JPH05234612A - 電解槽用炭素電極材 - Google Patents
電解槽用炭素電極材Info
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- JPH05234612A JPH05234612A JP4072600A JP7260092A JPH05234612A JP H05234612 A JPH05234612 A JP H05234612A JP 4072600 A JP4072600 A JP 4072600A JP 7260092 A JP7260092 A JP 7260092A JP H05234612 A JPH05234612 A JP H05234612A
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- carbon
- electrolytic cell
- cell
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- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M4/00—Electrodes
- H01M4/86—Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
- H01M4/96—Carbon-based electrodes
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- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
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- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Electrochemistry (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 電池エネルギー効率が極めて高く、高寿命な
電解槽用炭素電極を得る。 【構成】 ポリアクリロニトリル系繊維を炭化し、X線
広角解析より求めた〈002〉面間隔が3.50Å以上
3.60Å以下の擬黒鉛結晶構造を有せしめ、その後の
空気酸化にて炭材表面の結合酸素原子数が炭素原子数の
10〜25%となるように処理された炭素質材料を電解
槽に電極として用いる。 【効果】 電気化学的反応選択性が高く、電極活性の優
れた電極が得られ、これを電極に用いた電解槽を高電池
エネルギー効率・高寿命にすることができる。
電解槽用炭素電極を得る。 【構成】 ポリアクリロニトリル系繊維を炭化し、X線
広角解析より求めた〈002〉面間隔が3.50Å以上
3.60Å以下の擬黒鉛結晶構造を有せしめ、その後の
空気酸化にて炭材表面の結合酸素原子数が炭素原子数の
10〜25%となるように処理された炭素質材料を電解
槽に電極として用いる。 【効果】 電気化学的反応選択性が高く、電極活性の優
れた電極が得られ、これを電極に用いた電解槽を高電池
エネルギー効率・高寿命にすることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レドックスフロー型電
池等の電解槽に使用される電極に関するものであり、さ
らに詳しくはエネルギー効率に優れ、長期間使用に伴う
性能の変化の少ない炭素質電極に関するものである。
池等の電解槽に使用される電極に関するものであり、さ
らに詳しくはエネルギー効率に優れ、長期間使用に伴う
性能の変化の少ない炭素質電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、クリーンな電気エネルギーの需要
が急速に伸び、それに伴って電解槽を利用する分野が増
えつつある。その代表的なものとして、一次・二次・燃
料電池といった各種電池及び電気メッキ、食塩電解、有
機化合物の電解合成などの電解工業がある。これらの電
解槽に用いられる電極には、鉛蓄電池などの電池に多く
みられるような電極自体が活物質として電気化学的反応
を行うものと、活物質の電気化学的反応を進行させる反
応場として働き、電極自身は変化しないものとがある。
後者の電極は主に新型二次電池や電解工業に適用されて
いる。この新型二次電池は、将来的な電気エネルギーの
有効な確保という面から、夜間の余剰電力を貯蔵し、こ
れを昼間の需要増大時に放出して需要の変動を平準化す
るための電力貯蔵用電池として開発が行われており、亜
鉛―塩素電池、亜鉛―臭素電池、レドックスフロー型電
池などが知られている。また、これらの新型二次電池
は、太陽光、風力、波力等の自然エネルギーを利用した
発電システムではバックアップ電源として、あるいは電
気自動車用電源としても開発が進められている。
が急速に伸び、それに伴って電解槽を利用する分野が増
えつつある。その代表的なものとして、一次・二次・燃
料電池といった各種電池及び電気メッキ、食塩電解、有
機化合物の電解合成などの電解工業がある。これらの電
解槽に用いられる電極には、鉛蓄電池などの電池に多く
みられるような電極自体が活物質として電気化学的反応
を行うものと、活物質の電気化学的反応を進行させる反
応場として働き、電極自身は変化しないものとがある。
後者の電極は主に新型二次電池や電解工業に適用されて
いる。この新型二次電池は、将来的な電気エネルギーの
有効な確保という面から、夜間の余剰電力を貯蔵し、こ
れを昼間の需要増大時に放出して需要の変動を平準化す
るための電力貯蔵用電池として開発が行われており、亜
鉛―塩素電池、亜鉛―臭素電池、レドックスフロー型電
池などが知られている。また、これらの新型二次電池
は、太陽光、風力、波力等の自然エネルギーを利用した
発電システムではバックアップ電源として、あるいは電
気自動車用電源としても開発が進められている。
【0003】新型二次電池の中でも、レドックスフロー
型電池は信頼性、経済性の面で他の電池より優れてお
り、最も実用化の可能性の高い電池の一つである。該電
池では電解液を貯える外部タンクと電解槽から成り、活
物質を含む電解液を外部タンクから電解槽に供給して電
解槽に組み込まれた電極上で電気化学的なエネルギー変
換、即ち充放電が行われる。一般に、充放電の際は、電
解液を外部タンクと電解槽との間で循環させるため、電
解槽は図1に示すような液流通型構造をとる。該液流通
型電解槽を単セルと称し、これを最小単位として単独も
しくは多段積層して用いられる。液流通型電解槽におけ
る電気化学反応は、電極表面で起こる不均一相反応であ
るため、一般的には二次元的な電解反応場を伴うことに
なる。電解反応場が二次元的であると、電解槽の単位体
積当たりの反応量が小さいという難点がある。そこで、
単位面積当たりの反応量、すなわち電流密度を増すため
に電気化学反応場の三次元化が行われるようになった。
図2は、三次元電極を有する液流通型電解槽の模式図で
ある。
型電池は信頼性、経済性の面で他の電池より優れてお
り、最も実用化の可能性の高い電池の一つである。該電
池では電解液を貯える外部タンクと電解槽から成り、活
物質を含む電解液を外部タンクから電解槽に供給して電
解槽に組み込まれた電極上で電気化学的なエネルギー変
換、即ち充放電が行われる。一般に、充放電の際は、電
解液を外部タンクと電解槽との間で循環させるため、電
解槽は図1に示すような液流通型構造をとる。該液流通
型電解槽を単セルと称し、これを最小単位として単独も
しくは多段積層して用いられる。液流通型電解槽におけ
る電気化学反応は、電極表面で起こる不均一相反応であ
るため、一般的には二次元的な電解反応場を伴うことに
なる。電解反応場が二次元的であると、電解槽の単位体
積当たりの反応量が小さいという難点がある。そこで、
単位面積当たりの反応量、すなわち電流密度を増すため
に電気化学反応場の三次元化が行われるようになった。
図2は、三次元電極を有する液流通型電解槽の模式図で
ある。
【0004】該電解槽では、相対する2枚の集電板1が
あり、1間にイオン交換膜3が配設され、イオン交換膜
3の両側のスペーサ2によって集電板1に沿った電解液
の流路4a,4bが形成されている。該流通路4a,4
bの少なくとも一方には炭素繊維集合体等の電極5が配
設されており、このようにして三次元電極が構成されて
いる。
あり、1間にイオン交換膜3が配設され、イオン交換膜
3の両側のスペーサ2によって集電板1に沿った電解液
の流路4a,4bが形成されている。該流通路4a,4
bの少なくとも一方には炭素繊維集合体等の電極5が配
設されており、このようにして三次元電極が構成されて
いる。
【0005】例えば、正極電解液に塩化鉄、負極電解液
に塩化クロムの各々塩酸酸性水溶液を用いたレドックス
フロー型電池の場合、放電時には、負極側の液流路4a
にクロム二価イオンCr2+を含む電解液が供給され、正
極側の流路4bには鉄三価イオンFe3+を含む電解液が
供給される。負極側の流路4aでは、三次元電極5内で
Cr2+が電子を放出し、クロム三価イオンCr3+に酸化
される。放出された電子は外部回路を通って正極側の三
次元電極内でFe3+を鉄二価イオンFe2+に還元する。
に塩化クロムの各々塩酸酸性水溶液を用いたレドックス
フロー型電池の場合、放電時には、負極側の液流路4a
にクロム二価イオンCr2+を含む電解液が供給され、正
極側の流路4bには鉄三価イオンFe3+を含む電解液が
供給される。負極側の流路4aでは、三次元電極5内で
Cr2+が電子を放出し、クロム三価イオンCr3+に酸化
される。放出された電子は外部回路を通って正極側の三
次元電極内でFe3+を鉄二価イオンFe2+に還元する。
【0006】この放電時の酸化還元反応に伴って負極電
解液中の塩素イオンCl- が不足し、正極電解液ではC
l- が過剰になるため、イオン交換膜3を通ってCl-
が正極側から負極側に移動し電荷バランスが保たれる。
あるいは、水素イオンH+ がイオン交換膜を通って負極
側から正極側へ移動することによっても電荷バランスを
保つことができる。現在のところ、鉄/クロム系のレド
ックスフロー型電池ではイオン交換膜にカチオン交換膜
を用い、H+ の移動により電荷をバランスさせる方式が
多い。また、バナジウム系のレドックスフロー型電池で
はアニオン交換膜を用いた方が良いという報告も出てい
る。充電時には放電時と逆の反応が進行する。
解液中の塩素イオンCl- が不足し、正極電解液ではC
l- が過剰になるため、イオン交換膜3を通ってCl-
が正極側から負極側に移動し電荷バランスが保たれる。
あるいは、水素イオンH+ がイオン交換膜を通って負極
側から正極側へ移動することによっても電荷バランスを
保つことができる。現在のところ、鉄/クロム系のレド
ックスフロー型電池ではイオン交換膜にカチオン交換膜
を用い、H+ の移動により電荷をバランスさせる方式が
多い。また、バナジウム系のレドックスフロー型電池で
はアニオン交換膜を用いた方が良いという報告も出てい
る。充電時には放電時と逆の反応が進行する。
【0007】これらの新型二次電池等に用いられる電解
槽用電極の特性としては、特に以下に示す性能が要求さ
れる。 1、目的とする反応以外の副反応を起こさないこと(反
応選択性が高いこと)。具体的には電流効率ηI が高い
こと。 2、電極反応活性が高いこと。具体的にはセル抵抗Rが
小さいこと。すなわち電圧効率ηV が高いこと。 3、1、2に関連するが、電池エネルギー効率ηE が高
いこと。 ηE =ηI ×ηV 4、繰り返し使用に対する劣化が小さいこと(高寿
命)。具体的にはセル抵抗Rの増加及び電流効率ηI の
低下が小さいこと。
槽用電極の特性としては、特に以下に示す性能が要求さ
れる。 1、目的とする反応以外の副反応を起こさないこと(反
応選択性が高いこと)。具体的には電流効率ηI が高い
こと。 2、電極反応活性が高いこと。具体的にはセル抵抗Rが
小さいこと。すなわち電圧効率ηV が高いこと。 3、1、2に関連するが、電池エネルギー効率ηE が高
いこと。 ηE =ηI ×ηV 4、繰り返し使用に対する劣化が小さいこと(高寿
命)。具体的にはセル抵抗Rの増加及び電流効率ηI の
低下が小さいこと。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これら新型二次電池を
実用化するためには、解決しなければならない問題点が
内在している。すなわち、性能面ではエネルギー効率等
の向上及び高寿命化であり、現在はかなり割高になって
いるコスト面では各電池構成材料を如何に安くつくるか
である。例えば、レドックスフロー型電池においても上
記の問題があり、それらの問題を解決すべく電極も開発
されている。
実用化するためには、解決しなければならない問題点が
内在している。すなわち、性能面ではエネルギー効率等
の向上及び高寿命化であり、現在はかなり割高になって
いるコスト面では各電池構成材料を如何に安くつくるか
である。例えば、レドックスフロー型電池においても上
記の問題があり、それらの問題を解決すべく電極も開発
されている。
【0009】前述した鉄/クロム系レドックスフロー型
電池の電極には、耐薬品性があり、導電性を有する炭素
繊維集合体が用いられている。該電池において炭素繊維
集合体を用いる正極での鉄イオンの酸化還元反応は反応
速度が比較的速く、副反応も生じ難いのでさほど問題で
はない。しかるに、負極では鉄イオンに比べ錯体交換反
応を含むクロム錯イオンの酸化還元反応が遅いため、セ
ル抵抗Rが大きくなり(電圧効率ηV が低くなり)、ま
た、充電時に副反応として水素が発生するため、電流効
率ηI が低下することが第1の問題となっていた。ま
た、一方では、充放電サイクルの繰り返しに伴ってセル
抵抗Rが増加し、エネルギー効率ηE の変化(低下率)
が大きいことが第2の問題となっていた。
電池の電極には、耐薬品性があり、導電性を有する炭素
繊維集合体が用いられている。該電池において炭素繊維
集合体を用いる正極での鉄イオンの酸化還元反応は反応
速度が比較的速く、副反応も生じ難いのでさほど問題で
はない。しかるに、負極では鉄イオンに比べ錯体交換反
応を含むクロム錯イオンの酸化還元反応が遅いため、セ
ル抵抗Rが大きくなり(電圧効率ηV が低くなり)、ま
た、充電時に副反応として水素が発生するため、電流効
率ηI が低下することが第1の問題となっていた。ま
た、一方では、充放電サイクルの繰り返しに伴ってセル
抵抗Rが増加し、エネルギー効率ηE の変化(低下率)
が大きいことが第2の問題となっていた。
【0010】本発明者はかかる事情に鑑み、電池のエネ
ルギー効率を高め、かつ充放電サイクル寿命を改善する
電解槽用電極についてより優れたものを鋭意検討した結
果、本発明に到達した。
ルギー効率を高め、かつ充放電サイクル寿命を改善する
電解槽用電極についてより優れたものを鋭意検討した結
果、本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリアクリロ
ニトリル系繊維を原料とする炭素質繊維で、X線広角解
析より求めた〈002〉面間隔が3.50Å以上3.6
0Å以下の擬黒鉛結晶構造を有する炭素からなり、該炭
素表面の結合酸素原子数が炭素原子数の10〜25%で
ある炭素質繊維よりなる電解槽用炭素電極材である。
ニトリル系繊維を原料とする炭素質繊維で、X線広角解
析より求めた〈002〉面間隔が3.50Å以上3.6
0Å以下の擬黒鉛結晶構造を有する炭素からなり、該炭
素表面の結合酸素原子数が炭素原子数の10〜25%で
ある炭素質繊維よりなる電解槽用炭素電極材である。
【0012】以前よりポリアクリロニトリル(以下、P
ANと略す)系繊維を原料とする炭素繊維はレドックス
フロー型電池等の新型二次電池に多く用いられてきた
が、X線広角解析より求めた〈002〉面間隔が3.5
0Å未満の構造では表面の改質が困難である。また、他
の原料、例えば、再生セルロース等を用いた場合、〈0
02〉面間隔が3.70Å以下であれば性能(特に電流
効率ηI )にあまり差が生じなかったが、PAN系繊維
を原料に用いた場合、〈002〉面間隔が3.50Å未
満では性能(電流効率ηI も電圧効率ηV も両方とも)
が急激に低下する。この理由としては、PAN系固有の
窒素原子が何らかの形で関与し、構成繊維間の構造差が
顕著になるためと考えられる。
ANと略す)系繊維を原料とする炭素繊維はレドックス
フロー型電池等の新型二次電池に多く用いられてきた
が、X線広角解析より求めた〈002〉面間隔が3.5
0Å未満の構造では表面の改質が困難である。また、他
の原料、例えば、再生セルロース等を用いた場合、〈0
02〉面間隔が3.70Å以下であれば性能(特に電流
効率ηI )にあまり差が生じなかったが、PAN系繊維
を原料に用いた場合、〈002〉面間隔が3.50Å未
満では性能(電流効率ηI も電圧効率ηV も両方とも)
が急激に低下する。この理由としては、PAN系固有の
窒素原子が何らかの形で関与し、構成繊維間の構造差が
顕著になるためと考えられる。
【0013】尚、本発明の炭素質材料の構成組織として
は、紡績糸、フィラメント集束糸、不織布、編地、織
地、特殊編織物(特許公開昭和63−200467に開
示されているようなもの)、あるいはこれらの混成組織
からなる炭素質繊維集合体、多孔質炭素体、炭素−炭素
複合体、粒子状炭素材料等を挙げることができ、特に制
限を設けるものではない。また、該炭素質材料の目付量
は組織にもよるが、図2のスペーサ2の厚みを1〜3mm
で使用する場合、50〜500g/m2、不織布組織の場
合は100〜300g/m2が望ましい。該炭素質材料の
厚みは図2のスペーサ2の厚みより少なくとも大きいこ
と、不織布等の密度の低いものではスペーサの厚みの1.
5 〜3倍程度が望ましい。
は、紡績糸、フィラメント集束糸、不織布、編地、織
地、特殊編織物(特許公開昭和63−200467に開
示されているようなもの)、あるいはこれらの混成組織
からなる炭素質繊維集合体、多孔質炭素体、炭素−炭素
複合体、粒子状炭素材料等を挙げることができ、特に制
限を設けるものではない。また、該炭素質材料の目付量
は組織にもよるが、図2のスペーサ2の厚みを1〜3mm
で使用する場合、50〜500g/m2、不織布組織の場
合は100〜300g/m2が望ましい。該炭素質材料の
厚みは図2のスペーサ2の厚みより少なくとも大きいこ
と、不織布等の密度の低いものではスペーサの厚みの1.
5 〜3倍程度が望ましい。
【0014】本発明における炭材表面の結合酸素原子数
とはESCA表面分析によって検出される炭素質材料表
面の結合酸素量を意味し、結合酸素原子数の炭素原子数
に対する割合として表す(以下、O/C比と称す、単
位:%)。このO/C比が10%未満である炭素質材料
を用いた場合、電解液との濡れ性が悪く、セル抵抗Rが
著しく増加する(電圧効率ηV が著しく低下する)。こ
れは、炭素に対する水の付着力が元来弱く、そのため、
酸素を含む親水性の官能基を多く持たなければならない
ためであると考えられる。
とはESCA表面分析によって検出される炭素質材料表
面の結合酸素量を意味し、結合酸素原子数の炭素原子数
に対する割合として表す(以下、O/C比と称す、単
位:%)。このO/C比が10%未満である炭素質材料
を用いた場合、電解液との濡れ性が悪く、セル抵抗Rが
著しく増加する(電圧効率ηV が著しく低下する)。こ
れは、炭素に対する水の付着力が元来弱く、そのため、
酸素を含む親水性の官能基を多く持たなければならない
ためであると考えられる。
【0015】また、O/C比が25%以上である炭素質
材料の場合、表面のみでなく、内部もかなり改質される
ため、炭素の導電性を失い、繊維間の接触抵抗が増し、
該材料を用いた場合、全体のセル抵抗Rはかえって増加
する(電圧効率ηV が低下する)。
材料の場合、表面のみでなく、内部もかなり改質される
ため、炭素の導電性を失い、繊維間の接触抵抗が増し、
該材料を用いた場合、全体のセル抵抗Rはかえって増加
する(電圧効率ηV が低下する)。
【0016】このような優れた濡れ性と内部構造を持っ
た炭素質材料は、前述した擬黒鉛結晶構造を有する炭素
材料を乾式酸化処理することによって得られる。例え
ば、1×10-2torr以上の酸素分圧を有する酸素雰囲気
下で重量収率にして65〜99%の範囲になるように実
施される。処理温度は通常400℃以上が好ましい。低
温(例えば300℃以下)では処理する炭素材料の反応
性が落ちるため、酸化の効果が得られない。酸化処理を
湿式で行うと層間化合物の生成、処理時の有害ガスの発
生等問題が多いので避けるべきである。この乾式酸化処
理は、一段階の方式でも良いし、異なる温度で二段階以
上に分かれた方式をとっても良い。また、加熱の代わり
にプラズマを発生させたり、プラズマ発生と加熱とを併
用して処理を行っても良い。ただし、ここで注意するこ
とは、これらの乾式酸化処理などを行う前の炭素材料中
の含有金属不純物量である。これは内部・表面・付着物
にかかわらず酸化処理の均一・安定な制御を妨げる。1
A,2A族の金属元素(メタル状が最も影響大である
が、酸化物や塩等でも影響する)では数十ppm以上、
他の典型金属元素や遷移元素では数百ppm以上存在す
れば制御できなくなるため、原料製造工程、耐炎化工
程、フェルト化等の組織化工程、炭化工程など全ての工
程において、こういった金属が制御できなくなる限界量
以上に含まれないように注意を払っておく必要がある。
た炭素質材料は、前述した擬黒鉛結晶構造を有する炭素
材料を乾式酸化処理することによって得られる。例え
ば、1×10-2torr以上の酸素分圧を有する酸素雰囲気
下で重量収率にして65〜99%の範囲になるように実
施される。処理温度は通常400℃以上が好ましい。低
温(例えば300℃以下)では処理する炭素材料の反応
性が落ちるため、酸化の効果が得られない。酸化処理を
湿式で行うと層間化合物の生成、処理時の有害ガスの発
生等問題が多いので避けるべきである。この乾式酸化処
理は、一段階の方式でも良いし、異なる温度で二段階以
上に分かれた方式をとっても良い。また、加熱の代わり
にプラズマを発生させたり、プラズマ発生と加熱とを併
用して処理を行っても良い。ただし、ここで注意するこ
とは、これらの乾式酸化処理などを行う前の炭素材料中
の含有金属不純物量である。これは内部・表面・付着物
にかかわらず酸化処理の均一・安定な制御を妨げる。1
A,2A族の金属元素(メタル状が最も影響大である
が、酸化物や塩等でも影響する)では数十ppm以上、
他の典型金属元素や遷移元素では数百ppm以上存在す
れば制御できなくなるため、原料製造工程、耐炎化工
程、フェルト化等の組織化工程、炭化工程など全ての工
程において、こういった金属が制御できなくなる限界量
以上に含まれないように注意を払っておく必要がある。
【0017】上記構成をとることにより、電流効率ηI
及び電圧効率ηV の高い電極が得られ、電池のエネルギ
ー効率ηE を大幅に上昇させることができ、前述の第1
の問題点を解決することができる。一方、上記の内部結
晶性及び表面酸素量をポリアクリロニトリル系繊維から
出発した炭素質材料が持つことにより、構造が安定化
し、炭素表面の還元反応等の劣化が生じなくなり、充放
電サイクルの繰り返しに伴うセル抵抗Rの増加を抑制
し、エネルギー効率ηE の低下を抑えることができるた
め、前述の第2の問題点も同時に解決することができ
る。
及び電圧効率ηV の高い電極が得られ、電池のエネルギ
ー効率ηE を大幅に上昇させることができ、前述の第1
の問題点を解決することができる。一方、上記の内部結
晶性及び表面酸素量をポリアクリロニトリル系繊維から
出発した炭素質材料が持つことにより、構造が安定化
し、炭素表面の還元反応等の劣化が生じなくなり、充放
電サイクルの繰り返しに伴うセル抵抗Rの増加を抑制
し、エネルギー効率ηE の低下を抑えることができるた
め、前述の第2の問題点も同時に解決することができ
る。
【0018】次に、本発明において採用される〈00
2〉面間隔(d002 )、O/C比、電流効率ηI ・セル
抵抗R(電圧効率ηV )・電池エネルギー効率ηE およ
びこれらの充放電サイクルの経時変化の各測定法につい
て説明する。
2〉面間隔(d002 )、O/C比、電流効率ηI ・セル
抵抗R(電圧効率ηV )・電池エネルギー効率ηE およ
びこれらの充放電サイクルの経時変化の各測定法につい
て説明する。
【0019】(1)〈002〉面間隔(d002 ) 電極材料をメノウ乳鉢で、粒径10μm程度になるまで
粉砕し、試料に対して約5重量%のX線標準用高純度シ
リコン粉末を内部標準物質として混合し、試料セルに詰
め、CuKα線を線源として、ディフラクトメーター法
によって広角X線を測定する。
粉砕し、試料に対して約5重量%のX線標準用高純度シ
リコン粉末を内部標準物質として混合し、試料セルに詰
め、CuKα線を線源として、ディフラクトメーター法
によって広角X線を測定する。
【0020】曲線の補正には、いわゆるローレンツ因
子、偏光因子、吸収因子、原子散乱因子等に関する補正
を行わず、次の簡便法を用いる。即ち、〈002〉回折
に相当するピークのベースラインからの実質強度をプロ
ットし直して〈002〉補正強度曲線を得る。この曲線
のピーク高さの2/3の高さに引いた角度軸に平行な線
が補正強度曲線と交わる線分の中点を求め、中点の角度
を内部標準で補正し、これを回折角の2倍とし、CuK
αの波長λとから数1のBragg の式によって〈002〉
面間隔を求める。
子、偏光因子、吸収因子、原子散乱因子等に関する補正
を行わず、次の簡便法を用いる。即ち、〈002〉回折
に相当するピークのベースラインからの実質強度をプロ
ットし直して〈002〉補正強度曲線を得る。この曲線
のピーク高さの2/3の高さに引いた角度軸に平行な線
が補正強度曲線と交わる線分の中点を求め、中点の角度
を内部標準で補正し、これを回折角の2倍とし、CuK
αの波長λとから数1のBragg の式によって〈002〉
面間隔を求める。
【0021】
【数1】ここでλ:1.5418;θ:〈002〉回折
角を示す。
角を示す。
【0022】(2)O/C比 ESCAあるいはXPCと略称されているX線光電子分
光法によるO/C比の測定に用いた装置は島津ESCA
750で、解析にはESCAPAC760を用いた。各
試料を6mm径に打ち抜き、導電性ペーストにより加熱式
試料台に貼り付け、分析に供した。予め、測定前に試料
を120℃に加熱し、3時間以上真空脱気した。線源に
はMgKα線(1253.6eV)を用い、装置内真空度は1
0-7torrとした。測定はC1s,O1sピークに対して行
い、各ピークをESCAPAC760(J.H.Scofieldに
よる補正法に基づく)を用いて補正解析し、各ピーク面
積を求める。得られた面積はC1sについては1.00、O1s
については2.85の相対強度を乗じたものであり、その面
積から直接表面(酸素/炭素)原子数比を百分率(%)
で算出する。
光法によるO/C比の測定に用いた装置は島津ESCA
750で、解析にはESCAPAC760を用いた。各
試料を6mm径に打ち抜き、導電性ペーストにより加熱式
試料台に貼り付け、分析に供した。予め、測定前に試料
を120℃に加熱し、3時間以上真空脱気した。線源に
はMgKα線(1253.6eV)を用い、装置内真空度は1
0-7torrとした。測定はC1s,O1sピークに対して行
い、各ピークをESCAPAC760(J.H.Scofieldに
よる補正法に基づく)を用いて補正解析し、各ピーク面
積を求める。得られた面積はC1sについては1.00、O1s
については2.85の相対強度を乗じたものであり、その面
積から直接表面(酸素/炭素)原子数比を百分率(%)
で算出する。
【0023】(3)電極特性 図2に示す液流通型電解槽と同じ形状で上下方向(通液
方向)に10cm、幅方向に1cmの電極面積10cm2 を有
する小型のセルを作り、定電流密度で充放電を繰り返
し、電極性能のテストを行う。正極電解液には塩化第一
鉄、塩化第二鉄を各1mol/l の濃度で混合した4N塩酸
酸性水溶液を用い、負極電解液には1mol/l の塩化クロ
ムの4N塩酸酸性水溶液を用いた。正極電解液量は負極
電解液量に対して大過剰とし、負極特性を中心に検討で
きるようにした。尚、用いたスペーサ厚みは1.5mm、
液流量は毎分4.8mlとし、40℃で測定を行った。
方向)に10cm、幅方向に1cmの電極面積10cm2 を有
する小型のセルを作り、定電流密度で充放電を繰り返
し、電極性能のテストを行う。正極電解液には塩化第一
鉄、塩化第二鉄を各1mol/l の濃度で混合した4N塩酸
酸性水溶液を用い、負極電解液には1mol/l の塩化クロ
ムの4N塩酸酸性水溶液を用いた。正極電解液量は負極
電解液量に対して大過剰とし、負極特性を中心に検討で
きるようにした。尚、用いたスペーサ厚みは1.5mm、
液流量は毎分4.8mlとし、40℃で測定を行った。
【0024】(a) 電流効率:ηI 充電に始まり、放電で終わる1サイクルのテストにおい
て、電流密度を電極幾何面積当たり40mA/cm2 (4
00mA)として、1.2Vまでの充電に要した電気量
をQ1 クーロン、0.2Vまでの定電流放電、およびこ
れに続く0.8Vでの定電圧放電で取りだした電気量を
それぞれQ2 、Q3 クーロンとし、次式で電流効率ηI
を求める。
て、電流密度を電極幾何面積当たり40mA/cm2 (4
00mA)として、1.2Vまでの充電に要した電気量
をQ1 クーロン、0.2Vまでの定電流放電、およびこ
れに続く0.8Vでの定電圧放電で取りだした電気量を
それぞれQ2 、Q3 クーロンとし、次式で電流効率ηI
を求める。
【0025】
【数2】
【0026】充電時にCr3+からCr2+への還元以外の
反応、例えば、H+ の還元等の副反応(水素ガスの発
生)が起こると、取り出せる電気量が減り、電流効率η
Iは減少する。
反応、例えば、H+ の還元等の副反応(水素ガスの発
生)が起こると、取り出せる電気量が減り、電流効率η
Iは減少する。
【0027】(b) セル抵抗:R 負極液中のCr3+をCr2+に完全に還元するのに必要な
理論電気量Qthに対して、放電により取りだした電気量
の比を充電率とし、次式で充電率を求める。
理論電気量Qthに対して、放電により取りだした電気量
の比を充電率とし、次式で充電率を求める。
【0028】
【数3】
【0029】充電率が50%のときの電流・電圧曲線の
傾きから電極幾何面積に対するセル抵抗R(Ω・cm2 )
を求める。
傾きから電極幾何面積に対するセル抵抗R(Ω・cm2 )
を求める。
【0030】(c)電圧効率:ηV 上記の方法で求めたセル抵抗Rを用いて次式の簡便法に
より電圧効率ηV を求める。
より電圧効率ηV を求める。
【0031】
【数4】
【0032】ここで、Eは充電率50%のときのセルの
開回路電圧(V)、Iは定電流充放電における電流値
(A)である。Eには実測値である0.987Vを用
い、I=0.4A、すなわち電流密度40mA/cm2 の
時の電圧効率ηV で評価した。Rは前記したセル抵抗
(Ω・cm2 )である。セル抵抗Rが小さいほど、活物質
のイオンの酸化還元反応は速やかに起こるため、高電流
密度での放電電圧は高くなり、従ってセルの電圧効率η
V が高くなる。
開回路電圧(V)、Iは定電流充放電における電流値
(A)である。Eには実測値である0.987Vを用
い、I=0.4A、すなわち電流密度40mA/cm2 の
時の電圧効率ηV で評価した。Rは前記したセル抵抗
(Ω・cm2 )である。セル抵抗Rが小さいほど、活物質
のイオンの酸化還元反応は速やかに起こるため、高電流
密度での放電電圧は高くなり、従ってセルの電圧効率η
V が高くなる。
【0033】(d)電池エネルギー効率:ηE 前述の電流効率ηI と電圧効率ηV を用いて、次式によ
り電池エネルギー効率ηE を求める。
り電池エネルギー効率ηE を求める。
【0034】
【数5】
【0035】電流効率ηI 及び電圧効率ηV が高くなる
程、電池エネルギー効率ηE は高くなり、従って充放電
におけるエネルギーロスが小さく、優れた電極であると
判断される。
程、電池エネルギー効率ηE は高くなり、従って充放電
におけるエネルギーロスが小さく、優れた電極であると
判断される。
【0036】(e)充放電サイクルの経時変化 (a) 、(b) の測定後、続いて同セルを用い、40mA/
cm2 の定電流密度でセル電圧0.2〜1.2V間で充放
電を繰り返し実施する。規定サイクル経過後、(a) 、
(b) の測定を行い、(a) 、(b) 、(c) 、(d) に示した算
出法によりηI 、R、ηV 、ηE を求める。
cm2 の定電流密度でセル電圧0.2〜1.2V間で充放
電を繰り返し実施する。規定サイクル経過後、(a) 、
(b) の測定を行い、(a) 、(b) 、(c) 、(d) に示した算
出法によりηI 、R、ηV 、ηE を求める。
【0037】
【作用】新型二次電池等の電解槽用電極の特性は、主に
上記のような電流効率ηI 、電圧効率ηV (セル抵抗
R)およびエネルギー効率ηE とこれらの効率の充放電
サイクル安定性(寿命)で表される。特に、レドックス
フロー型電池においては、電流効率ηI は主に充電時に
おける水素発生等の副反応によって充電電気量の一部が
消費されるために低下する。一般に、金属元素を電極に
用いた場合、各元素で電気化学的反応選択性が異なるこ
とが認められる。同様に、炭素においても結晶性が異な
れば、対応する電子エネルギー準位も異なり、それが電
気化学的反応選択性、すなわち電流効率ηI に大きく影
響すると考えられる。
上記のような電流効率ηI 、電圧効率ηV (セル抵抗
R)およびエネルギー効率ηE とこれらの効率の充放電
サイクル安定性(寿命)で表される。特に、レドックス
フロー型電池においては、電流効率ηI は主に充電時に
おける水素発生等の副反応によって充電電気量の一部が
消費されるために低下する。一般に、金属元素を電極に
用いた場合、各元素で電気化学的反応選択性が異なるこ
とが認められる。同様に、炭素においても結晶性が異な
れば、対応する電子エネルギー準位も異なり、それが電
気化学的反応選択性、すなわち電流効率ηI に大きく影
響すると考えられる。
【0038】本発明によって、ポリアクリロニトリル系
繊維を原料とし、d002 が3.50Å以上3.60Å以
下の擬黒鉛結晶構造を有すれば、電流効率ηI を著しく
高めることができる。これは、上記構造の炭素材料の電
子エネルギー準位に基づく反応選択性が使用する系に最
適な状態にあり、しかも、炭素内部構造が均一化(平均
化)し、構造欠陥等も減少・消失するために電極電位が
均一化しているためと推測される。尚、公知の通り金属
不純物、特に鉄、クロム、ニッケルなどの遷移金属は副
反応促進の触媒となるため、これらの不純物量を極力抑
えた炭素材料を用いることが重要である。また、上述し
たようにO/C比が10〜25%になるように乾式酸化
処理を施してやると、電解液との濡れ性が著しく増大
し、電極有効表面積(幾何表面積よりはかなり大きく、
BET表面積よりは小さい)が増加し、電極活性が大幅
に向上する。従って、セル抵抗Rの減少、即ち電圧効率
ηV を大幅に上昇させることができる。
繊維を原料とし、d002 が3.50Å以上3.60Å以
下の擬黒鉛結晶構造を有すれば、電流効率ηI を著しく
高めることができる。これは、上記構造の炭素材料の電
子エネルギー準位に基づく反応選択性が使用する系に最
適な状態にあり、しかも、炭素内部構造が均一化(平均
化)し、構造欠陥等も減少・消失するために電極電位が
均一化しているためと推測される。尚、公知の通り金属
不純物、特に鉄、クロム、ニッケルなどの遷移金属は副
反応促進の触媒となるため、これらの不純物量を極力抑
えた炭素材料を用いることが重要である。また、上述し
たようにO/C比が10〜25%になるように乾式酸化
処理を施してやると、電解液との濡れ性が著しく増大
し、電極有効表面積(幾何表面積よりはかなり大きく、
BET表面積よりは小さい)が増加し、電極活性が大幅
に向上する。従って、セル抵抗Rの減少、即ち電圧効率
ηV を大幅に上昇させることができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明
する。
する。
【0040】(実施例1)平均繊維径16μmのポリアク
リロニトリル繊維を空気中 250℃で耐炎化した後、該耐
炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量 400g
/m2の布を作成した。該布を不活性ガス中で10℃/分の
昇温速度でそれぞれ1150,1250,1350℃まで昇温し、この
温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中
650℃で重量収率93%になるまで酸化処理し、3種の炭
素質繊維不織布を得た。各炭化温度における炭素質繊維
の結晶性(d002 )及びO/C比を表1に示す。上記処
理物を用いて電極性能(充放電サイクルの2サイクル目
と 100サイクル目)を測定した結果を表1に示す。
リロニトリル繊維を空気中 250℃で耐炎化した後、該耐
炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量 400g
/m2の布を作成した。該布を不活性ガス中で10℃/分の
昇温速度でそれぞれ1150,1250,1350℃まで昇温し、この
温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中
650℃で重量収率93%になるまで酸化処理し、3種の炭
素質繊維不織布を得た。各炭化温度における炭素質繊維
の結晶性(d002 )及びO/C比を表1に示す。上記処
理物を用いて電極性能(充放電サイクルの2サイクル目
と 100サイクル目)を測定した結果を表1に示す。
【0041】(比較例1)平均繊維径16μmのポリアク
リロニトリル繊維を空気中 250℃で耐炎化した後、該耐
炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量 400g
/m2の布を作成した。該布を不活性ガス中で10℃/分の
昇温速度でそれぞれ1000,1500,2000℃まで昇温し、この
温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中
650℃で重量収率93%になるまで酸化処理し、3種の炭
素質繊維不織布を得た。各炭化温度における炭素質繊維
の結晶性(d002 )及びO/C比を表1に示す。上記処
理物を用いて電極性能(充放電サイクルの2サイクル目
と 100サイクル目)を測定した結果を表1に示す。
リロニトリル繊維を空気中 250℃で耐炎化した後、該耐
炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量 400g
/m2の布を作成した。該布を不活性ガス中で10℃/分の
昇温速度でそれぞれ1000,1500,2000℃まで昇温し、この
温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中
650℃で重量収率93%になるまで酸化処理し、3種の炭
素質繊維不織布を得た。各炭化温度における炭素質繊維
の結晶性(d002 )及びO/C比を表1に示す。上記処
理物を用いて電極性能(充放電サイクルの2サイクル目
と 100サイクル目)を測定した結果を表1に示す。
【0042】(比較例2)平均繊維径16μmのポリアク
リロニトリル繊維を空気中 250℃で耐炎化した後、該耐
炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量 400g
/m2の布を作成した。該布を不活性ガス中で10℃/分の
昇温速度で1350℃まで昇温し、この温度で1時間保持し
炭化を行って冷却し、続いて空気中 650℃で重量収率が
それぞれ100,85,70 %になるまで酸化処理し、3種の炭
素質繊維不織布を得た。各空気酸化重量収率における炭
素質繊維のO/C比を表1に示す。上記処理物を用いて
電極性能(充放電サイクルの2サイクル目と 100サイク
ル目)を測定した結果を表1に示す。
リロニトリル繊維を空気中 250℃で耐炎化した後、該耐
炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量 400g
/m2の布を作成した。該布を不活性ガス中で10℃/分の
昇温速度で1350℃まで昇温し、この温度で1時間保持し
炭化を行って冷却し、続いて空気中 650℃で重量収率が
それぞれ100,85,70 %になるまで酸化処理し、3種の炭
素質繊維不織布を得た。各空気酸化重量収率における炭
素質繊維のO/C比を表1に示す。上記処理物を用いて
電極性能(充放電サイクルの2サイクル目と 100サイク
ル目)を測定した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の電極材を用いることにより、各
種電解槽を利用する分野において、有害な副反応を抑制
して電流効率を高め、またセル抵抗を低く抑えて電圧効
率を高めることができ、従って、電池エネルギー効率を
高めることができる。さらに充放電サイクルの経時変化
をきわめて低減することができ、工業的に多大な実用性
をもたらす。このことは特にレドックスフロー型電池に
とって効果的である。
種電解槽を利用する分野において、有害な副反応を抑制
して電流効率を高め、またセル抵抗を低く抑えて電圧効
率を高めることができ、従って、電池エネルギー効率を
高めることができる。さらに充放電サイクルの経時変化
をきわめて低減することができ、工業的に多大な実用性
をもたらす。このことは特にレドックスフロー型電池に
とって効果的である。
【図1】図1はレドックスフロー型電池等の流通型電解
槽を用いた電池の概略図を示す。
槽を用いた電池の概略図を示す。
【図2】図2は本発明の一実施例を示す三次元電極を有
する液流通型電解槽の分解斜視模式図である。
する液流通型電解槽の分解斜視模式図である。
1…集電板、2…スペーサ、3…イオン交換膜、4a,
b…通液路、5…電極 6…正極液タンク、7…負極液タンク、8…ポンプ、9
…液流入口 10…液流出口
b…通液路、5…電極 6…正極液タンク、7…負極液タンク、8…ポンプ、9
…液流入口 10…液流出口
Claims (1)
- 【請求項1】 ポリアクリロニトリル系繊維を原料とす
る炭素質繊維で、X線広角解析より求めた〈002〉面
間隔が3.50Å以上3.60Å以下の擬黒鉛結晶構造
を有する炭素からなり、該炭素表面の結合酸素原子数が
炭素原子数の10〜25%である炭素質繊維よりなる電
解槽用炭素電極材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4072600A JPH05234612A (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | 電解槽用炭素電極材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4072600A JPH05234612A (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | 電解槽用炭素電極材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05234612A true JPH05234612A (ja) | 1993-09-10 |
Family
ID=13494058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4072600A Pending JPH05234612A (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | 電解槽用炭素電極材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05234612A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11260377A (ja) * | 1998-03-12 | 1999-09-24 | Toyobo Co Ltd | 炭素電極材及びその製造方法 |
JP2000030715A (ja) * | 1998-07-10 | 2000-01-28 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 電池電極材、その製造方法および電気化学電池 |
JP2000357521A (ja) * | 1999-06-11 | 2000-12-26 | Toyobo Co Ltd | レドックスフロー電池用炭素電極材 |
JP2000357520A (ja) * | 1999-06-11 | 2000-12-26 | Toyobo Co Ltd | バナジウム系レドックスフロー電池用炭素電極材 |
WO2017022564A1 (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | 東洋紡株式会社 | レドックス電池用炭素電極材 |
JP2017152344A (ja) * | 2016-02-26 | 2017-08-31 | 日清紡ホールディングス株式会社 | レドックスフロー電池電極用炭素触媒 |
CN107710479A (zh) * | 2015-07-09 | 2018-02-16 | 住友电气工业株式会社 | 氧化还原液流电池用电极和氧化还原液流电池系统 |
WO2019049756A1 (ja) | 2017-09-07 | 2019-03-14 | 東洋紡株式会社 | レドックスフロー電池用炭素電極材およびその製造方法 |
JP2020035732A (ja) * | 2018-08-24 | 2020-03-05 | 旭化成株式会社 | レドックスフロー電池用電極 |
WO2020184449A1 (ja) | 2019-03-13 | 2020-09-17 | 東洋紡株式会社 | レドックスフロー電池用炭素電極材およびそれを備えたレドックスフロー電池 |
US10903504B2 (en) | 2016-02-26 | 2021-01-26 | Nisshinbo Holdings Inc. | Carbon catalyst for redox flow battery electrodes |
WO2021070311A1 (ja) * | 2019-10-09 | 2021-04-15 | 住友電気工業株式会社 | 電極、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池システム |
-
1992
- 1992-02-21 JP JP4072600A patent/JPH05234612A/ja active Pending
Cited By (23)
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EP3322011A4 (en) * | 2015-07-09 | 2018-06-06 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Electrode for redox flow battery, and redox flow battery system |
CN107710479A (zh) * | 2015-07-09 | 2018-02-16 | 住友电气工业株式会社 | 氧化还原液流电池用电极和氧化还原液流电池系统 |
JPWO2017006729A1 (ja) * | 2015-07-09 | 2018-04-19 | 住友電気工業株式会社 | レドックスフロー電池用電極、及びレドックスフロー電池システム |
WO2017022564A1 (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | 東洋紡株式会社 | レドックス電池用炭素電極材 |
CN108701851A (zh) * | 2016-02-26 | 2018-10-23 | 日清纺控股株式会社 | 氧化还原液流电池电极用碳催化剂 |
US10903505B2 (en) | 2016-02-26 | 2021-01-26 | Nisshinbo Holdings Inc. | Carbon catalyst for redox flow battery electrodes |
EP3422452A4 (en) * | 2016-02-26 | 2019-10-02 | Nisshinbo Holdings Inc. | CARBON CATALYST FOR REDOX BATTERY ELECTRODES |
JP2017152344A (ja) * | 2016-02-26 | 2017-08-31 | 日清紡ホールディングス株式会社 | レドックスフロー電池電極用炭素触媒 |
US10903504B2 (en) | 2016-02-26 | 2021-01-26 | Nisshinbo Holdings Inc. | Carbon catalyst for redox flow battery electrodes |
WO2019049756A1 (ja) | 2017-09-07 | 2019-03-14 | 東洋紡株式会社 | レドックスフロー電池用炭素電極材およびその製造方法 |
KR20200046041A (ko) | 2017-09-07 | 2020-05-06 | 도요보 가부시키가이샤 | 레독스 플로우 전지용 탄소 전극재 및 그의 제조 방법 |
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