JP2657710B2 - 軟磁性薄膜の製造方法 - Google Patents

軟磁性薄膜の製造方法

Info

Publication number
JP2657710B2
JP2657710B2 JP2196335A JP19633590A JP2657710B2 JP 2657710 B2 JP2657710 B2 JP 2657710B2 JP 2196335 A JP2196335 A JP 2196335A JP 19633590 A JP19633590 A JP 19633590A JP 2657710 B2 JP2657710 B2 JP 2657710B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
soft magnetic
heat treatment
magnetic thin
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2196335A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0489607A (ja
Inventor
治 清水
寛次 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2196335A priority Critical patent/JP2657710B2/ja
Publication of JPH0489607A publication Critical patent/JPH0489607A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2657710B2 publication Critical patent/JP2657710B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,高飽和磁束密度と高周波透磁率を持ち,高
密度記録再生用磁気ヘッドのコア材料等に好適な軟磁性
薄膜及びその製造方法に関する。
〔発明の背景〕
例えばオーディオテープレコーダやVTR(ビデオテー
プレコーダ)等の磁気記録再生装置においては,記録信
号の高密度化や高品質化等が進められており,この高記
録密度化に対応して,磁気記録媒体として磁性粉にFe,C
o,Ni等の金属あるいは合金からなる粉末を用いた,いわ
ゆるメタルテープや,強磁性金属材料を真空薄膜形成技
術によりベースフィルム上に直接被着した,いわゆる蒸
着テープ等が開発され,各分野で実用化されている。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ところで,このような所定の保磁力を有する磁気記録
媒体の特性を発揮せしめるためには,磁気ヘッドのコア
材料の特性として,高い飽和磁束密度を有するととも
に,同一の磁気ヘッドで再生を行なおうとする場合にお
いては,高透磁率を併せて有することが要求される。
従来は,センダスト合金(Fe−Si−Al,Bs10KG)や,
Co系アモルファス合金などが用いられていたが,センダ
スト合金は,膜の内部応力が大きく,また結晶粒が成長
し易く厚膜化が難しい。また,飽和磁束密度Bsが10KG程
度で,今以上の高密度記録には飽和磁束密度Bsが不充分
である。また,Co系アモルファス合金は特性も良く高飽
和磁束密度Bsのものも作製できるが,450℃程度で結晶化
してしまうため,ヘッド形成する際に高温でガラス接合
できず,充分な接合強度が得られないという難点があっ
た。
その他の軟磁性材料としては窒化鉄があり,一般に,
窒素含有雰囲気中で鉄をターゲットとしてイオンビーム
蒸着あるいはスパッタリング等により薄膜状に形成され
る。しかしながら,この軟磁性薄膜は,ガラスボンディ
ング等の際の加熱によって保磁力が大幅に上昇してしま
い特性の安定性が不充分であるという問題があった。
特開昭63−299219号公報には,このような問題点を改
良せんとした次の軟磁性薄膜が記載されている。
「FexNyAz(ただし,x,y,zは各々組成比を原子%とし
て表し,AはSi,Al,Ta,B,Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Mn,Zr,Nb,Ti,M
o,V,W,Hf,Ga,Ge,希土類元素の少なくとも1種を表
す。)なる組成式で示され,その組成範囲が 0.5≦y≦5.0 0.5≦z≦7.5 x+y+z=100 であることを特徴とする軟磁性薄膜。」 前記軟磁性薄膜は,前記Aで表わされた元素と鉄との
合金を調製し,該合金をターゲットとして窒素を含む雰
囲気中でのスパッタリングにより形成される。アルカリ
土類金属等の鉄と固溶しない金属については,そのチッ
プを作成し該チップを鉄ターゲット上に置いてスパッタ
リングを行なう。
しかし,特開昭63−299219号公報に記載の方法で製造
された軟磁性薄膜もまた加熱によって保磁力が上昇する
のを避けられない。
さらに一軸異方性を有していないため高周波における
透磁率を高くすることがきないという欠点がある。
また,製膜条件にもよるが,一般的に結晶質材料は,
膜を付着する過程でセルフシャドウイング効果によって
柱状晶になり易く,粒界部にボイド形成されるために磁
気的に不連続になり軟磁性特性が劣化してしまう傾向が
ある。このセルフシャドウイング効果は,磁気ヘッドを
作製する際の様に下地に段差がある場合や厚膜化する場
合に特に顕著となり,充分な特性が得られないという難
点があった。
本発明は,上記従来技術の問題点を改良し,特に高透
磁率を有する軟磁性薄膜及びその製造方法の提供を目的
とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明によれば次の軟磁性薄膜の製造方法により上記
目的を達成することができる。
FeaBbNc(但し,a,b,cは各々原子%を示し,BはZr,Hf,T
i,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1種以上を表わす。)なる
組成式で示され,その組成範囲は 0<b≦20 0<c≦22 の範囲(但し,b≦7.5且つc≦5を除く)である非晶質
合金膜を、線熱膨張係数が110×10-7以下の基板に形成
し,前記非晶質合金膜を熱処理によって結晶化させると
共に熱処理後に圧縮応力を残さないことを特徴とする軟
磁性薄膜の製造方法。この組成範囲を点E,F,G,H,I,Jに
より第1図に示す。
また、本発明によれば、次の軟磁性薄膜により上記目
的を達成することができる。
FeaBbNc(但し、a,b,cは各々原子%を示し、BはZr,H
f,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1種以上を表わす。)
なる組成式で示され、その組成範囲は 0<b≦20 0<c≦22 の範囲(但し、b≦7.5且つc≦5を除く)である軟磁
性薄膜であって、 線熱膨張係数が110×10-7以下の基板に形成される応
力を有さないか又は引張応力を有することを特徴とする
軟磁性薄膜。
前記特定組成の非晶質合金膜は,段差のある下地に形
成された場合のステップカバレッジは良好であるが,良
好な軟磁性特性を示さなかった。ところが,前記非晶質
合金膜を線熱膨張係数が110×10-7以下の基板に形成し
熱処理して結晶化させると共に熱処理後に圧縮応力を残
さないことにより,高透磁率を有する軟磁性薄膜が得ら
れるということを本願発明者は見い出し,本発明を完成
するに至った。
前記非晶質合金膜を熱処理によって結晶化させること
により,軟磁性薄膜を得ることができる。さらに,線熱
膨張係数が110×10-7以下の基板に形成した前記非晶質
合金膜を熱処理して熱処理後に圧縮応力を残さないこと
により,高透磁率の軟磁性薄膜を得ることができる。
熱処理後に圧縮応力の残さないとは,熱処理後の常温
(例えば24℃)における軟磁性薄膜に応力を残さない
が,又は引張応力を残すことを意味する。好ましい引張
応力の範囲は0〜1.0GPaである。引張応力が1.0GPaを越
えると膜が剥離する可能性がある。
熱処理後に圧縮応力を残さないようにするためには,
好ましくは,室温〜600℃程度の温度範囲における線熱
膨張係数αが110×10-7以下の基板に前記非晶質合金膜
を形成して熱処理を行なう。以下,これについて説明す
る。
前記非晶質合金膜は,例えばRFスパッタ法により常温
で形成でき,この場合には基板の線熱膨張係数αにかか
わらず圧縮応力が残る。熱処理は,好ましくは350〜650
℃で行なう。同じ温度及び時間まで熱処理すると,前記
圧縮応力が緩和されると考えられる。ところが熱処理温
度から常温に至るまでの間の温度変化により,線熱膨張
係数αが110×10-7以下の基板を使用した場合に得られ
る軟磁性薄膜には,応力が残らず(αがおよそ110×10
-7の場合),又は引張応力が残り,基板のαが110×10
-7からしだいに小さくなるにつれて,軟磁性薄膜に残る
引張応力もしだいに大きくなる。一方,線熱膨張係数α
が110×10-7を越える基板を使用した場合に得られる軟
磁性薄膜には,圧縮応力が残り,αが110×10-7からし
だいに大きくなるにつれて,軟磁性薄膜に残る圧縮応力
もしだいに大きくなる。
軟磁性薄膜に残る上記応力の変異は,形成された基板
の線熱膨張係数αの差異によるものと考えられる。熱処
理前の非晶質合金膜に応力が存在していたとしても,基
板に形成された膜の応力は,熱処理により緩和され,熱
処理温度においては応力が0又は小さな値で一様にな
る。基板に形成された膜は,熱処理の温度から常温にな
る間に収縮すると考えられるので,膜の収縮を越えて基
板が収縮した場合には膜に圧縮応力が残り,膜の収縮ほ
どには基板が収納しない場合には膜に引張応力が残るこ
とになる。膜に残る応力が圧縮応力であるか引張応力で
あるかは,膜が形成された基板の線熱膨張係数αがおお
むね110×10-7を境界にする。
線熱膨張係数αが110×10-7以下の基板を使用した場
合により行なう熱処理の好ましい時間は,1〜5時間(よ
り好ましくは2〜4時間)である。基板の線熱膨張係数
αが110×10-7の場合,熱処理時間に影響されることな
く,高透磁率の軟磁性薄膜を得ることができる。
軟磁性薄膜は,低保持力,高飽和磁束密度等の他の軟
磁気特性も良好であることも合わせて必要とされる。基
板のαがおよそ110×10-7の場合は,製造時の熱処理時
間が長時間になっても透磁率が低下しないので,必要と
される他の軟磁気特性を得るための熱処理時間による熱
処理により製造する場合,高透磁率とともに他の所望の
軟磁気特性をもあわせて有することができる。
また,軟磁性薄膜は,磁気ヘッドのコア材料として使
用されるが,磁気ヘッドの製造過程においては,熱処理
工程が何段階にもわたって必要な場合もある。基板のα
がおよそ110×10-7の場合は、軟磁性薄膜として形成さ
れた後の熱処理に対しても透磁率が安定しており低下し
ない。
好ましくは,前記非晶質合金膜の組成範囲は 69≦a≦93 2≦b≦15 5.5≦c≦22 の範囲である。この組成範囲を点Q,K,L,U,Mにより第1
図に示す。
より好ましくは,前記非晶質合金膜の組成範囲は,前
記三者の三成分組成座標系(Fe,B,N)において P(91,2,7) Q(92.5,2,5.5) R(87,7.5,5.5) S(73,12,15) T(69,12,19) U(69,9,22) V(76,5,19) の7点を結ぶ線分で囲まれた範囲である。この組成範囲
を点P,Q,R,S,T,U,Vにより第1図に示す。
さらに、好ましくは,前記熱処理を磁界中で行ない,
一軸異方性を有する軟磁性薄膜を得る。
前記結晶の粒径は,好ましくは300Å以下である。
〔好適な実施態様〕
線膨張係数αが110×10-7の基板としては,例えば,
非磁性フェライト,磁性フェライト,サファイア等があ
る。αが60×10-7程度の基板も用いることができる。
本発明における非晶質合金膜は,Fe及びNと,特定の
添加元素B,即ち,Zr,Hf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1
種以上の元素とから成り,これらFeとNと特定の添加元
素B(2種以上も含む)の三者は,前記特定の組成範囲
内にある。
前記組成範囲が,0<b≦20かつ,0<c≦22の範囲(但
し,b≦7.5かつc≦を除く)である場合,好ましくは,b
≧0.5かつc≧0.5とするb<0.5又はc<0.5の場合には
その存在による効果が熱処理によって明瞭でないことが
あるからである。
前記添加元素Bが20原子%を越えるか,又は,Nが22原
子%を越える場合には,熱処理によって良好な軟磁性が
得られない。
前記組成範囲が,69≦a≦93かつ2≦b≦15かつ5.5≦
c≦22の場合は,熱処理によって,より良好な軟磁性を
示す。
より好ましくは,前記非晶質合金膜の組成は,前記三
者の三成分組成座標系(Fe,B,N)において,前記特定の
点P,Q,R,S,T,U,Vの7点を結ぶ線分で囲まれた範囲であ
る。この組成範囲では,熱処理によって保磁力の小さい
軟磁性薄膜を得ることができるので,得られた軟磁性薄
膜は特に磁気ヘッドのコア材料等に好適である。最も好
ましい範囲は,保持力が1.5Oe以下(さらには1Oe以下)
を示す軟磁性薄膜を得ることができる組成範囲である。
前記添加元素BがZrである場合,非晶質合金膜の好ま
しい組成範囲は, Fed(Zre N1-e100-d 77≦d≦88 0.3≦e≦0.38 で示される範囲である。この組成範囲を点W,X,Y,Zによ
り第1図に示す。これらの点W,X,Y,Zの座標は,ほぼ次
のとおりである。
W(88,3.6,8.4) X(88,4.56,7.44) Y(77,8.74,14,26) Z(77,6.9,16.1) 即ち,この範囲では,Feを77〜88原子%含み,かつ,
非晶質合金膜中のZrの含有率b(原子%)とNの含有率
c(原子%)の比c/bがおよそ1.63〜2.33となってい
る。この組成範囲の非晶質合金膜を用いれば,本発明の
製造方法により良好な軟磁性を示す薄膜(例えば,保磁
力Hc<5Oe)を得ることができる。
前記添加元素は,一種又は二種以上にすることができ
る。例えばZrのみ添加することができるが,その他の添
加元素でZrの一部(例えば添加されるZrのうちの30原子
%)を置き換えることができる。
また,FeはCo,Ni又はRuの一種以上で置き換えることが
できる。例えば非晶質合金膜を構成するFeのうちの30原
子%程度まで置き換えることができる。
本発明における前記特定組成の非晶質合金膜は,例え
ばRFスパッタ法等の気相析着法により得ることができ
る。この非晶質合金膜を,その結晶化温度以上で熱処理
し前記非晶質合金間の一部ないし全部を結晶化させて製
造することができる。好ましくは,350〜650℃で熱処理
する。より好ましくは,前記熱処理を磁界中において行
ない,一軸磁気異方性を誘導し前記非晶質薄膜の一部な
いし全部を結晶化させて製造することができる。前記磁
界は,好ましくは,前記非晶質薄膜の反磁界よりも充分
大きな磁界とする。
[実施例] (実施例1) 組成Fe90Zr10の合金ターゲットを作製し,6モル%の窒
素を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で,ガス圧力0.
15Pa,投入電力1000Wの条件で高周波スパッタリングを行
ない,線熱膨張係数α=110×10-7のCaTiO3基板の上に
厚さ100ÅのSiO2を製膜した基板のSiCO2膜上(スパッタ
リング中の基板温度は常温に保持されていた)に厚さ5
μmのFe−Zr−N非晶質薄膜を製膜した。
前記非晶質薄膜を550℃で夫々,1,2,4,7及び8.5時間熱
処理して応力がほぼ0の5種のFe−Zr−N軟磁性薄膜を
得た。
(実施例2) 基板として線熱膨張係数α=85×10-7の非磁性フェラ
イト基板を用いる以外は実施例1と同様にして厚さ5μ
mのFe−Zr−N非晶質薄膜を製膜した。
前記非晶質薄膜を550℃で夫々,1,2,4,7及び8.5時間熱
処理して引張応力を残した5種のFe−Zr−N軟磁性薄膜
を得た。
(参考例1) 基板として線熱膨張係数α=120×10-7の結晶化ガラ
ス基板を用いる以外は実施例1と同様にして厚さ5μm
のFe−Zr−N非晶質薄膜を製膜した。
前記非晶質薄膜を550℃で夫々,1,2,4,7及び8.5時間熱
処理して圧縮応力を残した5種のFe−Zr−N軟磁性薄膜
を得た。
(参考例2) 基板として線熱膨張係数α=130×10-7の基板(商品
名MN−130:日立金属製)を用いる以外は実施例1と同様
にして厚さ5μmのFe−Zr−N非晶質薄膜を製膜した。
前記非晶質薄膜を550℃で夫々,1,2,4,7及び8.5時間熱
処理して圧縮応力を残した5種のFe−Zr−N軟磁性薄膜
を得た。
透磁率の測定 前記実施例1,2及び参考例1,2で得られた夫々の軟磁性
薄膜の1MHzにおける透磁率を8の字コイル法により測定
した。その結果を第2図及び第3図に示す。第2図は,
軟磁性薄膜を線熱膨張係数αの異なる基板に製膜した時
の熱処理時間に対する透磁率μ(1MHz)の変化を示す。
第3図は,基板の線熱膨張係数αに対する,熱処理時間
を変えた時の1MHzにおける最大の透磁率を示す。
第2図によれば,αが110×10-7の場合には熱処理時
間にあまり影響されることなく高透磁率の軟磁性薄膜を
製造することができ,αが85×10-7の場合には熱処理時
間が4時間のときに最大の透磁率を示す軟磁性薄膜を製
造することができるということがわかる。また,αが12
0×10-7の場合には熱処理時間が増加するにつれて透磁
率も増加するが,その値はαが110×10-7以下の場合に
比べて小さく,αが130×10-7の場合にはαが120×10-7
の場合に比べてさらにその値が小さくなっているという
ことがわかる。
第3図によれば,αが110×10-7以下の場合には熱処
理時間を変えた時に得られる軟磁性薄膜の最大の透磁率
はほぼ同じであるが,αが110×10-7未満の範囲ではα
が大きくなるにつれて前記最大の透磁率はしだいに小さ
くなるということがわかる。
応力の測定 基板の熱膨張係数と膜中応力の関係を調べる為各種の
基板にFe−Zr−N非晶質薄膜を製膜し550℃,1時間の熱
処理を施したのち基板のそりを測定して膜中残留応力を
測定した。この結果を第4図に示す。
〔発明の効果〕
本発明の製造方法によれば,透磁率の高い軟磁性薄膜
を製造することができる。即ち,本発明の製造方法によ
り製造された軟磁性薄膜は,高透磁率を有するととも
に,センダスト合金やアモルファス軟磁性合金よりもは
るかに高い飽和磁束密度をも有し,かつ,磁歪が零のも
のもあり,低保磁力の優れた軟磁気特性を有することが
できる。
また,得られた軟磁性薄膜の電気抵抗率もセンダスト
並に高く,熱処理を磁界中で行なうことによって一軸異
方性を持たせることができ,その大きさも組成や熱処理
時間によって制御することができるので,目的に応じた
高い高周波透磁率を得ることができる。さらに,得られ
た軟磁性薄膜は,650℃までの熱処理によっても磁性が劣
化しないことから,ガラスボンディングなどに対する耐
熱性にも優れており,あわせて高い硬度と耐食性を持つ
ことから,耐摩耗性も高く,信頼性の高い材料となって
いる。
本発明の軟磁性薄膜の製造方法は,非晶質合金膜とし
て形成し熱処理によって後から微結晶化させるので,例
えば磁気ヘッドを製造する際の様に下地に段差がある場
合でも,膜形成にあたってステップカバレッジが良好で
かつ鏡面が得られ易く多層膜化などの手段に依らなくて
も結晶粒の粗大化を防ぐことができる。そのため厚膜化
することが可能である。
従って,本発明により製造された軟磁性薄膜を例えば
磁気ヘッドのコア材料として用いることによって,高保
磁力の磁気記録媒体に対応することができ,高品質化,
高帯域化,高記録密度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は,本発明における非晶質合金膜の組成範囲を示
す図である。第2図は,軟磁性薄膜を線熱膨張係数αの
異なる基板に製膜した時の熱処理時間に対する透磁率μ
(1MHz)の変化を示す図である。第3図は,基板の線熱
膨張係数αに対する,熱処理時間を変えた時の1MHzにお
ける最大の透磁率を示す図である。第4図は基板の熱膨
張係数と550℃熱処理後の膜中応力の関係を示す図であ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】FeaBbNc(但し、a,b,cは各々原子%を示
    し、BはZr,Hf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1種以上
    を表わす。)なる組成式で示され、その組成範囲は 0<b≦20 0<c≦22 の範囲(但し、b≦7.5且つc≦5を除く)である非晶
    質合金膜を、線熱膨張係数が110×10-7以下の基板に形
    成し、前記非晶質合金膜を熱処理によって結晶化させる
    と共に熱処理後に圧縮応力を残さないことを特徴とする
    軟磁性薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】FeaBbNc(但し、a,b,cは各々原子%を示
    し、BはZr,Hf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1種以上
    を表わす。)なる組成式で示され、その組成範囲は 0<b≦20 0<c≦22 の範囲(但し、b≦7.5且つc≦5を除く)である軟磁
    性薄膜であって、 線熱膨張係数が110×10-7以下の基板に形成され応力を
    有さないか又は引張応力を有することを特徴とする軟磁
    性薄膜。
JP2196335A 1990-07-26 1990-07-26 軟磁性薄膜の製造方法 Expired - Fee Related JP2657710B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2196335A JP2657710B2 (ja) 1990-07-26 1990-07-26 軟磁性薄膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2196335A JP2657710B2 (ja) 1990-07-26 1990-07-26 軟磁性薄膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0489607A JPH0489607A (ja) 1992-03-23
JP2657710B2 true JP2657710B2 (ja) 1997-09-24

Family

ID=16356121

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2196335A Expired - Fee Related JP2657710B2 (ja) 1990-07-26 1990-07-26 軟磁性薄膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2657710B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03263306A (ja) * 1990-02-02 1991-11-22 Nec Corp 磁性体膜および磁気ヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0489607A (ja) 1992-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4918555A (en) Magnetic head containing an Fe-base soft magnetic alloy layer
JP2550996B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP2698814B2 (ja) 軟磁性薄膜
JPH07116563B2 (ja) Fe基軟磁性合金
JPH0744108B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP2657710B2 (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JPH0484403A (ja) 軟磁性薄膜
JPH03263306A (ja) 磁性体膜および磁気ヘッド
JP2584687B2 (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JP2508479B2 (ja) 軟磁性フエライト薄膜
JP2775770B2 (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JP3127075B2 (ja) 軟磁性合金膜と磁気ヘッドおよび軟磁性合金膜の熱膨張係数の調整方法
JP2698813B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP2784105B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP2508462B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP2556863B2 (ja) Fe基磁性合金膜
JP2979557B2 (ja) 軟磁性膜
JP2698864B2 (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JPH031513A (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JPH08107036A (ja) 軟磁性薄膜及びそれを用いた磁気記録装置
JPS61234510A (ja) 軟磁性薄膜
JPH0489606A (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JPH05234751A (ja) 薄膜磁気ヘッド用高飽和磁束密度を有する軟磁性合金膜及び磁気ヘッド。
JPH0393011A (ja) 複合磁気ヘッド
JPH04214831A (ja) 軟磁性膜

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370