JPH0542718Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は自動車の車体構造に関し、とりわけ車
体のフロアパネルの構造に関する。

《従来の技術》 一般に、自動車のフロアパネル中央部には、特
にＦ・Ｒ車では、パワーユニツトとかプロペラシ
ヤフトを配置するためのトンネル部が、車体の前
後方向に延出されている。

また、近年では、車体構造として、モノコツク
ボデイが多く用いられる関係上、前記パワーユニ
ツトはエンジンマウントなどを介してフロアパネ
ル側に支持されている。

従つて、このような車体構造では、パワーユニ
ツト駆動時のトルク反力が前記フロアパネルに伝
達されて、フロアパネルには捩り荷重として作用
する。

このため、その車体左右方向の両側に前後方向
に延出される閉断面構造のサイドシルを設け、且
つ、このサイドシル間に車体の左右方向に配置さ
れる閉断面構造のクロスメンバーを配置し剛性を
補強している。

この種のクロスメンバーの配置構造としては、
例えば実開昭60−44874号公報に見られる構造が
提案されている。

同号報に開示されている車体構造は、フロアパ
ネルのトンネル部の両側に閉断面の補助フレーム
を形成し、且つ、トンネル部を跨ぐようにしてク
ロスメンバーを配置し、特にトンネル部の補強を
行なつているが、この構造には以下に説明する問
題があつた。

《考案が解決しようとする問題点》 すなわち、上記公報の車体構造では、クロスメ
ンバーがトンネル部を跨ぐようにして設けられて
いるが、例えば実開昭60−69775号公報に開示さ
れているように、トンネル部にはチエンジレバー
が配置される形式の車体がある。

このような形式の車体構造では、クロスメンバ
ーがトンネル部を跨ぐようにすると、チエンジレ
バーの配設に支障を来たすことになる。

特に、フロアパネルの前方に設けられるクロス
メンバーは、フロントシールとの干渉を防止する
ために、フロントシールの若干前方側に通常は設
けられ、これがトンネル部を横断する部分が、フ
ロントシールに着座した運転者にとつてチエンジ
レバーの操作をし易い位置と重なることもあつ
て、チエンジレバーが配置される形式の車体で
は、トンネル部を跨がせることが困難であつた。

この場合、クロスメンバーを分断した状態で設
けると、その補強効果が充分に発揮されない。

そこで、本考案はチエンジレバーの配置に影響
を与えることなく、トンネル部の車体左右方向の
剛性の増大を図ることができるようにした自動車
の車体構造を提供することを目的とする。

《問題点を解決するための手段》 上記目的を達成するために、本考案では、フロ
アパネル中央部で上方に突出されて車体の前後方
向に延出されるトンネル部と、車体前方側に位置
されて、該トンネル部に開口形成されたチエンジ
レバー取付孔と、該トンネル部の車体の左右方向
両側に閉断面構造をもつて並設された補助フレー
ムと、前記フロアパネルの車体の左右方向両側に
前後方向に延出して設けられたサイドシルと、車
体後方側の前記トンネル部とその左右の補助フレ
ームとを跨いで車体の左右両側方に延出されて設
けられ、前記サイドシルを相互に連結する後方側
クロスメンバーと、前記チエンジレバー取付孔近
傍で、前記補助フレームと前記サイドシルとを連
結して車体の左右方向にそれぞれ延設配置された
前方側クロスメンバーと、を有する自動車の車体
構造において、前記チエンジレバー取付孔の前方
に、前記前方側クロスメンバーより車体の前方に
オフセツト配置して、前記トンネル部に跨がつて
前記補助フレームに連結される閉断面構造の補強
フレームを設けたことを特徴とする。

《作用》 上記構成の自動車の車体構造にあつては、フロ
アパネルのサイドシル間には、車体後方側に位置
されて前記トンネル部とその左右の補助フレーム
とを跨いで車体の左右両側方に延出されて当該サ
イドシルを相互に連結する後方側クロスメンバー
が形成されると共に、車体前方側にはクロスメン
バー、補助フレーム、補強フレームと連なる閉断
面が全幅に亘つて形成されるので、トンネル部の
車体左右方向の剛性が高められるとともに、トン
ネル部に生ずる捩り荷重がサイドシルに分散され
る。

また、トンネル部に添設された補助フレーム間
を連結する補強フレームは、トンネル部に開口形
成されたチエンジレバー取付孔より前方に配置さ
れて、前方側クロスメンバーと車体の前後方向で
オフセツトした位置に設けてあるので、チエンジ
レバーの配置に支承を来たすことがない。

《実施例》 以下本考案の実施例を図に基づいて詳細に説明
する。

第１図は本考案の自動車の車体構造の一実施例
を示すフロアパネル１０で、フロアパネル１０の
中央部には車体の前後方向に延出する断面逆Ｕ字
状のトンネル部１２が上方に突設されるととも
に、前記フロアパネル１０の左右両端部には、閉
断面形状の一対のサイドシル１４（なお、同図で
は車体左側のサイドシル１４ａは図中省略してあ
る）が、車体の前後方向に設けられている。

また、これら一対のサイドシル１４，１４間に
は、フロアパネル１０の上面に車体の左右方向に
閉断面形状をもつて延出されるクロスメンバー１
６，１８が前後方向に間隔を置いて設けられてい
る。

これらクロスメンバー１６，１８のうち、車体
前方側（図中左側）のクロスメンバー１６は、前
記トンネル部１２によつて分断されるが、車体後
方側（図中右側）のクロスメンバー１８はトンネ
ル部１２の上側を跨いで連続して延出されてい
る。

上記前方側クロスメンバー１６は、図外のフロ
ントシートの車体前方側の端部に位置しており、
かつ、この前方側クロスメンバー１６が配置され
る位置の近傍の前記トンネル部１２の上面には、
図外のチエンジレバーの取付孔２０およびパーキ
ングブレーキレバーの取付孔２２が穿設されてい
る。

前記フロアパネル１０は、前記後方側クロスメ
ンバー１８よりさらに車体後方に延出され、後方
側はトランクルームの側面を形成する後部フロア
パネル１０ａとなつている。

また、フロアパネル１０の前方部には、サイド
シル１４，１４ａとトンネル部１２間に位置し
て、サイドシル１４，１４ａ側に拡開するように
屈曲されたフロアフレーム２６，２６ａが前後方
向に配置されるとともに、後部フロアパネル１０
ａの左右両側にはリアフレーム２８，２８ａが前
後方向に配置されている。

これらフロアフレーム２６，２６ａおよびリア
フレーム２８，２８ａは、各々閉断面構造に形成
され、各々フロアパネル１０の上面に延出されて
いる。

前記フロアフレーム２６，２６ａおよびリアフ
レーム２８，２８ａの互いに対となつたもの同
士、つまり、車体の左側に設けられるフロアフレ
ーム２６とリアフレーム２８および車体の右側に
設けられるフロアフレーム２６ａとリアフレーム
２８ａは、左右のサイドシル１４，１４ａの内側
に閉断面構造をもつて固設される連結部材３０，
３０ａを介して互いに連結されている。

ところで、前記トンネル部１２は、この実施例
ではフロアパネル１０とは別体に形成されたもの
がフロアパネル１０に固設されており、トンネル
部１２の車体左右方向の両側には、第２図、第３
図にも示すように、フロアパネル１０のトンネル
部１２側の端部をほぼＬ字状に折曲して、トンネ
ル部１２の側壁に固設することにより、閉断面構
造の補助フレーム２４，２４ａが形成されてい
る。

そして、前記車体前方側のクロスメンバー１６
は、その内側端部が前記補助フレーム２４，２４
ａに連結されるとともに、前記前方側クロスメン
バー１６の車体外方側端部が前記サイドシル１
４，１４ａに連結されている。

また、本実施例にあつては、トンネル部１２の
外側に、トンネル部１２の左右方向の剛性を増大
するための補強フレーム３２が設けてある。

この補強フレーム３２は、断面逆Ｕ字状の部材
を、前記トンネル部１２の外側に跨がつて固設す
ることにより、トンネル部１２の外側に沿つた閉
断面構造を有し、その両端部は第４図にも示すよ
うに、前記補助フレーム２４，２４ａに連結され
ている。

さらに、前記補強フレーム３２は前方のクロス
メンバー１６とは、車体の前後方向でオフセツト
され、チエンジレバー取付孔２０より車体前方側
に位置して設けられている。

以上の構成により、本実施例の車体構造にあつ
ては、トンネル部１２の左右両側に閉断面構造の
補助フレーム２４，２４ａを設け、この補助フレ
ーム２４，２４ａに前方側クロスメンバー１６，
１６ａの内側端部を連結するとともに、トンネル
部１２の外側に跨がつて設けられる閉断面構造の
補強フレーム３２の両端部を、前記補助フレーム
２４，２４ａに連結したので、前記クロスメンバ
ー１６，１６ａがトンネル部１２によつて分断さ
れているにもかかわらず、前記補助フレーム２
４，２４ａと前記補強フレーム３２とを介して、
閉断面構造は車幅方向にはその全長に亘つて連結
している。

従つて、フロアパネル１０の一般部の車体左右
方向の剛性を保つ前方側クロスメンバー１６，１
６ａと、トンネル部１２の車体左右方向の剛性を
保つ補強フレーム３２とによつて、さらに加えて
後方側クロスメンバー１８にもよつて、フロアパ
ネル全体の左右方向の剛性は著しく増大すること
になり、パワーユニツトからの駆動反力が入力さ
れる際にも、フロアパネル１０の捩じり変形を極
力低減し、トンネル部１２の口開き現象の防止さ
れるとともに、駆動反力をサイドシル１４に分散
できる。

また、前記補強フレーム３２は、トンネル部１
２の外側に跨がつて配置されることにより、トン
ネル部１２内の有効スペースには何ら影響を与え
ることなく、パワーユニツトとプロペラシヤフト
とが補強フレーム３２と干渉するのを避けること
ができる。

さらに、前記補強フレーム３２は、前方のクロ
スメンバー１６，１６ａと車体の前後方向にオフ
セツトして配置されることにより、クロスメンバ
ー１６の近傍に設けられるチエンジレバーの取付
孔２０とか、パーキングブレーキレバーの取付孔
２２から十分に離して設けることができ、チエン
ジレバーまたはパーキングブレーキレバーの最適
配置に支障を生ずることがない。

《考案の効果》 以上説明したように、本考案の自動車の車体構
造にあつては、サイドシル間に、車体後方側に位
置されて後方側クロスメンバーが渡設されて連結
されると共に、車体前方側に位置されて前方側ク
ロスメンバー、補助フレーム、補強フレームが連
結され、且つ補強フレームがトンネル部を跨つて
設けてあり、車体前方部の幅方向の全長に亘つて
閉断面構造が連なつているので、フロアパネルお
よびトンネル部の左右方向の剛性が大幅に向上
し、トンネル部に生ずる捩り変形をサイドシルに
分散できるので、この口開き減少も防止できる。

また、前記補強フレームはトンネル部に跨がつ
て設けられるため、パワーユニツトとかプロペラ
シヤフトが配置されるトンネル部内の有効スペー
スに影響を与えるのを防止でき、パワーユニツ
ト、プロペラシヤフトなどのレイアウトが容易に
なるとともに、補強フレームは前方側クロスメン
バーに対して車体の前方向にオフセツトされてト
ンネル部のチエンジレバー取付孔の前方にあるた
め、通常クロスメンバー近傍のトンネル部の上面
に設けられるチエンジレバーと補強フレームとが
干渉するのを防止することができ、チエンジレバ
ーの最適な取付けスペースを十分に確保すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車の車体構造の一実
施例を示すフロアパネルの斜視図、第２図は第１
図の要部平面図、第３図は第２図中の−線の
断面図、第４図は第２図中の−線の断面図で
ある。 １０……フロアパネル、１２……トンネル部、
１４，１４ａ……サイドシル、１６……前方側ク
ロスメンバー、１８……後方側クロスメンバー、
２０……チエンジレバー取付孔、２４，２４ａ…
…補助フレーム、３２……補強フレーム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フロアパネル中央部で上方に突出されて車体の
   前後方向に延出されるトンネル部と、 車体前方側に位置されて、該トンネル部に開口
   形成されたチエンジレバー取付孔と、 該トンネル部の車体の左右方向両側に閉断面構
   造をもつて並設された補助フレームと、 前記フロアパネルの車体の左右方向両側に前後
   方向に延出して設けられたサイドシルと、 車体後方側の前記トンネル部とその左右の補助
   フレームとを跨いで車体の左右両側方に延出され
   て設けられ、前記サイドシルを相互に連結する後
   方側クロスメンバーと、 前記チエンジレバー取付孔近傍で、前記補助フ
   レームと前記サイドシルとを連結して車体の左右
   方向にそれぞれ延設配置された前方側クロスメン
   バーと、 を有する自動車の車体構造において、 前記チエンジレバー取付孔の前方に、前記前方
   側クロスメンバーより車体の前方にオフセツト配
   置して、前記トンネル部に跨がつて前記補助フレ
   ームに連結される閉断面構造の補強フレームを設
   けたことを特徴とする自動車の車体構造。