JPH0612085U - 塗布具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗布具の塗布液収容部の一部を構成する弾性
膜体からの塗布液の透過減量による筆跡のカスレや筆記
不能といった問題点の発生を防止する。 【構成】 内部に塗布液収容部を有する軸筒先端にペン
先などの塗布体を取り付け、塗布体と塗布液収容部との
間に弁機構を配置しており、前記塗布液収容部の一部を
構成する蛇腹状屈伸部を有する弾性膜体の圧縮によって
弁が開放され、塗布液が塗布体に供給される塗布具であ
り、弾性膜体の外部に、尾栓とノック体とを液密圧着さ
せ密閉空気層を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、墨液、絵の具、インキなどの筆記液、アイライナー、リップカラー などの化粧液といった塗布液の塗布具に関するものであり、更に詳細には、液体 収容部に直接塗布液を収容し、ノック部を押圧することにより塗布体に塗布液を 供給する塗布具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ノック部を押圧して塗布体に塗布液を供給するタイプの塗布具としては 、実公昭５７ー５５１１４号公報に開示されているような、インキタンクの一部 に伸縮自在な蛇腹部を設け、弁杆をインキタンクの底面迄延設し、インキタンク を押圧することによって弁を開放するもの等が知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

塗布液収容部中の塗布液の透過減量により筆跡のカスレ、筆記不能が発生する 可能性があることである。即ち、インキタンクの一部に設けた蛇腹部を伸縮自在 にするためには、蛇腹部を弾性膜体で形成し、その厚みを薄くする必要があり、 この為、弾性膜体から塗布液中の液体分が気体状態で透過し易くなる。塗布液中 の液体分の透過によって、塗布液中の固形分が上昇すると共に塗布液の粘度が上 昇し、塗布体よりの吐出性が低下し筆跡のカスレが発生したり、著しい場合には 筆記不能になる場合があるということである。特に、製造後消費者の手に渡る迄 の期間が長い場合塗布液の透過減量が大きくなり、消費者が初めて使おうとした とき既にカスレや筆記不能となっている場合もあった。 本考案は、塗布液の透過減量を極力防止し、少なくとも初めて使用するまでは 透過減量が発生しない塗布具を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するためになしたものであって、内部に塗布液収容 部を有する軸筒の先端部に塗布体を取り付け、塗布体後方に弁体と弁座部材とが 圧接して弁を構成する弁機構を設け、前記塗布液収容部の一部を構成する弾性膜 体を圧縮することにより前記弁機構が開放され、塗布液が塗布体に供給される塗 布具であって、前記弾性膜体の外部に密閉空気層を形成したことを特徴とする塗 布具を要旨とするものである。

【０００５】

【作用】

本考案に係る塗布具は、弾性膜体の外部に密閉空気層を設けているので、塗布 液中の液体が気体状態で弾性膜体より透過しても、前記密閉空気層内で飽和状態 になってしまい、それ以上の液体の透過が起らない。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施例において 、実質的に同一の部材は同一番号を用いる。 図１に第１実施例を示し、図２にその要部拡大図を示す。参照符号１は軸筒で ある。軸筒１先端開口部には、繊維結束体や高分子多孔質体などよりなる塗布体 ２が装着されている。この塗布体２の後部は、軸筒１内先端に配置された、繊維 収束体（所謂、中綿）や多孔質体などよりなる一時的塗布液貯蔵部材３内に挿入 されている。この一時的塗布液貯蔵部材３後方に弾撥体受部材４が配置されてお り、この弾撥体受部材４と、弾撥体受部材４後方の軸筒１内に配置された弁体５ との間には、弁体５を後方に付勢するように弾撥体６が張架されている。ここで 、弾撥体６は、弁体５を後方に付勢することができれば、どのような形状であっ ても良いが、本実施例のように前方から後方に向かって次第に縮径するコイルバ ネであれば、塗布液の流れを周方向に導きやすいので実用上好ましい。

【０００７】 後方に付勢された弁体５は、軸筒１内部に固着された貫通孔を有する弁座部材 ７と当接し、弁機構を形成する。弁座部材７後方には、中央孔８ａを有する中栓 ８が配置されており、この弁座部材７と、中栓８との間は塗布液収容部９となさ れている。この塗布液収容部９内には、一端を弁体５後端近傍に位置させ、中栓 ８の中央孔８ａと隙間を形成して貫通するよう延在した棒状部材１０が配置され ている。この棒状部材１０の他端は、中栓８の中央孔８ａの外周に取り付けた蛇 腹状屈伸部を有する弾性膜体１１の後端に固着されている。ここで、弾性膜体１ １としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレンビニルアセテ ートなどのブロー成形品を例示できる。この弾性膜体１１の後端の外壁にはノッ ク部材１２が取付けられている。このノック部材１２はその外壁前方に螺合部１ ２ａを設けており、軸筒１後端開口部に固着された尾栓１３の螺合部１３ａに螺 着可能に、且つ、この螺着を解除した場合、尾栓１３内壁に摺動可能になってい る。更に、ノック部材１２と尾栓１３とを螺着することによって、ノック部材１ ２前端鍔部１２ｃに設けた環状リブ１２ｂと、尾栓１３の前方端面１３ｂとは液 密圧着し、弾性膜体１１外部に密閉空気層１４を形成するするようになっている 。

【０００８】 使用方法は以下の通りである。 ノック部材１２を回転し、ノック部材１２と尾栓１３との螺着を解除し、ノッ ク部材１２を前方に押圧すると、弾性膜体１１が圧縮され塗布液収容部１４の内 圧が上昇すると共に、棒状部材１０が前方に変位し、弁体５を弾撥体６の付勢力 に抗して変位させ、弁機構が開放する。 これによって、塗布液は、塗布液収容部９から弁機構を介して弁座部材７と弾 撥体受部材４との間の空間に流出し、更に、弾撥体受部材４の端面に設けられた 切欠き部４ａから、軸筒１内壁に設けられたリブ１ａを通って塗布体２に浸透し 塗布が可能になる。又、塗布液が、塗布体２が保持できないほど過剰に供給され た場合、塗布液は、一時的塗布液貯蔵部材３に浸透するので、塗布液が塗布体２ よりボタ落ちすることはない。

【０００９】 図３に第２実施例を示す。 本例は、ノック部材１２の前方部が後方に向かって縮径するテーパー状の形状 を有しており、ノック部材１２の外壁及び尾栓１３の内壁に、螺合部の代わりに リブ１２ａ、１３ａを形成し、ノック部材１２のリブ１２ａが、尾栓１３のリブ １３ａの後方に乗り越え嵌合したとき、ノック体１２のテーパー部のリブ（微小 であるため図中では省略している。）と尾栓１３の前方部１３ｂとが液密圧着し 、密閉空気層１４を形成するようなっている以外は実施例１と同様である。第２ 実施例は、使用時にノック体１２を回転させる必要がない点で第１実施例と異な っている。

【００１０】 図４に第３実施例を示す。 本例は、ノック部材１２の前方鍔部１２ｃにゴム製のオーリング等のパッキン グ１５を固着し、ノック体１２と尾栓１３とに螺合部を設けていない以外は実施 例１と同様であり、密閉空気層１４は、弾性膜体１１の後方への付勢力によって パッキング１５と尾栓１３の前方端面１３ｂとの液密圧着によって形成される。 第３実施例は、弾性膜体１１の後方への付勢力のみで密閉空気層１４を形成させ る点で上記実施例と異なっている。

【００１１】 図５に第４実施例を示す。 本例は、尾栓１３前方内壁にゴム製管状パッキング１６を固着し、ノック体１ ２前方部にゴム製管状パッキング１６と液密圧着しながら摺動可能なリブ１２ｂ を設け、密閉空気層１４を形成するようなっている以外は実施例１と同様である 。第４実施例は、常に密閉空気層１４が形成されている点で上記実施例と異なっ ている。

【００１２】

【考案の効果】

本考案に係るノック式塗布具は、弾性膜体外部に密閉空気層を形成しているの で、製品の外部に塗布液の透過減量が極めて少ないため、長期間保管しても筆記 跡のカスレや、筆記不能といった問題の発生しない優れたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の縦断面図

【図２】第１実施例の要部縦断面図

【図３】第２実施例の要部縦断面図

【図４】第３実施例の要部縦断面図

【図５】第４実施例の要部縦断面図

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ 塗布体 ５ 弁体 ７ 弁座部材 ９ 塗布液収容部 １１ 弾性膜体 １４ 密閉空気層

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ４３Ｋ 5/08 8906−2Ｃ 5/18 8906−2Ｃ Ｂ６５Ｄ 83/00

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に塗布液収容部を有する軸筒の先端
   部に塗布体を取り付け、塗布体後方に弁体と弁座部材と
   が圧接して弁を構成する弁機構を設け、前記塗布液収容
   部の一部を構成する弾性膜体を圧縮することにより前記
   弁機構が開放され、塗布液が塗布体に供給される塗布具
   であって、前記弾性膜体の外部に密閉空気層を形成した
   ことを特徴とする塗布具。