JPH056840A - 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法

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JPH056840A
JPH056840A JP18334291A JP18334291A JPH056840A JP H056840 A JPH056840 A JP H056840A JP 18334291 A JP18334291 A JP 18334291A JP 18334291 A JP18334291 A JP 18334291A JP H056840 A JPH056840 A JP H056840A
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JP
Japan
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aluminum alloy
alloy foil
temperature
electrolytic
foil
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JP18334291A
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Keisuke Yagi
啓介 八木
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Nippon Foil Manufacturing Co Ltd
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Nippon Foil Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電容量の高い電解コンデンサ用陰極箔を得
るのに適した、電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔を
提供する。 【構成】 この電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔
は、その表面に酸化皮膜が形成されている。この酸化皮
膜の相対水和率は、5〜50%である。このような電解コ
ンデンサ陰極用アルミニウム箔は、以下の如き方法によ
って得ることができる。Al純度99重量%以上のアルミニ
ウム合金箔を、一定温度の温水に、一定時間浸漬処理す
ることによって得られる。なお、この際の温度−時間条
件は、図1の斜線で示す範囲内とする。また、Al純度99
重量%以上のアルミニウム合金箔を、一定の温度のトリ
エタノールアミン水溶液に、一定時間浸漬処理すること
によっても得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エッチング特性の良好
な、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、電解コンデンサ用陰極箔は、
以下の如き方法で製造されている。即ち、比較的高純度
のアルミニウム合金箔をエッチングし、アルミニウム合
金箔の表面にエッチングピット(微細孔)を生成させる
というものである。このエッチングピットの生成によ
り、アルミニウム合金箔の表面積が拡大し、静電容量が
増大するのである。
【0003】従来より、電解コンデンサ用陰極箔の静電
容量を増大させるため、アルミニウム合金箔の合金組成
の検討が種々行なわれている。即ち、エッチング時にお
いて、微細なエッチングピットが均一な分布で多数生成
するように、アルミニウム合金箔の合金組成を検討する
ことが行なわれているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者が、アルミニ
ウム合金箔のエッチング特性を種々検討されていたとこ
ろ、合金組成だけではなく、他の要因によってもエッチ
ング特性は変化するのではないかという疑問を持った。
そこで、この他の要因を見出すべく、種々研究を行なっ
た結果、アルミニウム合金箔の表面に存在する酸化皮膜
の状態が、エッチング特性に影響を与えていることが判
明した。そして、酸化皮膜の状態を種々変化させて、エ
ッチング特性を調べ、どのようにすればエッチング特性
が向上するかを見出して、本発明に到達したのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、表面に
酸化皮膜が形成されてなり、且つ該酸化皮膜の相対水和
率が5〜50%であることを特徴とする電解コンデンサ陰
極用アルミニウム合金箔、及びその製造方法に関するも
のである。
【0006】本発明に係るアルミニウム合金箔のAl純度
は、従来、電解コンデンサ陰極用に使用されている程度
の純度でよいが、一般的にはAl純度が99重量%以上であ
るのが、好ましい。また、アルミニウム合金箔中には、
Siが0.010〜0.050重量%程度、Feが0.010〜0.050重量%
程度、Cuが0.002重量%以下、Mgが0.005〜0.015重量%
程度、Znが0.005〜0.015重量%程度、含有されているの
が好ましい。また、TiやNiが含有されていてもよい。こ
のようなアルミニウム合金箔は、所定の合金組成のアル
ミニウム鋳塊を得、このアルミニウム鋳塊を面削し、更
に均質化処理、熱間圧延、冷間圧延を施して得ることが
できる。
【0007】本発明に係るアルミニウム合金箔の表面に
は、酸化皮膜が形成されている。酸化皮膜はアルミニウ
ム元素(Al)に酸素(O)が結合したものである。そし
て、この酸化皮膜中において、水(H2O)が水素結合或
いはイオン結合等によってアルミニウム元素に結合し
て、水和状態となっている。本発明においては、この水
和状態が重要であり、酸化皮膜中における相対水和率が
5〜50%となっている。相対水和率が5%未満であると、
エッチング時において、多数のエッチングピットが生成
しにくく、不均一に且つ疎な状態でエッチングピットが
生成するため、アルミニウム合金箔の表面積の拡大が図
れず、高静電容量の電解コンデンサ用陰極箔が得られな
いので、好ましくない。また、相対水和率が50%を超え
ると、エッチングピットが密に生成して、エッチングピ
ット同士が合体し、微細なエッチングピットが消失す
る。従って、粗大孔が生成しやすくなり、アルミニウム
合金箔の表面積の拡大が図れず、静電容量が低下するの
で、好ましくない。
【0008】本発明で言う相対水和率とは、以下の方法
で測定されるものである。即ち、アルミニウム合金箔の
表面のESCA分析において、乾燥空気中で300℃×1
時間熱処理したものを基準として、図3に示すようにO
1Sスペクトルを二つに分離し、Al−Oによるスペクトル
(アルミニウム元素と酸素との結合によるスペクトル)
の積分強度をA1とし、Al−OHによるスペクトル(アル
ミニウム元素と水との結合によるスペクトル)の積分強
度をA2として、次式で算出されるものである。相対水
和率(%)=[A2/(A1+A2)]×100である。
【0009】以上の如き、一定の相対水和率を持つ酸化
皮膜を生成させるには、次のような方法を採用するのが
好ましい。例えば、Al純度99重量%以上のアルミニウム
合金箔を、温水中に一定時間浸漬して、アルミニウム合
金箔表面に、一定の相対水和率を持つ酸化皮膜を生成さ
せる方法である。この際の温水条件及び浸漬時間の条件
は、次のとおりである。即ち、温度40〜100℃の水を使
用し、且つこの水に時間0.1〜10000分浸漬処理するとい
う条件であって、図1の斜線で示す範囲内の温度−時間
条件で処理するのである。この範囲よりも、温度が低か
ったり、或いは浸漬時間が短かったりすると、相対水和
率が5%未満になる傾向が生じる。また、この範囲より
も温度が高かったり、或いは浸漬時間が長かったりする
と、相対水和率が50%を超える傾向が生じる。なお、図
1は、横軸が時間(分)であって、対数目盛りで目盛ら
れており、縦軸は温度(℃)であって、普通目盛りで目
盛られている。
【0010】また、Al純度99重量%以上のアルミニウム
合金箔を、一定温度のトリエタノールアミン水溶液中に
一定時間浸漬して、アルミニウム合金箔表面に、一定の
相対水和率を持つ酸化皮膜を生成させる方法も好まし
い。この際の水溶液の温度条件及び浸漬時間の条件は、
次のとおりである。即ち、温度30〜100℃のトリエタノ
ールアミン水溶液を使用し、且つこの水溶液に時間0.1
〜10000分浸漬処理するという条件であって、図2の斜
線で示す範囲内の温度−時間条件で処理するのである。
この範囲よりも、温度が低かったり、或いは浸漬時間が
短かったりすると、相対水和率が5%未満になる傾向が
生じる。また、この範囲よりも温度が高かったり、或い
は浸漬時間が長かったりすると、相対水和率が50%を超
える傾向が生じる。使用するトリエタノールアミン水溶
液の濃度は、任意に決定しうる事項であるが、一般的に
は0.1〜10重量%程度が好ましい。なお、図2も、横軸
が時間(分)であって、対数目盛りで各時間が目盛られ
ており、縦軸は温度(℃)であって、普通目盛りで目盛
られている。
【0011】また、これらの方法以外に、所定のAl純度
のアルミニウム合金箔に蒸気を吹き付ける方法や高温多
湿雰囲気中に暴露する等の処理方法を採用することもで
きる。なお、上記した種々の製造方法において使用する
アルミニウム合金箔は、前記したようにAl純度が99重量
%以上であるのが好ましい。Al純度が99重量%未満にな
ると、粗大な金属間化合物が箔中に多くなり、本発明の
方法によっても、良好なエッチング特性を持つアルミニ
ウム合金箔が得られにくくなる傾向が生じる。
【0012】
【実施例】実施例1〜8及び比較例1〜8 Al99.91重量%、Si0.030重量%、Fe0.031重量%、Cu0.0
01重量%、Mg0.010重量%、Zn0.009重量%、Ti0.000重
量%、Ni0.000重量%の合金組成を持つアルミニウム鋳
塊(厚さ400mm)を準備した。このアルミニウム鋳塊を
面削した後、温度520℃で25時間の条件で均質化処理を
行なった。その後、熱間圧延を施して、厚さ3mmのアル
ミニウム板を作成し、更に冷間圧延を施して、厚さ0.05
mmのアルミニウム合金箔を得た。
【0013】このアルミニウム合金箔を表1に示す温度
の温水に、表1に示す時間浸漬して、電解コンデンサ陰
極用アルミニウム合金箔を得た。この電解コンデンサ陰
極用アルミニウム合金箔の表面を形成している酸化皮膜
の相対水和率は、表1に示すとおりであった。また、こ
の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔に、以下に
示すエッチング処理をした後、30℃の8.0重量%硝酸溶
液中で120Hzの直列等価回路でLCRメーターを用いて、静
電容量を測定したところ、表1に示すとおりであった。
エッチング処理の条件は、30℃の2.8重量%塩酸+7.5重
量%塩化アルミニウム(6水和物)+0.1重量%蓚酸(2
水和物)水溶液中で、10Hzの矩形波交流を用いて、0.2
A/cm2で210秒間処理した。
【0014】
【表1】 以上の結果より明かなとおり、実施例に係る電解コンデ
ンサ陰極用アルミニウム合金箔は、比較例に係る電解コ
ンデンサ陰極用アルミニウム合金箔に比べて、静電容量
を高くすることができる。
【0015】実施例11〜18及び比較例11〜18 実施例1で使用したアルミニウム合金箔を表2に示す温
度のエタノールアミン水溶液(濃度1重量%)に、表2
に示す時間浸漬して、電解コンデンサ陰極用アルミニウ
ム合金箔を得た。この電解コンデンサ陰極用アルミニウ
ム合金箔の表面を形成している酸化皮膜の相対水和率
は、表2に示すとおりであった。また、この電解コンデ
ンサ陰極用アルミニウム合金箔に、実施例1で処理した
のと同様のエッチング処理をした後、実施例1と同様の
方法で静電容量を測定したところ、表2に示すとおりで
あった。
【表2】 以上の結果より明かなとおり、実施例に係る電解コンデ
ンサ陰極用アルミニウム合金箔は、比較例に係る電解コ
ンデンサ陰極用アルミニウム合金箔に比べて、静電容量
を高くすることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明に係る電解コンデンサ陰極用アル
ミニウム合金箔は、その表面に一定の相対水和率を持つ
酸化皮膜が形成されているので、それをエッチング処理
すれば、静電容量の高い電解コンデンサ用陰極箔を得る
ことができるという効果を奏する。また、本発明に係る
電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法
は、温水に一定時間アルミニウム合金箔を浸漬する、或
いはエタノールアミン水溶液中に一定時間アルミニウム
合金箔を浸漬するという簡単で且つ効率的な方法であ
り、これによりアルミニウム合金箔表面に一定の相対水
和率を持つ酸化皮膜を形成することができる。即ち、本
発明に係る方法を採用すれば、合理的に、静電容量の高
い電解コンデンサ用陰極箔を得るためのアルミニウム合
金箔を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2記載の電解コンデンサ陰極用アルミニ
ウム合金箔の製造方法を使用する際における、温水の温
度と浸漬時間の条件を示したものである。
【図2】請求項3記載の電解コンデンサ陰極用アルミニ
ウム合金箔の製造方法を使用する際における、エタノー
ルアミン水溶液の温度と浸漬時間の条件を示したもので
ある。
【図3】O1Sスペクトルを示したものであり、Al−Oに
よるスペクトルの積分強度をA1とし、Al−OHによるス
ペクトルの積分強度をA2として、示したものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に酸化皮膜が形成されてなり、且つ
    該酸化皮膜の相対水和率が5〜50%であることを特徴と
    する電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔。
  2. 【請求項2】 Al純度99重量%以上のアルミニウム合金
    箔を、温度40〜100℃の水を使用し、且つこの水に時間
    0.1〜10000分浸漬処理するという条件であって、図1の
    斜線で示す範囲内の温度−時間条件で処理することを特
    徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 Al純度99重量%以上のアルミニウム合金
    箔を、温度30〜100℃のトリエタノールアミン水溶液を
    使用し、且つこの水溶液に時間0.1〜10000分浸漬処理す
    るという条件であって、図2の斜線で示す範囲内の温度
    −時間条件で処理することを特徴とする電解コンデンサ
    陰極用アルミニウム合金箔の製造方法。
JP18334291A 1991-06-27 1991-06-27 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法 Pending JPH056840A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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