JP3587266B2 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、静電容量の高い電解コンデンサ用電極箔(特に陽極箔)を得ることのできる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電解コンデンサ用電極箔を製造するためには、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔にエッチング処理を施し、箔表面に微細孔を多数形成して、箔表面の表面積を拡大することが行なわれている。この表面積の拡大は、電解コンデンサ用電極箔の静電容量を高めるためである。従って、高静電容量の電解コンデンサ用電極箔を得るためには、エッチング特性の良好な電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を使用する必要がある。一方、エッチング処理としては、使用耐電圧に適したエッチピットが得られるように、種々の方法が採用されている。例えば、高圧用陽極箔には、トンネル状のエッチピットが形成されているのが好ましく、直流エッチング法が採用されている。
【0003】
どのような電解コンデンサ電極用アルミニウム箔が、良好なエッチング特性を有しているかについて、従来より種々検討が行われている。例えば、高圧用の陽極箔とするために、どのような電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を採用すれば、良好なトンネル状のエッチピットが多数形成されるかが、従来より種々検討されている。即ち、特開平1−273309号公報や特開平4−36444号公報には、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に、所望の方法で酸化皮膜を形成させることが提案されている。しかしながら、これらの先行技術には、所望の方法で酸化皮膜を形成させることが記載されているだけで、どのような酸化皮膜を形成させれば良いかについて、何らの示唆もない。従って、所望の方法で酸化皮膜を形成させたとしても、得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面の酸化皮膜の厚さや構造は異なっており、エッチング性も異なってくる。依って、このような先行技術を利用しても、常に高静電容量の電極箔が得られないという憾みがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電解コンデンサ電極用アルミニウム箔のエッチング特性、特に高圧用陽極箔とする際のエッチング特性(トンネル状のエッチピットが良好に形成されるような特性)が、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成された酸化皮膜の性状と関係のあることは確かである。そこで、本発明者は、酸化皮膜の性状を分析するのに、酸化皮膜中の上層を形成している多孔質の皮膜と、その下層に存在する薄くて緻密なバリアー型酸化皮膜とに区分しうることに着目し、且つ酸化皮膜中の水和率に着目し、それらがどのような状態のときにエッチング特性が向上するかを研究した。また、仕上焼鈍前における酸化皮膜の性状と、仕上焼鈍後における酸化皮膜の性状の変化にも着目し、それらがどのような状態のときにエッチング特性が向上するかを研究した。
【0005】
このような研究の結果、総酸化皮膜の厚さと水和率,或いはバリアー型酸化皮膜と水和率などの種々の関係が、一定の関係を維持している場合に、エッチング特性が良好となることを見出し、本発明を完成したのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明において、前提となることは、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔のアルミニウム純度が99.9重量%以上であるこということである。純度が99.9重量%未満であると、相対的に不純物が多くなって、どのような性状の酸化皮膜を表面に形成させても、エッチング性が不良になる(エッチング時に過溶解が生じる、又はエッチング時に溶解しない)ため、好ましくない。なお、アルミニウム純度が99.9重量%以上である限り、他にどのような不可避不純物が含有されていてもよいことは、言うまでもない。そして、この電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の表面には、酸化皮膜が形成されている。
【0007】
このような前提において、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成されている酸化皮膜全体の厚さと酸化皮膜中の水和率とが、下記式(1)に示すような条件を満足することである。式(1)の条件を満足しない場合は、いずれもエッチング性が不良となって、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。

0.33toaF+18.33≦HaF≦0.33toaF+27.4………(1)
ここで、toaFは、総酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ45≦toaF≦70を満足するものである。総酸化皮膜厚さが45オングストローム未満であると、エッチング時に過溶解が生じて、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、総酸化皮膜厚さが70オングストロームを超えると、エッチングが不均一に進行し、局部溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、総酸化皮膜厚さの測定方法は、次のとおりである。即ち、XPSを用いて、箔の深さ方向の[Al 2p]スペクトルのピーク強度を測定し、Al−O結合によるピークの面積とAl−Al結合によるピークの面積とが等しくなったイオンスパッタ時間(min.)に50オングストローム/min.を乗じたものを、総酸化皮膜厚さとする。
また、HaFは、酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ35≦HaF≦45を満足するものである。酸化皮膜中の水和率が35%未満であると、エッチング時に過溶解が生じて、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、酸化皮膜中の水和率が45%を超えると、エッチングが不均一に進行し、局部溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、酸化皮膜中の水和率(%)の測定方法は、次のとおりである。即ち、XPSを用いて、箔表面の[O 1s]スペクトルを測定し、そのスペクトルをAl−O結合によるピークとAl−OH結合によるピークとに波形分離し、[O 1s]ピーク全体の面積に対するAl−OH結合によるピークの面積の比を求め、これを水和率(%)とした。
【0008】
また、上記のような前提において、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成されている酸化皮膜中のバリアー型酸化皮膜の厚さと酸化皮膜中の水和率とが、下記式(2)に示すような条件を満足してもよい。式(2)の条件を満足しない場合は、いずれもエッチング性が不良となって、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。

0.55tbaF+18.67≦HaF≦0.55tbaF+30.17………(2)
ここで、tbaFは、バリアー型酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ25≦tbaF≦32.5を満足するものである。バリアー型酸化皮膜の厚さが25オングストローム未満になると、エッチングが不均一になって、局部溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、バリアー型酸化皮膜の厚さが32.5オングストロームを超えると、エッチング時に過溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。また、なお、バリアー型酸化皮膜厚さの測定方法は、次のとおりである。即ち、25℃の10%アジピン酸アンモニウム水溶液中に10mm×100mmの寸法の試料箔を浸漬し、DC0.4mAの定電流を流し、その時の時間−電圧曲線の屈曲点の電圧(V)に14オングストロームを乗じたものを、バリアー型酸化皮膜の厚さとした。また、HaFの定義及びその範囲は、式(1)の場合と同様であり、その測定方法も上に記したとおりである。
【0009】
本発明に係る電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、上に記した式(1)のみを満足するものであってもよいし、上に記した式(2)のみを満足するものであってもよい。更には、上に記した式(1)及び式(2)とを同時に満足するものであってもよい。上に記した式(1)及び(2)の両者を同時に満足した方が、よりエッチング特性が良好となって、より高静電容量の電極箔が得られることは、言うまでもない。
【0010】
また、仕上焼鈍する前のアルミニウム箔として、バリアー型酸化皮膜の厚さと酸化皮膜の水和率とが、下記式(3)に示すような条件を満足し、一定の条件下で仕上焼鈍をして得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の場合においても、高静電容量の電極箔を得ることができる。式(3)の条件を満足しないアルミニウム箔を使用すると、所定の条件で仕上焼鈍を施して電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造しても、この箔はエッチング性が不良となって、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、この場合においても、アルミニウム箔の純度が99.9重量%以上であることは、上に記した場合と同様である。

0.96tbfF+57.01≦HfF≦−1.25tbfF+72.5………(3)
ここで、tbfFは、仕上焼鈍前のアルミニウム箔表面に形成されているバリアー型酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ10≦tbfF≦30を満足するものである。このバリアー型酸化皮膜の厚さが10オングストローム未満になると、エッチングが不均一になって、局部溶解を生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、このバリアー型酸化皮膜の厚さが30オングストロームを超えると、エッチング時に過溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、このバリアー型酸化皮膜の厚さの測定方法は、tbaFの場合と同様である。
また、HfFは、仕上焼鈍前のアルミニウム表面に形成されている酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ30≦HfF≦55を満足するものである。この水和率が30%未満になると、エッチング時に過溶解を生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、この水和率が55%を超えると、エッチングが不均一になって、局部溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、この水和率(%)の測定方法は、HaFの場合と同様である。
【0011】
上に記した式(3)の条件を満足するアルミニウム箔に、150℃以上,1時間以上及び不活性雰囲気下の条件で仕上焼鈍を施す。仕上焼鈍の温度条件が150℃未満であったり、或いは時間が1時間未満であると、得られる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の立方体方位比率が増大しにくくなって、エッチング時にトンネル状のエッチピットが生じにくくなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。また、仕上焼鈍を活性雰囲気、例えば大気雰囲気下で行うと、酸化皮膜の厚さが厚くなりすぎたり、酸化皮膜中の水和率が高くなって、得られる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔にエッチング処理を施すと、過溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られなくなるので、好ましくない。
【0012】
このような特定のアルミニウム箔を使用して、一定条件下で仕上焼鈍を施すことによって、高静電容量の電極箔を製造することのできる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔が得られるのである。そして更に、特に得られる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔が、上に記した式(1)及び/又は式(2)を満足することが好ましい。何故なら、この場合には、エッチング処理することによって、より高静電容量の電極箔を得ることができるからである。
【0013】
また、仕上焼鈍前後におけるアルミニウム箔表面に形成される酸化皮膜が、下記式(4)に示すような状態変化を伴うようにして製造された電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の場合においても、高静電容量の電極箔を得ることができる。式(4)の条件を満足しないような状態変化を伴う場合には、得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔はエッチング性が不良となって、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、この場合においても、アルミニウム箔の純度は99.9重量%以上であることは、上に記した場合と同様である。

1.14tbfF+25.91≦toaF≦1.14tbfF+44.88………(4)
ここで、tbfFの定義及びその範囲は、式(3)の場合と同様であり、その測定方法も上に記したとおりである。また、toaFは、仕上焼鈍後の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成されている総酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ45≦toaF≦70を満足するものである。この総酸化皮膜厚さが45オングストローム未満であると、エッチング時に過溶解を生じ易く、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、この総酸化皮膜厚さが70オングストロームを超えると、エッチングが不均一に進行し、局部溶解を生じ易くなって、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、toaFの測定方法は、上記式(1)の箇所で説明したのと同様である。
【0014】
更に、仕上焼鈍前後におけるアルミニウム箔表面に形成される酸化皮膜とその水和率とが、下記式(5)に示すような状態変化を伴うようにして製造された電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の場合においても、高静電容量の電極箔を得ることができる。式(5)の条件を満足しないような状態変化を伴う場合には、得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔はエッチング性が不良となって、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、この場合においても、アルミニウム箔の純度は99.9重量%以上であることは、上に記した場合と同様である。

−1.32tbfF+54.11≦HaF≦−1.32tbfF+74.47………(5)
ここで、tbfFの定義及びその範囲は、式(3)の場合と同様であり、その測定方法も上に記したとおりである。また、HaFは、仕上焼鈍後の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成されている酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ35≦HaF≦45を満足するものである。この酸化皮膜中の水和率が35%未満であると、得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔をエッチングする際、過溶解が生じて、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。逆に、この酸化皮膜中の水和率が45%を超えると、得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔をエッチングする際、エッチングが不均一に進行し、局部溶解が生じ易くなり、高静電容量の電極箔が得られないので、好ましくない。なお、HaFの測定方法は、上記式(1)の箇所で説明したのと同様である。
【0015】
また、仕上焼鈍前後におけるアルミニウム箔表面に形成される酸化皮膜が、上記式(4)に示すような状態変化を伴ない、且つ酸化皮膜とその水和率とが、上記式(5)に示すような状態変化を伴うようにして、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造してもよい。この場合には、更により高静電容量の電極箔が得られる傾向が生じる。
【0016】
更に、上記式(4)及び/又は式(5)に示すような状態変化を伴って製造された電解コンデンサ電極用アルミニウム箔が、上に記した式(1)及び/又は式(2)を満足することが好ましい。何故なら、この場合には、エッチング処理することによって、より高静電容量の電極箔を得ることができるからである。
【0017】
更に、好ましい態様として、上記式(3)に示すような条件を満足するアルミニウム箔を使用し、且つ上記式(4)及び/又は式(5)に示すような状態変化を伴って電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造するのが良い。更に、より好ましい態様として、上記式(3)に示すような条件を満足するアルミニウム箔を使用し、且つ上記式(4)及び/又は式(5)に示すような状態変化を伴って、上記式(1)及び/又は式(2)を満足する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造するのが良い。これらの場合は、いずれもより高静電容量の電極箔をエッチングによって得ることのできる、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供しうるからである。
【0018】
【実施例】
実施例1〜10及び比較例1〜10
厚さ400mmの99.99重量%Al純度のアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に530℃で3hr.の条件で均質化処理を施した後、直ちに熱間圧延を開始し、330℃で熱間圧延を終了した。熱間圧延後の板を、種々の条件で、冷却し、更に冷間圧延を繰り返し施して厚さ0.13mmの薄板とし、230℃で5hr.の条件で中間焼鈍を施した。その後、圧延率20%で仕上圧延を行って、厚さ0.1mmの箔とした。次いで、箔表面の付着油分等をアセトンやアルカリ溶液等の種々の表面処理剤によって脱脂除去した後、仕上焼鈍を530℃,10hr.で、種々の無酸化雰囲気中(例えば真空度10−3Paの条件など)で行った。以上のようにして、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を得た。但し、比較例8については、仕上焼鈍を行わなかった。
【0019】
以上のように、種々の条件における電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法において、仕上焼鈍前のアルミニウム箔のバリアー型酸化皮膜の厚さ,総酸化皮膜の厚さ,及び酸化皮膜の水和率(%)を上記した方法で測定し、その結果を表1に示した。また、仕上焼鈍後における電解コンデンサ電極用アルミニウム箔、即ち得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔のバリアー型酸化皮膜の厚さ,総酸化皮膜の厚さ,及び酸化皮膜の水和率(%)も測定し、その結果を表1に示した。
【0020】
そして、各電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に、以下の条件でエッチング処理及び化成処理を施して、以下の条件で静電容量(nF/cm)を測定した。これらの結果も表1に示した。
[エッチング処理]:75℃の[5.1%HCl+6.4%AlCl6HO+6.8%HSO]溶液中に試料を浸漬し、DC 0.16A/cmで8min.の条件でエッチングを行なった。
[化成処理]:エッチング処理後の試料を、85℃の5%HBO水溶液中に浸漬し、375V.で30min.の条件で化成処理を行なった。
[静電容量]:化成処理した試料(大きさ1cm×2cm)を、4.5%HBO水溶液中に2枚、3mmの間隔で平行に対向させて浸漬し、120Hzの直列等価回路でLCRメーターを用いて、静電容量(nF/cm)を測定した。
【0021】
【表1】
Figure 0003587266
【0022】
上記の実施例及び比較例から明らかなように、上記式(1)及び(2)を満足する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を使用し、エッチング処理した電極箔は、高静電容量を持っていることが判る。また、上記式(3)を満足するアルミニウム箔を使用し、仕上焼鈍して得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔についても、高静電容量の電極箔が得られることが判る。また、上記式(4)や(5)を満足する方法で電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造した場合にも、得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、高静電容量の電極箔を提供できることが判る。
【0023】
【発明の効果】
以上のとおり、請求項1及至3に記載された、本発明に係る電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、その表面に所定の条件を満足する酸化皮膜が形成されているので、エッチング処理することによって、安定して高静電容量の電極箔を得ることができるという効果を奏する。また、請求項4及至10に記載された本発明に係る方法は、仕上焼鈍前のアルミニウム箔表面に形成されている酸化皮膜、又は仕上焼鈍前後におけるアルミニウム箔表面の酸化皮膜の変化状態が所定の条件を満足するように設定されているので、これらの方法で得られた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、エッチング処理することによって、安定して高静電容量の電極箔を得ることができるという効果を奏するものである。

Claims (11)

  1. アルミニウム純度が99.9重量%以上で、不可避不純物を含有し、且つ表面に酸化皮膜が形成されてなる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔であって、該酸化皮膜が下記に示す式(1)の条件を満足することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。

    0.33toaF+18.33≦HaF≦0.33toaF+27.4………(1)
    (但し、toaFは、総酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ45≦toaF≦70を満足するものである。また、HaFは、酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ35≦HaF≦45を満足するものである。)
  2. アルミニウム純度が99.9重量%以上で、不可避不純物を含有し、且つ表面に酸化皮膜が形成されてなる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔であって、該酸化皮膜が下記に示す式(2)の条件を満足することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。

    0.55tbaF+18.67≦HaF≦0.55tbaF+30.17………(2)
    (但し、tbaFは、バリアー型酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ25≦tbaF≦32.5を満足するものである。また、HaFは、酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ35≦HaF≦45を満足するものである。)
  3. 請求項2に記載された条件を満足する請求項1記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  4. アルミニウム純度が99.9重量%以上で、不可避不純物を含有し、且つ表面に酸化皮膜が形成されてなるアルミニウム箔であって、該酸化皮膜が下記に示す式(3)の条件を満足するアルミニウム箔に、450℃以上,1時間以上及び不活性雰囲気下の条件で仕上焼鈍を施すことを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。

    0.96tbfF+57.01≦HfF≦−1.25tbfF+72.5………(3)
    (但し、tbfFは、仕上焼鈍前のアルミニウム箔表面に形成されているバリアー型酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ10≦tbfF≦30を満足するものである。また、HfFは、仕上焼鈍前のアルミニウム表面に形成されている酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ30≦HfF≦55を満足するものである。)
  5. 請求項4記載の方法を採用することによって、請求項1及至3のいずれか一項に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造する方法。
  6. アルミニウム純度が99.9重量%以上で、不可避不純物を含有し、且つ表面に酸化皮膜が形成されてなるアルミニウム箔に、仕上焼鈍を施して電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造する方法において、仕上焼鈍前後における酸化皮膜が下記に示す式(4)を満足することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。

    1.14tbfF+25.91≦toaF≦1.14tbfF+44.88………(4)
    (但し、tbfFは、仕上焼鈍前のアルミニウム箔表面に形成されているバリアー型酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ10≦tbfF≦30を満足するものである。また、toaFは、仕上焼鈍後の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成されている総酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ45≦toaF≦70を満足するものである。)
  7. アルミニウム純度が99.9重量%以上で、不可避不純物を含有し、且つ表面に酸化皮膜が形成されてなるアルミニウム箔に、仕上焼鈍を施して電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造する方法において、仕上焼鈍前後における酸化皮膜の厚さと酸化皮膜中の水和率とが下記に示す式(5)を満足することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。

    −1.32tbfF+54.11≦HaF≦−1.32tbfF+74.47………(5)
    (但し、tbfFは、仕上焼鈍前のアルミニウム箔表面に形成されているバリアー型酸化皮膜厚さをオングストロームで表わしたものであって、且つ10≦tbfF≦30を満足するものである。また、HaFは、仕上焼鈍後の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔表面に形成されている酸化皮膜中の水和率を%で表わしたものであって、且つ35≦HaF≦45を満足するものである。)
  8. 請求項7に記載された条件を満足する請求項6記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
  9. 請求項6及至8のいずれか一項に記載された方法を採用することによって、請求項1及至3のいずれか一項に記載された電解コンデンサ電極アルミニウム箔を製造する方法。
  10. 請求項4記載の条件を満足するアルミニウム箔を使用する請求項6及至8のいずれか一項に記載された電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔の製造方法。
  11. 請求項4記載の条件を満足するアルミニウム箔を使用すると共に、請求項6及至8のいずれか一項に記載された方法を使用することによって、請求項1及至3のいずれか一項に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔を製造する方法。
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