JPH0593249A - 高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金 - Google Patents

高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金

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JPH0593249A
JPH0593249A JP3022791A JP2279191A JPH0593249A JP H0593249 A JPH0593249 A JP H0593249A JP 3022791 A JP3022791 A JP 3022791A JP 2279191 A JP2279191 A JP 2279191A JP H0593249 A JPH0593249 A JP H0593249A
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Seisaku Suzuki
清策 鈴木
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Takeshi Masumoto
健 増本
Akihisa Inoue
明久 井上
Noriyuki Kataoka
教行 潟岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は高飽和磁束密度で軟磁気特性に優れ
た軟磁性合金を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の合金は、(Fe1-a Co a)b Bx Ty
T'z なる組成あるいはFe b Bx Ty T'zなる組成を
有するものである。但しTはTiなど、T'はCuなどの
元素であり、a≦0.05、b≦92原子%、x=0.5〜
16原子%、y=4〜10原子%、z=4.5原子%以下
である。 【効果】 本発明の軟磁性合金においては、結晶質と非
晶質とが混在しており、高い周波数において透磁率に優
れ、機械強度も優れ、耐熱性にも優れている。よって磁
気ヘッド、チョークコイル、トランス用などとして好適
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド、トラン
ス、チョークコイル等に用いられる軟磁性合金に関する
ものであり、特に、高飽和磁束密度で軟磁気特性に優れ
たFe系軟磁性合金に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッド、トランス 、チョークコイ
ル等に用いられる軟磁性合金において一般的に要求され
る諸特性は以下の通りである 飽和磁束密度が高いこと。 透磁率が高いこと。 低保磁力であること。 薄い形状が得やすいこと。
【0003】また、磁気ヘッドに対しては、前記〜
に記載の特性の他に耐摩耗性の観点から以下の特性が要
求される。 硬度が高いこと。
【0004】従って軟磁性合金あるいは磁気ヘッドを製
造する場合、これらの観点から種々の合金系において材
料研究がなされている。従来、前述の用途に対しては、
センダスト、パーマロイ、けい素鋼等の結晶質合金が用
いられ、最近ではFe基およびCo基の非晶質合金も使用
されるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに磁気ヘッドの
場合、高記録密度化に伴う磁気記録媒体の高保磁力化に
対応するため、より好適な高性能磁気ヘッド用の磁性材
料が望まれている。またトランス、チョークコイルの場
合は、電子機器の小型化に伴い、より一層の小型化が必
要であるため、より高性能の磁性材料が望まれている。
【0006】ところが、前記のセンダストは、軟磁気特
性には優れるものの、飽和磁束密度が約11KGと低い
欠点があり、パーマロイも同様に、軟磁気特性に優れる
合金組成においては、飽和磁束密度が約8KGと低い欠
点があり、けい素鋼は飽和磁束密度は高いものの軟磁気
特性に劣る欠点がある。
【0007】一方、非晶質合金において、Co基合金は
軟磁気特性に優れるものの飽和磁束密度が10KG程度
と不十分である。また、Fe基合金は飽和磁束密度が高
く、15KGあるいはそれ以上のものが得られるが、軟
磁気特性が不十分である。また、非晶質合金の熱安定性
は十分ではなく、未だ未解決の面がある。前述のごとく
高飽和磁束密度と優れた軟磁気特性を兼備することは難
しい。
【0008】本発明の目的は、高飽和磁束密度、高透磁
率を兼備し、かつ高い機械強度と高い熱安定性を併せ持
つ軟磁性合金を提供することである。
【0009】本発明は前記問題点を解決するために以下
の組成を有したものであり、従来実用合金と同程度ある
いはより優れた軟磁気特性を有し、しかも高い飽和磁束
密度を併せ持つFe系軟磁性合金を得ることに成功し、
本発明に想到した。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の高飽和
磁束密度Fe系軟磁性合金は前記課題を解決するために
次式で示される組成からなるものである。 (Fe1-a Co a)b Bx Ty T'z 但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群か
ら選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Zr,
Hfのいずれか、又は両方を含み、T'はCu,Ag,Au,N
i,Pd,Ptからなる群から選ばれた1種又は2種以上の
元素であり、 a=0.001〜0.05 b≦92原子%、x=0.5〜
16原子%、y=4〜10原子%、 z=4.5原子%以
下である。
【0011】請求項2に記載の高飽和磁束密度Fe系軟
磁性合金は前記課題を解決するために、次式で示される
組成からなるものである。 Fe b Bx Ty T'z 但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群か
ら選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Zr,
Hfのいずれか、又は両方を含み、T'はCu,Ag,Au,N
i,Pd,Ptからなる群から選ばれた1種又は2種以上の
元素であり、 b≦92原子%、 x=0.5〜16原子%、y=4〜1
0原子%、z=4.5原子以下%である。
【0012】請求項3に記載の高飽和磁束密度Fe系軟
磁性合金は、前記課題を解決するために、請求項1また
は2に記載の軟磁性合金に熱処理を施すものである。
【0013】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金は、前記組成の非
晶質合金あるいは非晶質相を含む結晶質合金を溶湯から
急冷することにより得る工程と、スパッタ法あるいは蒸
着法等の気相急冷法により得る工程と、これらの工程で
得られたものを加熱し微細な結晶粒を析出させる熱処理
工程とによって通常得ることが出来る。
【0014】本発明において、非晶質相を得やすくする
ためには、非晶質形成能の高いZr、Hfのいずれかを含
む必要がある。またZr、Hfはその一部を他の4A〜6
A族元素のうち、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wと置換するこ
とが出来る。ここでCrを含めなかったのは、Crが他の
元素に比べ非晶質形成能が劣っているからである。
【0015】Bには本発明合金の非晶質形成能を高める
効果、および前記熱処理工程において磁気特性に悪影響
を及ぼす化合物相の生成を抑制する効果があると考えら
れ、このためB添加は必須である。Bと同様にA1,Si,
C,P等も非晶質形成元素として一般に用いられてお
り、これらの元素を添加した場合も本発明と同一とみな
すことができる。
【0016】本発明においては、Cu,Niおよびこれら
と同族元素のうちから選ばれた少なくとも1種又は2種
以上の元素をO.2〜4.5原子%含むことが好ましい。
添加量が0.2原子%より少ないと前記の熱処理工程に
より優れた軟磁気特性を得ることが難しいが、後述する
ように冷却速度を速くすることにより透磁率を改善でき
るのでこれらの元素は0.2%以下でも良い。また、こ
れらの元素の中でもCuは特に好適である。
【0017】Cu,Ni等の添加により、軟磁気特性が著
しく改善される機構については明らかではないが、結晶
化温度を示差熱分析法により測定したところ、Cu,Ni
等を添加した合金の結晶化温度は、添加しない合金に比
べてやや低い温度であると認められた。これは前記元素
の添加により非晶質相が不均一となり、その結果、非晶
質相の安定性が低下したことに起因すると考えられる。
また不均一な非晶質相が結晶化する場合、部分的に結晶
化しやすい領域が多数でき不均一核生成するため、得ら
れる組織が微細結晶粒組織となると考えられる。また特
にFeに対する固溶度が著しく低い元素であるCuの場
合、相分離傾向があるため、加熱によりミクロな組成ゆ
らぎが生じ、非晶質相が不均一となる傾向がより顕著に
なると考えられ、組織の微細化に寄与するものと考えら
れる。
【0018】以上の観点からCu及びその同族元素、Ni
およびPd,Pt以外の元素でも結晶化温度を低下させる
元素には同様の効果が期待できる。またCuのようにFe
に対する固溶限が小さい元素にも同様の効果が期待でき
る。
【0019】以上、本発明の高飽和磁束密度Fe系軟磁
性合金に含まれる合金元素の限定理由を説明したが、こ
れらの元素以外でも耐食性を改善するために、Cr,Ru
その他の白金族元素を添加することも可能であり、ま
た、必要に応じて、Y,希土類元素,Zn,Cd,Ga,In,G
e,Sn,Pb,As,Sb,Bi,Se,Te,Li,Be,Mg,Ca,Sr,
Ba等の元素を添加することで磁歪を調整することもで
きる。その他、H,N,O,S等の不可避的不純物につい
ては所望の特性が劣化しない程度に含有していても本発
明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金の組成と同一とみ
なすことができるのは勿論である。
【0020】本発明合金におけるFe,Co量のbは、92
原子%以下である。これは、後述するように、bが92
原子%を越えると高い透磁率が得られないためである
が、飽和磁束密度10kG以上を得るためには、bが75
原子%以上であることが好ましい。
【0021】次に本発明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性
合金の組成限定理由について実施例をもって詳細に説明
する。
【0022】
【実施例1】以下の各実施例に示す合金は片ロール液体
急冷法により作成した。すなわち、1つの回転している
鋼製ロール上におかれたノズルより溶融金属をアルゴン
ガスの圧力により前記ロール上に噴出させ、急冷して薄
帯を得る。以上のように作成した薄帯の幅は約15mmで
あり、厚さは約20〜40μmであった。
【0023】透磁率は、薄帯を加工し、外径10mm、内
径5mmのリング状とし、これを積み重ねたものに巻線
し、インダクタンス法により測定した。実効透磁率(μ
e)の測定条件は10mOe,1KHzとした。保磁力(Hc)
は、直流B−Hループトレーサにより測定し、飽和磁束
密度(Bs)はVSMにて10kOeで測定した磁化より算
出した。なお、特に規定しない限り、以下に示す実施例
では、500〜700℃の温度で1時間保持後、水焼入
れした後の磁気特性を示す。
【0024】まず、本発明合金の磁気特性および構造に
およぼす熱処理の効果について本発明合金の一つである
Fe86Zr76Cu1合金を例にとって以下に説明する。な
お、昇温速度毎分10℃の示差熱分析により求めたFe
86Zr76Cu1合金の結晶化開始温度は503℃であっ
た。
【0025】図1は、Fe86Zr76Cu1合金の実効透磁
率に及ぼす焼純(各温度で1時間保持後水焼入れ)の効果
を示す。
【0026】図1より急冷状態(RQ)における本合金の
実効透磁率は、Fe基非晶質合金程度の低い値を示す
が、500〜620℃の焼鈍により、急冷状態の10倍
程度の高い値に増加している。ここで600℃熱処理後
の厚さ約20μmの試料について透磁率の周波数依存を
調べたところ1KHzで32000、10KHzで256
00、更に100KHzで8330と、高い測定周波数
においても優れた軟磁気特性を示した。また、透磁率に
及ぼす冷却速度の影響を調べたところ、600℃で1時
間保持後、水焼入れにより急冷した本合金の実効透磁率
32000に対し、空冷した場合、その値は18000
となり、熱処理後の冷却速度も重要である。
【0027】よって本合金の磁気特性は最適な熱処理条
件を適当に選ぶことにより調整することができ、また磁
場中焼鈍などにより磁気特性を改善することもできる。
次にFe86Zr76Cu1合金の熱処理前後の構造の変化を
X線回折法により調べ、熱処理後の組織を透過電子顕微
鏡を用いて観察し、結果をそれぞれ2図と図3に示す。
【0028】図2より、急冷状態では非晶質に特有のハ
ローな回折図形が、熱処理後には体心立方晶に独特の回
折図形がそれぞれ認められ、本合金の構造が熱処理によ
り、非晶質から体心立方晶へと変化したことがわかる。
そして図3より、熱処理後の組織が、粒径約100オン
グストローム程度の微結晶から成ることがわかる。ま
た、Fe86Zr7B6Cu1合金について熱処理前後の硬さの
変化を調べたところ、ビッカース硬さで急冷状態の74
0DPNから650℃熱処理後には1390DPNと従
来材料にない高い値まで増加し、磁気ヘッド用材料に好
適であることも判明した。
【0029】以上のごとく本発明合金は、前述の組成を
有する非晶質合金を熱処理により結晶化させ、超微細結
晶粒を主とする組織を得ることにより、高飽和磁束密度
でかつ軟磁気特性に優れ、更に高い硬さと高い熱安定性
を有する優れた特性を得ることができる。
【0030】次に前記合金のZr量およびB量を変化さ
せた場合の実施例を示す。後に記載する表1および図4
は焼鈍後の磁気特性を示す。
【0031】
【表1】
【0032】図4より、Zr量が4〜10原子%の範囲
で高透磁率が得やすいことがわかる。また、Zr量が4
原子%以下では10000以上の実効透磁率が得られ
ず、10原子%を超えると透磁率が急激に低下するとと
もに飽和磁束密度も低下するため好ましくない。そこ
で、本発明合金におけるZr含有量の限定範囲を4〜1
0原子%とした。
【0033】同様にB量については、0.5〜16原子
%の範囲で実効透磁率10000以上の高透磁率が得や
すいことがわかり、このためB含有量の限定範囲を0.
5〜16原子%とした。またZr,B量が前記範囲にあっ
ても、Fe量が92原子%を超えると高い透磁率が得ら
れないため、本発明合金におけるFe+Co含有量(b)は
92原子%以下とした。
【0034】
【実施例2】次に実施例1に示したFe-Zr-B-Cu系合
金のZrをHfで置換えしたFe-Hf-B-Cu系合金につい
て説明する。
【0035】実施例としてB量を6原子%、Cu量を1
原子%でそれぞれ一定とした場合の結果を後記する表2
に示す。また、第5図は、Hf量を4〜10原子%の範
囲で変化させた場合の透磁率を示す。第5図には比較の
ために、Fe-Zr-B6-Cu1系合金の実効透磁率を併せて
示す。
【0036】
【表2】
【0037】図5から、4〜10原子%の範囲におい
て、Fe-Hf-B-C系合金の実効透磁率がFe-Zr-B-C
u系合金のものと同等であることがわかる。また、第2
表中に示すFe86Zr4Hf36Cu1合金の磁気特性は実施
例1のFe-Zr-B-Cu系合金の磁気特性と同等である。
従って実施例1に示したFe-Zr-B-Cu系合金のZr
は、その組成限定範囲である4〜10原子%すべてにお
いてHfと一部もしくは全て置換可能である。
【0038】
【実施例3】次に実施例1および実施例2に示したFe-
(Zr,Hf)-B-Cu合金のZr、Hfの一部をNbで置換す
る場合について説明する。
【0039】実施例としてFe-Zr-B-Cu系合金のZr
の一部を1〜5原子%のNbで置換した場合の結果を後
記する表3に示す。また、図6はNb添加量を3原子%
としたFe-Zr-Nb-B-Cu系合金の磁気特性を示したも
のである。
【0040】
【表3】
【0041】図6において高い透磁率が得やすいZr+
Nbの量は、Fe-Zr-B-Cu系合金におけるZrの場合と
同じ4〜10原子%であり、この範囲ではFe-Zr-B-
Cu系合金と同等の高い実効透磁率が得られている。従
ってFe-(Zr,Hf)-B-Cu合金のZr,Hfの一部はNbで
置換することが可能である。
【0042】
【実施例4】次に実施例3に示したFe-(Zr,Hf)-Nb-
B-Cu合金のNbをTi,V,Ta,Mo,Wと置換えする場合
について説明する。実施例として、後記する表4に、F
e-Zr-T-B-Cu1(T=Ti,V,Ta,Mo,W)系合金の磁
気特性を示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4中の各実施例とも、Fe系非晶質合金
で通常得られる実効透磁率の5000を上回る優れた磁
気特性を示している。従って、Fe-(Zr,Hf)Nb-B-C
u合金のNbはTi,V,Ta,Mo,Wと置換することが可能
である。
【0045】
【実施例5】次に本発明合金におけるCu含有量の限定
理由について説明する。実施例として図7に、Fe87-x
Zr4 Nb36 Cu x合金のCu量(z)と透磁率の関係を
示し、図8にFe88Cu1Zr8なる組成の軟磁性合金の透磁
率と冷却速度の関係を示す。
【0046】図7から、z=0.2〜4.5原子%の範囲
で実効透磁率10000以上の優れた磁気特性が得やす
いことがわかる。zが0.2原子%以下になるとCu添加
効果が有効に得られにくく、またzが4.5原子%を超え
ると透磁率の劣化を招くので、実用上好ましくない。し
かし、図8から明らかなように冷却速度を上げることで
透磁率の改善ができるので、zは0.2原子%以下でも良
い。よって、本発明合金におけるCu含有量の範囲は4.
5原子%以下とした。
【0047】
【実施例6】次に実施例1〜実施例5に示した各合金の
CuをAg,Ni,Pd,Ptと置換する場合について説明す
る。実施例として、後記する表5に、Fe86Zr4Nb36
T'1(T'=Ag,Au,Ni,Pd,Pt)合金の磁気特性を示
す。
【0048】
【表5】
【0049】表5より各合金とも実効透磁率が1000
0以上であり、Cuとほぼ同程度の優れた磁気特性を示
している。従って、本発明合金のCuはAg,Au,Ni,P
d,Ptと置換可能であることが明らかである。
【0050】
【実施例7】次に本発明合金におけるCo含有量の限定
理由について説明する。実施例として(Fe1-a-Co a)86
Zr4Nb36Cu1合金のCo量(a)と透磁率の関係を図9
に示す。
【0051】図9においてaが0.05以下の範囲におい
ては実効透磁率10000以上の高い値を示すが、0.
05を超える範囲では実効透磁率が急激に低下し実用上
好ましくない。よって、本発明合金におけるCo含有量
(a)は、0.05以下とした。
【0052】
【実施例8】次に本発明合金をスパッタ法により作製し
た場合について説明する。
【0053】薄膜の作製は、高周波スパッタ法によりA
r雰囲気中で行った。得られた膜の膜厚は1〜2μmであ
って、これを、500〜700℃で熱処理した後、磁気
特性を測定した。その結果を後記する表6に示す。
【0054】
【表6】
【0055】表6より、いずれの合金膜も優れた軟磁気
特性を示しており、本発明合金はスパッタ法によっても
製造可能であることが明らかになった。
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、従
来の実用合金と同程度あるいはそれより優れた軟磁気特
性を有し、更に高い飽和磁束密度も備えたFe系軟磁性
合金を提供することができる。しかも本発明の軟磁性合
金は、高い機械強度を有し、高い熱安定性も兼ね備えて
いる。以上のことから本発明のFe系軟磁性合金は、磁
気記録媒体の高保磁力化に対応することが必要な磁気ヘ
ッド、より一層の小型化が要求されているトランス、チ
ョークコイル用として好適であって、これらの用途に供
した場合、これらの性能の向上と小型軽量化をなしえる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明合金の一例の実効透磁率と焼鈍温
度の関係を示すグラフである。
【図2】図2は本発明合金の一例の熱処理前後の構造変
化を示すX線回折図形を示すグラフである。
【図3】図3は本発明合金の一例の熱処理後の組織を示
す顕微鏡写真の模式図である。
【図4】図4は本発明合金の一例においてZr量とB量
を変化させた場合の磁気特性を示す三角組成図である。
【図5】図5は本発明合金の一例においてHf量の変化
と透磁率の関係を示すグラフである。
【図6】図6は本発明合金の一例においてB量とZr量
を変化させた場合の磁気特性を示す三角組成図である。
【図7】図7は本発明合金の一例におけるCu量と透磁
率の関係を示すグラフである。
【図8】図8は冷却速度と透磁率の関係を示すグラフで
ある。
【図9】図9は本発明合金の一例におけるCo量と透磁
率との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8−22 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地川内住宅11 −806 (72)発明者 潟岡 教行 宮城県仙台市太白区向山1丁目4番7号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式で示される組成からなることを特徴
    とする高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金。 (Fe1-a Co a)b Bx Ty T'z 但しTは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
    から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Z
    r,Hfのいずれか、又は両方を含み、T'はCu,Ag,Au,
    Ni,Pd,Ptからなる群から選ばれた1種又は2種以上
    の元素であり、 a≦0.05、 b≦92原子%、x=0.5〜16原子%、
    y=4〜10原子%、 z=4.5原子%以下である。
  2. 【請求項2】 次式で示される組成からなることを特徴
    とする高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金。 Fe b Bx Ty T'z 但しTは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
    から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Z
    r,Hfのいずれか、又は両方を含み、T'はCu,Ag,Au,
    Ni,Pd,Ptからなる群から選ばれた1種又は2種以上
    の元素であり、b≦92原子%、 x=0.5〜16原子
    %、 y=4〜10原子%、 z=4.5原子%以下である。
  3. 【請求項3】 熱処理を施したことを特徴とする請求項
    1または2記載の高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金。
JP3022791A 1990-04-24 1991-01-23 高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金 Expired - Lifetime JP2857257B2 (ja)

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