JPH0551512A - ポリオレフイン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフイン系樹脂組成物

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JPH0551512A
JPH0551512A JP23711591A JP23711591A JPH0551512A JP H0551512 A JPH0551512 A JP H0551512A JP 23711591 A JP23711591 A JP 23711591A JP 23711591 A JP23711591 A JP 23711591A JP H0551512 A JPH0551512 A JP H0551512A
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JP
Japan
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graft
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cyclic olefin
polyolefin
group
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Application number
JP23711591A
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English (en)
Inventor
Mamoru Takahashi
橋 守 高
Satoru Moriya
屋 悟 守
Akio Ishimoto
本 昭 夫 石
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、不飽和
カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性し
たグラフト変性結晶性ポリオレフィン(a)と、エチレン
と特定の環状オレフィンとのランダム共重合体(b-1)、
特定の環状オレフィンの開環(共)重合体(b-2)または
この開環(共)重合体の水添物(b-3)をエポキシ基含有
化合物で変性したエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂
(b)と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で
グラフト変性したグラフト変性軟質重合体(c)とからな
り、(a)成分と(b)成分との重量比が99:1〜1:99
の範囲内にあり、(c)成分と、(a)成分および(b)成分の
総和との重量比が99:1〜1:99の範囲内にある。 【効果】本発明の組成物は、特に剛性および耐衝撃性に
優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、特に耐衝撃性が向上した
成形体を製造することができるポリオレフィン樹脂組成
物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から自動車部品等のように耐
衝撃性を要求される樹脂成形体を形成するために、ポリ
プロピレンのような弾性を有する樹脂を配合した熱可塑
性ゴム状弾性体が使用されている。この熱可塑性ゴム状
弾性体は、熱可塑性および弾性を有しており、この熱可
塑性ゴム状弾性体を使用することにより、引っ張り特
性、耐候性、柔軟性よび弾性などの特性に優れた成形体
を形成することができる。
【0003】この熱可塑性ゴム状弾性体は、ポリオレフ
ィンを主成分とする樹脂組成物であり、成形体の物性は
このポリオレフィンの結晶化度等によって著しく変動す
る。例えば、この樹脂組成物中におけるポリオレフィン
の結晶化度が低い場合には、得られる成形体の剛性およ
び耐熱性等の特性が充分に高くならない。
【0004】そこで、従来から知られているポリオレフ
ィンが有している優れた耐候性などの特性を損なうこと
なく、剛性、耐熱性および耐衝撃性など特性に優れた成
形体を製造することができる樹脂の出現が望まれてい
た。
【0005】ポリオレフィンから形成される成形体の耐
熱性および剛性を改善する方法として、造核剤を添加す
る方法、あるいは、溶融状態にあるポリオレフィンを徐
冷して結晶化度を向上させる方法が採られているが、そ
の効果は充分であるとは言い難い。
【0006】このような従来から知られているポリオレ
フィンとは別に、エチレンと嵩高なモノマーとを反応さ
せることによって得られる共重合体が知られている。こ
の共重合体は、従来のポリオレフィンと比較して耐熱性
等の諸特性に優れていることが報告されている(例えば
米国特許第2,883,372号明細書および特公昭46-14910号
公報参照)。
【0007】そして、嵩高なモノマーとして特定の環状
オレフィンを使用し、この環状オレフィンとエチレンと
を共重合させて得られた環状オレフィンランダム共重合
体が耐熱性、耐熱老化性、耐溶剤性、誘電特性および剛
性に優れているとの知見に基づいて、本出願人は、特定
の環状オレフィンを用いたランダム共重合体(環状オレ
フィンランダム共重合体)について既に出願している
(特開昭60-168708号公報、ならびに特願昭59-220550
号、同59-236828号、同59-236829号、同59-242336号お
よび同61-95906号明細書参照)。
【0008】環状オレフィンランダム共重合体が上記の
ような特性を有しているので、上記の熱可塑性ゴム状弾
性体にこの環状オレフィンランダム共重合体を混合して
その特性を賦与することができれば、得られる成形体の
剛性および耐熱性が向上することが予想される。しかし
ながら、実際には環状オレフィンランダム共重合体と熱
可塑性ゴム状弾性体とは極めて親和性が悪く、両者を混
合しようとしても、両者を均一に分散させることができ
ない。このため環状オレフィンランダム共重合体と熱可
塑性ゴム状弾性体とを単に混合した組成物では所望の特
性が発現しない。
【0009】
【発明の目的】本発明は、従来のポリオレフィンが有す
る優れた耐候性を損なうことなく、上記環状オレフィン
ランダム共重合体、結晶性ポリオレフィンおよび軟質重
合体の相溶性を向上させることにより、剛性、耐熱性お
よび耐衝撃性の向上した成形体を製造することができる
ポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的として
いる。
【0010】
【発明の概要】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、
結晶性ポリオレフィンを不飽和カルボン酸および/また
はその誘導体でグラフト変性したグラフト変性結晶性ポ
リオレフィン(a)と、エチレンと次式[I]で表わされる
環状オレフィンとのランダム共重合体(b-1)、次式[I]
で表される環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共
重合体(b-2)および該開環重合体もしくは開環共重合体
の水添物(b-3)よりなる群から選ばれる環状オレフィン
系樹脂をエポキシ基含有化合物でグラフト変性したエポ
キシ基含有環状オレフィン系樹脂(b)と、軟質重合体を
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト
変性したグラフト変性軟質重合体(c)とからなる組成物
であり、かつ、該組成物中におけるグラフト変性結晶性
ポリオレフィン(a)とエポキシ基含有環状オレフィン系
樹脂(b)との重量比が99:1〜1:99の範囲内にあ
り、グラフト変性軟質重合体(c)と、グラフト変性結晶
性ポリオレフィン(a)およびエポキシ基含有環状オレフ
ィン系樹脂(b)の総和との重量比が99:1〜1:99
の範囲内にあることを特徴としている。
【0011】
【化2】
【0012】 ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
群から選ばれる原子もしくは基を表し、R15〜R18は、
互いに結合して単環または多環の基を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環の基が二重結合を有していて
もよく、また、R15とR16とで、またはR17とR18とで
アルキリデン基を形成していてもよい。
【0013】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、結
晶性ポリオレフィン、環状オレフィン系樹脂および軟質
重合体がそれぞれ特定のグラフト変性モノマーで変性さ
れているため、この三者が相互に良好な分散状態を形成
する。従って、このポリオレフィン樹脂組成物から形成
された成形体は、特に剛性、耐熱性および耐衝撃性が良
好になる。
【0014】
【発明の具体的説明】次に本発明のポリオレフィン樹脂
組成物について具体的に説明する。本発明のポリオレフ
ィン樹脂組成物は、グラフト変性結晶性ポリオレフィン
(a)と、エポキシ基含有環状オレフィン系樹脂(b)と、グ
ラフト変性軟質重合体(c)とからなる組成物である。
【0015】本発明で使用されるグラフト変性結晶性ポ
リオレフィン(a)は、結晶性ポリオレフィンを不飽和カ
ルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性した
変性物である。
【0016】ここで結晶性ポリオレフィンとしては、X
線回折法によって測定した結晶化度が30%を超え、好
ましくは結晶化度が45%以上、さらに好ましくは55
%以上のポリオレフィンが使用される。同時に、この結
晶性のポリオレフィン(a-1)としては、23℃における
引張モジュラスが2000Kg/cm2を超えるポリオレフィ
ンが使用され、特にこの引張モジュラスが、好ましくは
5,000〜20,000Kg/cm2、さらに好ましくは1
0,000〜20,000Kg/cm2の範囲内にあるポリオ
レフィンが使用される。
【0017】このような結晶性ポリオレフィンとして
は、ポリプロピレンが特に好ましい。この結晶性ポリオ
レフィンとしてポリプロピレンを使用する場合、プロピ
レンの単独重合体を使用することができる他、プロピレ
ンと他のα-オレフィンとの共重合体をも使用すること
ができる。そして、このようなポリプロピレンとして
は、プロピレンから誘導される繰り返し単位を50モル
%以上、好ましくは80モル%以上含有するポリプロピ
レンが使用される。ここでプロピレンと共重合する他の
α-オレフィンの例としては、エチレン、ブテン-1、ペ
ンテン-1、4-メチルペンテン-1、3-メチルブテン-1およ
びヘキセン-1のような炭素数2〜20のα-オレフィン
(プロピレンを除く)を挙げることができる。このよう
な結晶性ポリプロピレンは通常は0.88〜0.92g/cm
3程度の密度を有しており、さらにメルト・フロー・レ
ート(MFR)は0.01〜300、好ましくは0.1〜
100の範囲内にあり、135℃のデカリン中で測定し
た極限粘度[η]は、通常は0.5〜5dl/gの範囲内に
ある。また、本発明では、融点が、通常は120〜18
0℃、ガラス転移温度が、通常は−20〜20℃、そし
て軟化温度が100〜170℃の範囲内にあるポリプロ
ピレンが使用しやすい。
【0018】なお、上記結晶性ポリオレフィンは、結晶
性を損なわない範囲内で鎖状非共役ジエンから誘導され
る繰り返し単位および/または環状非共役ジエンから誘
導される繰り返し単位を有していてもよい。本発明で使
用される結晶性ポリオレフィン中におけるこのような非
共役ジエンから誘導される繰り返し単位の含有率は、通
常は5モル%以下、好ましくは3モル%以下である。
【0019】このようなポリプロピレンは、種々の方法
により製造することがでいるが、例えば、不飽和炭化水
素溶媒中でトリエチルアルミニウムのような有機アルミ
ニウム化合物と塩化チタンのような固体チタン触媒成分
とを含む複合触媒を用いて、1〜40気圧の反応圧力、
20〜120℃の反応温度でプロピレンおよび必要によ
り他のα-オレフィンを添加して液相重合させた後、触
媒を水で分解して除去し、次いで溶媒を除去することに
より製造することができる。
【0020】本発明で使用されるグラフト変性ポリオレ
フィン(a)は、例えば上記のような結晶性ポリプロピレ
ンのような結晶性ポリオレフィンを不飽和カルボン酸お
よび/またはその誘導体でグラフト変性されたグラフト
変性物である。
【0021】ここで使用される不飽和カルボン酸の例と
しては、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラ
ヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン
酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス- ビシ
クロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)を挙げ
ることができる。さらに、上記の不飽和カルボン酸の誘
導体の例としては、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カ
ルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カ
ルボン酸イミドおよび不飽和カルボン酸のエステル化合
物を挙げることができる。このような誘導体の具体的な
例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン
酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチルおよびマ
レイン酸ジメチルを挙げることができる。
【0022】これらのグラフトモノマーは、単独で使用
することもできるし、組み合わせて使用することもでき
る。上記のようなグラフトモノマーのうちでは、不飽和
ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、さらにマ
レイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸無水物が特に
好ましい。
【0023】本発明で使用されるグラフト変性結晶性ポ
リオレフィン(a)は、例えば上記のようなグラフトモノ
マーと結晶性ポリオレフィンとを、従来公知の種々の方
法を採用して変性することにより製造することができ
る。たとえば、前記未変性の結晶性ポリオレフィンを溶
融させ、グラフトモノマーを添加してグラフト重合させ
る方法、あるいは未変性の結晶性ポリオレフィンおよび
グラフトモノマーを溶媒に溶解させてグラフト共重合さ
せる方法がある。さらに、グラフト変性結晶性ポリオレ
フィンを製造する方法としては、未変性の結晶性ポリオ
レフィンを所望のグラフト変性率になるようにグラフト
モノマーを配合して変性する方法、予め高グラフト変性
率のグラフト変性結晶性ポリオレフィンを調製し、この
高変性率のグラフト変性結晶性ポリオレフィンを未変性
の結晶性ポリオレフィンで希釈して所望の変性率のグラ
フト変性結晶性ポリオレフィンを製造する方法がある。
本発明においては、いずれの方法により製造したグラフ
ト変性結晶性ポリオレフィンをも使用することもでき
る。そして、本発明において使用されるグラフト変性結
晶性オレフィン系樹脂の変性率は、通常は、0.01〜
5重量%、好ましくは0.1〜4重量%の範囲内にあ
る。
【0024】前記グラフトモノマーを効率よくグラフト
共重合させるためには、グラフト反応は通常60〜35
0℃の温度で行われる。このような反応においてはラジ
カル開始剤を用いることにより反応効率が向上する。
【0025】ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシ
ド、有機ペルエステルが好ましく使用され、このような
ラジカル開始剤の具体的な例としては、ベンゾイルペル
オキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミル
ペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン-
3、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベ
ンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルア
セテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルペルベンゾエート、t
ert-ブチルペルフェニルアセテート、tert-ブチルペル
イソブチレート、tert-ブチルペル-sec-オクトエート、
tert-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートお
よびtert-ブチルペルジエチルアセテートを挙げること
ができる。さらに本発明においてはラジカル開始剤とし
てアゾ化合物を使用することもでき、このアゾ化合物の
具体的な例としては、アゾビスイソブチロニトリルおよ
びジメチルアゾイソブチレートを挙げることができる。
【0026】これらのうちでは、ラジカル開始剤とし
て、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、
ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t
ert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5
-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(te
rt-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジア
ルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
【0027】ラジカル開始剤は、未変性の結晶性ポリオ
レフィン100重量部に対して通常は0.001〜5重
量部の範囲内の量で使用される。上記のようにグラフト
変性しても、結晶化度、引張モジュラスは、殆ど変化し
ない。
【0028】本発明で使用されるエポキシ基含有環状オ
レフィン系樹脂(b)は、(b-1)エチレンと次式[I]で表
わされる環状オレフィンとのランダム共重合体、(b-2)
次式[I]で表される環状オレフィンの開環重合体もし
くは開環共重合体および(b-3)上記開環重合体もしくは
開環共重合体の水添物のうちのいずれかの環状オレフィ
ン系樹脂をエポキシ基含有化合物でグラフト変性した変
性物である。
【0029】ここで環状オレフィンは次式[I]で表す
ことができる。
【0030】
【化3】
【0031】 ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
る。
【0032】また、R1〜R18ならびにRaおよびR
bは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および
炭化水素基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表
す。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を挙げること
ができる。また、炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原
子数3〜15のシクロアルキル基を挙げることができ、
アルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデ
シル基を挙げることができる。またシクロアルキル基の
具体的な例としては、シクロヘキシル基を挙げることが
できる。
【0033】さらに、上記式[I]において、R15とR
16とが、R17とR18とが、さらにR15とR17とが、R16
とR18とがR15とR18とが、あるいはR16とR17とがそ
れぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の
基を形成していてもよく、しかも、このようにして形成
された単環または多環の基が二重結合を有していてもよ
い。
【0034】また、R15とR16とで、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキ
リデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な
例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソ
プロピリデン基を挙げることができる。
【0035】上記式[I]で表わされる環状オレフィン
は、シクロペンタジエン類と相応するオレフィン類ある
いは相当する環状オレフィン類とを、ディールス・アル
ダー反応を利用して縮合させることにより容易に製造す
ることができる。
【0036】本発明において使用される上記式[I]で
表わされる環状オレフィンとしては、具体的には、ビシ
クロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.
1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデンセン誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.0
12,17]-5-ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.0
2,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-イ
コセン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導
体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシ
クロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、ペンタシクロ
[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン誘導体、ペン
タシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[4.7.
0.12,5.08,13.19,12]-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシ
クロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]-4-エイ
コセン誘導体、 およびノナシクロ[9.10.1.1.4.7.0
3,8.02,10.012,21.113,20.014,19.115,18]-5-ペンタコ
セン誘導体を挙げることができる。
【0037】以下にこのような化合物の具体的な例を示
す。
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】環状オレフィン系樹脂として使用される環
状オレフィンランダム共重合体(b-1)について説明す
る。環状オレフィンランダム共重合体(b-1)は、例え
ば、触媒の存在下に、液相中でエチレンと、上記式
[I]で表される環状オレフィン化合物(不飽和単量
体)とを共重合させることにより得ることができる。
【0054】本発明において、上記の式[I]で表わさ
れる環状オレフィン化合物と共重合して環状オレフィン
ランダム共重合(b-1)を構成する単量体は、エチレンで
ある。ただし、本発明で用いられる環状オレフィンラン
ダム共重合体には、オレフィン化合物としてエチレンの
他に、他のオレフィン化合物が共重合していてもよい。
【0055】ここでエチレンおよび上記の式[I]で表
わされる環状オレフィン化合物と共重合させることがで
きる他のオレフィン化合物の例としては、プロピレン、
1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オク
テン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキ
サデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセン等の炭素
原子数が3〜20のα-オレフィン;シクロペンテン、
シクロヘキセン、3-メチルシクロヘキセン、シクロオク
テンおよび3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-イ
ンデン等のシクロオレフィン;1,4-ヘキサジエン、4-メ
チル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、
1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデ
ン-2-ノルボルネンおよび5-ビニル-2-ノルボルネン等の
非共役ジエン類;ノルボルネン-2、5-メチルノルボルネ
ン-2、5-エチルノルボルネン-2、5-イソプロピルノルボ
ルネン-2、5-n-ブチルノルボルネン-2、5-i-ブチルノル
ボルネン-2、5,6-ジメチルノルボルネン-2、5-クロロノ
ルボルネン-2、2-フルオロノルボルネン-2および5,6-ジ
クロロノルボルネン-2等のノルボルネン類を挙げること
ができる。
【0056】上記のエチレンと式[I]で表わされる環
状オレフィンとの反応は、通常は、炭化水素溶媒中で行
われる。ここで用いられる炭化水素溶媒としては、たと
えばヘキサン、ヘプタン、オクタンおよび灯油等の脂肪
族炭化水素;シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサ
ン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエンおよびキシ
レン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。さらに
環状オレフィンランダム共重合体の調製の際に使用でき
る重合性不飽和単量体のうちで反応温度において液体で
ある化合物を反応溶媒として用いることもできる。これ
らの溶媒は単独で、あるいは組合わせて使用することが
できる。
【0057】上記のエチレンと式[I]で表わされる環
状オレフィンと必要によりエチレン以外のオレフィンと
の反応の際に用いられる触媒としては、反応溶媒として
用いる炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物と有機
アルミニウム化合物とからなる触媒を挙げることができ
る。
【0058】ここで触媒として用いられるバナジウム化
合物としては、式 VO(OR)ab、若しくは、式
V(OR)cdで表わされる化合物を挙げることができ
る。ただし、上記の式において、Rは炭化水素基であ
り、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c
≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4の関係を有する。
【0059】さらにバナジウム化合物は、上記式で表わ
されるバナジウム化合物の電子供与体付加物であっても
よい。これらのバナジウム化合物の例としては、VOC
3、VO(OC25)Cl2、VO(OC252
l、VO(O-iso-C37)Cl2、VO(O-n-C
49)Cl2、VO(OC253、VOBr2、VC
4、VOCl2、VO(O-n-C493、VCl3・2
(OC817OH)等のバナジウム化合物を挙げること
ができる。これらのバナジウム化合物は単独で、あるい
は組合わせて使用することができる。
【0060】また、上記のバナジウム化合物と付加物を
形成する電子供与体の例としては、アルコール、フェノ
ール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸また
は無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、
アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、
アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与
体を挙げることができる。
【0061】このような電子供与体として用いられる具
体的な化合物の例としては、炭素原子数1〜18のアル
コール類、炭素原子数6〜20のフェノール類(これら
のフェノール類は、低級アルキル基を有してよい)、炭
素原子数3〜15のケトン類、炭素原子数2〜15のア
ルデヒド類、炭素原子数2〜30の有機酸エステル類、
炭素原子数2〜15の酸ハライド類、炭素原子数2〜2
0のエーテル類、アミン類、ニトリル類およびアルコキ
シシラン類を挙げることができる。これらの電子供与体
は、単独であるいは組合わせて使用することができる。
【0062】ここで使用される有機アルミニウム化合物
としては、分子内に少なくとも1個のAl-炭素結合を
有する化合物を用いることができる。ここで有機アルミ
ニウム化合物の例としては、(i)式R1 mAl(OR2
npq (ここでR1およびR2は。炭素原子数が、通
常は1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基で、これ
らは互いに同一でも異なっていてもよい。Xはハロゲ
ン、mは0≦m≦3、nは0≦n<3、pは0≦n<
3、qは0≦q<3の数であって、しかもm+n+p+
q=3である)で表わされる有機アルミニウム化合物、
(ii)式M1AlR1 4 (ここでM1はLi、Na、Kで
あり、R1は前記と同じ意味である)で表わされる第1
族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物を挙げること
ができる。
【0063】前記の式(i)で表わされる有機アルミニ
ウム化合物としては、具体的には以下に記載する化合物
を挙げることができる。 式 R1 mAl(OR23-m (ここでR1およびR2は前
記と同じ意味であり、mは好ましくは1.5≦m<3の
数である)で表わされる化合物。
【0064】式 R1 mAlX3-m (ここでR1は前記と
同じ意味であり、Xはハロゲン、mは好ましくは0<m
<3である)で表わされる化合物。 式 R1 mAlH3-m (ここでR1は前記と同じ意味であ
り、mは好ましくは2≦m<3である)で表わされる化
合物。
【0065】式 R1 mAl(OR2nq (ここでR1
およびR2は前記と同じ意味である。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である)で表わされる化合物。
【0066】上記式(ii)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、トリアルキルアルミニ
ウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニ
ウムアルコキシド、アルキルアルミニウムセスキアルコ
キシド、式R1 2.5Al(OR20.5等で表わされる平均
組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアル
ミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキル
アルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジ
ハライドのように部分的にハロゲン化されたアルキルア
ルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキ
ルアルミニウムジヒドリドのように部分的に水素化され
たアルキルアルミニウムならびに部分的にアルコキシ化
およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムを挙げる
ことができる。
【0067】また、有機アルミニウム化合物は、たとえ
ば酸素原子あるいは窒素原子を介して、2以上のアルミ
ニウムが結合した有機アルミニウム化合物のように式
(ii)で表わされる化合物に類似する化合物であっても
よい。このような化合物の具体的な例としては、 (C252AlOAl(C252、(C492Al
OAl(C492、(C252AlN(C65)Al
(C252を挙げることができる。
【0068】また、前記の式(ii)で表わされる有機ア
ルミニウム化合物の例としては、LiAl(C254
およびLiAl(C7154を挙げることができる。こ
れらの中では、特にアルキルアルミニウムハライド、ア
ルキルアルミウムジハライドまたはこれらの混合物を用
いるのが好ましい。
【0069】上記のバナジウム化合物の使用量は、バナ
ジウム原子として、通常は0.01〜5グラム原子/リ
ットル、好ましくは0.05〜3グラム原子/リットル
の範囲内にある。また、有機アルミニウム化合物の使用
量は、重合反応系内のバナジウム原子に対するアルミニ
ウム原子の比(Al/V)として表わすと、通常は2以
上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範
囲にある。
【0070】上記のような触媒を用いて得られる環状オ
レフィンランダム重合体(b-1)は、通常、エチレンから
誘導される繰り返し単位を、52〜90モル%、好まし
くは55〜80モル%の範囲内で含み、環状オレフィン
から誘導される繰り返し単位を10〜48モル%、好ま
しくは20〜45モル%の範囲内で含んでいる。なお、
環状オレフィンランダム共重合体がエチレン以外のα-
オレフィンから誘導される繰り返し単位を含む場合、環
状オレフィンランダム共重合体中におけるこのα-オレ
フィンから誘導される繰り返し単位の含有率は、通常2
0モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
【0071】環状オレフィンランダム共重合体(b-1)に
おいて、エチレンから誘導される繰り返し単位と環状オ
レフィンから誘導される繰り返しとは、実質的に線状に
配列しており、さらにこれらの繰返し単位はランダムに
配列されている。
【0072】そして、環状オレフィンランダム共重合体
(b-1)においては、式[I]で表される環状オレフィンか
ら誘導される繰返し単位は、次式[II]で表わされる構
造を有していると考えられる。
【0073】
【化19】
【0074】 ただし、上記式[II]において、n、m、qおよびR1
〜R18並びにRaおよびRbは[I]と同じ意味である。
【0075】環状オレフィン系樹脂として使用される環
状オレフィン開環重合体および環状オレフィン開環共重
合体(b-2)は、例えば上記式[I]で表される環状オレフ
ィンを、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、インジウムまたは白金などの金属のハロゲン化物、
硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とから
なる触媒;チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモ
リブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセト
ン化合物と、有機アルミニウムとからなる触媒の存在下
に開環させながら(共)重合させることにより製造する
ことができる。
【0076】この環状オレフィン開環重合体中において
式[I]で表される環状オレフィンで表される環状オレ
フィンの少なくとも一部は[III]で表される構造を有
していると考えられる。
【0077】
【化20】
【0078】 なお、上記式[III]において、R1〜R18、Raおよび
b、並びにm、nおよびqは式[I]におけるのと同じ
意味である。
【0079】また、この開環重合体の水添物(水素化開
環重合体)(b-3)は、上記のようにして得られた環状オ
レフィン開環重合体を、水素添加触媒の存在下に水素で
還元することにより製造することができる。
【0080】この水素化開環重合体(b-3)中において式
[I]で表される環状オレフィンで表される環状オレフ
ィンの少なくとも一部は[IV]で表される構造を有して
いると考えられる。
【0081】
【化21】
【0082】 なお、上記式[IV]において、R1〜R18、RaおよびR
b、並びにm、nおよびqは式[I]におけるのと同じ意
味である。
【0083】上記式[I]で表される環状オレフィンか
ら誘導される式[II]、[III]または[IV]で表され
ると考えられる繰り返し単位を有する環状オレフィン系
樹脂の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
は、0.3〜2.0dl/gの範囲内、好ましくは0.4〜
1.2dl/gの範囲内にある。また、この環状オレフィン
系樹脂のサーマル・メカニカル・アナライザーで測定し
た軟化温度(TMA)は、通常、70〜200℃の範囲
内、好ましくは100〜180℃の範囲内にあり、さら
に、ガラス転移温度(Tg)は、通常、50〜190℃の
範囲内、好ましくは80〜170℃の範囲内にあり、X
線回折法によって測定した結晶化度は、通常、0〜20
%の範囲内、好ましくは0〜2%の範囲内にある。
【0084】本発明で使用されるエポキシ基含有環状オ
レフィン系樹脂(b)は、上記のような環状オレフィンラ
ンダム共重合体(b-1)、環状オレフィン開環重合体ある
いは開環共重合体(b-2)および環状オレフィン開環重合
体あるいは開環共重合体の水添物(b-3)をエポキシ基を
含有するグラフトモノマーで変性することにより得られ
る。
【0085】ここで使用されるエポキシ基を含有するグ
ラフトモノマーの例としては、グリシジルマレエート、
グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレー
トを挙げることができる。これらのエポキシ基を含有す
るグラフトモノマーは、単独で使用することもできる
し、組み合わせて使用することもできる。
【0086】上記のようなエポキシ基を含有するグラフ
トモノマーのうちでは、グリシジルアクリレートおよび
/またはグリシジルメタクリレートが特に好ましい。本
発明で使用されるエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂
(b)は、例えば上記のようなエポキシ基を含有するグラ
フトモノマーと環状オレフィン系樹脂とを、従来公知の
種々の方法を採用して変性することにより製造すること
ができる。たとえば、前記未変性の環状オレフィン系樹
脂を溶融させ、エポキシ基を含有するグラフトモノマー
を添加してグラフト重合させる方法、あるいは未変性の
環状オレフィン系樹脂およびエポキシ基を含有するグラ
フトモノマーを溶媒に溶解させてグラフト共重合させる
方法がある。さらに、エポキシ基含有環状オレフィン系
樹脂(b)を製造する方法としては、未変性の環状オレフ
ィン系樹脂を所望の変性率になるようにエポキシ基を含
有するグラフトモノマーを配合して変性する方法、予め
高変性率のエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂を調製
し、この高変性率のエポキシ基含有環状オレフィン系樹
脂を未変性の環状オレフィン系樹脂で希釈して所望の変
性率のエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂を製造する
方法がある。本発明においては、いずれの方法により製
造したエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂をも使用す
ることもできる。そして、本発明において使用されるエ
ポキシ基含有環状オレフィン系樹脂の変性率は、通常
は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%の
範囲内にある。前記グラフトモノマーを効率よくグラフ
ト共重合させるためには、グラフト反応は通常60〜3
50℃の温度で行われる。
【0087】このような反応においてはラジカル開始剤
を用いることにより反応効率が向上する。ラジカル開始
剤としては、グラフト変性結晶性ポリオレフィンを変性
する際に使用する有機ペルオキシドあるいは有機ペルエ
ステルが使用される。
【0088】ラジカル開始剤は、未変性の環状オレフィ
ン系樹脂100重量部に対して通常は0.001〜5重
量部の範囲内の量で使用される。上記のように変性する
ことによっても、環状オレフィン系樹脂の特性は殆ど変
化しない。
【0089】本発明において使用されるグラフト変性軟
質重合体(c)は、23℃における引張りモジュラスが、
0.1kg/cm2〜2000kg/cm2、好ましくは1kg/cm2
〜1500kg/cm2の範囲内にあるグラフト変性された
共重合体ゴムである。
【0090】さらに、このようなグラフト変性軟質重合
体(c)のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であり、好
ましくは0℃〜−150℃、特に好ましくは−80〜−
20℃の範囲内にある。さらに、このグラフト変性軟質
重合体(c)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]は、通常は0.2〜10dl/g、好ましくは1〜5
dl/gである。またその密度は、通常は0.82〜0.9
6g/cm3、好ましくは0.84〜0.92g/cm3である。
さらに、このグラフト変性軟質重合体(c)のX線回折法
によって測定した結晶化度は、通常は30%以下、好ま
しくは25%以下であり、このグラフト変性軟質重合体
(c)は、低結晶性乃至非晶性であることが好ましい。
【0091】本発明で使用されるグラフト変性軟質重合
体(c)がグラフト変性α-オレフィン共重合体である場合
には、このようなグラフト変性α-オレフィン共重合体
としては、具体的には、(イ)グラフト変性エチレン・
α-オレフィン共重合体ゴム、(ロ)グラフト変性プロ
ピレン・α-オレフィン共重合体ゴムが例示できる。上
記のグラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体ゴ
ム(イ)およびグラフト変性プロピレン・α-オレフィ
ン共重合体ゴム(ロ)は単独で使用することもできる
し、さらに両者を組み合わせて使用することもできる。
【0092】上記のグラフト変性エチレン・α-オレフ
ィン共重合体ゴム(イ)を構成するα-オレフィンとし
ては、通常、炭素原子数3〜20のα-オレフィン、た
とえばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよ
びこれらの混合物を挙げることができる。このうち特に
プロピレンおよび/または1-ブテンが好ましい。
【0093】また、グラフト変性プロピレン・α-オレ
フィン共重合体ゴム(ロ)を構成するα-オレフィンと
しては、通常、炭素原子数4〜20のα-オレフィン、
たとえば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル
-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混
合物を挙げることができる。このうち特に1-ブテンが好
ましい。
【0094】なお、本発明で使用されるグラフト変性エ
ラストマー(c)は、その特性を損なわない範囲内で、ジ
エン化合物から誘導される繰り返し単位等のようなα-
オレフィンから誘導される繰り返し単位以外の繰り返し
単位を有していてもよい。
【0095】例えば、本発明で使用されるグラフト変性
エラストマーに含まれることが許容される繰り返し単位
としては、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メ
チル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエンお
よび7-メチル-1,6-オクタジエンのような鎖状非共役ジ
エン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メ
チルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-
エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネ
ン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネンおよび6-クロ
ロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンのような環
状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボル
ネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネ
ンおよび2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等のジエ
ン化合物から誘導される繰り返し単位を挙げることがで
きる。α-オレフィン共重合体中における上記のような
ジエン成分から誘導される繰り返し単位の含有量は、通
常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
【0096】本発明でグラフト変性軟質重合体(c)とし
て使用されるグラフト変性エチレン・α-オレフィン共
重合体(イ)においては、エチレンから誘導される繰り
返し単位とα-オレフィンから誘導される繰り返し単位
とのモル比(エチレン/α-オレフィン)は、α-オレフ
ィンの種類によっても異なるが、一般に10/90〜9
9/1、好ましくは50/50〜95/5である。上記
モル比は、α-オレフィンがプロピレンである場合に
は、50/50〜90/10であることが好ましく、α
-オレフィンが炭素原子数4以上のα-オレフィンである
場合には80/20〜95/5であることが好ましい。
【0097】このようなグラフト変性エチレン・α-オ
レフィン共重合体(イ)の代表的な例としては、無水マ
レイン酸グラフト変性エチレン・プロピレンラバー、無
水マレイン酸グラフト変性エチレン・ブテンラバーなど
を挙げることができる。
【0098】また、本発明でグラフト変性軟質重合体
(c)として使用されるグラフト変性プロピレン・α-オレ
フィン共重合体(ロ)においては、プロピレンから誘導
される繰り返し単位とα-オレフィンから誘導される繰
り返し単位とのモル比(プロピレン/α-オレフィン)
は、α-オレフィンの種類によっても異なるが、一般に
は50/50〜95/5の範囲内にある。さらに、上記
モル比は、α-オレフィンが1-ブテンである場合には、
50/50〜90/10であることが好ましく、α-オ
レフィンが炭素数5以上である場合には、80/20〜
95/5であることが好ましい。
【0099】本発明で使用されるグラフト変性物軟質重
合体(c)を製造するために用いられるグラフトモノマー
は、不飽和カルボン酸若しくはその誘導体である。この
不飽和カルボン酸若しくはその誘導体の具体的な例とし
ては、前述の結晶性ポリオレフィン(a)を変性する際に
示した不飽和カルボン酸若しくはその誘導体を挙げるこ
とができる。これらのグラフトモノマーは、単独で使用
することもできるし、組み合わせて使用することもでき
る。
【0100】上記のようなグラフトモノマーのうちで
は、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好まし
く、さらにマレイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸
無水物が特に好ましい。
【0101】本発明で使用されるグラフト変性軟質重合
体(c)は、例えば上記のようなグラフトモノマーと未変
性の軟質重合体とを、従来公知の種々の方法を採用して
変性することにより製造することができる。たとえば、
軟質重合体を溶融させ、グラフトモノマーを添加してグ
ラフト重合させる方法、あるいは溶媒に溶解させグラフ
トモノマーを添加してグラフト共重合させる方法があ
る。さらに、グラフト変性軟質重合体(c)を製造する方
法としては、未変性の軟質重合体(c)を所望のグラフト
変性率になるようにグラフトモノマーを配合して変性す
る方法、予め高グラフト変性率のグラフト変性軟質重合
体を調製し、この高変性率のグラフト変性軟質重合体を
未変性軟質重合体(c)で希釈して所望の変性率のグラフ
ト変性軟質重合体(c)を製造する方法がある。本発明に
おいては、いずれの方法により製造したグラフト変性軟
質重合体(c)も使用することもできる。そして、本発明
において使用されるグラフト変性軟質重合体(c)の変性
率は、通常は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜
4重量%の範囲内にある。
【0102】このような反応をラジカル開始剤の存在下
に行うことにより前記グラフトモノマーを効率よくグラ
フト共重合させることができる。ここで使用されるラジ
カル開始剤の例としては、前述の結晶性ポリオレフィン
の変性の際に説明した有機ペルオキシドまたは有機ペル
エステルを挙げることができる。
【0103】これらのうちでは、ラジカル開始剤とし
て、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、
ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t
ert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5
-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(te
rt-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジア
ルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
【0104】グラフト反応は通常60〜350℃の温度
で行われる。ラジカル開始剤は、未変性の軟質重合体1
00重量部に対して通常0.001〜5重量部の範囲内
の量で使用される。
【0105】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上
記のようなグラフト変性結晶性ポリオレフィン(a)とエ
ポキシ基含有環状オレフィン系樹脂(b)とを、99:1
〜1:99の範囲内の重量比で含有している。さらに、
両者の含有比率を80:20〜20:80の範囲内の重
量比に設定することにより、本発明のポリオレフィン樹
脂組成物から得られる成形体の剛性が損なわれることな
く、特に衝撃強度が向上する。
【0106】また、組成物中におけるグラフト変性結晶
性ポリオレフィン(a)とエポキシ基含有環状オレフィン
系樹脂(b)の総和と、グラフト変性弾性重合体(c)との重
量比は、99:1〜1:99の範囲内にある。さらにこ
の重量比を95:5〜75:25の範囲内にすることに
より、本発明のポリオレフィン樹脂組成物から得られる
成形体の剛性が損なわれることなく、特に衝撃強度が向
上する。
【0107】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、 (1) グラフト変性ポリオレフィン(a)、エポキシ基含有
環状オレフィン系樹脂(b)およびグラフト変性軟質重合
体(c)を個別に製造し、これらを混合した後、混合物を
溶融混合し、グラフト変性ポリオレフィン(a)とエポキ
シ基含有環状オレフィン系樹脂(b)との反応およびエポ
キシ基含有環状オレフィン系樹脂(b)とグラフト変性軟
質重合体(c)との反応により三者の相溶性を向上させて
分散させる方法、あるいは (2) グラフト変性ポリオレフィン(a)、エポキシ基含有
環状オレフィン系樹脂(b)およびグラフト変性軟質重合
体(c)を適当な溶媒(例えばヘプタン、デカンおよびシ
クロヘキサンのような飽和炭化水素溶媒、トルエン、ベ
ンゼンおよびキシレンのような芳香族炭化水素溶媒)に
溶解して加熱混合することにより、グラフト変性ポリオ
レフィン(a)とエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂(b)
とを反応させ、さらにエポキシ基含有環状オレフィン系
樹脂(b)とグラフト変性軟質重合体(c)とを反応させて、
三者の相溶性を向上させた後、常法により溶媒を除去す
る方法、あるいは (3) グラフト変性ポリオレフィン(a)及びエポキシ基含
有環状ポリオレフィン系樹脂(b)と、(b)及びグラフト変
性軟質重合体(c)を個別に適当な溶媒(例えばヘプタ
ン、デカン及びシクロヘキサンのような飽和炭化水素溶
媒、トルエン、ベンゼンおよびキシレンのような芳香族
系炭化水素溶媒)に溶解して加熱混合することにより、
グラフト変性ポリオレフィン(a)とエポキシ基含有環状
オレフィン系樹脂(b)、エポキシ基含有環状オレフィン
系樹脂(b)とグラフト変性軟質重合体(c)を反応させ、そ
れぞれ2者の相溶性を向上させた後、常法により溶媒を
除去し、得られた両組成物を混合した後、混合物を溶融
混合する方法、あるいは (4) グラフト変性ポリオレフィン(a)及びエポキシ基含
有環状ポリオレフィン系樹脂(b)と、(b)及びグラフト変
性軟質重合体(c)を個別に適当な溶媒(例えばヘプタ
ン、デカン及びシクロヘキサンのような飽和炭化水素溶
媒、トルエン、ベンゼンおよびキシレンのような芳香族
系炭化水素溶媒)に溶解して加熱混合することにより、
グラフト変性ポリオレフィン(a)とエポキシ基含有環状
オレフィン系樹脂(b)、エポキシ基含有環状オレフィン
系樹脂(b)とグラフト変性軟質重合体(c)を反応させ、そ
れぞれ2者の相溶性を向上させた後、両ポリマー溶液を
混合し、その後、常法により溶媒を除去する方法などを
採用することにより製造することができる。
【0108】本発明においては、上記(2)の方法を採
用することにより、三者が非常に良好に分散した組成物
を得ることができる。上記のようにして本発明の組成物
を製造することにより、グラフト変性結晶性ポリオレフ
ィン(a)中に存在する不飽和カルボン酸基およびエポキ
シ基含有環状オレフィン系樹脂(b)中に存在するエポキ
シ基の少なくとも一部が反応し、エポキシ基含有環状オ
レフィン系樹脂(b)中に存在するエポキシ基およびグラ
フト変性軟質重合体(c)中に存在するカルボン酸基の少
なくとも一部が反応して三者の間に結合が形成されるこ
とにより、相溶性が向上するものと考えられる。相溶性
が向上すること伴って、グラフト変性結晶性ポリオレフ
ィン(a)からなる海部に、エポキシ基含有環状オレフィ
ン(b)およびグラフト変性軟質重合体(c)が微細に分散し
て島部を形成している。
【0109】第1図に本発明のポリオレフィン樹脂組成
物における海島構造の透過電子顕微鏡写真(倍率10,000
倍)を示す。本発明のポリオレフィンは、特定の変性剤
で変性された、結晶性ポリオレフィン、環状オレフィン
および軟質重合体を用いることにより、三者の相溶性が
向上し、第1図に示すように良好な海島構造が形成され
る。
【0110】このような本発明のポリオレフィン樹脂組
成物は、ポリオレフィンの通常の用途の他、例えばフィ
ラー補強したポリプロピレン、ABS樹脂、変性ポリフ
ェニレンオキサイドが用いられる様な特に機械的強度が
要求される用途に好ましく使用することができる。具体
的には、エンジニアリングプラスチック、車両用部品、
建設材料および土木材料等として使用することができ
る。
【0111】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、
グラフト変性結晶性ポリオレフィン(a)、エポキシ基含
有環状オレフィン系樹脂(b)およびグラフト変性軟質重
合体(c)を所定の割合で含有し、しかもグラフト変性結
晶性ポリオレフィン(a)とエポキシ基含有環状オレフィ
ン系樹脂(b)との間、および、エポキシ基含有環状オレ
フィン系樹脂(b)とグラフト変性軟質重合体(c)との間の
化学反応により結合が形成されることから、三者の相溶
性が非常に良好になる。従って、本発明の樹脂組成物か
ら形成された成形体は、特に常温での剛性および耐衝撃
性に優れている。そして、このような特性の向上によっ
ても、それぞれの樹脂が本質的に有している特性は殆ど
低下しない。
【0112】
【実施例】次に本発明を実施例を示して説明する。ただ
し、本発明は、これら実施例によって限定的に解釈され
るべきではない。
【0113】[評価方法]本発明で使用される結晶性ポ
リオレフィンおよびこのグラフト変性物、環状オレフィ
ン系樹脂およびエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂、
軟質重合体およびおよびグラフト変性物、ならびに、本
発明のポリオレフィン樹脂組成物の特性は次のようにし
て測定した。グラフト変性エラストマー中のグラフトモノマー量 13 C−NMRにて測定した。極限粘度[η] デカリン中、135℃で測定した。結晶化度 23℃でX線回折法により測定した。引っ張りモジュラス(弾性率)(YM) ASTM-D-638に準じ、2mm厚のプレス試験片を用いて23
℃で測定した。アイゾット衝撃強度(IZ) ASTM-D-256に準じ、2mm厚、ノッチ付のプレス試験片を
用い、23℃にて測定した。曲げ初期弾性率(FM) ASTM-D-790に準じ、2mm厚のプレス試験片を用い、クロ
スヘッドスピード20mm/分、23℃にて測定した。曲げ降伏点応力(FS) ASTM-D-790に準じ、FMと同様にして測定した。メルト・フロー・レート(MFR) ASTM-D-1238に準じ、230℃で測定した。ただし、環
状オレフィン系重合体および環状オレフィン系重合体を
含有する樹脂組成物については260℃で測定した。
【0114】
【実施例1】無水マレイン酸のグラフト量が0.6重量
%である無水マレイン酸グラフト変性プロピレン単独重
合体(MFR=3.5;以下「M−PP」と記載する)
40重量部、アクリル酸グリシジルのグラフト量0.9
重量%のアクリル酸グリシジルグラフトエチレン・DM
ONランダム共重合体(MFR=33、エチレン62モ
ル%、以下「G−ED」と記載する)45重量部、無水
マレイン酸のグラフト量1重量%の無水マレイン酸グラ
フトエチレンプロピレンランダム共重合体(YM=80
Kg/cm2、結晶化度4.5%、[η]=2.2dl/
g;以下「M−EPR」と記載する)15重量部をドラ
イブレンドし、これをラボプラストミル(190℃、5
0rpm、10分)で混練しポリオレフィン樹脂組成物
を得た。
【0115】このようにして得られたポリオレフィン樹
脂組成物をプレス板温度230℃のプレス成形機でプレ
ス成形し、2mm厚のプレスシートを得た。このプレスシ
ートから試験片を切り出し、さらに、切り出した試験片
のなかでアイゾット衝撃強度測定用の試験片にはノッチ
付けを行った。
【0116】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性および衝撃強度に優れている。
【0117】なお、上記の「DMON」は、次式で示す
1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナ
フタレンを意味する(以下本発明において同様)。
【0118】
【化22】
【0119】
【比較例1】M−PP 40重量部、エチレン・DMO
Nランダム共重合体(MFR=33、エチレン62モル
%;以下「ED−a」と記載する)45重量部およびM
−EPR 15重量部をドライブレンド思、これをラボ
プラストミル(190℃、50rpm、10分)で混練
してポリオレフィン樹脂組成物を得た。
【0120】このようにして得られたポリオレフィン樹
脂組成物をプレス板温度230℃のプレス成形機でプレ
ス成形し、実施例1と同様にして試験片を調製した。こ
れらの試験片を用いてアイゾット衝撃強度(IZ)、曲
げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点応力(FS)を
測定した。結果を表1に示す。
【0121】このようにして得られたポリオレフィン樹
脂組成物から得られた成形体は、剛性および衝撃強度が
低かった。
【0122】
【比較例2】実施例1において、G−EDを使用せず
に、M−PPの配合量を85重量部、M−EPRの配合
量を15重量部に変えた以外は同様にしてポリオレフィ
ン樹脂組成物を製造し、この組成物から試験片を調製し
た。
【0123】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性が低かった。
【0124】
【比較例3】実施例1において、M−PPを使用せず
に、G−EDの配合量を85重量部、M−EPRの配合
量を15重量部に変えた以外は同様にしてポリオレフィ
ン樹脂組成物を製造し、この組成物から試験片を調製し
た。
【0125】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性には優れていたが、衝撃強度は低かっ
た。また、この試験片をシクロヘキサンに浸漬すると完
全に溶解し、耐溶剤性が低かった。
【0126】
【実施例2】実施例1において、ブレンドおよびラボプ
ラストミルを用いたブレンド法に変えて、140℃のパ
ラキシレン1.5リットル中における樹脂濃度が50g
になるように各成分を溶解させ、この溶液を5時間攪拌
(溶液ブレンド)した以外は同様にしてポリオレフィン
樹脂組成物を製造し、この組成物から試験片を調製し
た。
【0127】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性および衝撃強度に優れていた。
【0128】
【比較例4】比較例1において、ブレンドおよびラボプ
ラストミルを用いたブレンド法に変えて、140℃のパ
ラキシレン1.5リットル中における樹脂濃度が50g
になるように各成分を溶解させ、この溶液を5時間攪拌
(溶液ブレンド)した以外は同様にしてポリオレフィン
樹脂組成物を製造し、この組成物から試験片を調製し
た。
【0129】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性および衝撃強度が低かった。
【0130】
【実施例3】M−PP 40重量部及びG−ED 30重
量部と、G−ED 15重量部及びM−EPR 15重量
部をそれぞれ個別に実施例2の方法で溶液ブレンドした
後(それぞれ得られた樹脂組成物を「R−PPED」
「R−EDEPR」と記載する)、R−PPED 70
重量部及びR−EDEPR 30重量部をラボプラスト
ミルを用いたブレンド法で溶融混合によりポリオレフィ
ン樹脂組成物を製造し、この組成物から試験片を調製し
た。
【0131】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性および衝撃強度に優れていた。
【0132】
【実施例4】M−PP 40重量部及びG−ED 30重
量部と、G−ED 15重量部及びM−EPR 15重量
部をそれぞれ個別に140℃のパラキシレン1.5リッ
トル中における樹脂濃度が50gになるように各成分を
溶解させ、この溶液を5時間攪拌(溶液ブレンド)し
(それぞれの溶液を「RL−PPED」「RL−EDE
PR」と記載する)、RL−PPED 1050mlとR
L−EDEPR 450mlとを2時間攪拌することによ
りポリオレフィン樹脂組成物を製造し、この組成物から
試験片を調製した。
【0133】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性および衝撃強度に優れていた。
【0134】
【比較例5】実施例3において、G−EDをED−aに
変える以外は同様にして樹脂組成物を製造し、この組成
物から試験片を調製した。
【0135】これらの試験片を用いてアイゾット衝撃強
度(IZ)、曲げ初期弾性率(FM)および曲げ降状点
応力(FS)を測定した。結果を表1に示す。このよう
にして得られたポリオレフィン樹脂組成物から得られた
成形体は、剛性および衝撃強度が低かった。
【0136】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の樹脂組成物から得られた成形体中に
おける樹脂粒子の状態を示す顕微鏡写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリオレフィンを不飽和カルボン酸
    および/またはその誘導体でグラフト変性したグラフト
    変性結晶性ポリオレフィン(a)と、 エチレンと次式[I]で表わされる環状オレフィンとの
    ランダム共重合体(b-1)、次式[I]で表される環状オレ
    フィンの開環重合体もしくは開環共重合体(b-2)および
    該開環重合体もしくは開環共重合体の水添物(b-3)より
    なる群から選ばれる環状オレフィン系樹脂をエポキシ基
    含有化合物でグラフト変性したエポキシ基含有環状オレ
    フィン系樹脂(b)と、 軟質重合体を不飽和カルボン酸および/またはその誘導
    体でグラフト変性したグラフト変性軟質重合体(c)とか
    らなる組成物であり、 かつ、該組成物中におけるグラフト変性結晶性ポリオレ
    フィン(a)とエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂(b)と
    の重量比が99:1〜1:99の範囲内にあり、グラフ
    ト変性軟質重合体(c)と、グラフト変性結晶性ポリオレ
    フィン(a)およびエポキシ基含有環状オレフィン系樹脂
    (b)の総和との重量比が99:1〜1:99の範囲内に
    あることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物; 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または正の整数
    であり、qは0または1であり、 R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群か
    ら選ばれる原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい)。
  2. 【請求項2】結晶性ポリオレフィンが、結晶化度が30
    %を超えるポリプロピレンであることを特徴とする請求
    項第1項記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】環状オレフィン系樹脂の軟化温度が70〜
    200℃の範囲内にあり、かつ130℃デカリン中で測
    定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲内に
    あることを特徴とする請求項第1項記載のポリオレフィ
    ン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】軟質重合体(c)の23℃における引っ張り
    モジュラスが0.1〜2000kg/cm2であることを特徴
    とする請求項第1項記載のポリオレフィン樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4808463A (en) * 1983-12-27 1989-02-28 Kyocera Corporation Substrate for magnetic disks
WO2001064786A1 (de) * 2000-03-01 2001-09-07 Ticona Gmbh Polymergemisch enthaltend ein amorphes polyolefin enthaltend cycloaliphatische olefinen
DE19509173B4 (de) * 1994-03-14 2005-06-16 Nippon Zeon Co., Ltd. Masse aus einem Epoxygruppen enthaltenden thermoplastischen Norbornenharz und ihre Verwendung
US7312280B2 (en) 2003-01-07 2007-12-25 Sumitomo Chemical Company, Limited Process for producing modified ethylene-vinylcyclohexane copolymer resin

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