JPH06100744A - 変性環状オレフィン系共重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

変性環状オレフィン系共重合体組成物およびその製造方法

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JPH06100744A
JPH06100744A JP25321192A JP25321192A JPH06100744A JP H06100744 A JPH06100744 A JP H06100744A JP 25321192 A JP25321192 A JP 25321192A JP 25321192 A JP25321192 A JP 25321192A JP H06100744 A JPH06100744 A JP H06100744A
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瀬 敏 行 広
Sanehiro Yamamoto
本 実 裕 山
Toshio Kimura
村 敏 男 木
Takashi Nakagawa
川 貴 中
Takemi Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は環状オレフィン系樹脂の接着性およ
び塗装性を改善する。 【構成】 本発明の変性環状オレフィン系樹脂組成物
は、(a)環状オレフィン系樹脂と、(b)特定の結晶
性ポリオレフィン樹脂および/または特定のエラストマ
ーとからなる組成物を、エチレン性不飽和基含有カルボ
ン酸、その無水物およびエチレン性不飽和基含有カルボ
ン酸ヒドロキシアルキルエステルよりなる群から選ばれ
る少なくとも一種類の変性剤(c)で変性した組成物で
ある。さらに、本発明は、この組成物の製造方法をも提
供する。 【効果】 本発明の変性環状オレフィン系樹脂組成物
は、従来の環状オレフィン系樹脂と比較して優れた接着
性・塗装性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は優れた接着性あるいは塗装
性を有する変性環状オレフィン系重合体組成物に関す
る。さらに詳しくは本発明は、接着剤などを用いない場
合であっても、例えば発泡ポリウレタンなどと優れた接
着性を有する変性環状オレフィン系重合体組成物に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】エチレンと特定の環状オレフィン
とがランダムに結合している環状オレフィンランダム共
重合体は、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、電気特性、
機械強度、成形性などの特性のバランスのよい樹脂であ
る。例えば、特開昭60-168,708号、同61-115,912号、同
61-115,916号、同62-120,816号等の公報には、上記環状
オレフィンランダム共重合体について詳細に記載されて
いる。
【0003】これらの公報に開示されている環状オレフ
ィンランダム共重合体は、上記のような特性に関しては
バランスがよいが、これらの特性の中で耐衝撃性に関し
ては、改善の余地があった。
【0004】環状オレフィンランダム共重合体の耐衝撃
性を改善する方法として、ポリプロピレンを含む結晶性
ポリオレフィンと環状オレフィンランダム共重合体との
組成物が提案されている(特開平1-318,054号公報参
照)。
【0005】この組成物は、剛性、耐熱性の優れている
が、用途によっては、必ずしも充分な耐衝撃性を有して
いない場合がある。また、この組成物では、ポリプロピ
レンと環状オレフィンランダム共重合体の相溶性が充分
でないために、成形品に層状剥離を生ずるといった問題
がある。
【0006】また、この環状オレフィンランダム共重合
体は、上記のように優れた特性を有しているにもかかわ
らず、他の材料、特に他の樹脂あるいは金属などとの接
着性に関しては良好であるとはいい難く、従って、環状
オレフィンランダム共重合体を使用するに際しては、接
着性について改善する必要があった。
【0007】このような問題点は、環状オレフィンラン
ダム共重合体に限らず、特定の環状オレフィンから誘導
される繰り返し単位を有する環状オレフィン系重合体に
共通している問題でもある。
【0008】また、本出願人は、環状オレフィン系共重
合体とゴム弾性と架橋剤とを予め接触させて組成物を得
た後、この組成物にプロピレン系重合体を配合した組成
物の発明について既に出願している(特願平3-171,406
号明細書参照)。本発明は、この組成物の均一性をさら
に改善した発明である。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような環状オレフィン
系共重合体組成物を使用するに際しての課題を解消しよ
うとするものであって、環状オレフィン系重合体組成物
が本質的に有する優れた特性を損なうことなく、成形体
に優れた接着性あるいは塗装性を有する組成物およびこ
の組成物を製造する方法を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【発明の概要】本発明の変性環状オレフィン系共重合体
組成物は、(a)エチレンと次式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとのランダム共重合体(a-
1)、次式[I]または[II]で表わされる環状オレフィ
ンの開環重合体または開環共重合体(a-2)および該開環
重合体または開環共重合体の水素添加物(a-3)よりなる
群から選ばれる少なくとも一種類の環状オレフィン系樹
脂:1〜99重量部と、(b)結晶化度が30%を超
え、かつ23℃における引張モジュラスが2000Kg/c
m2を超えるポリオレフィン樹脂(b-1)、および/また
は、結晶化度が30%以下であり、かつ23℃における
引張モジュラスが0.1〜2000Kg/cm2の範囲内にあ
るエラストマー(b-2):99〜1重量部とからなる組成
物が、該組成物100重量部に対して、1〜10重量部
の、エチレン性不飽和基含有カルボン酸、その無水物お
よびエチレン性不飽和基含有カルボン酸ヒドロキシアル
キルエステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種類
の変性剤(c)で変性されていることを特徴としてい
る。
【0011】
【化5】
【0012】…[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、rは0または1であ
り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
群から選ばれる原子もしくは基を表し、R15〜R18は、
互いに結合して単環または多環の基を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環の基が二重結合を有していて
もよく、また、R15とR16とで、またはR17とR18とで
アルキリデン基を形成していてもよい。
【0013】
【化6】
【0014】・・・[II] ただし、上記式[II]において、pおよびqは0または
1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であ
り、R1〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲ
ン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族
炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる
原子もしくは基を表し、R9が結合している炭素原子と
13が結合している炭素原子またはR10が結合している
炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるい
は炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していても
よく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15
19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形
成していてもよい]。
【0015】また、本発明の変性環状オレフィン系共重
合体組成物の製造方法は、(a)エチレンと上記式
[I]または[II]で表わされる環状オレフィンとのラ
ンダム共重合体(a-1)、上記式[I]または[II]で表わ
される環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体
(a-2)及び該開環重合体または開環共重合体の水素添加
物(a-3)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の環
状オレフィン系樹脂と、(b)結晶化度が30%を超
え、かつ23℃における引張モジュラスが2000Kg/c
m2を超えるポリオレフィン樹脂(b-1)、および/また
は、結晶化度が30%以下であり、かつ23℃における
引張モジュラスが0.1〜2000Kg/cm2の範囲内にあ
るエラストマー(b-2)とからなり、該(a)成分と
(b)成分とを99/1〜1/99の重量比で含有する
組成物に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸、その無
水物およびエチレン性不飽和基含有カルボン酸ヒドロキ
シアルキルエステルよりなる群から選ばれる少なくとも
一種類の変性剤(c)を、上記(a)成分と(b)成分
との合計量100重量部に対して1〜10重量部配合し
て接触させることを特徴としている。
【0016】本発明の変性環状オレフィン系共重合体組
成物は、従来の環状オレフィン系樹脂組成物と比較して
優れた接着性・塗装性を示す。本発明の変性環状オレフ
ィン系共重合体組成物は、(a)成分と(b)成分とか
らなる組成物を変性剤(c)で編成することにより容易
に製造することができる。
【0017】
【発明の具体的な説明】次に本発明にの変性環状オレフ
ィン系共重合体組成物について具体的に説明する。
【0018】本発明で使用される(a)成分である環状オ
レフィン系樹脂は、 (a-1) エチレンと式[I]または[II]で表わされる環
状オレフィンとのランダム共重合体[以下、「環状オレ
フィンランダム共重合体」と略記することもある]、(a
-2) 式[I]または[II]で表わされる環状オレフィン
の開環重合体または開環共重合体[以下、「開環(共)重
合体」と略記することもある]および(a-3) 上記(a-2)
の開環重合体または開環共重合体の水素添加物[以下、
「水添物」と略記することもある]であり、これらは単
独で使用することもできるし、また組み合わせて使用す
ることもできる。
【0019】ここで環状オレフィンは、次式[I]また
は[II]で表される。
【0020】
【化7】
【0021】…[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、rは0または1であ
る。なお、rが1の場合には、RaおよびRbは、それぞ
れ独立に、下記の原子または炭化水素基を表し、rが0
の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成
する。
【0022】また、R1〜R18ならびにRaおよびR
bは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または
炭化水素基である。ここで、ハロゲン原子としては、例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原
子が挙げられる。また、炭化水素基としては、それぞれ
独立に、通常は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
3〜15のシクロアルキル基が挙げられる。より具体的
にはアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基
が挙げられる。またシクロアルキル基の例としては、シ
クロヘキシル基が挙げられる。
【0023】さらに、上記式[I]において、R15とR
16とが、R17とR18とが、さらにR1 5とR17とが、R16
とR18とが、R15とR18とが、あるいは、R16とR17
がそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多
環の構造を形成していてもよく、しかも、このようにし
て形成された単環または多環の構造が二重結合を有して
いてもよい。
【0024】ここで単環または多環の構造の例を以下に
示す。
【0025】
【化8】
【0026】なお、上記の例示した構造において、1お
よび2の番号を賦した炭素原子は、式[I]において、
15(R16)およびR17(R18)で表される基が結合し
ている脂環構造の炭素原子を表す。
【0027】また、R15とR16とで、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素数2〜20のアルキリデ
ン基が挙げられ、具体的な例としては、エチリデン基、
プロピリデン基およびイソプロピリデン基が挙げられ
る。
【0028】次に式[II]で表される環状オレフィンに
ついて説明する。
【0029】
【化9】
【0030】・・・[II] ただし、上記式[II]において、pは0または正の整数
であり、好ましくは0〜3である。また上記式[II]に
おいて、mおよびnは0、1または2である。さらに、
qは0または正の整数であり、好ましくは0または1で
ある。
【0031】そして、R1〜R19は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここ
で、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。また、
炭化水素基の例としては、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数5〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜1
2の芳香族基が挙げられる。アルキル基の具体的な例と
しては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、n-アミル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、
n-オクチル基、n-デシル基および2-エチルヘキシル基等
が挙げられる。シクロアルキル基の具体的な例として
は、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基および
エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香族
基の具体的な例としては、アリール基およびアラルキル
基が挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、ナフ
チル基、ベンジル基、フェニルエチル基およびビフェニ
ル基等が挙げられる。これらの基は低級アルキル基を有
していてもよい。
【0032】また、アルコキシ基の例としては、メトキ
シ基、エトキシ基およびプロポキシ基が挙げられる。こ
れらの基はハロゲン原子で置換されていてもよい。さら
に、上記式[II]において、R9およびR10が結合して
いる炭素原子とR1 3が結合している炭素原子またはR11
が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわ
ち、上記2個の炭素原子がアルキレン基を介して結合し
ている場合には、R9およびR13が、または、R10およ
びR11が互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレ
ン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)のう
ちのいずれかのアルキル基を形成していることが好まし
い。
【0033】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の好ましい例と
しては、n=m=0のときR15とR12がさらに芳香族環
を形成している以下に記載する基が挙げられる。
【0034】
【化10】
【0035】上記式において、qは式[II]におけるの
と同じ意味である。前記式[I]または[II]で表わさ
れる環状オレフィンは、シクロペンタジエン類と相応す
るオレフィン類あるいは相当する環状オレフィン類と
を、ディールス・アルダー反応を利用して縮合させるこ
とにより製造することができる。
【0036】本発明において使用される上記式[I]ま
たは[II]で表わされる環状オレフィンとしては、具体
的には、以下に記載する化合物およびこれらの誘導体が
挙げられる。
【0037】ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシク
ロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ペンタシク
ロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ヘキサデセ
ン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3
-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン
誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-
ペンタデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシ
クロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エ
イコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.1
12,17.02,7.011,16]-5-エイコセン誘導体、ヘプタシク
ロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘン
エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.
012,17]-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.
14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペ
ンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.
116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘
導体。
【0038】1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフル
オレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒ
ドロアントラセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物。
【0039】そして、上記のような式[I]および[I
I]で表される環状オレフィンの具体的な化合物の例と
しては、以下に記載する化合物が挙げられる。
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】
【化22】
【0052】
【化23】
【0053】
【化24】
【0054】
【化25】
【0055】
【化26】
【0056】
【化27】
【0057】
【化28】
【0058】
【化29】
【0059】
【化30】
【0060】
【化31】
【0061】
【化32】
【0062】本発明で使用される環状オレフィンランダ
ム共重合体(a-1)は、上記のような環状オレフィンとエ
チレンとの共重合体であり、この共重合体はエチレンか
ら誘導される繰り返し単位を、通常は52〜90モル
%、好ましくは55〜80モル%の範囲内の量で含有
し、環状オレフィンから誘導される繰り返し単位を、通
常は10〜48モル%、好ましくは20〜45モル%の
範囲内の量で含んでいる。上記エチレンから誘導される
繰り返し単位と環状オレフィンから誘導される繰り返し
単位とはランダムに、かつ実質状線状に配列されてい
る。
【0063】この環状オレフィンランダム共重合体(a-
1)は、エチレンおよび前記環状オレフィンを必須成分と
するものであるが、これらの必須の二成分の他に本発明
の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可
能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。任意に共
重合されていてもよい不飽和単量体として、具体的に
は、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テト
ラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコ
セン等の炭素原子数が3〜20のα-オレフィン等を例示
することができる。環状オレフィンランダム共重合体(a
-1)は、上記他の不飽和単量体から誘導される繰り返し
単位を、エチレンから誘導される繰り返し単位に対し
て、等モル未満の量で含有していてもよい。
【0064】さらに、本発明においては、上記のような
環状オレフィンランダム共重合体を製造するに際して、
得られる重合体等の物性を損なわない範囲で、前記式
[I]または[II]で表される環状オレフィン以外の環
状オレフィンを重合させることもできる。このような環
状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロ
ペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロヘキセ
ン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-
シクロヘキセン、2,3,3a,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-
1H-インデン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-
インデン等を挙げることができる。このような他の環状
オレフィンは単独で、あるいは組み合わせて使用するこ
とができ、通常、0〜50モル%の量で用いられる。
【0065】環状オレフィンランダム共重合体中におけ
るエチレン組成および環状オレフィン組成は、この共重
合体について13C-NMRを測定することにより測定す
ることができる。また、この環状オレフィンランダム共
重合体が実質状線状であり、ゲル状架橋構造を有してい
ないことは、この共重合体が135℃のデカリンに完全
に溶解することによって確認することができる。
【0066】このような環状オレフィンランダム共重合
体(a-1)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]は、通常は0.05〜10dl/g、好ましくは0.0
8〜5dl/gの範囲内にある。
【0067】また、環状オレフィンランダム共重合体(a
-1)についてサーマル・メカニカル・アナライザーで測
定した軟化温度(TMA)は、通常は70℃以上、好ま
しくは90〜250℃、特に好ましくは100〜200
℃の範囲内にある。
【0068】本発明において、軟化温度(TMA)は、
デュポン社製Thermomechanical Analyser を用いて厚さ
1mmのシートの熱変形挙動により測定した値である。具
体的には、シート上に石英製針をのせてこの石英製針に
荷重49gをかけ、5℃/分の昇温速度で昇温し、石英
製針がシートに0.635mm侵入した温度をTMAとし
た。
【0069】また、環状オレフィンランダム共重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、通常は50〜230℃、好
ましくは70〜210℃の範囲内にある。また、この環
状オレフィンランダム共重合体(a-1)についてX線回析
法によって測定した結晶化度は、通常は0〜10%、好
ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲にあ
る。
【0070】上記のエチレンと式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとの反応は、通常は、炭化水
素溶媒中で行われる。ここで使用される炭化水素溶媒と
しては脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭
化水素のいずれの溶媒をも使用することができる。さら
に環状オレフィンランダム共重合体の調製の際に使用で
きる重合性不飽和単量体のうちで反応条件において液体
である化合物を反応溶媒として用いることもできる。こ
れらの溶媒は単独で、あるいは組合わせて使用すること
ができる。
【0071】上記のエチレンと式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとの反応の際に用いられる触
媒は、通常は、反応溶媒に対して可溶性のバナジウム化
合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒であ
る。
【0072】この共重合に際して触媒として用いられる
バナジウム化合物としては、式 VO(OR)ab、若
しくは式 V(OR)cdで表わされる化合物を挙げる
ことができる。
【0073】ただし、上記の式において、Rは炭化水素
基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、
0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4の関係を有す
る。さらにここで使用されるバナジウム化合物は、上記
式で表わされるバナジウム化合物の電子供与体付加物で
あってもよい。ここで付加物を形成する電子供与体の例
としては、炭素原子数1〜18のアルコール類、炭素原
子数6〜20のフェノール類(このフェノール類は、低
級アルキル基を有してよい)、炭素原子数3〜15のケ
トン類、炭素原子数2〜15のアルデヒド類、炭素原子
数2〜30の有機酸エステル類、炭素原子数2〜15の
酸ハライド類、炭素原子数2〜20のエーテル類、アミ
ン類、アルコキシシラン類を挙げることができる。これ
らの電子供与体は、単独であるいは組合わせて使用する
ことができる。
【0074】この共重合に際して使用される有機アルミ
ニウム化合物は、分子内に少なくとも1個のAl-炭素
結合を有する化合物である。この有機アルミニウム化合
物の例としては、(i)式 R1 mAl(OR2npq
で表わされる有機アルミニウム化合物(ここでR1およ
びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が通常は1〜1
5個、好ましくは1〜4個の炭化水素基を表し、Xはハ
ロゲン、mは0≦m≦3、nは0≦n<3、pは0≦n
<3、qは0≦q<3の数であって、しかもm+n+p
+q=3である)、(ii)式 M1AlR1 4 で表わされ
る第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(ここ
でM1はLi、NaまたはKであり、R1は前記と同じ意味
である)を挙げることができる。
【0075】上記の反応において、バナジウム化合物の
使用量は、バナジウム原子として、通常は0.01〜5
グラム原子/リットル、好ましくは0.05〜3グラム
原子/リットルの範囲内にある。また、有機アルミニウ
ム化合物の使用量は、重合反応系内のバナジウム原子に
対するアルミニウム原子の比(Al/V)として表す
と、通常は2以上、好ましくは2〜50、特に好ましく
は3〜20の範囲内にある。
【0076】環状オレフィンランダム共重合体(a-1)中
で、環状オレフィン[I]または[II]は、それぞれ次
式[I-a]または[II-a]で表わされる繰り返し単位を
形成していると考えられる。
【0077】
【化33】
【0078】・・・[I-a] 上記式[I-a]において、n、m、r、R1 〜R18
a、Rbは、前記式[I]におけるのと同じ意味であ
る。
【0079】
【化34】
【0080】・・・[II-a] 上記式[II-a]において、p、q、m、n、R1〜R19
は、前記式[II]におけるのと同じ意味である。
【0081】環状オレフィンの開環重合体または開環共
重合体(a-2)は、前記式[I]または[II]で表される環
状オレフィンの開環重合体または開環共重合体である。
このような環状オレフィン開環重合体または環状オレフ
ィン開環共重合体(a-2)について、135℃のデカリン中で
測定した極限粘度[η]は、通常は0.05〜10dl/
g、好ましくは0.08〜5dl/gの範囲内にある。
【0082】また、環状オレフィン開環重合体または環
状オレフィン開環共重合体(a-2)についてサーマル・メ
カニカル・アナライザーで測定した軟化温度(TMA)
は、通常は70℃以上、好ましくは90〜250℃、特
に好ましくは100〜200℃の範囲内にある。
【0083】また、環状オレフィン開環重合体または環
状オレフィン開環共重合体(a-2)のガラス転移温度(T
g)は、通常は50〜230℃、好ましくは70〜21
0℃の範囲にある。
【0084】また、この環状オレフィン開環重合体また
は環状オレフィン開環共重合体(a-2)についてX線回析
法によって測定した結晶化度は、通常は0〜10%、好
ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲にあ
る。
【0085】この環状オレフィン開環重合体または環状
オレフィン開環共重合体(a-2)は、前記式[I]または
[II]で表される環状オレフィンを、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、オスミウム、インジウムおよび白金
のような金属のハロゲン化物、これらの金属の硝酸塩ま
たはこれらの金属のアセチルアセトン化合物と、還元剤
とからなる触媒;チタン、パラジウム、ジルコニウムお
よびモリブデンのような金属のハロゲン化物またはこれ
らの金属のアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウ
ムとからなる触媒の存在下に(共)重合させることによ
り製造することができる。
【0086】環状オレフィン開環重合体または環状オレ
フィン開環共重合体(a-2)において、環状オレフィン
[I]または[II]は、それぞれ次式[I-b]または[II
-b]で表わされる繰り返し単位を形成していると考えら
れる。
【0087】
【化35】
【0088】・・・[I-b] 上記式[I-b]において、n、m、r、R1 〜R18
a、Rbは、前記式[I]におけるのと同じ意味であ
る。
【0089】
【化36】
【0090】・・・[II-b] 上記式[II-b]において、p、q、m、n、R1〜R19
は、前記式[II]におけるのと同じ意味である。
【0091】上記環状オレフィン開環重合体または環状
オレフィン開環共重合体(a-2)の水素添加物(a-3)は、上
記のようにして得られた環状オレフィン開環重合体ある
いは開環共重合体(a-2)を水素添加触媒の存在下に水素
で還元することにより製造することができる。
【0092】このような水素添加物(a-3)について、1
35℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常
は0.05〜10dl/g、好ましくは0.08〜5dl/gの範
囲内にある。
【0093】また、水素添加物(a-3)についてサーマル
・メカニカル・アナライザーで測定した軟化温度(TM
A)は、通常は70℃以上、好ましくは90〜250℃、
特に好ましくは100〜200℃の範囲内にある。
【0094】また、水素添加物(a-3)のガラス転移温度
(Tg)は、通常は50〜230℃、好ましくは70〜
210℃の範囲にある。また、この水素添加物(a-3)に
ついてX線回析法によって測定した結晶化度は、通常は
0〜10%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜
5%の範囲にある。
【0095】上記環状オレフィン開環重合体または開環
共重合体の水素添加物(a-3)中で環状オレフィン[I]ま
たは[II]は、それぞれ次式[I-c]または[II-c]で
表わされる繰り返し単位を形成していると考えられる。
【0096】
【化37】
【0097】・・・[I-c] 上記式[I-c]において、n、m、r、R1 〜R18
a、Rbは、前記式[I]におけるのと同じ意味であ
る。
【0098】
【化38】
【0099】・・・[II-c] 上記式[II-c]において、p、q、m、n、R1〜R19
は、前記式[II]におけるのと同じ意味である。
【0100】本発明で用いる環状オレフィン系重合体
は、上記の外、特開昭60-168708号、同61-120816号、同
61-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-27
2216号、同62-252406号および同62-252407号等の公報に
おいて本出願人が提案した方法に従い適宜条件を選択す
ることにより、製造することができる。
【0101】本発明で使用される(b)成分は、(b-1)
結晶化度が30%を超え、かつ23℃における引張モ
ジュラスが2000Kg/cm2を超えるポリオレフィン樹
脂、および、(b-2) 23℃における引張モジュラスが
0.1〜2000Kg/cm2の範囲内にあるエラストマーの
いずれか一方もしくは両者である。
【0102】ポリオレフィン樹脂(b-1)は、特定の結晶
化度を有する結晶性ポリオレフィンである。すなわち、
本発明においてポリオレフィン樹脂(b-1)としては、X
線回折法によって測定した結晶化度が30%を超え、好
ましくは結晶化度が40%以上、さらに好ましくは50
%以上のポリオレフィンが使用される。同時に、この結
晶性ポリオレフィン(b-1)について23℃で測定した引
張モジュラスは、2000Kg/cm2を超えていることが必
要であり、特にこの引張モジュラスが、2000Kg/cm2
を超え30000Kg/cm2以下であることが好ましく、さ
らに3000〜20000Kg/cm2の範囲内にあることが
特に好ましい。
【0103】このような結晶性ポリオレフィン(b-1)と
しては、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく
使用される。ここで使用されるポリエチレンとしては、
エチレンから誘導される繰り返し単位を通常は50モル
%以上、好ましくは90モル%以上含有するポリエチレ
ンである。またポリプロピレンとしては、プロピレンか
ら誘導される繰り返し単位を通常は70モル%以上、好
ましくは80モル%以上含有するポリプロピレンであ
る。
【0104】ここでポリエチレンは、エチレンの単独重
合体であっても、また少量の他のα-オレフィンとエチ
レンとの共重合体であってもよい。エチレンと共重合す
る他のα-オレフィンの例としては、プロピレン、ブテ
ン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、3-メチルブテ
ン-1およびヘキセン-1のような炭素数3〜20のα-オ
レフィンを挙げることができる。本発明で使用すること
ができる結晶性ポリエチレンの具体的な例としては、高
密度ポリエチレン、稠密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)および
超低密度ポリエチレン(VLDPE)を挙げることがで
きる。このような結晶性ポリエチレンは通常は0.82
〜0.96g/cm3程度の密度を有しており、さらに135
℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は1
〜5dl/gの範囲内にある。
【0105】また、結晶性ポリオレフィン(b-1)とし
て、ポリプロピレンを使用する場合、プロピレンの単独
重合体およびプロピレンと他のα-オレフィンとの共重
合体を使用することができる。プロピレンと共重合する
他のα-オレフィンの例としては、エチレン、ブテン-
1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、3-メチルブテン-
1およびヘキセン-1のような炭素数2〜20のα-オレフ
ィン(プロピレンを除く)を挙げることができる。この
ような結晶性ポリプロピレンは通常は0.88〜0.92
g/cm3程度の密度を有しており、さらに135℃のデカ
リン中で測定した極限粘度[η]は、通常は1〜10dl
/gの範囲内にある。
【0106】なお、上記結晶性ポリオレフィン(b-1)
は、結晶性を損なわない範囲内で鎖状非共役ジエンから
誘導される繰り返し単位および/または環状非共役ジエ
ンから誘導される繰り返し単位を有していてもよい。結
晶性ポリオレフィン(b-1)におけるこのような非共役ジ
エンから誘導される繰り返し単位の含有率は、通常は2
0モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
【0107】これらのポリオレフィン樹脂(b-1)の中で
は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレンおよびポリプロピレンよりなる群から
選ばれる少なくとも一種類のポリオレフィンが好まし
い。
【0108】また、(b)成分であるエラストマー(b-
2)は、ガラス転移温度(Tg)が通常は0℃以下であり、
好ましくは0℃〜−150℃、さらに好ましくは−80
〜−20℃の範囲内にある。さらに、このエラストマー
の135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、
通常は0.2〜10dl/g、好ましくは1〜5dl/gであ
る。またその密度は、通常は0.82〜0.96g/cm3
好ましくは0.84〜0.92g/cm3である。さらに、こ
のエラストマーのX線回折法によって測定した結晶化度
は、通常、30%以下、好ましくは25%以下であり、
この共重合体は、低結晶性若しくは非晶性であることが
好ましい。
【0109】本発明で使用されるエラストマー(b-2)が
α-オレフィン共重合体である場合には、このようなα-
オレフィン共重合体としては、具体的には、(イ)エチ
レン・α-オレフィン共重合体ゴム、(ロ)プロピレン・
α-オレフィン共重合体ゴムが例示できる。上記のエチ
レン・α-オレフィン共重合体ゴム(イ)およびプロピレ
ン・α-オレフィン共重合体ゴム(ロ)は単独で使用する
こともできるし、さらに両者を組み合わせて使用するこ
ともできる。
【0110】上記のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴ
ム(イ)を構成するα-オレフィンとしては、通常、炭
素数3〜20のα-オレフィン、たとえばプロピレン、1
-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテ
ン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物を挙げ
ることができる。このうち特にプロピレンおよび/また
は1-ブテンが好ましい。
【0111】また、プロピレン・α-オレフィン共重合体
ゴム(ロ)を構成するα-オレフィンとしては、通常、
炭素数4〜20のα-オレフィン、たとえば1-ブテン、1
-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オク
テン、1-デセンおよびこれらの混合物を挙げることがで
きる。このうち特に1-ブテンが好ましい。
【0112】なお、このエラストマー(b-2)は、その特
性を損なわない範囲内で、ジエン化合物から誘導される
繰り返し単位等のようなα-オレフィンから誘導される
繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
【0113】例えば、このエラストマーに含まれること
が許容される繰り返し単位としては、1,4-ヘキサジエ
ン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6
-メチル-1,5-ヘプタジエンおよび7-メチル-1,6-オクタ
ジエンのような鎖状非共役ジエンから誘導される繰り返
し単位;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、
メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、
5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボル
ネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネンおよび6-ク
ロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンのような
環状非共役ジエンから誘導される繰り返し単位;2,3-ジ
イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イ
ソプロピリデン-5-ノルボルネンおよび2-プロペニル-2,
2-ノルボルナジエン等のジエン化合物から誘導される繰
り返し単位を挙げることができる。α-オレフィン共重
合体中における上記のようなジエン成分から誘導される
繰り返し単位の含有量は、通常は10モル%以下、好ま
しくは5モル%以下である。
【0114】上記エチレン・α-オレフィン共重合体
(イ)においては、エチレンから誘導される繰り返し単
位とα-オレフィンから誘導される繰り返し単位とのモ
ル比(エチレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの
種類によっても異なるが、一般に10/90〜99/
1、好ましくは50/50〜95/5である。上記モル
比は、α-オレフィンがプロピレンである場合には、5
0/50〜90/10であることが好ましく、α-オレ
フィンが炭素数4以上のα-オレフィンである場合には
80/20〜95/5であることが好ましい。
【0115】また、プロピレン・α-オレフィン共重合体
(ロ)においては、プロピレンから誘導される繰り返し
単位とα-オレフィンから誘導される繰り返し単位との
モル比(プロピレン/α-オレフィン)は、α-オレフィ
ンの種類によっても異なるが、一般には50/50〜9
5/5の範囲内にある。さらに、上記モル比は、α-オ
レフィンが1-ブテンである場合には、50/50〜90
/10であることが好ましく、α-オレフィンの炭素数
が5以上である場合には、80/20〜95/5である
ことが好ましい。
【0116】これらのエラストマー(b-2)の中では、エ
チレン-プロピレンランダム共重合体が好ましい。本発
明の変性環状オレフィン系共重合体組成物は、(a)成
分である環状オレフィン系樹脂と、(b)成分であるポ
リオレフィン樹脂(b-1)および/またはエラストマー(b-
2)とを、1/99〜99/1の重量比、好ましくは30
/70〜99/1の重量比、さらに好ましくは50/5
0〜95/5の重量比で含有する組成物が特定の変性剤
(c)で変性された組成物である。
【0117】本発明で使用される変性剤(c)は、エチ
レン性不飽和基含有カルボン酸、その酸無水物及びエチ
レン性不飽和基含有カルボン酸ヒドロキシアルキルエス
テルよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の変性剤
である。
【0118】エチレン性不飽和基含有カルボン酸または
これらの酸無水物の具体的な例としては、(メタ)アク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ノルボル
ネンジカルボン酸およびビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン
-5,6-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、ならびに、
これらの酸無水物を挙げることができる。
【0119】さらに、エチレン性不飽和基含有カルボン
酸ヒドロキシアルキルエステルの具体的な例としては、
2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル
メタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、
2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、3-クロロ-2-ヒドロキシアクリレート、3-クロロ-
2-ヒドロキシメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノ
キシプロピルアクリレートおよび2-ヒドロキシ-3-フェ
ノキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0120】これらの中でも、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、2-ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレートが好ましい。さらにこれらの中
でもエチレン性不飽和基含有カルボン酸ヒドロキシアル
キルエステルが好ましい。このなかでも2-ヒドロキシア
ルキル(メタ)アクリレート、好ましくは2-ヒドロキシ
エチルアクリレートで変性された本発明の組成物は、接
着剤として特に優れた特性を示す。これらの変性剤は、
単独で使用することもできるし、さらに組み合わせて使
用することもできる。
【0121】上記のような変性剤(c)は、上記(a)
成分と(b)成分との合計重量100重量部に対して、
0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で
使用される。
【0122】本発明の変性環状オレフィン系重合体組成
物は、上記(a)成分および(b)成分からなる組成物
に(c)成分である変性剤を配合して接触させることに
より製造することができる。
【0123】これらの成分を接触させる際には、ラジカ
ル開始剤を使用することが好ましい。ここでラジカル開
始剤としては、通常は、有機過酸化物あるいはアゾ化合
物などが用いられる。
【0124】有機過酸化物の具体的な例としては、1,1-
ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘ
キサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル
-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)パラレートおよび2,2-
ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケター
ル類;ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α'-ビス
(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-
ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンおよ
び2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシ
ン-3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオ
キサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイル
パーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロ
ベンゾイルパーオキサイドおよびm-トリオイルパーオキ
サイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルパーオ
キシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチ
ルパーオキシラウリレート、t-ブチルパーオキシベンゾ
エート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-
ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-
ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネートおよびクミルパーオキシ
オクテート等のパーオキシエステル類;ならびに、t-ブ
チルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキ
サイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイ
ド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイ
ドおよび1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキ
サイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることがで
きる。
【0125】これらなかでも、1,1-ビス(t-ブチルパー
オキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメ
チル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5
-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3が
好ましい。
【0126】また、ラジカル開始剤として使用されるア
ゾ化合物の具体的な例としては、アゾイソブチロニトリ
ル等を挙げることができる。このようなラジカル開始剤
は、単独あるいは組合せで使用することができる。変性
剤(c)を用いて、組成物を変性する際には、上記ラジ
カル開始剤は、(a)成分と(b)成分との合計重量1
00重量部に対して、通常は0.005〜10重量部、
好ましくは0.05〜5重量部の範囲内の量で使用され
る。
【0127】上記(a)成分および(b)成分からなる
組成物と、変性剤と、さらに必要により配合されるラジ
カル開始剤は、少なくとも(a)成分または(b)成分
のいずれか一方を溶融状態にして混練する方法、(a)
成分および(b)成分からなる組成物を予め有機溶媒に
溶解もしくは分散させた溶液(あるいは分散液)を調製
し、ここに変性剤、さらに必要によりラジカル開始剤を
添加し加熱する方法などにより変性することができる。
【0128】このようにして製造される本発明の変性環
状オレフィン系共重合体組成物における変性率は、通常
は0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%であ
る。本発明の変性環状オレフィン系重合体組成物は、グ
ラフト量が上記の範囲内になるように変性剤と組成物と
の配合量を調整して製造することもできるし、また、例
えば変性剤の配合量を多くしてグラフト量の高い変性環
状オレフィン系重合体組成物を調製し、次いでグラフト
量が上記範囲内になるように未変性の組成物で希釈する
ことにより製造することもできる。
【0129】本発明の変性環状オレフィン系共重合体組
成物は、上記のように(a)成分と(b)成分とが、変
性剤(c)で変性されている組成物であるが、この組成
物中には架橋構造が形成されていてもよい。架橋構造を
形成することにより、本発明の変性環状オレフィン系共
重合体組成物から形成される成形体の耐衝撃性等の特性
が向上する。変性環状オレフィン系共重合体組成物に架
橋構造を形成する方法としては、通常はラジカル開始剤
が使用される。この場合に使用するラジカル開始剤とし
ては、上記変性剤(c)を用いて組成物を変性する際に
例示した化合物を使用することができる。ただし、架橋
構造を形成する場合には、ラジカル開始剤を上記変性剤
(c)とは別個に使用するか、または、樹脂の変性の際
に通常使用されているラジカル開始剤の使用量よりも多
量に使用する。例えば上記(a)成分および(b)成分
の合計量100重量部に対して通常は0.005〜10
重量部、多くの場合0.05〜5重量部である。すなわ
ち、変性剤(c)を用いて変性する場合よりも多量に使
用する。
【0130】また、上記のようにラジカル開始剤で処理
して架橋構造を形成する際には、ラジカル重合性の官能
基を分子内に2個以上有する化合物(架橋助剤)を配合
することができる。このような化合物を用いることによ
り、得られる変性環状オレフィン系共重合体組成物の耐
衝撃性等の特性はより向上する。
【0131】ここで使用される架橋助剤の例としては、
ジビニルベンゼンおよび(メタ)アクリル酸ビニルなど
を挙げることができる。このような架橋助剤は、(a)
成分と(b)成分との合計重量100重量部に対して、
通常は0.005〜10重量部、好ましくは0.05〜5
重量部の範囲内の量で使用される。
【0132】上記のように架橋構造を形成する場合に
は、(a)成分と(b)成分との混合物を溶融混練し、
さらにこの混練物に変性剤(c)、ラジカル開始剤およ
び架橋助剤を配合して混練する方法、(a)成分と
(b)成分との混合物を溶融混練し、さらにこの混練物
に変性剤(c)およびラジカル開始剤を配合して混練
し、さらにこの混練物にラジカル開始剤、架橋助剤を配
合して混練する方法、(a)成分、(b)成分、変性剤
である(c)成分およびラジカル開始剤を一括で溶融混
練し、さらにこの混練物にラジカル開始剤、架橋助剤を
配合して混練する方法、(a)成分と(b)成分との混
合物を溶融混練し、さらにこの混練物にラジカル開始剤
および架橋助剤を溶融混練し、さらにこの混練物に変性
剤(c)およびラジカル開始剤を配合して溶融混練する
方法、(a)成分、(b)成分、変性剤(c)、ラジカ
ル開始剤および架橋助剤を一括で溶融混練する方法など
種々の方法を採用することができる。
【0133】また、本発明の変性環状オレフィン系重合
体組成物には、上記の成分の他に、無機充填剤、有機充
填剤、熱安定剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、スリップ
防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、
染料、天然油、合成油およびワックス等の添加剤が配合
されていてもよい。
【0134】本発明の変性環状オレフィン系重合体組成
物は、他の樹脂、金属などと良好な接着性を有する。本
発明の変性環状オレフィン系重合体組成物は、樹脂、金
属、セラミックス、紙、布、不織布などのの種々の材料
と良好な接着性を示す。特に本発明の変性環状オレフィ
ン系重合体組成物は、樹脂あるいは金属との接着性が良
好である。例えば、被接着体として金属を使用する場
合、鉄、アルミニウム、ステンレスなどと特に優れた接
着性を示す。
【0135】また、被接着体として樹脂を使用する場
合、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
オレフィン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセター
ル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン
樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂およびABS
樹脂との接着性が良好である。
【0136】さらに、本発明の変性環状オレフィン系重
合体組成物は、樹脂発泡体、特に発泡ウレタンとの接着
性が良好であり、発泡ウレタンを製造する際に、他の成
分からなる接着剤を使用しなくとも、本発明の変性環状
オレフィン系重合体組成物から製造された成形体と発泡
ウレタンとを接着させることができる。例えば、発泡ウ
レタンを断熱剤とする断熱構造物を製造する際に、まず
本発明の変性環状オレフィン系重合体組成物を用いて所
望の形状の成形体(表面層または中間層を形成する)を
製造し、この成形体を一定の型枠内に装填し、次いでこ
の金型内に発泡ウレタン前駆体を充填して発泡させるこ
とにより、発泡ウレタンで裏打ちされた断熱性構造物を
製造することができる。また、このような発泡体を製造
する際には発泡剤としてフッ素化炭化水素等が使用され
ることがあるが、本発明の変性環状オレフィン系重合体
組成物は、こうしたフッ素化炭化水素に対しても優れた
耐性を示す。
【0137】
【発明の効果】本発明の変性環状オレフィン系重合体組
成物では、環状オレフィン系重合体が本質的に有してい
る優れた特性を維持したまま、接着性および剛性が向上
している。即ち、本発明の共重合体組成物は、他の樹
脂、金属などに対して優れた接着性能を示すとともに、
例えば発泡ウレタンなどとは、接着剤を使用しなくとも
良好に接着する。
【0138】
【実施例】つぎに、本発明を実施例を示して説明する
が、本発明は、これら実施例によって限定的に解釈され
るべきではない。
【0139】物性の測定方法 (1)溶融流れ指数(MFR260℃) ASTM D1238に準じ温度260℃、荷重2.1
6Kgで測定した。 (2)極限粘度[η] デカリン溶液、135℃で測定した。 (3)軟化温度(TMA) デュポン社製 Thermo Mechanical Analyzer を用いて厚
さ1mmのシートの熱変形挙動により測定した。すなわ
ち、シ−ト上に石英製針をのせ、荷重49gをかけ、5
℃/分の速度で昇温して、針が0.635mm侵入した温
度をTMAとした。
験片の作製 [試験片Aの作製]環状オレフィンランダム共重合体ペ
レット3.6Kgを用意した。この共重合体は、エチレン
と1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ
ナフタレン(DMON)とのランダム共重合体(エチレン含
有率:73モル%)であり、極限粘度[η]は0.6dl/
g、260℃におけるMFRは25g/分および軟化温
度は115℃である。
【0140】別に、低結晶性α-オレフィン系共重合体
としてエチレン含有率が80モル%のエチレン・プロピ
レンランダム共重合体ペレット0.4Kgを用意した。こ
の共重合体の極限粘度[η]は、2.55dl/g、ガラス転
移温度は−54℃、230℃におけるMFRは、0.4
g/分である。
【0141】上記の2種類のペレット、2-ヒドロキシエ
チルアクリレート(2HEA:和光純薬(株)製)40
g、パーヘキシン25B(日本油脂(株)製)4g及びジ
ビニルベンゼン4gを充分混合した後、二軸押出機(T
EM−35)により、シリンダ温度250℃で溶融ブレ
ンドし、ペレタイザーを用いてペレット化した。
【0142】得られたペレット(変性物)の変性率は
0.8重量%であった。得られたペレットを用いて、下
記の条件で射出成形を行って120×130×2tmmの
角板を作製した。 成形条件 射出成形機 東芝機械(株)製IS−55EPN シリンダ温度 250℃ 金型温度 50℃ 射出圧力 一次/二次=1000/800Kg/cm 射出速度 中速 この角板を試験片Aとする。 [試験片Bの作製]試験片Aの製造の際に用いた環状オ
レフィンランダム共重合体3.6Kgと低結晶性α-オレフ
ィン系共重合体0.4Kgを充分混合した後、二軸押出機
により、シリンダ温度250℃で溶融ブレンドし、得ら
れたペレット1Kgに対して、2-ヒドロキシエチルアクリ
レート10g、パーヘキシン25B(日本油脂(株)製)
1g及びジビニルベンゼン1gの割合で添加し、充分混
合した。この混合物を上記と同様の条件で再度溶融ブレ
ンドし、ペレタイザーを用いてペレット化した。
【0143】得られたペレット(変性物)の変性率は
0.8重量%であった。得られたペレットを用いて、試
験片Aを製造した際と同一の条件で射出成形を行い、1
20×130×2tmmの角板を作製した。
【0144】この角板を試験片Bとする。 [試験片Cの作製]試験片Aの製造の際に用いた環状オ
レフィンランダム共重合体3.6Kgと低結晶性α-オレフ
ィン系共重合体0.4Kg、2-ヒドロキシエチルアクリレ
ート40g、パーヘキシン25B4gを充分混合した
後、二軸押出機により、シリンダ温度250℃で溶融ブ
レンドし、得られたペレット1Kgに対して、パーヘキシ
ン25Bを1g及びジビニルベンゼン1gの割合で添加
し、充分混合した。この混合物を上記と同様の条件で再
度溶融ブレンドし、ペレタイザーを用いてペレット化し
た。 得られたペレット(変性物)の2HEAによる変
性率は0.8重量%であった。
【0145】得られたペレットを用いて、試験片Aを製
造した際と同一の条件で射出成形を行い、120×13
0×2tmmの角板を作製した。この角板を試験片Cとす
る。 [試験片Dの作製]試験片Bの製造の際において、2−
ヒドロキシエチルアクリレートを添加しなかったこと以
外は試験片Bと同様に試験片を製造した。
【0146】この角板を試験片Dとする。 [試験片Eの作製]試験片Aの製造の際に用いた環状オ
レフィンランダム共重合体2.72Kgと低結晶性α-オレ
フィン系共重合体0.28Kg及び4-メチルペンテン-1を
コモノマーとする線状低密度ポリエチレン(230℃に
おけるMFR=3.5g/10分、密度=0.91、弾性
率=3000Kg/cm2)のペレット1Kg、2-ヒドロキシ
エチルアクリレート40g、パーヘキシン25B4gを
充分混合した後、二軸押出機により、シリンダ温度25
0℃で溶融ブレンドし、ペレタイザーを用いてペレット
化した。得られたペレット1Kgに対して、パーヘキシン
25B1g及びジビニルベンゼン3gの割合で添加し、
充分混合した。この混合物を上記と同様の条件で再度溶
融ブレンドし、ペレタイザーを用いてペレット化した。
【0147】得られたペレット(変性物)の2HEAに
よる変性率は0.8重量%であった。 得られたペレッ
トを用いて、試験片Aを製造した際と同一の条件で射出
成形を行い、120×130×2tmmの角板を作製し
た。
【0148】この角板を試験片Eとする。 [試験片Fの作製]試験片Eの製造の際において、2-ヒ
ドロキシエチルアクリレートの添加量を120gとした
こと以外は試験片Eと同様に試験片を製造した。
【0149】得られたペレット(変性物)の2HEAに
よる変性率は変性率2.4%であった。この角板を試験
片Fとする。 [試験片Gの作製]試験片Aの製造の際に用いた環状オ
レフィンランダム共重合体2.72Kgと低結晶性α−オ
レフィン系共重合体0.28Kg及びエチレン・4-メチルペ
ンテン-1共重合体1Kgを充分混合した後、二軸押出機に
より、シリンダ温度250℃で溶融ブレンドし、得られ
たペレット1Kgに対して、パーヘキシン25B1g及び
ジビニルベンゼン3gの割合で添加し、充分混合した。
この混合物を上記と同様の条件で再度溶融ブレンドし、
ペレタイザーを用いてペレット化した。
【0150】得られたペレットを用いて、試験片Aを製
造した際と同一の条件で射出成形を行い、120×13
0×2tmmの角板を作製した。この角板を試験片Gとす
る。 [試験片Hの作製]試験片Gで得られたペレット1Kgに
対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート40g、パー
ヘキシン25B4gを充分混合した後、この混合物を上
記と同様の条件で再度溶融ブレンドし、ペレタイザーを
用いてペレット化した。
【0151】得られたペレット(変性物)の2HEAに
よる変性率は0.8重量%であった。 得られたペレッ
トを用いて、試験片Aを製造した際と同一の条件で射出
成形を行い、120×130×2tmmの角板を作製し
た。
【0152】この角板を試験片Hとする。
【0153】
【実施例1】試験片Aをテーパー付き深さ50mm(120mm×
130mm)の容器中の底部に配置した。別に、発泡ウレタン
の原料第1液および第2液(レジンプレミックス(R)、
イソシアネート(I):三井東圧化学(株)製)を混合攪拌
(混合比(R)/(I)=1.156、混合;1000rpm、攪拌時間;3
〜4sec)した後、この混合液を上記容器中に速やかに加
え、密封して10分間放置し、ウレタンの発泡を完了さ
せ。
【0154】ウレタン層の厚さ25mm、接着面積25mm×
12.5mm=3.125cm2となるように、上記のようにして作成
した試験片を切り出して、引張剪断強度を測定(試験速
度:50mm/min、試験温度:23℃)するとともに、目
視により母材破壊・界面剥離のいずれかを確かめた。
【0155】結果を表1に示す。
【0156】
【実施例2〜6】実施例1において、試験片Aの代わり
に表1に記載するように試験片B,C,E,F,Hを使
用した以外は同様に接着を行い、ついで引張試験を行な
った。
【0157】結果を表1に示す。
【0158】
【比較例1〜2】実施例1において、試験片Aの代わり
に表1に記載するように試験片D,Gを使用した以外は
同様に接着を行い、ついで引張試験を行なった。
【0159】結果を表1に示す。
【0160】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 65/00 LNY 8215−4J (72)発明者 木 村 敏 男 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 中 川 貴 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 吉 田 竹 巳 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)エチレンと次式[I]または[II]
    で表わされる環状オレフィンとのランダム共重合体(a-
    1)、 次式[I]または[II]で表わされる環状オレフィンの
    開環重合体または開環共重合体(a-2)および該開環重合
    体または開環共重合体の水素添加物(a-3)よりなる群か
    ら選ばれる少なくとも一種類の環状オレフィン系樹脂:
    1〜99重量部と、(b)結晶化度が30%を超え、か
    つ23℃における引張モジュラスが2000Kg/cm2を超
    えるポリオレフィン樹脂(b-1)、および/または、 結晶化度が30%以下であり、かつ23℃における引張
    モジュラスが0.1〜2000Kg/cm2の範囲内にあるエ
    ラストマー(b-2):99〜1重量部とからなる組成物
    が、 エチレン性不飽和基含有カルボン酸、その無水物および
    エチレン性不飽和基含有カルボン酸ヒドロキシアルキル
    エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の変
    性剤(c)により0.1〜10重量%の変性率で変性さ
    れていることを特徴とする変性環状オレフィン系共重合
    体組成物; 【化1】 …[I] [式[I]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、rは0または1であり、 R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群か
    ら選ばれる原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい]; 【化2】 ・・・[II] [式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であ
    り、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R
    19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
    族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基お
    よびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは
    基を表し、R9が結合している炭素原子とR1 3が結合し
    ている炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR
    11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜
    3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、
    n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互い
    に結合して単環または多環の芳香族環を形成していても
    よい]。
  2. 【請求項2】 環状オレフィン系樹脂(a)の軟化温度
    が70℃以上であり、かつ130℃デカリン中で測定し
    た極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項第1項記載の変性環状オレフィ
    ン系共重合体組成物。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂(b-1)が、高密度ポ
    リエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
    レンおよびポリプロピレンよりなる群から選ばれる少な
    くとも一種類のポリオレフィンであることを特徴とする
    請求項第1項記載の変性環状オレフィン系共重合体組成
    物。
  4. 【請求項4】 エラストマー(b-2)が、エチレン-プロピ
    レンランダム共重合体であることを特徴とする請求項第
    1項記載の変性環状オレフィン系共重合体組成物。
  5. 【請求項5】 変性剤(C)が、エチレン性不飽和基含
    有カルボン酸ヒドロキシアルキルエステルであることを
    特徴とする請求項第1項の変性環状オレフィン系共重合
    体組成物。
  6. 【請求項6】 変性環状オレフィン系共重合体組成物中
    に架橋構造が形成されていることを特徴とする請求項第
    1項乃至第5項のいずれかの項記載の変性環状オレフィ
    ン系共重合体組成物。
  7. 【請求項7】(a)エチレンと次式[I]または[II]
    で表わされる環状オレフィンとのランダム共重合体(a-
    1)、 次式[I]または[II]で表わされる環状オレフィンの
    開環重合体または開環共重合体(a-2)及び該開環重合体
    または開環共重合体の水素添加物(a-3)よりなる群から
    選ばれる少なくとも一種類の環状オレフィン系樹脂と、
    (b)結晶化度が30%を超え、かつ23℃における引
    張モジュラスが2000Kg/cm2を超えるポリオレフィン
    樹脂(b-1)、および/または、 結晶化度が30%以下であり、かつ23℃における引張
    モジュラスが0.1〜2000Kg/cm2の範囲内にあるエ
    ラストマー(b-2)とからなり、 該(a)成分と(b)成分とを99/1〜1/99の重
    量比で含有する組成物に、 エチレン性不飽和基含有カルボン酸、その無水物および
    エチレン性不飽和基含有カルボン酸ヒドロキシアルキル
    エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の変
    性剤(c)を、上記(a)成分と(b)成分との合計量
    100重量部に対して0.1〜10重量部配合して接触
    させることを特徴とする変性環状オレフィン系共重合体
    組成物の製造方法; 【化3】 …[I] [式[I]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、rは0または1であり、 R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群か
    ら選ばれる原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい]; 【化4】 ・・・[II] [式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であ
    り、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R
    19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
    族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基お
    よびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは
    基を表し、R9が結合している炭素原子とR1 3が結合し
    ている炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR
    11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜
    3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、
    n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互い
    に結合して単環または多環の芳香族環を形成していても
    よい]。
  8. 【請求項8】 環状オレフィン系樹脂(a)の軟化温度
    が70℃以上であり、かつ130℃デカリン中で測定し
    た極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項第7項記載の変性環状オレフィ
    ン系共重合体組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリオレフィン樹脂(b-1)が、高密度ポ
    リエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
    レンおよびポリプロピレンよりなる群から選ばれる少な
    くとも一種類のポリオレフィンであることを特徴とする
    請求項第7項記載の変性環状オレフィン系共重合体組成
    物の製造方法。
  10. 【請求項10】 エラストマー(b-2)が、エチレン−プ
    ロピレンランダム共重合体であることを特徴とする請求
    項第7項記載の変性環状オレフィン系共重合体組成物の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 変性剤(C)が、エチレン性不飽和基
    含有カルボン酸ヒドロキシアルキルエステルであること
    を特徴とする請求項第7項の変性環状オレフィン系共重
    合体組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記(a)成分と(b)成分とからな
    る組成物に、変性剤(c)を接触させる際、または接触
    させた後に、上記(a)成分と(b)成分との合計量1
    00重量部に対して0.005〜10重量部の架橋剤、
    または、架橋剤とラジカル開始剤とを配合して接触させ
    ることを特徴とする請求項第7項乃至第11項のいずれ
    かの項記載の変性環状オレフィン系共重合体組成物の製
    造方法。
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