JP3159936B2 - 高硬度Fe系軟磁性合金 - Google Patents

高硬度Fe系軟磁性合金

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JP3159936B2
JP3159936B2 JP12480397A JP12480397A JP3159936B2 JP 3159936 B2 JP3159936 B2 JP 3159936B2 JP 12480397 A JP12480397 A JP 12480397A JP 12480397 A JP12480397 A JP 12480397A JP 3159936 B2 JP3159936 B2 JP 3159936B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド、トラ
ンス、チョークコイル等に用いて好適な軟磁性合金に関
するものであり、特に、高飽和磁束密度で軟磁気特性に
優れ、硬度が高い高硬度Fe系軟磁性合金に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッド、トランス 、チョークコイ
ル等に用いられる合金において 一般的に要求される諸
特性は以下の通りである 飽和磁束密度が高いこと。 透磁率が高いこと。 低保磁力であること。 薄い形状が得やすいこと。
【0003】また、磁気ヘッドに対しては、前記〜
に記載の特性の他に耐摩耗性の観点から以下の特性が要
求される。 硬度が高いこと。
【0004】従って軟磁性合金あるいは磁気ヘッドを製
造する場合、これらの観点から種々の合金系において材
料研究がなされている。従来、前述の用途に対しては、
センダスト、パーマロイ、けい素鋼等の結晶質合金が用
いられ、最近ではFe基およびCo基の非晶質合金も使用
されるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに磁気ヘッドの
場合、高記録密度化に伴う磁気記録媒体の高保磁力化に
対応するため、より好適な高性能磁気ヘッド用の磁性材
料が望まれている。またトランス、チョークコイルの場
合は、電子機器の小型化に伴い、より一層の小型化が必
要であるため、より高性能の磁性材料が望まれている。
【0006】ところが、前記のセンダストは、軟磁気特
性には優れるものの、飽和磁束密度が約11kGと低い
欠点があり、パーマロイも同様に、軟磁気特性に優れる
合金組成においては、飽和磁束密度が約8kGと低い欠
点があり、けい素鋼は飽和磁束密度は高いものの軟磁気
特性に劣る欠点がある。
【0007】一方、非晶質合金において、Co基合金は
軟磁気特性に優れるものの飽和磁束密度が10kG程度
と不十分である。また、Fe基合金は飽和磁束密度が高
く、15kGあるいはそれ以上のものが得られるが、軟
磁気特性が不十分である。また、非晶質合金の熱安定性
は十分ではなく、未だ未解決の面がある。前述のごとく
高飽和磁束密度と優れた軟磁気特性を兼備することは難
しく、更にその上に高硬度な特性を具備するものを得る
ことは難しい問題があった。
【0008】本発明の目的は、15KG以上の高飽
和磁束密度と、26500以上の透磁率を兼備し、
かつ高い硬度と高い熱安定性を併せ持つ高硬度Fe系軟
磁性合金を提供することである。
【0009】本発明は前記問題点を解決するために以下
の組成を有したものであり、従来実用合金と同程度ある
いはより優れた軟磁気特性を有し、しかも高い飽和磁束
密度を併せ持ち、硬度が高いという優れたFe系軟磁性
合金を得ることに成功し、本発明に想到した。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の高硬度
Fe系軟磁性合金は前記課題を解決するために次式で示
される組成からなり、飽和磁束密度Bsが15KG以
上、1KHzにおける実効透磁率μeが26500以上
であって、非晶質相と非晶質相から熱処理により析出さ
せたbcc構造のFeの微細結晶粒を主体としてなり、
CuKα線を用いたX線回折図において回折角度2θが
40〜50゜の間に体心立方晶のFeの回折ピークを有
するものである。 (Fe1-a Co a)bxy T'z 但しTはZr,Hf,Nbからなる群から選ばれた1種又は
2 種以上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又
は両方を含み、T'はCuであり、a≦0.05、84<b
≦92原子%、2≦x<8原子%、4≦y≦8原子%、
≦z≦3原子%以下である。
【0011】請求項2に記載の高硬度Fe系軟磁性合金
は前記課題を解決するために、次式で示される組成から
なり、飽和磁束密度Bsが15KG以上、1KHzにお
ける実効透磁率μeが26500以上であって、非晶質
相と非晶質相から熱処理により析出させたbcc構造の
Feの微細結晶粒を主体としてなり、CuKα線を用い
たX線回折図において回折角度2θが40〜50゜の間
に体心立方晶のFeの回折ピークを有するものである。 Fe bxy T'z 但しTはZr,Hf,Nbからなる群から選ばれた1種又は
2 種以上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又
は両方を含み、T'はCuからなる群から選ばれた1種又
は2種以上の元素であり、84<b≦92原子%、2≦x
<8原子%、4≦y≦8原子%、1≦z≦3原子%以下で
ある。
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の高硬度Fe系軟磁性合金は、前記組成の非
晶質合金あるいは非晶質相を含む結晶質合金を溶湯から
急冷することにより得る工程と、スパッタ法あるいは蒸
着法等の気相急冷法により得る工程と、これらの工程で
得られたものを加熱し微細な結晶粒を析出させる熱処理
工程とによって通常得ることが出来る。
【0014】本発明において、非晶質相を得やすくする
ためには、非晶質形成能の高いZr,Hfのいずれかを含
む必要がある。またZr、Hfはその一部を他の4A〜6
A族元素のうちNbと置換することが出来る。これらの
Zr、Hf、Nbは、合金溶湯から急冷した場合に非晶質
相を得るために重要な元素であり、この非晶質相から熱
処理によりFeの微結晶粒を析出させて飽和磁束密度B
sが15KG以上、1KHzにおける実効透磁率μeが
26500以上を両立するために重要である。ZrとHf
のいずれか、またはこれらに加えてNbを添加する場
合、4原子%以上、8原子%以下の範囲でこれらの元素
を添加しないと必要量の非晶質相を得ることができな
い。更に、これらの元素を含有させる場合に6原子%以
上、8原子%以下の範囲がより好ましい。
【0015】Bには本発明合金の非晶質形成能を高める
効果、および前記熱処理工程において磁気特性に悪影響
を及ぼす化合物相の生成を抑制する効果があると考えら
れ、このためB添加は必須である。このBにおいても先
のZr、Hf、Nbとともに非晶質生成に寄与するが、必
要以上に添加すると透磁率を低下させるので、添加量を
2原子%以上、8原子%未満とする必要がある。
【0016】本発明においては、後述する実施例の結果
から、Cuの添加量を1〜3原子%とすることで、熱処
理工程後に優れた軟磁気特性を得られるもので、Cuの
添加量が1原子%より少ないか、3原子%よりも多いと
前記の熱処理工程により優れた軟磁気特性を得ることが
難しい。
【0017】Cuの添加により、軟磁気特性が著しく改
善される機構については明ら かではないが、結晶化温
度を示差熱分析法により測定したところ、Cuを添加し
た合金の結晶化温度は、添加しない合金に比べてやや低
い温度であると認められた。これは前記元素の添加によ
り非晶質相が不均一となり、その結果、非晶質相の安定
性が低下したことに起因すると考えられる。また不均一
な非晶質相が結晶化する場合、部分的に結晶化しやすい
領域が多数でき不均一核生成するため、得られる組織が
微細結晶粒組織となると考えられる。また特にFeに対
する固溶度が著しく低い元素であるCuの場合、相分離
傾向があるため、加熱によりミクロな組成ゆらぎが生
じ、非晶質相が不均一となる傾向がより顕著になると考
えられ、組織の微細化に寄与するものと考えられる。
【0018】
【0019】以上、本発明の高飽和磁束密度高硬度Fe
系軟磁性合金に含まれる合金元素の限定理由を説明した
が、これらの元素以外でも耐食性を改善するために、C
r,Ruその他の白金族元素を添加することも可能であ
り、また、必要に応じて、Y,希土類元素,Zn,Cd,Ga,
In,Ge,Sn,Pb,As,Sb,Bi,Se,Te,Li,Be,Mg,C
a,Sr,Ba等の元素を添加することで磁歪を調整するこ
ともできる。その他、H,N,O,S等の不可避的不純物
については所望の特性が劣化しない程度に含有していて
も良いのは勿論である。
【0020】本発明合金におけるFe,Co量のbは、92
原子%以下である。これは、後述するように、bが92
原子%を越えると高い透磁率が得られないためである
が、飽和磁束密度10KG以上を得るためには、bが7
5原子%以上であることが好ましい。また、飽和磁束密
度15KG以上を得るためには、他の添加元素の添加範
囲を満たした上でできるだけ多く含有させることが必要
であり、他の添加元素の量も鑑みると、84原子%を越
える量を含有させることで後述する実施例で示す如く1
5KG以上の飽和磁束密度を容易に得ることができる。
更に、Feの含有量において後述する実施例で示す如く
85原子%<Fe≦92原子%の関係を満足させること
により、飽和磁束密度15KG以上、1KHzにおける
実効透磁率μeで26500以上を確実に両立させるこ
とができる。
【0021】次に本発明の高飽和磁束密度Fe系軟磁性
合金の組成限定理由について実施例をもって詳細に説明
する。
【0022】
【実施例】
「実施例1」以下の各実施例に示す合金は片ロール液体
急冷法により作成した。すなわち、1つの回転している
鋼製ロール上におかれたノズルより溶融金属をアルゴン
ガスの圧力により前記ロール上に噴出させ、急冷して薄
帯を得る。以上のように作成した薄帯の幅は約15mmで
あり、厚さは約20〜40μmであった。
【0023】透磁率は、薄帯を加工し、外径10mm、内
径5mmのリング状とし、これを積み重ねたものに巻線
し、インダクタンス法により測定した。実効透磁率(μ
e)の測定条件は10mOe,1kHzとした。保磁力(Hc)
は、直流B−Hループトレーサにより測定し、飽和磁束
密度(Bs)はVSMにて10kOeで測定した磁化より算
出した。なお、特に規定しない限り、以下に示す実施例
では、500〜700℃の温度で1時間保持後、水焼入
れした後の磁気特性を示す。
【0024】まず、本発明合金の磁気特性および構造に
及ぼす熱処理の効果について本発明合金の一つであるF
e86Zr76Cu1合金を例にとって以下に説明する。な
お、昇温速度毎分10℃の示差熱分析により求めたFe
86Zr76Cu1合金の結晶化 開始温度は503℃であ
った。
【0025】図1は、Fe86Zr76Cu1合金の実効透磁
率に及ぼす焼純(各温度で1時間保持後水焼入れ)の効果
を示す。
【0026】図1より急冷状態(RQ)(溶融金属を急
冷して薄帯にした状態)における本合金の実効透磁率
は、Fe基非晶質合金程度の低い値を示すが、500〜
620℃の熱処理(特に説明しない限り各温度で1時間
保持後水焼き入れ)により、急冷状態の10倍程度の高
い値に増加している。ここで600℃熱処理後の厚さ約
20μmの試料について透磁率の周波数依存を調べたと
ころ1kHzで32000、10kHzで25600、更
に100kHzで8330と、高い測定周波数において
も優れた軟磁気特性を示した。また、透磁率に及ぼす冷
却速度の影響を調べたところ、600℃で1時間保持
後、水焼入れにより急冷した本合金の実効透磁率320
00に対し、空冷した場合、その値は18000とな
り、熱処理後の冷却速度も重要である。
【0027】よって本合金の磁気特性は最適な熱処理条
件を適当に選ぶことにより調整することができ、また磁
場中焼鈍などにより磁気特性を改善することもできる。
次にFe86Zr76Cu1合金の熱処理前後の構造の変化
をX線回折法により調べ、熱処理後の組織を透過電子顕
微鏡を用いて観察し、結果をそれぞれ図2と図3に示
す。
【0028】図2より、急冷状態(溶融金属を急冷して
薄帯にした状態)では非晶質に特有のハローな回折図形
が、熱処理後(各温度で1時間保持後水焼き入れ)には
体心立方晶のFeに独特の回折ピークを回折角度2θが
40〜50゜の範囲内に有する回折図形がそれぞれ認め
られ、本合金の構造が熱処理により、非晶質から体心立
方晶へと変化したことがわかる。そして図3より、熱処
理後の組織が、粒径約100オングストローム程度の微
結晶から成ることがわかる。また、Fe86Zr76Cu1
金について熱処理前後の硬さの変化を調べたところ、ビ
ッカース硬さで急冷状態(溶融金属を急冷して薄帯にし
た状態)の740DPNから650℃熱処理後には13
90DPNと従来材料にない高い値まで増加し、磁気ヘ
ッド用材料に好適であることも判明した。また、トラン
ス、チョークコイルに使用した場合、合金薄帯に折れ、
切れ、傷等が生じにくく、製造工程上の歩留まりも向上
する。
【0029】以上のごとく本発明合金は、前述の組成を
有する非晶質合金を熱処理により結晶化させ、超微細結
晶粒を主とする組織を得ることにより、高飽和磁束密度
でかつ軟磁気特性に優れ、更に高い硬さと高い熱安定性
を有する優れた特性を得ることができる。
【0030】次に前記合金のZr量およびB量を変化さ
せた場合の実施例を示す。後に記載する表1および図4
は焼鈍後の磁気特性を示す。
【0031】
【表1】
【0032】図4より、Zr量が4〜10原子%の範囲
で高透磁率が得やすいことがわかる。また、Zr量が4
原子%以下では10000以上の実効透磁率が得られ
ず、10原子%を超えると透磁率が急激に低下するとと
もに飽和磁束密度も低下するため好ましくない。そこ
で、本発明合金におけるZr含有量の限定範囲を4〜1
0原子%とした。
【0033】同様にB量については、0.5〜16原子
%の範囲で実効透磁率10000以上の高透磁率が得や
すいことがわかり、このためB含有量の限定範囲を0.
5〜16原子%とした。またZr,B量が前記範囲にあっ
ても、Fe量が92原子%を超えると高い透磁率が得ら
れないため、本発明合金におけるFe+Co含有量(b)は
92原子%以下とした。次に表1において、No.7、
12、13、14、15、16、22は、目的とする飽
和磁束密度15KG以上、1KHzにおける実効透磁率
26500を両立できた実施例である。更に、表1にお
いて、Zr量が4〜10原子%の範囲であって、B量が
0.5〜16原子%の範囲の中の例であっても、本発明
で目的とする飽和磁束密度15KG以上、1KHzにお
ける実効透磁率26500を両立できない例が見られ
る。第1に、No.1、2、4、5、6、17、18、
19、20、21の試料は、Bを8〜16原子%含有さ
せた試料であるが、飽和磁束密度15KG以上、1KH
zにおける実効透磁率26500を両立できていない例
である。また、No.11の試料はB量を1原子%とし
たが、飽和磁束密度15KG以上、1KHzにおける実
効透磁率26500を両立できない例である。これらの
例から、B量の含有範囲は2原子%以上、8原子%未満
であることが必要なことがわかる。第2に、No.2
5、26、27、28、29はZr量を9〜10原子%
含有させた試料であるが、飽和磁束密度15KG以上、
1KHzにおける実効透磁率26500を両立できてい
ない例である。これらの例から、Zr量の範囲は4原子
%以上、8原子%以下であることが必要なことがわか
る。なお、No.3、8、9、10の試料は、本発明組
成範囲内の試料であるが、加熱後に焼鈍した試料であ
り、飽和磁束密度は高いものの、透磁率が大幅に低下し
た。
【0034】「実施例2」次に実施例1に示したFe-Z
r-B-Cu系合金のZrをHfで置換えしたFe-Hf-B-Cu
系合金について説明する。
【0035】実施例としてB量を6原子%、Cu量を1
原子%でそれぞれ一定とした場合の結果を後記する表2
に示す。また、第5図は、Hf量を4〜10原子%の範
囲で変化させた場合の透磁率を示す。第5図には比較の
ために、Fe-Zr-B6-Cu1系合金の実効透磁率を併せて
示す。
【0036】
【表2】
【0037】図5から、4〜10原子%の範囲におい
て、Fe-Hf-B-C系合金の実効透磁率がFe-Zr-B-C
u系合金のものと同等であることがわかる。また、第2
表中に示すFe86Zr4Hf36Cu1合金の磁気特性は実施
例1のFe-Zr-B-Cu系合金の磁気特性と同等である。
従って実施例1に示したFe-Zr-B-Cu系合金のZr
は、その組成限定範囲である4〜10原子%すべてにお
いてHfと一部もしくは全て置換可能である。
【0038】「実施例3」次に実施例1および実施例2
に示したFe-(Zr,Hf)-B-Cu合金のZr、Hfの一部を
Nbで置換する場合について説明する。
【0039】実施例としてFe-Zr-B-Cu系合金のZr
の一部を1〜5原子%のNbで置換した場合の結果を後
記する表3に示す。また、図6はNb添加量を3原子%
としたFe-Zr-Nb-B-Cu系合金の磁気特性を示したも
のである。
【0040】
【表3】
【0041】図6において高い透磁率が得やすいZr+
Nbの量は、Fe-Zr-B-Cu系合金におけるZrの場合と
同じ4〜10原子%であり、この範囲ではFe-Zr-B-
Cu系合金と同等の高い実効透磁率が得られている。従
ってFe-(Zr,Hf)-B-Cu合金のZr,Hfの一部はNbで
置換することが可能である。
【0042】ただし、表3のNo.43、44、46、
48の試料は、Bを本発明範囲外の8原子%以上含有さ
せた試料であるが、目的とする飽和磁束密度15KG以
上、1KHzにおける実効透磁率26500を両立でき
ていない例である。また、表3のNo.42、51、5
2、53の試料は、Zr+Nbの量を本発明範囲外の9原
子%以上とした試料であるが、目的とする飽和磁束密度
15KG以上、1KHzにおける実効透磁率26500
を両立できていない例である。なお、No.38、47
の試料は、本発明組成範囲内の試料であるが、加熱後に
焼鈍した試料であり、飽和磁束密度は高いものの、透磁
率が大幅に低下した。以上のことから、ZrとNbを添加
した系においても、これらを合計で4原子%以上、8原
子%以下、更に、B量を2原子%以上、8原子%未満と
して冷却速度を高くすることで目的とする飽和磁束密度
15KG以上、1KHzにおける実効透磁率26500
を両立できることが明らかである。
【0043】
【0044】
【0045】「実施例」 次に本発明合金におけるCu含有量の限定理由につい
て説明する。実施例とし て図7に、Fe87-xZr4Nb3
6Cux合金のCu量(z)と透磁率の関係を示し、図8にFe
88Cu13Zr8なる組成の軟磁性合金の透磁率と冷却速
度の関係を示す。
【0046】図7から、z=0.2〜4.5原子%の範囲
で実効透磁率10000以上の優れた磁気特性が得やす
いことがわかる。zが0.2原子%以下になるとCu添加
効果が有効に得られにくく、またzが4.5原子%を超え
ると透磁率の劣化を招くので、実用上好ましくない。し
かし、図8から明らかなように冷却速度を上げることで
透磁率の改善ができるので、zは0.2原子%以下でも良
い。よって、本発明合金におけるCu含有量の範囲は4.
5原子%以下とした。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】「実施例」 次に本発明合金におけるCo含有量の限定理由について
説明する。実施例として(Fe1-a-Co a)86Zr4Nb36
Cu1合金のCo量(a)と透磁率の関係を図9に示す。
【0051】図9においてaが0.05以下の範囲におい
ては実効透磁率10000以上の高い値を示すが、0.
05を超える範囲では実効透磁率が急激に低下し実用上
好ましくない。よって、本発明合金におけるCo含有量
(a)は、0.05以下とした。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、熱
処理後のビッカース硬度が1390DPNと従来にない
硬度を有し、トランス等を製造する際に折れ、切れ、傷
等が生じにくく、製造工程上の歩留まりが向上する。ま
た、従来の実用合金より優れた軟磁気特性を有し、更に
高い飽和磁束密度も備えたFe系軟磁性合金を提供する
ことができる。即ち、飽和磁束密度Bsが15KG以
上、1KHzにおける実効透磁率が26500以上であ
って、非晶質相と非晶質相から熱処理により析出させた
bcc構造のFeの微細結晶粒を主体としてなり、前記
Feの微細結晶粒が前記非晶質相を加熱後に冷却されて
析出された、高い飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備え
た高硬度Fe系軟磁性合金を提供することができる。
かも本発明の高硬度Fe系軟磁性合金は、高い機械強度
を有し、高い熱安定性も兼ね備えている。以上のことか
ら本発明の高硬度Fe系軟磁性合金は、磁気記録媒体の
高保磁力化に対 応することが必要な磁気ヘッド、より
一層の小型化が要求されているトランス、チョークコイ
ル用として好適であって、これらの用途に供した場合、
これらの性能の向上と小型軽量化をなしえる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明合金の一例の実効透磁率と焼鈍温
度の関係を示すグラフである。
【図2】図2は本発明合金の一例の熱処理前後の構造変
化を示すX線回折図形を示すグラフである。
【図3】図3は本発明合金の一例の熱処理後の組織を示
す顕微鏡写真の模式図である。
【図4】図4は本発明合金の一例においてZr量とB量
を変化させた場合の磁気特性を示す三角組成図である。
【図5】図5は本発明合金の一例においてHf量の変化
と透磁率の関係を示すグラフである。
【図6】図6は本発明合金の一例においてB量とZr量
を変化させた場合の磁気特性を示す三角組成図である。
【図7】図7は本発明合金の一例におけるCu量と透磁
率の関係を示すグラフである。
【図8】図8は冷却速度と透磁率の関係を示すグラフで
ある。
【図9】図9は本発明合金の一例におけるCo量と透磁
率の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8−22 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住 宅11−806 (72)発明者 潟岡 教行 宮城県仙台市太白区向山1丁目4番7号 (56)参考文献 特開 平1−242755(JP,A) 特開 昭63−241135(JP,A) 特開 平1−294847(JP,A) 特開 昭63−58807(JP,A) 特開 平10−60608(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 303 C22C 45/02 H01F 1/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式で示される組成からなり、飽和磁束
    密度Bsが15KG以上、1KHzにおける実効透磁率
    μeが26500以上であって、非晶質相と非晶質相か
    ら熱処理により析出させたbcc構造のFeの微細結晶
    粒を主体としてなり、CuKα線を用いたX線回折図に
    おいて回折角度2θが40〜50゜の間に体心立方晶の
    Feの回折ピークを有することを特徴とする高硬度Fe
    系軟磁性合金。 (Fe1-a Co a)bxy T'z 但しTは、Zr,Hf,Nbからなる群から選ばれた1種又
    は 2種以上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、
    又は両方を含み、T'はCuであり、 a≦0.05、84<b≦92原子%、2≦x<8原子%、
    4≦y≦8原子%、1≦z≦3原子%である。
  2. 【請求項2】 次式で示される組成からなり、飽和磁束
    密度Bsが15KG以上、1KHzにおける実効透磁率
    μeが26500以上であって、非晶質相と非晶質相か
    ら熱処理により析出させたbcc構造のFeの微細結晶
    粒を主体としてなり、CuKα線を用いたX線回折図に
    おいて回折角度2θが40〜50゜の間に体心立方晶の
    Feの回折ピークを有することを特徴とする高硬度Fe
    系軟磁性合金。 Fe bxy T'z 但しTは、Zr,Hf,Nbからなる群から選ばれた1種又
    は 2種以上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、
    又は両方を含み、T'はCuであり、84< b≦92原子%、2≦x<8原子%、4≦y≦8
    子%、1≦z≦3原子%以下である。
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