JP3496385B2 - レドックス電池 - Google Patents

レドックス電池

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JP3496385B2
JP3496385B2 JP02700196A JP2700196A JP3496385B2 JP 3496385 B2 JP3496385 B2 JP 3496385B2 JP 02700196 A JP02700196 A JP 02700196A JP 2700196 A JP2700196 A JP 2700196A JP 3496385 B2 JP3496385 B2 JP 3496385B2
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芳輝 景山
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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    • Y02E60/50Fuel cells

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  • Fuel Cell (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池に関し、
さらに詳しくは、レドックスフロー型二次電池(略し
て、「レドックス電池」と呼ぶことがある)に関するも
のであり、特に高電流密度で使用可能な、内部抵抗及び
ポンプ動力損失の小さい、高出力のレドックス電池の電
極構造に関する。
【0002】現在、化石燃料の大量使用による大気中の
炭酸ガス濃度の増加が著しく、地球の温暖化が大きな問
題となっている。このために、クリーンなエネルギー源
である太陽電池の開発が活発に行われているが、太陽電
池は、夜間や雨天時は発電できないため適切な2次電池
の開発が待たれている。一方、従来の発電設備に於いて
も夜と昼、ピーク時の需要の差が激しく発電設備の負荷
率は低下しており、大型の電力貯蔵電池による運転の平
滑化は省エネルギーの面で大きな意味を持っている。電
気エネルギーを貯蔵することは電力関係者の長年の夢で
あるが、現在のところ揚水発電以外は実用化されておら
ず、大型の電力貯蔵電池の必要性は大きなものである。
レドックス電池はタッピングによって太陽電池の出力電
圧に合わせて充電できることや、構造がシンプルで大型
化しやすい等の特徴を持つために、新型の2次電池とし
て大きな可能性を秘めている。
【0003】レドックス型電池とは、電池活物質が液状
であり、正、負極の電池活物質を液透過型の電解槽に流
通せしめ、酸化還元反応を利用して充放電を行うもので
ある。従来の2次電池と比べレドックス型電池は次の利
点を有する。 (1)備蓄容量を大きくするためには、貯蔵容器の容量
を大きくし、活物質量を増加させるだけでよく、出力を
大きくしない限り、電解槽自体はそのままでよい。 (2)正、負極活物質は容器に完全に分離して貯蔵でき
るので、活物質が電極に接しているような電池と異な
り、自己放電の可能性が小さい。 (3)この電池で使用される液透過型炭素多孔質電極に
おいては、活物質イオンの充放電反応(電極反応)は、
単に、電極表面で電子の交換を行うのみで、亜鉛−臭素
電池における、亜鉛イオンのように電極に析出すること
はないので、電池の反応が単純である。
【0004】
【従来の技術】レドックスフロー型二次電池として、鉄
−クロム系電池が知られているが、該電池はエネルギー
密度が小さいこと、イオン交換膜を介して鉄とクロムが
混合することなどの欠点があるために、これに代わるも
のとして全バナジウム系電池が提案されている(特開昭
62ー186473号公報)。この電池は、起電力、電池容量な
どに優れており、電解液が一金属系であるため隔膜を介
して正、負極液が相互に混合しても充電によって簡単に
再生することができ、電池容量が低下せず、電解液を完
全にクローズ化できる利点を持っている。しかし、これ
ら従来のレドックス電池では、使用可能な高電流密度は
高々60mA/cm2 程度であり、さらに高い電流密
度での使用は不可能であった。これは、80mA/cm
2以上、とりわけ100mA/cm2以上の高電流密度を
採用して、高い電力効率を維持するためには、セルの抵
抗を1.5Ω・cm2以下、好ましくは、1.0Ω・c
2にしなければならず、電極の電気抵抗、電解液の導
電率を考慮すると正極室及び負極室のセル厚を薄くする
必要があった。しかし、セル厚を薄くすることは、電解
液を透過させるためのポンプ動力を大きくしなければな
らず、結果として下記式−1で示されるエネルギー効率
が低下する。従って、セル厚さを薄くすることなく電池
セルの内部抵抗を低減できる液透過性多孔質電極の開
発、あるいは電池セルの内部抵抗を大きくせずに電解液
の透過性を向上させる新たなる液透過性多孔質電極の開
発が必要となってきた。
【0005】
【数1】
【0006】次に、電解液が液透過性多孔質電極を通過
する際の圧力差ΔPは、一般に下記式−2で表される
(光武 量著「化学工学演習」産業図書(株)発行(1
970年))。
【0007】
【数2】
【0008】従って、圧力差ΔPを低減するには、電極
の空隙率εを大きくするか、電極の表面積sを小さくす
ることが効果的であることがわかる。しかし、空隙率ε
を大きくした場合は、単位体積当たりの電極体積が減少
するので、一般に、反応性の低下をもたらし、内部抵抗
率が増大するので好ましくなく、また、電極の表面積s
を小さくすることも、単位体積当たりの電極面積が減少
するので、同じく、反応性の低下をもたらし、好ましく
ない。それゆえ、レドックス電池の内部抵抗を低減する
ことと圧力差ΔPを低減することとは相反する技術であ
ることがわかる。
【0009】従来行われた内部抵抗を低減する方法とし
ては、例えば、液透過性多孔質電極を過剰に押圧してセ
ルの厚さを薄くしたり、反応性液透過性多孔質電極の炭
素繊維を高密度に充填して単位体積あたりの酸化還元反
応の活性化点の総数を増加させるなどの方法があった。
しかし、いずれの方法も、電極の空隙率を小さくさせる
もので、その結果として、電力の圧力差ΔPを大きくし
ていた。従って、これらの方法では、充放電の効率は向
上しても、ポンプ動力損失によって全体のエネルギー効
果は減少してしまう結果となっていた。
【0010】一方、特開平2−148659号公報では
集電炭素板に電解液の流通方向に沿って通液溝を形成
し、特開平2−148658号公報では多孔質電極材と
隔膜の間に流通通性の高い多孔質絶縁材を配置して、ポ
ンプ動力損失を低減している。しかし、この時のセル抵
抗は1.8Ω・cm2程度であり、高電流密度レドック
ス電池に適さないものである。
【0011】以上述べたように、高電流密度化において
は、多量の電解液を供給することが必須となるが、従来
の電極構造では、内部抵抗を小さくするため、セルの厚
みを薄くするか、あるいは電極の抵抗を小さくするため
に単位体積あたりの電極の密度を増やして通液溝を小さ
くする構造となっており、これらはいずれも電極内の通
液圧損を増大し、ポンプ動力損失が著しく大きくなると
いう問題が生じている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電池
の内部電気抵抗が小さくでき、かつ電極内の液通過圧損
も小さくできる電極を開発することにより、高電流密度
で、かつポンプ動力圧損も小さい、高出力の新規なレド
ックス電池を提供することにある。本発明における高電
流密度とは、60mA/cm2以上であり、好ましく
は、80mA/cm2以上であり、更に好ましくは、1
20mA/cm2以上である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決のために鋭意検討を重ねた結果、特殊な性質を有
する液透過性多孔質電極の開発に成功し、電池セルの厚
さを薄くすることなく電池セルの内部抵抗を低減するこ
とができ、かつ電解液の流通によるポンプ動力損失を小
さくできるレドックス電池を完成するに至った。即ち、
本発明は、隔膜を介して正および負の液透過性電極が配
設され、該電極をその外側から挟持するバイポーラ板に
より構成される正極室及び負極室からなるセルを、該バ
イポーラ板を介して交互に複数個積層して、電気的に直
列に接続し、該セル内に設けられたマニホールドを通し
て複数個の正極室及び負極室に正極電解液および負極電
解液を通液し、酸化還元反応により充放電する電解液循
環型のレドックス電池において、該液透過性電極が少な
くとも下記(1)および(2)の特性を有する2層の多
孔質炭素電極からなることを特徴とするレドックス電池
である。 (1)該液透過性電極の隔膜側の層が繊維径2〜20μ
mの炭素繊維からなる多孔質電極であり、その表面積が
3m2/g以上であること (2)該液透過性電極のバイポーラ板側の層が、繊維径
2〜20μmの炭素繊維からなる多孔質電極であり、そ
の表面積が2m2/g以下であること さらに、本発明の態様によれば、電極内の液通過圧損を
より小さくするために、前記多孔質炭素電極の少なくと
も一層の表面に溝が形成された電極を提供するものであ
る。
【0014】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
のレドックス電池の構造は、図1に示すように、イオン
交換膜からなる隔膜とその両側に設けられた電解液の通
過性を有する炭素繊維電極(正極及び負極)と、更にそ
の外側に設けられた燒結炭素板製のバイポーラ板(集電
板)からなり、正極液(例えば、5価/4価バナジウム
溶液)及び負極液(例えば、2価/3価バナジウム溶
液)はそれぞれ正極タンクと負極タンクから正極と負極
に送られる構造となっている。本発明のレドックス電池
用電極は、隔膜側に炭素繊維からなる高表面積多孔質電
極の層、およびバイポーラ板側に炭素繊維からなる低表
面積多孔質電極を配置した複層多孔質炭素電極の層を備
えている。
【0015】本発明の液透過性電極の一部を構成する隔
膜側に設置される(即ち、該電極の隔膜側の層に相当す
る)高表面積多孔質電極としては、繊維径が2〜20μ
m、好ましくは5〜15μmの範囲である炭素繊維から
なり、この繊維から形成された多孔質電極の表面積は3
2/g以上、好ましくは6〜100m2/g、更に好ま
しくは8〜60m2/gの範囲のものである。なお、こ
の場合の表面積は、通常のBET法の測定法による。表
面積が3m2/g未満であると、酸化還元反応の活性化
点の総数が低下し、結果として反応速度を低下させるの
で好ましくない。反応性の点では表面積が大きい程好ま
しいが、実用上は100m2/g程度の表面積で十分で
ある。
【0016】本発明で使用する高表面積多孔質電極を製
造する原料繊維としては、炭化可能な繊維で、編地製作
上必要な繊維強度、伸度等を持つもので、かつ炭化した
後の繊維径が2〜20μmであり、その繊維より形成さ
れた多孔質電極の表面積が3m2/g以上を有するもの
であればよい。このような炭素繊維の製造法としては、
特に限定されるものではないが、例えば、原料繊維を、
不活性ガス中、800〜2000℃の範囲で熱処理する
ことにより、原料繊維を炭化し、その後、少量の酸素雰
囲気下で500〜1500℃の範囲で再熱処理すること
により得られる。また、別の製造法の例として、原料繊
維を水蒸気雰囲気下で800〜2000℃の範囲で熱処
理することによっても得られる。原料繊維としては、セ
ルロース系、アクリル系、フェノール系、芳香族ポリア
ミド系、ピッチ系繊維、PAN系繊維等の原料繊維が使
用できる。
【0017】このようなして製造した炭素繊維の結晶構
造は、疑黒鉛化構造を有するものであり、広角X線解析
より求めた(002)面の面間隔が3.50〜3.80
Å、好ましくは3.50〜3.65Åであり、及び/又
は、炭素材表面の結合酸素原子数と炭素原子数の比(O
/C)が0.05以上、好ましくは0.07〜0.12
であることが好ましい。面間隔(d002)が3.85Å
を越えると、疑黒鉛化構造から非晶質炭素構造が主体と
なるため酸化還元の反応性が乏しくなり、一方、面間隔
が3.50Å未満である場合は黒鉛化構造が主体となる
ため、同様に反応性が乏しくなるので好ましくない。炭
素繊維の表面における酸素の存在は、酸素還元反応を促
進する効果をもつものと思われるが、O/C比が0.0
5未満ではその効果が低くなり、O/C比が高くなり過
ぎると反応に直接関与する表面の炭素構造が疑黒鉛化構
造から外れるので好ましくない。
【0018】なお、広角X線解析の測定方法は、炭素繊
維織布をメノウ乳鉢で粉末化し、試料に対して約5〜1
0重量%のX線標準用高純度シリコン粉末を内部標準物
質として加え混合し、試料セルに詰め、CuKα線を線
源とし、透過型ディフラクトメーター法によって広角X
線回析曲線を測定した。曲線の補正には、いわゆるロー
レンツ、偏光因子、吸引因子、原子散乱因子などに関す
る補正は行わず次の簡便法を用いる。即ち<002>回
析線に相当するピークのベースラインを引き、ベースラ
インからの実質強度をプロットし直して<002>補正
曲線を得る。この曲線のピーク高さの3分の2の高さに
引いた角度軸に平行な線が強度曲線と交わる線分の中点
を求め、中点の角度を内部標準で補正し、これを回析角
の2倍とし、CuKα線の波長λから次式のブラック式
によってd002 を求めた。 d002=λ/2SINθ [Å] 但し、d002:(002)面間隔 λ:1.5418 Å θ:d002に相当する回析角
【0019】また、表面の0/C比の測定は、次の方法
によった。ESCAあるいは、XPSと略称されている
X線光電子分光法によりO/C比の測定を行い、用いた
装置は島津ESCA750で、解析にはESCA− P
AC760を用い、各試料を6mm径に打ち抜き、導電性
ペーストにより加熱式試料台に貼り付け分析に供した。
測定前に試料を120℃に加熱し、3時間以上真空脱気
した。線源にはMgKα線を用い、装置内真空度は10
-7トルとして測定を行って測定を行った。
【0020】一方、本発明で用いられる液透過性電極の
一部を構成するバイポーラ板側に設置される(即ち、バ
イポーラ板側の層に相当する)低表面積多孔質電極は、
繊維径2〜20μm、好ましくは5〜15μmの炭素繊
維からなり、この繊維から形成された多孔質電極の表面
積は0.01〜2m2/g、好ましくは0.1〜1m2
gである。該電極は酸化還元反応には直接関与しないの
で、むしろ圧力差△Pを低減するために、その表面積は
小さくすることが好ましく、2m2/g超過では圧力差
の低減効果があまり達成されない。
【0021】この炭素電極の製造に使用する原料繊維
は、上記の高表面積多孔質電極の製造に用いる原料繊維
と同じ繊維を使用でき、炭化した後繊維径が2〜20μ
mであり、その繊維より形成された多孔質電極の表面積
が0.01〜2m2/gを有するものであればよい。こ
のような炭素繊維の製造法としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、原料繊維を、不活性ガス中、8
00〜2000℃の範囲で熱処理して得られる。
【0022】このようにして製造された炭素繊維の結晶
構造は、比較的低表面積の炭素構造を有する黒鉛化構
造、又は黒鉛化構造を主体とするものであり、広角X線
解析より求めた(002)面の面間隔が3.35〜3.
45Åであり(なお、完全な黒鉛化構造は3.35Åで
ある)、及び/又は、炭素材表面の結合酸素原子数と炭
素原子数の比(O/C比)が0.04以下、好ましくは
0.01〜0.02のものである。面間隔(d002)が
3.45Å超過の場合、またはO/C比が0.04超過
の場合は、結晶構造の乱れにより表面積が大きくなって
好ましくない。これら炭素繊維より形成される多孔質電
極の形状は、特に限定されないが、フェルト状、スダレ
編み状、メリアス編み状等がある。
【0023】本発明によるレドックス電池用複層電極
は、上記した2種の多孔質電極を単に重ね合わせて、ま
たは予め両者を炭素繊維等によりパンチングし、一体化
して形成することもできる。また、上記低表面積多孔質
電極の一方の表面層を、少量の酸素雰囲気下500〜1
500℃の範囲で再熱処理することにより、その表面側
を選択的に高表面積多孔質電極に転化することにより、
同様な一体化電極を形成こともでできる。本発明の複層
多孔質電極における高表面積多孔質電極(隔膜側の層)
と低表面積多孔質電極(バイポーラ板の層)との厚みの
比率は、0.1〜5:1の範囲、好ましくは0.2〜
3:1の範囲、より好ましくは0.3〜1:1の範囲で
ある。
【0024】本発明の複層多孔質電極は、電極内の液通
過圧損をより小さくする方法として、該電極の流れ方向
に、切削または機械的圧縮などの手段により、その表面
に溝を設けることができる。この溝は複層多孔質電極の
いずれか一方、又は両方に設けることができる。溝の複
層多孔質電極に占める割合は、レドックス電池反応速度
に差し支えない範囲に押さえる必要があり、その割合は
1〜10%、好ましくは3〜7%の範囲である。該割合
が10%を越えるとレドックス電池反応に影響を与えセ
ル抵抗が大きくなり、1%未満では液通過圧損の低下は
殆ど見られない。
【0025】本発明のレドックス電池において使用され
るイオン交換膜は、アニオン膜及びカチオン膜のいずれ
のイオン交換膜も使用可能である。また、本発明のレド
ックス電池において使用される電解液は、鉄−クロム系
では鉄、クロム各々の塩化物の溶液が用いられ、全バナ
ジウム系電池ではバナジウムの硫酸溶液が用いられるの
が普通である。
【0026】
【実施例】次に本発明を実施例をもって具体的に説明す
る。 実施例1 図1に示すようなレドックスフロー電池セルにおいて、
イオン交換膜に旭硝子社製「ニューセレミオン TYPE-
2」(アニオン系イオン交換膜)を、電解液としてバナ
ジウム硫酸溶液(2M V2+〜V5+/2M H2SO4
を、複層多孔質電極(厚さ3mm)として、隔膜側高表面
積多孔質電極としてSGL CARBON社製「Graphite felt KF
D-2」(フェルト状炭素繊維、厚さ2mm、繊維径10μ
m、BET表面積16m2/g、広角X線解析より求め
た(002)面の面間隔d002=3.54Å、ESCA
より求めた表面のO/C原子比=0.091)を、集電
板側低表面積多孔質電極としてSGL CARBON社製「Graphi
te felt GFD-2」(フェルト状炭素繊維、厚さ2.5m
m、繊維径10μm、BET表面積0.47m2/g、広
角X線より求めたd002=3.45Å、ESCAより求
めた表面のO/C原子比=0.038)を設置した電池
セルの構成で、電流密度130mA/cm2で充放電実
験を実施した。液透過性多孔質電極の圧力損失の測定
は、次の方法を採用して電池セルにおける圧力損失の代
用値とした。即ち、図2の測定装置を用いて、純水の流
量60cc/minにおける圧力損失により測定し、マノメータ
ーの水銀柱長さで、その圧力損失の大きさを示した。結
果を表−1に示す。
【0027】実施例2 実施例1に用いた複層多孔質電極の代わりに、隔膜側高
表面積多孔質電極として東洋紡社製「XF-158」(フェル
ト状炭素繊維、厚さ2.0mm、繊維径12μm、表面積
21m2/g、広角X線解析より求めた(002)面の
面間隔d002=3.55Å、ESCAより求めた表面の
O/C原子比=0.088)を、集電板側低表面積多孔
質電極として東レ社製「T-300」(フェルト状炭素繊
維、厚さ2.0mm、繊維径10μm、表面積0.1m2
/g、d002=3.43Å、ESCAより求めた表面の
O/C原子比=0.028)を用いて複層多孔質電極と
した以外は、実施例1と全く同様に充放電実験を実施し
た。結果を表−1に示す。
【0028】実施例3 実施例1に用いた複層多孔質電極の代わりに、隔膜側高
表面積多孔質電極として実施例2で用いた東洋紡社製
「XF-158」を、集電板側多孔質電極として実施例1で用
いたSGL CARBON社製「Graphite felt GFD-2」を用いて
複層多孔質電極とした以外は、実施例1と全く同様に充
放電実験を実施した。結果を表−1に示す。
【0029】実施例4 実施例2の充放電実験の電流密度を160mA/cm2
で実施した。結果を表−1に示す。
【0030】比較例1 実施例1に用いた複層多孔質電極の代わりに、実施例1
に用いた隔膜側高表面積多孔質電極としてSGL CARBON社
製「Graphite felt KFD-2」を2枚重ねて電極として用
いた以外は、実施例1と全く同様に充放電実験を実施し
た。結果を表−1に示す。
【0031】比較例2 実施例1に用いた複層多孔質電極の代わりに、実施例1
に用いた隔膜側高表面積多孔質電極としてSGL CARBON社
製「Graphite felt GFD-2」を2枚重ねて電極として用
いた以外は、実施例1と全く同様に充放電実験を実施し
た。結果を表−1に示す。
【0032】比較例3 実施例1に用いた複層多孔質電極の代わりに、複層多孔
質電極として、隔膜側高表面積多孔質電極として実施例
1に用いたSGL CARBON社製「Graphite felt GFD-2」
を、集電板側低表面積多孔質電極として実施例1に用い
たSGL CARBON社製「Graphite felt KFD-2」を用いて複
層多孔質電極として用いた以外は、実施例1と全く同様
に充放電実験を実施した。結果を表−1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】実施例5 複層電極の集電板側低表面多孔質電極として、図3及び
図4に示した構造の溝(幅及び深さ1.5mm)を有す
るSGL CARBON社製「Graphite felt GFD2」電極(縦10
mm、横100mm、厚さ2.5mm)を用いた以外は、実施
例1を繰り返した。得られた結果は、電流密度130mA
/cm2、電流効率94.3%、電力効率82.8%、電圧
効率87.8%、セル抵抗1.06Ω・cm2、圧力損失
41Hgであった。
【0035】実施例6 電力貯蔵用として実用規模の電池のセル形状(縦45c
m,横80cm)を有するレドックスフロー電池に、12m
mの間隔で横方向に幅1.5mm、深さ1.5mmの溝を有
する集電板側低表面多孔質電極(SGL CARBON社製「Grap
hite felt GFD2」)および隔膜側高表面多孔質電極(SG
L CARBON社製「Graphite felt KFD2」)からなる複層電
極を使用して電解液流量124リットル/時間、電流密
度130mA/cm2で充放電実験を行った。
【0036】電解液が複層多孔質電極を通過する圧力損
失は、セルの上流側と下流側に圧力計を設置しその差よ
り求めた。その結果は、電流効率94.1%、電力効率
82.5%、電圧効率87.6%、セル抵抗1.07Ω
・cm2であり、複層多孔質電極を通過する圧力損失は
0.51kg/cm2であった。
【0037】実施例7 実施例6において、溝のない複層多孔質電極を使用した
他は、実施例6と同様にして充放電実験を行い、電解液
が複層多孔質電極を通過する圧力損失を測定した。その
結果、電流効率94.3%、電力効率82.9%、電圧
効率87.9%、セル抵抗1.10Ω・cm2であり、
複層多孔質電極を通過する圧力損失は1.1kg/cm
2であった。
【0038】比較例4 実施例6において、実施例6の複層多孔質電極に代えて
比較例1で用いた多孔質電極を使用した他は、実施例6
と同様にして充放電実験を行い、電解液が多孔質電極を
通過する圧力損失を測定した。その結果、電流効率9
5.7%、電力効率82.9%、電圧効率87.9%、
セル抵抗1.52Ω・cm2であり、多孔質電極を通過
する圧力損失は1.7kg/cm2であった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、電池セルの厚さを厚く
することなく、液透過性多孔質電極を通過する際の圧力
差ΔPを低減でき、かつ電池セルの厚さを薄くすること
なく、電池セルの内部抵抗を低減できる。そのため、高
電流密度で、かつポンプ動力圧損も小さい、高出力、高
エネルギー効率の新規なレドックス電池を提供すること
ができる。また、多孔質炭素電極に溝を設けることによ
り、液通過圧損をより小さくすることができ、電極への
溝の付設は特に大型のセルにおいて、極めて効果的であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池を構成する単一セルの概略説明図
である。
【図2】実施例で使用した差圧測定装置の概略説明図で
ある。
【図3】溝が付設された多孔炭素電極の一例を示す平面
概略図である。
【図4】図3の断面概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−7913(JP,A) 特開 平9−92321(JP,A) 特開 平5−234612(JP,A) 特開 昭62−52861(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/18 H01M 4/96 H01M 8/02

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隔膜を介して正および負の液透過性電極
    が配設され、該電極をその外側から挟持するバイポーラ
    板により構成される正極室及び負極室からなるセルを、
    該バイポーラ板を介して交互に複数個積層して、電気的
    に直列に接続し、該セル内に設けられたマニホールドを
    通して複数個の正極室及び負極室に正極電解液および負
    極電解液を通液し、酸化還元反応により充放電する電解
    液循環型のレドックス電池において、該液透過性電極が
    少なくとも下記(1)および(2)の特性を有する2層
    の多孔質炭素電極からなることを特徴とするレドックス
    電池。 (1)該液透過性電極の隔膜側の層が繊維径2〜20μ
    mの炭素繊維からなる多孔質電極であり、その表面積が
    3m2/g以上であること (2)該液透過性電極のバイポーラ板側の層が、繊維径
    2〜20μmの炭素繊維からなる多孔質電極であり、そ
    の表面積が2m2/g以下であること
  2. 【請求項2】 前記隔膜側の層が6〜100m2/gの
    表面積を有する請求項1記載のレドックス電池。
  3. 【請求項3】 前記バイポーラ板側の層が0.1〜1m
    2/gの表面積を有する請求項1記載のレドックス電
    池。
  4. 【請求項4】 前記隔膜側の層を形成する炭素繊維が、
    3.50〜3.80オングストロームの範囲のX線広角
    解析より求めた<002>面間隔を有し、及び/又はそ
    の表面に結合した酸素原子数と炭素原子数の比が0.0
    5以上である請求項1記載のレドックス電池。
  5. 【請求項5】 前記バイポーラ板側の層を形成する炭素
    繊維が、3.35〜3.45オングストロームの範囲の
    X線広角解析より求めた<002>面間隔を有し、及び
    /又は、炭材表面の結合酸素原子数と炭素原子数の比が
    0.04以下である請求項1記載のレドックス電池。
  6. 【請求項6】 前記正極電解液が5価/4価バナジウム
    溶液であり、前記負極電解液が2価/3価バナジウム溶
    液である請求項1記載のレドックス電池。
  7. 【請求項7】 前記多孔質炭素電極の少なくとも1層の
    表面に溝が形成されている請求項1記載のレドックス電
    池。
  8. 【請求項8】 2層の多孔質炭素電極からなり、少なく
    とも下記(1)および(2)の特性を有するレドックス
    電池用液透過性電極。 (1)該液透過性電極の隔膜側の層が繊維径2〜20μ
    mの炭素繊維からなる多孔質電極であり、その表面積が
    3m2/g以上であること (2)該液透過性電極のバイポーラ板側の層が、繊維径
    2〜20μmの炭素繊維からなる多孔質電極であり、そ
    の表面積が2m2/g以下であること
  9. 【請求項9】 前記多孔質炭素電極の少なくとも1層の
    表面に溝が形成されている請求項8記載の電極。
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