JPH0952950A - 親水性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

親水性フィルムおよびその製造方法

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JPH0952950A
JPH0952950A JP20452695A JP20452695A JPH0952950A JP H0952950 A JPH0952950 A JP H0952950A JP 20452695 A JP20452695 A JP 20452695A JP 20452695 A JP20452695 A JP 20452695A JP H0952950 A JPH0952950 A JP H0952950A
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JP
Japan
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film
molecular weight
high molecular
polyether polyester
weight polyether
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JP20452695A
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English (en)
Inventor
Terunori Matsushita
輝紀 松下
Hiroshi Ito
宏 伊藤
Hiroya Kobayashi
博也 小林
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性及び安全性の問題がなく工業的に安価
に効率よく製造可能な高分子量ポリエーテルポリエステ
ルを含んで成る機械的強度に優れた親水性フィルムを提
供することである。 【解決手段】 ポリアルキレンオキサイドと、4価カル
ボン酸もしくはその塩または4価カルボン酸の無水物と
を反応させて得られる高分子量ポリエーテルポリエステ
ルを含んでなるフィルムであって、該フィルムの破断強
度が50kgf/cm2以上でかつ該フィルムの破断伸
び率が100%以上である親水性フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量ポリエー
テルポリエステルを含んでなる親水性フィルムおよびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から親水性フィルムの原料として
は、高分子量ポリエーテルポリエステルが知られてい
る。このような高分子量ポリエーテルポリエステルの製
造法としては、分子量3万以下のポリアルキレンオキサ
イドをカルボン酸ジエステルを鎖延長剤と用いて高分子
量化反応を行い高分子量ポリエーテルポリエステルを得
る方法が、特公平5−68493号公報等に開示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記公報等に開示され
ている合成法で得られる高分子量ポリエーテルポリエス
テルは、分子量が10万以上に達しているにもかかわら
ず、該高分子量ポリエーテルポリエステルから得られた
フィルムは、フィルムの破断伸び率が100%未満であ
り、非常に脆いフィルムである。したがって、そのフィ
ルムの使用範囲が限られている。さらに、前記合成法で
は、反応の過程で縮合反応を伴うので減圧が必須であ
り、減圧設備および縮合物の回収・処理コストが生産効
率を大きく低下させる。したがって、この方法で得られ
るポリマーを原料に親水性フィルムを成形すると非常に
高価なものになってしまう。
【0004】本発明の目的は、前記の高分子量ポリエー
テルポリエステルを含んでなる親水性フィルムの問題点
を解決するためになされたものであり、加工性及び安全
性の問題がなく工業的に安価に効率よく製造可能な高分
子量ポリエーテルポリエステルを含んで成る、機械的強
度に優れた親水性フィルムを提供することである。
【0005】また本発明の他の目的は、前記の親水性フ
ィルムを、工業的に安価に効率よく製造する方法を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリアルキレ
ンオキサイドと4価カルボン酸もしくはその塩または4
価カルボン酸の無水物とを反応させて得られる高分子量
ポリエーテルポリエステルを含んでなるフィルムであっ
て、該フィルムの破断強度が50kgf/cm2以上で
かつ該フィルムの破断伸び率が100%以上である親水
性フィルムである。
【0007】本発明の他の発明は、前記親水性フィルム
をフィルム成形機を用いて製造する方法であって、高分
子量ポリエーテルポリエステルを含んでなる樹脂を、前
記成形機出口温度が50℃〜250℃でフィルム状に押
し出し、次いで得られたフィルムを2秒〜5分の冷却時
間で−10℃〜45℃に冷却することを特徴とする親水
性フィルムの製造方法である。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】前記高分子量ポリエーテルポリエステルの
好ましい分子量は3万〜1,000万であり、より好ま
しくは4万〜100万、最も好ましくは5万〜50万で
ある。は、分子量が小さすぎると、機械的強度が不足す
るため成形加工できない。また、分子量が高すぎると、
製造時における反応時間が著しく長くなることおよび成
形加工時の高分子量変性ポリアルキレンオキサイドの溶
融粘度が高すぎて扱い辛くなり、実用的ではない。
【0010】前記高分子量ポリエーテルポリエステル
は、下記一般式(1):
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R1は炭素数2〜6の2価の有機
基、Rは炭素数4〜20の4価の有機基であり、M1
よびM2はいずれも、水素原子、金属原子、アンモニウ
ム基および有機アミン基から選ばれる1種であり、n=
25〜700である。)で示されるポリエーテル構造単
位を、分子中に80〜99.7重量%の範囲で有するこ
とが好ましい。
【0013】前記一般式(1)中のR1としては、炭素
数2〜6の2価の有機基であれば特に限定されないが、
具体的には、―CH2CH2―、―CH2―CH(CH3
―、―CH2CH2CH2CH2―、等の構造単位が挙げら
れ、これらの1種または必要に応じて2種以上を混合し
たものであってもよい。
【0014】前記一般式(1)中のRとしては、炭素数
4〜20の4価の有機基であれば特に限定されないが、
具体的には下記に示す一般式(2)または(3)等のR
を含む構造単位が挙げられ、これらの1種または必要に
応じて2種以上を混合したものであってもよい。
【0015】一般式(2):
【0016】
【化3】
【0017】一般式(3):
【0018】
【化4】
【0019】(一般式(2)および(3)中、R1は炭
素数2〜6の2価の有機基であり、M1およびM2はいず
れも、水素原子、金属原子、アンモニウム基および有機
アミン基から選ばれる1種であり、n=25〜700で
ある。) 前記一般式(1)中のM1およびM2はいずれも、水素原
子、金属原子、アンモニウム基および有機アミン基から
選ばれる1種であり、M1とM2とは同じでも異なってい
てもよい。前記金属原子としては、カルボキシル基と塩
を形成するものであれば特に限定はないが、具体的には
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜
鉛、チタン、ジルコニウム等が挙げられ、これらの1種
または必要に応じて2種以上を使用したものであっても
よい。前記有機アミン基としては、有機アミン類から由
来し、有機アミン類とカルボキシル基とから塩を形成し
てできる構造であれば特に限定はない。このような有機
アミン類の具体例としては、トリエチルアミン、ピリジ
ン、トリプロピルアミン、1,4―ジアザビシクロ
〔2,2,2〕オクタン、テトラメチルエチレンジアミ
ン等が挙げられ、これらの1種または必要に応じて2種
以上を使用したものであってもよい。
【0020】前記ポリエーテル構造単位が前記の範囲よ
り小さい場合、高分子量ポリエーテルポリエステル中に
ポリエステル構造単位が多くなり、高分子量ポリエーテ
ルポリエステルの親水性が低下してしまうことがある。
また前述の4価のカルボン酸の酸無水物のような高価な
物の使用比率が上がることは、経済的ではない。前記ポ
リエーテル構造単位が前記の範囲より大きい場合、高分
子量ポリエーテルポリエステルに含まれるポリエステル
構造単位が小さくなる。ポリエステル構造単位が小さく
成りすぎると、その構造単位に含まれるカルボキシル基
およびカルボン酸塩の含有量が低下し、カルボキシル基
およびカルボン酸塩の凝集力が不足して成形可能な高い
機械的強度が得られなくなることがある。
【0021】本発明に係る親水性フィルムは、該フィル
ムの破断強度が50kgf/cm2以上で、かつ該フィルムの
破断伸び率が100%以上である。前記フィルムの破断
強度については、好ましくは60kgf/cm2以上、さらに
好ましくは80kgf/cm2以上、最も好ましくは100kgf
/cm2以上である。前記破断強度がこの範囲より小さいフ
ィルムは、引っ張り強度が低いため、包装材等の実用的
な使用に耐えられず、フィルムが破裂してしまう。また
前記フィルムの破断伸び率については、好ましくは20
0%以上、好ましくは500%以上、最も好ましくは1
000%以上である。前記破断伸び率がこの範囲より低
いフィルムは、フィルムの弾力性が失われるためフィル
ムに力が加わったとき破断しやすくなり、包装材等の実
用的な使用に耐えられず、フィルムが破裂してしまう。
【0022】本発明において用いられる高分子量ポリエ
ーテルポリエステルの合成原料として用いるポリアルキ
レンオキサイドは、特に制限はなく、例えば、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラエチレングリコール、ポリエピクロルヒドリン、さら
にはこれらの共重合物等があげられるが、ポリエチレン
グリコールが最も好ましい。原料となるポリアルキレン
オキサイドの分子量の好ましい分子量は300〜30,
000であり、より好ましくは700〜25,000、
最も好ましくは1,500〜20,000である。該ポ
リアルキレンオキサイドの分子量は高いほど好ましく、
あまり低い分子量のポリアルキレンオキサイドを原料に
用いて鎖延長反応を行うと好ましい高分子量ポリエーテ
ルポリエステルの分子量範囲まで分子量を上げるまで著
しく時間がかかり、実用的ではない。
【0023】本発明において用いられる4価カルボン酸
は、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロ
メリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、p−ターフ
ェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、
1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ナ
フタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、3,
4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、2,3,
4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、3,
3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン
酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,
3,5,6−テトラカルボン酸等が挙げられ、これらの
中から一種または二種以上を用いてもよい。
【0024】また本発明において用いられる4価カルボ
ン酸塩は、例えば前記4価カルボン酸の金属塩またはア
ンモニウム塩等が挙げられるが、前記4価カルボン酸お
よび該カルボン酸と塩を形成する物質を反応させて得ら
れるものであれば特に限定はない。前記4価カルボン酸
と塩を形成する物質としては、金属、アミン類等が挙げ
られ、該金属の具体例としては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム、ラジウム、チタン、ジルコニウム、ハフ
ニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、タ
ングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、
コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、銅、銀、
亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、イ
ンジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、
鉛、アンチモン、ビスマス、スカンジウム等があげら
れ、該アミン類の具体例としては、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリプロピルアミン、アンモニア、
ピリジン、ピロリジン、ピロール、ジメチルアミン、ジ
エチルアミン、ジプロピルアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン、ヒドラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミ
ン、エタンアミン、アニリン、トルイジン、アリルアミ
ン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、3,3’−イミノビス
(プロピルアミン)、2−エチルヘキシルアミン、3−
(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エ
トキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジ
エチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシ
ルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テ
トラメチルエチレンジアミン、トリ−n−オクチルアミ
ン、t−ブチルアミン、2−ブチルアミン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、ピコリン、ビニルピリジン、ピペコリン、ピペラジ
ン、ピペリジン、ピラジン等があげられる。また、2価
以上金属やアミン類を用いた場合、高分子量ポリエーテ
ルポリエステル分子内のカルボン酸と架橋していてもし
ていなくても良い。前記カルボン酸塩は、高分子量ポリ
エーテルポリエステルの合成時または合成後に、金属単
体、金属化合物およびアミン化合物を添加することで合
成される。このようにカルボン酸塩にすることで、pH
調整および高分子量ポリエーテルポリエステルの機械的
強度の増強がはかれる。
【0025】また、本発明において用いられる4価カル
ボン酸の無水物は、ブタン−1,2,3,4−テトラカ
ルボン酸二酸無水物、二無水ピロメリット酸、ビフェニ
ルテトラカルボン酸二酸無水物、p−ターフェニル3,
4,3’,4’−テトラカルボン酸二酸無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二酸
無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボ
ン酸二酸無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラ
カルボン酸二酸無水物,3,4,9,10−ペリレンテ
トラカルボン酸二酸無水物、2,3,4,5−テトラヒ
ドロフランテトラカルボン酸二酸無水物、3,3’,
4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,
3,5,6−テトラカルボン酸二酸無水物等が挙げら
れ、これらの中から一種または二種以上を用いてもよ
い。なかでも、好ましいのは、ブタン−1,2,3,4
−テトラカルボン酸二酸無水物および/または二無水ピ
ロメリット酸が、前記ポリアルキレンオキサイドとの反
応性が高く生産効率が向上する点で好ましい。
【0026】本発明で用いられる高分子量ポリエーテル
ポリエステルの原料に前記4価カルボン酸を用いる場合
には、例えば前記ポリアルキレンオキサイド中の水酸基
1モルに対して、前記4価カルボン酸中のカルボキシル
基を1.0〜3.0モルになるように仕込んで、反応圧
0.03MPa以下、反応温度70〜250℃で反応さ
せることにより高分子量ポリエーテルポリエステルが合
成される。
【0027】また本発明で用いられる高分子量ポリエー
テルポリエステルの原料に用いる前記4価カルボン酸塩
を用いる場合には、例えば前記ポリアルキレンオキサイ
ドと前記4価カルボン酸の酸無水物に、金属化合物、ア
ンモニアまたは前記有機アミン化合物を混合させること
により高分子量ポリエーテルポリエステルが合成され
る。前記金属化合物としては、前述した金属からなる酸
化物、カルボン酸塩、金属アルコキシド、炭酸塩、水酸
化物、水素化物、過酸化物、過酸化物、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩、リン酸塩、亜硫酸塩、炭化物等があげられ
る。
【0028】前記金属化合物、アンモニアまたは有機ア
ミン化合物は、低分子量ポリアルキレンオキサイドと4
価カルボン酸無水物の反応時に添加しても良いし、前記
ポリアルキレンオキサイドと前記4価カルボン酸無水物
を反応させて、前記一般式(1)におけるMが水素原子
である高分子量ポリエーテルポリエステルを合成した
後、添加しても良いが、低分子量ポリアルキレンオキサ
イドと多価酸無水物の反応時に、前記金属化合物、アン
モニアまたは有機アミン化合物を添加する方が、反応時
間の短縮および生産工程の簡略化のため好ましい。この
合成の際の反応温度及び反応条件は、前記の4価カルボ
ン酸を用いた場合と同じである方が好ましい。前記金属
化合物、アンモニアまたは有機アミン化合物の使用量
は、特に限定はないが、前記一般式(1)で示される高
分子量ポリエーテルポリエステルに含まれる有機基Rに
対して0.1〜3.0倍モルの範囲で含まれることが好
ましい。
【0029】また本発明で用いられる高分子量ポリエー
テルポリエステルの原料に前記4価カルボン酸の無水物
を用いる場合には、例えば前記ポリアルキレンオキサイ
ド中の水酸基1モルに対して、前記4価カルボン酸の無
水物中の酸無水物基を0.5〜1.5モルになるように
仕込んで、反応圧0.094MPa以上、反応温度70
〜250℃で反応させることにより高分子量ポリエーテ
ルポリエステルが合成される。この場合のポリアルキレ
ンオキサイド中の水酸基1モルに対する4価カルボン酸
の酸無水物基のモル数は、0.5〜1.5モルの範囲で
あれば特に限定はないが、好ましくは、0.3〜1.8
モル、さらに好ましくは、0.5〜1.5モル、最も好
ましくは、0.8〜1.0モルである。モル仕込み比が
前述の範囲よりも小さいと、未反応のポリアルキレンオ
キサイドが生成ポリマー中に多く含まれるため、機械的
強度が低下する。また、前述の範囲より大きいと、4価
カルボン酸の酸無水物で封鎖されたポリアルキレンオキ
サイドが反応系内に多く生成するため、両末端を4価カ
ルボン酸の酸無水物で封鎖されたポリアルキレンオキサ
イドが、生成物中に数多く存在することになり、機械的
強度が低下する。この場合の反応温度は特に限定はない
が、好ましくは70〜250℃、さらに好ましくは、9
0〜200℃、最も好ましくは、100〜160℃であ
る。反応温度が前述の範囲にあると、反応を効率良く行
うことができ、熱による高分子量ポリエーテルポリエス
テルの劣化もほとんど起こらない。この場合の反応圧
は、0.094M以上、好ましくは大気圧下で行う。反
応圧が0.094MPaより小さいと、反応系は減圧状
態となり、得られる高分子量ポリエーテルポリエステル
中のカルボキシル基とポリアルキレンオキサイド中の水
酸基等との間で、副反応である脱水反応が促進され、副
生成物であるカルボキシル基がエステル化した生成物が
得られるため、高分子量ポリエーテルポリエステルのカ
ルボキシル価が低下し、高分子量ポリエーテルポリエス
テル分子間のカルボキシル基およびカルボン酸塩の凝集
力が失われ、機械的強度が著しく低下してしまう。ま
た、反応圧が大気圧以上の加圧状態で反応を行っても、
生成する高分子量ポリエーテルポリエステルに対する悪
影響は観られないため問題はないが、加圧反応を行うに
ための製造設備にかかるコストが増大し、生産効率が低
下してしまうため、大気圧下で反応を行うのがより好ま
しい。
【0030】本発明の親水性フィルムの成形方法につい
ては特に制限は無く、本発明のフィルム成形条件を満足
できるものであれば従来既知の如何なるフィルム製造方
法をも適用することができる。具体的には、インフレー
ション法、Tダイ法、カレンダー法等が挙げられる。
【0031】本発明の親水性フィルムをフィルム成形機
を用いて成形する場合の好ましい製造例を以下に述べ
る。
【0032】まず前記高分子量ポリエーテルポリエステ
ルを含んでなる樹脂を、フィルム成形機に該成形機出口
温度50℃〜250℃、好ましくは100℃〜180℃
で押し出す。成形機出口温度がこの範囲より高い場合に
は、樹脂の溶融粘度が非常に低く、インフレーションに
よる成形の場合には樹脂が自重を支えきれなくなるため
にフィルムの連続的な抜き取りが困難となる他、Tダイ
による成形の場合には表面張力によって押し出し後の溶
融フィルムの幅が狭くなったり、孔開き・膜切れ等の問
題が発生する。更に、高分子量ポリエーテルポリエステ
ルを含んでなる樹脂を200℃より高温に長時間保持す
れば樹脂の劣化を招く場合もあり、得られるフィルムの
品質の均一性を維持することが困難となるので好ましく
ない。また成形機出口温度がこの範囲より低い場合で
は、樹脂の溶融状態が不均一となるために均質なフィル
ムを得ることが困難となる他、樹脂の溶融粘度が高すぎ
るためにフィルムの生産性が著しく低下することがあ
る。
【0033】次に前記条件で押し出された溶融状態のフ
ィルムは、2秒〜5分、好ましくは5秒〜3分の冷却時
間で−10℃〜50℃、好ましくは0℃〜45℃に冷却
されフィルム化される。
【0034】さらに、成形機出口温度が100℃〜18
0℃でフィルム状に押し出し、得られたフィルムを5秒
〜3分の冷却時間で0℃〜45℃に冷却することによ
り、良好な表面平滑性、透明性、均一性及び機械的物性
を有する親水性フィルムを高い成形効率で製造すること
ができる。
【0035】本発明の親水性フィルムの厚さには特に制
限は無いが、柔軟でかつ強靱なフィルムを得るために
は、適度の厚さが必要であり、好ましいフィルムの厚さ
は2μm以上700μm以下であり、より好ましいフィ
ルムの厚さは5μm以上500μ以下であり、最も好ま
しいフィルムの厚さは10μm以上300μm以下であ
る。ただし、多層化する場合、重ね合わせる基材によっ
て必要な強度を確保できる場合には10μmよりも薄く
ても問題は無い。
【0036】本発明の親水性フィルムは、これに種々の
安定化剤、核剤、増量剤等の添加剤を混合した状態で成
形しても良い。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0038】(分子量)ゲルパーミエーションクロマト
グラフを用いてポリスチレン換算の数平均分子量を測定
した。
【0039】(引張試験)JIS K7121に準拠し
て、試験速度20mm/minで引張試験を行った。
【0040】(参考例1)100ミリリットルフラスコ
に数平均分子量20,000のポリエチレングリコール
を10部および二無水ピロメリット酸0.106部を仕
込み、4時間、大気圧下、150℃で高分子量化反応を
行った。得られた高分子量ポリエーテルポリエステル
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定結果か
ら、数平均分子量は12.6万であった。
【0041】(参考例2)100ミリリットルフラスコ
に数平均分子量13,000のポリエチレングリコール
を10部および二無水ピロメリット酸0.152部を仕
込み、4時間、大気圧下、150℃で高分子量化反応を
行った。得られた高分子量ポリエーテルポリエステル
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定結果か
ら、数平均分子量は9.1万であった。
【0042】(参考例3)1リットル卓上ニーダーに数
平均分子量14,000のポリエチエレングリコールを
500部、二無水ピロメリット酸7.7部および炭酸カ
ルシウムを4.02部を仕込み、30分、大気圧下、1
50℃で高分子量反応を行った。得られた高分子量ポリ
エーテルポリエステルは、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフ測定結果から、数平均分子量は11.1万であ
った。
【0043】(参考例4)1リットル卓上ニーダーに数
平均分子量13,000のポリエチエレングリコールを
500部、二無水ピロメリット酸7.9部および酸化亜
鉛を3.43部を仕込み、35分、大気圧下、140℃
で高分子量反応を行った。得られた高分子量ポリエーテ
ルポリエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フ測定結果から、数平均分子量は10.5万であった。
【0044】(参考例5)1リットル卓上ニーダーに数
平均分子量13,500のポリエチエレングリコールを
500部、二無水ピロメリット酸7.7部および酸化マ
グネシウムを1.67部を仕込み、30分、大気圧下、
150℃で高分子量反応を行った。得られた高分子量ポ
リエーテルポリエステルは、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフ測定結果から、数平均分子量は12.5万で
あった。
【0045】(参考例6)1リットル卓上ニーダーに数
平均分子量13,000のポリエチエレングリコールを
500部、二無水ピロメリット酸7.6部および1,4
−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを4.55部
を仕込み、30分、大気圧下、150℃で高分子量反応
を行った。得られた高分子量ポリエーテルポリエステル
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定結果か
ら、数平均分子量は10.4万であった。
【0046】(参考例7)1リットル卓上ニーダーに数
平均分子量14,000のポリエチエレングリコールを
500部および二無水ピロメリット酸7.5部仕込み、
30分、大気圧下、145℃で高分子量反応を行った。
得られたポリエーテルポリエステルに、さらに炭酸カル
シウムを4.02部を仕込み、そのまま30分加熱攪拌
を行うことにより得られた高分子量ポリエーテルポリエ
ステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定結
果から、数平均分子量は11.4万であった。
【0047】(参考例8)1リットル卓上ニーダーに数
平均分子量12,000のポリエチエレングリコールを
500部および二無水ピロメリット酸7.9部仕込み、
30分、大気圧下、155℃で高分子量化反応を行っ
た。得られたポリエーテルポリエステルに、さらに1,
4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを4.77
部を仕込み、そのまま30分加熱攪拌を行うことにより
得られた高分子量ポリエーテルポリエステルは、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフ測定結果から、数平均分
子量は10.8万であった。
【0048】(比較参考例1)100ミリリットルフラ
スコに数平均分子量20,000のポリエチレングリコ
ールを10部およびフタル酸ジメチル0.146部を仕
込み、4時間、0.1mmHgの減圧下、150℃で高
分子量化反応を行った。得られた高分子量ポリエーテル
ポリエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
測定結果から、数平均分子量は11.1万であった。
【0049】(実施例1)CS−194AV マックス
ミキシングエクストルーダー(カスタム・サイエンティ
フィック・インストルメンツ社製)を用い、ローター温
度100℃、軸回転数120回転/分、Tダイ温度11
5℃、Tダイクリアランス0.5mmの条件で、参考例
1で得られたポリスチレン換算数平均分子量12.6万
の高分子量ポリエーテルポリエステルを押し出し、4倍
に延伸しつつ、5℃の圧縮空気を吹き付けて約10秒間
でフィルム温度を15℃にまで冷却することによりフィ
ルムを得た。得られたフィルムの厚さ、装置方向の引張
破断強さ及び引張破断伸び率を表1に示した。
【0050】(実施例2〜8)参考例2〜8で得られた
高分子量ポリエーテルポリエステルを用いた以外は実施
例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの
厚さ、装置方向の引張破断強さ及び引張破断伸び率を表
1に示した。
【0051】(比較例1)ポリスチレン換算数平均分子
量7.7万のポリエチレンオキサイド(Aldrich製試
薬:平均分子量10万)を用いた以外は実施例1と同様
にしてフィルムを得た。
【0052】フィルム化を行ったところ、フィルム状の
物が得られたが、非常に脆く、引張破断強度は測定不能
であった。その結果を表1に示した。
【0053】(比較例2)比較参考例1で得られたポリ
スチレン換算数平均分子量11.1万の高分子量ポリエ
ーテルポリエステルを用いた以外は実施例1と同様にし
てフィルムを得た。
【0054】フィルム化を行ったところ、フィルム状の
物が得られたが、非常に脆く、引張破断強度は測定不能
であった。その結果を表1に示した。
【0055】実施例で得られる高分子量ポリエーテルポ
リエステルを含んでなるフィルムは、比較例に比べて数
平均分子量が同じぐらいでありながら、フィルムの機械
的強度が優れている。したがって、本実施例で得られる
高分子量ポリエーテルポリエステルを含んでなるフィル
ムは、強靱な親水性フィルムであることが明かである。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の高分子量ポリエーテルポリエス
テルを含んでなるフィルムは、良好な機械的物性を有し
ている。さらに、該フィルムは、工業的に安価に製造可
能であり、かつ加工性および安全性に優れているため、
各種包装材料等の材料として用いることが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンオキサイドと、4価カル
    ボン酸もしくはその塩または4価カルボン酸の無水物と
    を反応させて得られる高分子量ポリエーテルポリエステ
    ルを含んでなるフィルムであって、該フィルムの破断強
    度が50kgf/cm2以上でかつ該フィルムの破断伸
    び率が100%以上である親水性フィルム。
  2. 【請求項2】 前記高分子量ポリエーテルポリエステル
    が、下記一般式(1): 【化1】 (式中、R1は、炭素数2〜6の2価の有機基、Rは炭
    素数4〜20の4価の有機基であり、M1およびM2はい
    ずれも、水素原子、金属原子、アンモニウム基および有
    機アミン基から選ばれる1種であり、n=25〜700
    である。)で示されるポリエーテル構造単位を分子中に
    80〜99.7重量%の範囲で有する高分子量ポリエー
    テルポリエステルである請求項1記載の親水性フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の親水性フィルムを、フ
    ィルム成形機を用いて製造する方法であって、高分子量
    ポリエーテルポリエステルを含んでなる樹脂を、前記成
    形機出口温度が50℃〜250℃でフィルム状に押し出
    し、次いで得られたフィルムを2秒〜5分の冷却時間で
    −10℃〜45℃に冷却することを特徴とする親水性フ
    ィルムの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009191196A (ja) * 2008-02-15 2009-08-27 Sumitomo Chemical Co Ltd 安定化ポリ(アルキレンオキシド)の製造方法

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