JP2008266572A - 樹脂組成物及びその製造方法、並びに共重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一の要旨に係る樹脂組成物の製造方法(これを「本発明の第1の製造方法」或いは単に「第1の製造方法」という場合がある。)は、下記式(1)で表わされる構成単位を主たる構成単位として含むポリヒドロキシカルボン酸系樹脂(これを「樹脂(A)」という場合がある。)と、下記式(2)で表わされる構成単位を主たる構成単位として含むポリオキシトリメチレングリコール系樹脂(これを「樹脂(B)」という場合がある。)とを、溶融状態で混合するものである。
<I−1−1.概要>
本発明の第1の製造方法では、樹脂(A)として、上記式(1)で表わされる構成単位(以下「構成単位(1)」という。)を主たる構成単位として含む樹脂を用いる。構成単位(1)はヒドロキシカルボン酸由来の単位(即ちヒドロキシカルボン酸単位)であり、樹脂(A)は構成単位(1)を主構成単位として(即ち、全構成単位の50重量%以上)含有しているので、樹脂(A)は上記定義に従い「ポリヒドロキシカルボン酸系樹脂」であるということができる。
中でも、R2としては、水素原子又は炭素数3以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。R2が水素原子の場合、構成単位(1)はグリコール酸由来の単位(即ち、グリコール酸単位)となり、R2がメチル基の場合、構成単位(1)は乳酸由来の単位(即ち、乳酸単位)となる。
なお、樹脂(A)を構成する構成単位(1)は、単一の種類のもの(即ち、式(1)のR1が同一のもの)であってもよいが、複数の種類のもの(即ち、式(1)のR1が異なるもの)が任意の組み合わせ及び比率で混在していてもよい。
また、樹脂(A)が構成単位(1)以外の構成単位を含有する場合、構成単位(1)以外の他の構成単位の種類も制限されず、任意である。また、構成単位(1)以外の他の構成単位は、単一の種類であってもよく、複数の種類が任意の組み合わせ及び比率で混在していてもよい。
樹脂(A)としてポリ乳酸系樹脂を用いる場合、ポリ乳酸系樹脂は市販のものでもよく、合成したものでもよい。
また、ポリ乳酸系樹脂の由来も制限されるものではないが、環境面を考慮すると、植物由来のポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。
但し、耐熱性の点から、ポリ乳酸系樹脂を構成する総乳酸単位のうち、通常80モル%以上、中でも90モル%以上がL体であることが好ましい。
共重合可能な成分としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、ヒドロキシカルボン酸成分、3官能以上の多官能成分等が挙げられる。これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
樹脂(A)としてポリグリコール酸系樹脂を用いる場合、ポリグリコール酸系樹脂としては通常、合成したものを用いる。
ポリグリコール酸系樹脂の由来は、制限されるものではないが、環境面を考慮すると、植物由来のポリグリコール酸系樹脂を用いることが好ましい。
不具合がない点から、直接重合法が好ましい。
共重合可能な成分としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、ヒドロキシカルボン酸成分、3官能以上の多官能成分等が挙げられる。これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
本発明の第1の製造方法では、樹脂(B)として、上記式(2)で表わされる構成単位(以下「構成単位(2)」という。)を主たる構成単位として含む樹脂を用いる。構成単位(2)はトリメチレングリコール由来の単位(オキシトリメチレングリコール単位)であり、樹脂(B)は構成単位(2)を主構成単位として(即ち、全構成単位の50重量%以上)含有しているので、樹脂(B)は上記定義に従い「ポリオキシトリメチレングリコール系樹脂」或いは「PO3G系樹脂」ということができる。
なお、樹脂(B)が構成単位(2)(オキシトリメチレングリコール単位)以外の構成単位を含有する場合、構成単位(2)以外の構成単位の種類は任意であり、特に制限されない。
構成単位(2)以外の構成単位の例としては、まず、トリメチレングリコール以外のアルキレングリコール由来の構成単位が挙げられる。その具体例としては、エチレングリコール由来の構成単位、テトラメチレングリコール由来の構成単位等が挙げられる。
また、構成単位(2)以外の構成単位の他の例としては、アルキレングリコール以外の単量体由来の構成単位も挙げられる。その具体例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。但し、アルキレングリコール以外の単量体由来の繰り返し単位を含有する場合でも、その含有率は、樹脂(B)の全構成単位に対し、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下であることが望ましい。
なお、構成単位(2)以外の他の構成単位は、単一の種類であってもよく、複数の種類が任意の組み合わせ及び比率で混在していてもよい。
て用いて重縮合させることにより、得ることが可能である。
具体的に、樹脂(B)は、1,3−プロパンジオールの縮合物であってもよく、オキセタンの縮合物であってもよい。但し、価格の面から、1,3−プロパンジオールの縮合物であることが好ましい。
また、樹脂(B)が構成単位(2)以外の構成単位を含有する共重合体である場合には、構成単位(2)以外の構成単位の原料となる単量体を併用すればよい。例えば、ポリオキシテトラメチレングリコールの場合には、対応する直鎖モノマーである1,4−ブタンジオール及び/又は対応する環状モノマーであるテトラヒドロフラン(THF)を併用すればよい。
なお、樹脂(B)の数平均分子量は、PO3G系樹脂である樹脂(B)の末端の水酸基を無水フタル酸でエステル化させ、未反応の無水フタル酸をフタル酸に分解後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリで逆滴定(末端基滴定法)することにより水酸基価を求め、その値から算出する等の手法により測定することが可能である。
本発明の第1の製造方法は、上述の樹脂(A)及び樹脂(B)を、溶融状態で混合するものであるが、その条件は以下の通りである。
その他の樹脂を加える時期も制限されず、混合前であっても、混合中であっても、混合後であってもよい。
但し、その他の樹脂を使用する場合でも、その使用量は、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対し、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下にすることが望ましい。
その他の成分を加える時期も制限されず、混合前であっても、混合中であっても、混合後であってもよい。
但し、その他の成分を使用する場合でも、その使用量は、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対し、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下に抑えることが望ましい。
触媒としては、後述のように樹脂(A)及び樹脂(B)の混合によりエステル交換反応が生じているという推測に基づけば、エステル交換触媒が好ましい。エステル交換触媒としては、テトラ(n−ブトキシ)チタネートが好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、具体的には、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)が好ましい。
触媒及び/又は酸化防止剤を反応系に加える時期は特に制限されず、混合前でも混合中でも混合後でもよいが、混合時にエステル交換反応が生じているという推測に基づけば、混合前又は混合時に加えることが好ましく、混合前に加えることが特に好ましい。
混合の方式も制限されず、バッチ式でも連続式でもよいが、バッチ式が好ましい。
混合時の温度は、樹脂(A)及び樹脂(B)の双方の融点よりも高い値であれば、制限されるものではないが、例えば樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂の場合、通常150℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、また、通常230℃以下、好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下とすることが望ましく、また、樹脂(A)がポリグリコール酸系樹脂の場合、通常220℃以上、好ましくは230℃以上、より好ましくは240℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下とすることが望ましい。混合時の温度が低過ぎると、原料の樹脂(A)が溶融しない場合や、エステル交換反応が起こらない場合があり、高過ぎると、副反応であるラクチド(ヒドロキシ酸の環状二量体)の脱離反応等が優勢となる場合がある。
以上説明した第1の製造方法により得られる樹脂組成物(これを適宜「本発明の第1の樹脂組成物」或いは単に「第1の樹脂組成物」という場合がある。)は、通常は上述の樹脂(A)及び樹脂(B)を含有する。樹脂(A)及び樹脂(B)の比率は、通常、上述の〔I−3.製造条件〕で説明した樹脂(A)及び樹脂(B)の使用比率の範囲に収まり、上述の〔I−3.製造条件〕で説明した樹脂(A)及び樹脂(B)の使用比率に概ね等しくなる。
第1の製造方法により本発明の共重合体が生じる理由は明らかではないが、樹脂(A)及び樹脂(B)を溶融状態で混合することにより、樹脂(A)と樹脂(B)とがエステル交換反応を生じ、本発明の共重合体が生じるものと推測される。
なお、本発明の共重合体については、後出の〔V.共重合体〕で詳しく説明する。
なお、樹脂組成物の数平均分子量はGPC等の手法により測定することが可能である。
本発明の別の要旨に係る樹脂組成物の製造方法(これを「本発明の第2の製造方法」或いは単に「第2の製造方法」という場合がある。)は、上述の第1の製造方法で説明した樹脂(B)を、溶融状態で、下記式(4)及び/又は(5)で表わされる化合物と反応させるものである。
第2の製造方法では、上記式(4)で表わされる化合物(これを「化合物(4)」という場合がある。)を用いる。化合物(4)は、ヒドロキシ酸の環状二量体、即ちラクチドである。
なお、化合物(6)の一分子内における2つのR5は、同一であってもよく、異なっていてもよいが、化合物の合成や入手の容易性の点から、同一であることが好ましい。
中でも、R5としては、水素原子又は炭素数3以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。R5が水素原子の場合、化合物(6)はグリコール酸ラクチド(グリコリド)となり、R5がメチル基の場合、化合物(6)は乳酸ラクチドとなる。
第2の製造方法では、化合物(4)に代えて、又は、化合物(4)と併用して、上記式(5)で表わされる化合物(これを「化合物(5)」という場合がある。)を用いる。
式(5)において、R4は2価の脂肪族炭化水素基を表わす。脂肪族炭化水素基としては環状でも鎖状でもよく、鎖状の場合は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。脂肪族炭化水素基の炭素数は1以上10以下であれば制限されないが、好ましくは1以上6以下である。
第2の製造方法では、上述の樹脂(B)と化合物(4)及び/又は化合物(5)とを用い、これらを溶融状態で混合することにより反応させる。
樹脂(B)、化合物(4)及び化合物(5)は何れも、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
化合物を原料として製造される樹脂でもよい。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(ε−カプロラクトン)等が挙げられる。ポリオレフィンの具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。これらのその他の樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合してもよい。
その他の樹脂を加える時期も制限されず、混合前であっても、混合中であっても、混合後であってもよい。
但し、その他の樹脂を使用する場合でも、その使用量は、樹脂(B)、化合物(4)及び化合物(5)の合計量に対し、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下にすることが望ましい。
なお、樹脂(B)、化合物(4)及び化合物(5)に加えて、第1の製造方法で使用した樹脂(A)を任意の割合で併用することも可能である。
その他の成分を加える時期も制限されず、混合前であっても、混合中であっても、混合後であってもよい。
但し、その他の成分を使用する場合でも、その使用量は、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対し、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下に抑えることが望ましい。
触媒としては、後述のように樹脂(B)、化合物(4)及び化合物(5)の混合により重合反応が生じているという推測に基づけば、ルイス酸触媒が好ましい。ルイス酸触媒としては、オクタン酸スズ、n−テトラブトキシチタネート、塩化スズ二水和物、酸化ゲルマニウム等が挙げられるが、オクタン酸スズ、塩化スズ二水和物が好ましい。なお、触媒は何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、具体的には、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)が好ましい。なお、酸化防止剤は何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒及び/又は酸化防止剤を反応系に加える時期は特に制限されず、混合前でも混合中でも混合後でもよいが、混合時に開環重合反応が生じているという推測に基づけば、混合前又は混合時に加えることが好ましく、混合前に加えることが特に好ましい。
混合の方式も制限されず、バッチ式でも連続式でもよいが、バッチ式が好ましい。
混合時の温度は、樹脂(B)の融点よりも高い値であれば、制限されるものではないが、例えば樹脂(B)と化合物(4)とを反応させる場合であって化合物(4)が乳酸ラクチドの場合、通常150℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、また、通常230℃以下、好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下とすることが望ましく、また、樹脂(B)と化合物(4)とを反応させる場合であって化合物(4)がグリコール酸ラクチドの場合、通常220℃以上、好ましくは230℃以上、より好ましくは240℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下とすることが望ましい。混合時の温度が低過ぎると、原料の樹脂(B)が溶融しない場合や、重合反応が起こらない場合があり、高過ぎると、副反応である解重合反応等が優勢となる場合がある。
以上説明した第2の製造方法により得られる樹脂組成物(これを適宜「本発明の第2の樹脂組成物」或いは単に「第2の樹脂組成物」という場合がある。)は、通常は上述の樹脂(B)と化合物(4)及び/又は化合物(5)とを含有する。
第2の製造方法により本発明の共重合体が生じる理由は明らかではないが、樹脂(B)と化合物(4)及び/又は化合物(5)とを溶融状態で混合し、反応させることにより、樹脂(B)の末端に化合物(4)及び/又は化合物(5)が結合するとともに、化合物(4)及び/又は化合物(5)が開環重合反応を生じることにより、樹脂(A)由来のブロックと同じ構造のブロック(ポリヒドロキシカルボン酸系ブロック)が形成されるためであると推測される。
なお、本発明の共重合体については、後出の〔V.共重合体〕で詳しく説明する。
本発明の樹脂組成物は、以下の(i)〜(iii)の何れかに該当するものである。
(i)上述の第1の製造方法又は第2の製造方法によって得られた樹脂組成物(即ち、上述の第1の樹脂組成物又は第2の樹脂組成物)、或いはこれらの樹脂組成物に別の成分を混合して得られた樹脂組成物(例えば、後述する第3の製造方法によって得られた樹脂組成物)。
(ii)上述の樹脂(A)及び:樹脂(B)を少なくとも含有する樹脂組成物。
(iii)後述する本発明の共重合体を含有する樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、上記(i)〜(iii)のうち、少なくとも何れか一つの要件を満たしていればよいが、中でも何れか2つの要件を満たしていることが好ましく、3つ全ての要件を満たしていることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、成形性に優れている。
具体的に、本発明の樹脂組成物は、融点(℃)+30℃におけるゼロずり粘度が、通常500Pa・s以上、好ましくは800Pa・s以上、より好ましくは1000Pa・s以上、また、通常10000Pa・s以下、好ましくは5000Pa・s以下、より好まくは2000Pa・s以下であることが望ましい。ゼロずり粘度が低過ぎても高過ぎても、成形が困難となる場合がある。
なお、樹脂組成物の融点は、例えばDSC等の手法で測定可能であり、樹脂組成物の融点(℃)+30℃におけるゼロずり粘度は、ストレス制御式レオメーター等の手法で測定可能である。
具体的に、本発明の樹脂組成物のガラス転移温度Tgは、通常40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上の範囲であることが望ましい。一方、本発明の樹脂組成物のガラス転移温度Tgの上限は、通常は65℃以下である。樹脂組成物のガラス転移温度Tgが低過ぎると、常温での力学的強度が低くなったり、融着し易くなったりする場合がある。
なお、樹脂組成物のガラス転移温度Tgは、DSC等の手法により測定することが可能である。
具体的に、本発明の樹脂組成物の透湿度は、通常200以上、好ましくは300以上、また、通常1000以下、好ましくは800以下であることが望ましい。
なお、樹脂組成物の透湿度は、例えば、JIS Z 0208に準じて、カップ法等により測定することが可能である。
具体的に、本発明の樹脂組成物の酸素透過係数は、通常1×10-16以下、好ましくは3×10-17以下であることが望ましい。樹脂組成物の酸素透過係数が高過ぎると、ガスバリアフィルム等の用途に使用できない場合がある。
なお、樹脂組成物の酸素透過係数は、例えば、JIS K 7126−2に準じて、ガス透過測定装置等により測定することが可能である。
本発明において樹脂組成物が「冷結晶化」するとは、樹脂組成物の昇温時に、樹脂組成物のガラス転移温度以上、融点以下の温度において、結晶化することをいう。なお、「冷結晶化」については、例えば「飽和ポリエステルハンドブック」、日刊工業新聞社、1989年、P20及びP230に記載されている。
なお、樹脂組成物が冷結晶化し得るか否かは、示差走査熱量測定(DSC)により昇温条件で測定を行なった場合に、樹脂組成物のガラス転移温度以上融点以下の温度において結晶化が生じたことを表わす発熱ピーク(以下「冷結晶性ピーク」と言う場合がある。)が観測されるか否かにより判断することができる。
具体的に、本発明の樹脂組成物の貯蔵弾性率(これを以下「E’」で表わす場合がある。)は、例えば樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂の場合、通常4GPa以下、好ましくは3.5GPa以下、より好ましくは3GPa以下であることが望ましく、また、樹脂(A)がポリグリコール酸系樹脂の場合、通常7GPa以下、好ましくは6.5GPa以下、より好ましくは6GPa以下であることが望ましい。樹脂組成物の貯蔵弾性率E’が高過ぎると、柔軟性が不十分となる場合がある。貯蔵弾性率E’の下限は特に制限されないが、貯蔵弾性率E’があまりに低過ぎると、成形体としての使用が困難になる場合があることから、通常0.1GPa以上、好ましくは0.3GPa以上、より好ましくは0.5GPa以上であることが望ましい。
なお、樹脂組成物の貯蔵弾性率E’は、動的粘弾性測定等の手法により測定することが可能である。
なお、樹脂組成物の還元粘度ηsp/Cは、ウベローデ型溶液粘度計等により測定することが可能である。
本発明の樹脂組成物は、後述のように各種の用途に使用可能であるが、その際には、樹脂組成物の分子量を通常5万以上、好ましくは10万以上に上昇させ、その成形性を向上させるために、鎖延長反応又は固相重合を行なうことが好ましい。
鎖延長剤の例としては、多価イソシアネート、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価エポキシ等が挙げられる。中でも、ジイソシアネート類、ジカルボン酸無水物類等が好ましい。なお、これらの鎖延長剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
混合時の温度は、制限されるものではないが、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは220℃以下とすることが望ましい。温度が高過ぎると、樹脂組成物が溶融する場合があり、低過ぎると、固相重合反応が進行し難くなる場合がある。
混合時の圧力は、制限されるものではないが、通常常圧が望ましい。
混合時の雰囲気は、制限されるものではないが、通常は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下である。
本発明の樹脂組成物は、様々な用途に供することが可能であるが、具体的には、繊維、フィルム、シート、チューブ、工業用部品、自動車部品及び電気電子部品など多方面に使用することができる。具体的な用途としては、例えば、衣料用繊維や各種フィルター等の繊維製品、二軸延伸フィルムや導電性フィルム等のフィルム製品、油圧用ホースや空圧用ホース等の各種ホース、等速ジョイントブーツ、サスペンジョンブーツ等の自動車部品、各種シール・パッキン、フレキシブルカップリング、コンベアベルト、タイミングベルト、圧縮バネ等の工業用部品、ギア等の精密機械部品、携帯電話ハウジング、制震材、防震材、キーボードパット、導電性パッド、OAロール、電話機カールコード等の電気・電子部品、ヘアーブラシ、ホットカーラー、スキー靴底、靴インナーソール等の生活用品等の用途に用いられる。
上述の第1又は第2の製造方法により得られた樹脂組成物(第1又は第2の樹脂組成物)は、そのまま単独で使用することも可能であるが、これを更に上述の樹脂(A)、即ちポリヒドロキシカルボン酸系樹脂に混合して用いることも可能である。第1又は第2の樹脂組成物をポリヒドロキシカルボン酸系樹脂に混合することにより、ポリヒドロキシカルボン酸系樹脂の優れた特性である耐熱性等の優れた特性を損なうことなく、その成形性や柔軟性等の特性が十分に改善された樹脂組成物が得られる。
混合の方式も制限されず、バッチ式でも連続式でもよいが、バッチ式が好ましい。
上述の第1又は第2の製造方法によって得られる樹脂組成物(第1又は第2の樹脂組成物)は、好ましくは、ポリヒドロキシカルボン酸系樹脂である樹脂(A)由来のブロック(以下「ポリヒドロキシカルボン酸系ブロック」或いは単に「ブロック(A’)」という。)と、ポリオキシトリメチレングリコール系樹脂である樹脂(B)由来のブロック(以下「ポリオキシトリメチレングリコール系ブロック」或いは単に「ブロック(B’)」という。)とが結合してなるブロック共重合体(以下「本発明の共重合体」と言う場合がある。)を含有する。以下、この本発明の共重合体について、詳しく説明する。
ブロック(A’)は、上記構成単位(1)以外に、その他の一種又は二種以上の構成単位を有していてもよい。他の構成単位の種類は制限されないが、例としては上記〔I−1.樹脂(A)〕の欄で例示した、構成単位(1)以外の構成単位が挙げられる。
ブロック(B’)は、上記構成単位(2)以外に、その他の一種又は二種以上の構成単位を有していてもよい。他の構成単位の種類は制限されないが、例としては上記〔I−2.樹脂(B)〕の欄で例示した、構成単位(2)以外の構成単位が挙げられる。
また、本発明の共重合体が有するブロック(B’)の数も、一つでもよく、二つ以上でもよい。本発明の共重合体が二つ以上のブロック(B’)を有する場合、それらは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
また、本発明の共重合体は、ブロック(A’)及びブロック(B’)の他に、その他の一又は二以上のブロックを有していてもよい。
本発明の共重合体における各ブロックの結合順も任意である。
本発明の樹脂組成物は、上述のように、様々な用途に供することが可能であるが、その際には、所望の形状に成形し、成形体として用いることが好ましい。本発明の樹脂組成物は成形性に優れているため、容易且つ良好に成形することができる。本発明の樹脂組成物を成形して成形体とする場合、その手法は特に制限されず、公知の各種の成形法を用いることが可能である。例としては、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法等が挙げられる。また、成形体の形状も制限されず、用途に応じて適宜選択すればよい。
後述の各実施例及び各比較例の樹脂組成物又は樹脂の物性は、下記の手順で測定した。なお、以下の説明では、各実施例及び各比較例の樹脂組成物又は樹脂のサンプルを、単に「樹脂サンプル」という場合がある。
樹脂サンプル0.2gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンを1:1で混合した溶媒40mlに、150℃で攪拌しながら15分間かけて溶解し、この溶液の30℃における還元粘度ηsp/Cを、ウベローデ型粘度計(センテック製全自動粘度計DT610)を用いて測定した。但し、ここでCは溶液濃度(g/dL)を表わす。
JIS K 7121に準じて、示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業製DSC220)を用いて、樹脂サンプルをまず25℃から昇温速度20℃/分で260℃まで昇温し、次いで降温速度10℃/分で0℃まで降温し、更に昇温速度20℃/分で260℃まで昇温しながら、示差走査熱量測定(DSC)スペクトルの測定を行なった。得られたDSCスペクトルに基づいて、樹脂サンプルのガラス転移温度Tg及び融点の測定、並びに冷結晶性ピークの観測を行なった。
粘弾性スペクトロメーター(セイコー電子工業製DMS200)を用いて、昇温速度2℃/分、振動数1Hzにて、樹脂サンプルの貯蔵弾性率E’を測定した。
樹脂サンプルは、熱プレス及び冷却を行なうことにより、0.5mm厚の熱プレスシートに成形したものを測定に供した。熱プレスの条件としては、熱プレス成形機を使用し、熱プレス成形機の設定温度を190℃(実施例1〜3、比較例1〜3)又は250℃(実施例4〜6、比較例4)とし、予熱時間を7分、熱プレス圧力を14.4MPa、熱プレス時間を2分とした。冷却の条件としては、冷却水循環型冷却装置を使用し、冷却圧力を14.7MPa、冷却時間を3分とした。得られた熱プレスシートは、温度25℃、湿度50%の条件下で2日間静置した後に測定に供した。
ストレス制御式レオメーター(レオロジカ社Visco Analyzer)において、20mm径のパラレルプレートをジオメトリーとし、樹脂サンプルの融点+30℃において、樹脂サンプルのゼロずり粘度の測定を行なった。樹脂サンプルの融点としては、前記DSCスペクトルにおける融点ピークの頂点温度を用いた。測定時のギャップは1mm、ずり速度は0.01sec-1から100sec-1までの範囲とし、ニュートン流れに起因する見かけの粘度の平坦部の粘度をゼロずり粘度とした。
JIS Z 0208に準じて、カップ法により、温度40℃、湿度90%の雰囲気下で、樹脂サンプルの透湿度の測定を行なった。
樹脂サンプルは、熱プレス及び冷却を行なうことにより、厚さ約50±10μmの熱プレスシートに成形したものを測定に供した。熱プレス工程の条件としては、熱プレス成形機を使用し、熱プレス成形機の設定温度を190℃、予熱時間を7分、熱プレス圧力を14.4MPa、熱プレス時間を2分とした。冷却の条件としては、冷却水循環型冷却装置を使用し、冷却圧力を14.7MPa、冷却時間を3分とした。得られた熱プレスシートは、温度23℃、湿度50%の条件下で2日間静置した後に測定に供した。
JIS K 7126−2に準じ、測定装置としてOX−TRAN 2/21(MOCON社製)を用い、温度23℃、湿度80%、透過面積50cm2の条件下で、樹脂サンプルの酸素透過係数の測定を行なった。測定手順としては、樹脂サンプルを装置にセットした後、温度及び湿度が所定の条件で安定しているのを確認して測定を開始し、酸素透過係数の測定値が定常状態になった時点で測定を終了し、その定常状態における測定値を酸素透過係数として得た。
樹脂サンプルは、熱プレス及び冷却を行なうことにより、0.5mm厚の熱プレスシートに成形したものを測定に供した。熱プレスの条件としては、熱プレス成形機を使用し、熱プレス成形機の設定温度を250℃、予熱時間を7分、熱プレス圧力を14.4MPa、熱プレス時間を2分とした。冷却の条件としては、冷却水循環型冷却装置を使用し、冷却圧力を14.7MPa、冷却時間を3分とした。得られた熱プレスシートは、温度23℃、湿度50%の条件下で2日間静置した後に測定に供した。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定した。
なお、樹脂サンプルは何れも、後述の移動相に溶解させ、目開き0.45μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:テフロン(登録商標))フィルターで濾過してから測定に供した。
装置:Tosoh HLC−8220GPC
検出器:RI(装置に内蔵)
移動相:CHCl3(和光純薬社製特級)
流通速度:1.0mL/分
注入:0.1重量%×100μL
カラム:PL 10μ Mixed B(30cm×2)
カラム温度:40℃
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
較正曲線近似式:3次式
装置:Tosoh HLC−8220GPC
検出器:RI(装置に内蔵)
移動相:HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール:セントラル硝子社製)にトリフルオロ酢酸ナトリウム(関東化学社製)を5mMの濃度で溶解させた溶液
流通速度:0.2mL/分
注入:0.1重量%×10μL
カラム:Tosoh TSKgel(15cm×2)
カラム温度:40℃
較正試料:単分散PMMA(ポリメチルメタクリレート)
較正法:PMMA換算
較正曲線近似式:3次式
樹脂サンプルのペレットを用いて、熱プレス及び冷却を行なうことにより、2mm厚の熱プレスシートを作製した。この時の熱プレス工程の条件としては、熱プレス成形機を使用し、熱プレス成形機の設定温度を190℃とした。また、予熱時間を7分、熱プレス圧力を4.4MPa、熱プレス時間を2分とした。また、冷却工程の条件は、冷却水循環型冷却装置を使用し、冷却圧力を14.7MPa、冷却時間を3分とした。得られた熱プレスシートを、湿度50%、23℃条件下で2日間静置した。この熱プレスシートを、フォントサイズ11ポイントの文章記載の印刷物の上に置き、40Wの蛍光灯で30センチの高さから照らした。蛍光灯と同じ高さである30センチ離れたところから、目視により本文が完全に読めた場合に「透明性あり」、プレス試験片の下の本文が一部分しか読めない、または全く読めなかった場合に「透明性なし」と判定した。
各実施例の樹脂組成物の構成成分として、ポリオキシトリメチレングリコール(PO3G)を下記の手順により合成した。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、ポリ乳酸(三井化学製LACEA H−100、数平均分子量86000)65部、及び、合成例1で得られたPO3G(数平均分子量3320)35部を仕込み、更にテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)0.03部、及び、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、20Paの減圧下で80℃から190℃まで30分かけて昇温し、ポリ乳酸を融解させた。その後、撹拌を開始し、190℃で1時間混合した。乳酸ラクチドの昇華が確認された時点で混合を終了し、内容物(樹脂組成物)を取り出した。得られた樹脂組成物において、原料成分であるポリ乳酸とPO3Gとの分離は見られなかった。
実施例1の樹脂組成物について、透湿度、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’、還元粘度ηsp/C及びガラス転移温度Tgの測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、ポリ乳酸(三井化学製LACEA H−100)65部、合成例1で得られたPO3G(数平均分子量3320)35部を仕込み、更にテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)0.03部とイルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、20Paの減圧下で80℃から190℃まで30分かけて昇温し、ポリ乳酸を融解させた。その後、撹拌を開始し、190℃で1時間混合した。乳酸ラクチドの昇華が確認された時点で混合を終了し、内容物(樹脂組成物)を取り出した。得られた樹脂組成物において、原料成分であるポリ乳酸とPO3Gとの分離は見られなかった。
実施例2の樹脂組成物について、透湿度、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’、還元粘度ηsp/C及びガラス転移温度Tgの測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、L−乳酸ラクチド(東京化成)89部、合成例1で得られたPO3G(数平均分子量3320)11部を仕込み、更にオクタン酸スズ(東京化成)0.03部とイルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、80℃から190℃まで30分かけて昇温し、L−乳酸ラクチドを融解させた。その後、撹拌を開始し、190℃で3時間混合したのち、内容物を取り出した。これを実施例3の樹脂組成物とする。
実施例3の樹脂組成物について、透湿度、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’、還元粘度ηsp/C及びガラス転移温度Tgの測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
実施例1において、PO3Gの代わりにPEG(ポリエチレングリコール)(和光純薬工業、数平均分子量3000)を用いた以外は同様にして、樹脂組成物の合成を行なった。これを比較例1の樹脂組成物とする。
比較例1の樹脂組成物について、透湿度、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’、還元粘度ηsp/C及びガラス転移温度Tgの測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
実施例2において、PO3Gの代わりにPEG(ポリエチレングリコール)(和光純薬工業、数平均分子量3000)を用いた以外は同様にして、樹脂組成物の合成を行なった。これを比較例2の樹脂組成物とする。
比較例2の樹脂組成物について、透湿度、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’、還元粘度ηsp/C及びガラス転移温度Tgの測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
ポリ乳酸(三井化学LACEA H−100)を比較例3の樹脂として用いた。比較例3の樹脂について、透湿度、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’、還元粘度ηsp/C及びガラス転移温度Tgの測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
即ち、実施例1〜3の樹脂組成物は、適度な透湿性を有し、貯蔵弾性率E’が低くて柔軟であり、且つ、ガラス転移温度Tgが高くて耐熱性に優れている。また、ゼロずり粘度が高いので、成形し易いものであることが分かる。
一方、比較例1の樹脂組成物は、透湿度は良いものの、貯蔵弾性率E’が高く、柔軟性に劣ることが分かる。
比較例2の樹脂組成物は、透湿度に極めて劣ることが分かる。
比較例3の樹脂は、透湿度に優れているものの、やはり貯蔵弾性率E’が高く、柔軟性に劣ることが分かる。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、グリコリド(和光純薬工業社製)10g及び塩化スズ二水和物(和光純薬工業社製)0.01gを仕込み、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、20Paの減圧下で80℃から172℃まで30分かけて昇温し、グリコリドを融解させた。そのまま172℃で7時間反応させることにより、ポリグリコール酸(PGA)を得た。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、合成例2で得られたPGA(数平均分子量63000)65部、及び、合成例1で得られたポリオキシトリメチレングリコール(数平均分子量3320)35部を仕込み、更に、テトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)0.03部、及び、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、20Paの減圧下で80℃から250℃まで30分かけて昇温し、PGAを融解させた。その後、撹拌を開始し、250℃で1時間混合した。
実施例4の樹脂組成物について、還元粘度ηsp/C、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’及び酸素透過係数の測定を行なった。その結果を下記表2に示す。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、合成例2で得られたPGA(数平均分子量63000)65部、及び、合成例1で得られたPO3G(数平均分子量3320)35部を仕込み、更に、テトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)0.03部、及び、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、20Paの減圧下で80℃から250℃まで30分かけて昇温し、PGAを融解させた。その後、撹拌を開始し、250℃で1時間混合した。
実施例5の樹脂組成物について、還元粘度ηsp/C、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’及び酸素透過係数の測定を行なった。その結果を下記表2に示す。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、合成例2で得られたPGA(数平均分子量63000)65部、及び、合成例1で得られたPO3G(数平均分子量3320)35部を仕込み、更にテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)0.03部、及び、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。その後、20Paの減圧下で80℃から250℃まで30分かけて昇温し、PGAを融解させた。次いで、撹拌を開始し、250℃で1時間混合した。グリコール酸ラクチドの昇華が確認された時点で混合を終了し、内容物(樹脂組成物)を取り出した。得られた樹脂組成物において、原料成分であるPGAとPO3Gとの分離は見られなかった。
合成例2で得られたPGAを比較例4の樹脂として用い、還元粘度ηsp/C、ゼロずり粘度、貯蔵弾性率E’及び酸素透過係数の測定を行なった。その結果を下記表2に示す。
即ち、実施例4〜6の樹脂組成物は、貯蔵弾性率E’が低くて柔軟であり、且つ、酸素透過係数が低くてガスバリア性に優れていることが分かる。
一方、比較例4の樹脂組成物は、貯蔵弾性率E’が高く、柔軟性に劣ることが分かる。
窒素導入口及び減圧口を供えた反応器に、ポリ乳酸(三井化学製LACEA H−100)65部、ポリオキシトリメチレングリコール(数平均分子量3320)35部を仕込み、更にテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)0.03部とイルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製酸化防止剤)0.27部を加え、20Paの減圧下、80℃で3時間減圧乾燥した。続いて、20Paの減圧下で80℃から190℃まで30分かけて昇温し、ポリ乳酸を融解させた。その後撹拌を開始し、190℃で1時間混合した。乳酸ラクチドの昇華が確認された時点で混合を終了し、内容物を取り出した。これを実施例7の樹脂組成物とする。実施例7の樹脂組成物において、原料成分であるポリ乳酸とポリオキシトリメチレングリコールとの分離は見られなかった。
ポリオキシトリメチレングリコールをポリエチレングリコール(和光純薬工業製ポリエチレングリコール4000(数平均分子量3000))に変更したこと以外は、実施例7と同様の条件で樹脂組成物の製造を行なった。これを比較例5の樹脂組成物とする。得られた比較例5の樹脂組成物において、原料成分であるポリ乳酸とポリエチレングリコールとの分離は見られなかった。
即ち、PLAとPO3Gとを成分とする実施例7の樹脂組成物は冷結晶化するのに対し、PLAとPEGとを成分とする比較例5の樹脂組成物は冷結晶化を起こさなかった。また、原料として使用したPLA(三井化学製LACEA H−100)純品も冷結晶化は起こさなかった。
以上の結果から、PLAとPO3Gとを混合して樹脂組成物とすることにより、冷結晶性の樹脂組成物が得られたことが分かる。
Claims (19)
- 上記ポリオキシトリメチレングリコール系樹脂(B)の数平均分子量が400以上50万以下である
ことを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物。 - 上記式(3)中のR2が水素原子又はメチル基である
ことを特徴とする、請求項3記載の樹脂組成物。 - (A)及び(B)の合計に対する(B)の比率が1重量%以上70重量%以下である
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 樹脂組成物の融点(℃)+30℃におけるゼロずり粘度が500Pa・s以上である
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 請求項1〜6の何れか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる
ことを特徴とする、成形体。 - 該ポリオキシトリメチレングリコール系樹脂(B)の数平均分子量が400以上50万以下である
ことを特徴とする、請求項8記載の樹脂組成物の製造方法。 - 上記ポリオキシトリメチレングリコール系樹脂(B)の数平均分子量が400以上50万以下である
ことを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の樹脂組成物の製造方法。 - (C)及び(D)の合計に対する(C)の比率が1重量%以上70重量%以下である
ことを特徴とする、請求項14又は請求項15に記載の樹脂組成物の製造方法。 - 請求項11〜16の何れか一項に記載の製造方法で製造された
ことを特徴とする、樹脂組成物。
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