JP2878471B2 - 高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金 - Google Patents

高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金

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JP2878471B2
JP2878471B2 JP3078613A JP7861391A JP2878471B2 JP 2878471 B2 JP2878471 B2 JP 2878471B2 JP 3078613 A JP3078613 A JP 3078613A JP 7861391 A JP7861391 A JP 7861391A JP 2878471 B2 JP2878471 B2 JP 2878471B2
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド、トラン
ス、チョークコイル等に用いられる軟磁性合金に関する
ものであり、特に、高飽和磁束密度で軟磁気特性に優れ
たFe系軟磁性合金に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッド、トランス 、チョークコイ
ル等に用いられる軟磁性合金において一般的に要求され
る諸特性は以下の通りである 飽和磁束密度が高いこと。 透磁率が高いこと。 低保磁力であること。 薄い形状が得やすいこと。
【0003】また、磁気ヘッドに対しては、前記〜
に記載の特性の他に耐摩耗性の観点から以下の特性が要
求される。 硬度が高いこと。
【0004】従って軟磁性合金あるいは磁気ヘッドを製
造する場合、これらの観点から種々の合金系において材
料研究がなされている。従来、前述の用途に対しては、
センダスト、パーマロイ、けい素鋼等の結晶質合金が用
いられ、最近ではFe基およびCo基の非晶質合金も使用
されるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに磁気ヘッドの
場合、高記録密度化に伴う磁気記録媒体の高保磁力化に
対応するため、より好適な高性能磁気ヘッド用の磁性材
料が望まれている。またトランス、チョークコイルの場
合は、電子機器の小型化に伴い、より一層の小型化が必
要であるため、より高性能の磁性材料が望まれている。
【0006】ところが、前記のセンダストは、軟磁気特
性には優れるものの、飽和磁束密度が約11Gと低い
欠点があり、パーマロイも同様に、軟磁気特性に優れる
合金組成においては、飽和磁束密度が約8Gと低い欠
点があり、けい素鋼は飽和磁束密度は高いものの軟磁気
特性に劣る欠点がある。
【0007】一方、非晶質合金において、Co基合金は
軟磁気特性に優れるものの飽和磁束密度が10(1
T:1テスラ)程度と不十分である。また、Fe基合金
は飽和磁束密度が高く、15(1.5T)あるいは
それ以上のものが得られるが、軟磁気特性が不十分であ
る。また、非晶質合金の熱安定性は十分ではなく、未だ
未解決の面がある。前述のごとく高飽和磁束密度と優れ
た軟磁気特性を兼備することは難しい。
【0008】そこで本発明者らは、先に、前記の課題を
解決した高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金を特願平2ー
108308号明細書において平成2年4月24日付け
で特許出願するとともに、更にこの出願から国内優先出
願として特願平3−22791号を平成3年1月23日
付けで特許出願している。
【0009】この特許出願に係る合金の他の1つは、次
式で示される組成からなることを特徴とする高飽和磁束
密度合金であった。 (Fe1-a Co a)b Bx Ty T'z 但しTは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Z
r,Hfのいずれか、又は両方を含み、T'はCu,a≦0.0
5、b≦92原子%、x=0.5〜16原子%、y=4〜1
0原子%、z=0.2〜4.5原子%である。
【0010】また、前記特許出願に係る合金の他の1つ
は、次式で示される組成からなることを特徴とする高飽
和磁束密度合金であった。 Fe b Bx Ty T'z 但しTは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Z
r,Hfのいずれか、又は両方を含み、T'はCu,b≦92
原子%、x=0.5〜16原子%、y=4〜10原子%、z
=0.2〜4.5原子%である。
【0011】更に本発明者らは、前記合金の発展型の合
金として、平成2年、8月31日付けで特願平2ー23
0135号(特開平4−333546)明細書において
以下に示す組成の合金について特許出願を行っている。
【0012】この特許出願に係る合金の1つは、次式で
示される組成からなることを特徴とする高飽和磁束密度
合金であった。 (Fe1-a Coa)b Bx Ty 但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群か
ら選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Zr,
Hfのいずれか、又は両方を含み、a≦0.05、b≦92
原子%、x=0.5〜16原子%、 y=4〜10原子%で
ある。
【0013】また、前記特許出願に係る合金の他の1つ
は、次式で示される組成からなることを特徴とする高飽
和磁束密度合金であった。 Fe b Bx Ty 但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群か
ら選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Zr,
Hfのいずれか、又は両方を含み、 b≦92原子%、x
=0.5〜16原子%、y=4〜10原子%である。
【0014】本発明の目的は、前記特許出願の軟磁性合
金を発展させて製造しやすくするとともに、高飽和磁束
密度、高透磁率を兼備し、かつ高い機械強度と高い熱安
定性を併せ持つ軟磁性合金を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の軟磁性
合金は前記課題を解決するために次式で示される組成か
らなり、飽和磁束密度が15kG以上、1kHzの実効
透磁率が20000以上であって、非晶質相中に微細結
晶粒が析出されたものである。 (Fe1-a Co a)b Bx Ty T'z 但しTはTi,Nb,Taの中から選ばれた1種又は2種以
上の元素であり、T'はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptからな
る群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、a≦
0.05、84≦b≦92原子%、7原子%≦x≦8原子
%、5原子%≦y≦9原子%、0.2原子%≦z≦4.5原
子%である。
【0016】請求項2に記載の軟磁性合金は前記課題を
解決するために、次式で示される組成からなり、飽和磁
束密度が15kG以上、1kHzの実効透磁率が200
00以上であって、非晶質相中に微細結晶粒が析出され
ものである。 Fe b Bx Ty T'z 但しTはTi,Nb,Taの中から選ばれた1種又は2種以
上の元素であり、T'はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptからな
る群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、84
b≦92原子%、7原子%≦x≦8原子%、5原子%≦
y≦9原子%、0.2原子%≦z≦4.5原子%である。
【0017】
【0018】
【0019】請求項5に記載の高飽和磁束密度Fe系軟
磁性合金は、前記課題を解決するために、請求項また
に記載の微細結晶粒が熱処理により非晶質相から析
出されたものである
【0020】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金は、前記組成の非
晶質合金あるいは非晶質相を含む結晶質合金を溶湯から
急冷することにより得る工程と、スパッタ法あるいは蒸
着法等の気相急冷法により得る工程と、これらの工程で
得られたものを加熱し微細な結晶粒を析出させる熱処理
工程とによって通常得ることが出来る。
【0021】本発明において非晶質相を得やすくするた
めには、非晶質形成能を有するTi,Nb,Taの少なくと
も1つおよびBを含む必要がある。
【0022】Bには本発明合金の非晶質形成能を高める
効果、および前記熱処理工程において磁気特性に悪影響
を及ぼす化合物相の生成を抑制する効果があると考えら
れ、このためB添加は必須である
【0023】TiとNbとTaにも同等の効果があるが、
これらの元素の中でもNbとTaは、融点の高い金属材料
であって熱的に安定であり、製造時に酸化しずらいもの
である。よってこれらの元素を添加している場合は、先
に本願発明者らが特許出願している材料においてHfや
Zrを含有するものよりも製造条件が容易で安価に製造
することができ、また、コストの面でも有利である。即
ち、先に本願発明者らが特許出願している系の合金にお
いては、真空雰囲気中において不活性ガスを供給して酸
化に留意しつつ製造する必要があったが、本願発明の合
金においては製造条件をゆるくすることができる。具体
的にはノズル先端部に不活性ガスを部分的に供給しつつ
大気中で製造もしくは大気中の雰囲気で製造することが
できる
【0024】本発明においては、Cu,Niおよびこれら
と同族元素のうちから選ばれた少なくとも1種又は2種
以上の元素をO.2〜4.5原子%含むことが好ましい。
添加量が0.2原子%より少ないと熱処理後の軟磁気特
性が若干劣るこれらの元素の中でもCuは特に好適で
ある。
【0025】Cu,Ni等の添加により、軟磁気特性が著
しく改善される機構については明らかではないが、結晶
化温度を示差熱分析法により測定したところ、Cu,Ni
等を添加した合金の結晶化温度は、添加しない合金に比
べてやや低い温度であると認められた。これは前記元素
の添加により非晶質相が不均一となり、その結果、非晶
質相の安定性が低下したことに起因すると考えられる。
また不均一な非晶質相が結晶化する場合、部分的に結晶
化しやすい領域が多数でき不均一核生成するため、得ら
れる組織が微細結晶粒組織となると考えられる。また特
にFeに対する固溶度が著しく低い元素であるCuの場
合、相分離傾向があるため、加熱によりミクロな組成ゆ
らぎが生じ、非晶質相が不均一となる傾向がより顕著に
なると考えられ、組織の微細化に寄与するものと考えら
れる。
【0026】以上の観点からCu及びその同族元素、Ni
およびPd,Pt以外の元素でも結晶化温度を低下させる
元素には同様の効果が期待できる。またCuのようにFe
に対する固溶限が小さい元素にも同様の効果が期待でき
る。
【0027】以上本発明の軟磁性合金に含まれる合金元
素の限定理由を説明したが、H,N,O,S等の不可避的
不純物については所望の特性が劣化しない程度に含有し
ていても本発明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金の組
成と同一とみなすことができるのは勿論である。
【0028】本発明合金におけるFe,Co量のbは、92
原子%以下である。これは、bが92原子%を越えると
高い透磁率が得られないためであるが、飽和磁束密度1
0kG以上を得るためには、bが75原子%以上であるこ
とが好ましい。
【0029】次に本発明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性
合金の組成限定理由について実施例をもって詳細に説明
する。
【0030】
【実施例1】以下の各実施例に示す合金は片ロール液体
急冷法により作成した。すなわち、1つの回転している
鋼製ロール上におかれたノズルより溶融金属をアルゴン
ガスの圧力により前記ロール上に噴出させ、急冷して薄
帯を得る。以上のように作成した薄帯の幅は約15mmで
あり、厚さは約20〜40μmであった。
【0031】透磁率は、薄帯を加工し、外径10mm、内
径5mmのリング状とし、これを積み重ねたものに巻線
し、インダクタンス法により測定した。実効透磁率(μ
e)の測定条件は10mOe,1KHzとした。保磁力(Hc)
は、直流B−Hループトレーサにより測定し、飽和磁束
密度(Bs)はVSMにて10kOeで測定した磁化より算
出した。なお、特に規定しない限り、以下に示す実施例
では、500〜700℃の温度で1時間保持後、水焼入
れした後の磁気特性を示す。
【0032】まず、本発明合金の参考例試料の磁気特性
および構造に及ぼす熱処理の効果について本発明合金の
参考例の1つであるFe80Nb712Cu1合金を例にとっ
て以下に説明する。なお、昇温速度毎分10℃の示差熱
分析により求めた前記合金の結晶化開始温度は470℃
であった。
【0033】図1は前記組成の合金の実効透磁率に及ぼ
す焼鈍(各温度で1時間保持後水焼き入れ)の効果を示
す。
【0034】図1より、急冷状態(RQ)における本合
金の実効透磁率は、Fe基非晶質合金程度の低い値を示
すが、500〜620℃の焼鈍により、急冷状態の10
倍程度の高い値に増加している。ここで、600℃熱処
理後の厚さ約20μmの試料について、透磁率の周波数
依存性を調べたところ、1kHzで28800、10k
Hzで25400、更に100kHzで7600という
高い測定周波数においても優れた軟磁気特性を示した。
【0035】図2は、Fe92-xNb7BxCu1なる組成の合
金の実効透磁率に及ぼすB含有量の影響を測定した結果
を示す。図2においては、Bの含有量を6〜18%の範
囲で増減させることにより透磁率の変化を測定した。
【0036】図2より、Bの含有量が6.5〜18原子
%の範囲において優秀な透磁率を示し、Bの含有量が7
〜16原子%の範囲で更に優れた透磁率を示すことが判
明した
【0037】図3は、Fe87-xNbxB12Cu1なる組成の
合金の実効透磁率に及ぼすNb含有量の影響を測定した
結果を示す。図3においては、Nbの含有量を4〜11
%の範囲で増減させることにより透磁率の変化を測定し
た。
【0038】図3より、Nbの含有量が4〜10原子の
範囲で優秀な透磁率が得られることが判明した。なおこ
の例では、Nb含有量4〜10原子%の範囲内でも、N
b含有量5〜9原子%の範囲内でより優れた透磁率が得
られることが明らかである。
【0039】次にFe92-xNb7BxCu1合金の熱処理前後
の構造の変化をX線回折法により調べ、熱処理後の組織
を透過電子顕微鏡を用いて観察し、結果をそれぞれ図4
と図5に示す。
【0040】図4より、急冷状態では非晶質に特有のハ
ローな回折図形が、熱処理後には結晶質に独特の回折図
形がそれぞれ認められ、本合金の構造が熱処理により、
非晶質から結晶質へと変化したことがわかる。そして図
5より、熱処理後の組織が、粒径約100オングストロ
ーム程度の微結晶から成ることがわかる。また、Fe80
Nb127Cu1合金について熱処理前後の硬さの変化を調
べたところ、ビッカース硬さで急冷状態の650DPN
から600℃熱処理後には950DPNの高い値まで増
加し、磁気ヘッド用材料に好適であることも判明した。
【0041】以上のごとく本発明合金によれば、前述の
組成を有する非晶質合金を熱処理により結晶化させ、超
微細結晶粒を主とする組織を得ることにより、高飽和磁
束密度でかつ軟磁気特性に優れ、更に高い硬さと高い熱
安定性を有する優れた特性を得ることができる。しか
も、本発明合金に主として用いられる元素のTaとNbは
高融点金属であって、熱に強く、製造時に酸化しずらい
ので、先に本発明者らが特許出願している合金よりも製
造条件がゆるく、製造しやすい特徴がある。
【0042】次に本発明に係る軟磁性合金のFe+Cu量
とB量とNb量のそれぞれを増減させた場合の透磁率の
変化を測定し、その結果を図6に示す。
【0043】図6において、透磁率が10000前後の
値より優れた値を示す範囲は、Nb量においては、4〜
10原子%、B量に関しては6.5〜18原子%の範囲
であることが明らかである。また、透磁率が20000
より優れた値を示す範囲は、Nb量においては、5〜9
原子%、B量においては7〜16原子%の範囲であるこ
とが明らかである。
【0044】次に本発明に係る軟磁性合金のFe+Cu量
とB量とNb量のそれぞれを増減させた場合の飽和磁束
密度の変化を測定し、その結果を図7に示す。
【0045】図7から、本発明合金組成において広い
範囲で1.3〜1.6T(テスラ)の優秀な値が得られる
ことが判明した。
【0046】次に前述の合金におけるCu含有量の限定
理由について説明する。参考例として図8にFe81-xNb
712ux合金のCu量(z)と透磁率の関係を示し、図
9にFe80Nb712u1合金の透磁率と冷却速度の関係
を示す。
【0047】図8から、Cu量のz=0.2〜4.5原子%
の範囲で優れた実効透磁率が得やすいことが明らかであ
る。Cu量が0.2原子%以下になるとCu添加効果が有
効に得られにくく、またCu量が4.5原子%を超えると
透磁率の劣化を招くので実用上好ましくない。また、C
u量が0.2原子%以下であると、熱処理後の軟磁 気特
性が若干悪くなる
【0048】次に、先に説明したFe-Nb-B-Cu系合金
のNbをTaで置換したFe-Ta-B-Cu系合金と、Nbを
Tiで置換したFe-Ti-B-Cu系合金と、NbをTaとTi
で置換したFe-Ta-Ti-B-Cu系合金と、Nbを複数元
素で置換したFe-Nb-Ta-B-Cu系合金と、Fe-Nb-T
a-Ti-B-Cu系合金について説明する。
【0049】実施例としてB量を12原子%、Cu量を
1%でそれぞれ一定とした場合であって、NbとTaとT
iの各含有量を4〜10原子%の範囲で増減した合金の
透磁率を図10に示す。
【0050】図10に示す結果から、各組成の合金でも
同程度の透磁率が得られた。
【0051】一方、Fe84Nb78Cu1 合金の飽和
磁束密度は15.3kG、Fe80Ta712Cu1 合金
の飽和磁束密度は12.0kG、Fe84Ti78Cu1
合金の飽和磁束密度は15.8kG、Fe82a4Ti3
10Cu1 合金の飽和磁束密度は14.0kG、Fe84
Nb3Ta2Ti28Cu1 合金の飽和磁束密度は15.2
kGであった。
【0052】以上の結果から、Fe-Nb-B-Cu系合金の
NbをTa、Tiに置換することが可能であり、NbをNb
とTiに、あるいは、NbをTaとTiに、または、Nbを
NbとTaとTiに置換することが可能であることが判明
した。
【0053】以上の実施例の説明から明らかなように本
発明の軟磁性合金は、0000を超える高透磁率であ
って、15kG以上の優れた飽和磁束密度を示し、耐熱
性に優れ、硬度も高い優れたものである。
【0054】よって本願発明の軟磁性合金は、磁気ヘッ
ド用、トランス用、チョークコイル用として好適であっ
て、これらの用途に供した場合、これらの性能向上と小
型化と軽量化をなしえる効果がある。
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、従
来の実用合金と同程度あるいはそれより優れた2000
0以上の軟磁気特性を有し、更に15kG以上の高い飽
和磁束密度も備えたFe系軟磁性合金を提供することが
できる。しかも本発明の軟磁性合金は、高い機械強度を
有し、高い熱安定性も兼ね備えている。また、本発明合
金において主要構成元素となるNbとTaはいずれも熱的
に安定な元素であるので、製造時に酸化反応や還元反応
で変質するおそれが低く、製造時の条件が有利になる利
点がある。以上のことから本発明の軟磁性合金は、磁気
記録媒体の高保磁力化に対応することが必要な磁気ヘッ
ド、より一層の小型化が要求されているトランス、チョ
ークコイル用として好適であって、これらの用途に供し
た場合、これらの性能の向上と小型軽量化をなしえる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例の合金の熱処理温度と透磁率の関
係を示すグラフである。
【図2】図2は本発明合金の一例の実効透磁率とB量の
関係を示すグラフである。
【図3】図3は本発明合金の参考例の実透磁率とNb
量の関係を示すグラフである。
【図4】図4は本発明合金の一例の熱処理に伴う構造変
化を示すX線回折図形を示すグラフである。
【図5】図5は本発明合金の一例の熱処理後の組織を示
す顕微鏡写真の模式図である。
【図6】図6は本発明合金の一例においてFe+Cu量と
B量とNb量とを変化させた場合の透磁率を示す三角組
成図である。
【図7】図7は本発明合金の一例においてFe+Cu量と
B量とNb量とを変化させた場合の飽和磁束密度の関係
を示すグラフである。
【図8】図8は本発明合金の参考例におけるCu量と透
磁率の関係を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明合金の参考例における冷却速度
と透磁率の関係を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明合金の一例における透磁率
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地川内住宅 11−806 (56)参考文献 特開 平1−242755(JP,A) 特開 平1−156451(JP,A) 特開 平1−294847(JP,A) 特開 平6−158241(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 303 C22C 45/02 H01F 1/14 - 1/16 H01F 10/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式で示される組成からなり、飽和磁束
    密度が15kG以上、1kHzの実効透磁率が2000
    0以上であって、非晶質相中に微細結晶粒が析出された
    ことを特徴とする高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金。 (Fe1-a Co a)b Bx Ty T'z 但しTは、Ti,Nb,Taの中から選ばれた1種又は2種
    以上の元素であり、T'は、Cu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptか
    らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、 a≦0.05、84≦b≦92原子%、7原子%≦x≦8原
    子%、原子%≦y≦9原子%、0.2原子%≦z≦4.5原子%
    である。
  2. 【請求項2】 次式で示される組成からなり、飽和磁束
    密度が15kG以上、1kHzの実効透磁率が2000
    0以上であって、非晶質相中に微細結晶粒が析出された
    ことを特徴とする高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金。 Fe b Bx Ty T'z 但しTは、Ti,Nb,Taの中から選ばれた1種又は2種
    以上の元素であり、T'は、Cu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptか
    らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、84≦ b≦92原子%、7原子%≦x≦8原子%、 5原子%≦y≦9原子%、0.2原子%≦z≦ 4.5原子%
    である。
  3. 【請求項3】 微細結晶粒が熱処理により非晶質相から
    析出されたものであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金。
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