混練作業ができ
る。またMw/Mnが10〜25でM200が4から1
0%のエラストマーにおいては高分子量成分と低分子量
成分が多いので物性を低下させる事無く良好な押出加工
性を有している。またMw/Mnが8〜20でM200
が4重量%未満のエラストマーは比較的低分子量成分が
多いので押出加工性がきわめて良く、低い押出温度にお
いても良好な押出特性が得られる。押出成形機などの加
工機械では押出温度やスクリュー、ダイの大きさやデザ
インにより、押出に最適なエラストマーも変わってく
る。使用する装置及びその運転条件によって分子量分布
の異なるポリマーの選択が必要である。
【0018】本発明の組成物において前記(A)成分と
して用いられるフッ素系エラストマーは分子鎖中にヨウ
素が結合していると望ましい場合がある。このヨウ素は
パーオキサイド加硫時に容易に脱離してポリマー鎖中に
ラジカルを形成させ、このラジカルが架橋点となる。こ
のようにヨウ素は容易に脱離するので該フッ素系エラス
トマーは、結合臭素を有するポリマーに比べて、加硫時
間が短くかつ加硫度が高いことから、加硫物の物性も良
好となる。特に低分子量成分はポリオール加硫では加硫
しにくいので、低分子量成分にヨウ素を結合させポリオ
ールとパーオキサイドを併用して加硫する事による極め
て良好な物性が得られ、また加硫物から低分子量成分が
溶剤等により抽出される事もない。ポリマー鎖中へヨウ
素を導入する方法としては、ポリマーの重合時に連鎖移
動剤としてヨウ素化合物を用いる方法が効果的で有利で
ある。(特開昭53−125491号公報、同60−2
21409号公報)連鎖移動剤としてはモノヨードメタ
ン、1−ヨードメタン、1−ヨード−n−プロパン、ジ
ョードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨ
ード−n−プロパン、及びこれらの化合物の水素原子が
すべてフッ素原子で置換されたパーフルオルヨウ化物が
好ましく用いられる。ポリマー中のヨウ素含有量は通常
0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%
の範囲から選ばれる。0.1重量%未満では架橋が不十
分となり、5重量%を超えると弾性体が得られにくくな
る。
【0019】本発明におけるフッ素系エラストマーは公
知の種々の重合法、例えば懸濁重合、乳化重合などで重
合する事が出来る。さらに多ピーク型のフッ素系エラス
トマーは例えばそれぞれ別個に製造された高分子量重合
体と低分子量重合体をブレンドする事により製造するこ
とができるし、重合中に連鎖移動剤を添加して重合する
事もできる。懸濁重合法により重合中に連鎖移動剤を追
添する方法が、比較的シャープなピークを持った多ピー
ク型の分子量分布のポリマーが得られるので望ましい。
連鎖移動剤としては前記のヨウ素化合物を用いる事が望
ましい。
【0020】この懸濁重合法の好適な一例について説明
すると、まず所定の混合モノマー(仕込モノマー)を溶
存した不活性有機溶媒を水媒体中に分散させ、さらに懸
濁安定剤、油溶性触媒を添加し、さらに必要に応じ、前
記連鎖移動剤を添加し、機械的にかき混ぜながら50〜
60℃に保ち、圧力が好ましくは5〜17kg/cm2
・Gの範囲で一定となるように新たな前記混合モノマー
(追添モノマー)を添加して重合を進める。生成するフ
ッ素系エラストマー中のモノマー単位の組成は仕込モノ
マー組成と追添モノマー組成との関係によって決定され
る。なお、モノマー組成はガスクロマトグラフ、エラス
トマー中のモノマー単位の組成はF−NMRで測定す
る。また、重合の途中で、前記連鎖移動剤を添加する事
により、分子量分布の調整、及びヨウ素の導入を行い。
不活性有機溶媒としては1,1,2−トリクロロ−1,
2,2−トリフルオロエタン等が用いられる。懸濁安定
剤としてはメチルセルロース等が用いられる。油溶性触
媒としてはジイソプロピルパーオキシジカーボネートな
どのジアルキルパーオキシジカーボネートが高温の分解
温度を有しているので好ましい。
【0021】本発明の(B)成分としてポリオール加硫
剤、ジアミン加硫剤、パーオキサイド加硫剤のうち少な
くとも1種からなる加硫剤が用いられる。該ポリオール
加硫剤は、架橋剤としてのポリオール化合物と架橋反応
における触媒の働きをする加硫促進剤とからなる。架橋
剤として例えばビスフェノールAF、ビスフェノール
A、ビスフェノールS、ジヒドロキシベンゾフェノン、
ヒドロキノン、2,4,6−トリカプト−S−トリアジ
ン、4,4’−チオジフェノール及びそれらの金属塩な
どが挙げられる。
【0022】本発明のフッ素系エラストマー加硫組成物
における架橋剤の配合割合は、通常(a)成分100重
量部に対して、0.1〜10重量部であり、望ましくは
0.5重量部〜5重量部である。加硫促進剤としては、
例えばホスホニウム塩、アンモニウム塩、イミニューム
塩、スルホニウム塩、アミノホスフィン誘導体などが用
いられる。具体的にはテトラメチルアンモニウムクロリ
ド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチル
アンモニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホ
ニウムクロリド、ビス(ベンジルジフェニルホスフィ
ン)イミニウムクロリド、DBU塩などである。本発明
のフッ素系エラストマー加硫組成物における加硫促進剤
の配合割合は、通常(a)成分100重量部に対して、
0.05〜10重量部であり、望ましくは0.1重量部
〜5重量部である。
【0023】また必要に応じ、加硫促進剤の効果を上げ
るために、種々の加硫促進活性剤を添加する事が出来
る。この加硫促進活性剤の代表的なものとしては、ジメ
チルスルホン、ジクロロジフェニルスルホンなどのスル
ホン化合物を上げる事が出来る。
【0024】ポリオール加硫は通常二価金属水酸化物及
び二価金属酸化物の存在下で架橋反応が行われる。二価
金属水酸化物及び二価金属酸化物は、通常(a)成分1
00重量部に対して、各々1〜10重量部であり、両者
を合わせると2〜20重量部である。二価の金属水酸化
物及び酸化物としては、例えばマグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、鉛などの水酸化物及び酸化物が挙げられる。
該パーオキサイド加硫剤は、有機過酸化物と多官能性不
飽和化合物とからなる。
【0025】有機過酸化物としては熱によって容易にパ
ーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオ
キサイドが好適である。その添加量は活性酸素量や分解
温度などにより選ばれるが、通常エラストマー100重
量部あたたり0.05から10重量部、好ましくは0.
05から5重量部の範囲で選ばれる。
【0026】多官能性不飽和化合物としては例えばトリ
アリルイソシアヌレート、トリアリルシアルレートなど
が好適である。その配合量はエラストマー100重量部
あたり0.01重量部から10重量部、好ましくは0.
1から5重量部の範囲で選ばれる。
【0027】該ジアミン加硫剤は、ジアミン化合物から
なる。例えばヘキサメチレンジアミンカルバメイト、
N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレン
ジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メ
タンカルバメイトなどである。その添加量は、通常エラ
ストマー100重量部あたり0.1から10重量部、好
ましくは0.5から5重量部である。ジアミン加硫は通
常二価の金属酸化物の存在下で架橋反応が行われる。二
価の金属酸化物は、通常(a)成分100重量部に対し
て、各々1〜30重量部であり、好ましくは2〜20重
量部である。二価の酸化物としては、例えばマグネシウ
ム、カルシウム、亜鉛、鉛などの酸化物が挙げられる。
【0028】これらの加硫剤は単独で使用する事もでき
るし、複数の加硫剤を併用して用いる事もできる。とく
に前記の結合ヨウ素を分子鎖中に導入したフッ素系エラ
ストマーにあっては、ポリオール加硫剤とパーオキサイ
ド加硫剤を併用する事により、引張強度は強くなり、し
かも伸びが大きく、圧縮永久歪は小さくなり、また低分
子量成分の溶剤等への抽出も無くなり非常に優れた性能
を示す。(C)成分の、一般式RaNHb(Rはアルキ
ル基、aは1〜3、bは3−a)で表わされる脂肪族ア
ミン化合物は、アルキル基の炭素数は12から22の範
囲にある事が望ましく、さらに望ましくは14から18
の範囲である。
【0029】この炭素数はフッ素系エラストマーとの相
溶性やアミン自身の融点に関係し、この範囲にある事が
本組成物の効果を引き出すポイントである。炭素数が1
2〜22の範囲にある場合が本発明の効果を最も充分に
発揮する。例えばモノテトラデシルアミン、モノヘキサ
デシルアミン、モノオクタデシシルアミン、モノデシル
アミン、モノドコセニルアミン、モノオレイルアミン、
ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジオク
タデシルアミン、ジデシルアミン、ジドコセニルアミ
ン、ジオレイルアミン、トリテトラデシルアミン、トリ
ヘキサデシルアミン、トリオクタデシルアミン、トリデ
シルアミン、トリドコセニルアミン、トリオレイルアミ
ンなどが挙げられ、これらを2種以上を組み合わせても
良い。本発明のフッ素系エラストマー加硫組成物におけ
る(C)成分の配合割合は、通常エラストマー100重
量部に対して、0.05〜10重量部、好ましくは0.
1〜5重量部である。本発明の(C)成分がこの範囲に
あるのは、0.05重量部未満では十分な効果が得られ
ず、10重量部を超えると加硫物の物性が大幅に低下す
るためである。
【0030】さらに本発明のフッ素系エラストマー加硫
組成物においては、必要に応じ、他の成分、例えばカー
ボンブラック、オースチンフブラック、グラファイト、
シリカクレー、ケイソウ土、タルク、ウォラストナイ
ト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、フッ化カルシウ
ム、硫酸バリウム、スルホン化合物、燐酸エステル、高
級脂肪酸エステル、脂肪酸カルシウム、脂肪酸アマイ
ド、低分子量ポリエチレン、シリコーンオイル、シリコ
ーングリース、金属石鹸、ステアリン酸、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、チタンホワイト、ベ
ンガラなどの充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤等を配
合することができる。
【0031】特に高級脂肪酸エステルの少なくとも1種
からなる加工助剤を、脂肪族アミンと併用する事により
更に良好な金型離型性、流動性、ロール作業性を得る事
ができる。高級脂肪酸エステル単独では物性の劣化が激
しいが脂肪族アミンと高級脂肪酸エステルを併用する事
により物性を落す事なく優れた金型離型性、流動性、ロ
ール作業性が得られる。高級脂肪酸エステルの少なくと
も1種からなる加工助剤としては動植物や鉱物から得ら
れるワックスの精製物が好適に用いられる。例えばキャ
ンデリラワックス、米ぬかワックス、カルナウバワック
ス、モンタンワックス、セラックワックスが好適に用い
られる。特にキャンデリラワックス、米ぬかワックス、
カルナウバワックスが最も好適に用いられる。
【0032】このようにして得られたフッ素系エラスト
マー加硫組成物の加硫成形方法としては、例えば開放型
練りロール又は密閉式練りロール(バンバリーミキサ
ー、加圧式ニーダー等)で十分に混練の後、加硫組成物
をリボン状に切り出し押出成形により成形し、次いで加
硫する方法が挙げられる。加硫方法としては蒸気加硫す
る方法や連続式の加硫装置で加硫する方法がある。ま
た、他の加硫手段として、圧縮成形により一次加硫し、
次に二次加硫する方法や、あるいはメチルエチルケト
ン、アセトンなどのケトン類、エチルエーテル、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル類などの1種または2種以
上を媒体とする溶液もしくは分散液を調整し、これで
紙、繊維、フィルム、シート、板、チューブ、パイプ、
タンク、大型容器その他の成形品の表面上を被覆し加硫
する方法などを用いることもできる。また他種のゴム、
例えばNBR、アクリルゴム、EPゴムなどと多層にし
て多層シート、多層ホースなど積層体成形物をつくる事
もできる。
【0033】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるも
のではない。なおフッ素系エラストマーの各物性、加工
性は次に示す方法により求めた。
【0034】(1)極限粘度数:メチルエチルケトンを
溶媒とする0.1g/100mlの濃度溶液を毛細管粘
度計を用いて35℃で測定する。
【0035】(2)分子量分布:液体クロマトグラフL
C−3A型(島津製作所(株)製〕 カラムKF80M(2本)+KF800P〔昭和電工
(株)製〕 検出器ERC−7510S〔エルマ光学(株)製〕 展開溶媒テトラヒドロフラン 濃度0.1重量% 温度35℃ (3)ポリマー中のヨウ素の有無:螢光X線法 (4)加硫物の硬さ〔JIS−A〕、100%引張応
力、引張強さ、伸びはJIS−K6301に準じて測定
した。 (5)圧縮永久ひずみはJIS−K6301に規定され
た試験片を使用しJIS−K6301に準じて測定し
た。 (6)ロール粘着性:8インチロール混練機を用いて、
生ゴムをロールに巻き付けて加硫剤、カーボン等の配合
剤を練り込んだ後のロールからのはがれ易さで評価し
た。 (7)押出試験:ブラベンダー社製エクストルーダー1
0W型(D=19.1mm,L/D=10)を用いて、
チューブダイ(外径10mm,内径8mm)のダイスに
よりスクリュー温度60℃ヘッド温度100℃、スクリ
ュー回転数50rpmの条件下で行った。
【0036】押出肌は目視で表面肌のきめの細かさを見
て5段階(優れている順に5から1まで)で示した。押
出速度は、単位時間あたりの吐出長より算出した。スク
リュー粘着量は500g押出し後、スクリューを抜き取
りスクリューに付着したゴム量を測定した。
【0037】ポリマー例1 電磁誘導式撹拌機を備えた内容積約50リットルのオー
トクレーブを窒素ガスで充分に掃気し、減圧−窒素充填
を3回繰り返して、窒素置換した後、減圧状態で脱酸素
した純水23.6kg、1,1,2−トリクロロ−1,
2,2−トリフルオルエタン(以下フロン113とい
う)2.961及び懸濁安定剤としてのメチルセルロー
ス(粘度50cp)23.6gを仕込み、480rpm
でかき混ぜながら、温度を50℃に保った。ついでVD
F14.5重量%、HFP79.1重量%及びTFE
6.4重量%からなる混合モノマーを仕込ガスとして、
15kg/cm2・Gとなるまで仕込んだ。次に触媒と
して、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート20.
1重量%を含有したフロン113溶液57.0gを圧入
し重合を開始させた。重合により圧力が14.5kg/
cm2・Gまで低下したらVDF43.5重量%、HF
P29.5重量%、TFE27.0重量%からなる混合
モノマーを追添ガスとして追添し、再び圧力を15kg
/cm2・Gに戻した。このような操作を繰り返し重合
は反応を行った。
【0038】重合開始後、6.3時間経過した時点で、
ジョードメタン235g及びジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート20.1重量%を含有したフロン113
溶液57.0gを添加し、同様に圧力14.5〜15k
g/cm2・Gで重合反応をさらに12.2時間続け、
全体で18.5時間重合反応を行った。重合反応終了
後、残存する混合モノマーを掃気し、得られた懸濁液を
遠心分離機で脱水し、充分水洗した後、100℃で真空
乾燥してエラストマー約26.9kgを得た。得られた
フッ素系エラストマーをF−NMRで分析したところ、
VDF単位43.5重量%、HFP単位30.3重量
%、TFE単位26.2重量%であった。
【0039】このエラストマーの〔η〕は124ml/
g、分子量分布のチャートの形状は2山であり、Mnは
2.9×10.4、Mw/Mnは17.2であった。ま
た、M5/〔η〕は0.40、M1は7.8%、M20
0は6.8%であった。さらにエラストマー中にはヨウ
素が検出された。
【0040】ポリマー例2 電磁誘導式撹拌器を備えた内容積約50リットルのオー
トクレーブを窒素ガスで充分に掃気し、減圧−窒素充填
を3回繰り返して、窒素置換した後、減圧状態で脱酸素
した純水23.6kg、1,1,2−トリクロロ−1,
2,2−トリフルオルエタン(以下フロン113とい
う)2.961及び懸濁安定剤としてのメチルセルロー
ス(粘度50cp)23.6gを仕込み、480rpm
でかき混ぜながら、温度を50℃に保った。ついでVD
F14.6重量%、HFP79.1重量%及びTFE
6.3重量%からなる混合モノマーを仕込ガスとして、
15kg/cm2・Gとなるまで仕込んだ。次に分子量
調整用にジョードメタン0.2gを添加し、さらに触媒
として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート2
0.1重量%を含有したフロン113溶液23.1gを
圧入し重合を開始させた。重合により圧力が14.5k
g/cm2・Gまで低下したらVDF43.7重量%、
HFP29.3重量、TFE27.0重量%からなる混
合モノマーを追添ガスとして追添し、再び圧力を15k
g/cm2・Gに戻した。このような操作を繰り返し重
合反応を行った。
【0041】重合開始後、2.9時間経過した時点で、
ジョードメタン61gを添加し、同様に圧力14.5〜
15kg/cm2・Gで重合反応をさらに4.9時間続
け、全体で7.8時間重合反応を行った。重合反応終了
後、残存する混合モノマーを掃気し、得られた懸濁液を
遠心分離機で脱水し、充分水洗した後、100℃で真空
乾燥してエラストマー約9.8kgを得た。得られたフ
ッ素系エラストマーをF−NMRで分析したところ、V
DF単位43.9重量、HFP単位29.9重量%、T
FE単位26.2重量%であった。このエラストマーの
〔η〕は78ml/g、分子量分布のチャートの形状は
2山であり、Mnは3.6×10-4、Mw/Mnは6.
3、M5/〔η〕は0.50であった。また、エラスト
マー中にはヨウ素が検出された。
【0042】ポリマー例3 電磁誘導式撹拌器を備えた内容積約15リットルのオー
トクレーブを窒素ガスで充分に掃気し、減圧−窒素充填
を3回繰り返して、窒素置換した後、減圧状態で脱酸素
した純水5.44kg、1,1,2−トリクロロ−1,
2,2−トリフルオルエタン(以下フロン113とい
う)1.07kg及び懸濁安定剤としてのメチルセルロ
ース(粘度50cp)5.4kgを仕込み、600rp
mでかき混ぜながら、温度を50℃に保った。ついでV
DF14.5重量%、HFP78.1重量%及びTFE
6.4重量%からなる混合モノマーを仕込ガスとして、
15kg/cm2・Gとなるまで仕込んだ。次に触媒と
して、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート20.
1重量%を含有したフロン113溶液26.5gを圧入
し重合を開始させた。重合により圧力が14.5kg/
cm2・Gまで低下したらVDF43.5重量%、HF
P29.5重量%、TFE27.0重量%からなる混合
モノマーを追添ガスとして追添し、再び圧力を15kg
/cm2・Gに戻した。このような操作を繰り返し重合
反応を行った。
【0043】重合開始後、5時間経過した時点でジョー
ドメタン43gを添加し、同様に圧力14.5〜15k
g/cm2・Gで重合反応をさらに7時間続け、全体で
12時間重合反応を行った。重合反応終了後、残存する
混合モノマーを掃気し、得られた懸濁液を遠心分離機で
脱水し、充分水洗した後、100℃で真空乾燥してエラ
ストマー約2.8kgを得た。得られたフッ素系エラス
トマーをF−NMRで分析したところ、VDF単位4
3.5重量%、HFP単位30.3重量%、TFE単位
26.2重量%であった。
【0044】このエラストマーの〔η〕は89ml/
g、分子量分布のチャートの形状は3山であり、Mnは
2.4×10-4、Mw/Mnは12.9、M5/〔η〕
は0.47、M200は1.5重量%であった。また、
エラストマー中にはヨウ素が検出された。ポリマー例
1,2,3のエラストマーを用い、表1に示す配合組成
(重量基準)で混練して加硫させ、各種の物性・特性を
測定した。その結果を表1に示す。本発明の組成物は、
優れた物性を示すとともに、ロール加工性、押出時のス
クリューの粘着についても、粘着がなく優れた作業性を
示す事がわかる。
【0045】
【表1】
【0046】SRFカーボン…東海カーボン(株)製カ
ーボンブラック「シーストS」 水酸化カルシウム…近江化学工業(株)製「カルビッ
ト」 高活性酸化マグネシウム…共和化学工業株式会社製「キ
ョーワマグ150」 AC−30…旭化成工業(株)製フッ素ゴム用加硫剤 AC−40…旭化成工業(株)製フッ素ゴム用加硫促進
剤 パーヘキサ25B40…日本油脂(株)有機過酸化物
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のフッ素
系エラストマー加硫組成物を用いる事により優れた引張
特性、耐熱性、耐油性、高温におけるシール性等を有す
る加硫物を提供できるのみならず、優れた押出加工性、
ロール作業性を持ち、さらには押出機のスクリューへの
粘着もない優れた加工性形性を持ったフッ素系エラスト
マー組成物を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(イ)ビニリデンフルオライド単
    位と(ロ)ヘキサフルオロプロピレン単位からなり、か
    つ(イ)単位と(ロ)単位の重量が40:60ないし8
    0:20であり極限粘度数が40から200ml/g、
    重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比M
    w/Mnが3から25の範囲にあり、分子量5万以下の
    低分子量重合体量比(M5)(重量%)と極限粘度数
    〔η〕の比M5/〔η〕が0.15から0.60である
    フッ素系エラストマーと(B)ポリオール加硫剤、ジア
    ミン加硫剤、パーオキサイド加硫剤のうち少なくとも1
    種からなる加硫剤 (C)一般式RaNHbで表わされる脂肪族アミン化合
    物(Rはアルキル基、aは1〜3、bは3−a)を含有
    することを特徴とするフッ素系エラストマー加硫組成
    物。
  2. 【請求項2】 フッ素系エラストマー(A)が、(イ)
    ビニリデンフルオライド単位と(ロ)ヘキサフルオロプ
    ロピレン単位及び(ハ)35重量%以下のテトラフルオ
    ロエチレン単位からなり、かつ(イ)単位と(ロ)単位
    の重量が40:60ないし80:20であり極限粘度数
    が40から200ml/g、重量平均分子量(Mw)と
    数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが3から25の範
    囲にあり、分子量5万以下の低分子量重合体量比(M
    5)(重量%)と極限粘度数〔η〕の比M5/〔η〕が
    0.15が0.60であるフッ素系エラストマーである
    事を特徴とする請求項1記載のフッ素系エラストマー加
    硫組成物。
JP15896293A 1993-06-29 1993-06-29 フッ素系エラストマー組成物 Pending JPH0711087A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15896293A JPH0711087A (ja) 1993-06-29 1993-06-29 フッ素系エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15896293A JPH0711087A (ja) 1993-06-29 1993-06-29 フッ素系エラストマー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0711087A true JPH0711087A (ja) 1995-01-13

Family

ID=15683168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15896293A Pending JPH0711087A (ja) 1993-06-29 1993-06-29 フッ素系エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0711087A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526690A (ja) * 2003-06-05 2006-11-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 常温収縮フルオロエラストマー物品
JP2007269008A (ja) * 2006-03-10 2007-10-18 Tokai Rubber Ind Ltd 耐熱エアーホース
JP2008195039A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Tokai Rubber Ind Ltd 耐熱エアーホース
JP2008195040A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Tokai Rubber Ind Ltd 燃料系ゴムホース
US8017709B2 (en) * 2006-01-05 2011-09-13 Asahi Glass Company, Limited Fluorinated polymer and fluorinated polymer composition containing it
EP2742094A1 (en) 2012-01-20 2014-06-18 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition and method for producing same
CN104066785A (zh) * 2012-01-20 2014-09-24 大金工业株式会社 氟橡胶组合物及其制造方法
US9499678B2 (en) 2012-02-24 2016-11-22 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition
US9976016B2 (en) 2012-02-24 2018-05-22 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition
US11898661B2 (en) 2012-02-24 2024-02-13 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526690A (ja) * 2003-06-05 2006-11-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 常温収縮フルオロエラストマー物品
US8017709B2 (en) * 2006-01-05 2011-09-13 Asahi Glass Company, Limited Fluorinated polymer and fluorinated polymer composition containing it
JP2007269008A (ja) * 2006-03-10 2007-10-18 Tokai Rubber Ind Ltd 耐熱エアーホース
JP2008195039A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Tokai Rubber Ind Ltd 耐熱エアーホース
JP2008195040A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Tokai Rubber Ind Ltd 燃料系ゴムホース
JP2014521755A (ja) * 2012-01-20 2014-08-28 ダイキン工業株式会社 フッ素ゴム組成物、及び、その製造方法
EP2742094A1 (en) 2012-01-20 2014-06-18 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition and method for producing same
CN104066785A (zh) * 2012-01-20 2014-09-24 大金工业株式会社 氟橡胶组合物及其制造方法
CN104066786A (zh) * 2012-01-20 2014-09-24 大金工业株式会社 氟橡胶组合物及其制造方法
JP2014527088A (ja) * 2012-01-20 2014-10-09 ダイキン工業株式会社 フッ素ゴム組成物、及び、その製造方法
US9403954B2 (en) 2012-01-20 2016-08-02 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition and method for producing same
EP3213897A1 (en) * 2012-01-20 2017-09-06 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber article obtainable from fluororubber composition
US9499678B2 (en) 2012-02-24 2016-11-22 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition
US9976016B2 (en) 2012-02-24 2018-05-22 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition
US11898661B2 (en) 2012-02-24 2024-02-13 Daikin Industries, Ltd. Fluororubber composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4089923B2 (ja) ゴム積層体及びその用途
JP5465175B2 (ja) (パー)フルオロエラストマー組成物
JP2509388B2 (ja) 含フッ素エラストマ―組成物
EP0034177B1 (en) Vulcanizable blend of bromine-containing fluoropolymer and fluorosilicone gum
JP2509345B2 (ja) 高い引張強度を有するフッ素ゴム加硫組成物
JPH07196881A (ja) 含フッ素系エラストマー加硫組成物
EP0796897B1 (en) Low compression-set rubber composition
KR101643423B1 (ko) 가황성 플루오로엘라스토머 조성물
EP0314786B1 (en) Fluorine-containing elastomer and its moldings
EP0634456A1 (en) Vulcanizable fluoroelastomer composition
JPH0711087A (ja) フッ素系エラストマー組成物
JP2679729B2 (ja) 加硫可能な組成物
JP2549255B2 (ja) 含フッ素エラストマー
JP3001755B2 (ja) 含フッ素エラストマー
WO1996034901A1 (fr) Elastomere fluore
JPH07118349A (ja) 含フッ素エラストマー
JPH04258614A (ja) 含フッ素エラストマー
JP3134534B2 (ja) フッ素ゴム加硫用組成物および加硫フッ素ゴム
JPH04293950A (ja) シリコーンゴムパウダー含有含フッ素エラストマー加硫組成物
JP2894353B2 (ja) フッ素ゴム加硫組成物
EP0824121A1 (en) Fluoroelastomer
JPH01135854A (ja) 押出加工用フッ素ゴム組成物
JPH07196878A (ja) パーオキサイド架橋可能な低硬度フッ素ゴム加硫組成物
JPH05186654A (ja) 硬化容易な含フッ素エラストマー加硫組成物
JPH08231803A (ja) フッ素ゴム組成物