JPH044393B2 - - Google Patents

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JPH044393B2
JPH044393B2 JP31718987A JP31718987A JPH044393B2 JP H044393 B2 JPH044393 B2 JP H044393B2 JP 31718987 A JP31718987 A JP 31718987A JP 31718987 A JP31718987 A JP 31718987A JP H044393 B2 JPH044393 B2 JP H044393B2
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【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、優れた磁気特性を有するFe基軟磁
性合金、特に各種トランス、チヨークコイル、可
飽和リアクトル、磁気ヘツド等に好適な低磁歪
Fe基軟磁性合金に関するものである。 〔従来の技術及び問題点〕 従来、高周波トランス、磁気ヘツド、可飽和リ
アクトル、チヨークコイル等の磁心材料として、
うず電流損が少ない等の利点を有するフエライト
が主に用いられていた。しかしフエライトは飽和
磁束密度が低く、温度特性も悪いため、高周波ト
ランスやチヨークコイルに用いる場合磁心を小形
化することが困難であるという欠点があつた。 またこれらの用途に対しては、含浸、モールド
等を行つたり、加工を行つても特性劣化が小さ
く、内部に歪みが残留していても比較的優れた軟
磁気特性を示すという理由のために、特に磁歪が
小さい合金が好まれ、使用されている。 磁歪が特に小さい軟磁性合金としては、6.5wt
%ケイ素鋼やFe−Si−Al合金、80wt%Niパーマ
ロイ合金等が知られており、飽和磁歪λs0が
実現されている。 しかし、ケイ素鋼は飽和磁束密度は高いが軟磁
気特性、特に高周波における透磁率やコア損失が
劣るという欠点がある。Fe−Si−Al合金は、ケ
イ素鋼より軟磁気特性が優れているが、Co基ア
モルフアス合金等と比べると十分でなく、その
上、脆化しているため薄帯化しても巻いたり、加
工するのがひじように困難な欠点がある。80wt
%Niパーマロイ合金は、飽和磁束密度が8KG程
度と低く、磁歪は小さいが塑性変形しやすいため
特性が変形により劣化する欠点がある。 近年、このような従来の磁心材料に対抗するも
のとして高い飽和磁束密度を有する非晶質磁性合
金が有望視されており、種々の組成のものが開発
されている。非晶質合金は主としてFe系とCo系
に大別され、Fe系の非晶質合金は材料コストが
Co系に比べ安くつくという利点がある反面、一
般的に高周波においてCo系非晶質合金よりコア
損失が大きく、透磁率も低いという問題がある。
これに対しCo系の非晶質合金は高周波のコア損
失が小さく、透磁率も高いが、コア損失や透磁率
の経時変化が大きく実用上問題が多い。さらに高
価なCoを主原料とするため価格的な不利は免れ
ない。 このような状況化でFe基非晶質磁性合金につ
いて種々の提案がなされた。 特公昭60−17019号は、74〜84原子%のFeと、
8〜24原子%のBと、16原子%以下のSi及び3原
子%以下のCの少なくとも1つとからなる組成を
有し、その構造の少くとも85%が非晶質金属素地
の形を有し、かつ非晶質金属素地の全体にわたつ
て不連続に分布した合金成分の結晶質析出粒子群
を有しており、結晶質の粒子群は0.05−1μmの平
均粒度及び1〜10μmの平均粒子間距離を有して
おり、粒子群は全体の0.01〜0.3の平均容積分率
を占めていることを特徴とするFe基含硼素磁性
非晶質合金を開示している。この合金の結晶質粒
子群は磁壁のピンニング点として作用する不連続
な分布のα−(Fe,Si)粒子群であるとされてい
る。 しかし、このFe基非晶質磁性合金は不連続な
結晶質粒子群の存在によりコア損失が減少してい
るが、それでもコア損失は依然大きく、透磁率も
Co基非晶質合金並の特性は得られず、本発明の
目的とする高周波トランスやチヨークの磁心用材
料としては満足でない。 また特開昭60−52557号はFea Cub Bc Sid
(ただし75≦a≦85、0≦b≦1.5、10≦c≦20、
d≦10かつc+d≦30)からなる低損失非晶質磁
性合金を開示している。 しかし、このFe基非晶質合金はCuを含有して
いるためにコア損失が著しく低下しているが、そ
れでも上記結晶質粒子含有Fe基非晶質合金と同
様に満足ではない。さらにコア損失の経時変化、
透磁率等に関しても十分ではないという問題があ
る。 さらに、磁歪を低減する方法としては、たとえ
ば、Mo又はNbによつて低磁歪化を図り、併せて
低損失化する試みがある(Inomate et al.,J.
Appl.phys.54(11),Nov.1983 p6553〜p6557)。 しかし、Fe基アモルフアス合金の場合は飽和
磁歪λsと飽和磁化Msの2乗がほぼ比例関係にあ
ることが知られており(牧野、他;日本応用磁気
学会第4回研究会資料(1987)、43)、飽和磁化が
ほとんど零にならないと磁歪が零に近ずかない。
このような組成ではキユリー温度が著しく低く実
用材料にはならない。このため現在使用されてい
るFe基アモルフアス合金は磁歪が十分小さくな
つておらず、含浸を行つた場合等は軟磁気特性が
劣化した状態で使用されており、Co基アモルフ
アス合金より著しく軟磁気特性は劣つている。 従つて、本発明の目的はコア損失、コア損失の
経時変化、透磁率その他の磁気特性に優れた新規
なFe基軟磁性合金を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、軟磁気特性(特に
高周波磁気特性)に優れ、含浸や変形等による特
性劣化の小さい低磁歪のFe基軟磁性合金を提供
することを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は
Fe−Si−Bを基本成分とする合金にCuと、Nb,
W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選
ばれる少なくとも1種の元素とを複合添加し、一
旦非晶質合金とした後で適当な熱処理をすること
により、組織の大半が微細結晶粒からなる軟磁気
特性に優れたFe基軟磁性合金が得られ、かつ合
金組成を適当に限定することにより、低磁歪の合
金となることを発見し、本発明に想到した。 すなわち、本発明の第一のFe基軟磁性合金は 一般式: (Fe1-aMa100-x-y-z-〓 CuxSiyBzM′〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素であり、0≦a
≦0.5、0.1≦x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、
5≦y+z≦30、0.1≦α≦30を満たす。)により
表される組成を有し、組織の少なくとも50%が
1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒から
なり、残部が実質的に非晶質であることを特徴と
する。本発明の第二のFe基軟磁性合金は、一般
式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z--〓 CuXSiYBZM′〓M″〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,
Cr,Mn,Al、白金属元素、Sc,Y、希土類元
素、Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少
なくとも1種の元素であり、a,x,y,z,α
及びβはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0
≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0.1≦
α≦30、及びβ≦10を満たす。)により表される
組成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下
の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部
が実質的に非晶質であることを特徴とする。 本発明の第三のFe基軟磁性合金は、一般式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z--〓 CuXSiYBZM′〓X〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素、XはC,Ge,
P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれ
た少なくとも1種の元素であり、a,x,y,
z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦
3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、
0.1≦α≦30、及びγ≦10を満たす。)により表さ
れる組成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å
以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、
残部が実質的に非晶質であることを特徴とする。 本発明の第四のFe基軟磁性合金は、一般式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z---〓 CuXSiYBZM′〓M″〓X〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,
Cr,Mn,Al、白金属元素、Sc,Y、希土類元
素、Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少
なくとも1種の元素、XはC,Ge,P,Ga,
Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なく
とも1種の元素であり、a,x,y,z,α,β
及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0
≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0.1≦
α≦30、β≦10及びγ≦10を満たす。)により表
される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000
Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からな
り、残部が実質的に非晶質であることを特徴とす
る。 本発明のFe基軟磁性合金において、Feは0〜
0.5の範囲でCo及び/又はNiで置換してもよい。
しかし、良好な磁気特性(低コア損失、低磁歪)
を得るためには、Co及び/又はNiの含有量“a”
は0〜0.1の範囲が好ましい。特に低磁歪の合金
とするためには、aの範囲を0〜0.05の範囲にす
るのが好ましい。 本発明において、Cuは必須元素であり、その
含有量xは0.1〜3原子%の範囲である。0.1原子
%より少ないとCuの添加によるコア損失低下、
透磁率上昇の効果がほとんどなく、一方3原子%
より多いとコア損失が未添加のものよりかえつて
大きくなることがあり、透磁率も劣化する。本発
明において好ましいCuの含有量xは0.5〜2原子
%であり、この範囲ではコア損失が特に小さく透
磁率が高い。 Cuのコア損失低下、透磁率上昇作用の原因は
明らかではないが次のように考えられる。 CuとFeの相互作用パラメータは正であり、固
溶度は低いが、Fe基原子同志またはCu原子同志
が寄り集まりクラスターを形成するため組成ゆら
ぎが生じる。このため部分的に結晶化しやすい領
域が多数でき、そこを核とした微細な結晶粒が生
成される。この結晶はFeを主成分とするもので
あり、FeとCuの固溶度はほとんどないため結晶
化によりCuは微細結晶粒の周囲にはき出され、
結晶粒周辺のCu濃度が高くなる。このため結晶
粒は成長しにくいと考えられる。 Cu添加により結晶核が多数できることと結晶
粒が成長しにくいため結晶粒微細化が起こると考
えられるが、この作用はNb,Ta,W,Mo,Zr,
Hf,Ti等の存在により特に著しくなると考えら
れる。 Nb,Ta,W,Mo,Zr,Hf,Ti等が存在しな
い場合は結晶粒はあまり微細化されず軟磁気特性
も悪い。Nb,Moは特に効果が大きいが、これら
の元素の中でNbを添加した場合特に結晶粒が細
くなりやすく、軟磁気特性も優れたものが得られ
る。またFeを主成分とする微細結晶相が生ずる
ためFe基非晶質合金に比べる磁歪が小さくなり、
内部応力−歪による磁気異方性が小さくなること
も軟磁気特性が改善される理由と考えられる。 Cuを添加しない場合は結晶粒は微細化されに
くく、化合物相が形成しやすいため結晶化により
磁気特性は劣化する。 Si及びBは、合金組織の微細化に特に有用な元
素である。本発明のFe基軟磁性合金は、好まし
くは、一旦Si,Bの添加効果により非晶質合金と
した後で熱処理により微細結晶粒を形成させるこ
とにより得られる。Si及びBの含有量y及びzの
限定理由は、yが30原子%以下、zが25原子%以
下、y+zが5〜30原子%でないと、合金の飽和
磁束密度の著しい減少があることである。 本発明において、yの好ましい範囲は6〜25原
子%であり、zの好ましい範囲は2〜25原子%で
あり、y+zの好ましい範囲は14〜30原子%の範
囲である。Si含有量yの限定理由は、yが25原子
%を超えると軟磁気特性の良好な条件では磁歪が
大きくなつてしまい好ましくなく、yが6原子%
未満では十分な軟磁気特性が得られないためであ
る。Bの含有量zの限定理由は、zが2原子%未
満では均一な結晶粒組織が得にくくて軟磁気特性
が劣化し、zが25原子%を超えると軟磁気特性の
良好な熱処理条件では磁歪が大きくなつてしまい
好ましくないためである。SiとBの総和量y+z
の値に関しては、y+zが14原子%未満ではロー
ル法による非晶質化が困難になる。一方、y+z
が30原子%を超えると飽和磁束密度の著しい低下
および軟磁気特性の劣化および磁歪の増加があ
る。より好ましいSi,B含有量の範囲は10≦y≦
25、3≦z≦18、18≦y+z≦28であり、この範
囲では−5×10-6〜+5×10-6の範囲の飽和磁歪
で軟磁気特性の優れた合金が得られやすい。 特に好ましくは11≦y≦24、3≦z≦9、18≦
y+z≦27であり、この範囲では−1.5×10-6
+1.5×10-6の範囲の飽和磁歪の合金が得られや
すい。 本発明においてM′はCuとの複合添加により析
出する結晶粒を微細化する作用を有するものであ
り、Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる
群から選ばれた少なくとも1種の元素である。
Nb等は合金の結晶化温度を上昇させる作用を有
するが、クラスターを形成し結晶化温度を低下さ
せる作用を有するCuとの相互作用により、結晶
粒の成長を抑え、析出する結晶粒が微細化するも
のと考えられる。なお、Nb、Bや、後述するC
の添加によるNbC、TaC等の化合物が一部形成
されても良い。 M′の含有量αは0.1〜30原子%であり、0.1原子
%未満だと結晶粒微細化の効果が不十分であり、
30原子%を超えると飽和磁束密度の著しい低下を
招く。好ましいM′の含有量αは1〜10原子%で
ある。より好ましいαの範囲は2≦α≦8であ
り、この範囲で特に優れた軟磁性が得られる。な
おM′としてNbが磁気特性の面で最も好ましい。
またM′の添加によりCo基高透磁率材料と同等の
高い透磁率を有するようになる。 V,Cr,Mn,Al、白金属元素、Sc,Y、希土
類元素、Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれ
た少なくとも1種の元素であるM″は耐食性を改
善したり、磁気特性を改善したり、磁歪は調整し
たりする目的のために添加することができるもの
であるが、その含有量はせいぜい原子%以下であ
る。それは含有量が10原子%を超えると著しい飽
和磁束密度の低下を招くためであり、特に好まし
い含有量は5原子%以下である。 これらの中でRu,Rh,Pd,Os,Ir,Pr,Au,
Cr,Vから選ばれる少なくとも1種の元素を添
加した場合は特に耐食性、耐摩耗性に優れた合金
となるため、磁気ヘツド材等として好適である。 本発明の合金において、C,Ge,P,Ga,
Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なく
とも1種の元素xを10原子以下含み得る。これら
の元素は非晶質化に有効な元素であり、Si,Bと
共に添加することにより合金の非晶質化を助ける
と共に、磁歪やキユリー温度の調整に効果があ
る。 以上を整理すると、一般式: (Fe1-aMa100-x-y-z-〓 CuxSiyBzM′〓 により表されるFe基軟磁性合金の場合、a,x,
y,z,αの一般的な範囲は、 0≦a≦0.5 0.1≦x≦3 0≦y≦30 0≦z≦25 5≦y+z≦30 0.1≦α≦30 であり、好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.1≦x≦3 6≦y≦25 2≦z≦25 14≦y+z≦30 1≦α≦10 であり、より好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.5≦x≦2 10≦y≦25 3≦z≦18 18≦y+z≦28 2≦α≦8 であり、最も好ましい範囲は 0≦a≦0.05 0.5≦x≦2 11≦y≦24 3≦z≦9 18≦y+z≦27 2≦α≦8 である。 また一般式: (Fe1-aMa100-X-y-z--〓 CuXSiyBZM′〓M″〓 により表されるFe基軟磁性合金の場合、a,x,
y,z,α,βの一般的な範囲は、 0≦a≦0.5 0.1≦x≦3 0≦y≦30 0≦z≦25 5≦y+z≦30 0.1≦α≦30 β≦10 であり、好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.1≦x≦3 6≦y≦25 2≦z≦25 14≦y+z≦30 1≦α≦10 β≦5 であり、より好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.5≦x≦2 10≦y≦25 3≦z≦18 18≦y+z≦28 2≦α≦8 β≦5 であり、最も好ましい範囲は 0≦a≦0.05 0.5≦x≦2 11≦y≦24 3≦z≦9 18≦y+z≦27 2≦α≦8 β≦5 である。 また一般式: (Fe1-aMa100-x-y-z--〓 CuXSiYBZM′〓X〓 により表されるFe基軟磁性合金の場合、a,x,
y,z,α,γの一般的な範囲は、 0≦a≦0.5 0.1≦x≦3 0≦y≦30 0≦z≦25 5≦y+z≦30 0.1≦α≦30 γ≦10 であり、好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.1≦x≦3 6≦y≦25 2≦z≦25 14≦y+z≦30 1≦α≦10 γ≦5 であり、より好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.5≦x≦2 10≦y≦25 3≦z≦18 18≦y+z≦28 2≦α≦8 γ≦5 であり、最も好ましい範囲は 0≦a≦0.05 0.5≦x≦2 11≦y≦24 3≦z≦9 18≦y+z≦27 2≦α≦8 γ≦5 である。 (Fe1-aMa100-X-Y-Z---〓 CuXSiyBZM′〓M″〓X〓 により表されるFe基軟磁性合金の場合、a,x,
y,z,α,β,γの一般的な範囲は、 0≦a≦0.5 0.1≦x≦3 0≦y≦30 0≦z≦25 5≦y+z≦30 0.1≦α≦30 β≦10 γ≦10 であり、好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.1≦x≦3 6≦y≦25 2≦z≦25 14≦y+z≦30 1≦α≦10 β≦5 γ≦5 であり、より好ましい範囲は 0≦a≦0.1 0.5≦x≦2 10≦y≦25 3≦z≦18 18≦y+z≦28 2≦α≦8 β≦5 γ≦5 であり、最も好ましい範囲は 0≦a≦0.05 0.5≦x≦2 11≦y≦24 3≦z≦9 18≦y+z≦27 2≦α≦8 β≦5 γ≦5 である。 上記組成を有する本発明のFe基軟磁性合金は
また組織の少なくとも50%以上が微細な結晶粒か
らなる。微細結晶粒の割合が50%未満であると、
透磁率の増大やコア損の低減等が十分でなくな
る。 この結晶粒はbcc構造のα−Feを主体とするも
のでSiやB等が固溶していると考えられる。この
結晶粒は1000Å以下と著しく小さな平均粒径を有
することを特徴とし、合金組織中に均一に分布し
ている。結晶粒の平均粒径とは各粒子の最大寸法
を平均したものである。平均粒径が1000Åを超え
ると良好な軟磁気特性が得られなくなる。好まし
い平均粒径は500Å以下であり。より好ましくは
200Å以下であり、特に50〜200Åである。 合金組織のうち微細結晶粒以外の部分は主に非
晶質である。なお微細結晶粒の割合が実質的に
100%になつても本発明のFe基軟磁性合金は十分
に優れた磁気特性を示す。 なお、本発明においては、微細結晶粒の割合は
線分法により求める。この線分法は一般的な方法
であり、組織写真中に引かれた任意の線分(長さ
L)が横切る各結晶粒の長さ(L1、L2、L3、…
Lo)の合計(L1+L2+L3+…Lo)を求め、これ
をLで割ることにより、結晶粒の割合を求めるも
のである。なお、結晶粒の割合が約70%以上と多
くなると、結晶粒がほぼ組織全体を占めるように
見えるが、この場合でも幾分非晶質相が存在する
ものと考えられる。というのは、結晶粒の外周部
が顕微鏡写真ではぼやけて見えるが、これは非晶
質相の存在によるためであると考えられるからで
ある。この前提に立つと、ぼやけて見える外周部
の割合から、大体の非晶質相の割合がわかる。こ
のように結晶粒の割合が多い場合、割合を正確な
数値で表すことは極めて困難であり、ほとんど結
晶粒からなるというように表現せざるを得ない。 なお、N,O,S等の不可避的不純物について
は所望の特性が劣化しない程度に含有していても
本発明の合金組成と同一とみなすことができるの
はもちろんである。 次に本発明のFe基軟磁性合金を製造する方法
について説明する。 まず上記所定の組成の溶湯から、片ロール法、
双ロール法等の公知の液体急冷法によりリボン状
の非晶質合金を形成する。通常、片ロール法等に
より製造された非晶質合金リボンの板厚は5〜
100μm程度であるが、板厚が25μm以下のものが
高周波において使用される磁心材料として特に適
している。 この非晶質合金は結晶相を含んでいることもよ
いが、後の熱処理により微細な結晶粒を均一に生
成するためには非晶質であるのが望ましい。液体
急冷法により、熱処理を経ずに本発明の合金を得
ることも可能である。この場合、微細な結晶粒を
生成するためには、(a)リボンの肉厚を比較的大き
くしたり、(b)ロール速度を遅くしたり、(c)ロール
材質として熱伝導率の比較的小さなものを使用し
たり、(d)溶湯温度を比較的高くしたり、(e)ロール
を200〜300℃程度に加熱する等の手段を、単独で
用いるか併用することにより、Feの基合金の急
冷速度を低下させればよい。 非晶質リボンは処理の前に巻回、打ち抜き、エ
ツチング等をして所定の形状に加工する。という
のは非晶質の段階ではリボンは加工性が良いが、
一旦結晶化すると加工性が著しく低下するからで
ある。 熱処理は所定の形状に加工した非晶質合金リボ
ンを通常真空中または水素、窒素等の不活性ガス
雰囲気中において一定時間保持し行なう。熱処理
温度及び時間は非晶質合金リボンからなる磁心の
形状、サイズ、組成等により異なるが、一般的に
450℃〜700℃で5分から24時間程度が望ましい。
熱処理温度が450℃未満であると結晶化が起こり
にくく、熱処理に時間がかかりすぎる。また700
℃より高いと粗大な結晶粒が生成するおそれがあ
り、微細な結晶粒を均一に得ることができなくな
る。また熱処理時間については、5分未満では加
工した合金全体を均一な温度とすることが困難で
あり磁気特性がばらつきやすく、24時間より長い
と生産性が悪くなるだけでなく結晶粒の過剰な成
長により磁気特性の低下が起こりやすい。好まし
い熱処理条件は、実用性及び均一な温度コントロ
ール等を考慮して、500〜650℃で5分〜6時間で
ある。 熱処理雰囲気は不活性ガス雰囲気が望ましい
が、大気中等の酸化性雰囲気でも良い。冷却は空
冷や炉冷等により、適宜行うことができる。また
場合によつては多段の熱処理を行うこともでき
る。 熱処理を磁場中で行うこともできる。磁場中熱
処理により本合金に磁気異方性を生じさせること
ができる。本合金からなる磁心の磁路方向に磁場
を印加し熱処理した場合は、B−Hカーブの角形
性が良いものが得られ、可飽和リアクトル用磁
心、磁気スイツチ、パルス圧縮用コア、スパイク
電圧防止用リアクトル等に好適となる。一方磁路
と直角方向に磁場を印加し熱処理した場合は、B
−Hカーブが傾斜し、低角形比で恒透磁率性に優
れたものが得られ、動作範囲が広がるので、トラ
ンス、やノイズフイルター、チヨークコイル等に
好適となる。 磁場は熱処理の間中かける必要はなく、合金の
キユリー温度Tcより低い温度のときにあればよ
い。本発明の場合、結晶化しているために非晶質
の場合よりキユリー温度が上昇しており、非晶質
合金のキユリー温度より高い温度でも磁場中熱処
理が適用できる。磁場中熱処理の場合も熱処理を
2段階以上で行うことができる。また回転磁場中
で熱処理を行うこともできる。 また本発明のFe基軟磁性合金はそれ以外にス
パツター法等の薄膜化技術を用いて製造すること
も可能であり、薄膜磁気ヘツド等も作製できる。
また回転液中防止法やガラス被覆防糸法等により
細線状のものも作製できる。 またキヤビテーシヨン法やアトマイズ法あるい
は単にロール法等により作製した薄帯を粉砕する
等により粉末状のものも製造することが可能であ
る。 このような粉末状の本発明合金は、圧粉成形す
ることにより圧粉磁心やバルク体を製造すること
が出来る。 また、本合金を磁心に使用する場合、表面に熱
処理や化学処理により酸化物層を形成したり、絶
縁物を塗付あるいは付着させる等の方法により層
間絶縁を行えば、特に良好な特性が得られる。 [実施例] 本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例 1 原子%でCu 1%、Si 13.4%、B 9.1%、Nb
3.1%及び残部実質的にFeからなる組成の溶湯か
ら、片ロール法により巾5mm、厚さ18μmのリボ
ンを作製した。このリボンのX線回折を測定した
ところ非晶質合金に典型的なハローパターンが得
られた。またこのリボンの透過電子顕微鏡写真
(30万倍)を第2図に示す。X線回折及び第2図
から明らかなように、得られたリボンはほぼ完全
な非晶質であつた。 次にこの非晶質リボンから内径15mm及び外径19
mmの巻磁心を形成し、窒素ガス雰囲気中で550℃
で1時間熱処理を行つた。熱処理後のリボンの透
過電子顕微鏡写真(30万倍)は第1a図に示す通
りであつた。第1b図は第1a図の写真の微細結
晶粒を概略的に示す図である。第1a図及び第1
b図から、熱処理後のリボンの組織の大部分が微
細な結晶粒からなることがわかる。また熱処理後
の合金が結晶粒を有することはX線回折によつて
も確認された。結晶粒の平均粒径は約100Åであ
つた。また比較のため、Cuを添加していない
Fe74.5 Nb3 Si13.5B9非晶質合金を550℃で1時間
熱処理した場合の透過電子顕微鏡写真(30万倍)
は第1c図に、その結晶粒の概略図を第1d図に
それぞれ示す。 CuとNbを複合添加した本発明の合金の結晶粒
の形は球状に近く、平均粒径約100Å程度と著し
く微細化されている。これに対して、Cuを添加
せずNbだけ添加した場合は、結晶粒は粗大化し
ており、結晶粒の形状も球状に近いものが少な
い。Cu及びNbの複合添加により、得られる結晶
粒の大きさ及び形態が著しく変化することが確認
された。 次に熱処理前後のリボン状Fe基軟磁性合金に
ついて、磁束密度の波高値Bm=2kG及び周波数
100kHzにおけるコア損失W2/100kを測定したとこ
ろ、熱処理前のものは4000mW/c.c.、熱処理後の
ものは220mW/c.c.であつた。また周波数1KHz、
Hm=5mOeにおける実効透磁率μeを測定した
ところ、前者(熱処理前)は500、後者(熱処理
後)は100200であつた。これから、本発明の熱処
理により非晶質合金中に微細な結晶粒を均一に形
成することにより、コア損失が著しく低下するの
みならず透磁率が著しく高くなることが分かる。 実施例 2 原子%でCu 1%、Si 15%、B 9%、Nb
3%、Cr 1%及び残部実質的にFeからなる組成
の溶湯から、実施例1と同様にして、リボンを作
製した。このリボンのX線回折を測定したところ
第3図aに示すような非晶質合金に典型的なハロ
ーパターンが得られた。またこのリボンの透過電
子顕微鏡写真(30万倍)と第3a図のX線回折か
ら明らかなように、得られたリボンはほぼ完全な
非晶質であつた。 次のこの非晶質リボンを実施例1と同様に処理
を行つた。熱処理後のリボンのX線回折パターン
は第3図bに示すように結晶ピークが認められ
た。この熱処理後のリボンの透過電子顕微鏡写真
(30万倍)から、熱処理後の組織の大部分が微細
な結晶粒からなることがわかる。結晶粒の平均粒
径は約100Åであつた。X線回折パターン及び透
過電子顕微鏡写真による分析から、この結晶粒は
Si,B等が固溶したαFeであると推定される。 次に熱処理前後のFe基軟磁性合金について、
磁束密度の波高値Bm=2kG及び周波数100kHzに
おけるコア損失W2/100kを測定したところ、熱処
理前のものは4100mW/c.c.、熱処理後のものは
240mW/c.c.であつた。 また周波数1KHz、Hm=5mOeにおける実効
透磁率μeを測定したところ、前者(熱処理前)
は480、後者(熱処理後)は100100であつた。 実施例 3 原子%でCu 1%、Si 16.5%、B 6%、Nb
3%、及び残部実質的にFeからなる組成の溶湯
から、実施例1と同様にして、幅5mm、厚さ18μ
mのリボンを作製した。このリボンのX線回折を
測定したところ非晶質合金に典型的なハローパタ
ーンが得られた。得られたリボンはほぼ完全に非
晶質であつた。 次にこの非晶質リボンから内径15mm及び外径19
mmの巻磁心を形成し、窒素ガス雰囲気中550℃で
1時間熱処理を行つた。熱処理後のリボンのX線
回折を行つたところbcc構造のFe−固溶体と思わ
れる結晶ピークが認められた。またこのリボンの
透過電子顕微鏡写真(30万倍)から、熱処理後の
組織の大部分は超微細な結晶粒からなることがわ
かつた。結晶粒の平均粒径は約100Åであつた。 次に熱処理後のFe基軟磁性合金の磁束密度の
波高値Bm=2KG及び周波数100KHzにおけるコ
ア損失W2/100kを測定したところ、熱処理前のも
のは400mW/c.c.、熱処理後のものは220mW/c.c.
であつた。また周波数1KHz、Hm=5mOeにお
ける実効透磁率μeikを測定したところ、前者(熱
処理前)は500、後者(熱処理後)は100200であ
つた。 次にCuとNbを複合添加した本合金の飽和磁歪
λsを測定した。熱処理前の非晶質状態では+20.7
×10-6であつた値が、550℃で1時間熱処理する
ことにより+1.3x10-6まで低下し、従来のFe基ア
モルフアス合金より著しく小さい磁歪になつてい
ることがわかる。 実施例 4 原子%でCu 1%、Si 13.8%、B 8.9%、Nb
3.2%、Cr 0.5%C 1%、及び残部実質的にFe
からなる組成の溶湯から、単ロール法により幅10
mm、厚さ18μmのリボンを作製した。このリボン
のX線回折を測定したところ非晶質合金に典型的
なハローパターンが得られた。またこのリボンの
透過電子顕微鏡写真(30万倍)によりほぼ完全な
非晶質であることを確認した。 次にこの非晶質リボンから外径19mm、内径15mm
の巻磁心を形成し、窒素ガス雰囲気中で570℃で
1時間熱処理を行つた。透過電子顕微鏡写真(30
万倍)により、熱処理後のリボンの組織の大部分
は第1b図に示されるものと同様に微細な結晶粒
からなることがわかつた。結晶粒の平均粒径は約
100Åであつた。Cu無添加の場合は結晶粒が粗大
化することが確認されており、CuとNb等の複合
添加により、著しい結晶粒微細化効果が得られ
た。 次に熱処理前後のFe基軟磁性合金からなる磁
心について、磁束密度の波高値Bm=2KG及び周
波数100KHzにおけるコア損失W2/100kを測定し
たところ、熱処理前のものは3800mW/c.c.、熱処
理後のものは240mW/c.c.であつた。また周波数
1KHz、Hm=5mOeにおける実効透磁率μeを測
定したところ、前者(熱処理前)は500、後者
(熱処理後)は102000であつた。 実施例 5 実施例1と同一の条件により下記の第1表に示
す組成のFe基軟磁性合金を作製した。得られた
各合金を2つに分け、一方には実施例1と同じ条
件の熱処理を施し、他方には非晶質を保持するよ
うな従来の熱処理(400℃×1時間)を施し、そ
れぞれについて100KHz、2KGにおけるコア損失
W2/100k及び1KHz、Hm=5mOeにおける実効
透磁率μeikを測定した。 結果を第1表に示す。
【表】
【表】 実施例 6 実施例1と同様の条件により下記の第2表に示
す組成のFe基非晶質合金を作製した。得られた
各合金を2つに分け、一方には実施例1と同じ条
件の熱処理を施し、他方には非晶質を保持するよ
うな従来の熱処理(400℃×1時間)を施し、そ
れぞれについて100kHz、2kGにおけるコア損失
W2/100k及び1KHz、Hm=5mOeにおける実効
透磁率μe1kを測定した。 結果を第2表に示す。
【表】
【表】 実施例 7 実施例4と同一の条件により下記の第3表に示
す表示のFe基軟磁性合金を作製した。得られた
各合金を2つに分け、一方には実施例4と同様の
熱処理を施こし、他方には非晶質を保持するよう
な従来の熱処理(400℃×1時間)を施こし、そ
れぞれについてコア損失W2/100k及び1KHz、Hm
=5mOeにおける実効透磁率を測定した。結果
を第3表に示す。 本発明の熱処理により低コア損失で、高実効透
磁率を磁気特性を有する合金の得られることがわ
かる。
【表】
【表】
【表】 実施例 8 第4表に示す組成の幅5mm、厚さ18μmの非晶
質合金薄帯を単ロール法により作製し、外径19
mm、内径15mmにトロイダル状に巻き、結晶化温度
以上の温度で熱処理後直流磁気特性、1kHzにお
ける実効透磁率μe1k、100kHz、2kGにおけるコア
損失W2/100kを測定した。また飽和磁歪λsも測定
した。得られた結果を第4表に示す。
【表】 実施例 9 Fe74.5-XCuXNb3Si13.5B9により表わされる組成
(0≦x≦3.5)の非晶質合金を下記のコア損がほ
ぼ最低になる最適熱処理温度で1時間熱処理し、
磁束密度の波高値Bm=2kG、周波数f=100kHz
におけるコア損失W2/100kを測定した。 Xの値(原子%) 熱処理温度(℃) 0 500 0.05 500 0.1 520 0.5 540 1.0 550 1.5 550 2.0 540 2.5 530 3.0 500 3.2 500 3.5 490 第4図にCuの含有量X(原子%)とコア損失
W2/100kとの関係を示す。 第4図から明らかなように、Cuの含有量Xが
0から増大するにつれてコア損失が低下するが、
約3原子%を超えるとコア損失が無添加のもの並
が大きくなる。Xが0.1〜3原子%の範囲にある
場合、コア損失は十分に小さいことがわかる。特
に望ましいXの範囲は0.5〜2原子%である。 実施例 10 Fe74-XCuXSi14B9Nb3Cr1により表される組成
(0≦x≦3.5)の非晶質合金を下記の最適熱処理
温度で1時間熱処理し、磁束密度の波高値Bm=
2kG、周波数f=100kHzにおけるコア損失W2/100
Kを測定した。
【表】 以上から明らかなように、Cuの含有量xが0
から増大するにつれてコア損失が低下するが、約
3原子%を超えるとコア損失が無添加のもの並に
大きくなる。Xが0.1〜3原子%の範囲にある場
合、コア損失は十分に小さいことがわかる。特に
望ましいxの範囲は0.5〜2原子%である。 実施例 11 Fe69-XCuXSi13.5B9.5Nb5Cr1C2により表わされる
組成(0≦x≦3.5)の非晶質合金を下記の最適
熱処理温度で1時間熱処理し、磁束密度の波高値
Bm=2kG、周波数f=100kHzにおけるコア損失
W2/100Kを測定した。
【表】 以上から明らかなように、Cuの含有量xが0
から増大するにつれてコア損失が低下するが、約
3原子%を超えるとコア損失が無添加のもの並に
大きくなる。xが0.1〜3原子%の範囲にある場
合、コア損失は十分に小さいことがわかる。 特に望ましいxの範囲は0.5〜2原子%である。 実施例 12 Fe76.5-〓Cu1Si13B9.5M′〓により表される組成の非
晶質合金(M′=Nb、W、Ta又はMo)を下記の
最適熱処理温度で1時間熱処理し、それぞれのコ
ア損失W2/100kを測定した。 αの値(原子%) 熱処理温度(℃) 0 400 0.1 405 0.2 410 1.0 430 2.0 480 3.0 550 5.0 580 7.0 590 8.0 590 10.0 590 11.0 590 結果を第5図に示す。第5図においてグラフ
A,B,C,DはそれぞれM′がNb、W、Ta及
びMoの場合を示す。 第5図から明らかな通り、M′の量αが0.1〜10
原子%範囲でコア損失が十分に小さくなつてい
る。またM′がNbのときに特にコア損失が低かつ
た。特に望ましいαの範囲は2≦α≦8である。 実施例 13 Fe75.5-〓Cu1Si13B9.5M′〓Ti1により表される組成
の非晶質合金(M′=Nb、W、Ta又はMo)を下
記の最適熱処理温度で1時間熱処理し、それぞれ
のコア損失W2/100Kを測定した。 αの値(原子%) 熱処理温度(℃) 0 405 0.1 410 0.2 420 1.0 440 2.0 490 3.0 560 5.0 590 7.0 600 8.0 600 10.0 600 11.0 600 結果を第6図に示す。第6図においてグラフ
A,B,C,DはそれぞれM′がNb、W、Ta、
Moの場合を示す。 第6図から明らかな通りM′の量αが0.1〜10原
子%の範囲でコア損失が十分に小さくなつてい
る。またM′がNbのとき特にコア損失が低かつ
た。特に望ましいαの範囲は2≦α≦8である。 実施例 14 Fe75-〓Cu1Si13B9Nb〓Ru1Ge1により表される組
成の非晶質合金を下記の最適熱処理温度で1時間
熱処理し、それぞれのコア損失W2/100Kを測定し
た。 電顕観察の結果αが0.1以上では平均粒径1000
Å以下の微細な結晶粒が観察された。 αの値(原子%) 熱処理温度(℃) 0 405 0.1 410 0.2 415 1.0 430 2.0 485 3.0 555 5.0 585 7.0 595 8.0 595 10.0 595 11.0 595 結果を第7図に示す。 第7図から明らかな通り、Nbの量αが0.1〜10
原子%の範囲でコア損失が十分に小さくなつてい
る。特に望ましいαの範囲は2≦α≦8である。 実施例 15 Fe73.5Cu1Si13B9.5の組成を有する非晶質合金を
550℃で1時間熱処理したものについて、1〜1
×104kHzの周波数における実効透磁率μeを測定
した。透過電子顕微鏡の結果、50%以上が結晶相
であつた。同様にCo基非晶質合金(Co69.6Fe0.4
Mn6Si15B9)及びフエライト(Mn−Zn系)につ
いても実効透磁率μeを測定した。結果を第8図
に示す。同図においてグラフA,B,C、はそれ
ぞれ熱処理した本発明のFe基軟磁性合金、Co基
非晶質合金およびフエライトを示す。 第8図から本発明のFe基軟磁性合金は広い周
波数範囲にわたつてCo基非晶質合金と同等以上
の透磁率を有し、またフエライトと比べ著しく高
い透磁率を有することがわかる。このため本発明
のFe基軟磁性合金はチヨークコイル、磁気ヘツ
ド、シールド材、各種センサー材等に好適であ
る。 実施例 16 Fe72Cu1Si13.5B9.5Nb3Ru1なる組成を有する非
晶質合金を550℃で1時間熱処理したものについ
て、1〜1×104kHzの周波数における実効透磁率
μeを測定した。透過電子顕微鏡観察の結果、50
%以上が結晶相であつた。同様にCo基非晶質合
金(Co69.6Fe0.4Mn6Si15B9)及びフエライト
(Mn−Zn系)についても実効透磁率μeを測定し
た。結果を第9図に示す。同図においてグラフ
A,B,Cはそれぞれ熱処理した本発明のFe基
軟磁性合金、Co基非晶質合金及びフエライトを
示す。 第9図から本発明のFe基軟磁性合金は広い周
波数範囲にわたつてCo基非晶質合金と同等以上
の透磁率を有し、またフエライトと比べ著しく高
い透磁率を有することがわかる。 実施例 17 Fe71Cu1Si15B8Nb3Zr1P1なる組成を有する非晶
質合金を560℃で1時間熱処理したものについて、
1〜1×104kHzの周波数における実効透磁率μe
を測定した。透過電子顕微鏡観察の結果、50%以
上が結晶相であることが確認された。 同様にCo基非晶質合金
(Co66Fe4Ni3Mo2Si15B10)、Fe基非晶質合金
(Fe77Cr1Si13B9)及びフエライト(Mn−Zn系)
についても実効透過率μeを測定した。結果を第
10図に示す。同図においてグラフA,B,C,
Dはそれぞれ熱処理した本発明のFe基軟磁性合
金、Co基非晶質合金、Fe基非晶質合金及びフエ
ライトを示す。 第10図から本発明のFe基軟磁性合金は広い
周波数範囲にわたつてCo基非晶質合金と同等以
上の透磁率を有し、またFe基非晶質合金やフエ
ライトに比べ著しく高い透磁率を有することがわ
かる。 実施例 18 実施例1と同一の条件により下記の第5表に示
す組成の非晶質合金を作製し、各合金について熱
処理条件とコア損失の経時変化率との関係を求め
た。熱処理条件の一方は550℃×1時間(本発明
法)であり、他方は400℃×1時間(従来法)で
あつた。電子顕微鏡観察により550℃で1時間処
理した本発明のFe基軟磁性合金は50%以上が微
細な結晶相からなることが確認された。またコア
損失の経時変化率(W100−W0)/W0は、本発明
の熱処理直後(W0)と150℃で100時間保持した
後(W100)とでそれぞれ求めた2kG、100kHzに
おけるコア損失から算出した。結果は第5表に示
す。
【表】 以上の結果から、本発明の熱処理によりコア損
失の経時変化率が小さくなることがわかる。(No.
1〜No.3)。または従来の低損失材であるCo基非
晶質合金(No.4及びNo.5)に比べ、本発明のFe
基磁性合金は著しくコア損失の経時変化が小さく
なつていることがわかる。したがつて本発明材を
用いることにより信頼性の高い磁性部品を作製す
ることができる。 実施例 19 実施例1と同一の条件により下記の第6表に示
す組成の非晶質合金を作製し、各合金について熱
処理条件とキユリー温度(Tc)との関係を求め
た。熱処理条件の一方は550℃×1時間(本発明
法)であり、他方は350℃×1時間(従来法)で
あつた。本発明の場合は大部分をしめる主相(微
細結晶粒)のキユリー温度を示す。X線回折測定
の結果350℃×1時間の熱処理を行つたものは非
晶質特有のハローパターンを示し、ほぼ完全な非
晶質であることが確認された。一方550℃×1時
間の熱処理を行つたものは結晶ピークが認めら
れ、ハローパターンはほとんど認められず、ほぼ
結晶質相からなることが確認された。また各熱処
理におけるキユリー温度(Tc)について測定結
果を第6表に示す。
【表】 以上の結果から、本発明の熱処理によりキユリ
ー温度(Tc)が著しく上昇することがわかる。
このため磁気特性の温度変化は非晶質合金より小
さい。このように大きな非晶質合金とのキユリー
温度の差は、本発明の熱処理を施した合金が微結
晶化しているためである。 実施例 20 Fe74.5-XCuXNb3Si13.5B9の組成を有する非晶質
合金のリボン(幅5mm、厚さ18μm)から巻磁心
(内径15mm、外径19mm)を形成し、種々の温度で
1時間熱処理した。それぞれについて2kG、100k
Hzにおけるコア損失W2/100kを測定した。結果を
第11図に示す。 また各巻磁心に用いた非晶質合金の結晶化温度
(Tx)を示差走査熱量計(DSC)で測定した。各
合金の結晶化温度Txは10℃/分の昇温速度でそ
れぞれ583℃(x=0)及び507℃(x=0.5、
1.0、1.5)であつた。 第11図から明らかなように、Cuは含有量
(x)が0のときコア損失W2/100kは著しく大き
く、Cuの含有量が約1.5原子%まで増加するにつ
れて、コア損失が小さくなるばかりでなく、適切
な熱処理温度範囲も540〜580℃とCu無添加材に
比べて高くなつていることがわかる。この温度は
10℃/分の昇温速度でDSCで測定した結晶化温
度Txより高い。なお透過電子顕微鏡による観察
の結果、Cuを含有する本発明のFe基軟磁性合金
の場合、50%以上が微細な結晶粒からなることが
確認された。 実施例 21 Fe73-XCuXSi13B9Nb3Cr1C1の組成を有する非晶
質合金のリボン(幅5mm、厚さ18μm)から、外
径19mm、内径15mmの巻磁心を形成し、種々の温度
で1時間熱処理した。それぞれについて2kG、
100kHzにおけるコア損失W2/100kを測定した。結
果を第12図に示す。 また各巻磁心に用いた非晶質合金の結晶化温度
(Tx)を示差走査熱量計(DSC)で測定した。各
合金の結晶化温度Txは10℃/分の昇温速度でそ
れぞれ580℃(x=0)及び505℃(x=0.5、
1.0、1.5)であつた。 第12図から明らかなように、Cuは含有量
(x)が0のときコア損椎W2/100kは著しく大き
く、Cuを添加した場合コア損失は小さくなるば
かりでなく、適切な熱処理温度範囲も540℃〜580
℃とCu無添加材に比べ高くなつていることがわ
かる。この温度は10℃/分の昇温速度でDSCで
測定した結晶化温度Txより高い。 なお透過電子顕微鏡による観察の結果、Cuが
含有する本発明のFe基軟磁性合金の場合、50%
以上が微細な結晶粒からなることが確認された。 実施例 22 Fe74.5-XCuXMo3Si13.5B9の組成を有する非晶質
合金のリボンに第13図に示す熱処理温度で1時
間熱処理を施こし、1kHzにおける実効透磁率を
測定した。結果を第13図に示す。 第13図から明らかなように、Cu未添加のも
の(x=0)は本発明と同一の熱処理条件によつ
て実効透磁率μeが低下するが、Cu添加のもの
(本発明)は著しく高くなることがわかる。この
理由は、Cu未添加のもの(x=0)の場合結晶
化した際結晶粒が大きく、かつ化合物相が主に現
れるが、Cu添加のもの(本発明)はSiやB等を
固溶した微細なαFe結晶粒が主に生ずるためであ
ると考えられる。 実施例 23 Fe73.5-XCuXSi13.5B9Nb3Mo0.5V0.5の組成を有す
る非晶質合金のリボンに1時間熱処理を施し、
1kHzにおける実効透磁率μe1Kを測定した。結果
を第14図に示す。 第14図から明らかなように、Cu未添加のも
の(x=0)は本発明と同一の熱処理条件によつ
て実効透磁率μeが低下するが、Cu添加のもの
(本発明)は著しく高くなることがわかる。 実施例 24 Fe73-XCuXSi13B8Mo3V1Al1の組成を有する非
晶質合金のリボンに、実施例21と同一の条件で熱
処理を施こし、1kHzにおける実効透磁率μ1eKを
測定した。結果を第15図に示す。 第15図から明らかなように、Cu未添加のも
の(x=0)は本発明と同一の熱処理条件によつ
て実効透磁率μeが低下するが、Cu添加のもの
(本発明)は著しく高くなることがわかる。 実施例 25 Fe77.5-X-〓CuXNb〓Si13.5B9の組成を有する非晶
質合金を実施例1と同一の条件で作製し、種々の
x,α値における結晶化温度を10℃/分の昇温速
度で測定した。結果を第16図に示す。 第16図から明らかなように、Cuは結晶化温
度を低下させる作用を有し、Nbは結晶化温度を
上昇させる作用を有する。このように逆の傾向を
示す元素の複合添加により析出する結晶粒の微細
化が達成されるものと考えられる。 実施例 26 Fe72-〓Cu1Si15B9Nb3Ru〓の組成を有する非晶質
合金のリボンを磁気ヘツドコア用の形状に打ち抜
き、次いで580℃で1時間の熱処理を施し、1部
は透過電子顕微鏡により組織観察を行い、残りの
試料はラミネートし磁気ヘツドを作製した。熱処
理した試料は微細結晶粒組織からなり、ほぼ結晶
化していた。 次に作製した磁気ヘツドをオートリバースのカ
セツトデツキに取りつけ、温度20℃、湿度90%の
条件で摩耗試験を行つた。テープは25時間毎に上
下を逆にし、100時間後の摩耗量を測定した。得
られた結果を第17図に示す。 第17図から明らかなように、Ru添加により
著しく耐摩耗性が改善されることがわかり、磁気
ヘツド材として優れていることがわかる。 実施例 27 単ロール法により板厚25μm及び幅15mmの
Fe76.5-〓Cu1Nb〓Si13.5B9(α=3、5)非晶質合金
を作製した。次にこの非晶質合金を500℃以上の
温度で1時間熱処理した。電子顕微鏡による観察
の結果、500℃以上で熱処理を行つたものは50%
以上結晶化していることがわかつた。 また熱処理した合金のビツカーズ硬さを荷重
100g下で測定した。第18図にビツカース硬さ
の熱処理温度依存性を示す。これにより、本発明
合金は非晶質状態の合金よりビツカース硬さが大
きくなつていることがわかる。 実施例 28 第7表に示す組成の非晶質合金リボンを作製
し、熱処理を行い、実施例26と同様に磁気ヘツド
を作製後摩耗試験を行つた。第7表に100時間後
の摩耗量及び塩水噴霧試験による耐食性を示す。
【表】
【表】 (注) *:◎ 非常に良い ○ 良好 △

第7表からわかるように、Ru,Rh,Pd,Os,
Ir,Pt,Au,Cr,Ti,V等を添加した本発明合
金の耐摩耗性及び耐食性は無添加のものより優れ
ており、また従来のCo基アモルフアス合金等よ
り著しく優れていることがわかる。また飽和磁束
密度が1T以上あるものも得られるため、磁気ヘ
ツド材料に適している。 実施例 29 双ロール法により第8表に示す組成の幅10mm及
び板厚30μmの非晶質合金リボンを作製した。 次に各非晶質合金のリボンから打ち抜きプレス
により磁気ヘツド用コアを作製し、550℃で1時
間の熱処理を行つた後磁気ヘツドを作製した。熱
処理後のリボンは透過電子顕微鏡による組織観察
の結果、50%以上が500Å以下の微細な結晶粒か
らなることが確認された。 熱処理したリボンの1部について100gの荷重
下でビツカース硬さを測定し、更に塩水噴霧によ
り耐食性を検討した。結果を第8表に示す。 次に磁気ヘツドをカセツトデツキに取りつけ、
温度20℃、湿度90%で摩耗試験を行つた。100時
間後の摩耗量を第8表に示す。
【表】 本発明合金はビツカース硬さが高く、耐食性に
優れ、耐摩耗性にも優れているため、磁気ヘツド
材等に好適である。 実施例 30 Fe76.5-〓Cu1NB〓Si13.5B9の組成を有する非晶質
合金を種々の温度で1時間熱処理し、得られた熱
処理合金の磁歪λsを測定した。結果を第9表に
示す。
【表】 注:(1) 熱処理せず
(2) 測定せず
第9表から明らかなように、本発明の熱処理に
より磁歪は非晶質の場合と比べ著しく低下する。
このため磁歪による磁気特性の劣化は従来のFe
基非晶質合金より小さい。従つて、本発明のFe
基軟磁性合金は磁気ヘツド材等としても有用であ
る。 実施例 31 Fe73Cu1Si13B9Nb3Ru0.5Co0.5の組成を有する非
晶質合金を種々の温度で1時間熱処理し、得られ
た熱処理合金の飽和磁歪定数λsを測定した。結
果を第10表に示す。
【表】 第10表から明らかなように、本発明の熱処理に
より磁歪は非晶質の場合と比べ著しく低下する。
従つて、本発明とFe基軟磁性合金は磁気ヘツド
材等としても有用である。また巻磁心で含浸やコ
ーテイングを行つてもFe基非晶質巻磁心に比べ
て磁気特性の劣化が小さい。 実施例 32 第11表に示す組成の幅5mm、厚さ18μmの非晶
質合金薄帯を単ロール法により作製し、外径19
mm、内径15mmにトロイダル状に巻き、結晶化温度
以上で熱処理後直流磁気特性、1kHzにおける実
効透磁率μe1K、100kHz、2kGにおけるコア損失
W2/100Kおよび飽和磁歪λsを測定した。得られた
結果を第11表に示す。
【表】
【表】 実施例 33 Fe73.5Cu1Nb3SiyB22.5-y非晶質合金に500〜570
℃で1時間熱処理を施し、実施例1に示した第1
a図とほぼ同等の組織を有する合金を得た。この
合金の飽和磁歪λsおよび飽和磁束密度Bsを第1
9図に示す。 Si量yが増加するに伴つて磁歪は正から負に変
化し、yが17原子%付近で磁歪がほぼ零になるこ
とがわかる。 BsはSi量yが増大するに伴つて単調に減少し
ていくが、その値は磁歪零の組成も12kG程度で
あり、Fe−Si−Al合金等に比べ1kG程度高い。
このため本発明合金は磁気ヘツド材等としても優
れた特性を有することがわかる。 実施例 34 第20図に(Fe−Cu1−Nb3)−Si−B擬三元
系合金の飽和磁歪λs、第21図に保磁力Hc、第
22図に1KHzにおける実効透磁率μe1k、第23
図に飽和磁束密度Bs、第24図に100kHz、2kG
におけるコア損失W2/100kを示す。第20図にお
いて、線Dで囲まれた本発明の組成範囲におい
て、λsが10×10-6以下の低磁歪の合金が得られる
ことがわかる。線Eで囲まれた範囲内で軟磁性特
性が良好で磁歪の小さい合金が得られる。線Fで
囲まれた組成範囲で、磁気特性良好で特に磁歪が
小さい合金が得られる。 Si、B含有量がそれぞれ10≦y≦25、3≦z≦
12であり、SiとBの総和:y+zが18〜28の範囲
に場合、|λs|≦5×10-6の低磁歪でかつ軟磁気
特性に優れたものを得ることができることがわか
る。 特に11≦y≦24、3≦z≦9、18≦y+z≦27
の範囲の合金の場合、|λs|≦1.5×10-6と特に低
磁歪の合金を得ることができることがわかる。本
発明合金は磁歪がほぼ零のものが存在し、飽和磁
束密度も10kG以上のものが得られる。しかも透
磁率やコア損失はCo基アモルフアス合金に匹敵
する特性が得られるため、各種トランス、チヨー
クコイル、可飽和リアクトル、磁気ヘツド等に最
適である。 実施例 35 厚さ18μmのFe73.5Cu1Nb3Si16.5B6非晶質合金か
らなる外径19mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダ
ル巻磁心を異なる温度で1時間処理し(昇温速度
10K/分)、空冷後磁気特性を測定した。その後
エポキシ樹脂で含浸し、再度磁気特性を測定し
た。得られた結果を第25図に示す。また、λs
の熱処理温度依存性も示す。 結晶化温度(Tx)より高い温度で熱処理を行
い、超微細結晶粒組織とすることにより、磁歪が
著しく減少しほぼ0になることがわかつた。これ
に伴つて含浸による磁気特性の劣化は小さくなつ
た。これに対して結晶化温度よりかなり低い温
度、たとえば470℃で熱処理した非晶質相が大部
分をしめる合金では含浸前の特性もあまり良くな
いが、特に含浸を行つた後のコア損失及び保磁力
Hcの増加や、1KHzにおける実効透磁率μe1kの低
下が著しいことがわかる。これは飽和磁歪λsが
大きいためであり、非晶質状態では含浸後十分な
軟磁性が得られないことがわかる。 本発明の微細結晶粒からなる合金ではλsが小
さいので、磁気特性の劣化が小さく、含浸を行つ
てもλsがほぼゼロのCo基アモルフアスに匹敵す
る特性を示している。しかも、10Oeにおける磁
束密度B10が12KG程度と高飽和磁束密度である
ため、磁気ヘツド、トランス、チヨークコイル、
可飽和リアクトル等に適する。 実施例 36 マグネトロンスパツタ装置によりホトセラム基
板上に第12表に示す組成の厚さ3μmの非晶質合
金膜を作製した。次にこの膜をN2ガス雰囲気中
で5000Oeの回転磁界中において結晶化温度より
高い温度で熱処理を行い、超微細結晶粒からなる
本発明の合金膜を作製し、1MHzにおける実効透
磁率μe1M及び飽和磁束密度Bsを測定した。得ら
れた結果を第12表に示す。
【表】 実施例 37 単ロール法により板厚18μm及び5mmのFe73.5
Cu1Nb3Si13.5B9非晶質合金を作製し、外径19mmお
よび内径15mmに巻回し、巻磁心を作製した。次に
この巻磁心をArガス雰囲気中で550℃に1時間保
持し、しかる後空冷した。このようにして熱処理
した巻磁心の100KHzにおけるコア損失を測定し、
そのBm依存性を調べた。第26図にコア損失の
Bm依存性を示す。比較のためCo基非晶質合金の
巻磁心(Co68.5Fe4.5Mo2Si15B10)、Fe基非晶質合
金の巻磁心(Fe77Cr1Si9B13)、Mn−Znフエライ
トについても、コア損失のBm依存性を示す。 第26図から、本発明合金からなる巻磁心は従
来のFe基非晶質合金やCo基非晶質合金、フエラ
イト等より低いコア損失を示すことがわかる。従
つて、本発明の合金は高周波トランス、チヨーク
コイル等に最適である。 実施例 38 単ロール法により厚さ15μm、幅5mmの
Fe70Cu1Si14B9Nb5Cr1非晶質合金を作製し、外径
19mm、内径15mmに巻回し、磁路と直角に3000Oe
の磁場をかけながら5℃/分の昇温速度で昇温
し、620℃に1時間保持後5℃/分の速度で室温
まで冷却する熱処理を行い、コア損失を測定し
た。透過電子顕微鏡観察の結果、本合金は微細な
結晶組織からなることが確認された。直流B−H
カーブは角形比が8%で恒透磁率性に優れてい
た。 比較のためFe基アモルフアス合金
(Fe77Cr1Si9B13)、Co基アモルフアス合金
(Co67Fe4Mo1.5Si16.5B11)、Mn−Znフエライトの
コア損失も測定した。 第27図にコア損失の周波数依存性を示す。A
は本発明合金、BはFe基アモルフアス合金、C
はCo基アモルフアス合金、DはMn−Znフエライ
トである。図から明らかなように本発明Fe基軟
磁性合金は従来のCo基アモルフアス合金並の低
損失合金であり、Fe基アモルフアス合金よりは
るかに低いコア損失を有する。 実施例 39 単ロール法により幅5mm及び板厚15μmの非晶
質合金リボンを作製した。非晶質合金の組成は以
下の通りであつた。 Fe73.2Cu1Nb3Si13.8B9 Fe73.5Cu1Nb3Si13.5B9 Fe73.5Cu1Nb3Si13.5B6 Fe71.5Cu1Nb5Si13.5B9 次に各非晶質合金のリボンを内径15mm及び外径
19mmに巻き、巻磁心を作製した。得られた巻磁心
を窒素雰囲気中で下記の条件で熱処理し、本発明
の合金を作製した。各合金とも微結晶化してお
り、50%以上が微結晶粒子からなることが電子顕
微鏡観察により確認された。 次に各合金について直流B−Hカーブを求め
た。第28a図乃至第28d図に各巻紙磁心の直
流B−Hカーブを示す。第28a図はFe73.2
Cu1Nb3Si13.8B9の組成の合金から作製した巻磁心
(熱処理条件:550℃1時間保持後空冷)の直流B
−Hカーブを示し、第28b図はFe73.5
Cu1Mo3Si13.5B9の組成の合金から作製した巻磁心
(熱処理条件:530℃1時間保持後空冷)の直流B
−Hカーブを示し、第28c図はFe73.5
Cu1Nb3Si13.5B9の組成の合金から作製した巻磁心
(熱処理条件:550℃1時間保持後、10Oeの磁場
を磁路方向に印加しながら5℃/分の冷却速度で
280℃まで冷却し、1時間保持後空冷)の直流B
−Hカーブを示し、第28d図はFe71.5
Cu1Nb5Si13.5B9の組成の合金から作製した巻磁心
(熱処理条件:610℃1時間保持後、10Oeの磁場
を磁路方向に印加しながら10℃/分の冷却速度で
250℃まで冷却し、2時間保持後炉冷)の直流B
−Hカーブを示す。 各グラフにおいて横軸の目盛はHm(磁場の最
大値)=10Oeの場合を示す。従つて、Hm=10Oe
の場合には10が1となり、Hm=0.1Oeの場合に
は10が0.1となる。各グラフ中のB−Hカーブは
いずれも横軸の目盛が異なる以外は同一である。 各グラフに示すFe基軟磁性合金の飽和磁束密
度B10、保磁力H、及び角形比Br/B10は以下の
通りである。
【表】 磁場を印加せずに熱処理したaおよびbの場合
は角形比は中程度(60%程度)であるが、磁路方
向に磁場を印加し熱処理したc及びdの場合は角
形比は高くなつている(90%以上)。保磁力は
0.01Oe以下のものも得られ、Co基非晶質合金と
ほぼ同等である。 磁場を印加せずに熱処理した場合、実効透磁率
μeは1KHzで数万〜10万となり、各種インダクタ
ーやセンサー、トランス等に適している。一方磁
路方向に磁場を印加しながら熱処理した場合には
高角形比の特性が得られ、コア損失も100kHz、
2KGで800mW/c.c.以下とCo基非晶質合金並とな
る。このため可飽和リアクトル等に適するものと
なる。 また本発明の合金の飽和磁束密度は第28図の
各図からわかるように10KGを越えるものも得ら
れ、従来のパーマロイやセンダスト及び一般的な
Co基非晶質合金より高く、動作磁束密度を大き
くすることができる。このため、磁気ヘツド、ト
ランス、可飽和リアクトル、チヨーク等の磁性材
料としてより有利なものである。 また磁路方向に磁場をかけ熱処理した場合には
最大透磁率μm140万を越えるものも得られ、セ
ンサーに用いることもできる。 実施例 40 単ロール法により、板厚20μm及び幅10mmの
Fe73.5Cu1Nb3Si13.5B9非晶質合金リボン及びFe74.5
Nb3Si13.5B9非晶質合金リボンを作製し、熱処理
前と後のX線回折を測定した。 第29図にX線回折パターンを示す。aは熱処
理前のFe73.5Cu1Nb3Si13.5B9合金のリボン、bは
550℃で1時間熱処理を行つたFe73.5Cu1Nb3Si13.5
B9合金のリボン、cは550℃で1時間熱処理を行
つたFe74.5Nb3Si13.5B9合金リボンのX線回折パタ
ーンである。 aは非晶質合金特有のハローパターンを示し、
ほぼ完全な非晶質状態にあることがわかる。本発
明合金bは結晶のピークが現われておりほぼ結晶
化していることがわかる。ただし微結晶のためピ
ークの幅は広くなつている。一方Cuを添加して
ない非晶質合金を550℃で熱処理したcの場合は
結晶化しているが、Cuを添加した場合と著しく
異なるパターンを示しており、化合物が析出して
いると推定される。Cu添加により磁気特性が著
しく改善されるのは、Cu添加により結晶化過程
が変わり化合物が析出しにくくなることと、結晶
粒が粗大化しにくく微結晶化するためであると推
定される。 実施例 41 単ロール法により幅5mm及び板厚15μmの
Fe73.1Cu1Si13.5B9Nb3Cr0.2Co0.2非晶質合金リボン
を作製した。 次に各非晶質合金のリボンを外径19mm、内径15
mmに巻き、巻磁心を作製した。得られた巻磁心を
窒素雰囲気中で下記の3種条件で熱処理し、本発
明の合金を作製した。電子顕微鏡による観察の結
果微結晶粒組織からなることが確認された。 次に熱処理した巻磁心の直流B−Hカーブを測
定した。 第30図a乃至第30図cに各熱処理に行つた
巻磁心の直流B−Hカーブを示す。 第30a図は窒素ガス雰囲気中で15℃/分の昇
温速度で室温より昇温し、550℃に1時間保持後
600℃/分の冷却速度で室温まで冷却する熱処理
を行つた巻磁心の直流B−Hカーブを示し、第3
0b図は10Oeの直流磁場と磁心の磁路方向に印
加しながら窒素ガス雰囲気中10℃/分の昇温速度
で室温より昇温し、550℃に1時間保持後3℃/
分の冷却速度で200℃まで冷却し、更に室温まで
600℃/分の冷却速度で冷却する熱処理を行つた
巻磁心の直B−Hカーブを示し、第30c図は
3000Oeの直流磁場を磁心の磁路と直角方向に印
加しながら窒素ガス雰囲気中で20℃/分の昇温速
度で室温より昇温し、550℃に1時間保持後3.8
℃/分の冷却速度で400℃まで冷却し、更に室温
まで600℃/分の冷却速度で冷却する熱処理を行
つた巻磁心の直流B−Hカーブを示す。 また第31図に上記巻磁心のコア損失の周波数
依存性を示す。Aは第30a図に対応する巻磁心
を示し、Bは第30b図に対応する巻磁心を示
し、Cは第30c図に対応する巻磁心を示す。ま
た比較のため従来の高角形比のCo71.5
Fe1Mn3Cr0.5Si15B9アモルフアス巻磁心D、低角
形比のCo71.5Fe1Mn3Cr0.5Si15B9アモルフアス巻磁
心Eのコア損失の周波数依存性をも示す。なお巻
磁心D、巻磁心Eの角形比はそれぞれ98%、8%
であつた。 本発明合金からなる巻磁心は第30図からわか
るように磁場中の熱処理により高角形比の直流B
−Hカーブや低角比恒透磁率の直流B−Hカーブ
を得ることができる。 第31図からわかるように本発明合金のコア損
失はCo基のアモルフアス巻磁心と同等以上の低
損失特性を示し、飽和磁束密度も高い。高角形比
の巻磁心はスイツチグ電源等に用いられる可飽和
リアクトルやスパイク電圧を阻止する用途、磁気
スイツチ等に適し、中低角形比特に低角形比の巻
磁心は高周波トランスやチヨークコイル、ノイズ
フイルター等に最適である。 実施例 42 単ロール法により板厚20μm及び幅10mmの
Fe73.5Cu1Nb3Si13.5B9非晶質合金リボンを作製し、
500℃で1時間熱処理を行い、Hex=800KA/
m、昇温速度10K/分でVSMにより磁化の温度
変化を測定した。比較のために熱処理を行つてな
い場合についても磁化の温度変化を測定した。第
32図にその結果を示す。縦軸は室温における磁
化との比σ/σR.Tをとつた。本発明の熱処理を
行つた合金は熱処理前のほぼ完全なアモルフアス
合金より磁化σの温度変化が小さい。これは大部
分を占める主相のキユリー温度Tcがアモルフア
ス状態よりも高くなつており、飽和磁化の温度依
存性が小さいためであると考えられる。 また主相のキユリー温度は純粋なα−Feのキ
ユリー温度より低いので、主相はα−FeにSi等
が固溶したものではないかと推定される。また熱
処理温度が高くなるとキユリー温度が高くなる傾
向があり、主相の組成は熱処理により変化してい
ると思われる。 実施例 43 単ロール法により板厚18μm及び幅4.5mmの
Fe73.5Cu1Nb3Si13.5B9非晶質合金リボンを作製し、
外径13mm、内径10mmに巻き、巻磁心を作製した。 次に第33図に示す各種の熱処理パターンによ
り磁場中処理を行つた(磁路方向に磁場印加)。 得られた磁気特性を第13表に示す。
〔発明の結果〕
以上に詳述したように、本発明のFe基軟磁性
合金は微細結晶粒が全体の50%以上を占めること
により、コア損失が著しく低く、Co基非晶質合
金と同程度であるとともに、コア損失の経時変化
も小さい。また透磁率及び飽和磁束密度が高く、
耐摩耗性にも優れている。さらに高周波磁気特性
に優れ、含浸や変形等による歪に帰因する特性劣
化が小さく、低磁歪のものである。 このような本発明のFe基軟磁性合金は高周波
トランス、チヨークコイル、可飽和リアクトルだ
けでなく磁気ヘツド等にも最適な材料であり、著
しい特性改善が達成でる。
【図面の簡単な説明】
第1a図は実施例1のFe基軟磁性合金(熱処
理後)の金属組織を表わす透過電子顕微鏡写真
(30万倍)であり、第1b図は第1a図の写真の
概略図であり、第1c図はCuを含有しないFe基
軟磁性合金(Fe74.5Nb3Si13.5B9)(熱処理後)の
金属組織を表わす透過電子顕微鏡写真(30万倍)
であり、第1d図は第1c図の写真の概略図であ
り、 第2図は実施例1のFe基軟磁性合金(熱処理前)
の金属組織を表わす透過電子顕微鏡写真(30万
倍)であり、第3a図は実施例1の熱処理前の
Fe基非晶質合金リボンのX線回析パターン、第
3図bは本発明に係る熱処理後のFe基軟磁性合
金リボンのX線回析パターンであり、第4図は実
施例9のFe基軟磁性合金についてCu含有量(X)
とコア損失W2/100kとの関係を示すグラフであ
り、第5図は実施例12のFe基軟磁性合金につい
てM′含有量(α)とコア損失W2/100kとの関係
を示すグラフであり、第6図は実施例13のFe基
軟磁性合金について、M′含有量(α)とコア損
失W2/100kとの関係を示すグラフであり、第7図
は実施例14のFe基軟磁性合金について、Nb含有
量(α)とコア損失W2/100kとの関係を示すグラ
フであり、第8図は実施例15のFe基軟磁性合金、
Co基非晶質合金及びフエライトについて周波数
と実効透磁率との関係を示すグラフであり、第9
図は実施例16のFe基軟磁性合金、Co基非晶質合
金及びフエライトについて周波数と実効透磁率と
の関係を示すグラフであり、第10図は実施例17
のFe基軟磁性合金、Co基非晶質合金、Fe基非晶
質合金およびフエライトについて周波数fと実効
透磁率μeとの関係を示すグラフであり、第11
図は実施例20のFe基軟磁性合金について熱処理
温度とコア損失との関係を示すグラフであり、第
12図は実施例21のFe基軟磁性合金について熱
処理温度とコア損失との関係を示すグラフであ
り、第13図は実施例22のFe基軟磁性合金につ
いて熱処理温度と実効透磁率との関係を示すグラ
フであり、第14図は実施例23のFe基軟磁性合
金の1kHzにおける実効透磁率のμe1kの熱処理温
度依存性を示すグラフであり第15図は実施例24
のFe基軟磁性合金について熱処理温度と実効透
磁率μe1kの関係を示すグラフであり、第16図
は実施例25のFe基軟磁性合金についてCuの含有
量(X)及びNbの含有量(α)と結晶化温度と
の関係を示すグラフであり、第17図は実施例26
のFe基軟磁性合金の100時間後の摩耗量を示す図
であり、第18図は実施例27のFe基軟磁性合金
のビツカース硬さの熱処理温度依存性を示す図で
あり、第19図は実施例33のFe73.5Cu1Nb3Siy
B22.5-y合金の飽和磁歪(λs)、および飽和磁束密
度(Bs)のy値依存性を示す図であり、第20
図、第21図、第22図、第23図及び第24図
はそれぞれ(Fe−Cu1−Nb3)、Si−B擬三元系
合金の飽和磁歪(λs)、保磁力(Hc)、1kHzにお
ける実効透磁率(μe1k)、飽和磁束密度(Bs)、
100kHz3、2KGにおけるコア損失(W2/100K)を
示す図であり、第25図は実施例35の合金の磁気
特性の熱処理依存性を示す図であり、第26図は
実施例37のコア損失のBm依存性を示す図であ
り、第27図は実施例38の本発明Fe基軟磁性合
金、従来のFe基アモルフアス合金、Co基アモル
フアス合金及びフエライトのコア損失の周波数依
存性を示す図であり、第28a図乃至第28d図
はそれぞれ実施例39に示す本発明合金の直流B−
Hカーブを示す図であり、第29図は実施例40の
Fe基合金のX線回折パターンを示す図であり、
第30a〜c図はは実施例41の本発明に係るFe
基軟磁性合金の直流B−Hカーブを示す図であ
り、第31図は実施例41の本発明に係るFe基軟
磁性合金、従来のCo基非晶質合金のコア損失の
周波数依存性を示す図であり、第32図は実施例
42のFe基合金の磁化の温度変化を示す図であり、
第33図は実施例43の本発明のFe基合金の磁場
中熱処理のパターンの例を示す図であり、第34
図は微細結晶粒の割合と実効透磁率との関係を表
すグラフであり、第35図aは実施例44の試料No.
1の金属組織の透過電子顕微鏡写真(30万倍)で
あり、第35図bは実施例44の試料No.2の金属組
織の透過電子顕微鏡写真(30万倍)であり、第3
5図cは実施例44の試料No.3の金属組織の透過電
子顕微鏡写真(30万倍)であり、第35図dは実
施例44の試料No.4の金属組織の透過電子顕微鏡写
真(30万倍)であり、第35図eは実施例44の試
料No.5の金属組織の透過電子顕微鏡写真(30万
倍)である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 一般式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z-〓 CuXSiYBZM′〓 (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
    Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,
    x,y,z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦
    x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦
    30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組
    成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下の
    平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が
    実質的に非晶質であることを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 2 特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金において、前記組織が実質的に微細な結晶粒
    からなることを特徴とするFe基軟磁性合金。 3 特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の
    Fe基軟磁性合金において、a,x,y,zおよ
    びαがそれぞれ0≦a≦0.1、0.1≦x≦3、6≦
    y≦25、2≦z≦25、14≦y+z≦30、1≦α≦
    10を満たす組成を有し、組織の少なくとも50%が
    微細な結晶粒で、残部が実質的に非晶質であり、
    その結晶粒が、その最大寸法で測定した場合1000
    Å以下の平均粒径を有し、もつて低磁歪を有する
    ことを特徴とするFe基軟磁性合金。 4 特許請求の範囲第1項に記載のFe基軟磁性
    合金において、0≦a≦0.1、0.5≦x≦2、10≦
    y≦25、3≦z≦18、18≦y+z≦28、2≦α≦
    8なる関係式を満足することを特徴とする低磁歪
    のFe基軟磁性合金。 5 特許請求の範囲第4項に記載の低磁歪Fe基
    軟磁性合金において、0≦a≦0.05、0.5≦x≦
    2、11≦y≦24、3≦z≦9、18≦y+z≦27、
    2≦α≦8なる関係式を満足することを特徴とす
    る低磁歪Fe基軟磁性合金。 6 前記M′がNbであることを特徴とする特許請
    求の範囲第4項に記載の低磁歪Fe基軟磁性合金。 7 特許請求の範囲第5項に記載の低磁歪Fe基
    軟磁性合金において、前記組織が実質的に微細な
    結晶粒からなることを特徴とする低磁歪Fe基軟
    磁性合金。 8 特許請求の範囲第1項乃至第7項のいずれか
    に記載の低磁歪Fe基軟磁性合金において、前記
    微細結晶粒の平均粒径が500Å以下であることを
    特徴とする低磁歪Fe基軟磁性合金。 9 特許請求の範囲第8項に記載の低磁歪Fe基
    軟磁性合金において、前記微細結晶粒の平均粒径
    が200Å以下であることを特徴とする低磁歪Fe基
    軟磁性合金。 10 特許請求の範囲第9項に記載の低磁歪Fe
    基軟磁性合金において、前記結晶粒が50〜200Å
    の平均粒径を有することを特徴とする低磁歪Fe
    基軟磁性合金。 11 特許請求の範囲第1項乃至第10項のいず
    れかに記載の低磁歪Fe基軟磁性合金において、
    前記結晶粒がbcc構造の鉄固溶体を主体としたも
    のであることを特徴とする低磁歪Fe基軟磁性合
    金。 12 特許請求の範囲第4項に記載の低磁歪Fe
    基軟磁性合金において、飽和磁歪λSが−5×10-6
    〜+5×10-6の範囲にあることを特徴とする低磁
    歪Fe基軟磁性合金。 13 特許請求の範囲第4項に記載の低磁歪Fe
    基軟磁性合金において、飽和磁歪λSが−1.5×
    10-6〜+1.5×10-6の範囲にあることを特徴とす
    る低磁歪Fe基軟磁性合金。 14 一般式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z--〓 CuXSiYBZM′〓M″〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
    Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,
    Cr,Mn,Al、白金属元素、Sc,Y、希土類元
    素、Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少
    なくとも1種の元素であり、a,x,y,z,α
    及びβはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0
    ≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0.1≦
    α≦30及びβ≦10を満たす。)により表される組
    成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下の
    平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が
    実質的に非晶質であることを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 15 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.1、0.1≦x≦3、
    6≦y≦25、2≦z≦25、14≦y+z≦30、1≦
    α≦10、β≦5なる関係式を満足することを特徴
    とするFe基軟磁性合金。 16 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.1、0.5≦x≦2、
    10≦y≦25、3≦z≦18、18≦y+z≦28、2≦
    α≦8、β≦5であることを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 17 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.05、0.5≦x≦2、
    11≦y≦24、3≦z≦9、18≦y+z≦27、2≦
    α≦8、β≦5であることを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 18 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記組織が実質的に微細な結
    晶粒からなることを特徴とするFe基軟磁性合金。 19 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記M′がNb及び/又はMo
    であることを特徴とするFe基軟磁性合金。 20 特許請求の範囲第19項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記M′がNbであることを特
    徴とするFe基軟磁性合金。 21 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、10≦α≦30のときy及びz
    が、 5≦y+z≦10 なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 22 特許請求の範囲第14項に記載のFe基軟
    磁性合金において、y及びzが 0≦z/y<1 なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 23 特許請求の範囲第14項乃至第22項のい
    ずれかに記載のFe基軟磁性合金において、その
    結晶粒が500Å以下の平均粒径を有することを特
    徴とするFe基軟磁性合金。 24 特許請求の範囲第23項に記載のFe基軟
    磁性合金において、その結晶粒が200Å以下の平
    均粒径を有することを特徴とするFe基軟磁性合
    金。 25 特許請求の範囲第24項に記載のFe基軟
    磁性合金において、その結晶粒が50〜200Åの平
    均粒径を有することを特徴とするFe基軟磁性合
    金。 26 一般式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z--〓 CuXSiYBZM′〓X〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
    Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の元素、XはC,Ge,
    P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれ
    た少なくとも1種の元素であり、a,x,y,
    z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦
    3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30及
    び0.1≦α≦30、及びγ≦10を満たす。)により表
    される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000
    Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からな
    り、残部が実質的に非晶質であることを特徴とす
    るFe基軟磁性合金。 27 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.1、1≦x≦3、
    6≦y≦25、2≦z≦25、14≦y+z≦30、1≦
    α≦10、γ≦5なる関係式を満足することを特徴
    とするFe基軟磁性合金。 28 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.1、0.5≦x≦2、
    10≦y≦25、3≦z≦18、18≦y+z≦28、2≦
    α≦8、γ≦5であることを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 29 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.05、0.5≦x≦2、
    11≦y≦24、3≦z≦9、18≦y+z≦27、2≦
    α≦8、γ≦5であることを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 30 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記組織が実質的に微細な結
    晶粒からなることを特徴とするFe基軟磁性合金。 31 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記M′がNb及び/又はMo
    であることを特徴とするFe基軟磁性合金。 32 特許請求の範囲第31項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記M′がNbであることを特
    徴とするFe基軟磁性合金。 33 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、10≦α≦30のときy及びz
    が、 5≦y+z≦10 なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 34 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、y及びzが 0≦z/y<1 なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 35 特許請求の範囲第26項に記載のFe基軟
    磁性合金において、xがCであり、γが、 15≦y+z+γ≦35,(γ>0) なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 36 特許請求の範囲第26項乃至第35項のい
    ずれかに記載のFe基軟磁性合金において、その
    結晶粒が500Å以下の平均粒径を有することを特
    徴とするFe基軟磁性合金。 37 特許請求の範囲36項に記載のFe基軟磁
    性合金において、その結晶粒が200Å以下の平均
    粒径を有することを特徴とするFe基軟磁性合金。 38 特許請求の範囲第37項に記載のFe基軟
    磁性合金において、その結晶粒が50〜200Åの平
    均粒径を有することを特徴とするFe基軟磁性合
    金。 39 一般式: (Fe1-aMa100-X-Y-Z---〓 CuXSiYBZM′〓M″〓X〓(原子%) (ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′は
    Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,
    Cr,Mn,Al、白金属元素、Sc,Y、希土類元
    素、Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少
    なくとも1種の元素、XはC,Ge,P,Ga,
    Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なく
    とも1種の元素であり、a,x,y,z,α,β
    及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0
    ≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0.1≦
    α≦30、β≦10及びγ≦10を満たす。)により表
    される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000
    Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からな
    り、残部が実質的に非晶質であることを特徴とす
    るFe基軟磁性合金。 40 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.1、0.1≦x≦3、
    6≦y≦25、2≦z≦25、14≦y+z≦30、1≦
    α≦10、β≦5、γ≦5なる関係式を満足するこ
    とを特徴とするFe基軟磁性合金。 41 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.1、0.5≦x≦2、
    10≦y≦25、3≦z≦18、18≦y+z≦28、2≦
    α≦8、β≦5、γ≦5であることを特徴とする
    Fe基軟磁性合金。 42 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、0≦a≦0.05、0.5≦x≦2、
    11≦y≦24、3≦z≦9、18≦y+z≦27、2≦
    α≦8、β≦5、γ≦5であることを特徴とする
    Fe基軟磁性合金。 43 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記組織が実質的に微細な結
    晶粒からなることを特徴とするFe基軟磁性合金。 44 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記M′がNb及び/又はMo
    であることを特徴とするFe基軟磁性合金。 45 特許請求の範囲第44項に記載のFe基軟
    磁性合金において、前記M′がNbであることを特
    徴とするFe基軟磁性合金。 46 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、10≦α≦30のときy及びz
    が、 5≦y+z≦10 なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 47 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、y及びzが 0≦z/y<1 なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 48 特許請求の範囲第39項に記載のFe基軟
    磁性合金において、xがCであり、γが、 15≦y+z+γ≦35,(γ>0) なる関係式を満足することを特徴とするFe基軟
    磁性合金。 49 特許請求の範囲第39項乃至第48項のい
    ずれかに記載のFe基軟磁性合金において、その
    結晶粒が500Å以下の平均粒径を有することを特
    徴とするFe基軟磁性合金。 50 特許請求の範囲第49項に記載のFe基軟
    磁性合金において、その結晶粒が200Å以下の平
    均粒径を有することを特徴とするFe基軟磁性合
    金。 51 特許請求の範囲第50項に記載のFe基軟
    磁性合金において、その結晶粒が50〜200Åの平
    均粒径を有することを特徴とするFe基軟磁性合
    金。
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