JPH06218915A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 転写型インクジェット記録装置で、転写ドラ
ム１からの記録紙５の剥離を確実に、安定的に行なうこ
とのできる動作信頼性の高いインクジェット記録装置を
実現すること。 【構成】 記録紙５の先端部が、誘導部材４に支持され
た後に、加圧ローラ３が転写ドラム１を押圧する。従っ
て、記録紙５の先端部は転写ドラム１とは密着状態にな
い。このため、記録紙５の先端部を誘導部材４で誘導す
ることで、記録紙５は転写ドラム１から容易に剥離させ
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、転写媒体上にインク像
を形成した後、記録媒体に転写し、記録媒体上にインク
像を得るインクジェット記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】転写型インクジェットプリンタは、記録
紙や紙粉と記録ヘッドとの意図しない接触に起因するノ
ズル目詰まりがなく、高い信頼性が得られるという特徴
を有する。このような転写型インクジェットプリンタと
しては、米国特許４５３８１５６号公報、米国特許５０
９９２５６号公報、特開昭６２−９２８４９号公報に記
載されている構成が知られている。

【０００３】これらの装置においては、円筒状転写媒体
に対し、間隙を介して、複数のノズルを有するインクジ
ェット記録ヘッド（以後、記録ヘッドと呼ぶ）が設けら
れている。記録工程は、転写媒体へインク像を書き込む
書き込み工程と、記録媒体である記録紙を転写媒体に当
接させ、背後から押圧することによって、記録紙上にイ
ンク像を転写する転写工程から構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の装置では、転写
媒体からの記録紙の剥離が難しいという課題を有してい
た。すなわち、転写媒体から記録紙へのインク像転写は
圧力を印加することによって行なわれるため、転写工程
を経た転写媒体と記録紙との間は密着状態にあり、急速
に剥そうとすると、記録媒体と転写媒体の間の密着部が
負圧となって、剥離を阻止する圧力が作用する。さらに
インク像の接着剤効果により両者の間に付着力が作用す
る。特に転写残りや転写時の像の欠落の無い高画質の転
写を実現するためには、高い圧力を加える必要があり、
転写媒体と記録紙の付着力は大きくなる。

【０００５】また、米国特許４５３８１５６号公報の装
置のように、転写媒体へ１ページ分のインク像書き込み
の後、記録紙に転写する場合、転写媒体は、記録領域の
大きさを確保するために十分大きい径の円筒となるた
め、必然的に小さい曲率の転写媒体から記録紙を剥離す
る必要があり、信頼性高く剥離を行なうことが一層困難
であった。

【０００６】本発明は、この問題を解決するもので、そ
の目的は、転写媒体からの記録紙の剥離を確実に、安定
的に行なうことのできる動作信頼性の高いインクジェッ
ト記録装置を実現することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録装置は、選択的にインク滴の吐出制御可能な、複数
のノズルを有する記録ヘッドと、このインク滴を担持
し、かつ記録ヘッドに対して間隙を介して移動する転写
媒体と、この転写媒体から記録媒体にインク像を転写す
る転写手段である加圧部材と、この加圧部材を転写媒体
に対し、押圧と押圧解除とを制御する押圧制御手段と、
上記転写媒体と上記加圧部材の対向部に記録媒体を搬送
する記録媒体搬送手段と、上記転写媒体と上記記録媒体
との間に入り込み、この記録媒体の先端部を支持し、上
記加圧部材を押圧後、転写動作に併せて、記録媒体の移
動方向に所定量移動する記録媒体先端誘導部材とを有し
ている。

【０００８】また、請求項２記載のインクジェット記録
装置は、前記転写媒体の非記録領域に断付き部を設けた
ことを特徴としている。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、記録媒体先端誘導部材が記
録媒体と転写媒体の間に入り込み、記録媒体の先端部を
支持しているため、記録媒体先端部は転写媒体とは密着
状態にない。したがって、この記録媒体の先端部を誘導
することで、記録媒体を転写媒体から容易に剥離させる
ことができる。

【００１０】

【実施例】以下実施例に従って本発明のインクジェット
記録装置を説明する。

【００１１】図１は第１実施例のインクジェットプリン
タの側断面図を示す。図２は本実施例の特徴を示す部分
詳細図である。図３は本実施例の特徴を示す部分動作図
である。

【００１２】転写媒体である転写ドラム１の周囲に、イ
ンクジェット方式の記録ヘッド２、加圧部材である加圧
ローラ３、記録媒体先端誘導部材である誘導部材４が順
次配置されている。さらに記録媒体である記録紙５を加
圧ローラ３と転写ドラム１との対向部３２に搬送する給
紙装置５１（記録媒体搬送手段）及びインク像転写後の
記録紙５を排出する排紙装置５２を備えている。転写ド
ラム１の回転方向を矢印Ａ、加圧ローラ３の回転方向を
矢印Ｂ、誘導部材４の移動方向を矢印Ｃでそれぞれ示し
ている。

【００１３】記録ヘッド２は圧電素子を用いる形式のイ
ンクジェット記録ヘッドであり、図４に示すように複数
のノズル２０を転写ドラム１の軸方向に一定の間隔で有
している。本実施例の場合、記録ヘッド２は１６／６０
０インチピッチで５１２個のノズル２０を有しており、
転写ドラム１が矢印Ａ方向に１回転する間に記録ヘッド
２が矢印Ｅ方向に１／６００インチ移動できる構造であ
る。

【００１４】転写ドラム１は、熱良導体であるアルミニ
ウム製の素管１１の周囲に、表面層１２として硬度６０
度程度のフロロシリコーンゴムを積層したものである。
表面層１２は、インク像を剥離し易い性質を持つことが
望ましい。

【００１５】加圧ローラ３はアルミニウムの金属ローラ
であり、押圧制御手段である押圧モータ３１により、転
写ドラム１と間隔を介して対向する押圧解除状態、圧力
をもって転写ドラム１に当接される押圧状態の２つの状
態に制御が可能である。インク像の転写時は記録紙５を
転写ドラム１に押圧する。転写荷重は、本実施例では約
１０ｋｇ重である。

【００１６】誘導部材４は、固定板４２に厚さ０．４ｍ
ｍのステンレス鋼帯よりなる誘導板４１が固定されて構
成されている。そして、誘導モータ４３からの動力が、
減速歯車を介して伝えられ、前後（図中矢印Ｃ）に移動
可能に構成されている。また、誘導部材４の移動速度
は、転写ドラム１の周速度と同等に設定されている。

【００１７】インクは、インク溶媒である純水に、顔料
を、エマルジョン、界面活性剤等の添加物とともに分散
したものである。具体的には、顔料としてカーボンブラ
ック３ｗｔ％、エマルジョンとしてスチレン−アクリル
共重合体エマルジョン８ｗｔ％、保湿剤としてグリセリ
ン８ｗｔ％、水溶性樹脂としてポリビニルピロリドン６
ｗｔ％、界面活性剤を１ｗｔ％、さらに防腐剤等を適宜
数ｗｔ％添加して調整したインクを用いた。

【００１８】次に、動作について説明する。

【００１９】まず転写ドラム１上へのインク像の書き込
み工程について説明する。書き込み工程中、加圧ローラ
３は、押圧モータ３１により、転写ドラム１と間隔を介
して対向する押圧解除状態（図中３’）にある。転写ド
ラム１が図示しない駆動手段により矢印Ａ方向に回転を
開始する。インク容器２１よりインクが供給された記録
ヘッド２の複数ノズル２０から、選択的にインク滴を吐
出し、転写ドラム１上にインク像の記録が行なわれる。
本実施例では、図４に示したように記録ヘッド２は１６
／６００インチピッチで５１２本のノズル２０を有して
いるため、転写ドラム１が矢印Ａ方向に１回転する間
に、転写ドラム１上に１６／６００インチの間隔で５１
２ライン分のインクドット列が形成される。転写ドラム
１が１回転する間に記録ヘッド２は図４に示した矢印Ｅ
方向に１／６００インチ移動し、その後、転写ドラム１
が２回転目に入る。これにより、転写ドラム１の１回転
目と同様に、１６／６００インチの間隔で転写ドラム１
の１回転目に形成されたインクドット列に隣接した５１
２ライン分のインクドット列が形成される。同様にし
て、転写ドラム１が１６回転することによりインクドッ
ト列群で形成された１ページ分のインク像が転写ドラム
１上に形成される。この時、加圧ローラ３が転写ドラム
１表面に接触することが無いため、順次形成されたイン
ク像が傷つけられることがなく、転写ドラム１上の記録
領域１５に高画質なインク像を得ることができる。転写
ドラム１の１７回転目には、転写ドラム１の非記録領域
１６が加圧ローラ３との対向部３２で静止する。

【００２０】続いて、転写ドラム１に担持したインク像
を記録紙５に転写する転写工程にはいる。転写工程で
は、まず誘導モータ４３を駆動し、誘導部材４を加圧ロ
ーラ３と転写ドラム１との対向部３２へ移動させ、対向
部３２を２ｍｍ程前方へ通過したところで停止し、記録
紙５の搬送に備える。続いて、給紙装置５１を駆動し、
記録紙５の搬送を開始する。記録紙５の先端部が加圧ロ
ーラ３と転写ドラム１との対向部３２を通過して、対向
部３２を２ｍｍ程後方へ通過したところで搬送を停止す
る。記録紙５の先端部には、非画像領域がわずかにあ
り、誘導部材４との重なり部分は画像データの無い部分
であり、転写ドラム１上の非記録領域１６に位置してい
る。次に、加圧ローラ３を転写ドラム１に押圧する。押
圧モータ３１の駆動により、加圧ローラ３は記録紙５と
誘導部材４を介して、転写ドラム１を約１０ｋｇ重で押
圧する。そして、転写ドラム１を回転させ、転写ドラム
１上のインク像を記録紙５に転写する。このとき、誘導
部材４は記録紙５の先端部を支えながら、転写ドラム１
の回転に同期して対向部３２後方に移動する（図３参
照）。誘導部材４が対向部３２を通過した後は、加圧ロ
ーラ３の圧力によって、転写ドラム１上のインク像が記
録紙５に転写される。誘導部材４の先端の誘導板４１は
厚さ０．４ｍｍのステンレス鋼帯よりなり、厚さが薄い
ことと、転写ドラム１の表面層１２が比較的柔らかなフ
ロロシリコーンであることにより、誘導部材４はスムー
ズに対向部３２を通過することができる。誘導部材４
は、記録紙５の先端部を支持しながら転写ドラム１より
後方に離れ、一定の間隔で停止し、転写ドラム１から記
録紙５の剥離を行う。

【００２１】転写後、記録紙５は誘導部材４、記録紙案
内板５３で案内されて排紙装置５２により排出される。
本実施例の装置では、記録紙５の先端部を誘導部材４で
支持した上から、加圧ローラ３が転写ドラム１を押圧す
る。このため、転写工程を経た記録紙５の先端部は転写
ドラム１とは密着状態にない。密着した記録紙５の剥離
では、密着部が負圧状態になるため、急速にこれを剥離
させることが難しい。これに対し本装置では、記録紙５
の先端は密着していないため、記録紙５の先端部を誘導
部材４によって誘導することで、記録紙５を転写ドラム
１から容易に剥離させることができる。

【００２２】本発明の第２実施例について図５を用いて
説明する。図５は第２実施例のインクジェットプリンタ
の側断面詳細図である。

【００２３】第１実施例と同様に、転写媒体である転写
ドラム１の周囲に、インクジェット方式の記録ヘッド
２、加圧部材である加圧ローラ３、記録媒体先端誘導部
材である誘導部材４５が順次配置されている。さらに記
録媒体である記録紙５を加圧ローラ３と転写ドラム１と
の対向部３２に搬送する給紙装置５１及びインク像転写
後の記録紙５を排出する排紙装置５２を備えている。転
写ドラム１の回転方向を矢印Ａ、加圧ローラ３の回転方
向を矢印Ｂ、誘導部材４５の移動方向を矢印Ｃでそれぞ
れ示している。

【００２４】記録ヘッド２及びインク、加圧ローラ３の
構成は第１実施例と同様であるので詳細な説明を省略す
る。

【００２５】転写ドラム１は、第１実施例と同様に金属
素管１１の周囲に表面層１２を有している。本実施例の
場合、表面層１２は材料硬度が９５度であり、転写ドラ
ム１の非記録領域１６に特徴がある。誘導部材４５を接
近させるため、非記録領域１６の表面層１２の一部を切
り欠いて、段付きに構成している。切り欠き部分の深さ
は１ｍｍである。

【００２６】誘導部材４５は、１ｍｍの鋼板を用いてい
る。第１実施例と同様に誘導モータ４３からの動力が、
減速歯車を介して伝えられ、前後（図中矢印Ｃ）に移動
可能に構成されている。さらに第１実施例と同様に、誘
導部材４５の移動速度は、転写ドラム１の周速度と同等
に設定されている。

【００２７】動作を説明する。転写ドラム１上へのイン
ク像書き込み工程は、第１実施例と同様であるので省略
する。そして同様に、転写ドラム１の１７回転目には、
転写ドラム１の非記録領域１６が加圧ローラ３との対向
部３２で静止する。

【００２８】転写工程では、まず誘導部材４５が加圧ロ
ーラ３と転写ドラム１との対向部３２へ移動し、転写ド
ラム１の表面層１２の切り欠き部分に入り込み停止す
る。続いて、給紙装置５１を駆動し、記録紙５の搬送を
開始する。記録紙５の先端部が加圧ローラ３と転写ドラ
ム１との対向部３２を通過して、誘導部材４５で記録紙
５の先端部が支持されたときに搬送を停止する。次に、
加圧ローラ３を転写ドラム１に押圧する。押圧モータ３
１を駆動し、加圧ローラ３は記録紙５と誘導部材４５を
介して、転写ドラム１を約１０ｋｇ重で押圧する。そし
て、転写ドラム１を回転させ、転写ドラム１上のインク
像を記録紙５に転写する。このとき、誘導部材４５は記
録紙５の先端部を支えながら、転写ドラム１の回転に同
期して対向部３２後方に移動し、一定の間隔のところで
停止し、転写ドラム１から記録紙５の剥離を行う。

【００２９】本実施例の装置においても、第１実施例と
同様に、転写工程を経た記録紙５の先端部は転写ドラム
１とは密着状態にないため、記録紙５の先端部を誘導部
材４５によって誘導することで、記録紙５は転写ドラム
１から容易に剥離させることができる。また、本実施例
の装置のように転写ドラム１の表面層１２を段付きに構
成したことで、転写ドラム１の表面層１２が比較的硬度
の高い材料の場合でも、記録紙５の先端の誘導部材４５
との重なり部分に、折れ又はしわ等ができず、安定した
記録ができる。

【００３０】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録装置によれ
ば、記録媒体の先端部は、転写工程で転写媒体と加圧部
材とが当接・加圧する前に誘導部材によって支持されて
いる。従って、転写媒体と記録媒体先端は密着状態にな
い。このため、記録媒体の先端部を誘導部材により支持
し、転写媒体と同期して移動することで、記録媒体は転
写媒体から容易に剥離させることができる。

【００３１】従って、転写媒体からの記録紙の剥離を確
実に、安定的に行なうことのできる動作信頼性の高いイ
ンクジェット記録装置を実現することができるという効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例であるインクジェットプリ
ンタの側断面図である。

【図２】本発明の第１実施例であるインクジェットプリ
ンタの部分詳細図である。

【図３】本発明の第１実施例であるインクジェットプリ
ンタの部分動作図である。

【図４】本発明の第１実施例であるインクジェットプリ
ンタに於ける記録ヘッドの正面から見た略図である。

【図５】本発明の第２実施例であるインクジェットプリ
ンタの側断面詳細図である。

【符号の説明】

１ ：転写ドラム（転写媒体） １２ ：表面層 ２ ：記録ヘッド ３ ：加圧ローラ（加圧手段） ３１ ：押圧モータ（押圧制御手段） ４、４５ ：誘導部材（記録媒体先端誘導部材） ４３ ：誘導モータ ５ ：記録紙（記録媒体） １５ ：記録領域 １６ ：非記録領域 ５１ ：給紙装置（記録媒体搬送手段） ５２ ：排紙装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 選択的にインク滴の吐出制御可能な、複
   数のノズルを有する記録ヘッドと、このインク滴を担持
   し、かつ記録ヘッドに対して間隙を介して移動する転写
   媒体と、この転写媒体から記録媒体にインク像を転写す
   る転写手段である加圧部材と、この加圧部材を転写媒体
   に対し、押圧と押圧解除とを制御する押圧制御手段と、
   上記転写媒体と上記加圧部材の対向部に記録媒体を搬送
   する記録媒体搬送手段とを有し、 上記転写媒体と上記記録媒体との間に入り込み、この記
   録媒体の先端部を支持し、上記加圧部材を押圧後、転写
   動作に併せて、記録媒体の移動方向に所定量移動する記
   録媒体先端誘導部材を有することを特徴とするインクジ
   ェット記録装置。
2. 【請求項２】 前記転写媒体の非記録領域に前記記録媒
   体先端誘導部材が入り込む段付き部を設けたことを特徴
   とする請求項１記載のインクジェット記録装置。