JP2556863B2 - Fe基磁性合金膜 - Google Patents

Fe基磁性合金膜

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JP2556863B2 JP62183876A JP18387687A JP2556863B2 JP 2556863 B2 JP2556863 B2 JP 2556863B2 JP 62183876 A JP62183876 A JP 62183876A JP 18387687 A JP18387687 A JP 18387687A JP 2556863 B2 JP2556863 B2 JP 2556863B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、良好な軟磁気特性を示す磁気ヘッド材料、
センサー材料等に好適なFe基軟磁性合金膜およびこれを
用いた磁気ヘッドに関するものである。
〔従来の技術〕
オーディオテープレコーダ、VTR(ビデオテープレコ
ーダ)やコンピュータの記憶装置等の磁気記録再生装置
においては、近年記録信号の高密度化や高品質化等が進
められており、高記録密度化のために、磁気記録媒体と
して用いられる磁性粉にFe等からなる金属合金粉末を用
いたメタルテープや、蒸着テープ、磁気ディスク等が開
発されている。
上述の高保磁力を有する磁気記録媒体の特性を十分発
揮するためには、磁気ヘッドに用いられるコア材料の磁
気特性は、記録する観点から高い飽和磁束密度を有して
いる方が好ましく、更に再生を同一の磁気ヘッドで行な
う場合、高透磁率特性を有していることが必要である。
しかしながら、従来用いられていたフェライトは飽和
磁束密度が低く、また、パーマロイは耐摩耗性が十分で
ない等の問題がある。
近年、前述の要求に対して、Fe−Al−Si系合金や、Co
−Nb−Zr系非晶質合金等の薄膜化が検討されている。
このような試みは、例えば、柴谷らによりNHK技報29
(2),51〜106(1977)、広田らにより機能材料1986年
8月号P68に報告されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、Fe−Al−Si合金膜において高透磁率を
得るには磁歪λと結晶磁気異方性Kが共に零付近にあ
る必要があり、このような組成では飽和磁束密度は10〜
11kGが限界である。
一方、λ0のCo−Nb−Zr系非晶質合金膜は飽和磁
束密度は12kG程度が限界であり、その上このような高飽
和磁束密度を有する組成系では、結晶化温度が低くなる
ため、ガラスボンディング等を行う際500℃以上の温度
に長時間保持すると、結晶化が起こり、軟磁気特性の劣
化を招く問題が生ずる。このため工程上制限が生ずる。
本発明の目的は飽和磁束密度が高く、軟磁気特性に優
れ、500℃以上のガラスボンディングを行っても磁気特
性の劣化の小さい、新規のFe基軟磁性合金膜を提供する
ことを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等はFeと非
晶質形成元素を基本成分とする合金系にCuと、Nb,W,Ta,
Zr,Hf,Ti,Moから選ばれる少なくとも1種の元素とを複
合添加し、スパッタ法や蒸着法等の気相急冷法により、
非晶質合金膜を形成した後、適当な熱処理を行なうこと
により、組織の大半が微細結晶粒からなるとともに優れ
た磁気特性を有するFe基軟磁性合金膜が得られることを
発見し、本発明に想到した。
非晶質形成元素としては、B,Si等半金属元素が一般的
に用いられる。これらの中でBとSiの複合添加が軟磁気
特性向上のために特に好ましい。
しかしながら、Nb,Hf,Zr等は、合金膜において非晶質
形成元素としても作用するため半金属元素は少なくても
良い。
本発明のFe基軟磁性合金膜は、基本的には、一般式: (Fe1-aMa100-x-y-z- α β γAxSiyBzM′αM″β
γ (原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,
Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種
の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元
素,Au,Zn,Sn,Re,Mg,Ca,Sr,Ba,Na,K,Rbからなる群から選
ばれた少なくとも1種の元素、AはCu及び/又はAg、x
はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,As,Nからなる群から選ばれた少
なくとも1種の元素であり、a,x,y,z,α,β及びγはそ
れぞれ0≦a<0.5,0.1≦x≦10,0≦y≦30,0≦z≦25,
0≦y+z+γ≦35,0.1≦α≦30,0≦β≦15,0≦γ≦20
及びx+α+β+γ≦30を満たす。)により表わせる組
成を有し、組織の少なくとも50%が微細な結晶粒からな
り、各結晶粒の最大寸法で測定した粒径の平均が500Å
以下であることを特徴とする。
本発明のFe基軟磁性合金膜はスパッタ法、蒸着法等の
気相急冷法により、前記組成の非晶質合金膜を形成後、
これを加熱し微細な結晶粒を形成する熱処理工程に依っ
て得られる。また、膜を形成する基板表面温度を上昇さ
せ前記組成の膜を形成することにより直接微細結晶粒組
織を有する本発明合金膜を得ることもできる。
本発明においてCu及び/又はAgは必須の元素であり、
その含有量xは0.1〜10原子%の範囲である。0.1原子%
より少ないとCuの添加による透磁率改善の効果がなく、
一方10原子%より多いと飽和磁束密度、透磁率の著しい
低下をもたらし好ましくない。特に好ましいCuの含有量
xは0.5〜2原子%であり、この範囲では特に高い透磁
率が得られる。
また、Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれ
た少なくとも1種の元素は必須の元素であり、Cu,Ag等
との複合添加により結晶粒を微細化し、軟磁気特性を改
善する効果を有する。Nb,Ta,W,Mo,Zr,Hf,Ti等が存在し
ない場合は結晶粒はあまり微細化されず軟磁気特性は悪
い。Nb,Mo,Taは特に効果が大きいが、これらの元素の中
でNbを添加した場合特に結晶粒が細くなりやすく、軟磁
気特性も優れたものが得られる。
Cu,AgとNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMo等との複合添加によ
り透磁率が上昇する理由は明らかではないが次のように
考えられる。
Cu,AgとFeの相互作用パラメータは正であり、分離す
る傾向があるため、非晶質状態の合金膜を加熱するとFe
原子同志またはCu,Ag原子同志が寄り集まり、クラスタ
ーを形成するため組成ゆらぎが生ずる。このため部分的
に結晶化しやすい領域が多数でき、そこを核として多数
の微細結晶粒が形成される。この結晶粒はFeを主成分と
するものであり、FeとCuの固溶度はほとんどないため、
結晶粒周辺のCu濃度が高くなる。また、この結晶粒の周
辺はSi等が多くNb,Ta,W,Mo,Zr,Hf,Ti等が存在する場合
結晶化しにくいため結晶粒は成長しにくいと考えられ
る。このために結晶粒は微細化されると考えられる。
このように結晶粒が微細化されることにより、結晶磁
気異方性がみかけ上相殺されること、結晶相がbcc構造
のFe固溶体が主体であり磁歪が小さく、内部応力−歪に
よる磁気異方性が小さくなること等により、軟磁気特性
が改善され、高透磁率が得られると考えられる。
本発明のFe基軟磁性合金膜の磁歪は組成を変えたり熱
処理条件を変えることにより正や負、あるいはほぼゼロ
のものを得ることができる。
M″で表わされる添加元素であるV,Cr,Mn,Al,白金属
元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Re等の元素は耐食性を
改善したり、磁気特性を改善する、又は磁歪を調整する
等の効果を有するものであるが、その含有量はせいぜい
15原子%以下である。これらの元素の中でRu,Rh,Pd,Os,
Ir,Pt,Au,Cr,Vから選ばれる少なくとも1種の元素を10
原子%以下含む場合は耐食性、耐摩耗性に優れ、比較的
飽和磁束密度が高いものが得られるため磁気ヘッド用合
金膜としては好適である。
本発明の合金膜において、xで表わされるC,Ge,P,Ga,
Sb,In等からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素
を20原子%以下含み得る。これらの元素は非晶質化に有
効な元素であり、Si,Bと共に添加することにより合金の
非晶質化を助けると共に、磁歪やキュリー温度調整に効
果がある。
Si及びBは、合金の微細化に特に有用な元素である。
本発明のFe基軟磁性合金膜は好ましくは、一旦Si,Bの添
加効果により非晶質合金膜とした後で熱処理により微細
結晶粒を形成させることにより得られる。Si及びBの含
有量y及びzの限定理由は、yが30原子%以下、zが25
原子%以下であり、x量γとの関係が0≦y+z+γ≦
35の範囲である必要がある。y+z+γが35原子%以下
でないと、合金膜の飽和磁束密度の著しい減少があるか
らである。
他の非晶質形成元素の添加量が少ない場合は、y+z
+γが10〜35原子%の範囲であれば、前記合金の中間段
階での非晶質化が容易である。
M′の含有量αは0.1〜30原子%であり、0.1原子%未
満だと結晶粒微細化の効果が不十分であり、30原子%を
越えると飽和磁束密度の著しい低下を招く。好ましい
M′の含有量αは2〜8原子%である。なおM′として
Nbが磁気特性の面で最も好ましい。
前記組成式においてx+α+β+γは30%以下である
必要がある。30%を越えると飽和磁束密度の低下が著し
く好ましくない。
残部は不純物を除いて実質的にFeが主体であるが、Fe
の一部は成分M(Co及び/又はNi)により置換されてい
ても良い。Mの含有量aは0≦a<0.5であるが、好ま
しくは0≦a≦0.3である。aが0.3を越えると、透磁率
が低下する場合があるためである。Co置換はまた飽和磁
束密度を上昇させる効果があり、高保磁力記録媒体に使
用する磁気ヘッド用合金膜としてより有利である。
本発明において高透磁率が得やすい組成範囲は 0≦a≦0.3,0≦y≦25,2≦z≦25,15≦y+z≦30,0.1
≦α≦10 であり、特に高い透磁率が得られる組成範囲は 0≦a≦0.3,0.5≦x≦2,8≦y≦23,3≦z≦18,18≦y
+z≦26,2≦α≦8 である。
上記組成の本発明のFe基軟磁性合金膜はまた組織の少
なくとも50%以上が微細な結晶粒からなる。
この結晶粒はα−Feを主体とするものでSi等が固溶し
ていると考えられる。この結晶粒は500Å以下と著しく
小さな平均粒径を有することを特徴とし、合金膜組織中
に均一に分布している。合金組織のうち微細結晶粒以外
の部分は主に非晶質である。なお微細結晶粒の割合が実
質的に100%になっても本発明のFe基軟磁性合金膜は十
分に優れた磁気特性を示す。本発明において結晶粒径が
その最大寸法で測定した場合50〜200Åの平均粒径を有
する場合特に高い透磁率が得られる。
また本発明合金膜はSiO2等の非磁性膜と交互に積層す
ることにより積層膜とすることができる。この場合高周
波領域まで高い透磁率を有する膜が得やすい。
本発明の合金膜の熱処理は通常非晶質膜の結晶化温度
付近より上で行なわれる。この熱処理は磁場中あるいは
無磁場中のどちらでも良く、磁場中熱処理により、誘導
磁気異方性をある方向につけたり、回転磁場中熱処理に
より等方的な膜にしたりすることにより磁気特性を改善
することができる。本発明の合金の熱処理は真空中ある
いは不活性ガス中が望ましいが場合によっては大気中で
も良い。また熱処理は多段の異なる温度で行ったり、複
数回に分けて行っても良い。また、ガラスボンディング
等の際の加熱により結晶化させ熱処理することもでき
る。本発明の合金膜の熱処理温度は500℃を越えるもの
や600℃を越えるものがあり、ガラスボンディングを行
ってもCo−Nb−Zr非晶質合金膜に認められるような磁気
特性の劣化はほとんどない。
本発明の合金膜は結晶相が主体であり、Co−Nb−Zr非
晶質膜等に比べ経時変化が小さく飽和磁束密度も1Tを越
えるものが得られ、透磁率が高い上にガラスボンディン
グが可能であり磁気ヘッド材として最適である。
本発明の合金膜は超微細結晶粒からなるが、通常の膜
の様に膜厚が厚くなった場合に結晶粒が大きくなること
がない特徴を有している。このため膜厚が厚くても優れ
た軟磁気特性を得ることが可能である。
本発明の合金膜は基板表面温度を基板を加熱するある
いは膜の製膜条件を変えることにより上昇させ非晶質化
することなく直接製造することも可能である。この場
合、熱処理を省略することができるが、ばらつきを低減
する観点からは、一旦非晶質化した後熱処理し微細結晶
粒とした方がより好しい結果が得られる。
以上説明してきた合金膜で作製した磁気ヘッドは高飽
和磁束密度で高透磁率を有するため高密度記録が可能で
あり、VTRやコンピュータディスク用の磁気ヘッドに最
適である。
〔実施例〕
以下本発明を実施例に従って説明するが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
実施例1 原子%でFe72.5%,Cu0.9%,Nb3.2%,Si10.8%,B12.6
%で表わされる組成を有する厚さ3μmの非晶質合金膜
をマグネトロンスパッタ装置を用いホトセラム基板上に
作製した。得られた膜のX線回折を行ったところ図1
(a)に示すような非晶質合金に特有なハローパターン
が得られた。なお図中に矢印で示したピークは基板から
のものであり膜からのものではない。
次にこの非晶質合金膜をN2ガス雰囲気中において530
℃に30分保持後室温まで冷却し、X線回折を行った。そ
の結果図1(b)に示すようにハローパターンは小さく
なり結晶ピークが認められるようになった。透過電子顕
微鏡による組織観察の結果、組織の50%以上が100〜200
Åの微細な結晶粒からなることが確認された。この結晶
粒は電子線回折の結果b cc構造を持つFe固溶体であるこ
とが確認された。
次にこの膜のヒステリシスカーブを振動型磁力計(VS
M)により測定した、Bs=13.2kG,Hc=1.0Oeが得られ
た。次にこの膜の1MHzにおける実効透磁率μe1MをLCRメ
ーターにより測定した。μe1M=1200が得られた。
本発明合金膜はFe−Si−Al合金膜を凌ぐ高飽和磁束密
度を有し、1MHzにおける実効透磁率も1000を越えてお
り、高密度磁気記録用の磁気ヘッド材料として最適であ
る。
実施例2 第1表に示す組成の合金膜を実施例1と同様の条件で
作製し、振動型磁力計により飽和磁束密度Bs,LCRメータ
ーにより1MHzの実効透磁率μe1Mを測定した。得られた
結果を第1表に示す。
本発明の合金膜はFe−Si−Al合金膜と同等以上の高飽
和磁束密度を有しており、μ1Mはほぼ同等の値を示して
いる。Fe−Si合金膜より飽和磁束密度は低いがμ1Mはか
なり高い。したがって、本合金膜は高保磁力記録媒体に
対して使用される磁気ヘッド材に最適である。
実施例3 第2表に示す組成の合金膜を実施例1と同様の条件で
作製し、飽和磁束密度および飽和磁歪λを測定した。
得られた結果を第2表に示す。
本発明の合金膜は飽和磁束密度Bsが1T以上あり、飽和
磁歪λも零に近いものが得られるため基板との熱膨張
差により生ずる歪や膜形成時に生ずる歪の影響による磁
気特性の劣化が小さく磁気ヘッド材として最適である。
実施例4 第3表に示す組成の合金膜を実施例1と同様の条件で
作製し、1MHzにおける実効透磁率μe1Mを測定した。次
にこの合金膜を水道水に1週間つけ耐食性を試験した。
得られた結果を第3表に示す。Aはほとんど発錆が認め
られなかったもの、Bは少し発錆が認められたもの、C
は全体にわたって濃発錆が認められたもの、Dは合金膜
がほとんどなくなる程度に腐食したものである。
表からわかるように本発明合金は従来のFe基合金膜と
同等以上の耐食性を示し、特にCrや白金属元素を添加し
たものやNb,Tiが含まれるものが優れた耐食性を示す傾
向がある。1MHzの実効透磁率は1000以上の値が得られ
る。
実施例5 第4表に示す組成の厚さ15μmの合金膜を実施例1と
同様の条件で模擬ヘッド上に作製し、テープデッキに取
りつけ摩耗試験を行った。20℃,湿度90%の条件下での
50時間後の摩耗量を第4表に示す。
第4表よりわかるように本発明のFe基軟磁性合金膜は
従来の軟磁性膜と同等以上の耐摩耗性を有している。特
に白金属元素やCr等を含む合金が摩耗量が小さい傾向が
ある。
実施例6 厚さ3μmのFe73.2Cu1.1Nb3.2Si16.56.0非晶質膜
を作製し第5表に示す熱処理温度に1時間保持後室温ま
で冷却する処理を行ない、飽和磁歪λs,保磁力Hc,1MHz
における実効透磁率μe1Mを測定した。また、測定後の
膜を基板からはぎ取り、透過電子顕微鏡により組織観察
を行った。得られた結果を第5表に示す。
組織観察の結果500℃以上では組織の50%以上が100〜
200Åの平均粒径を有する微細な結晶粒組織からなるこ
とが確認された。このような組織になるとλは著しく
小さくなり、Hcが小さくなるとともにμe1Mも上昇す
る。
実施例7 4極スパッタ装置を用い厚さ3μmのFe74.1−xCuxN
b3.1Si13.69.2非晶質合金膜をホトセラム基板上に作
製し、回転磁場中で530℃に1時間保持後室温まで冷却
し1MHzにおける実効透磁率μe1Mを測定した。得られた
結果を第6表に示す。
第6表からわかるようにCuを添加することによりμe
1Mは高くなることがわかる。また電顕観察を行った結果
Cuを添加したものは組織の50%以上が500Å以下の平均
粒径を有する微細な結晶粒からなることが確認された。
実施例8 マグネトロンスパッタ装置を用い厚さ3μmのFe
76.8−αAg1.1Si15.17.0Nbα非晶質合金膜をホトセラ
ム基板上に作製し、550℃で1時間保持後、1MHzにおけ
る実効透磁率μe1Mを測定した。得られた結果を第7表
に示す。
Nbを添加することにより著しくμe1Mが高くなること
がわかる。透過電子顕微鏡による組織観察の結果によれ
ばNbを添加した場合は組織の50%以上が500Å以下の平
均粒径の微細な結晶粒組織からなることが確認された。
実施例9 Fe69.9Cu1.2Nb5.2Si15.57.1Ru1.1の組成を有する本
発明合金膜からなる第2図に示す形状の磁気ヘッドを作
製し、記録再生特性を測定した。得られた結果を第3図
に示す。
本発明合金膜からなる磁気ヘッドの相対出力はフェラ
イトより大きく、VTR用のヘッド等に最適である。
実施例10 Fe71.1Cu1.0Nb5.2Si15.57.2の組成を有する本発明
合金膜をホトセラム基板上に作製し、1MHzにおける実効
透磁率μe1Mを測定した。次に550℃に1時間保持後冷却
しμe1Mの変化を調べた。比較のためCo−Nb−Zr系非晶
質膜についても調べた。結果を第8表に示す。
表からわかるように本発明合金は500℃を越える温度
においても透磁率の劣化が小さく、ガラスボンディング
が十分可能である信頼性の高い磁気ヘッドが作製でき
る。これに対しCo−Nb−Zr系非晶質膜は結晶化が起こり
透磁率が著しく劣化しており、磁気ヘッド作製工程上制
約を受ける。
実施例11 Fe72.7Cu1.1Nb3.2Si16.56.5の組成を有する厚さ3
μmの本発明合金膜をホトセラム基板上に作製し、実効
透磁率の周波数依存性を測定した。
得られた結果を第4図に示す。
本発明合金膜は広い周波数範囲にわたり高い透磁率を
示し、VTRやコンピュータ記憶装置用の磁気ヘッドに適
している。
〔発明の効果〕
本発明によれば、飽和磁束密度が高く、高透磁率を示
し、ガラスボンディング等が可能なFe基軟磁性合金膜、
および高密度磁気記録が可能な磁気ヘッドを得ることが
できるためその効果は著しいものがある。
【図面の簡単な説明】
第1図は熱処理前の膜および熱処理を行った本発明合金
膜のX線回折パターンを示す図、第2図は本発明に係る
磁気ヘッドの概略図の一例を示した図、第3図は本発明
の磁気ヘッドの記録再生特性の一例を示した図、第4図
は本発明合金膜の実効透磁率μeの周波数依存性の一例
を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 俊一 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属 株式会社磁性材料研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−183876(JP,A)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式: (Fe1-aMa100-x-y-z-αβγAxSiyBzM′αM″β
    Xγ (原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,
    Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種
    の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元
    素,Au,Zn,Sn,Re,Mg,Ca,Sr,Ba,Na,K,Rbからなる群から選
    ばれた少なくとも1種の元素、AはCu及び/又はAg、x
    はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,As,Nからなる群から選ばれた少
    なくとも1種の元素であり、a,x,y,z,α,β及びγは、
    それぞれ0≦a<0.5,0.1≦x≦10,0≦y≦30,0≦z≦2
    5,0≦y+z+γ≦35,0.1≦α≦30,0≦β≦15,0≦γ≦2
    0及びx+α+β+γ≦30を満たす。)により表される
    組成を有し、組織の少なくとも50%が微細な結晶粒から
    なり、各結晶粒の最大寸法で測定した粒径の平均が500
    Å以下であることを特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金膜において、前記組織の残部が非晶質であることを
    特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金膜において、前記組織が実質的に微細な結晶粒から
    なることを特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれ
    かに記載のFe基軟磁性合金膜において、前記M′がNb,M
    oおよびTaから選ばれる少なくとも1種以上であること
    を特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金膜において、y,zおよびαが10≦y+z+γ≦35,0.
    1≦α≦10なる関係を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金膜。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金膜において、y,zおよびαが、0≦y+z+γ≦10,
    10<α≦30なる関係式を満足することを特徴とするFe基
    軟磁性合金膜。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金膜においてa,y,zおよびαが0≦a≦0.3,0≦y≦2
    5,2≦z≦25,15≦y+z≦30,0.1≦α≦10なる関係式を
    満足することを特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第7項に記載のFe基軟磁性
    合金膜において、 0≦a≦0.3,0.5≦x≦2,8≦y≦23,3≦z≦18,18≦y
    +z≦26,2≦α≦8であることを特徴とするFe基軟磁性
    合金膜。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金膜において、M″がRu,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Au,Cr,Vか
    ら選ばれる少なくとも1種であり、βが、0<β≦10な
    る関係式を満足することを特徴とするFe基軟磁性合金
    膜。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第1項乃至第9項のいず
    れかに記載のFe基軟磁性合金膜において、各結晶粒の最
    大寸法で測定した粒径の平均が50〜200Åであることを
    特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁
    性合金膜において、xが0.5≦x≦2なる関係を有する
    ことを特徴とするFe基軟磁性合金膜。
  12. 【請求項12】非磁性膜あるいは強磁性軟磁性膜と交互
    に積層し、積層膜としたことを特徴とする特許請求の範
    囲第1項乃至第11項のいずれかに記載のFe基軟磁性合金
    膜。
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