JPH0531606Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「技術分野」 本考案は、主として一眼レフカメラ等に用いら
れる交換レンズ鏡筒のピント位置調整機構に関す
る。

「従来技術およびその問題点」 交換レンズ鏡筒組立時におけるピント位置調整
機構は、レンズ駆動系のタイプに応じて種々提案
されているが、フオーカシングレンズの位置を調
整することによりピント位置調整を行なうタイプ
のレンズでは、レンズ駆動部材を、１つは無限遠
及び最短距離撮影時の位置を規制するストツパー
部材を備えた部材と、他の１つはレンズ駆動用の
ヘリコイド、カム孔等を有する部材とに分割し、
ピント位置調整の際には、上記２つの部材の係合
力を弱めて円周方向の相対位置を変えることによ
つてピント位置を調整し、調整後に再び係合力を
弱めて、固定する方法がとられている。

ところが従来の上記機構では、調整後の固定に
際し、部材が変形し、特に真円性がくずれてフオ
ーカシングレンズの動きが悪くなるのを避けるた
めに、上記２つの駆動部材の強度を上げなければ
ならない。あるいはなるべくラジアル方向の負荷
が部材に加わるのを避けるために、スラスト方向
の締付力で固定するという構造をとらざらを得
ず、そのために従来の機構は、設計の自由度がな
く、またレンズ鏡筒の大型化の原因にもなつてい
た。

「考案の目的」 本考案は、上記従来機構の問題点に鑑み、フオ
ーカシング系の駆動に何ら悪影響を与えず、実装
スペースを有効に活用できて且つ信頼性の高いピ
ント位置調整ができるピント位置調整機構を提供
することを目的とする。

「考案の概要」 本考案は、フオーカシング用のフオーカシング
環と、このフオーカシング環の内周に嵌合され、
これと一定に回動してレンズ系を駆動する駆動環
との円周方向の相対的連結位置を変えることによ
つてピント位置を調整する機構であつて、前記駆
動環とフオーカシング環の嵌合面に内周方向の溝
を設け、この溝に調整帯を嵌入し、この調整帯を
フオーカシング環に位置決めするとともに、駆動
環の外周に締め付けることにより、フオーカシン
グ環と駆動環を一体化することを特徴としてい
る。

「考案の実施例」 以下本考案の実施例について、添付の図面に基
いて説明する。

第１図は本考案のピント位置調整機構を有する
一眼レフカメラ用交換レンズの一実施例の要部を
示す縦断面図、第２図は同ピント位置調整機構の
要部を示す横断面図である。この交換レンズは、
合焦レンズ系１及び結像レンズ系２を備えてお
り、合焦レンズ系１は光軸方向に移動自在な移動
枠３に保持固定され、結像レンズ系２はレンズ鏡
筒本体４に保持固定されている。４ａはレンズ鏡
筒本体４の後端に形成された、ボデイ側のマウン
トと嵌合するマウント部である。

移動枠３は、レンズ鏡筒本体４の内周部に嵌め
られ、これの外周に植設したガイドピン３ｐがレ
ンズ鏡筒本体４に形成された光軸と平行な直線ガ
イド溝４ｂに嵌入されて、この直線ガイド溝４ｂ
に沿つて移動するように案内されている。

レンズ鏡筒本体４の外側には、光軸の回りは自
在に回動するが光軸方向は移動しないように規制
された駆動環５が嵌合されている。この駆動環５
には光軸と斜行する方向に延びるリード溝５ａ及
び円周方向の角溝５ｂが形成されている。

このリード溝５ａには直線ガイド溝４ｂを貫通
したガイドピン３ｐが嵌入している。角溝５ｂに
は、ピント調整用の本考案の特徴とする可撓性を
有する帯状の調整帯が嵌入されている。

駆動環５の外周には、光軸周りの回動が自在な
フオーカシング環６が嵌合されている。このフオ
ーカシング環６には、角溝５ｂの中心と対向する
周上に、第２図に示すように頂部に制限ビス７、
下方の左右対称位置に２本のセツトビス８が螺入
されている。制限ビス７の先端には位置決め部７
ａが形成され、この位置決め部７ａが調整帯１０
の中央部に穿たれた位置決め孔１０ａに嵌入して
いる。調整帯１０の両端には、セツトビス８の中
心から距離ｓだけ偏心した位置に、締付孔１０
ｂ，１０ｂが穿たれている。セツトビス８の先端
円錐部は、締付孔１０ｂの縁に当接するが、上記
偏心量ｓは、セツトビス８の円錐部を深く締付孔
１０ｂに係合させたとき調整帯１０に引張力が作
用する方向に設定されている。

また、フオーカシング環６は、本体４にビス止
めされた外装用の外枠９に覆われている。この外
枠９の内面には回動範囲制限突起９ａが形成さ
れ、この制限突起９ａがフオーカシング環６に植
設した制限ピン７と当接して、該フオーカシング
環の回動を無限遠撮影位置及び最短撮影位置の間
に制限する。

上記構成のレンズ鏡筒は、組立の際のピント調
整を次のように行なう。調整帯１０は、位置決め
孔１０ａの嵌入された制限ビス７の位置決め部７
ａによつてフオーカス環６と一体化され、フオー
カス環６に対する位置決めがされている。なお、
位置決め部分７ａの先端と角溝５ｂの底面との間
には僅かな隙間があり、制限ビス７がフオーカシ
ング環６と駆動環５の相対回動を妨げることはな
い。

セツトビス８を第２図に示す状態から螺入して
いくと、セツトビス８の先端の円錐部によつて孔
１０ｂの縁部が押圧され、調整帯１０のくさびの
作用で矢印方向へ引つ張られて帯ブレーキの原理
で駆動環５が締め付けられ、フオーカシング環６
と駆動環５とが一体的に回動するように摩擦結合
される。

そこでピント位置調整の際には、まずセツトビ
ス８を緩めた状態で駆動環５とフオーカシング環
６とを相対的に回動させ、適正なピント位置を出
した時に各セツトビス８を締め付けて駆動環５と
フオーカシング環６とを一体的に固定する。これ
でピント調整、および調整後のフオーカシング環
６と駆動環５の一体化は完了である。

この一体化が終了した状態で、撮影時の合焦操
作においてフオーカシング環６を回動させると、
これと調整帯１０を介して一体化された駆動環５
が回動し、リード溝５ａと直線ガイド溝４ｂとの
協働によりガイドピン３ｐが直線ガイド溝４ｂに
沿つて移動し、移動枠３に保持されている合焦レ
ンズ系１が光軸に沿つて移動し、フオーカシング
が行なわれる。

なお、本実施例では駆動環５の外周面に角溝５
ｂを設けたが、この溝はフオーカシング環６の内
周面に設けても良く、レンズのフオーカシング駆
動機構に応じて変形されるものである。

「考案の効果」 以上の説明から明らかな通り本考案の位置調整
機構は、フオーカシング環とレンズを駆動する駆
動環の結合に帯状材からなる調整帯を使用し、帯
ブレーキの原理を利用してピント位置調整後の固
定を行なうから締付荷重が点に集中せずに円周全
体に亘る面に分散されるので、フオーカシングに
関わる回転部材に変形を生じさせることがなく且
つ確実にフオーカシング環と駆動環とを結合でき
る。しかも調整帯の入るスペースを確保するだけ
で実装できるので僅かなスペースがあればよく、
レンズ設計の自由度が大きくなる。また、調整帯
はビスによつて位置決め、固定ができ、締付けも
ビスの回転によつてできるので部品点数が少な
く、かつ構造が簡易なので、レンズの組立が容易
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のピント位置調整機構を備えた
一眼レフカメラ用交換レンズの一実施例の要部を
示す縦断面図、第２図は第１図の−線に沿う
断面図である。 １……合焦レンズ、３……移動枠、４……レン
ズ鏡筒本体、５……駆動環、５ｂ……角溝（円周
溝）、６……フオーカシング環、７……制限ビス、
７ａ……位置決め部、８……セツトビス、１０…
…調整帯、１０ａ……位置決め孔、１０ｂ……締
付孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) フオーカシング用のフオーカシング環と、こ
   のフオーカシング環の内周に嵌合し、これと一
   体に回動してレンズ系を駆動する駆動環との円
   周方向の相対的連結位置を変えることによつて
   ピント位置を調整する機構であつて、 前記駆動環とフオーカシング環の嵌合面に円
   周方向の溝を設け、この溝に調整帯を嵌入し、
   この調整帯を、フオーカシング環に位置決めす
   るとともに、駆動環の外周に締め付けることに
   より、フオーカシング環と駆動環を一体化する
   ことを特徴とするレンズのピント位置調整機
   構。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、調
   整帯は、フオーカシング環に位置決めされる、
   長さ方向の略中央部に位置する位置決め孔と、
   フオーカシング環に螺合させたセツトビスの先
   端円錐部に係合する、長さ方向の両端部に穿け
   た締付孔とを備え、このセツトビスの中心と締
   付孔の中心とは、セツトビスの円錐部を深く締
   付孔に係合させたとき調整帯に引張力が作用す
   る方向に偏心しているレンズのピント位置調整
   機構。