JPH089695Y2 - ピント調整機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、特にコンパクトカメラにおけるレンズ繰出
し機構に付属したピント調整機構に関する。

〔従来の技術〕

第３図は、ピント調整機構を備えた従来のこの種カメ
ラにおけるレンズ繰出し機構の主要部の構造例を示して
いるが、図中、１は地板、２は図示しない駆動モータ等
の駆動源と連結するレンズ繰出しのための駆動ギヤ３が
設けられていてレンズ繰出し用のカム面を有する複数の
カム2aが形成されている上記地板１に回動可能に嵌挿さ
れる繰出し部材、４は後述するピント調整板のガイドピ
ンが孔4aに嵌挿せしめられ、繰出し部材２の回動により
カム2aのカム面と係合するカム突起4bの摺接に伴って光
軸に沿って移動せしめられるようになっているレンズ鏡
筒、５はレンズ鏡筒４を地板１側へ弾圧する板ばね、６
は地板１に固定され板ばね５を保持するばね押え、７は
調整孔7aを介してビス８によりばね押え６へ固定される
と共にガイドピン7bが上記レンズ鏡筒４の孔4aに嵌入し
て該レンズ鏡筒４を案内するようになっているピント調
整板である。かかるレンズ繰出し機構のカメラの組立
時、個々のカメラ間の固体差によるばらつきを修正する
ために撮影レンズとしてのピント調整を行なう必要があ
る。従来そのために調整孔7aを介してピント調整板７を
ばね押え６の周りに沿って適量だけ移動せしめ、これに
よりガイドピン7bがレンズ鏡筒４を繰出しカム２に対し
て微小回動させて、かくして組立時のピント調整が行な
われる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、かかる従来のピント調整方法ではピン
ト調整板７によるピント調整の際、上記のようにレンズ
鏡筒４自体が回動するようになっているため、例えば偏
心等が原因になってレンズ鏡筒４と他のレンズ群との間
に光軸のずれが生ずる等、光学的性能に悪影響を及ぼし
てしまうので問題になっていた。

本考案は、かかる実情に鑑み、光学的性能に何ら影響
を与えることなく特に組立時のピント微調整を行ない得
るようにしたピント調整機構を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段及び作用〕

本考案によるピント調整機構は、回動位置調節可能に
地板に取付けられると共にレンズ繰出し用のカム面を備
えている繰出し部材と、駆動ギヤを介して回動せしめら
れることにより上記カム面と係合するカム突起の摺接に
伴い光軸に沿って進退する駆動リングと、該駆動リング
に支持されていると共に光軸に沿って移動するように案
内されるレンズ鏡筒とを具備するレンズ繰出し機構に付
属しているが、特にピント微調整時、繰出し部材の回動
位置のみを調節することによりレンズ鏡筒をピント調整
駆動せしめるようになっている。即ち、ピント調整のた
めに繰出し部材を回動してもレンズ鏡筒はこの回動量に
対応して光軸に沿ってのみ動くので、例えば偏心等によ
る光軸のずれは全く生じない。

〔実施例〕

以下、第１図に基づき従来例と同一の部材には同一の
符号を用いて本考案によるピント調整機構の一実施例を
説明する。図中、２′は後述するピント調整部材により
地板１へ回動位置調節可能に取付けられる繰出し部材、
４′は図示しないガイド部材により光軸に沿って移動す
るように案内されるレンズ鏡筒、７′は上記繰出し部材
２′に設けられていて調整孔7a′を介してビス８をねじ
穴1aに螺合させることにより繰出し部材２′を地板１へ
固定せしめるピント調整部材、そして９は駆動ギヤ３が
設けられると共に繰出し部材２′の各カム2a′と係合す
る複数のカム突起9aを有していてレンズ鏡筒４′を嵌挿
せしめて回動自在に支持する駆動リングである。上記の
場合、板ばね５はレンズ鏡筒４′のフランジ部4a′を弾
圧するように、地板１に固定されるばね押え６により保
持されるようになっているのは従来例と同様である。

本考案によるピント調整機構は上記のように構成され
ているから、組立時のピント微調整を行なう場合、地板
１に取付けられた繰出し部材２′をピント調整部材７′
の調整孔7a′に沿って適量だけ回動させると、そのカム
2a′と係合するカム突起9aの摺接に伴って駆動リング９
が光軸に沿って進退する。そしてかかる駆動リング９に
よってレンズは、鏡筒４′は板ばね５の弾力に抗して又
は該弾力により繰出し部材２′の回動量に対応して光軸
に沿って移動せしめられ、これによりピント微調整が行
なわれる。調整後、繰出し部材２′はビス８により地板
１へ固定されるが、このように組立時のピント調整に際
してレンズ鏡筒４′自体は全く回動しないので、該レン
ズ鏡筒４と他のレンズ群との間に光軸のずれが生じるこ
とはない。従ってカメラとしての光学的特性は保証さ
れ、組立時のピント調整を有効に行なうことができる。

又、上記繰出し部材２′のビス８による固定方法とは
別に調整用治具を用いて行なうこともできる。即ち、第
２図に示すように、調整用治具（その一部のみを図示し
た）には、その先端にフリクションゴム等で成る適宜の
摩擦部材が固着されたパッド手段が延び出していて、か
かるパッド手段によって繰出し部材２′のピント調整部
材７′を押え付けながらピント微調整を行なう。このよ
うに繰出し部材２′を一旦仮り止めした状態にして、そ
の後、ピント調整部材７′を接着剤等によって地板１に
固定するが、これによりピント調整後の繰出し部材２′
を、ビスを用いることなく地板１に固定することができ
部品点数の削減が可能になる。そして長期間の使用にお
いてもビスのように緩みが生じない等の利点がある。一
方、上記ビス８の固定方法の場合、ねじロック剤を用い
得るので、この場合にも緩みを防止することができる。

尚、上記レンズ繰出し機構において、通常の合焦動作
では駆動ギヤ３を介して回動せしめられる駆動リング９
によりレンズ鏡筒４′が光軸上を進退するようになって
いるのは勿論である。

〔考案の効果〕

上述のように本考案のピント調整機構によれば、組立
時のピント調整によりカメラの光学的特性が全く影響さ
れないようにすることができ、カメラの適正な合焦作動
を保証する等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるレンズ繰出し機構に付属したピン
ト調整機構を示す分解斜視図、第２図は本考案に係る繰
出し部材の調整用治具による固定方法を示す部分斜視
図、第３図は従来のピント調整機構を示すレンズ繰出し
機構の分解斜視図である。 １……地板、２′……繰出し部材、３……駆動ギヤ、
４′……レンズ鏡筒、５……板ばね、６……ばね押え、
７′……ピント調整部材、８……ビス、９……駆動リン
グ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回動位置調節可能に地板に取付けられると
   共にレンズ繰出し用のカムを備えている繰出し部材と、
   駆動ギヤを介して回動せしめられることにより上記カム
   と係合するカム突起の摺接に伴い光軸に沿って進退する
   駆動リングと、該駆動リングに支持されていると共に上
   記光軸に沿って移動するように案内されているレンズ鏡
   筒とを具備したレンズ繰出し機構において、ピント微調
   整時、上記繰出し部材の回動位置のみを調節することに
   より上記レンズ鏡筒をピント調整駆動せしめるようにし
   たピント調整機構。