JPH062491Y2 - 移植開孔器の固着土壌除去装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、移植面に穴をあけながら苗を植付ける移植
機における移植開孔器の固着土壌除去装置に関するもの
である。

従来の技術 従来、タバコやレタス及び白菜等の栽培においては、リ
ンク機構により昇降する移植開孔器を備えた移植機によ
る苗の植付け作業が行われている。ここで、移植開孔器
は苗を保持した状態で下降した際に移植面に突き刺さる
ことによって移植孔を形成し、上昇するタイミングで開
口することにより移植孔に苗を落下させ、苗の植付けを
行っている。

考案が解決しようとする課題 苗の植付け作業を続けるうちに移植開孔器の外周面には
土壌が付着して次第に固く固着する。そして、移植開孔
器の外周面に土壌が固着した状態で植付け作業を続ける
と、固着した土壌が移植孔の周縁部を崩して苗を埋めた
り、崩れた土が移植孔の底部に落下して苗の植付け深さ
が一定しなくなるとともに傾いた植付け状態となる。そ
して、このような状態で植付けられた苗は成育が悪くな
り、収穫量の低下となっている。

そこで、移植開孔器の外周面に固着した土壌を除去する
ことが必要となり、この除去作業は専ら作業者が手作業
で行っている。このため、非常に手間がかかるとともに
植付け作業の作業能率が悪くなり、また、除去作業を腰
をかがめた姿勢で行うために作業者の疲労が増大してい
る。

所定の軌跡を描いて昇降するとともに所定の間隔で移植
面に突き刺さって苗の移植を行う移植開孔器を有する後
輪駆動の移植機において、前記移植開孔器が昇降する軌
跡の前後方向に位置させるとともに前記移植開孔器の昇
降過程において前記移植開孔器の外周面に干渉する位置
に位置させて一対の土壌除去体を設け、少なくとも後方
側に位置する前記土壌除去体を上方へ移動自在に設ける
とともに上方へ移動した前記土壌除去体を保持する保持
機構を設けた。

作用 移植開孔器が昇降する過程において、土壌除去体が移植
開孔器の外周面に干渉し、移植開孔器の外周面に付着し
た土壌が自動的に除去される。また、圃場の端部で移植
機を回行させる際には後輪を支点として移植機を後傾姿
勢とするが、このとき、側方側の土壌除去体を上方へ移
動させて保持機構により保持しておくことにより、土壌
除去体が圃場の移植面に干渉することが防止される。

実施例 本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。後輪駆動
の移植機１はシャーシ２の前部にはエンジン３が搭載さ
れ、シャーシ２の略中央部にはミッションケース４が固
定されている。ミッションケース４の上部には入力軸５
が設けられるとともに前記エンジン３には出力軸６が設
けられ、入力軸５に固定された入力プーリ７と出力軸６
に固定された出力プーリ８との間には動力伝達用のＶベ
ルト９が巻回されている。前記ミッションケース４の下
部には前記移植機１の進行方向と直交する左右方向水平
向きの軸心を有する車軸１０が設けられ、車軸１０の両
端部にはそれぞれ伝動ケース１１の上部が車軸１０の軸
心回りに回動自在に連結されている。伝動ケース１１の
下部には回転軸１２が設けられ、この回転軸１２には後
輪１３が連結されている。なお、前記伝動ケース１１内
には前記車軸１０から前記回転軸１２に動力を伝達する
スプロケットやチェーン等が収納されている。また、前
記伝動ケース１１には前方へ延出する前輪軸１４が連結
され、この前輪軸１４の先端部には前輪１５が取付けら
れている。

前記シャーシ２の略中央部には伸縮自在な油圧シリンダ
１６とこの油圧シリンダ１６により駆動されるとともに
前記伝動ケース１１を前記車輪１０の軸心回りに回動さ
せるリンク機構１７とが設けられている。また、前記シ
ャーシ２の後部にはハンドル１８が連結され、さらに、
前記エンジン３からの駆動力により所定の水平面内で回
転するロータリポット１９が設けられている。

つぎに、後方に延出するとともに前記エンジン３からの
駆動力により昇降するリンク機構２０が設けられ、この
リンク機構２０の後端部には前記ロータリポット１９の
下方に位置するとともに所定の楕円軌跡を描いて昇降す
る移植開孔機２１が連結されている。この移植開孔器２
１は、前記ロータリポット１９から落下された苗を受取
る筒体２２及び前後方向に開閉自在な一対の分割バケッ
ト２３，２４等から構成されている。

前記シャーシ２の後部には後方に延出するとともに前記
ハンドル１８の下方に位置する左右一対のステー２５が
固定されており、これらのステー２５には前記移植開孔
器２１の昇降軌跡を囲む前後に位置して略コの字形の取
付ステー２６，２７がピン２８により前後方向回動自在
に連結されている。また、前記取付ステー２６，２７に
は、前記移植開孔器２１が昇降する軌跡の前後方向に位
置する板状の土壌除去体２９，３０がボルト３１により
固定され、これらの土壌除去体２９，３０における前記
分割バケット２３，２４の外周面に対向する部分には前
記分割バケット２３，２４の外周面にそう形状した円弧
状の切欠部３２が形成されている。

つぎに、前記取付ステー２６，２７と前記ステー２５と
の間には前記土壌除去体２９，３０の切欠部３２を前記
分割バケット２３，２４の外周面に当接する向きに付勢
するスプリング３３が張設されている。また、前記ステ
ー２５の後端部には上方に向けて突出するステー３４が
固定され、ステー３４の上端部には、前記取付ステー２
７をピン２８の回りに上方へ回動させた際にこの取付ス
テー２７が当接するストッパーピン３５が固定されてい
る。なお、取付ステー２７がストッパーピン３５に当接
した状態においては、第３図に示すようにスプリング３
３の付勢力は取付ステー２７をストッパーピン３５に当
接させる向きに作用しており、これらのスプリング３３
とステー３４とストッパーピン３５とにより取付ステー
２７及び土壌除去体３０を上方に回動させた位置で保持
する保持機構３６が構成されている。

このような構成において、まず、苗の移植作業について
説明する。移植機１を畝を跨いだ状態に位置させて走行
させると、移植機１の走行に伴いエンジン３からの駆動
力によりロータリポット１９が回転するとともにリンク
機構２０に連結された移植開孔器２１が第５図に示すよ
うに楕円軌跡を描いて昇降する。移植開孔器２１は略最
上位置に上昇したタイミングでロータリポット１９から
落下された苗を受取り、下降時において畝の移植面に突
き刺さって移植孔をあけ、さらに、再び上昇を開始する
タイミングで分割バケット２３，２４を前後に開くこと
により形成した移植孔に苗を落下させ、苗の植付けを行
う。

つぎに、移植開孔器２１が移植面に突き刺さって移植孔
を形成した際に、分割バケット２３，２４の外周面には
土壌が付着する。ここで、土壌除去体２９，３０は取付
ステー２６，２７とともにピン２８を支点として前後方
向に回動自在であり、かつ、スプリング３３によって分
割バケット２３，２４の外周面に当接する向きに付勢さ
れている。このため、第５図に示すように、移植開孔器
２７が上昇する際には後方側の土壌除去体３０が分割バ
ケット２４の上端部から下端部までの全体に当接し、分
割バケット２４の外周面に付着した土着が自動的に除去
される。同様に、移植開孔器２１が下降する際には前方
側の土壌除去体２９が分割バケット２３の下端部から上
端部までの全体に当接し、分割バケット２３の外周面に
付着した土壌が自動的に除去される。しかも、土壌除去
体２９，３０の分割バケット２３，２４の外周面への当
接は移植開孔器２１が昇降する都度行われ、分割バケッ
ト２３，２４の外周面に土壌が付着した状態で移植孔の
形成を行うということがなく、分割バケット２３，２４
の外周面に付着した土壌が移植孔の周縁部に干渉して移
植孔を崩したり、植付けた苗を埋めたりするということ
が防止される。

つぎに、圃場の端部において移植機１を回行させる場合
について説明する。移植機１の回行は、第２図に示すよ
うにハンドル１８を下方へ押し下げ、後輪１３を支点と
して移植機１を後傾させるとともに前輪１５を持ち上げ
た状態で行う。ここで、移植機１を回行させる場合に
は、後方側の取付ステー２７をピン２８を支点として上
方へ回動させる。第２図及び第４図に示すように取付ス
テー２７をピン３５に当接する位置まで回動させると、
スプリング３３の支点越えの原理により取付ステー２７
はピン３５に当接した状態に保持される。このため、取
付ステー２７及び土壌除去体３０が上方へ移動した状態
となり、移植機１を後傾させても取付ステー２７や土壌
除去体３０が畝に干渉して畝を崩すということが防止さ
れる。

考案の効果 この考案は、上述のように移植開孔器が昇降する軌跡の
前後方向に位置させるとともに移植開孔器の外周面に干
渉する位置に位置させて一対の土壌除去体を設けたこと
により、移植開孔器が昇降する過程において移植開孔器
の外周面を土壌除去体に干渉させることによって移植開
孔器の外周面に付着した土壌の除去を自動的に行うこと
ができ、これにより、移植開孔器の外周面に付着した土
壌が移植孔の周縁を崩したり植付けた苗を埋めたりする
ことを防止し、苗の成育を向上させて収穫の増大を図る
ことができ、また、手作業による付着土壌の除去作業を
不要として苗の植付け作業の能率を向上させることがで
きるとともに作業者の労力の軽減を図ることができ、さ
らに、後輪を支点とした後傾姿勢で行う移植器の回行の
際には、少なくとも後方側に位置する土壌除去体を上方
へ移動させるとともに保持機構によって保持することに
より、土壌除去体が圃場の移植面に干渉することを防止
することかでき、回行をスムーズに行うことができると
ともに植付けた苗を埋めたりすることを防止することが
できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は移植機
全体を示す側面図、第２図は回行時における移植機を示
す側面図、第３図は後方側の土壌除去体を拡大して示す
斜視図、第４図は後方側の土壌除去体を上方へ回動させ
て保持した状態を拡大して示す斜視図、第５図は土壌除
去体による付着土壌の除去行程を示す説明図である。 １…移植機、２１…移植開孔器、２９，３０…土壌除去
体、３６…保持機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所定の軌跡を描いて昇降するとともに所定
   の間隔で移植面に突き刺さって苗の移植を行う移植開孔
   器を有する後輪駆動の移植機において、前記移植開孔器
   が昇降する軌跡の前後方向に位置させるとともに前記移
   植開孔器の昇降過程において前記移植開孔器の外周面に
   干渉する位置に位置させて一対の土壌除去体を設け、少
   なくとも後方側に位置する前記土壌除去体を上方へ移動
   自在に設けるとともに上方へ移動した前記土壌除去体を
   保持する保持機構を設けたことを特徴とする移植開孔器
   の固着土壌除去装置。