JPH057724Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案はテレビジヨン受像機やデイスプレイ装
置等の陰極線管上に装置される偏向ヨーク装置に
関する。

〈従来の技術〉 一般に、テレビジヨン受像機やデイスプレイ装
置においては、画面形状の制約等に起因して、陰
極線管画面の上下、左右位置に糸巻状のラスタ歪
が発生するもので、この糸巻状のラスタ歪を補正
して正常な画面特性を得るために、回路的に糸巻
歪補正トランスを用いることが知られている。こ
れに対し、近来、偏向ヨークを構成する偏向コイ
ルの巻線分布を種々変化させて偏向コイルによつ
て発生する磁界を調整して、回路的に糸巻歪補正
トランスを用いることなくラスタ歪の補正を行な
うことが開発され実用化されてきている。しか
し、この場合も依然として画面上に糸巻状のラス
タ歪は残るもので、ラスタ歪を完全に補正して正
常な画面を得るために、陰極線管上に装置される
偏向ヨークの前部側に歪補正マグネツトを複数個
取付けることが行なわれるものである。

従来の陰極線管画面の上下位置に生じた糸巻状
のラスタ歪を補正するための歪補正マグネツトを
備えた偏向ヨーク装置においては、第４図に示す
ように、偏向ヨーク１の一部をなす一対の半環状
ボビン２，２で構成された環状ボビン３の頭部拡
大部３ａの背面に上下に位置して、棒状の歪補正
マグネツト４，４を各半環状ボビン２，２に設け
た保持片５，５を介して半環状ボビン２，２の接
合部Ｓを跨いだ状態で取付け固定してなるもので
あつた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、このような従来の構成によれ
ば、歪補正マグネツト４，４の取付け位置が半環
状ボビン２，２の接合部Ｓ上になるため、半環状
ボビン２，２を接合して環状ボビン３を構成した
後でなければ歪補正マグネツト４，４の取付け固
定ができず、歪補正マグネツト４，４を環状ボビ
ン３に取付けるための独立した工程が必要となつ
てその分工程数が増加し、作業性の劣化、コスト
アツプをもたらす、という問題点があつた。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案の偏向ヨーク装置は上記問題点を解決す
るため、環状ボビンを構成する一対の半環状ボビ
ンと、半環状ボビンの頭部拡大部の周面の内径側
接合部に設けたポケツト状のマグネツト収納部
と、一方の半環状ボビンのマグネツト収納部に収
納固定されるマグネツトとを備え、マグネツトは
予めその一部を一方の半環状ボビンのマグネツト
収納部に収納され、一対の半環状ボビンの接合に
よりその全体を収納固定されるものである。

〈実施例〉 以下、本考案偏向ヨーク装置の一実施例を図面
を用いて詳細に説明する。第１図，第２図におい
て、１０は環状ボビンであり、一対の半環状ボビ
ン１１，１２を接合することで構成される。環状
ボビン１０の内面にはくら型に巻回された水平偏
向コイル１３，１３が装着され、外面には垂直偏
向コイル（図示せず）がコア（図示せず）に対し
てトロイダルに巻回された状態で装着される。環
状ボビン１０の頭部拡大部１０ａの周面の内径側
で半環状ボビン１１，１２の接合部１４を跨いだ
位置（つまり、環状ボビン１０の上・下位置）に
は、半環状ボビン１１，１２を第２図の矢印Ａ方
向に沿つて互いに接合することにより最終形状が
形成されるポケツト状のマグネツト収納部１５，
１６が設けられており、各マグネツト収納部１
５，１６には棒状の歪補正マグネツト１７，１８
が収納固定される。マグネツト収納部１５，１６
は、第３図に示すように、一方の半環状ボビン１
１，１２の頭部拡大図１０ａの周面の内径側で接
合部（端縁）１４から径方向に拡大部に沿つて形
成された断面略コ字状の主部１９と、他方の半環
状ボビン１２，１１の頭部拡大部１０ａの周面の
内径側で同じく接合部（端縁）１４から径方向に
拡大部に沿つて形成された径大状の副部２０とか
ら構成され、主部１９の内部には歪補正マグネツ
ト１７，１８の主部１９内での位置を規制する底
板２１、突堤２２、係止片２３，２４等が設けら
れ、副部２０の内部には同じく歪補正マグネツト
１７，１８の位置を規制する一対の規制板２５が
設けられているものである。尚、図中、２６は一
対の半環状ボビン１１，１２を接合固定するため
の嵌合手段である。

斯かる構成の偏向ヨーク装置において、水平偏
向コイル１３，１３を一方の半環状ボビン１１或
は１２の内面に装着し、歪補正マグネツト１７，
１８をマグネツト収納部１５，１６の各主部１９
内に収納した状態で、半環状ボビン１１，１２を
互いに接合して環状ボビン１０を構成する。この
際、マグネツト収納部１５，１６に収納された歪
補正マグネツト１７，１８は収納部１５，１６内
にて位置的に規制されて固定がなされ、最終的に
接着剤の塗布により完全な固定がなされるもので
ある。

尚、本考案の一実施例においては、画面の上下
位置に生じた糸巻状のラスタ歪を補正するための
マグネツトのみを取り付けるものについて述べた
が、斯かる構成に加えて、画面の左右位置に生じ
た糸巻状のラスタ歪を補正するためのマグネツト
を偏向ヨークの前部側の左右に設けて偏向ヨーク
装置を構成しても良いもので、この場合、補正マ
グネツトは本考案に示した上下２個に加えて左右
２個の計４個となるものである。さらに、本考案
の一実施例においては、水平偏向コイルをくら型
に、垂直偏向コイルをトロイダルに巻装して構成
するものについて述べたが、偏向コイル、特に垂
直偏向コイルの巻回形状は実施例に限定されるこ
とはなく、適宜に変形・変更ができるもので、こ
れに伴い、他の構成に関しても種々変形・変更が
なし得るものである。

〈考案の効果〉 本考案の偏向ヨーク装置は以上詳細に述べたと
おりであり、以下に示す効果を生じるものであ
る。つまり、半環状ボビンのマグネツト収納部に
あらかじめ歪補正マグネツトを収納した状態で半
環状ボビンを接合して環状ボビンを構成すること
ができるもので、水平偏向コイルをくら型に巻回
し環状ボビンの内面に装着するものにおいては、
水平偏向コイルの組み込み時に同時に歪補正マグ
ネツトの組み込み・固定がなされ、この結果、環
状ボビンを構成した後に歪補正マグネツトを取付
けるという歪補正マグネツトを取付けるための独
立した工程が不要となり、その分工程数が削減さ
れ、作業性の向上、コストダウンがなされるもの
である。また、あらかじめ歪補正マグネツトを半
環状ボビンのマグネツト収納部内に接着剤を用い
て固定しておくこともでき、歪補正マグネツトの
取付け位置が半環状ボビンの接合部上であるにも
かかわらず、例えば、外注による前加工もできる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案偏向ヨーク装置の一実施例にお
ける正面図、第２図は同じく一対の半環状ボビン
の接合前の状態の正面図、第３図は同じく歪補正
マグネツトの取付け状態を説明する要部分解斜視
図、第４図は従来の偏向ヨーク装置の背面図であ
る。 １０……環状ボビン、１０ａ……頭部拡大部、
１１，１２……半環状ボビン、１４……接合部、
１５，１６……マグネツト収納部、１７，１８…
…歪補正マグネツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状ボビンを構成する一対の半環状ボビンと、
   該半環状ボビンの頭部拡大部の周面の内径側接合
   部に設けたポケツト状のマグネツト収納部と、前
   記一方の半環状ボビンのマグネツト収納部に予め
   その一部を収納しておき前記一対の半環状ボビン
   の接合によりその全体を収納固定されるマグネツ
   トとを備えることを特徴とする偏向ヨーク装置。