JPH054481B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はレールを枕木に固着するための枕木と
固着クリツプとの組合せから成るレール固着装置
に関する。本発明は軽量、重量レールの何れにも
適用できる。

鋼レールを枕木に固定するに当つて安価な固着
装置の要求が多く、固着装置を簡単、迅速に取付
け、取外し可能とする希望が多い。既知の固着装
置は溶接、保持ピン、犬釘等を使用しているた
め、何れも不満足又は高価である。

クリツプによる固着も古くから知られており、
特許第22412号明細書に開示されている。しかし
ながら、ここに開示されたクリツプは、レール軌
間を定めるためのレール座部分を形成する緊着板
であつてレールの脚部に上方から接触する唇（リ
ツプ）を有する緊着板と併用しなければならな
い。この緊着板の唇はレール固着時にレールの脚
部の両側から該脚部に上方から接触してレールを
緊定する必要がある。したがつて、緊着板は１本
のレールの両側に１対設ける必要があり、しか
も、少なくともその一方は、レール固着時および
解放時に動かせるよう、枕木とは別体のものとし
なければならない（上記特許第22412号明細書で
は双方の緊着板とも枕木とは別体となつている）。
このように、枕木およびクリツプのほかに他の部
材（緊着板）を用いなければならないということ
は、レールの取り付けおよび取り外しにおける迅
速性および容易性を著しく阻害する（なお、上記
特許第22412号明細書には、枕木とクリツプだけ
でレールを固着可能な例も記載されているが、こ
れはＺ字型枕木でレールと同じ長手方向に延びて
いる部分について適用されるものであり、現在使
用されるような、レールと直角方向に該レールの
軌道幅を越えて横方向に延びる枕木には適用でき
ない）。

そこで本発明の目的は、枕木と固着クリツプと
の組み合わせからなり、レールの取り付けおよび
取り外しを簡単、迅速かつ確実に行うことのでき
るレール固着装置を提供することにある。

上記目的を達成するため、本発明によれば、 枕木と、レールの脚部を枕木に固着するための
固着クリツプとの組み合わせからなるレール固着
装置であつて、 前記枕木はその上面から上方に突出した突出部
を有し、該突出部は、前記レールを支持し且つレ
ール軌間を定めるためのレール座部分を画定して
おり、 前記枕木の上壁部分は、前記レール座部分から
離れる方向に延びる複数の開口形成面を有し、該
開口形成面には、前記上壁部分を貫通する開口が
前記突出部のそれぞれに隣接して形成されてお
り、 前記固着クリツプが、レールが該クリツプによ
つて枕木に固着されたときにレール脚部を上方か
ら押さえる上部つま先部と、対応する前記開口を
貫通して延びて前記突出部の下面を下方から押さ
える下部つま先部と、前記開口付近で枕木の上面
に上方から押し付けられるヒール部とを備えたＵ
型のクリツプであり、 前記下部つま先部が、端部に向けて下方に傾斜
するカム面と、該カム面に連続して上に凸となる
ように延長する部分とを備え、前記上に凸となる
ように延長する部分は、前記突出部の凹状下面に
下方から接触するようになされている、レール固
着装置が提供される。

本発明のレール固着装置によつてレールを取り
付けるには、枕木と、該枕木の開口と同数のＵ型
クリツプを準備するだけでよい。別部材は必要な
い。レールを枕木のレール座部分に着座させた
後、クリツプを枕木の開口内に打ち込めば、レー
ルを枕木に取り付けることができる。また、クリ
ツプを引き抜けばレールを取り外すことができ
る。これらの作業は、下部つま先部に設けられ
た、端部に向けて下方に傾斜するカム面と、該カ
ム面に連続して上に凸となるように延長する部分
であつて、前記突出部の凹状下面に下方から接触
するようになされた部分とによつて、簡単、迅速
かつ確実に行うことができる。枕木およびクリツ
プ以外の別部材を必要とすることもない。

また、本発明のレール固着装置においては、Ｕ
型クリツプの下部つま先部が開口を通つて枕木の
下側に位置するので、枕木の上方に突出するクリ
ツプ部分の高さを低く抑えることができる。した
がつてこの上方突出クリツプ部分があまり邪魔に
ならない。

本発明の一実施例によれば突出部を枕木の巾の
一部のみに延長させる。この場合、強度損失は僅
かであり、各突出部は可撓部を形成して開口附近
の応力集中の危険を防ぐ。他の実施例によれば、
開口を形成する壁部の隅を曲面とし、更に応力集
中を防ぐ。開口はレール脚の縁部から離れている
ため、枕木の最大応力部から離れる。開口を形成
する壁面はクリツプの捩れ又は長手方向の動きを
有効に抑制する。別の実施例によれば、開口側壁
及びクリツプの側面を相補形として過大打込みを
制限し、クリツプを過大に内方に打込むのを開口
側壁とクリツプ側面との接触によつて防ぐ。何れ
の実施例でも、クリツプの上下支持面間の横方向
寸法をクリツプの下部支持面とヒール部との間の
横方向寸法よりも小さくし、そのためクリツプの
変形によつて生ずる圧力荷重の大部分はレール脚
に作用し、クリツプのヒール部には僅かな圧力し
か作用しない。このため優れたばね率が得られ、
クリツプ金属の応力と疲労とを少なくする。下部
つま先部が突出部下面に係合するのはスナツプ作
用によつてであり、不時のクリツプの離脱を防
ぐ。

第１，２図に示す実施例において、レール１０
は鋼製枕木１２のレール座部分１１上に保持され
ている。レール座部分１１は２個の上方突出部１
３間に画定される。この実施例では、突出部１３
は下方にも延長して側壁突出部１４を形成する。
側壁突出部１４は短い寸法だけ側壁面上で延び枕
木１２の側壁をレール附近で補強する。枕木１２
の上壁部分は、レール座部分１１から離れる方向
に延びる複数の開口形成面を有しており、該開口
形成面には、該上壁部分を貫通する開口１６が突
出部１３のそれぞれに隣接して各１個形成されて
いる。開口１６は両側壁１７、外方端壁１８、内
方端壁１９を有する。開口の隅部は曲面とする。
第１図には２個のクリツプ２１を示したが、各枕
木について４個のクリツプを使用し、２本のレー
ルの脚の両側に接触させる。各クリツプ２１は上
部つま先部２２と、下部つま先部２３と、ほぼＵ
形のヒール部２４とを有する。

下部つま先部２３は上方凸面を有していてクリ
ツプを適所に打込んだ時に夫々の突出部１３の下
面に接触する。この目的のため、下部つま先部２
３は内方下方に傾斜した案内カム面２５を有す
る。上部つま先部２２の内方端は上方に曲り、上
部つま先部にも案内カム面２６を形成する。枕木
を形成するには上壁に開口１６を打抜きで形成
し、枕木材を変形して突出部１３，１４を形成す
る。クリツプをレール脚の上面に接触させるよう
に所定位置に打ち込むとき、下部つま先部２３の
端部に向けて下方に傾斜するカム面２５は、開口
１６の内方端壁１９に対してカム運動しながら該
内方端部壁１９の下方に案内され、開口１６を通
る。これと同時に、上部つま先部２２のカム面２
６はレール脚（または第５図および第６図の実施
例では絶縁パツド２８）の上面を案内される。こ
れらの作用、特に下部つま先部２３のカム面２５
の作用によつて、クリツプの打ち込みは著しく容
易になる。下部つま先部２３の、カム面２５に連
続して上に凸となるように延長する部分は、突出
部１３の凹状下面に下方から接触し、それによつ
て、下部つま先部２３は、突出部１３下面の凹所
内に確実にスナツプ係合する。カム面２５および
それに連続して上に凸となるように延長する部分
は、クリツプ２１を抜き出すときにもカム運動面
として作用し、クリツプ２１の抜き出し作業を容
易かつ迅速にする。第６図においては、つま先部
２６はパツド２８に対して大きな接触面を与える
ような形状とする。クリツプが開口１６内に入れ
ば、傾斜した姿勢をとり、傾斜の方向はスレツジ
ハンマーの振下しの弧の接線方向に一致するから
打込みが容易になる。クリツプの取外しに際して
は、工具を曲つたクリツプ内に入れ、突出部又は
レールを利用してクリツプを外方に動かす。

第１，２図の矢印Ａ，Ｂ，Ｃはクリツプに作用
する力の方向を示し、これらの力はクリツプを開
いてクリツプの脚間のスペースを大にする傾向を
もつ。

第１，２図の例は軽量レールを示す。この場
合、枕木１２は薄板から成り、突出部面の角度は
他の実施例より大きい。第１図に示すように縁部
１９に接触するクリツプ面３０の傾斜が大きいた
め、クリツプ２１の過大打込みを防ぐ。即ちクリ
ツプ２１の不正確な位置、弾性限界以上の歪みの
生ずるのを防ぐ。

第２，３図の実施例では、開口１６の側壁１７
はレールに向けて、即ち枕木の高応力部に向つて
収れんしている。この利点は、第１に全開口面積
を小さくして機械的強度の損失を少なくし、第２
に弱点部を更にレールから離れさせ、第３にクリ
ツプ２１の過大打込みを防ぐことである。他の方
法として、開口は長方形として、下部つま先部２
３の巾を他のクリツプ部より細くして接触肩部を
形成しこの肩部を開口壁部１９に接触させること
により過大打込みを防ぐ。第２，３図に示す通
り、クリツプ２１の不時の外方への動きを防ぐた
めに枕木１０の上面３１を斜面とする。

第４図の実施例では、枕木の他の部分より断面
係数の大きなプラツトホーム３２として枕木１２
の上壁に突出部１３を形成し、この部分に開口１
６を設ける。

第６図に示す実施例では、枕木３３はコンクリ
ートのベースを有し、４個の逆Ｕ型の受け金３４
をベース内に埋めこむ。異なる枕木に対しては、
同形の受け金３４を異なる寸法だけ埋めこむこと
ができる。受け金のブリツジ部の下面はコンクリ
ート上面から離れ、下部つま先部２３を打込むス
ペースを形成させる。

上述によつて明らかにされた本発明の実施例は
既知の装置に比較して次の利点を有する。

(1) 突出部面はレールの軌間及びクリツプ位置を
限定する。

(2) クリツプの過大打込みとこれによるクリツプ
の損傷を防ぐ。

(3) ヒール部圧力Ａは支持圧力Ｂ、Ｃの何れより
も小さい。

(4) 開口は鋭い縁部とする必要はなく、鋭い縁部
に基く応力集中を防ぐ。

(5) 本発明はコンクリートベースの枕木及び鋼の
枕木に適用できる。

(6) クリツプの打ち込みおよび抜き出しを容易か
つ迅速に行うことができる。

(7) クリツプは枕木に確実に、スナツプ作用で係
合する。

(8) 開口は枕木の最大応力部から離れた位置にあ
る。

(9) クリツプの取付け姿勢は低い。

(10) 開口は曲り易い部分の外側にある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の弾性クリツプによつて保持さ
れた軽量レールの部分断面図。第２図は重量レー
ルの部分断面図。第３図は第２図の３−３線に沿
う断面とした平面図。第４図は第２の実施例を示
し、クリツプ用開口を枕木の大きな断面係数の部
分に設けた部分断面図。第５図は鋼枕木から絶縁
した重量運搬車用レールの部分断面図。第６図は
コンクリートベースの枕木から絶縁された重量運
搬車用レールの部分断面図である。 １０……レール、１２，３３……枕木、１３，
１４……突出部、１６……開口、１７……開口側
壁、２１……クリツプ、２２……上部つま先部、
２３……下部つま先部、２４……ヒール部、２
５，２６……カム面、２８……絶縁パツド、３２
……プラツトホーム、３４……受け金。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 枕木と、レールの脚部を枕木に固着するため
   の固着クリツプとの組み合わせからなるレール固
   着装置であつて、 前記枕木はその上面から上方に突出した突出部
   を有し、該突出部は、前記レールを支持し且つレ
   ール軌間を定めるためのレール座部分を画定して
   おり、 前記枕木の上壁部分は、前記レール座部分から
   離れる方向に延びる複数の開口形成面を有し、該
   開口形成面には、前記上壁部分を貫通する開口が
   前記突出部のそれぞれに隣接して形成されてお
   り、 前記固着クリツプが、レールが該クリツプによ
   つて枕木に固着されたときにレール脚部を上方か
   ら押さえる上部つま先部と、対応する前記開口を
   貫通して延びて前記突出部の下面を下方から押さ
   える下部つま先部と、前記開口付近で枕木の上面
   に上方から押し付けられるヒール部とを備えたＵ
   型のクリツプであり、 前記下部つま先部が、端部に向けて下方に傾斜
   するカム面と、該カム面に連続して上に凸となる
   ように延長する部分とを備え、前記上に凸となる
   ように延長する部分は、前記突出部の凹状下面に
   下方から接触するようになされている、レール固
   着装置。 ２ 前記枕木が、コンクリート製のベースと、該
   コンクリート製ベース上に上方に延長するように
   設けられた受け金とを備えており、前記枕木の前
   記上壁部分が前記受け金の上部部分によつて形成
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項に記載のレール固着装置。