JP3352503B2 - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法Info
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Description
高温成形性等に優れた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シ
ートの製造方法に関する。
は、断熱材、クッション材など広範な分野で使用されて
いる。特に、自動車用途では、天井、ドア内面材、イン
スツルメントパネル、クーラーカバー等の断熱緩衝材と
して使用されている。
トに軟質塩化ビニル樹脂シートなどの表皮材を貼り合わ
せて複合シートとし、この複合シートをポリプロピレン
樹脂シートなどの骨材とともにホットスタンピング成形
して、所望形状の成形品とされる。そのため、発泡シー
トは、表皮強度、耐熱性、高温成形性(ホットスタンピ
ング成形など)等に優れていることが要求される。
造方法として、ポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡
剤を含有する発泡性シートに、離性放射線を照射して架
橋させ後、この発泡性シートを加熱して発泡させる方法
が、広く知られている。
は、表皮強度、耐熱性、高温成形性等に優れた発泡シー
トを得るために、電離性放射線の照射条件を工夫し、高
エネルギーの電離性放射線を発泡性シート内部まで照射
して、発泡性シートの架橋度が5〜60%の範囲となる
ように架橋し、さらに上記高エネルギーの電離性放射線
の照射の前又は後、もしくは同時に低エネルギーの電離
性放射線を発泡性シートの両面に照射して表層部を架橋
し、発泡性シートの架橋度を最終的に10〜90%とす
る方法が提案されている。
く、架橋助剤としては、トリメチロールプロパントリア
クリレート等の分子中に3個以上のアクリロキシ基又は
メタクリロイロキシ基を有する脂肪族多価アルコールの
アクリレート又はメタクリレートを使用することが開示
されている。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、表皮強度、耐
熱性、高温成形性等に優れているが、まだ改良の余地が
ある。すなわち、上記の方法で得られる架橋ポリオレフ
ィン系樹脂発泡シート或いはこの発泡シートに表皮材を
貼り付け、これをホットスタンピング成形すると、発泡
シートに部分的溶融は生じないが、成形品の表面にあば
た状の凹凸が発生することがある。
で、その目的とするところは、表皮強度、耐熱性、高温
成形性に優れ、しかも高温成形(ホットスタンピング成
形など)の際に、あばた状の凹凸が全く発生しない架橋
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法を提供する
ことにある。
め、鋭意研究した結果、ポリプロピレン系樹脂を含むポ
リオレフィン系樹脂に熱分解型発泡剤を配合し、これに
架橋助剤として芳香族多価カルボン酸多価アリルエステ
ルを含む多官能モノマーを配合し、さらに電離性放射線
の照射条件を工夫することにより、表皮強度、耐熱性、
高温成形性等に優れた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シ
ートが得られることを見出した。この発明は、このよう
な知見に基づいてなされたものである。
ス0.5〜12のポリプロピレン系樹脂40〜100重
量部と、メルトインデックス2〜50のポリエチレン系
樹脂60〜0重量部とを含む樹脂成分100重量部に対
して、芳香族多価カルボン酸多価アリルエステルを含む
多官能モノマー0.3〜10重量部及び熱分解型発泡剤
1〜50重量部を含有する発泡性ポリオレフィン系樹脂
組成物をシート状に成形して発泡性シートを作成し、
放射線を発泡性シート内部まで照射して、発泡性シート
の架橋度が5〜60%の範囲となるように架橋し、その
後、低エネルギーの電離性放射線を発泡性シートの両面
に照射して表層部を架橋し、発泡性シートの架橋度を最
終的に10〜90%とし、
層部の気泡が内部の気泡に比べて緻密な発泡シートを得
ることを特徴とするものである。
は、プロピレンの単独重合体またはポリプロピレンを主
成分とする共重合体、これらの混合物のいずれでもよ
い。共重合体としては、例えば、プロピレン成分を85
重量%以上含むプロピレン−αオレフィン共重合体を挙
げることができる。αオレフィンとしては、エチレン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテ
ン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示される。
メルトインデックス(MI)は、JIS K7210に
基づき、試験温度230℃、試験荷重2.16 kgf で
測定されるもので、そのMIは0.5〜12、好ましく
は1〜10、さらに好ましくは1〜5である。ポリプロ
ピレン系樹脂のMIが0.5未満では、シート化する際
に外観上問題が生じ、MIが12を越えると耐熱性が不
十分となる。
エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とする共重合
体、あるいはこれらの混合物のいずれでもよい。共重合
体としては、例えば、エチレン成分を80重量%以上含
むエチレン−αオレフィン共重合体を挙げることができ
る。αオレフィンとしては、プロピレン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブ
テン、1−ペンテン等が例示される。
ルトインデックス(MI) は、JIS K7210に基
づき、試験温度190℃、試験荷重2.16 kgf で測
定されるもので、そのMIは2〜50、好ましくは3〜
30、さらに好ましくは4〜25である。ポリエチレン
系樹脂のMIが2未満であると、シート化する際に、外
観上問題を生じ、MIが50を越えると耐熱性に問題を
生じる。
ロピレン系樹脂40〜100重量部とポリエチレン系樹
脂重量部60〜0重量部とを混合して樹脂成分を合計1
00重量部とする。これらの配合割合の範囲内にあるこ
とによって、高温での物性、高温成形性、及び外観が良
好な発泡シートを得ることができる。
ン系樹脂に、架橋助剤として、芳香族多価カルボン酸多
価アリルエステルを含む多官能モノマーを含有させる。
芳香族多価カルボン酸多価アリルエステルの具体例とし
ては、1,2−ベンゼンジカルボン酸ジアリルエステ
ル、1,3−ベンゼンジカルボン酸ジアリルエステル、
1,4−ベンゼンジカルボン酸ジアリルエステル、1,
2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、
及びこれらの核置換化合物や近縁同族体を例示できる。
ン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂成分の合計量
100重量部に対して、0.3〜10重量部、好ましく
は0.3〜8重量部の割合で配合して含有させる。この
割合が0.3重量部未満であると架橋が不十分となり均
質な発泡シートが得られず、逆に10重量部を越えると
架橋度が上りすぎて、高温成形性に難点が生ずる。
エステルは、単独で使用してもよいが、この発明の目的
を阻害しない範囲内において、通常使用されている他の
一般的な架橋助剤、例えば、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビ
ス[4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパ
ン等の電離性放射線に活性な多官能モノマーを併用して
もよい。また、1,9−ノナンジメタクリレートも使用
される。
を他の架橋助剤と併用する場合には、一般に、架橋助剤
総量中、芳香族多価カルボン酸多価アリルエステルが3
0重量%以上であって、架橋助剤総量で0.3〜10重
量部の割合で配合して含有させる。
に、他の架橋助剤として1,9−ノナンジメタクリレー
トを併用する場合は、発泡シートの諸物性が優れるの
で、これを併用するのが好ましい。この場合は、1,9
−ノナンジメタクリレートをほぼ任意の割合で混合して
使用できる。特に、1,2,4−ベンゼントリカルボン
酸トリアリルエステル0.5〜95.5重量%と1,9
−ノナンジメタクリレート99.5〜0.5重量%との
混合物が好ましい。
分解ガスを発生する熱分解型発泡剤を含有させる。具体
的には、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒ
ドラジド、N, N' −ジニトロソペンタメチレンテトラ
ミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p' −
オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が例示
される。これらは単独で用いても、2種以上を混合して
用いてもよい。熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂成分の
合計量100重量部に対して、1〜50重量部であり、
所望の発泡倍率に応じて、適宜に配合量を選択すること
ができる。
成物が調製される。この組成物には、必要に応じて、酸
化防止剤、熱安定剤、顔料、着色剤、帯電防止剤、難燃
性剤、可塑剤、増量剤等を配合することができる。
を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニ
ーダーミキサー、ロール等の汎用の混練装置を用いて、
熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融混練して、
シート状に成形して発泡性シートを作成する。
性放射線の照射を行い、この発泡性シートを構成する樹
脂を架橋させる。電離性放射線としては、従来合成樹脂
の架橋に使用されてきた電子線、X線、β線、γ線等が
使用される。
で架橋されるように、比較的高エネルギー(高電圧で高
透過性)の電離性放射線が照射される。この第1段階の
照射は、発泡性シートの両面に行うことが好ましいが、
いずれか片面のみに照射してもよい。照射線量は、一般
に1〜20Mradの範囲で調節される。
照射とは異なる第2段階の電離性放射線の照射を行う。
この第2段階の照射は、発泡性シートの両面に低エネル
ギー(低電圧で低透過性)の電離性放射線を用いて行わ
れる。ここで、低エネルギーの放射線とは、放射線の飛
程が発泡性シート全体を架橋するために用いられる第1
段階での放射線のそれに比べて短く、表層部のみを架橋
することのできる放射線を意味する。この放射線の飛程
は、照射する発泡性シートの厚みにより適宜調整される
が、好ましくは通常0.15g/cm2 以下とする。照
射線量は、一般に1〜20Mradの範囲で調節され
る。
性シートの架橋度が5〜60%、好ましくは10〜60
%となるように照射線量が調節される。また、その後の
第2段階の放射線照射により、第1段階の照射と合わせ
て、最終的な架橋度が10〜90%、好ましくは20〜
80%になるように照射線量が調節される。最終的な架
橋度が10%未満では、均一で微細な独立気泡が得られ
にくくなり、逆に最終的な架橋度が90%を越えると、
高発泡倍率のものが得られにくく、また熱成形性も劣
る。
性シート試料50mgを25mlのキシレン中に、温度
120℃で24時間浸漬した後の不溶部分の重量%で示
される。
い、その後で高エネルギーの放射線照射を行う場合、或
いは低エネルギーの放射線照射と高エネルギーの放射線
照射を同時に行う場合は、表層部の気泡が内部の気泡に
比べて緻密な発泡シートを得ることができず、ホットス
タンピング成形の際に、得られる成形品の表面にあばた
状の凹凸が発生しやすくなる。
発泡性シートは、樹脂の溶融温度以上、好ましくは19
0℃以上に加熱し発泡させる。発泡方法は、通常行われ
る任意の方法、例えば熱風、赤外線、メタルバス、オイ
ルバス等が採用され、発泡性シートの性質に応じて適宜
発泡条件が選択される。
気泡が内部の気泡に比べて緻密となる。この場合、得ら
れる発泡シートの表層部の気泡径が0.02〜0.05
mmで、発泡シートの内部、特に中心部の気泡径が0.2
0〜0.30mm程度のものが好ましい。
脂を含むポリオレフィン系樹脂及び芳香族多価カルボン
酸多価アリルエステルを含む多官能モノマーを含有する
樹脂組成物を使用することにより、得られる発泡シート
の耐熱性や剛性が向上する。また、発泡性シートの放射
線による架橋性が向上する。すなわち、比較的低線量で
発泡に適した架橋度が得られ、劣化しやすいポリプロピ
レン系樹脂の劣化も生ぜず、良好な発泡が行われる。
射線を照射した後で、低エネルギーの放射線を照射する
ことにより、高エネルギーの照射によって発泡性シート
の内部が主として架橋され、その後の低エネルギー照射
により主として表層部が架橋され、その結果、前記の樹
脂組成物を使用することによる作用と相まって、得られ
る発泡シートの表層部の気泡が内部の気泡に比べて緻密
となり、特に表層部が熱的に強化され、表皮強度が著し
く向上する。
て、この発明を具体的に説明するが、この発明は、これ
らの実施例のみに限定されるものではない。
(多官能モノマー)、発泡剤(アゾジカルボンアミ
ド)、及び酸化防止剤(フェノール系)を混合し、発泡
剤の分解温度以下で、押出機を用いてシート状に成形
し、発泡性シート(厚さ1mm)を得た。
で高エネルギー(800kV)の電子線を表1に示す線
量照射し、その後で発泡性シートの両面に、第2段階で
低エネルギー(350kV)の電子線を表1に示す線量
照射した。次いで、この発泡性シートを加熱炉(250
℃)中で発泡させ、発泡シートを得た。
断面を顕微鏡で観察したところ、いずれも表層部の気泡
が内部(中央部)の気泡に比べて気泡径が小さく緻密で
あった。この発泡シートの高温成形性を、次ぎの方法に
より評価した。その結果を表1に示す。
皮材として軟質塩化ビニル樹脂シート(厚さ0.9mm)
を接着剤により貼り合わせて複合シートとし、この複合
シートを、ポリプロピレン樹脂シート製の骨材上にセッ
トし、200℃でホットスタンピング成形し、得られた
成形品の表面状態を観察し、表面にあばた状凹凸が全く
ないものを◎、表面にわずかにあばた状凹凸があるもの
を○、表面に多くのあばた状凹凸があるものを×とし
た。
に、第1段階で低エネルギー(350kV)の電子線を
表2に示す線量照射し、その後で発泡性シートの両面
に、第2段階で高エネルギー(800kV)の電子線を
表2に示す線量照射した。それ以外は実施例1〜3と同
様に行った。
が、その断面を顕微鏡で観察したところ、内部(中央
部)の気泡は、いずれも各実施例の内部(中央部)の気
泡と同程度であったが、表層部の気泡は、いずれも各実
施例の表層部の気泡に比べて気泡径が大きく粗雑であっ
た。この発泡シートの高温成形性を、実施例1〜3と同
様にして評価した。その結果を表2に示す。
橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、表皮強度、耐熱
性、高温成形性に優れ、特に発泡シートの表層部の気泡
が内部の気泡に比べて緻密となり、表層部が強化されて
表皮強度が著しく向上し、高温成形(ホットスタンピン
グ成形など)の際に、あばた状の凹凸の発生が確実に防
止され、実用上のメリットが大きい。
ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、特に、この発泡シ
ートに表皮材を貼り合わせ、これを骨材とともにホット
スタンピング成形して使用される用途、例えば自動車の
天井、ドア内面材、インスツルメントパネル、クーラー
カバー等の断熱緩衝材として好適である。
Claims (2)
- 【請求項1】 メルトインデックス0.5〜12のポリ
プロピレン系樹脂40〜100重量部と、メルトインデ
ックス2〜50のポリエチレン系樹脂60〜0重量部と
を含む樹脂成分100重量部に対して、芳香族多価カル
ボン酸多価アリルエステルを含む多官能モノマー0.3
〜10重量部及び熱分解型発泡剤1〜50重量部を含有
する発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物をシート状に成
形して発泡性シートを作成し、 この発泡性シートに高エネルギーの電離性放射線を発泡
性シート内部まで照射して、発泡性シートの架橋度が5
〜60%の範囲となるように架橋し、その後、低エネル
ギーの電離性放射線を発泡性シートの両面に照射して表
層部を架橋し、発泡性シートの架橋度を最終的に10〜
90%とし、 この発泡性シートを加熱して発泡させ、表層部の気泡が
内部の気泡に比べて緻密な発泡シートを得ることを特徴
とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方
法。 - 【請求項2】 多官能モノマーが、芳香族多価カルボン
酸多価アリルエステルとともに、1,9−ノナンジメタ
クリレートを含有する請求項1記載の架橋ポリオレフィ
ン系樹脂発泡シートの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP18020993A JP3352503B2 (ja) | 1993-07-21 | 1993-07-21 | 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法 |
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Publications (2)
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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1993
- 1993-07-21 JP JP18020993A patent/JP3352503B2/ja not_active Expired - Fee Related
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