JP4509293B2 - 非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、非粘着性および外観に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
軟質樹脂たとえばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・共重合体ゴムなどのオレフィン系共重合体ゴムは、通常たとえばベール状などのブロック状の形態で市場に供給されている。
【0003】
しかしながら、このようなブロック状の形態のオレフィン系共重合体ゴムは、保管場所からの取り出しの煩雑さ、成形加工工程で使用する装置への供給、輸送上の煩雑さ、さらには計量性が悪いなどの欠点がある。
【0004】
したがって、オレフィン系共重合体ゴムはペレットの形態で市場に供給することができれば上記のような欠点は解消され、さらにはオレフィン系共重合体ゴムと通常使用される充填剤、軟化剤、加硫剤などの配合剤とを混練する際に従来使用されていたバンバリーミキサーのように生産効率が悪いミキサー類に代えて直接生産効率の良い押出機へ、ペレット状のオレフィン系共重合体ゴムと配合剤とを供給することにより配合ゴムを調製することが可能になるなどの大きな利点をもたらすことができる。
【0005】
しかしながら、上記のようなオレフィン系共重合体ゴムはペレット状に成形してもオレフィン系共重合体ゴム自体が粘着性を有するためペレット保管中にブロック状に凝結し、ペレット状に成形した意味を失う。
【0006】
従来、このような粘着性のあるオレフィン系共重合体ゴムペレットの表面の粘着性を低減させる方法として種々の方法が提案されている。たとえばゴムペレットの表面をシリコーン油で被覆する方法(特開昭48−47934号公報)、あるいは粘着防止剤としてタルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機質粉末、あるいはポリエチレンの粉末をまぶすことによって粘着化し易いペレットにこれらの粉末を付着させる方法が知られている。
【0007】
しかしながら、ゴムペレットの表面をシリコーン油で被覆する方法は、粘着性の強いペレットでは充分な効果が得られないという欠点がある。また、後者の方法では、タルク、シリカ等の無機質材料はオレフィン系共重合体ゴムと相溶性がないので、これらの粉末を付着させると、末端の用途では性能上悪影響を及ぼすことが多い。また、この方法ではペレットの凝結を実質的に防止するには粘着防止剤粉末をペレットに対し数%〜十数%混合せしめる必要があり、かかる量の粉末を混合すると処理されるオレフィン系共重合体ゴムの特性が損なわれる欠点がある。たとえばポリエチレン粉末をオレフィン系共重合体ゴムのペレットにまぶした場合、ポリエチレン粉末の付着量が多くなるとオレフィン系共重合体ゴム加硫物のゴム的性質の低下を招く欠点がある。さらに、この方法では、ペレットの表面に粉ふき等を生じ、外観を損ない取り扱いにくくするという欠点がある。
【0008】
これらの欠点のないゴムペレットの優れた粘着防止法として、本願出願人は、高級脂肪酸または/およびその塩でゴムペレットを被覆する方法を提案した(特開昭56−136347号公報)。これらの方法によれば、ゴムペレットの粘着性を防止することができ、しかもゴム的性質を実質的に損なうこともない。
【0009】
しかしながら、本願出願人は、この公報に記載されている方法では、高級脂肪酸または/およびその塩とゴムとを単に混合するだけなので、安定してゴムペレットに高級脂肪酸または/およびその塩を充分な量で付着させることができず、その結果、ゴムペレットの運送、計量等の作業の後には、保管中にやはりブロッキングを生じることがある事を確認した。
【0010】
そこで、本願出願人は、さらに鋭意研究し、この保管中のゴムペレットのブロッキングを防止する方法として、オレフィン系共重合体ゴムペレットと、微粉末状の炭素数12〜30の高級脂肪酸または/およびその塩とを、炭素数1〜4の一価のアルコールの存在下に混合して、粘着性の小さいゴムペレットを製造する方法を提案した(特公平4−1011号公報)。この製造方法により得られた高級脂肪酸または/およびその塩で被覆されたゴムペレットは、貨物輸送後に、このペレット25kgを袋詰めし、その袋を10段積み重ねて1カ月放置してもブロッキングを起こすことはない。しかし、この方法では、ペレット表面に粉ふきを生じるため、取り扱いに若干の困難を生じることがある。
【0011】
最近はユーザー等の要望により、従来のオレフィン系共重合体ゴム等の軟質樹脂ペレットよりも、さらに非粘着性および外観に優れ、取り扱いが容易な軟質樹脂ペレットの製造方法の出現が望まれている。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、従来のオレフィン系共重合体ゴム等の軟質樹脂ペレットよりも、さらに非粘着性および外観に優れ、取り扱いが容易な軟質樹脂ペレットの製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明に係る非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法は、
下記の(i)〜(v)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下である軟質樹脂(A)のペレット表面に、25℃における動粘度が0.5〜100,000cSt(センチストークス)で、かつ25℃における表面張力が10〜50dyne/cmの範囲内にある少なくとも1種類の液体(B)と、平均粒径が50μm以下の少なくとも1種類の微粉(C)を被覆させることを特徴としている。
(i)エチレンと少なくとも一種類の炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・α- オレフィン共重合体、
(ii)プロピレンと少なくとも一種類の炭素原子数2、4〜20のα- オレフィンとを共重合させて得られるプロピレン・α- オレフィン共重合体、
(iii)エチレンと、少なくとも一種類の炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記式
【0014】
【化2】
【0015】
〔式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数が1〜8のアルキル基あるいはアリール基であり、R1とR2の少なくとも一方は水素原子である〕で表わされる共役ジエン単量体および非共役ポリエン単量体からなる群から選ばれる少なくとも一種類の単量体とをランダム共重合させて得られる不飽和性オレフィン系共重合体、
(iv)酢酸ビニル含量が5〜40重量%の範囲内にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体、
(v)環状オレフィン系樹脂。
【0016】
前記軟質樹脂(A)は、軟質樹脂(A)100重量%に対して、不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合で含んでいてもよい。
また、前記エチレン・α- オレフィン共重合体(i)は、未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)であってもよい。
【0017】
前記プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)は、未変性のプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−b)であってもよい。
【0018】
前記不飽和性オレフィン系共重合体(iii)は、未変性の不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性不飽和性オレフィン系共重合体(iii−b)であってもよい。
【0019】
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)は、未変性のエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−b)であってもよい。
【0020】
前記環状オレフィン系樹脂(v)は、未変性の環状オレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性環状オレフィン系樹脂であってもよい。
【0021】
前記液体(B)としては、特にジメチルポリシロキサンが好ましい。
前記微粉(C)としては、脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体が好ましく、中でも、ステアリン酸、エルカ酸、オレイン酸、イタコン酸、モンタン酸、およびそれらの金属塩、アマイド、エステルが好ましい。
【0022】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法について具体的に説明する。
【0023】
本発明に係る非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法では、特定の軟質樹脂(A)のペレット表面に、25℃における動粘度と25℃における表面張力が特定の範囲内にある少なくとも1種類の液体(B)と、特定の平均粒径を有する少なくとも1種類の微粉(C)を被覆させることにより、非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットを得る。
【0024】
まず、本発明に係る非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法で用いられる軟質樹脂(A)、液体(B)および微粉(C)について説明する。
軟質樹脂(A)
本発明で用いられる軟質樹脂(A)は、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下、通常は1〜1600MPa、好ましくは1〜150MPaである。このような軟質樹脂(A)としては、具体的には、エチレン・α- オレフィン共重合体(i)、プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)、不飽和性オレフィン系共重合体(iii)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)、環状オレフィン系樹脂(v)が挙げられる。これらの軟質樹脂(A)は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。このような2種以上の組み合わせとしては、たとえば
(1)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)との組み合わせ、
(2)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)と不飽和性オレフィン系共重合体(iii)との組み合わせ、
(3)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)との組み合わせ、
(4)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)と環状オレフィン系樹脂(v)との組み合わせ、
(5)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)と不飽和性オレフィン系共重合体(iii)との組み合わせ、
(6)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)との組み合わせ、
(7)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)と環状オレフィン系樹脂(v)との組み合わせ、
(8)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)と不飽和性オレフィン系共重合体(iii)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)との組み合わせ、
(9)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)と不飽和性オレフィン系共重合体(iii)と環状オレフィン系樹脂(v)との組み合わせ、
(10)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)と環状オレフィン系樹脂(v)との組み合わせ、
(11)エチレン・α- オレフィン共重合体(i)とプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)と不飽和性オレフィン系共重合体(iii)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)と環状オレフィン系樹脂(v)との組み合わせ
などが挙げられる。
【0025】
〔エチレン・α - オレフィン共重合体(i)〕
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(i)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)、または、その共重合体(i−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトした変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)であって、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下、通常は1〜1600MPa、好ましくは1〜150MPaである。
【0026】
エチレンと共重合させる炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、4-メチル-1- ペンテンなどが挙げられる。これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0027】
エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)は、エチレンから導かれる構成単位を50〜96モル%の量で、炭素原子数3〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位を4〜50モル%の量で含有していることが望ましい。
【0028】
エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgのエチレン・α- オレフィン共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の条件下で測定して決定される。
【0029】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)は、密度(ASTM D 1505)が0.855〜0.915g/cm3、好ましくは0.865〜0.885g/cm3であって、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.01〜200g/10分、好ましくは0.5〜40g/10分の範囲内にあることが望ましい。
【0030】
エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)としては、具体的には、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1-ブテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテンランダム共重合体、エチレン・1-ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1-ブテン・1-ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1-オクテンランダム共重合体などが挙げられる。これらの共重合体は、2種以上併用してもよい。
【0031】
上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)は、バナジウム系触媒、チタン系触媒またはメタロセン系触媒などを用いる従来公知の方法により製造することができる。
【0032】
また、本発明でエチレン・α- オレフィン共重合体(i)として用いられる変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体(以下、不飽和カルボン酸等と称する)をグラフトした軟質樹脂である。
【0033】
変性エチレン・α- オレフィン共重合体における不飽和カルボン酸等のグラフト量は、グラフト変性前のエチレン・α- オレフィン共重合体100重量%に対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0034】
上記不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス- ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3- ジカルボン酸などが挙げられる。
【0035】
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、たとえば上記のような不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物、アミド化合物、イミド化合物、酸無水物、エステル化合物などが挙げられる。具体的には、塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、特にマレイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸無水物が好ましい。
【0036】
なお、エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)にグラフトされる不飽和カルボン酸等のグラフト位置は、特に限定されことはなく、不飽和カルボン酸等は、エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)の任意の炭素原子に結合していればよい。
【0037】
上記エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)の不飽和カルボン酸等によるグラフト変性は、従来公知のグラフト重合方法を用いて行なうことができる。
たとえば上記エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)を溶融させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法、上記エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)を溶媒に溶解させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法がある。
【0038】
これらの方法において、ラジカル開始剤の存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させることができる。この場合、ラジカル開始剤は、上記エチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)100重量部に対して、通常は0.001〜1重量部の量で用いられる。
【0039】
このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤としては、具体的には、
ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(t-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシド)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテート、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec- オクトエート、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t-ブチルペルジエチルアセテート;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが挙げられる。
【0040】
これらのうちでは、ジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
【0041】
上記のようなラジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反応温度は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の範囲内に設定される。
【0042】
〔プロピレン・α - オレフィン共重合体( ii )〕
本発明で用いられるプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)は、プロピレンと炭素原子数2、4〜20のα- オレフィンとを共重合させて得られるプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)、または、その共重合体(ii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトした変性プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−b)であって、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下、通常は1〜1600MPa、好ましくは1〜150MPaである。
【0043】
プロピレンと共重合させる炭素原子数2、4〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、4-メチル-1- ペンテンなどが挙げられる。これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0044】
プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)は、プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%の量で、炭素原子数2、4〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位を5〜50モル%の量で含有していることが望ましい。
【0045】
プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgのプロピレン・α- オレフィン共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の条件下で測定して決定される。
【0046】
本発明で用いられるプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)は、密度(ASTM D 1505)が0.855〜0.900g/cm3、好ましくは0.855〜0.885g/cm3であって、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.01〜200g/10分、好ましくは0.1〜40g/10分の範囲内にあること望ましい。
【0047】
さらに、プロピレンの立体規則性は、シンジオタクティック、アイソタクティック、アタクティックのいずれでもよい。
プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)としては、具体的には、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1-オクテン共重合体などが挙げられる。これらの共重合体は、2種以上併用してもよい。
【0048】
上記のようなプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)は、バナジウム系触媒、チタン系触媒またはメタロセン系触媒などを用いる従来公知の方法により製造することができる。
【0049】
また、本発明でプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)として用いられる変性プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−b)は、プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体(以下、不飽和カルボン酸等と称する)をグラフトした軟質樹脂である。
【0050】
この変性プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−b)の製造の際に用いられる不飽和カルボン酸等は、変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)の製造の際に用いられる不飽和カルボン酸等と同じ化合物である。
【0051】
変性プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−b)における不飽和カルボン酸等のグラフト量は、グラフト変性前のプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)100重量%に対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0052】
なお、プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)にグラフトされる不飽和カルボン酸等のグラフト位置は、特に限定されことはなく、不飽和カルボン酸等は、プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)の任意の炭素原子に結合していればよい。
【0053】
上記プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)の不飽和カルボン酸等によるグラフト変性は、従来公知のグラフト重合方法を用いて行なうことができる。
【0054】
たとえばプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)を溶融させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法、プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)を溶媒に溶解させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法がある。
【0055】
これらの方法において、ラジカル開始剤の存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させることができる。この場合、ラジカル開始剤は、上記プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)100重量部に対して、通常は0.001〜1重量部の量で用いられる。
【0056】
このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤の具体例としては、前記した変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)の製造の際に用いられるラジカル開始剤の具体例として列挙した化合物が挙げられる。
【0057】
ラジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反応温度は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の範囲内に設定される。
【0058】
〔不飽和性オレフィン系共重合体( iii) 〕
本発明で用いられる不飽和性オレフィン系共重合体(iii)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、共役ジエン単量体および/または非共役ポリエン単量体とをランダム共重合させて得られる不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)、または、その共重合体(iii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトした変性不飽和性オレフィン系共重合体(iii−b)であって、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下、通常は1〜1600MPa、好ましくは1〜150MPaである。
【0059】
上記α- オレフィンとしては、炭素原子数が3〜20の範囲にあれば特に限定されず、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
このようなα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチル-1- ヘキセン、1-ヘプタン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。これら中でも、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましく用いられる。
【0060】
これらのα- オレフィンは、1種単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
上記共役ジエン単量体は、下記の式で表わされる。
【0061】
【化3】
【0062】
上記式において、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数が1〜8のアルキル基あるいはアリール基であり、R1とR2の少なくとも一方は水素原子である。
【0063】
このような共役ジエン単量体としては、具体的には、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3- ブタジエン、1-フェニル-2,4- ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3- ブタジエン、2-プロピル-1,3- ブタジエン、2-ブチル-1,3- ブタジエン、2-ペンチル-1,3- ブタジエン、2-ヘキシル-1,3- ブタジエン、2-ヘプチル-1,3-ブタジエン、2-オクチル-1,3- ブタジエン、2-フェニル-1,3- ブタジエン等が挙げられる。これらのうちでは、1,3-ブタジエン、イソプレンが共重合性に優れる点で特に好ましい。共役ジエン単量体は、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0064】
また、上記非共役ポリエン単量体としては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、4,8-ジメチル-1,4,8- デカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,9- デカトリエン、4,9-ジメチル-1,4,9- デカトリエン、5,8-ジメチル-1,4,9- デカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,9- デカトリエン、5-ビニル-1,6- オクタジエンなどが挙げられる。
【0065】
不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、エチレンから導かれる構成単位と、炭素原子数が3〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位と、(非)共役ポリエン単量体から導かれる構成単位とが、それぞれランダムに配列して結合し、(非)共役ポリエン単量体に起因する2重結合構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている。
【0066】
この不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0067】
本発明で用いられる不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、エチレンから導かれる構成単位と、炭素原子数3〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位とのモル比(エチレン/α- オレフィン)が99/1〜40/60、好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜55/45の範囲にある。
【0068】
本発明で用いられる不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、密度(ASTM D 1505)が0.855〜0.880g/cm3、好ましくは0.855〜0.875g/cm3であって、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が1〜99、好ましくは5〜98の範囲内にあることが望ましい。
【0069】
不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常0.1〜10dl/g、好ましくは1.0〜7.0dl/gの範囲にあることが望ましい。極限粘度[η]は、不飽和性オレフィン系共重合体(iii)の分子量の尺度である。
【0070】
また不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、ヨウ素価が通常1〜50、好ましくは3〜50、さらに好ましくは5〜40の範囲にあることが望ましい。
本発明では、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、各構成単位のモル比、極限粘度[η]およびヨウ素価のうち、少なくとも1つが前記範囲内にあることが好ましく、2つ以上が前記範囲内にあることがより好ましく、特に各構成単位のモル比、極限粘度[η]およびヨウ素価のすべてが前記範囲内にあることが好ましい。
【0071】
また、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、DSCで測定した融点(Tm)が好ましくは110℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは40℃以下であることが望ましい。DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は、好ましくは25℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下であることが望ましい。さらに、GPCにより測定したMw/Mnの値は、3以下であることが好ましい。
【0072】
不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)の融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、次の要領で求めた。
すなわち、DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点(Tm)とする。
【0073】
測定は、試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0074】
また、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)のMw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定した。
【0075】
本発明で用いられる不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、いわゆる油展ゴム、すなわち従来公知の鉱物油系軟化剤等の軟化剤を油展したゴムであってもよい。
【0076】
本発明で用いられる不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)としては、具体的には、エチレン・プロピレン・1,3-ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム等のEPDM、油展エチレン・プロピレン・1,3-ブタジエン共重合体、油展エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体、油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム等の油展EPDMなどが挙げられる。
【0077】
上記のような不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと上記一般式で表わされる共役ジエン単量体および/または非共役ポリエンとを、従来公知のバナジウム系またはメタロセン系触媒の存在下に共重合、好ましくはランダム共重合させて得られる。
【0078】
本発明で用いられる不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)の製造方法およびその製造方法で用いられるメタロセン系触媒の詳細は、特開平11−228743号公報に記載されている。
【0079】
また、本発明で不飽和性オレフィン系共重合体(iii)として用いられる変性不飽和性オレフィン系共重合体(iii−b)は、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体(以下、不飽和カルボン酸等と称する)をグラフトした軟質樹脂である。
【0080】
この変性不飽和性オレフィン系共重合体(iii−b)を製造する際に用いられる不飽和カルボン酸等は、変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)の製造の際に用いられる不飽和カルボン酸等と同じ化合物である。
【0081】
変性不飽和性オレフィン系共重合体(iii−b)における不飽和カルボン酸等のグラフト量は、グラフト変性前の不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)100重量%に対して、0.01〜30重量%、好ましく0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0082】
なお、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)にグラフトされる不飽和カルボン酸等のグラフト位置は、特に限定されことはなく、不飽和カルボン酸等は、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)の任意の炭素原子に結合していればよい。
【0083】
上記不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)の不飽和カルボン酸等によるグラフト変性は、従来公知のグラフト重合方法を用いて行なうことができる。
たとえば不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)を溶融させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法、不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)を溶媒に溶解させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法がある。
【0084】
これらの方法において、ラジカル開始剤の存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させることができる。この場合、ラジカル開始剤は、上記不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)100重量部に対して、通常は0.001〜1重量部の量で用いられる。
【0085】
このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤の具体例としては、前記した変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)の製造の際に用いられるラジカル開始剤の具体例として列挙した化合物が挙げられる。
【0086】
ラジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反応温度は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の範囲内に設定される。
【0087】
〔エチレン・酢酸ビニル共重合体( iv )〕
本発明で用いられるエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)は、エチレンと酢酸ビニルとを共重合させて得られるエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)、または、その共重合体(iv−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトした変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−b)であって、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下、通常は1〜1600MPa、好ましくは1〜150MPaである。
【0088】
本発明で用いられるエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)は、酢酸ビニル含有量が5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%の範囲にあることが好ましい。また、このエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)は、一般に、メルトフローレート(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.1〜50g/10分、好ましくは0.3〜30g/10分の範囲内にある。
【0089】
また、本発明でエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)として用いられる変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−b)は、エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体(以下、不飽和カルボン酸等と称する)をグラフトした軟質樹脂である。
【0090】
この変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−b)の製造の際に用いられる不飽和カルボン酸等は、変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)の製造の際に用いられる不飽和カルボン酸等と同じ化合物である。
【0091】
変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−b)における不飽和カルボン酸等のグラフト量は、グラフト変性前のエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)100重量%に対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.l〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0092】
なお、エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)にグラフトされる不飽和カルボン酸等のグラフト位置は、特に限定されことはなく、不飽和カルボン酸等は、エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)の任意の炭素原子に結合していればよい。
【0093】
上記エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)の不飽和カルボン酸等によるグラフト変性は、従来公知のグラフト重合方法を用いて行なうことができる。
たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)を溶融させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法、エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)を溶媒に溶解させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方法がある。
【0094】
これらの方法において、ラジカル開始剤の存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させることができる。この場合、ラジカル開始剤は、上記エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)100重量部に対して、通常は0.001〜1重量部の量で用いられる。
【0095】
このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤の具体例としては、前記した変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)の製造の際に用いられるラジカル開始剤の具体例として列挙した化合物が挙げられる。
【0096】
ラジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反応温度は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の範囲内に設定される。
【0097】
〔環状オレフィン系樹脂(v)〕
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(v)としては、たとえば
(a-1) エチレンと下記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体、
(a-2) 下記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
(a-3) 上記(a-2)の開環重合体または共重合体の水素化物、または
(a-4) 上記(a-1) 、(a-2) または(a-3) のグラフト変性物
であって、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下、通常は1〜1600MPa、好ましくは2〜150MPaである。
【0098】
まず、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂を調製するために使用される単量体である一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンについて説明する。
【0099】
環状オレフィン系樹脂の調製で使用される環状オレフィンは、下記一般式(I)または(II)で表わすことができる。
【0100】
【化4】
【0101】
上記一般式(I)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1である。なお、kが1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基であり、kが0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
【0102】
R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0103】
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などを挙げることができ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などを挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。これらの炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0104】
さらに上記式(I)において、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環の具体例を下記に示す。
【0105】
【化5】
【0106】
なお、上記例示において、1または2の番号が付された炭素原子は、上記一般式(I)においてそれぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子を示している。
【0107】
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることができる。
【0108】
【化6】
【0109】
上記一般式(II)中、pおよびqは0または正の整数であり、rおよびsは0、1または2である。
またR21〜R39は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0110】
ハロゲン原子は、上記式(I)におけるハロゲン原子と同じ意味である。
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などを挙げることができ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などを挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基などを挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げることができる。
【0111】
これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されていてもよい。
ここでR29およびR30が結合している炭素原子と、R33が結合している炭素原子またはR31が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R29およびR33で表わされる基が、またはR30およびR31で表わされる基が互いに共同して、メチレン基(-CH2-) 、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキレン基を形成している。
【0112】
さらに、r=s=0のとき、R35とR32またはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多環の芳香族環として、たとえば下記のようなr=s=0のときR35とR32がさらに芳香族環を形成している基を挙げることができる。
【0113】
【化7】
【0114】
ここで、qは一般式(II)におけるqと同じ意味である。
上記のような一般式(I)または(II)で示される環状オレフィンを、より具体的に下記に例示する。
【0115】
環状オレフィン系樹脂(v)を形成する環状オレフィンの例としては、
【0116】
【化8】
【0117】
で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(=ノルボルネン)(上記式中において、1〜7の数字は、炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化水素基が置換した誘導体を挙げることができる。
【0118】
この炭化水素基としては、5-メチル、5,6-ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イソブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニリル)、5-(β-ナフチル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントリル)、5,6-ジフェニルのような基を例示することができる。
【0119】
さらに他の誘導体としては、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、
1,4-メタノ-1,4,4a,9a- テトラヒドロフルオレン、
1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセン等のビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン誘導体を例示することができる。
【0120】
この他、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、
2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、
5-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン等のトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、
トリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン、
10-メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン等のトリシクロ[4.4.0.12 ,5]-3-ウンデセン誘導体、
【0121】
【化9】
【0122】
で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(上記式中において、1〜12の数字は、炭素の位置番号を示す。)およびこれに炭化水素基が置換した誘導体ならびに水素原子の少なくとも一部が他の原子で置換された化合物を挙げることができる。
【0123】
ここで炭化水素基または置換原子として、8-メチル、8-エチル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-トリメチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-11,12-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エチリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロモ、8-フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-(ビフェニリル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-(アントリル)、5,6-ジフェニル等の基または原子を例示することができる。
【0124】
さらには、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセンおよびその誘導体、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-5- エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよびその誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセンおよびその誘導体、
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]-5-ペンタコセンおよびその誘導体などを挙げることができる。
【0125】
本発明で使用することができる一般式(I)または一般式(II)で示される環状オレフィンの具体例は上記の通りであるが、これら化合物のより具体的な構造については、本出願人の出願に係る特開平7−145213号公報の段落番号[0032]〜[0054]に示されており、本発明においてもここに例示されるものを本発明における環状オレフィンとして使用することができる。
【0126】
上記のような一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応により製造することができる。
【0127】
これらの環状オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記のような一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンを用いて、たとえば特開昭60−168708号、同61−120816号、同61−115912号、同61−115916号、同61−271308号、同61−272216号、同62−252406号および同62−252407号などの公報において本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択することにより製造することができる。
【0128】
(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと上記環状オレフィンとがランダムに結合した共重合体であり、エチレンから誘導される構成単位を通常は20〜95モル%、好ましくは30〜90モル%の割合で、そして、環状オレフィンから誘導される構成単位を通常は5〜80モル%、好ましくは10〜70モル%の割合で含有している。なお、エチレンから誘導される構成単位および環状オレフィンから誘導される構成単位の組成比は、13C−NMRによって測定される。
【0129】
この(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導される構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0130】
本発明で用いられる(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンの少なくとも一部は、下記一般式(III)または(IV)で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0131】
【化10】
【0132】
上記一般式(III)において、n、m、kおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは一般式(I)と同じ意味である。
【0133】
【化11】
【0134】
上記一般式(IV)において、p、q、r、sおよびR21〜R39は、一般式(II)と同じ意味である。
また、本発明で用いられる(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0135】
このような他のモノマーとしては、上記のようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具体的には、
プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状の炭素原子数3〜20のα−オレフィン;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン;
1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0136】
これらの他のモノマーは、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記のような他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有されていてもよい。
【0137】
本発明で用いられる(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと前記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンとを用いて上記公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いて(B-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体を製造することが好ましい。
【0138】
また、この共重合反応では固体状4族メタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状4族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここで4族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としては、アルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して結合されてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン等である。
【0139】
さらに有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状4族メタロセン系触媒については、例えば特開昭61−221206号、同64−106号および特開平2−173112号公報等に記載されている。
【0140】
(a-2) 環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体において、上記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンの少なくとも一部は、下記一般式(V)また(VI)で表わされる繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0141】
【化12】
【0142】
上記一般式(V)において、n、m、kおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは前記一般式(I)と同じ意味である。
【0143】
【化13】
【0144】
上記一般式(VI)において、p、q、r、sおよびR21〜R39は、前記一般式(II)と同じ意味である。
このような開環重合体または開環共重合体は、前記公報に開示された製造方法により製造することができ、例えば、上記一般式(I)で表わされる環状オレフィンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させることにより製造することができる。
【0145】
このような開環重合触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウムまたは白金のような金属の、ハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモリブテンのような金属の、ハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0146】
本発明で用いられる(a-3) 開環重合体または共重合体の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体または共重合体(a-2) を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素化して得られる。
【0147】
この(a-3) 開環重合体または共重合体の水素化物において、前記一般式(I)または前記一般(II)で表わされる環状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記一般式(VII)または(VIII)で表わされる繰り返し単位を有していると考えられる。
【0148】
【化14】
【0149】
上記一般式(VII)において、n、m、kおよびR1〜R18ならびにRaおよびRb は、前記一般式(I)と同じ意味である。
【0150】
【化15】
【0151】
上記一般式(VIII)において、p、q、r、s、R21〜R39は前記一般式(II)と同じ意味である。
(a-4) 環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、上記エチレン・環状オレフィンランダム共重合体(a-1) のグラフト変性物、上記環状オレフィンの開環重合体または共重合体(a-2) のグラフト変性物、あるいは上記開環重合体または共重合体の水素化物(a-3) のグラフト変性物である。
【0152】
この変性剤としては、通常は不飽和カルボン酸またはその誘導体(不飽和カルボン酸等)が用いられる。ここで使用される不飽和カルボン酸としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびエンドシス-ビシクロ[2.2.1] ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、たとえば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和カルボン酸のエステル化合物などを挙げることができる。
【0153】
上記不飽和カルボン酸の誘導体の具体的な例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレイル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げることができる。
【0154】
これらの変性剤うちでも、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、たとえばマレイン酸、ナジック酸TMおよびこれら酸の無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0155】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物における不飽和カルボン酸等のグラフト量は、グラフト前の環状オレフィン系樹脂100重量%に対して、0,01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0156】
このような環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、所望のグラフト量になるように環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させて製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合することにより製造することもできる。
【0157】
環状オレフィン系樹脂と変性剤とから環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物を得るには、従来公知のポリマーの変性方法を広く適用することができる。たとえば溶融状態にある環状オレフィン系樹脂に変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいは環状オレフィン系樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
【0158】
このようなグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行なわれる。
またグラフト反応は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下に行なうことができる。
【0159】
本発明では、環状オレフィン系樹脂(v)として、上記のような(a-1) 、(a-2) 、(a-3) および(a-4) のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。
【0160】
このような環状オレフィン系樹脂(v)は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,260℃、2.16kg荷重)は、通常0.1〜60g/10分、好ましくは2〜50g/10分、より好ましくは10〜30g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0161】
液体(B)
本発明で用いられる液体(B)は、25℃における動粘度(JIS K-2283)が0.5〜100,000cSt、好ましくは100〜5,000cSt、さらに好ましくは200〜1,000cStであり、かつ25℃における表面張力(毛細管上昇法で測定)が10〜50dyne/cm、好ましくは10〜40dyne/cm、さらに好ましくは10〜30dyne/cmの範囲内にある。このような液体(B)としては、具体的には、シリコーン油、グライコール、鉱油、高級アルコールなどが挙げられる。シリコーン油としては、具体的には、下記式で表わされる繰り返し単位を有するポリシロキサン類などが挙げられる。
【0162】
【化16】
【0163】
上記式において、RおよびR’は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、またはこれらの基の水素原子がハロゲン原子等により置換された基を表わす。RとR’は、同じ基であってもよく、異なっていてもよい。また、R、R’の一部が水酸基、アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0164】
上記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。
上記アリール基としては、具体的には、フェニル基、トリル基などが挙げられる。
【0165】
上記ハロゲン原子としては、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の原子が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。
【0166】
このようなポリシロキサン類のうち、特にジメチルポリシロキサンが好ましく用いられる。
本発明では、上記のような液体(B)を1種単独で、あるいは2種以上組み合わせ混合液として用いることができる。
【0167】
微粉(C)
本発明で用いられる微粉(C)は、平均粒径が50μm以下、通常は0.1〜50μm、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜25μmの範囲内にある。平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)または光学顕微鏡観察より求めた。
【0168】
本発明で好ましく用いられる微粉(C)は、具体的には、無機フィラー、有機フィラー、脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体である。
無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、シリカアルミナ、ケイ藻土、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ホウ素、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどを挙げることができる。これらの無機フィラーは、1種単独、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0169】
本発明で好ましく用いられる脂肪酸は、通常、炭素原子数12〜30の飽和または不飽和の高級脂肪酸であり、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノレイン酸、α- エレオステアリン酸、β- エレオステアリン酸、α- リノレイン酸などが挙げられる。中でも、ステアリン酸が好ましい。
【0170】
また、本発明で好ましく用いられる脂肪酸誘導体としては、上記高級脂肪酸の塩、具体的には、上記高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、鉄塩、リチウム塩などが挙げられる。中でも、ステアリン酸塩が好ましい。また、高級脂肪酸誘導体として、高級脂肪酸アマイド、エステル等も挙げられる。中でも、ステアリン酸、エルカ酸、オレイン酸、イタコン酸、モンタン酸のアマイド、エステルが好ましい。
【0171】
上記のような脂肪酸または脂肪酸誘導体は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせ混合物として用いることができる。
被覆方法
本発明に係る非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法では、前記軟質樹脂(A)のペレット表面に、上記液体(B)と、上記微粉(C)を被覆させる。
【0172】
このような被覆方法としては、たとえば
(1)軟質樹脂(A)ペレットと液体(B)とを通常の方法によって機械的に混合してペレット表面に液体(B)を付着させ、次いで、そのペレット表面に微粉(C)をまぶして、軟質樹脂(A)ペレットの表面を液体(B)と微粉(C)で被覆する方法、あるいは
(2)いわゆるアンダーウォーターカット方式のペレタイザー付き押出機を用いて、液体(B)および従来公知の界面活性剤(たとえば石けん)を添加し液体(B)を微分散させた水中に、押出機で溶融状態となった軟質樹脂(A)を押し出してペレット化することにより、そのペレット表面に液体(B)を付着させ、次いで、そのペレット表面に、微粉(C)をまぶして、軟質樹脂(A)ペレットの表面を液体(B)と微粉(C)で被覆する方法がある。
【0173】
上記(1)の方法において、軟質樹脂(A)ペレットの表面への液体(B)付着量は、軟質樹脂(A)ペレットに対して、通常50〜20,000重量ppm、好ましくは500〜5,000重量ppmであることが望ましい。また、軟質樹脂(A)ペレットの表面への微粉(C)付着量は、軟質樹脂(A)ペレットに対して、通常50〜10,000重量ppm、好ましくは500〜5,000重量ppmであることが望ましい。
【0174】
上記(2)の方法において、水中における液体(B)濃度は、通常500〜10,000重量%、好ましくは500〜5,000重量%であることが望ましい。また、界面活性剤は、液体(B)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは2〜20重量部の量で用いられる。界面活性剤を上記のような割合で使用すると、液体(B)を水中で微分散させることができる。
【0175】
上記(2)の方法において、軟質樹脂(A)ペレットの表面への液体(B)付着量は、軟質樹脂(A)ペレットに対して、通常50〜20,000重量ppm、好ましくは500〜5,000重量ppmであることが望ましい。また、軟質樹脂(A)ペレットの表面への微粉(C)付着量は、軟質樹脂(A)ペレットに対して、通常50〜10,000重量ppm、好ましくは500〜5,000重量ppmであることが望ましい。
【0176】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のオレフィン系共重合体ゴム等の軟質樹脂ペレットよりも、さらに非粘着性(耐ペレットブロッキング性)に優れ、外観および取り扱いにも優れる軟質樹脂ペレットを調製することができる。
【0177】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
【0178】
本発明の実施例等におけるペレットブロッキング試験は、下記の方法に従って行なった。
〔ペレットブロッキング試験〕
120mm×210mmのポリエチレン袋に試料ペレット(ペレット1個の平均重量:約35mg)60gを入れ、この袋を三つ折りにして袋の開口部をセロハン粘着テープで閉じる。
【0179】
次いで、40℃の雰囲気下で、上記のようにして得られた三つ折りの袋を二段積みし、その上に90g/cm2の荷重をかけ、その状態を24時間保った後、三つ折りの袋を開封し、ペレットを取り出してペレットの非粘着性を観察し、下記の10点法で評価した。
【0180】
<ペレットの非粘着性の評点>
10・・・ ブロッキングなし
7・・・ くっついているペレットがその自重でほぐれる
5・・・ くっついているペレットが容易に手でほぐれる
3・・・ くっついているペレットを強く手でおしてほぐれる
1・・・ ペレット同士がくっついてベール状になっている
また、ペレットの外観を目視で観察し、下記の○、×で評価した。
<外観>
○ : 粉ふきなし(目視で微粉(C)が添加されているか否か判別することができない。)
× : 粉ふきあり(目視で微粉(C)が添加されていることが判別することができる。)
また、実施例等における、ペレット表面に付着したシリコーンオイル、ステアリン酸カルシウムの定量は、以下のようにして行なった。
【0181】
すなわち、メタノールで100gのペレットを洗浄した後、洗浄液を全て回収した。次いで、この洗浄液中からメタノール成分をエバポレーターを用いて除去し、残さ中の硅素およびカルシウムの金属分析を行なった。この残さ金属塩よりシリコーンオイルとステアリン酸カルシウムの付着量を算出した。
【0182】
【実施例1】
単軸押出機を用い、エチレン・1-ブテン共重合体(EBR)〔密度(ASTM D 1505)=0.865g/cm3、MFR(ASTM d 1238,190℃、荷重2.16kg)=4g/10分、エチレン含量=82モル%、引張弾性率(YM)=9.5MPa〕を200℃で混練して調製したペレット100重量部と、シリコーンオイル〔商品名 SH200、東レ・ダウコーニング社製;動粘度(20℃)=500cSt、表面張力(20℃)=20dyne/cm〕1,000重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて機械的に混合した。
【0183】
次いで、上記のようにして得られた、表面にシリコーンオイルが付着した軟質樹脂ペレット全量と平均粒径20μmのステアリン酸カルシウム3,500重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて機械的に混合した。
【0184】
上記のようにして得られたペレットにおけるシリコーンオイルの付着量は990重量ppmであった。また、得られたペレットにおけるステアリン酸カルシウムの付着量は3,350重量ppmであった。
【0185】
次いで、この軟質樹脂ペレットを用い、ペレットブロッキング試験を上記方法に従って行なった。
その結果を第1表に示す。
【0186】
【比較例1】
実施例1において、軟質樹脂ペレットとシリコーンオイルおよびステアリン酸カルシウムとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例1と同様に行なった。
【0187】
結果を第1表に示す。
【0188】
【比較例2】
実施例1において、軟質樹脂ペレットとステアリン酸カルシウムとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例1と同様に行なった。
【0189】
結果を第1表に示す。
【0190】
【比較例3】
実施例1において、軟質樹脂ペレットとシリコーンオイルとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例1と同様に行なった。
【0191】
結果を第1表に示す。
【0192】
【実施例2】
単軸押出機を用い、プロピレン・エチレン共重合体(PER)〔密度(ASTM D 1505)=0.858g/cm3、MFR(ASTM d 1238,190℃、荷重2.16kg)=2g/10分、プロピレン含量=60モル%、引張弾性率(YM)=3.5MPa〕を200℃で混練して調製したペレット100重量部と、シリコーンオイル〔商品名 SH200、東レ・ダウコーニング社製;動粘度(20℃)=500cSt、表面張力(20℃)=20dyne/cm〕1,000重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて機械的に混合した。
【0193】
次いで、上記のようにして得られた、表面にシリコーンオイルが付着した軟質樹脂ペレット全量と平均粒径20μmのステアリン酸カルシウム3,500重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて機械的に混合した。
【0194】
上記のようにして得られたペレットにおけるシリコーンオイルの付着量は980重量ppmであった。また、得られたペレットにおけるステアリン酸カルシウムの付着量は3,400重量ppmであった。
【0195】
次いで、この軟質樹脂ペレットを用い、ペレットブロッキング試験を上記方法に従って行なった。
その結果を第1表に示す。
【0196】
【比較例4】
実施例2において、軟質樹脂ペレットとステアリン酸カルシウムとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例2と同様に行なった。
【0197】
結果を第1表に示す。
【0198】
【比較例5】
実施例2において、軟質樹脂ペレットとシリコーンオイルとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例2と同様に行なった。
【0199】
結果を第1表に示す。
【0200】
【実施例3】
単軸押出機を用い、油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体(油展EPDM)〔密度(ASTM D 1505)=0.87g/cm3、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕=74、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度=3dl/g、エチレン/プロピレン/5-エチリデン-2- ノルボルネン(モル比)=78/15.8/6.2モル%、ヨウ素価=13、引張弾性率(YM)=2MPa、油展量=40phr、軟化剤:商品名 W−380、出光石油化学(株)製〕を200℃で混練して調製したペレット100重量部と、シリコーンオイル〔商品名 SH200、東レ・ダウコーニング社製;動粘度(20℃)=500cSt、表面張力(20℃)=20dyne/cm〕1,000重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて機械的に混合した。
【0201】
次いで、上記のようにして得られた、表面にシリコーンオイルが付着した軟質樹脂ペレット全量と平均粒径20μmのステアリン酸カルシウム3,500重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて機械的に混合した。
【0202】
上記のようにして得られたペレットにおけるシリコーンオイルの付着量は950重量ppmであった。また、得られたペレットにおけるステアリン酸カルシウムの付着量は3,200重量ppmであった。
【0203】
次いで、この軟質樹脂ペレットを用い、ペレットブロッキング試験を上記方法に従って行なった。
その結果を第1表に示す。
【0204】
【比較例6】
実施例3において、軟質樹脂ペレットとステアリン酸カルシウムとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例3と同様に行なった。
【0205】
結果を第1表に示す。
【0206】
【比較例7】
実施例3において、軟質樹脂ペレットとシリコーンオイルとの機械的混合を行なわなかった以外は、実施例3と同様に行なった。
【0207】
結果を第1表に示す。
【0208】
【実施例4】
造粒に供する軟質樹脂としてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR)〔密度(ASTM D 1505)=0.87g/cm3、MFR(ASTM d 1238,190℃、荷重2.16kg)=2g/10分、エチレン含量=85モル%、引張弾性率(YM)=8MPa〕を用意した。
【0209】
このエチレン・1-オクテン共重合体(EOR)をペレタイザー付き押出機に供給し、循環冷却水が流速140ton/hで流通している循環箱中に、溶融状態のエチレン・1-オクテン共重合体(EOR)を5ton/hの速度で押出し、回転刃にて連続的に切断することで造粒を行なうとともに、得られた軟質樹脂ペレットを遠心脱水機に輸送した。なお、循環箱に入る循環冷却水は、軟質樹脂のブロッキングを防止する目的で5℃の温度に調節した。また、同じ目的で循環冷却水中に、シリコーンオイル〔商品名 SH200、東レ・ダウコーニング社製;動粘度(20℃)=500cSt、表面張力(20℃)=20dyne/cm〕を100g/hの速度で添加し、また、このシリコーンオイルを分散させる目的で、界面活性剤〔旭電化(株)製、ブルロニックF108〕を12g/hの速度で添加した。
【0210】
次いで、遠心脱水機を用いて、軟質樹脂ペレットと水を分離した後、このペレットをヘンシェルミキサーへ搬送し、ここで、3,500重量ppmのステアリン酸カルシウムと混合した。
【0211】
上記のようにして得られたペレットにおけるシリコーンオイルの付着量は1,100重量ppmであった。また、得られたペレットにおけるステアリン酸カルシウムの付着量は3,000重量ppmであった。
【0212】
次いで、この軟質樹脂ペレットを用い、ペレットブロッキング試験を上記方法に従って行なった。このペレットを用いたブロッキング試験の結果は、評点7であり、外観も粉ふきが観察されず良好であった。
【0213】
その結果を第1表に示す。
【0214】
【表1】
Claims (11)
- 下記の(i)〜(v)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の、引張弾性率(YM;ASTM D-658)が1600MPa以下である軟質樹脂(A)のペレット表面に、
25℃における動粘度が200〜1,000cStで、かつ25℃における表面張力が10〜30dyne/cmの範囲内にあり、下記式で表わされる繰り返し単位を有するポリシロキサン類
次いで、そのペレット表面に、平均粒径が1〜25μmであり、炭素原子数12〜30の飽和または不飽和の高級脂肪酸の金属塩の少なくとも1種類の微粉(C)をまぶして、
軟質樹脂(A)のペレット表面を液体(B)と微粉(C)で被覆させることを特徴とする非粘着性に優れる軟質樹脂ペレットの製造方法;
(i)エチレンと少なくとも一種類の炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・α- オレフィン共重合体、(ii)プロピレンと少なくとも一種類の炭素原子数2、4〜20のα- オレフィンとを共重合させて得られるプロピレン・α- オレフィン共重合体、(iii)エチレンと、少なくとも一種類の炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記式
- 前記液体(B)が、ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記微粉(C)が、ステアリン酸、エルカ酸、オレイン酸、イタコン酸またはモンタン酸の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記微粉(C)が、ステアリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記液体(B)がジメチルポリシロキサンであり、前記微粉(C)がステアリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記軟質樹脂(A)が、軟質樹脂(A)100重量%に対して、不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合で含んでいることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記エチレン・α- オレフィン共重合体(i)が、未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体(i−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性エチレン・α- オレフィン共重合体(i−b)であることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii)が、未変性のプロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性プロピレン・α- オレフィン共重合体(ii−b)であることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記不飽和性オレフィン系共重合体(iii)が、未変性の不飽和性オレフィン系共重合体(iii−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性不飽和性オレフィン系共重合体(iii−b)であることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv)が、未変性のエチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−a)に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(iv−b)であることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
- 前記環状オレフィン系樹脂(v)が、未変性の環状オレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量%の割合でグラフトした変性環状オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の軟質樹脂ペレットの製造方法。
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