JPH0579522B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 空気入りラジアルタイヤ、それもとくにトレツ
ド部の強化のため、四枚以上のゴム被覆コード層
よりなるベルトがラジアル構造カーカスのクラウ
ン領域のまわりに積層配置される重車両（TB）
又は超重車両（OR）用の空気入りラジアルタイ
ヤに有利に適合し、タイヤの径成長の増加なしに
ベルト端に生じ勝ちなセパレーシヨン故障を効果
的に防止することができる耐久性の改善に関連し
開発研究の成果を以下に開示する。 （従来の技術） 一般にこの種の空気入りラジアルタイヤは、多
数のスチールコードの平行配列ゴム被覆になる複
数のコード層を補強ベルトとして、ラジアル構造
カーカスのクラウン領域のまわりに、コード層の
層間コードがクラウン円周を挟んで互いちがいに
交差する積層配置してトレツド部を強化するよう
にされ、この点についてはこの発明においても上
記の慣列に従うが、従来の技術ではこのベルトの
幅端近傍にて、しばしばセパレーシヨン故障の頻
発を来していた。 これについての従来の対策は、ベルトのコード
傾斜角度やベルトの形態さらにはコード層の形状
配置などに関してあまた提案がみられるけれど
も、比較的小型のたとえば乗用車の空気入りラジ
アルタイヤについては、概ね満足な実績が得られ
るに至つたが、大型タイヤ、たとえばトラツク・
バスなどの重車両用とか、さらには超大型タイヤ
すなわち土木、建設機機類の如き超重車両用とか
の場合ベルトに用いるゴム被覆コード層の使用数
がはるかに多いこともあつて、ベルトの幅端近傍
に生じ勝ちなセパレーシヨン故障の有効な抑制
は、なお充分とは言い難い。 （発明が解決しようとする問題点） 空気入りラジアルタイヤのベルトによるトレツ
ド部強化は、内圧の充てんに由来したタイヤの径
成長を抑制するのに寄与し、この抑制が不充分な
ときはトレツド部に生じる引張ひずみのために、
トレツドの耐摩耗性や、耐カツト性に悪影響がも
らたされる。 この径成長の抑制には、ベルトのコード層をカ
ーカスのクラウン領域のまわりにコード層の層間
コードがクラウン円周を狭んで互いちがいに交差
する積層配置とすること、また交差するコード交
角を小さくすること、そしてコードのモジユラス
を大きくすることが必要なのは、いうまでもな
い。 しかし乍ら小さいコード交角にてコード層を積
層したベルトに働く張力は、コード交角をより小
さくする向きのいわゆるパンタグラフ状の変位を
ベルトにもたらすが、ベルトの側端は各コードの
自由端に終るために、ベルトの中央域と比較して
より大きく変位し、この変位は積層各コード層の
コードの傾斜の向きに従つて互いに反対向きにな
る。 従つてベルトの側端の近傍で、コード傾斜の向
きを異にして隣接するコード層間に狭まれる介在
ゴムには、ベルトの張力下に著しいせん断ひずみ
を生じてこれがベルト端のセパレーシヨン故障の
原因になる。 このようにしてタイヤの径成長の抑制と、ベル
ト端セパレーシヨンの防止との両立は、一般に困
難とされたのであるが、これについての有効な解
決を与えることが、この発明の目的である。 （問題点を解決するための手段） この発明は、多数のコードの平行配列ゴム被覆
になる四枚以上のコード層を補強ベルトに用い、
これをラジアル構造カーカスのクラウン領域のま
わりに、コード層の層間コードがクラウン円周を
狭んで互いちがいに交差する積層配置してトレツ
ド部を強化した空気入りラジアルタイヤにおい
て、 上記補強ベルトが、タイヤの回転軸を含んで仮
想した座標平面への各コード層におけるコードの
投影が該回転軸となす傾斜角の符号によりコード
層を正号の組みと負号の組みとに分けて、同号の
組み毎にタイヤの半径方向のより外方に配置され
るコード層ほど、より広い幅を有する配置になり
かつ、組みを異にする二つの最大幅コード層の幅
比の値を0.7〜0.9の範囲とし、最大幅がより狭い
一方の組みのその最大幅が他方の組みの最大幅に
次ぐ広さをもつコード層幅よりも狭い積層になる
ことを特徴とする高耐久性空気入りラジアルタイ
ヤである。 ここに各組みに属し隣り合うコード層のうち、
幅の広い方のコード層の幅の狭いコード層に対す
る幅比が1.3以下であること、そしてコード層の
コードが破断伸び3.5％以下の物性を有するもの
であることが実施上よりのぞましい。 また各組み毎のコード層が、タイヤの半径方向
のより外方に配置されるもの程、より大きい傾斜
角を有するものであることがこのましい。 第１図にこの発明に従う高耐久性空気入りラジ
アルタイヤのトレツド部を断面で示した。 図中１は補強ベルト、２はラジアル構造のカー
カス、３がトレツド部である。 ベルト１はカーカス２のクラウン領域を取巻く
多数のコードの平行配列ゴム被覆になる四枚以上
のコード層からなるところ、カーカス２に近い方
から順に、コード層B₁，B₂，B₃，B₄及びB₅で区
別したように、この例で５枚構成の場合を示し、
それらの幅Ｗにも同じ添数字をつけてあらわし
た。 この例で第１図のＡ−Ａ線矢印に従いベルト１
の構成を部分的な断面透視図で示すようにコード
層B₁，B₃及びB₅はタイヤの回転軸Ｃに対して正
の傾斜角度またコード層B₂とB₄とは、同じく負
の傾斜角度θで斜交するものとする。 傾斜角度θの符号が正号であコード層B₁，B₃
及びB₅、また負号であるコード層B₂，B₄はそれ
ぞれの組みをなし、各組み毎にタイヤの半径方向
のより外方に配置されるコード層ほど、より広い
幅をもつものとする。 組みの一方、この例で正号のに傾斜角度のコー
ド層の最大幅W₅に対する、他方つまり負号の傾
斜角度のコード層の最大幅W₄の比(W₄/W₅)の値
を0.7〜0.9の範囲内とする。 さらに、最大幅がより狭い一方の組み、この例
でコード層B₂，B₄の組みの最大幅をもつコード
層B₄の幅W₄が他方の組み、この例でB₁，B₃，B₅
の組みの最大幅W₅に次ぐ広さをもつコード層B₃
の幅W₃より狭いものとする。 それ故補強ベルト１上のトレツド３と接してい
るコード層B₅，B₃，B₁は、互いに隣接して何れ
も同じ正の傾斜をもつて、これらコード層の側端
近傍における層間介在ゴムを狭む。 ここにコード層B₂，B₄については、コード層
B₁，B₃間、B₂，B₅間に位置している。 （作 用） ベルト１は、正号のコード傾斜角度をもつコー
ド層の組み、負号のコード傾斜角度をもつコード
層の組みとを区分して、その一方の最大幅（第１
図の例でW₄）は他方のそれ（第１図の例でW₅）
に対して0.7〜0.9の範囲内とし、しかもどちらの
組も荷重時の変形が大きくなるタイヤの半径方向
内側のコード層ほど巾が狭くなつている。従つて
タイヤの径成長を十分に抑制することが可能とな
り、さらにせん断ひずみが大きくあらわれるタイ
ヤ半径方向内側におけるベルト端のひずみは減少
する上に、最大幅が狭い方の組みのコード層は荷
重時の側端における円周変位は元来小さいのでそ
のコード層の幅端のひずみは小さい。 ここに二つの最大幅コード層の幅比の値を0.7
〜0.9としたのは、この範囲の値がタイヤの径成
長の抑制とベルト端のひずみ軽減とを同時に有効
に達成するのに好適だからであり、この値が0.7
より小さいと径成長が不所望なまで増大し、0.9
より大きいとベルト端の歪の不可避的増加を招
く。 さらに最大幅がより狭い方の組みの最大幅をも
つコード層の幅（第１図の例でW₄）を、最大幅
がより広い組みの二番目の広さをもつコード層の
幅（第１図の例でW₃）より狭くとることで、さ
もなければひずみが増えがちなこの二番目のコー
ド層（第１図の例でB₃）端のひずみを大幅に軽
減できる。 またさらに最大幅の広い方の組みのコード層
は、その側端での荷重時円周変位が大きくあらわ
れるが最も外側のコード層は別にするとその外側
に同号の傾斜角度でさらに巾の広いコード層が位
置することにより、外側のコード層がその内側コ
ード層側端の介在ゴムをより外側のコード層とと
もに同一の方向へ追従変形させる。 この結果、外側を同方向のコード傾斜角度でか
つ巾広のコード層によりおおわれたコード層側端
とその周辺の介在ゴムとの相対変位は減少し、こ
のようにして介在ゴムに生じるせん断ひずみは激
減する。 なお最も外側のコード層は半径方向外側にある
ため、荷重時の変形が小さくセパレーシヨンが発
生するうれいはない。 従つてこのベルト構造では、径成長を有効に抑
えるためにコード層の層間コードが互いちがいに
積層配置としても、またたとえコード傾斜角度を
小さくしたとしてもベルト側端でのせん断ひずみ
の増加量は著しく小さくなる。 第１図につき大型建設車両などに用いられる重
荷重用の空気入りラジアルタイヤにおけるこの発
明の適用に関して、同方向の角度をもつコード層
B₄とB₂またB₅とB₃さらにB₃とB₁のそれぞれの幅
比W₄/W₂，W₅/W₃，W₃/W₁は、外側の巾が内側
の巾の1.3倍以下であることが好ましい。1.3倍を
超えると、外側のコード層側端のせん断ひずみ
が、セパレーシヨンを発生させ限界値Ｌ（第２図
参照）を超えるからである。 また一方、コード層B₃とB₂の幅比W₂/W₃も0.7
倍以上であることが好ましい。0.7倍未満である
と張力負担効果が小さくなつて径成長が増大する
からである。 実施例 この発明を適用した例を４枚のベルトをもつ大
型タイヤ（TBR10.00 Ｒ 20）の例について第
３図ｂ（タイヤNo.２）字（同No.３）にて同図ａ（同
No.１）の一般的ベルト構造の場合と比較して示
し、また５枚のベルトをもつ超大型タイヤ
（ORR 36.00R 51）の例を第４図ａ（タイヤNo.４）
ｂ（同No.５）にて同様に示す。 これらの各タイヤは、次のドラム試験を行なつ
た。

【表】 圧
まず各タイヤのベルト側端における円周せん断
ひずみを有限要素法によるシユミレーシヨン計算
によつて求めた。 各タイヤには試験荷重を平押つまり平たんなア
ンビル上にかけた状態とした。計算結果は以下に
示す。 なお大型タイヤにあつてはタイヤNo.１のベルト
張力負担に与えるコード層P₁の側端におけるせ
ん断ひずみ39％を指数100とし、また超大型タイ
ヤにあつてはタイヤNo.４の張力負担を司るコード
層P₁の側端におけるせん断ひずみ45％を指数100
としこれに対する指数表示を示した。ドラム耐久
試験では大型、超大型タイヤとも一般的なベルト
構造を有するタイヤNo.１とNo.４が最初に故障し、
故障発生までの走行距離はNo.１が21000Km、No.４
では6160Kmであつたので、それぞれの値を指数
100とした。さらに内圧充てん時の径成長は、No.
１が1.8mm、No.４が10.1mm（それぞれセンター部
で）であつたので、それぞれの値を指数100とし
た。

【表】 この表より、径成長、耐久性ともに向上してい
るのがわかる。 （発明の効果） この発明によると大型は勿論、超大型の空気入
りラジアルタイヤも含めて、従来一般に両立が困
難とされたタイヤの径成長と耐セパレーシヨン性
とを、同時解決することができるためこの種タイ
ヤの耐久性を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はベルト配列の要点を示す断面図、第２
図は効果グラフであり、第３図、第４図は実施例
の説明図である。 １…ベルト、２…カーカス、３…トレツド部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多数のコードの平行配列ゴム被覆になる四枚
   以上のコード層を補強ベルトトに用い、これをラ
   ジアル構造カーカスのクラウン領域のまわりに、
   コード層の層間コードがクラウン円周を挟んで互
   いちがいに交差する積層配置してトレツド部を強
   化した空気入りラジアルタイヤにおいて、 上記補強ベルトが、タイヤの回転軸を含んで仮
   想した座標平面への各コード層におけるコードの
   投影が該回転軸となす傾斜角の符号によりコード
   層を正号の組みと負号の組みとに分けて、同号の
   組み毎にタイヤの半径方向のより外方に配置され
   るコード層ほど、より広い幅を有する配置になり
   かつ、組みを異にする二つの最大幅コード層の幅
   比の値を0.7〜0.9の範囲とし、最大幅がより狭い
   一方の組みのその最大幅が他方の組みの最大幅に
   次ぐ広さをもつコード層幅よりも狭い積層になる ことを特徴とする高耐久性空気入りラジアルタイ
   ヤ。 ２ 各組みに属しその中で隣り合うコード層のう
   ち、幅の広い組のコード層の幅の狭い組のコード
   層に対する幅比が1.3以下である特許請求の範囲
   第１項に記載したタイヤ。 ３ コード層のコードが破断伸び3.5％以下の物
   性を有するものである特許請求の範囲第１項また
   は第２項に記載したタイヤ。