JPH06145344A - ポリアミドエラストマーの製造方法 - Google Patents

ポリアミドエラストマーの製造方法

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JPH06145344A
JPH06145344A JP30256392A JP30256392A JPH06145344A JP H06145344 A JPH06145344 A JP H06145344A JP 30256392 A JP30256392 A JP 30256392A JP 30256392 A JP30256392 A JP 30256392A JP H06145344 A JPH06145344 A JP H06145344A
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elastomer
reaction
diisocyanate
diol
mmol
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JP30256392A
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English (en)
Inventor
Yuzuru Ishibashi
譲 石橋
Kiyoshi Kawakami
潔 川上
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ウレタン結合を含まない耐熱性の良いポリアミ
ドエラストマーを、従来より工程が簡単で、大量の溶媒
を必要とせずに製造できる方法を提供する。 【構成】溶媒もしくはラクタムの存在下で、150〜2
80℃の温度において、ジイソシアネートとジカルボン
酸とジオールとを反応させた後、未反応成分を除去し、
次いで200〜300℃の温度で減圧下でさらに反応さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れるととも
に、他の合成樹脂との混和性にも優れたポリアミドエラ
ストマーの製造方法に関し、さらに詳しく言えば、他の
各種合成樹脂にブレンドすることにより、その樹脂の成
形性を改良したり、その樹脂に優れた耐衝撃性や帯電防
止性を付与することのできる、熱安定性に優れたポリア
ミドエラストマーを効率良く製造するための方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】耐熱性の良いポリアミドエラストマーと
しては、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリ
エーテルジオールまたはポリエステルジオールからなる
ソフトセグメントとが、エステル結合で連結されたポリ
エ−テルエステルアミドや、これらがアミド結合で連結
されたポリエ−テルアミドがある。
【0003】このようなポリアミドエラストマーは、ハ
ードセグメントをなすポリアミドの構造によっては、ス
チレン系樹脂やポリカーボネート樹脂等との相容性が良
いために、改質剤としてこれらの樹脂にブレンドするこ
とが提案されている。そして、このようなポリアミドエ
ラストマーの製造方法としては、予め両末端が水酸基で
あるポリエーテルジオールとジカルボン酸とを反応させ
て、両末端にカルボキシル基を有するプレポリマーを合
成し、このプレポリマーと、ジイソシアネートおよびジ
カルボン酸とを溶媒の存在下で反応させる方法が、米国
特許第4,129,715号明細書に開示されている。
【0004】しかしながら、この方法では、前述のよう
に、予めポリエーテルジオールにおける両末端の水酸基
をカルボキシル基に変換する必要があるため、工程数が
多くなるとともに、プレポリマーとジイソシアネートお
よびジカルボン酸との反応において大量の溶媒が必要で
あるため、経済的でないという欠点を有していた。ま
た、この方法では、ポリエーテルジオールにおける水酸
基のカルボキシル基への変換が完全に行われずに、プレ
ポリマー中に未反応の水酸基が残存することが多く、こ
の水酸基に基づくウレタン結合の混在により、得られる
ポリアミドエラストマーの熱安定性が劣るという問題点
を有していた。
【0005】このような問題点を改善する方法として、
前述の、ポリエーテルジオールにおける両末端の水酸基
をカルボキシル基に変換するためのジカルボン酸とし
て、無水フタル酸や無水コハク酸等の特定のジカルボン
酸を使用することにより、カルボキシル基への変換が完
全に行われるようにすることが、特開平2−13833
7号公報に開示されている。
【0006】この方法によれば、ウレタン結合が生じな
いため、得られるポリアミドエラストマーの熱安定性は
改善されるが、工程数が多いことと、反応に大量の溶媒
が必要であることは依然として改善されない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術が有する解決すべき課題に着目してなされたも
のであり、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポ
リエーテルジオールからなるソフトセグメントとからな
るポリアミドエラストマーのうち、エラストマー中にウ
レタン結合が混在しない耐熱性の良いもの(ポリアミド
からなるハードセグメントと、ポリエーテルジオールか
らなるソフトセグメントとが、エステル結合で連結され
たポリエ−テルエステルアミド)を、効率良く製造する
ための方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の方法は、〔A〕ジイソシアネートと、
〔B〕ジカルボン酸と、〔C〕ポリオキシアルキレング
リコールからなるジオールと両末端に水酸基を有する炭
化水素からなるジオールとの中から選ばれた少なくとも
一種類のジオールであって、数平均分子量が400〜6
000であるものと、〔D〕ラクタムとを、溶媒の存在
下または非存在下で、150〜280℃の温度により、
生成する水および炭酸ガスを反応系外に除去しながら反
応させた後、未反応成分を除去し、次いで200〜30
0℃の温度で減圧下においてさらに反応させることを特
徴とするものである。
【0009】請求項2の方法は、前述の〔D〕成分がε
−カプロラクタムであることを特徴とするものである。
請求項3の方法は、〔A〕ジイソシアネートと、〔B〕
ジカルボン酸と、〔C〕ポリオキシアルキレングリコー
ルからなるジオールと両末端に水酸基を有する炭化水素
からなるジオールとの中から選ばれた少なくとも一種類
のジオールであって、数平均分子量が400〜6000
であるものとを、溶媒の存在下または非存在下で、15
0〜280℃の温度により、生成する水および炭酸ガス
を反応系外に除去しながら反応させた後、未反応成分を
除去し、次いで200〜300℃の温度で減圧下におい
てさらに反応させることを特徴とするものである。
【0010】請求項4の方法は、前記請求項1〜3にお
いて、前記〔A〕成分が芳香族ジイソシアネートである
ことを特徴とする。請求項1〜3の〔A〕成分であるジ
イソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジ
イソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネー
ト、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テト
ラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソ
シアネートや、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族または脂環
式のジイソシアネートが挙げられる。
【0011】これらは単独で用いてもよいし、二種類以
上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、芳香族
ジイソシアネートが好ましく、これを用いた場合、得ら
れるポリアミドエラストマーの耐熱性が高くなるととも
に、他の樹脂との相容性がよくなる。特に、ジフェニル
メタン残基を有するジイソシアネートであると好適であ
る。
【0012】請求項1〜4の〔B〕成分であるジカルボ
ン酸としては、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂
肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられ
るが、これらのうち、脂肪族ジカルボン酸が、特に好適
に用いられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】請求項1〜4の〔C〕成分であるジオール
のうちポリオキシアルキレングリコールからなるものと
しては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコ
ール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等が
用いられる。なお、これらに、他のジオール類、例えば
ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ヒドロキノンなどをエーテル成分として共
重合したものも用いることができる。
【0014】また、両末端に水酸基を有する炭化水素か
らなるジオール成分としては、オレフィンやブタジエン
を重合して末端を水酸基化し、かつその二重結合を水素
添加することにより得られるポリオレフィングリコール
や、水添ポリブタジエングリコールが挙げられる。さら
に、ビスフェノール−Aやビスフェノール−Sのエチレ
ンオキサイド付加物、ハイドロキノンのエチレンオキサ
イド等の低分子量ジオール類をも少量であれば併用する
ことができる。
【0015】これらのジオール類のうち、ポリオキシエ
チレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック
共重合体や、これらを二種類以上組み合わせたものが、
比較的広い分子量範囲において、高分子量で透明なエラ
ストマーを得ることができる点で好ましい。請求項1〜
4の〔C〕成分であるジオールの数平均分子量は400
〜6000の範囲とする。400未満では得られるエラ
ストマーの融点が低くなって固まりにくいものとなり、
数平均分子量が6000を超えると、重合反応中に粗大
相分子を起こして高分子量のエラストマーが合成しにく
くなる。前記数平均分子量の好ましい範囲は1000〜
3000である。複数のジオールを使用する場合は、構
成比によって各ジオールの数平均分子量を決め、全体の
数平均分子量が前記範囲内になるようにする。
【0016】請求項1および2の〔D〕成分であるラク
タムは、ポリアミドエラストマーにおけるポリアミドセ
グメントの一部を構成するものであり、例えば、α−ピ
ロリドン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、ζ−
エナントラクタム、η−カプリルラクタム、ω−ラウリ
ンラクタム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
いし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】これらのうち、ε−カプロラクタム、ω−
ラウリンラクタムが反応性が良いため、特に好ましい。
請求項1および2の方法では、以上のような〔A〕〜
〔D〕成分について、各モル数をそれぞれa,b,c,
dとした時に、得られるポリアミドエラストマー中にお
ける各成分の割合が、下記の(1)〜(3)式を満たす
ように仕込み、特定の条件下で反応させることが、機械
的特性のよい高分子量のエラストマーを得るためには好
ましい。
【0018】 0.9≦b/(a+c)≦1.1 ……(1) 0.1≦a/c≦10 ……(2) 0<d/a≦20 ……(3) ここで(1)式は、〔B〕ジカルボン酸の、〔A〕ジイ
ソシアネートと〔C〕ジオールとの合計に対するモル比
を0.9以上,1.1以下とすることを示している。こ
の値が前記範囲以外であると、高分子量のエラストマー
が得られない。この値は1.0以上,1.1以下である
ことがより好ましく、1.0〜1.08であることが特
に好ましい。
【0019】(2)式は、〔A〕ジイソシアネートの
〔C〕ジオールに対するモル比を0.1以上,10以下
とすることを示している。この値が0.1未満である
と、ジイソシアネートとジカルボン酸とで形成されるポ
リアミド部分が少なくなって、得られるエラストマーが
固まり難いものとなり、10を超えると重合反応中に相
分離が起きて高分子量のエラストマーが得られなくな
る。この値は、1以上5以下がより好ましく、1以上3
以下であることが特に好ましい。
【0020】(3)式は、〔D〕ラクタムの〔A〕ジイ
ソシアネートに対するモル比を20以下とすることを示
している。この値が20を超えると、ラクタムに基づく
ポリアミド部分が多くなりすぎて、ジイソシアネートと
ジカルボン酸とで形成されるポリアミド部分によるエラ
ストマーの耐熱性および他の樹脂との良好な混和性が発
現しなくなる。この値は、0.5以上,10以下にする
ことがより好ましく、さらに好ましくは0.5以上,5
以下にするのがよい。
【0021】請求項1および2の方法では、〔A〕〜
〔D〕の各成分を、溶媒の存在下または非存在下で、1
50〜280℃の温度により、生成する水および炭酸ガ
スを反応系外に除去しながら反応させた後、未反応成分
を除去し、次いで200〜300℃の温度で減圧下にお
いてさらに反応させる。この方法では、反応物質として
含有するラクタムが溶媒としての作用も有するため、必
ずしも後述の溶媒を使用しなくてもよい。
【0022】請求項3の方法では、〔A〕〜〔C〕の各
成分を、溶媒の存在下で、150〜280℃の温度によ
り、生成する水および炭酸ガスを反応系外に除去しなが
ら反応させた後、未反応成分を除去し、次いで200〜
300℃の温度で減圧下においてさらに反応させる。こ
の方法では、ラクタムを含有させないため、溶媒の存在
下で反応させる。
【0023】使用可能な溶媒としては、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセチルアミド、N
−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラ
クタム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチ
ルスルホキシド、テトラメチレンスルホン(通称『スル
ホラン』)、ジフェニルスルホン、γ−ブチロラクト
ン、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチ
ルプロピレンウレア等が挙げられ、これらを単独で、ま
たは複数種類を混合して用いることができる。
【0024】また、必要に応じて上記以外の溶媒、例え
ば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン等を希釈剤として用いることができる。溶媒の使
用量は、原料および反応生成物を溶解させて均質な反応
系を維持できる量であればよく、通常、生成ポリマーに
対して等量以下であればよい。請求項1〜4の各方法に
おいては、必要に応じてジイソシアネートの反応性を高
くするための触媒を用いることができる。このような触
媒としては、アルアリ金属またはアルカリ土類金属の水
酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸
塩、2−フェニル−1,3−ジフェニル−1,3−ジア
ゾホスホリジン−2−オキサイドのようなリン化合物、
三級アミン類、アルカリ金属のアルコラート類やラクタ
メート類などが挙げられるが、ジオール類のエステル化
反応を阻害しない化合物を選定して使用する。
【0025】請求項1〜4の各方法においては、エステ
ル化反応を促進する触媒を使用することが好ましい。こ
のような触媒としては、チタニウムテトラブトキサイト
のようなチタニウムテトラアルコキサイドや、シュウ酸
チタンカリのようなシュウ酸チタン金属塩等のチタン系
触媒、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズラウレー
ト、モノブチルスズオキサイドのようなスズ系触媒、ジ
ルコニウムテトラブトキサイド、ジルコニウムイソプロ
ポキサイドのようなジルコニウム系触媒、ハフニウムテ
トラエトキサイドのようなハフニウム系触媒、三酸化ア
ンチモンのようなアンチモン系触媒、および酢酸鉛のよ
うな鉛系触媒が挙げられる。
【0026】これらの中で、チタン、ジルコニウム、お
よびハフニウムの各アルコキサイドからなる触媒が、活
性が高くて特に好ましい。これらの触媒は、単独で用い
てもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。こ
れらの触媒は、他の原料と一緒に仕込んでもよいし、未
反応物を除去する前に、または除去した後に添加しても
よいが、アルコキサイドを用いる場合には、アルコキサ
イドが加水分解により失活しやすいため、大部分のエス
テル化反応が終了した段階で、すなわち未反応物を除去
する直前または除去した後に添加することが好ましい。
【0027】そして、請求項1〜4の各方法において
は、前述の〔A〕〜〔D〕成分、必要に応じた前述の溶
媒、ジイソシアネートの反応性を高める触媒、エステル
化触媒を混合した後、150〜280℃の温度で、生成
する水および炭酸ガスを反応系外へ除去しながら反応さ
せる。これらの物質を除去する方法としては、例えば、
不活性ガスを系内に導入したり、系内を若干減圧にする
ことが採用できる。
【0028】このようにして、ジイソシアネートとジカ
ルボン酸とによりポリアミドを形成するポリアミド化反
応と、ジオールの水酸基とジカルボン酸のカルボキシル
基とによるエステル化反応とが進行し、これにより、未
反応成分を除去した段階において、粗大相分離のない均
質な反応系を維持することができる。この第一段階の反
応における反応温度が150℃未満であると、前記エス
テル化反応が起こり難いため、未反応成分を除去した段
階において、粗大相分離が起きて高分子量のエラストマ
ーが得られなくなる。280℃を超えると、ジイソシア
ネートの自己三量化反応やジオールの分解反応等の副反
応が起き易くなるため好ましくない。この第一段階の反
応時間は、反応温度によっても異なるが、概ね1〜10
時間とする。この第一段階の反応における好ましい反応
温度は200〜260℃であり、より好ましくは220
〜260℃とする。
【0029】また、請求項1〜4の各方法においては、
この第一段階の反応の前に、原料の一部を先に反応させ
ておくこともできる。例えば、予めジオールとジイソシ
アネートとを反応させたものに他の原料を添加して、1
50〜280℃の温度で、生成する水および炭酸ガスを
反応系外へ除去しながら反応させれば、一度生成したウ
レタン結合が分解して、前述のポリアミド化反応とエス
テル化反応とが進行する。また、ジイソシアネートとジ
カルボン酸とのポリアミドオリゴマー、またはラクタム
のポリアミドオリゴマーを予め生成しておき、次いで他
の原料と溶媒またはラクタムとを混合して同様の条件に
より反応させることもできる。これらの方法によれば、
ポリアミドセグメントの構造をより規則性の高いものに
することができる。
【0030】このような第一段階の反応が概ね完了した
後に、反応せずに残ったラクタムや溶媒を除去するが、
これは、反応器内を減圧にすることにより容易に行うこ
とができる。次に、第二段階として、200〜300℃
の温度で、減圧下においてさらに反応させる。すなわ
ち、前段階で得られたポリマーは、比較的分子量が低い
ため、この第二段階の反応により後重合して高分子量の
ポリマーとする。第二段階における反応温度が200℃
未満であると、反応速度が遅いため重合に時間がかかり
過ぎて経済的でなく、300℃を超えると反応物質が分
解するなどの好ましくない副反応が起きる可能性が高く
なる。また、第二段階の反応温度は220〜280℃で
あることが、圧力は20トール以下であることが好まし
く、特に圧力は2トール以下であることが好ましい。圧
力が20トール未満の高い減圧となると、重合時間が長
くなり過ぎて経済的でない。
【0031】この第二段階の反応時に、エステル化触媒
としてチタニウムアルコキサイドまたはジルコニウムア
ルコキサイド等を添加すると、反応時間を短縮できるた
め好ましい。さらに、得られるポリアミドエラストマー
の熱安定性を高めるために、各種の耐熱老化防止剤、酸
化防止剤等の耐熱安定剤を使用することができる。この
ような耐熱安定剤は、重合反応における初期、中期、ま
たは末期のどの段階で添加してもよい。
【0032】このような耐熱安定剤としては、例えば
N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシケイ皮酸アミド)、4,4’−ビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン等の各種ヒンダードフェノール類;N,
N’−ビス(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミ
ン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、
ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノ
リン)等の芳香族アミン類等が用いられる。
【0033】さらに、請求項1〜4の方法においては、
紫外線吸収剤や着色剤を添加して重合することもでき
る。
【0034】
【作用】請求項1から4の方法では、〔A〕〜〔D〕の
各成分を、溶媒の存在下または非存在下で、150〜2
80℃の温度により、生成する水および炭酸ガスを反応
系外に除去しながら反応させた後、未反応成分を除去
し、次いで200〜300℃の温度で減圧下においてさ
らに反応させることにより、ジイソシアネートとジカル
ボン酸とによりポリアミドを形成するポリアミド化反応
と、ジオールの水酸基とジカルボン酸のカルボキシル基
とによりエステル化反応とが優先的に起こって、得られ
るポリアミドエラストマー中にウレタン結合を混在させ
ない。これにより、ソフトセグメント(ポリジオール)
とハードセグメント(ポリアミド)とがエステル結合の
みで連結された熱安定性のよいエラストマーが得られ
る。
【0035】なお、請求項1および2においては、
〔D〕成分のラクタムを添加することにより、エラスト
マー中のポリアミドセグメントに、ジイソシアネートと
ジカルボン酸とで形成されるポリアミドとともに、ラク
タムに基づくポリアミドが入る。このラクタムに基づく
ポリアミドの存在により、ポリアミドセグメントの凝集
力が低下し、得られるポリアミドエラストマーの融点を
下げることができる。
【0036】このことは、得られるポリアミドエラスト
マーの成形温度を低くして成形性を高めることや、改質
剤として樹脂に混和する際に、エラストマーを相手樹脂
に合わせた融点とすることができるという効果をもたら
す。すなわち、一般に、芳香族ジイソシアネートとジカ
ルボン酸とで形成されるポリアミドは融点が高く、他の
理由から必要な組合せであっても、相手樹脂との融点差
が大きくて使用できないこともあったが、ラクタムの導
入により融点を下げることで、ジイソシアネートとジカ
ルボン酸との組合せの自由度が増すことになる。
【0037】また、請求項1および2においては、
〔D〕成分のラクタムの存在により溶媒を必ずしも使用
する必要がないため、経済的である。さらに、請求項2
では、〔D〕成分のラクタムを反応性のよいε−カプロ
ラクタムに限定したため、開環反応にかかる時間が短縮
される。加えて、請求項4では、〔A〕成分のジイソシ
アネートを芳香族ジイソシアネートに限定したため、得
られるエラストマーの耐熱性をさらに良くすることがで
きるとともに、得られるエラストマーを樹脂の改質剤と
した場合に、相手樹脂との混和性とをさらに良くするこ
とができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらにより何ら限定されるものではな
い。なお、エラストマーの各物性は次のようにして測定
した。 《相対粘度》エラストマー0.5gをメタクレゾールに
溶かし、100ミリリットルとした溶液により30℃で
測定した(加熱前)。また、エラストマーを不活性ガス
気流下において260℃の温度で20分間保持し、室温
まで冷却した後に、前記と同様にして相対粘度を測定
し、加熱前後の測定値を比較することにより、エラスト
マーの熱安定性を調べた。
【0039】《ヘイズ値》エラストマーをテフロンシー
トにはさんで、肉厚が1mmになるようにプレス成形し
たものをヘイズメーターにかけ、ASTM D1003
−61に準拠して測定した。 <実施例1>かき混ぜ機、窒素導入口、および留去管を
取り付けた300ミリリットルのガラス製反応器に、数
平均分子量840のポリオキシテトラメチレングリコー
ル73.2g(87.1ミリモル)、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート32.7g(131ミリモ
ル)、セバシン酸44.1g(218ミリモル)、N−
メチル−ε−カプロラクタム25.0g、およびペンタ
エリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.
24gを仕込み、窒素ガスを100ミリリットル/分で
流しながら250℃で3時間反応させた。
【0040】次いで、徐々に減圧してN−メチル−ε−
カプロラクタムを留去した後、常圧に戻してからジルコ
ニウムテトラブトキサイド0.4gを添加して、260
℃、1トールで1時間反応させた。反応器から溶融ポリ
マーをストランド状にして水中に抜き出して冷却し、ペ
レタイザーでカットして透明なポリアミドエラストマー
のチップを得た。
【0041】得られたエラストマーをIR分析した結
果、1650cm-1(νC=O )、3300cm
-1(νNH)の吸収が認められ、400MHzの 1H−N
MRによる分析でウレタン結合は認められなかった。ま
た、このエラストマーは、ポリオキシテトラメチレング
リコールの含有量が54重量%であって、ヘイズ値は8
%であった。相対粘度は、加熱前が1.80加熱後が
1.79であり、加熱前後における有意な差は認められ
なかった。 <実施例2>実施例1と同様の反応器に、数平均分子量
1830のポリオキシテトラメチレングリコール63.
2g(34.5ミリモル)、4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート17.3g(69.0ミリモル)、
1,10−デカンジカルボン酸23.9g(104ミリ
モル)、カプロラクタム12.0g(106ミリモ
ル)、スルホラン50g、三酸化アンチモン50mg、
およびペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕0.24gを仕込み、窒素ガスを100ミリリ
ットル/分で流しながら260℃で4時間反応させた。
【0042】次いで、徐々に減圧してスルホランと未反
応のカプロラクタムを留去した後、常圧に戻してからジ
ルコニウムテトラブトキサイド0.4gを添加して、2
60℃、1トールで1時間反応させた。以下、実施例1
と同様にして透明なポリアミドエラストマーのチップを
得た。得られたエラストマーをIR分析した結果、16
50cm-1(νC=O )、3300cm-1(νNH)の吸収
が認められ、400MHzの 1H−NMRによる分析で
ウレタン結合は認められなかった。
【0043】また、このエラストマーは、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの含有量が61重量%であっ
て、ヘイズ値は7%であった。相対粘度は、加熱前が
1.76、加熱後が1.76であり、加熱前後における
差は認められなかった。 <実施例3>実施例1と同様の反応器に、数平均分子量
1490のポリオキシエチレグリコール67.2g(4
5.1ミリモル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート28.3g(113ミリモル)、アジピン酸
23.1g(158ミリモル)、カプロラクタム37.
8g(335ミリモル)、および1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.4gを仕込み、窒
素ガスを100ミリリットル/分で流しながら250℃
で3時間反応させた。
【0044】次いで、徐々に減圧して未反応のカプロラ
クタムを留去した後、常圧に戻してからジルコニウムテ
トラブトキサイド0.5gを添加して、260℃、1ト
ールで1時間反応させた。以下、実施例1と同様にして
透明なポリアミドエラストマーのチップを得た。得られ
たエラストマーをIR分析した結果、1650cm
-1(νC=O )、3300cm-1(νNH)の吸収が認めら
れ、400MHzの 1H−NMRによる分析でウレタン
結合は認められなかった。
【0045】また、このエラストマーは、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの含有量が56重量%であっ
て、ヘイズ値は9%であった。相対粘度は、加熱前が
1.71、加熱後が1.71であり、加熱前後における
有意な差は認められなかった。 <実施例4>実施例1と同様の反応器に、数平均分子量
1490のポリオキシエチレグリコール67.2g(4
5.1ミリモル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート22.6g(90.1ミリモル)、セバシン
酸27.4g(136ミリモル)、カプロラクタム2
2.5g(199ミリモル)、および1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.4gを仕込
み、窒素ガスを100ミリリットル/分で流しながら2
50℃で3時間反応させた。
【0046】次いで、徐々に減圧して未反応のカプロラ
クタムを留去した後、減圧下でジルコニウムテトラブト
キサイド0.4gをカプロラクタム5gに溶かした液を
添加して、260℃、1トールで2時間反応させた。以
下、実施例1と同様にして透明なポリアミドエラストマ
ーのチップを得た。得られたエラストマーをIR分析し
た結果、1650cm-1(νC=O )、3300cm
-1(νNH)の吸収が認められ、400MHzの 1H−N
MRによる分析でウレタン結合は認められなかった。
【0047】また、このエラストマーは、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの含有量が56重量%であっ
て、ヘイズ値は8%であった。相対粘度は、加熱前後と
もに2.01であり、加熱における低下は認められなか
った。 <実施例5>実施例1と同様の500ミリリットルの反
応器に、数平均分子量1490のポリオキシエチレング
リコール88.0g(59.1ミリモル)、ビスフェノ
ール−Aのエチレンオキサイド付加物5.6g(17.
1ミリモル)、セバシン酸62.3g(308ミリモ
ル)、カプロラクタム13.0g(115ミリモル)、
2−ピロリドン50g、および、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.4gを仕込み、1
20℃に加熱して融解した後、4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート57.2g(228ミリモル)を
添加し、窒素ガスを100ミリリットル/分で流しなが
ら260℃で3時間反応させた。
【0048】次いで、徐々に減圧して2−ピロリドンと
未反応のカプロラクタムを留去した後、常圧に戻してか
らジルコニウムテトラブトキサイド0.4gを添加し
て、260℃、1トールで2.0時間反応させた。以下
前記と同様にして透明なポリアミドエラストマーのチッ
プを得た。得られたエラストマーをIR分析した結果、
1650cm-1(νC=O )、3300cm-1(νNH)の
吸収が認められ、400MHzの 1H−NMRによる分
析でウレタン結合は認められなかった。
【0049】また、このエラストマーは、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの含有量が44重量%であっ
て、ヘイズ値は8%であった。相対粘度は、加熱前後と
もに1.74であり、加熱における低下は認められなか
った。 <実施例6>実施例5と同様の反応器に、数平均分子量
990のポリオキシエチレングリコール80.0g(8
0.8ミリモル)、セバシン酸66.0g(327ミリ
モル)、カプロラクタム19.0g(168ミリモ
ル)、2−ピロリドン50g、および1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.4gを仕込
み、120℃に加熱して融解した後、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート60.6g(242ミリモ
ル)を添加し、以下、実施例5と同様にして透明なポリ
アミドエラストマーのチップを得た。
【0050】得られたエラストマーをIR分析した結
果、1650cm-1(νC=O )、3300cm
-1(νNH)の吸収が認められ、400MHzの 1H−N
MRによる分析でウレタン結合は認められなかった。ま
た、このエラストマーは、ポリオキシテトラメチレング
リコールの含有量が41重量%であって、ヘイズ値は9
%であった。相対粘度は、加熱前後ともに1.83であ
り、加熱における低下は認められなかった。 <実施例7>数平均分子量3370のポリオキシエチレ
ングリコール72.0g(21.4ミリモル)、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート10.7g
(42.7ミリモル)セバシン酸13.0g(64.3
ミリモル)、カプロラクタム36.0g(319ミリモ
ル)、N−メチル−ε−カプロラクタム25g、および
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
0.4gを仕込んだ以外は、実施例3と同様にして反応
させた。
【0051】次いで、徐々に減圧して、未反応のカプロ
ラクタムとN−メチル−ε−カプロラクタムとを留去し
た後、減圧下で、ジルコニウムテトラブトキサイド0.
4gをカプロラクタム5gに溶かした液を添加し、26
0℃1トールで2時間重合した。以下、実施例1と同様
にして、透明なポリアミドエラストマーのチップを得
た。
【0052】得られたエラストマーをIR分析した結
果、1650cm-1(νC=O )、3300cm
-1(νNH)の吸収が認められ、400MHzの 1H−N
MRによる分析でウレタン結合は認められなかった。ま
た、このエラストマーは、ポリオキシテトラメチレング
リコールの含有量が58重量%であって、ヘイズ値は3
4%であった。相対粘度は、加熱前後ともに1.83で
あり、加熱における低下は認められなかった。 <実施例8>数平均分子量1490のポリオキシエチレ
ングリコール67.2g(45.1ミリモル)、2,6
−トリレンジイソシアネート15.7g(90.1ミリ
モル)セバシン酸27.4g(136ミリモル)、カプ
ロラクタム35.1g(311ミリモル)、N,N’−
ヘキサメチレン−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシケイ皮酸アミド)0.4gを仕込み、窒素
ガスを100ミリリットル/分で流しながら230℃で
5時間反応させた。
【0053】次いで、徐々に減圧して未反応のカプロラ
クタムを留去した後、常圧に戻してからジルコニウムテ
トラブトキサイド0.4gを添加して、240℃、1ト
ールで4時間反応させた。以下、実施例1と同様にして
透明なポリアミドエラストマーのチップを得た。得られ
たエラストマーをIR分析した結果、1650cm
-1(νC=O )、3300cm-1(νNH)の吸収が認めら
れ、400MHzの 1H−NMRによる分析でウレタン
結合は認められなかった。
【0054】また、このエラストマーは、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの含有量が58重量%であっ
て、ヘイズ値は7%であった。相対粘度は、加熱前が
1.86、加熱後が1.85であり、加熱前後における
有意な差は認められなかった。 <実施例9>数平均分子量990のポリオキシエチレン
グリコール82.1g(82.7ミリモル)、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート20.7g(8
2.7ミリモル)、イソフタル酸27.5g(166ミ
リモル)、カプロラクタム12.3g(109ミリモ
ル)、N−メチル−ε−カプロラクタム25g、三酸化
アンチモン50mg、およびペンタエリスリチル−テト
ラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕0.4gを仕込んだ以外
は実施例2と同様にして反応させた。
【0055】次いで、徐々に減圧してN−メチル−ε−
カプロラクタムと未反応のカプロラクタムを留去した
後、常圧に戻してからチタニウムテトラブトキサイド
0.4gを添加して、270℃、1トールで1.5時間
反応させた。以下、実施例1と同様にして透明なポリア
ミドエラストマーのチップを得た。得られたエラストマ
ーをIR分析した結果、1650cm-1(νC=O )、3
300cm-1(νNH)の吸収が認められ、400MHz
1H−NMRによる分析でウレタン結合は認められな
かった。
【0056】また、このエラストマーは、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの含有量が64重量%であっ
て、ヘイズ値は9%であった。相対粘度は、加熱前後と
もに1.96であり、加熱における低下は認められなか
った。 <比較例1>この例は、従来のプレポリマーを経由する
方法によるものである。
【0057】実施例1と同様の500ミリリットルの反
応器に数平均分子量840のポリオキシテトラメチレン
グリコール73.2g(87.1ミリモル)、セバシン
酸35.2g(174ミリモル)、スルホラン25g、
三酸化アンチモン50mg、およびペンタエリスリチル
−テトラキス〔3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート0.24gを仕込み、窒素
ガスを100ミリリットル/分で流しながら250℃で
5時間反応させて、まず、プレポリマーを合成した。
【0058】次いで、前記反応器の内容物をすべて1リ
ットルの反応器に移し、セバシン酸8.80g(43.
5ミリモル)、塩化リチウム50mg、およびスルホラ
ン350gを添加してから、反応系内を窒素ガスで置換
した後、190℃に昇温して各原料を溶解させ、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート32.7g
(131ミリモル)を添加し、190℃で3時間攪拌を
続けた後、大量の水中に注いで凝固させた。凝固したポ
リマーを瀘別し、エタノールで洗浄した後、40℃の真
空乾燥機で乾燥させた。
【0059】250℃で5時間反応させた段階のプレポ
リマーを400MHzの 1H−NMRで分析した結果、
未反応の水酸基の存在が認められた。また、得られたエ
ラストマーをIR分析した結果、1650cm-1(ν
C=O )、3300cm-1(νNH)の吸収が認められ、4
00MHzの 1H−NMRによる分析でウレタン結合が
認められた。得られたエラストマーは、ポリオキシテト
ラメチレングリコールの含有量が54重量%であって、
ヘイズ値は8%であった。相対粘度は、加熱前が1.7
2、加熱後が1.61であり、加熱によって分子量の低
下が認められた。 <比較例2>この例は、第二段階の反応における温度範
囲が本発明の方法の範囲外にあるものである。
【0060】実施例1と同様の反応器に、数平均分子量
840のポリオキシテトラメチレングリコール73.2
g(87.1ミリモル)、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート32.7g(131ミリモル)、セバ
シン酸44.0g(218ミリモル)、スルホラン50
g、塩化リチウム50mg、三酸化アンチモン50m
g、およびペンタエリスリチル−テトラキス〔3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート0.24gを仕込み、窒素ガスを100ミリリット
ル/分で流しながら190℃で8時間反応させた。
【0061】次いで、減圧にしてスルホランを除去した
後、常圧に戻してジルコニウムテトラブトキサイド0.
4gを添加し、さらに190℃で8時間反応させた。得
られたエラストマーをIR分析した結果、1650cm
-1(νC=O )、3300cm-1(νNH)の吸収が認めら
れ、400MHzの 1H−NMRによる分析でウレタン
結合が認められた。
【0062】このエラストマーは、ポリオキシテトラメ
チレングリコールの含有量が54重量%であって、ヘイ
ズ値は15%であった。また、相対粘度は加熱前で1.
41であり、分子量の小さなものであった。 <比較例3>この例は、第一段階の反応における温度範
囲が本発明の方法の範囲外にあるものである。
【0063】実施例1と同様の反応器に、数平均分子量
1490のポリオキシエチレングリコール67.2g
(45.1ミリモル)、4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネート22.6g(90.1ミリモル)、セバ
シン酸27.4g(136ミリモル)、カプロラクタム
22.5g(199ミリモル)、スルホラン50g、塩
化リチウム50mg、三酸化アンチモン50mg、およ
び1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン0.4gを仕込み、窒素ガスを100ミリリットル/
分で流しながら140℃で8時間反応させた。
【0064】次いで、20分間で260℃に昇温し、徐
々に減圧にして未反応のカプロラクタムとスルホランと
を留去したところ、粗大相分離を起こして白色の粘土状
物が得られた。その後、減圧下でジルコニウムテトラブ
トキサイド0.4gをカプロラクタム5gに溶かした液
を添加し、260℃、1トールで、5時間攪拌を行っ
た。
【0065】得られたエラストマーをIR分析した結
果、1650cm-1(νC=O )、3300cm
-1(νNH)の吸収が認められ、400MHzの 1H−N
MRによる分析でウレタン結合がわずかに認められた。
このエラストマーは、ポリオキシテトラメチレングリコ
ールの含有量が61重量%であって、ヘイズ値を測定す
るまでなく不透明で脆いものであった。相対粘度は加熱
前で1.21であり、分子量の小さなものであった。
【0066】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1から
4の方法によれば、得られるポリアミドエラストマー中
にウレタン結合を混在させないともに、エラストマーの
分子量を大きくすることができるため、ソフトセグメン
ト(ポリジオール)とハードセグメント(ポリアミド)
とがエステル結合のみで連結された熱安定性のよいエラ
ストマーが、従来と比べて単純な工程で効率良く、大量
の溶媒を必要とせずに得られるという効果がある。
【0067】特に、請求項1および2においては、エラ
ストマー中のポリアミドセグメントに、ジイソシアネー
トとジカルボン酸とで形成されるポリアミドとともに、
ラクタムに基づくポリアミドが入ることで得られるポリ
アミドエラストマーの融点を下げることができるため、
得られるポリアミドエラストマーの成形温度を低くして
成形性を高めることや、改質剤として樹脂に混和する際
に、エラストマーを相手樹脂に合わせた融点とすること
ができるという効果をもたらす。また、請求項1および
2においては、〔D〕成分のラクタムの存在により溶媒
を必ずしも使用する必要がないため、経済的である。
【0068】さらに、請求項2では、〔D〕成分のラク
タムを反応性のよいε−カプロラクタムに限定すること
により、開環反応にかかる時間が短縮されるため、経済
的であるという効果も有する。加えて、請求項4では、
請求項1〜3における〔A〕成分のジイソシアネートを
芳香族ジイソシアネートに限定したため、得られるエラ
ストマーの耐熱性をさらに良くすることができるととも
に、得られるエラストマーを樹脂の改質剤とした場合
に、相手樹脂との混和性とをさらに良くすることができ
る。
【0069】したがって、請求項1〜4の方法により、
他の各種合成樹脂にブレンドすることで、その樹脂の成
形性を改良したり、その樹脂に優れた耐衝撃性や帯電防
止性を付与することのできる、熱安定性に優れたポリア
ミドエラストマーを効率良く製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔A〕ジイソシアネートと、〔B〕ジカ
    ルボン酸と、〔C〕ポリオキシアルキレングリコールか
    らなるジオールと両末端に水酸基を有する炭化水素から
    なるジオールとの中から選ばれた少なくとも一種類のジ
    オールであって、数平均分子量が400〜6000であ
    るものと、〔D〕ラクタムとを、 溶媒の存在下または非存在下で、150〜280℃の温
    度により、生成する水および炭酸ガスを反応系外に除去
    しながら反応させた後、未反応成分を除去し、次いで2
    00〜300℃の温度で減圧下においてさらに反応させ
    ることを特徴とするポリアミドエラストマーの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記〔D〕成分がε−カプロラクタムで
    ある請求項1に記載のポリアミドエラストマーの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 〔A〕ジイソシアネートと、〔B〕ジカ
    ルボン酸と、〔C〕ポリオキシアルキレングリコールか
    らなるジオールと両末端に水酸基を有する炭化水素から
    なるジオールとの中から選ばれた少なくとも一種類のジ
    オールであって、数平均分子量が400〜6000であ
    るものとを、 溶媒の存在下で、150〜280℃の温度により、生成
    する水および炭酸ガスを反応系外に除去しながら反応さ
    せた後、未反応成分を除去し、次いで200〜300℃
    の温度で減圧下においてさらに反応させることを特徴と
    するポリアミドエラストマーの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記〔A〕成分が芳香族ジイソシアネー
    トである請求項1〜3のいずれか一つに記載のポリアミ
    ドエラストマーの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013108098A (ja) * 2013-03-11 2013-06-06 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 分岐構造を導入したポリアミド4共重合体及びその製造方法

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