JPH0544203Y2 - - Google Patents
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Landscapes
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Description
(産業上の利用分野)
この考案は自動車天井用積層シートに関し、さ
らに詳細には、外観が良好でかつ難燃性に優れる
自動車天井用積層シートに関するものである。 (従来の技術) この種の積層シートとしては従来から種々の構
造のものが考案されており、例えば特開昭60−
208233号公報あるいは実開昭61−39657号公報に
開示されるものがある。 該積層シートは、エチレン系重合体とプロピレ
ン系重合体よりなる架橋発泡シートの両面に、プ
ロピレン系重合体よりなる非発泡シートが積層さ
れてなる構造とされ、自動車天井用積層シートと
して要求される軽量性、熱成形性、耐熱性、防音
性等に優れるという長所を有している。 (考案が解決しようとする問題点) しかしながら、このような構造では、上記長所
を有する反面、その材質から非常に燃え易いとい
う性質があつた。したがつて、この種の積層シー
トに要求される重要な品質の一つである難燃性を
確保する必要があり、例えば、上記積層シートの
構成材料に難燃剤を配合する方法がとられていた
が、従来の配合方法では外観が良好でかつ難燃性
に優れたものが得られず、なおも改良の余地があ
つた。 すなわち、上記難燃剤はブリードアウト性があ
つて、目視で白化などの現象を生じ、これがた
め、積層シートの外観不良の原因となる問題があ
つた。 また、上記難燃剤としては主として有機系ハロ
ゲン化合物が使用されていたが、該化合物は、熱
分解を起こし易いなどの性質を有しており、耐熱
性に乏しく、熱成形性を低下させるという問題も
生じていた。 (問題点を解決するための手段) 本考案は係る従来の問題点に鑑みてなされたも
のであつて、本考案の自動車天井用積層シート
は、エチレン系重合体とプロピレン系重合体より
なる架橋発泡シートの両面に、プロピレン系重合
体よりなる非発泡シートがそれぞれ積層されてな
るものであつて、前記非発泡シートのうち、室内
側の非発泡シートにはテトラブロモビスフエノー
ルA誘導体が0.1〜0.65PHR配合されるとともに、
屋根側の非発泡シートにはテトラブロモビスフエ
ノールA誘導体が1.2PHR以上配合されているこ
とを特徴とする。 前記難燃剤としては、ブリードアウト性を若干
犠牲にしても、耐熱性と物性(引張、衝撃)に特
にすぐれる物質が好適に使用される。 (作用) 表皮層となる非発泡シートのうち、室内側の非
発泡シートに少量の難燃剤が配合されるととも
に、屋根側の非発泡シートに多量の難燃剤が配合
されている。 すなわち、第2図により説明すると、この図
は、エチレン系重合体とプロピレン系重合体より
なる架橋発泡シートの両面に、プロピレン系重合
体よりなる非発泡シートがそれぞれ積層されてな
る自動車天井用積層シートにおいて、上記非発泡
シートに配合する難燃剤の配合量によるブリード
アウト性能と燃焼性能との関係を簡略化して示し
ている。 第2図において、非発泡シートにおける難燃剤
の配合量がaの範囲では、例えば非発泡シートが
1mm厚でも燃えてしまい、(平均値+4×標準偏
差)が規格値(10cm/min以下)に合格にしな
い。また、難燃剤の配合量がbの範囲ではゆつく
り燃える。また、難燃剤の配合量がcの範囲で
は、非発泡シートは燃え難い。また、cの範囲で
B′点以上であれば、発泡シートが介在しても自
己消火する。 しかして、室内側の非発泡シートには、bの範
囲でかつ白化不良限界であるA点以下の少量の難
燃剤を配合する。ただし、A点がaの上限である
C点以下の場合には、相溶性改善剤(ポリスチレ
ン等)を用いてA点をC以上にする。一方、屋根
側の非発泡シートには、cの範囲でかつB′点以
上の多量の難燃剤を配合する。 このような構造とすることにより、積層シート
全体として十分な難燃性を確保することとなる。
つまり、室内側の非発泡シートは可燃性の架橋発
泡シートの介在により燃え易く、よつて室内側の
非発泡シート側のみ火が走ることがあり得る。し
かし、自動車天井用積層シートとして実際に装着
する際には、積層シートは水平方向に配置される
とともに、屋根側の非発泡シートには充分な量の
難燃剤が配合されているので、積層シート全体と
しては燃焼性試験に合格し得るものとなる。 また、室内側の非発泡シートには、少量の難燃
剤が配合されるので、ブリードアウトによる外観
不良は生じない。 (実施例) 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。 本考案に係る自動車天井用積層シートの構造を
第1図に示し、該自動車天井用積層シートはエチ
レン系重合体とプロピレン系重合体よりなる架橋
発泡シート1の両面に、プロピレン系重合体より
なる非発泡シート2,3がそれぞれ積層されてな
る3層の積層構造とされ、室内側の非発泡プロピ
レン系重合体シート3の表面には、しぼ模様等の
凹凸の装飾模様4が付されている。 架橋発泡シート1を構成するエチレン系重合体
としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、無定型エ
チレン・プロピレン共重合体等があげられ、これ
らは、単独あるいは二種以上混合して使用するこ
とができる。これらのエチレン系重合体のメルト
フローレート(MFR)は0.1〜50が好ましく、よ
り好ましくは0.3〜30である。 また、架橋発泡シート1を構成するプロピレン
系重合体としては、例えば、エチレンとプロピレ
ンのランダム共重合体、ブロツク共重合体、ある
いはランダム・ブロツク共重合体、エチレン・ブ
テン・プロピレン共重合体等のα−オレフイン・
プロピレン共重合体等があげられる。この共重合
されるα−オレフインの種類および量は特に限定
されるものではなく、共重合体の融点が130〜170
℃の間になされるのが好ましい。プロピレン系重
合体のMFRは0.1〜50が好ましく、より好ましく
は0.3〜30である。 上記架橋発泡シート1の発泡倍率は10〜50倍で
あるのが好ましく、より好ましくは15〜40倍とさ
れる。また、架橋発泡シート1の厚みは1〜10mm
が好ましく、より好ましくは2〜5mmとされる。 非発泡シート2,3を構成するプロピレン系重
合体としては、ポリプロピレンのホモポリマーの
他、ポリプロピレンと、エチレン等のプロピレン
と共重合可能なモノマーとのブロツクコポリマ
ー、ランダムコポリマーなどがあげられ、これら
のブレンド樹脂であつてもよい。該非発泡シート
2,3の厚みは0.1〜1mmが好ましく、図示例に
おいては、屋根側と室内側の非発泡シート2,3
はいずれも同じ厚みとされている。これは両非発
泡シート2,3の厚みを非対称にした場合、積層
シート化時および成形時に反りが発生して好まし
くないからである。 なお、上記架橋発泡シート1には難燃剤が配合
されておらず、上記両非発泡シート2,3にのみ
難燃剤が配合されており、また、室内側の非発泡
シート3には少量の難燃剤が配合されるととも
に、屋根側の非発泡シート2には多量の難燃剤が
配合されている。該難燃剤としては、ブリードア
ウト性よりも、耐熱と物性(引張、衝撃)に特に
すぐれる物質が好適に使用される。 続いて、この難燃剤の配合方法について詳細に
説明する。 図示例のような積層シートにおいては、架橋発
泡シート1に難燃剤を配合することは困難である
とされており、よつて両面の非発泡シート2,3
に難燃剤を配合して積層シート全体として基準に
合格させる必要がある。 ところで、該積層シートは熱成形で賦形するた
め、加熱時の挙動が重要な品質となり、したがつ
て上記非発泡シート2,3に使えるポリプロピレ
ンのMFRは小さなものにならざるを得ない。そ
して、MFRが小さい場合は、押出樹脂温度を相
対的に高くしなければならない。なお、ポリプロ
ピレン用の難燃剤としては各種のものが市販され
ているが、ハロゲン化有機化合物と三酸化アンチ
モンの複合系が一般的なものである。 上記ハロゲン化有機化合物としては多種類のも
のが市販されているが、耐熱性(加工性)、ブリ
ードアウト性(外観)、難燃性、物性の4要因で
評価した場合、ポリプロピレン用難燃剤として
は、従来の射出成形技術の分野、つまりMFRが
大きくかつ押出樹脂温度が低温である射出成形に
おいては広く使用経験が積まれている一方、本考
案の対象とする薄物シートを押出成形する技術分
野での使用経験は乏しく、また、上記4要因のそ
れぞれの挙動が次のごとく互いに異なる。 A 耐熱性: 高温加熱で2次加工する積層シートの押出成
形には、MFRの小さい製品が用いられるが、
この低MFR品の押出加工には、高MFR品の押
出成形よりも高樹脂温度にする必要があり、し
たがつて高い熱分解性の難燃剤を必要とする。 B ブリードアウト性: 有機系難燃剤はその混合量にもよるが、大な
り小なりブリードアウト性がある。これに対し
て、無機系難燃剤は、ブリードアウトはし難い
が難燃剤が得難く、また多量に配合すると積層
シートの物性に悪影響を与える。ブリードアウ
トした物質が結晶性の場合、特に光の屈折によ
る白化が見られ外観不良となることがある。な
お、薄物押出成形品はプロセス上の要因から射
出成形と比較して少ない難燃剤量でもブリード
アウトする。 C 難燃性: 難燃性を確保するために多量の混合を必要と
するものは、薄物押出成形品では特に衝撃強度
などに悪影響をおよぼし好ましくない。 前記4要因は難燃性を要する製品にとつて重要
な品質項目であつて、現在市販さている周知の難
燃剤を広く評価してみたが、本考案に係る積層シ
ートのような薄物押出成形品に用いる場合、これ
ら4つの要因を全て満足する難燃剤は存在しなか
つた。 そこで、ブリードアウト性または難燃性を若干
犠牲にしても、耐熱性と物性(引張、衝撃)には
問題のない物質を使用するとともに、用途上外観
に影響のない屋根側の非発泡シート2には多量の
難燃剤を混合する一方、室内側に露出して外観に
直接影響する非発泡シート3には少量の難燃剤を
混合することとした。 このような構成とすることにより、積層シート
全体としての燃焼性試験に合格するとともに、ブ
リードアウトによる外観不良を生じない、つまり
全体として前記の4要因を全て満足できることが
判明した。 次に、上記両非発泡シート2,3に配合される
難燃剤の配合量について、第2図により詳細に説
明する。 第2図は上記非発泡シート2,3に配合する難
燃剤の配合量によるブリードアウト性能と燃焼性
能との関係を示している。 この図において、非発泡シート2,3における
難燃剤の配合量がaの範囲では、例えば非発泡シ
ート2,3が1mm厚でも燃えてしまい、(平均値
+4×標準偏差)が規格値(10cm/min以下)に
合格しない。また、難燃剤の配合量がbの範囲で
はゆつくり燃える。さらに、難燃剤の配合量がc
の範囲では、非発泡シート2,3は燃え難い。ま
た、cの範囲でB′点以上であれは、架橋発泡シ
ート1が介在しても自己消化する。 しかして、室内側の非発泡シート3には、bの
範囲でかつ白化不良限界であるA点以下の少量の
難燃剤を配合する。ただし、A点がaの上限であ
るC点以下の場合には、相溶性改善剤(ポリスチ
レン等)を用いてA点をC点以上にする工夫を要
する。この場合、相溶性改善剤は多く配合すると
シートの物性を低下させるので少量しか配合でき
ず、しかもこれらの改善効果は大きなものではな
いので、本来A点がC点より、かけ離れて低い場
合には本考案を用いることは出来ない。 一方、屋根側の非発泡シート2には、cの範囲
でかつB′点以上の多量の難燃剤を配合する。こ
れは、屋根側の非発泡シート2ではcの範囲で
B′点以上で発泡シートが介在しても燃え難いか
らである。 ところで、室内側の非発泡シート3の難燃剤の
配合量は、bの範囲でA点以下でaに非常に近い
ため、該非発泡シート3は可燃性の架橋発泡シー
ト1の介在により燃え易く、よつて室内側の非発
泡シート3側のみ火が走ることがあり得る。 しかし、上記自動車天井用積層シートを自動車
の天井材として実際に装着するに際しては、該積
層シートは水平方向に配置され、また、後述する
FMVSSの燃焼特性試験方法も、実際の装着時と
同様に水平方向に配置して行なう。したがつて、
屋根側の非発泡シート2には充分な難燃剤が添加
されているため、可燃性の架橋発泡シート1や難
燃性の低い室内側の非発泡シート3が燃焼して
も、上記屋根側の非発泡シート2は完全に自己消
化して、下方から上方への気流の邪魔板として作
用する。これにより積層シートへの酸素の供給速
度が制限され、その結果として、室内側の非発泡
シート3の難燃剤の配合量が上述の範囲内であれ
ば、積層シート全体として燃焼性試験に合格し得
るものとなる。 また、室内側の非発泡シート3に配合される難
燃剤が少量であるため、ブリードアウトによる外
観不良は生じない。 具体的実施例 第1図において、架橋発泡シート1は、融点
155℃のエチレンプロピレンランダム共重合体30
重量%、融点142℃のα−オレフイン・プロピレ
ン共重合体30重量%、および融点120℃の直鎖状
低密度ポリエチレン40重量%に、適量の発泡剤、
架橋剤、熱安定剤を配合した後、押出し成形し
て、電子線を照射し、次に加熱して発泡させて得
たもので、発泡倍率30倍、厚味6mmである。 屋根側の非発泡シート2は、MFR0.8、融点
163℃、密度0.91のエチレンブロツクコポリマー
ポリプロピレン96.5重量%に、3.5重量%の融点
120℃、密度0.920の直鎖状低密度ポリエチレンを
ブレンドし、1.2PHRのテトラブロモビスフエノ
ールA誘導体(Dibromopropyldiane:例えば帝
人化成株式会社製のフアイヤーガード3100(商品
名))と0.6PHRのSb2O3を配合して押出し成形に
て得たもので、厚味0.3mmである。 室内側の非発泡シート3は、MFR0.8、融点
163℃、密度0.910のエチレンブロツクコポリマー
ポリプロピレン96.5重量%に3.5重量%の融点120
℃、密度0.920の直鎖状低密度ポリエチレンをブ
レンドし、0.45PHRのテトラブロモビスフエノ
ールA誘導体と0.225PHRのSb2O3を配合し、更
に適量の帯電防止剤、耐光剤、顔料を配合して押
出し成形にて得たもので、厚味0.3mmである(後
述する表1、表2の試料6参照)。 次に、本考案に係る自動車天井用積層シートの
特性を調べるために行つた燃焼性試験の結果につ
いて説明する。 (1) 試験方法 FMVSSNo.302に規定する方法で、下記の試
料について10個の燃焼系を調べるとともに、ブ
リードアウト性ついて評価した。 なお、燃焼系については、燃える場合には平
均値()+4×標準偏差(σ)を算出して、
規定値(10cm/min)と比較した。 また、ブリードアウト性の評価方法は、試料
に水を付着させた状態でオーブンに入れ、85℃
で400時間加熱した後、これを取り出して、目
視で観察した。 (2) 試料 試料は第1図に示す構造のもので、上記具体
的実施例と同様の方法により製造され、配合は
第1表に示すとおりである。
らに詳細には、外観が良好でかつ難燃性に優れる
自動車天井用積層シートに関するものである。 (従来の技術) この種の積層シートとしては従来から種々の構
造のものが考案されており、例えば特開昭60−
208233号公報あるいは実開昭61−39657号公報に
開示されるものがある。 該積層シートは、エチレン系重合体とプロピレ
ン系重合体よりなる架橋発泡シートの両面に、プ
ロピレン系重合体よりなる非発泡シートが積層さ
れてなる構造とされ、自動車天井用積層シートと
して要求される軽量性、熱成形性、耐熱性、防音
性等に優れるという長所を有している。 (考案が解決しようとする問題点) しかしながら、このような構造では、上記長所
を有する反面、その材質から非常に燃え易いとい
う性質があつた。したがつて、この種の積層シー
トに要求される重要な品質の一つである難燃性を
確保する必要があり、例えば、上記積層シートの
構成材料に難燃剤を配合する方法がとられていた
が、従来の配合方法では外観が良好でかつ難燃性
に優れたものが得られず、なおも改良の余地があ
つた。 すなわち、上記難燃剤はブリードアウト性があ
つて、目視で白化などの現象を生じ、これがた
め、積層シートの外観不良の原因となる問題があ
つた。 また、上記難燃剤としては主として有機系ハロ
ゲン化合物が使用されていたが、該化合物は、熱
分解を起こし易いなどの性質を有しており、耐熱
性に乏しく、熱成形性を低下させるという問題も
生じていた。 (問題点を解決するための手段) 本考案は係る従来の問題点に鑑みてなされたも
のであつて、本考案の自動車天井用積層シート
は、エチレン系重合体とプロピレン系重合体より
なる架橋発泡シートの両面に、プロピレン系重合
体よりなる非発泡シートがそれぞれ積層されてな
るものであつて、前記非発泡シートのうち、室内
側の非発泡シートにはテトラブロモビスフエノー
ルA誘導体が0.1〜0.65PHR配合されるとともに、
屋根側の非発泡シートにはテトラブロモビスフエ
ノールA誘導体が1.2PHR以上配合されているこ
とを特徴とする。 前記難燃剤としては、ブリードアウト性を若干
犠牲にしても、耐熱性と物性(引張、衝撃)に特
にすぐれる物質が好適に使用される。 (作用) 表皮層となる非発泡シートのうち、室内側の非
発泡シートに少量の難燃剤が配合されるととも
に、屋根側の非発泡シートに多量の難燃剤が配合
されている。 すなわち、第2図により説明すると、この図
は、エチレン系重合体とプロピレン系重合体より
なる架橋発泡シートの両面に、プロピレン系重合
体よりなる非発泡シートがそれぞれ積層されてな
る自動車天井用積層シートにおいて、上記非発泡
シートに配合する難燃剤の配合量によるブリード
アウト性能と燃焼性能との関係を簡略化して示し
ている。 第2図において、非発泡シートにおける難燃剤
の配合量がaの範囲では、例えば非発泡シートが
1mm厚でも燃えてしまい、(平均値+4×標準偏
差)が規格値(10cm/min以下)に合格にしな
い。また、難燃剤の配合量がbの範囲ではゆつく
り燃える。また、難燃剤の配合量がcの範囲で
は、非発泡シートは燃え難い。また、cの範囲で
B′点以上であれば、発泡シートが介在しても自
己消火する。 しかして、室内側の非発泡シートには、bの範
囲でかつ白化不良限界であるA点以下の少量の難
燃剤を配合する。ただし、A点がaの上限である
C点以下の場合には、相溶性改善剤(ポリスチレ
ン等)を用いてA点をC以上にする。一方、屋根
側の非発泡シートには、cの範囲でかつB′点以
上の多量の難燃剤を配合する。 このような構造とすることにより、積層シート
全体として十分な難燃性を確保することとなる。
つまり、室内側の非発泡シートは可燃性の架橋発
泡シートの介在により燃え易く、よつて室内側の
非発泡シート側のみ火が走ることがあり得る。し
かし、自動車天井用積層シートとして実際に装着
する際には、積層シートは水平方向に配置される
とともに、屋根側の非発泡シートには充分な量の
難燃剤が配合されているので、積層シート全体と
しては燃焼性試験に合格し得るものとなる。 また、室内側の非発泡シートには、少量の難燃
剤が配合されるので、ブリードアウトによる外観
不良は生じない。 (実施例) 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。 本考案に係る自動車天井用積層シートの構造を
第1図に示し、該自動車天井用積層シートはエチ
レン系重合体とプロピレン系重合体よりなる架橋
発泡シート1の両面に、プロピレン系重合体より
なる非発泡シート2,3がそれぞれ積層されてな
る3層の積層構造とされ、室内側の非発泡プロピ
レン系重合体シート3の表面には、しぼ模様等の
凹凸の装飾模様4が付されている。 架橋発泡シート1を構成するエチレン系重合体
としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、無定型エ
チレン・プロピレン共重合体等があげられ、これ
らは、単独あるいは二種以上混合して使用するこ
とができる。これらのエチレン系重合体のメルト
フローレート(MFR)は0.1〜50が好ましく、よ
り好ましくは0.3〜30である。 また、架橋発泡シート1を構成するプロピレン
系重合体としては、例えば、エチレンとプロピレ
ンのランダム共重合体、ブロツク共重合体、ある
いはランダム・ブロツク共重合体、エチレン・ブ
テン・プロピレン共重合体等のα−オレフイン・
プロピレン共重合体等があげられる。この共重合
されるα−オレフインの種類および量は特に限定
されるものではなく、共重合体の融点が130〜170
℃の間になされるのが好ましい。プロピレン系重
合体のMFRは0.1〜50が好ましく、より好ましく
は0.3〜30である。 上記架橋発泡シート1の発泡倍率は10〜50倍で
あるのが好ましく、より好ましくは15〜40倍とさ
れる。また、架橋発泡シート1の厚みは1〜10mm
が好ましく、より好ましくは2〜5mmとされる。 非発泡シート2,3を構成するプロピレン系重
合体としては、ポリプロピレンのホモポリマーの
他、ポリプロピレンと、エチレン等のプロピレン
と共重合可能なモノマーとのブロツクコポリマ
ー、ランダムコポリマーなどがあげられ、これら
のブレンド樹脂であつてもよい。該非発泡シート
2,3の厚みは0.1〜1mmが好ましく、図示例に
おいては、屋根側と室内側の非発泡シート2,3
はいずれも同じ厚みとされている。これは両非発
泡シート2,3の厚みを非対称にした場合、積層
シート化時および成形時に反りが発生して好まし
くないからである。 なお、上記架橋発泡シート1には難燃剤が配合
されておらず、上記両非発泡シート2,3にのみ
難燃剤が配合されており、また、室内側の非発泡
シート3には少量の難燃剤が配合されるととも
に、屋根側の非発泡シート2には多量の難燃剤が
配合されている。該難燃剤としては、ブリードア
ウト性よりも、耐熱と物性(引張、衝撃)に特に
すぐれる物質が好適に使用される。 続いて、この難燃剤の配合方法について詳細に
説明する。 図示例のような積層シートにおいては、架橋発
泡シート1に難燃剤を配合することは困難である
とされており、よつて両面の非発泡シート2,3
に難燃剤を配合して積層シート全体として基準に
合格させる必要がある。 ところで、該積層シートは熱成形で賦形するた
め、加熱時の挙動が重要な品質となり、したがつ
て上記非発泡シート2,3に使えるポリプロピレ
ンのMFRは小さなものにならざるを得ない。そ
して、MFRが小さい場合は、押出樹脂温度を相
対的に高くしなければならない。なお、ポリプロ
ピレン用の難燃剤としては各種のものが市販され
ているが、ハロゲン化有機化合物と三酸化アンチ
モンの複合系が一般的なものである。 上記ハロゲン化有機化合物としては多種類のも
のが市販されているが、耐熱性(加工性)、ブリ
ードアウト性(外観)、難燃性、物性の4要因で
評価した場合、ポリプロピレン用難燃剤として
は、従来の射出成形技術の分野、つまりMFRが
大きくかつ押出樹脂温度が低温である射出成形に
おいては広く使用経験が積まれている一方、本考
案の対象とする薄物シートを押出成形する技術分
野での使用経験は乏しく、また、上記4要因のそ
れぞれの挙動が次のごとく互いに異なる。 A 耐熱性: 高温加熱で2次加工する積層シートの押出成
形には、MFRの小さい製品が用いられるが、
この低MFR品の押出加工には、高MFR品の押
出成形よりも高樹脂温度にする必要があり、し
たがつて高い熱分解性の難燃剤を必要とする。 B ブリードアウト性: 有機系難燃剤はその混合量にもよるが、大な
り小なりブリードアウト性がある。これに対し
て、無機系難燃剤は、ブリードアウトはし難い
が難燃剤が得難く、また多量に配合すると積層
シートの物性に悪影響を与える。ブリードアウ
トした物質が結晶性の場合、特に光の屈折によ
る白化が見られ外観不良となることがある。な
お、薄物押出成形品はプロセス上の要因から射
出成形と比較して少ない難燃剤量でもブリード
アウトする。 C 難燃性: 難燃性を確保するために多量の混合を必要と
するものは、薄物押出成形品では特に衝撃強度
などに悪影響をおよぼし好ましくない。 前記4要因は難燃性を要する製品にとつて重要
な品質項目であつて、現在市販さている周知の難
燃剤を広く評価してみたが、本考案に係る積層シ
ートのような薄物押出成形品に用いる場合、これ
ら4つの要因を全て満足する難燃剤は存在しなか
つた。 そこで、ブリードアウト性または難燃性を若干
犠牲にしても、耐熱性と物性(引張、衝撃)には
問題のない物質を使用するとともに、用途上外観
に影響のない屋根側の非発泡シート2には多量の
難燃剤を混合する一方、室内側に露出して外観に
直接影響する非発泡シート3には少量の難燃剤を
混合することとした。 このような構成とすることにより、積層シート
全体としての燃焼性試験に合格するとともに、ブ
リードアウトによる外観不良を生じない、つまり
全体として前記の4要因を全て満足できることが
判明した。 次に、上記両非発泡シート2,3に配合される
難燃剤の配合量について、第2図により詳細に説
明する。 第2図は上記非発泡シート2,3に配合する難
燃剤の配合量によるブリードアウト性能と燃焼性
能との関係を示している。 この図において、非発泡シート2,3における
難燃剤の配合量がaの範囲では、例えば非発泡シ
ート2,3が1mm厚でも燃えてしまい、(平均値
+4×標準偏差)が規格値(10cm/min以下)に
合格しない。また、難燃剤の配合量がbの範囲で
はゆつくり燃える。さらに、難燃剤の配合量がc
の範囲では、非発泡シート2,3は燃え難い。ま
た、cの範囲でB′点以上であれは、架橋発泡シ
ート1が介在しても自己消化する。 しかして、室内側の非発泡シート3には、bの
範囲でかつ白化不良限界であるA点以下の少量の
難燃剤を配合する。ただし、A点がaの上限であ
るC点以下の場合には、相溶性改善剤(ポリスチ
レン等)を用いてA点をC点以上にする工夫を要
する。この場合、相溶性改善剤は多く配合すると
シートの物性を低下させるので少量しか配合でき
ず、しかもこれらの改善効果は大きなものではな
いので、本来A点がC点より、かけ離れて低い場
合には本考案を用いることは出来ない。 一方、屋根側の非発泡シート2には、cの範囲
でかつB′点以上の多量の難燃剤を配合する。こ
れは、屋根側の非発泡シート2ではcの範囲で
B′点以上で発泡シートが介在しても燃え難いか
らである。 ところで、室内側の非発泡シート3の難燃剤の
配合量は、bの範囲でA点以下でaに非常に近い
ため、該非発泡シート3は可燃性の架橋発泡シー
ト1の介在により燃え易く、よつて室内側の非発
泡シート3側のみ火が走ることがあり得る。 しかし、上記自動車天井用積層シートを自動車
の天井材として実際に装着するに際しては、該積
層シートは水平方向に配置され、また、後述する
FMVSSの燃焼特性試験方法も、実際の装着時と
同様に水平方向に配置して行なう。したがつて、
屋根側の非発泡シート2には充分な難燃剤が添加
されているため、可燃性の架橋発泡シート1や難
燃性の低い室内側の非発泡シート3が燃焼して
も、上記屋根側の非発泡シート2は完全に自己消
化して、下方から上方への気流の邪魔板として作
用する。これにより積層シートへの酸素の供給速
度が制限され、その結果として、室内側の非発泡
シート3の難燃剤の配合量が上述の範囲内であれ
ば、積層シート全体として燃焼性試験に合格し得
るものとなる。 また、室内側の非発泡シート3に配合される難
燃剤が少量であるため、ブリードアウトによる外
観不良は生じない。 具体的実施例 第1図において、架橋発泡シート1は、融点
155℃のエチレンプロピレンランダム共重合体30
重量%、融点142℃のα−オレフイン・プロピレ
ン共重合体30重量%、および融点120℃の直鎖状
低密度ポリエチレン40重量%に、適量の発泡剤、
架橋剤、熱安定剤を配合した後、押出し成形し
て、電子線を照射し、次に加熱して発泡させて得
たもので、発泡倍率30倍、厚味6mmである。 屋根側の非発泡シート2は、MFR0.8、融点
163℃、密度0.91のエチレンブロツクコポリマー
ポリプロピレン96.5重量%に、3.5重量%の融点
120℃、密度0.920の直鎖状低密度ポリエチレンを
ブレンドし、1.2PHRのテトラブロモビスフエノ
ールA誘導体(Dibromopropyldiane:例えば帝
人化成株式会社製のフアイヤーガード3100(商品
名))と0.6PHRのSb2O3を配合して押出し成形に
て得たもので、厚味0.3mmである。 室内側の非発泡シート3は、MFR0.8、融点
163℃、密度0.910のエチレンブロツクコポリマー
ポリプロピレン96.5重量%に3.5重量%の融点120
℃、密度0.920の直鎖状低密度ポリエチレンをブ
レンドし、0.45PHRのテトラブロモビスフエノ
ールA誘導体と0.225PHRのSb2O3を配合し、更
に適量の帯電防止剤、耐光剤、顔料を配合して押
出し成形にて得たもので、厚味0.3mmである(後
述する表1、表2の試料6参照)。 次に、本考案に係る自動車天井用積層シートの
特性を調べるために行つた燃焼性試験の結果につ
いて説明する。 (1) 試験方法 FMVSSNo.302に規定する方法で、下記の試
料について10個の燃焼系を調べるとともに、ブ
リードアウト性ついて評価した。 なお、燃焼系については、燃える場合には平
均値()+4×標準偏差(σ)を算出して、
規定値(10cm/min)と比較した。 また、ブリードアウト性の評価方法は、試料
に水を付着させた状態でオーブンに入れ、85℃
で400時間加熱した後、これを取り出して、目
視で観察した。 (2) 試料 試料は第1図に示す構造のもので、上記具体
的実施例と同様の方法により製造され、配合は
第1表に示すとおりである。
【表】
【表】
(3) 試験結果
試験結果を第2表に示す。
上記試験結果から、室内側の非発泡シート3に
少量の難燃剤(テトラブロモビスフエノールA誘
導体の配合量が0より多く0.65PHR以下)が配
合されるとともに、屋根側の非発泡シート2に多
量の難燃剤(テトラブロモビスフエノールA誘導
体の配合量が1.2PHR以上)が配合されている試
料1と6が、難燃性および外観ともに良好であ
り、一方、室内側の非発泡シート3に配合される
難燃剤の量が0.6PHR以上である試料3,4につ
いては外観不良となり、また、屋根側の非発泡シ
ート2に配合される難燃剤の量が1.2PHR以下の
試料2,5については難燃性に難があることが判
明した。 なお、上記試料はすべて、テトラブロモビスフ
エノールA誘導体と難燃助剤としてのSb2O3との
比率が2:1とされているが、必ずしもこの比率
でなくてもよいことが判明している。 (考案の効果) 以上詳述したように、本考案によれば、軽量で
耐衝撃性、耐熱性、剛性、弾性等にすぐれ、熱成
形が容易なエチレン系重合体とプロピレン系重合
体よりなる架橋発泡シートの両面に、プロピレン
系重合体よりなる非発泡シートが積層されてなる
構造において、非発泡シートのうち、室内側の非
発泡シートに少量の難燃剤が配合される一方、屋
根側の非発泡シートに多量の難燃剤が配合されて
いるから、自動車室内側の外観が良好であり、か
つ積層シート全体としての難燃性基準に合格し得
る自動車天井用積層シートを提供することができ
る。
少量の難燃剤(テトラブロモビスフエノールA誘
導体の配合量が0より多く0.65PHR以下)が配
合されるとともに、屋根側の非発泡シート2に多
量の難燃剤(テトラブロモビスフエノールA誘導
体の配合量が1.2PHR以上)が配合されている試
料1と6が、難燃性および外観ともに良好であ
り、一方、室内側の非発泡シート3に配合される
難燃剤の量が0.6PHR以上である試料3,4につ
いては外観不良となり、また、屋根側の非発泡シ
ート2に配合される難燃剤の量が1.2PHR以下の
試料2,5については難燃性に難があることが判
明した。 なお、上記試料はすべて、テトラブロモビスフ
エノールA誘導体と難燃助剤としてのSb2O3との
比率が2:1とされているが、必ずしもこの比率
でなくてもよいことが判明している。 (考案の効果) 以上詳述したように、本考案によれば、軽量で
耐衝撃性、耐熱性、剛性、弾性等にすぐれ、熱成
形が容易なエチレン系重合体とプロピレン系重合
体よりなる架橋発泡シートの両面に、プロピレン
系重合体よりなる非発泡シートが積層されてなる
構造において、非発泡シートのうち、室内側の非
発泡シートに少量の難燃剤が配合される一方、屋
根側の非発泡シートに多量の難燃剤が配合されて
いるから、自動車室内側の外観が良好であり、か
つ積層シート全体としての難燃性基準に合格し得
る自動車天井用積層シートを提供することができ
る。
第1図は本考案に係る一実施例である自動車天
井用積層シートの構造を示す断面図、第2図は同
シートに配合する難燃剤の配合量によるブリード
アウト性能と難燃性能との関係を示す線図であ
る。 1……架橋発泡シート、2……屋根側非発泡シ
ート、3……室内側非発泡シート。
井用積層シートの構造を示す断面図、第2図は同
シートに配合する難燃剤の配合量によるブリード
アウト性能と難燃性能との関係を示す線図であ
る。 1……架橋発泡シート、2……屋根側非発泡シ
ート、3……室内側非発泡シート。
Claims (1)
- エチレン系重合体とプロピレン系重合体よりな
る架橋発泡シートの両面に、プロピレン系重合体
よりなる非発泡シートがそれぞれ積層されてなる
ものであつて、前記非発泡シートのうち、室内側
の非発泡シートにはテトラブロモビスフエノール
A誘導体が0.1〜0.65PHR配合されるとともに、
屋根側の非発泡シートにはテトラブロモビスフエ
ノールA誘導体が1.2PHR以上配合されているこ
とを特徴とする自動車天井用積層シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1987000366U JPH0544203Y2 (ja) | 1987-01-06 | 1987-01-06 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1987000366U JPH0544203Y2 (ja) | 1987-01-06 | 1987-01-06 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63108832U JPS63108832U (ja) | 1988-07-13 |
JPH0544203Y2 true JPH0544203Y2 (ja) | 1993-11-09 |
Family
ID=30777275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1987000366U Expired - Lifetime JPH0544203Y2 (ja) | 1987-01-06 | 1987-01-06 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0544203Y2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6139657B2 (ja) * | 1981-11-02 | 1986-09-04 | Fuji Photo Film Co Ltd |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6139657U (ja) * | 1984-08-16 | 1986-03-13 | 積水化学工業株式会社 | 自動車用天井材 |
-
1987
- 1987-01-06 JP JP1987000366U patent/JPH0544203Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6139657B2 (ja) * | 1981-11-02 | 1986-09-04 | Fuji Photo Film Co Ltd |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63108832U (ja) | 1988-07-13 |
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