JP3625971B2 - ポリエステルエラストマーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なポリエステルエラストマーの製造方法に関するものである。更に詳しくは、硬質成分として結晶性芳香族ポリエステルと軟質成分として脂肪族ポリエステルおよびイソシアネート化合物とからなるポリエステルエラストマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結晶性芳香族ポリエステルを硬質成分とするポリエステルエラストマーは古くから知られており、例えば米国特許第2623031号、同第3446778号等で開示されている。米国特許第2623031号の方法は、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとを溶融状態で混合するもので、相溶性の悪い両ポリエステルからエラストマーを得るためには長時間反応を行う必要があり、得られるポリマーの物性も十分な伸度を有していない等問題がある。
米国特許第3446778号は、非晶性脂肪族ポリエステルに若干量の芳香族酸を共重合させることで結晶性芳香族ポリエステルとの相溶性を改善し、さらにN−アシルポリラクタムまたはN−アシルポリアミドを用いて結合する。しかしながら、この方法で用いられる原料は非常に高価であり、また、ポリマーの色相を悪化させる原因になる。
【0003】
特公昭48−4115号、特公昭48−4116号、特公昭52−49037号では、芳香族ポリエステルとラクトン類を反応させる方法および多官能アシル化剤を反応させる方法が報告されている。しかし、これらの方法、特に固相重合を行う特公昭52−49037号の方法はラクトンの重合反応に長時間の反応時間が必要であり、特公昭48−4115号、特公昭48−4116号の方法では得られるポリマーの融点が低下するとか、生成する樹脂中のラクトン残分の除去が必要等の問題を有する。また、米国特許第2623031号および特公昭48−4116号の方法では十分な機械的物性を有する高分子量のポリマーを得るためには高分子量の芳香族ポリエステルが必要となるが、一般に芳香族ポリエステルは高分子量のものほど製造コストが上昇するため好ましくない。
これを回避するため、比較的低分子量のポリエステルエラストマーを種々の鎖延長剤により高分子量化する方法が特公昭48−4115、特公昭60−4518、特公平3−77826、特公平63−31491に報告されている。しかしながら、これらの方法はいずれも前述したような方法で得たポリエステルエラストマーを鎖延長するものであり、長すぎる反応時間、融点が低いこと等の問題を解決していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高融点を有し、製造に要する時間が短縮されたポリエステルエラストマーの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、硬質成分として結晶性芳香族ポリエステル、軟質成分として特別に選択された樹脂および特定されたイソシアネート化合物を反応させて得られるポリエステルエラストマーによりかかる課題を解決し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、硬質成分として結晶性芳香族ポリエステル、軟質成分として脂肪族ポリエステルを触媒の存在下、加熱溶融し、溶融物を冷却後ペレット化し、次いで、該ペレットおよびイソシアネート化合物を撹拌型反応器、ニーダー型反応器または押出機型反応器に供給し、溶融混練して反応させることを特徴とするポリエステルエラストマーの製造方法を提供する。また、本発明は硬質成分として結晶性芳香族ポリエステル、軟質成分として脂肪族ポリエステル更にエポキシ化合物を反応させて得られるポリエステルエラストマーの製造方法を提供する。これらの製造方法により製造されるポリエステルエラストマーは、高融点を有し、しかも短い製造時間で得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において硬質成分として用いられる結晶性芳香族ポリエステルとは、主としてエステル結合またはエステル結合とエーテル結合とからなるポリマーであって、少なくとも1個の芳香族基を主たる繰り返し単位に有し、分子末端に水酸基、カルボキシル基を有するもので分子量は好ましくは2000〜200,000、更に好ましくは5,000〜100,000のものである。分子末端としての水酸基、カルボキシル基含量は合計1.5〜2.5当量/モルの範囲が好ましい。この値が2当量/モルに近いほど好ましい。この値が低過ぎると、イソシアネートとの反応が十分に進行せず、生成するポリマーの物性が低下する。逆に高いと生成するポリマー中でゲル化が進行しやすくなる。
カルボキシル基含量は0〜2当量/モルの範囲が好ましい。イソシアネート化合物の水酸基との反応性は、一般にカルボキシル基との反応性よりも高い。従って、原料中のカルボキシル基含量が高い場合は、後述する条件でエポキシ化合物を添加する。
【0008】
一方、結晶性芳香族ポリエステルの分子量が低いと、使用するイソシアネート化合物の量が増加し、十分な融点を有するポリマーを得ることが難しくなる。逆に分子量が高すぎると生成するポリマーにエラストマーとしての物性が発現しない。結晶性芳香族ポリエステルの好適な具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのホモエステルおよび任意の成分との共縮合ポリエステルを挙げることができる。
【0009】
本発明で軟質成分として用いられる脂肪族ポリエステルとは、主としてエステル結合からなるポリマーであって、分子末端に水酸基、カルボキシル基を有するもので分子量は好ましくは1000〜200,000、更に好ましくは20,000〜100,000のものである。分子末端としての水酸基、カルボキシル基は合計で1.5〜2.5当量/モルが好ましく、2当量/モルに近いほど好ましい。この値が低いと、イソシアネート化合物との反応が十分に起こり難く、生成するポリエステルエラストマーの物性が低下する。原料ポリマーのカルボキシル基含量は0〜0.5当量/モルの範囲が好ましい。イソシアネート化合物の水酸基との反応性は、一般にカルボキシル基との反応性より高い。従って、原料中の酸価が高い場合は、後述する条件でエポキシ化合物を添加する。
【0010】
一方、この原料ポリマーの分子量が低いと、使用するイソシアネート化合物の量が増加し、十分な融点を有するポリエステルエラストマーを得ることが難しくなる。逆に分子量が高すぎると生成するポリマーにエラストマーとしての物性が発現しない。この原料ポリマーの好適な具体例としては、ポリε−カプロラクトン、ポリブチロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカプロラクトンなどのポリラクトン類、ポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケートなどの脂肪族ポリエステルのホモポリマーが、さらにこれらの主成分としての芳香族ポリエステル、主成分以外の前記成分を共重合成分とする共重合ポリエステル、共重合ポリエーテルエステル等である。
【0011】
前記硬質成分および軟質成分は、それぞれ2種以上を同時に用いることができる。本発明において硬質成分と軟質成分の組成比は、重量比で硬質成分/軟質成分=30/70から95/5、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは60/40〜80/20である。硬質成分がこれより少ないと硬質成分の結晶性が阻害され、得られるポリマーの物性が低下する。逆に95%より多いと、得られるポリマーのエラストマー性が発現しない。
【0012】
本発明に用いられるイソシアネート化合物としては、同一分子内に1個以上のイソシアネート基を有するものであればいかなる構造を有していても使用可能であるが、同一分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を必ず用いなければならない。このような化合物としては、一般にウレタンの合成に用いられるイソシアネート類が挙げられる。具体的にはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、オルソトリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオフォスフェート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、メタキシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソフロピリデンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの2量体等を挙げることができる。イソシアネートは2種以上を併用してもよい。
【0013】
本発明の別の態様として、前記硬質成分、軟質成分、イソシアネート化合物の他に、更にエポキシ化合物を反応させて得られるポリエステルエラストマーを提供できる。
【0014】
上記脂肪族ポリエステルの中でポリラクトン類が軟質成分として好適に用いられる。
【0015】
本発明に用いられるエポキシ化合物とは、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個有する化合物である。このような化合物としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応させて得られるビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック樹脂とエピクロルヒドリンより得られるノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸とエピクロルヒドリンより得られるポリグリシジルエステル類、脂環化合物から得られる脂環化合物型エポキシ化合物、アルコール性水酸基を有する脂肪族化合物とエピクロルヒドリンより得られるグリシジルエーテル類、エポキシ化ブタジエン、および2重結合を有する化合物と過酸化物から得られるエポキシ化合物がある。具体的にはメチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化SBS等が挙げられる。
【0016】
このようなエポキシ化合物は、前記硬質成分または軟質成分の少なくとも一方の末端カルボキシル基と反応し、分子末端に水酸基を生成するために用いられる。従って、硬質成分、軟質成分の分子末端がほとんど水酸基である場合には使用量は少なくてよい。逆に硬質成分、軟質成分の分子末端がほとんどカルボキシル基である場合には使用量は多くなる。硬質成分と軟質成分の末端水酸基総モルと末端カルボキシル基総モルの和の0.8〜2.0倍モルが用いられる。さらに好ましくは硬質成分および軟質成分の酸価から求められるカルボキシル基含量に対し1.0〜1.5倍当量のエポキシ化合物が用いられる。
エポキシ化合物の少なくとも一方を用いることにより硬質成分、軟質成分、イソシアネート化合物の反応が促進される。これによりポリエステルエラストマーの製造に要する時間が短縮されることは明らかで、更にカルボキシル基による物性の低下を抑制することができる。
【0017】
本発明におけるイソシアネート化合物の添加量は、前記硬質成分と軟質成分の末端水酸基総モルと末端カルボキシル基総モルの和の0.5〜2倍モル、更に好ましくは0.5〜1.0倍モルが用いられる。
【0018】
ポリエステルエラストマー製造に際しイソシアネート化合物は、溶融状態で添加し反応に供する。イソシアネート化合物の溶融混練温度(反応温度)は、硬質成分、軟質成分、生成する樹脂が実際に溶融する温度であればよい。通常170〜280℃の温度で行われる。反応温度が高い場合には硬質成分、軟質成分、生成する樹脂の熱分解に注意する必要があり、反応温度が低い場合には結晶化や反応速度の低下に注意する必要がある。混練時間は1〜100分程度であり、混合方式や温度、後述するカルボン酸類の反応などの条件により決定される。好ましくは2〜60分で設定する。
【0019】
このようなイソシアネート化合物の反応は、触媒の存在下に行うことができる。一般のイソシアネート類の反応に使用されるものはすべて使用でき、アミン類、種々の有機金属化合物が挙げられる。
アミン類としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等のジアミン類、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ピペラジンやイミダゾール骨格を分子内に有する環状アミン類、その他のアルコールアミン類、エーテルアミン類等が用いられる。有機金属化合物としては主に有機錫系の化合物およびそのカルボン酸塩、ハロゲン化物が用いられ、具体的にはスタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマーカブチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫ジマーカブチドが挙げられる。触媒は2種以上併用してもよい。
このような触媒は、イソシアネート化合物と同時に添加してもよいし、イソシアネート化合物をあらかじめ溶融状態で硬質成分、軟質成分に分散させた後添加してもよいし、逆にあらかじめ触媒を分散させてもよい。
【0020】
エポキシ化合物を用いる場合は、好ましく硬質成分、軟質成分の一方または両方にあらかじめ溶融状態でこのものを添加するが、イソシアネート化合物と同時に硬質成分および軟質成分に溶融状態で添加してもよい。エポキシ化合物を含んだ際の反応温度は、硬質成分、軟質成分、生成する樹脂が実際に溶融する温度であればよく、好ましくは170〜280℃で行われる。反応温度が高い場合には硬質成分、軟質成分、生成する樹脂の熱分解が起こることがあり、反応温度が低い場合には、結晶化や反応速度の低下を起こすことがある。反応時間は好ましくは1〜100分程度、さらに好ましくは2〜60分であり混合方式や温度等の諸条件により決定される。
【0021】
エポキシ化合物を含んだ際の反応は、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、実際にエステルと水酸基のエステル交換反応に用いられる触媒であればいずれの触媒も用いることができ、具体例としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジュウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属、その酸化物、その有機金属化合物、その有機酸塩、そのハロゲン化物、アルコキシドなどである。これらの中好ましいものとしては、錫、アルミニウム、チタンの有機金属化合物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシドなどがあり、更に好ましいものとしては有機錫が挙げられる。例えば、錫テトラアセテート、モノブチル錫ヒドロキシオキサイド、モノブチル錫トリ−2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、錫ジオクタノエートなどである。
また、もう一つは実際にエポキシ基の反応に使用できるものはすべて使用でき、アミン類、燐化合物、カルボン酸、有機スルホン酸、硫酸およびこれら酸性化合物の金属塩が具体例として挙げられる。このような触媒は2種以上を併用してもよい。
【0022】
このような触媒は、エポキシ化合物と同時に添加してもよいし、あるいはこれをあらかじめ溶融状態で硬質成分および/または軟質成分に分散させた後、触媒を添加してもよい。また、逆にあらかじめ触媒を分散させてもよい。あるいはエポキシ化合物と別々に添加しても差し支えない。
【0023】
本発明により実施されるそれぞれの反応は、酸素や空気の雰囲気下でも行うことができるが、生成する樹脂の着色を防止する観点から不活性ガスの雰囲気下で行うのが好ましい。具体的には窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン等が挙げられる。圧力は反応温度および用いるイソシアネート化合物、カルボン酸類、触媒の物性により変化するが,好ましくは0.001〜10Torr、さらに好ましくは0.01〜2Torrの範囲内が望ましい。試薬類の留出が問題となる場合は高い圧力を保ち、逆に残存する低沸点成分を取り除くためには0.1Torr以下に保つとよい。
【0024】
本発明において、硬質成分、軟質成分、イソシアネート化合物、エポキシ化合物および触媒を溶融状態で混練、反応する方法は、それぞれを異なる方法で行ってもよい。また、その方法は回分式、半連続式、連続式のいずれであってもよい。攪拌型反応器、ニーダー型反応器、押出機型反応器が使用できる。さらに前記の方法、装置を繰り返し、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本発明の製造方法により得られるポリエステルエラストマーは、押出成形、射出成形、ブロー成形等の種々の成形方法が適用でき、各種成形品、例えばチューブ、ホース、フィルム、シート、パッキン、ボトル、ロール、ベルト、ギア、ネームプレート、カバー、フック、スイッチ、樹脂バネ、ファスナー、自動車外装部品、防振制振材等の成形品あるいはコーティング剤として使用し得る。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
(評価方法)
1.平均分子量およびMw/Mn:GPC(50℃,流量1ml/分)、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=9/1(容量比)を溶媒に用い、GPC測定により算出された標準ポリスチレン換算数分子量
2.溶融粘度:島津製作所製メルトフローテスター使用,240℃,10kg/cm2
3.PBT/PCL重量比:1H−NMRから算出
4.PBT鎖長、PCL鎖長(単位):13C−NMRから算出,参考文献「高分子論文集」Vol.49,No.7,pp561−568(Jul.1992)
5.引張強度50%モジュラス(kg/cm2):JIS K7113
6.破断強度(kg/cm2):JIS K7113
7.破断伸度(%):JIS K7113
【0028】
(実施例1)
攪拌機、窒素導入管、減圧設備を備えた20リットル回分式反応槽に、結晶性芳香族ポリエステル樹脂として、数平均分子量19,000のポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス(株)社製、ジュラネックス400FP)を12kg、脂肪族ポリエステル樹脂として、数平均分子量10,000のポリカプロラクトン(ダイセル化学(株)社製、プラクセルH1P)8kgおよび触媒としてモノブチル錫トリス(2−エチルヘキサネート)20gを仕込み、反応槽内を十分窒素置換した後、窒素を流しながら230℃に加熱溶融させた。
温度を230℃に保ち、窒素を流した状態で100torrに減圧し20分間攪拌混合した。混合後減圧を解き、2気圧に圧力をかけて内容物のストランドを水槽で冷却し、ペレタイザーでペレットとした。得られたペレットは、窒素気流下160℃で2時間乾燥した。次いで、乾燥ペレットを平均滞留時間が5分である二軸押出機の仕込み口に定量フィーダーを用い15kg/時間で供給し、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートを定量ポンプを用い0.07kg/時間で仕込み口に供給し、240℃で溶融混練を実施し、押出物を水槽で冷却しポリエステルエラストマーを得た。
このもののGPCで測定した平均分子量、溶融粘度、PBT/PCL重量比、PBTセグメント鎖長、PCLセグメント鎖長、融点、結晶化温度および引張試験結果を表1に示した。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様の20リットル回分式反応槽に結晶性芳香族ポリエステル樹脂として、数平均分子量19、000のポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス(株)社製、ジュラネックス400FP)を12kgおよびε−カプロラクトンモノマー8kgを仕込み、反応槽内を窒素置換した後230℃で加熱溶融させた。
温度を230℃に保ち、ε−カプロラクトンモノマーの開環重合反応およびエステル交換反応を進行させるため90分混合攪拌した。更に窒素を流した状態で徐々に減圧にして、10torr減圧下で30分間攪拌混合し、ポリエステルエラストマーを製造した。このものも実施例1と同様にペレット化した後物性測定を行った。このものの物性評価結果を表1に示した。
【0030】
(比較例2)
結晶性芳香族ポリエステル樹脂(A)を数平均分子量41,000のポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス(株)社製、ジュラネックス800FP)を用いる以外は比較例1と同様に行った。このものの物性評価結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、硬質成分として結晶性芳香族ポリエステルと軟質成分として脂肪族ポリエステルを、あらかじめ溶融状態で、場合によりエポキシ化合物を加え、前記イソシアネート化合物と反応させることにより、高融点を有するポリエステルエラストマーを簡便に、短縮された時間で得ることができる。
Claims (5)
- 硬質成分として結晶性芳香族ポリエステル、軟質成分として脂肪族ポリエステルを触媒の存在下、加熱溶融し、溶融物を冷却後ペレット化し、次いで、該ペレットおよびイソシアネート化合物を撹拌型反応器、ニーダー型反応器または押出機型反応器に供給し、溶融混練して反応させることを特徴とするポリエステルエラストマーの製造方法。
- 更に、エポキシ化合物を反応させる請求項1記載のポリエステルエラストマーの製造方法。
- 硬質成分と軟質成分とが重量比で硬質成分/軟質成分=30/70から95/5であり、イソシアネート化合物を硬質成分と軟質成分の末端水酸基総モルと末端カルボキシル基総モルの和の0.5〜2.0倍モル含む請求項1記載のポリエステルエラストマーの製造方法。
- 硬質成分と軟質成分とが重量比で硬質成分/軟質成分=30/70から95/5であり、エポキシ化合物を硬質成分と軟質成分の末端水酸基総モルと末端カルボキシル基総モルの和の0.1〜2.0倍モル、イソシアネート化合物を硬質成分、軟質成分の水酸基末端総モルと末端カルボキシル基総モルの和の0.5〜2.0倍モル含む請求項2記載のポリエステルエラストマーの製造方法。
- 軟質成分がポリラクトン類からなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルエラストマーの製造方法。
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