JP3852168B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、墨液、絵の具、インキなどの筆記具、アイライナー、リップカラーなどの化粧液、筆跡修正液、接着剤といった塗布液の塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部を塗布液収容室となした軸筒の開口部前方に塗布体を取り付け、塗布液収容室内部を加圧する事で、内部の塗布液を塗布体へ供給する塗布具としては、登録実用新案第3026887号公報に開示されているような、長尺状の本体と該本体の一端側に着脱自在な筆先を有する先端部とから構成し、前記本体を可撓性部材で形成すると共に本体内部に長さ方向に渡って空洞部を形成して水の貯蔵部とし、該貯蔵部と該筆先とを細孔から供給部を介し連通させると共に、本体を押圧することにより必要に応じて水を強制的に筆先に供給するようにしたことを特徴とするもの等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本体を押圧することで、前記貯蔵部から細孔を介し前記筆先に塗布液を強制的に供給する塗布具を使用する場合、本体への押圧力が大きすぎると筆先への塗布液の供給量が多すぎて、塗布液のボタ落ち現象が発生したり、逆に、押圧力が小さすぎると筆先への塗布液の供給量が少なくて、カスレが発生するという問題が発生しやすい。本体への押圧力を加減して、塗布液の吐出量を適切なものに調整することは、使用者の熟練を必要とし、従って、この種の塗布具は、使用しにくいという問題があった。塗布液の供給量を適切なものとするために、細孔の径を調節する方法も考えられるが、どのように調節しても、本体の押圧力の加減で、塗布液の吐出量は微妙に変化し、前記の様な使用者の熟練なしでは、ボタ落ち及びカスレが発生すると言った問題があった。
【0004】
本発明は、押圧力によって塗布液吐出量の変化が少なく、使用者の熟練なしでも容易に使用できる塗布具を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決しようとする手段】
本発明は、内部を塗布液収容室となした軸筒の開口部前方に塗布体を取り付け、塗布液収容室内部を加圧することで、内部の塗布液を塗布体へ供給する塗布具において、塗布体と塗布液収容室との間に、横断面異形の貫通孔を長手方向に設けた毛細管を形成した塗布液供給量規制部材を介在させると共に、前記塗布体の後部に吸蔵体を被覆したことを特徴とする塗布具を要旨とする。
【0006】
【実施例】
以下、本発明を添付図面を参照して説明する。
実施例1
図1及び図2に実施例1を示す。参照符号1は、繊維結束体からなる塗布体である。塗布体1は、多数の繊維を長手方向に収束し、後端に、熱溶着や接着及び段スリ加工などの方法により鍔付きの基部1aを形成したものである。塗布体1に使用している繊維の材質としては、鼬、馬、豚、狸などの天然筆毛を用いたり、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル繊維などの合成樹脂製筆毛を用いたり、或いは、前記天然筆毛と合成樹脂製筆毛とを混ぜたものを用いたりする事ができる。
【0007】
塗布体1は、前軸2の前軸貫通孔2a内部に、固定管3によって挿入固定されている。この固定管3の後端面3aは、前軸2内部に設けた前軸段部2bと中栓4とによって挟着固定されている。この中栓4は、前軸2後方開口から挿入され圧入固定されたものである。また、この中栓4には、中栓貫通孔4aと、複数の前方突起4bとが設けられており、この前方突起4bは、前記塗布体1の後端基部1aと当接している。
【0008】
固定管3の内壁には、長手方向に複数のリブ(不図示)が形成されており、このリブによって、塗布液の流通や、塗布液と空気との交換が可能な隙間を形成している。また、固定管3の後部は、側壁に孔3bを形成している。そして、この孔3bは、スポンジなどの吸蔵体5によって被覆されている。
【0009】
前記中栓貫通孔4aの中には、塗布液供給量規制部材6が配置されている。この塗布液供給量規制部材6は、後軸7内部に形成された塗布液収容室7b内部を加圧する事で、内部の塗布液が前記塗布体1に供給される際に、塗布液供給量を調整する部材である。この塗布液供給量規制部材6は、ポリアセタール系樹脂(ホモポリマー、コポリマーなどの樹脂を含む)、ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フッ素系樹脂などを材料として選択することが出来、その形状は、プラスチック製ペン先などに多く用いられる、横断面異形の貫通孔を長手方向に設けた毛細管を形成した成型物である。本実施例は、上記中栓貫通孔4aの内径をφ2.0mmとし、この中栓貫通孔4a内に配置する塗布液供給量規制部材6は、材質として、ポリアセタールを採用し、横断面形状として放射状にスリットが形成されたもので、直径2.2mm、長さ6.2mmのものを用いた。
【0010】
なお、上記前軸2と後軸7とは、螺合によって固着されているが、嵌合、接着などといった他の適宣手段によっても固着可能である。
【0011】
また、後軸7は、押圧変形及び復元可能な可撓性材料、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を用い、単層或いは、これら樹脂を複数に積層した多層で成形されている。
【0012】
但し、後軸7は、押圧変形可能なものであることは必ずしも必要でない。例えば、後軸7内部に二重パイプや弁機構を用いたりする事で、材質として、例えば金属や熱硬化性樹脂のような押圧変形不能なものを用いたり、熱可塑性樹脂を用いた場合でも可撓性を示さないほど厚い肉厚となす事もできる。
【0013】
次に、本塗布具を使用した場合の塗布液の流れについて説明する。後軸7を押圧変形すると、塗布液収容室7bより押し出された塗布液は、中栓4の中栓貫通孔4a内に配置した塗布液供給量規制部材6を通り、前方突起4bの間を通り、塗布体1及び吸蔵体5の後方に供給される。この供給された塗布液は、塗布体1の内部に浸透するか、塗布体1と固定管5の内壁との間を通って塗布体1の先端側に移動していく。
【0014】
実施例2
実施例2は、実施例1において、塗布液供給量規制部材6を繊維体とした以外は、実施例1と同様になしたものである。なお、上記繊維体として、アクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などからなる繊維結束体などを用いることができる。なお、塗布液供給量規制部材6として、上記記載したもの以外に、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などからなる連続気泡をもつ高分子多孔質体なども用いる事が出来る。本実施例は、上記中栓貫通孔4aの内径をφ2.0mmとし、この中栓貫通孔4a内に配置する塗布液供給量規制部材6は、材質として、アクリル系繊維を熱硬化性の接着剤に含浸させて加熱硬化させたもので、直径2.2mm、長さ6.2mm、気孔率約60%のものを用いた。作用は、実施例1と同様である。
【0015】
実施例3
図3及び図4に、実施例3を示す。実施例3は、実施例1において、塗布液供給量規制部材16を、その前端及び後端を斜めに切断した成形物とした以外は実施例1と同様になしたものである。本実施例は、中栓貫通孔14aの内径をφ2.0mmとし、この中栓貫通孔14a内に配置する塗布液供給量規制部材16は、材質として、ポリアセタールを採用し、横断面形状として放射状にスリットが形成されたもので、直径2.2mm、長さ6.2mmのものを用いた。作用は、実施例1と同様である。
【0016】
実施例4
実施例4は、実施例3において、塗布液供給量規制部材16を、繊維体とした以外は、実施例3と同様になしたものである。なお、上記繊維体として、アクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などからなる繊維結束体などを用いることができる。本実施例は、上記中栓貫通孔14aの内径をφ2.0mmとし、この中栓貫通孔14a内に配置する塗布液供給量規制部材16は、材質として、アクリル系繊維を熱硬化性の接着剤に含浸させて加熱硬化させたもので、直径2.2mm、長さ6.2mm、気孔率約60%のものを用いた。作用は、実施例3と同様である。
【0017】
実施例5
図5に実施例5を示す。実施例5は、実施例1において、塗布液供給量規制部材26を、その前端及び後端を円錐状に形成した成形物とした以外は、実施例1と同様になしたものである。本実施例は、上記中栓貫通孔24aの内径をφ2.0mmとし、この中栓貫通孔24a内に配置する塗布液供給量規制部材26は、材質として、ポリアセタールを採用し、横断面形状として放射状にスリットが形成されたもので、直径2.2mm、長さ6.2mmのものを用いた。作用は、実施例1と同様である。
【0018】
実施例6
実施例6は、実施例5において、塗布液供給量規制部材26を、繊維体とした以外は、実施例3と同様になしたものである。なお、上記繊維体として、アクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などからなる繊維結束体などを用いることができる。本実施例は、上記中栓貫通孔24aの内径をφ2.0mmとし、この中栓貫通孔24a内に配置する塗布液供給量規制部材16は、材質として、アクリル系繊維を熱硬化性の接着剤に含浸させて加熱硬化させたもので、直径2.2mm、長さ6.2mm、気孔率約60%のものを用いた。作用は、実施例5と同様である。
【0019】
比較例1
図6に比較例1を示す。比較例1は、実施例1において、塗布液供給量規制部材を取り去り、中栓貫通孔34aの内径をφ2.0mmからφ0.5mmに小さくした以外は、実施例1と同様になしたものである。
【0020】
上記実施例1〜6及び比較例1で得た塗布具について、塗布液の吐出性の試験を行った。結果を表1に示す。
【0021】
試験方法
塗布液として、水を用い、後軸内の塗布液収容室内の容量に対し、約80%〜60%充填した。後軸を軽く押圧変形した場合(加圧量:約20mmHg)と、通常に押圧変形した場合(加圧量:約40mmHg)と、強く押圧変形した場合(加圧量:約80mmHg)とにおける塗布液の吐出量を測定した。
【0022】
【表1】
【0023】
表1より、実施例1〜6は、押圧変形量を変え加圧量を変化しても、水の吐出量が著しく変化しないのに対し、比較例は、押圧変形量を変え加圧量を変化すると顕著に水の吐出量が変化することがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明に関わる塗布具は、内部を塗布液収容室となした軸筒の開口部前方に塗布体を取り付け、塗布液収容室内部を加圧することで、内部の塗布液を塗布体へ供給する塗布具において、塗布体と塗布液収容室との間に、横断面異形の貫通孔を長手方向に設けた毛細管を形成した塗布液供給量規制部材を介在させると共に、前記塗布体の後部に吸蔵体を被覆したので、後軸への押圧変形(加圧)に強弱があって加圧量が変化しても、塗布液供給量規制部材によって圧力の干渉作用が働き、塗布液の吐出量が変化し難く、使用者の熟練なしでも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例、第2実施例の縦断面図である。
【図2】 本発明の第1実施例、第2実施例の要部縦断面図である。
【図3】 本発明の第3実施例、第4実施例の縦断面図である。
【図4】 本発明の第3実施例、第4実施例の要部縦断面図である。
【図5】 本発明の第5実施例、第6実施例の要部縦断面図である。
【図6】 比較例1の要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 塗布体
1a 基部
2 前軸
2a 前軸貫通孔
3 固定管
4 中栓
4a 中栓貫通孔
14a 中栓貫通孔
24a 中栓貫通孔
34a 中栓貫通孔
5 吸蔵体
6 塗布液供給量規制部材
16 塗布液供給量規制部材
26 塗布液供給量規制部材
7 後軸
7a 塗布液収容室
Claims (1)
- 内部を塗布液収容室となした軸筒の開口部前方に塗布体を取り付け、塗布液収容室内部を加圧することで、内部の塗布液を塗布体へ供給する塗布具において、塗布体と塗布液収容室との間に、横断面異形の貫通孔を長手方向に設けた毛細管を形成した塗布液供給量規制部材を介在させると共に、前記塗布体の後部に吸蔵体を被覆したことを特徴とする塗布具。
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JP18739497A JP3852168B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 塗布具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP18739497A JP3852168B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 塗布具 |
Publications (2)
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JPH1120375A JPH1120375A (ja) | 1999-01-26 |
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Family
ID=16205268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18739497A Expired - Lifetime JP3852168B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 塗布具 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (3)
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-
1997
- 1997-06-27 JP JP18739497A patent/JP3852168B2/ja not_active Expired - Lifetime
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