JP2015138692A - 一体化炭素電極 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶液系電解液によるレドックスフロー電池に使用され、炭素質繊維集合体と炭素質固形物を液不浸透性接着剤で接着されていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
1)目的とする反応以外の副反応を起こさないこと(反応選択性が高いこと)、具体的には電流効率(ηI)が高いこと。
2)電極反応活性が高いこと、具体的にはセル抵抗(R)が小さいこと。すなわち電圧効率(ηV)が高いこと。
3)上記1)、2)に関連する電池エネルギー効率(ηE)が高いこと。
ηE=ηI×ηV
4)くり返し使用に対する劣化が小さいこと(高寿命)、具体的には電池エネルギー効率(ηE)の低下量が小さいこと。
また、特許文献2に記載の炭素電極材集合体では、単繊維同士を結着、炭化することにより炭素質繊維集合体(多孔電極体)中の内部抵抗を低減することはできたが、炭素質繊維集合体と集電体との界面抵抗を低減することはできず、電池の抵抗を十分に改善できていなかった。
本発明の炭素電極は、水溶液系電解液を用いるレドックスフロー電池に使用されるものであり、炭素質繊維集合体と炭素質固形物とを有し、炭素質繊維集合体と炭素質固形物は、液不浸透性接着剤により接着されている。これにより、炭素質繊維集合体と炭素質固形物との界面抵抗を低減することができるとともに、電解液透過性を向上することができる。その結果、レドックスフロー電池のセル抵抗(R)を低減してエネルギー効率を高めることができ、かつ長期間にわたって、多孔電極材と集電体との界面抵抗を低く維持することができる。
本発明の炭素電極に用いられる炭素質繊維集合体は、炭素質繊維がランダムあるいは規則的に集合して、不織布、織物、編物、ペーパーのような炭素質繊維の集まりを形成したものを意味する。中でも、形成が容易である観点からは、不織布、織物であることが好ましい。前記不織布は、焼成(炭化)前の耐炎化(不融化)された短繊維を開繊し、カードにかけ、幾層かに重ねられたレイヤーからなるウェブをまず作製し、さらにニードルパンチ加工機にかけることで、好適に作製することができる。また、前記織物は、焼成(炭化)前の耐炎化(不融化)された短繊維を撚り合わせて紡績糸とし、製織することによって作製することができる。織物の種類は、特に限定されないが、製織容易性の観点から、平織物が好ましい。
炭素質繊維集合体の空隙率(%)
=100−炭素質繊維集合体の目付量(g/m2)/厚み(mm)/1000/比重(g/cm3)×100
ここで、厚みは荷重8.8gf/cm2において測定した値とし、比重はJIS R7601−1986の6.3.2液置換法による測定方法で決定したものとする。
前記圧縮応力は、炭素質繊維集合体が所定のスペーサー厚みになるまで0.1mm/秒程度の速度で荷重を加え、その時の荷重を荷重厚み測定器で測定して得られた値とする。測定面積は4cm2の真円とする。
φ1=1−(1−φ0)/(t1/t0)
有機繊維の質量平均分子量は、特に限定されないが、10000以上、100000以下であることが好ましく、15000以上、80000以下であることがより好ましく、20000以上、50000以下であることがさらに好ましい。
有機繊維は、それぞれ異なる結晶性を有するため、加熱温度は、原料とする有機繊維の種類に応じて選択することができる。
例えば、有機繊維としてアクリル樹脂(好ましくはポリアクリロニトリル)を使用する場合、加熱温度は1500℃以下であることが好ましく、1400℃以下であることがさらに好ましい。
乾式酸化処理工程においては、炭素質繊維の機械的強度を維持する観点から、酸化前後の質量収率を90%以上、96%以下に調整することが好ましい。
前記面間隔d002は、0.3nm以上、0.4nm以下であることが好ましい。より好ましくは0.32nm以上、0.38nm以下であり、さらに好ましくは0.34nm以上、0.355nm以下である。結晶子の面間隔の測定により、試料内部に含まれる結晶構造を特定することができ、<002>面間隔が上記範囲であると、当該炭素質繊維が導電性の高い擬黒鉛結晶構造を含むことを確認することができる。
また、c軸方向の結晶子径は、1nm以上であることが好ましく、より好ましくは1.2nm以上であり、さらに好ましくは1.5nm以上である。c軸方向の結晶子径が大きいほど、結晶性が高いため、炭素質繊維の導電性が良好となる。また、c軸方向の結晶子径は、5nm以下であることが好ましく、より好ましくは4nm以下であり、さらに好ましくは3.5nm以下である。c軸方向の結晶子径が小さいほど、炭素質繊維の可撓性が良好となる。
本発明の炭素電極に用いられる炭素質固形物としては、電解液の浸透性が小さい固体状の炭素を用いることが好ましい。電解液の浸透性は、後述するように電解セルを組み、1500サイクルの電池試験を行った後にも電解液の炭素質固形物に浸透していなければ、充分に小さい電解液の浸透性を有するものとして判別することができる。
本発明の炭素電極は、炭素質繊維集合体と炭素質固形物とが、液不浸透性接着剤により接着されているものである。炭素質繊維集合体と炭素質固形物の固定方法としてはC/Cコンポジットのような炭素質繊維表面全面への炭化物融着が従来知られていたが、この方法では、炭素質繊維表面全面に炭化物が融着してしまうため、電気化学反応場である炭素質繊維表面が著しく減少する。本発明の炭素電極では、液不浸透性接着剤を使用することにより、電気化学反応場である炭素質繊維表面を過度に減少させることなく、炭素質繊維集合体として元々接触していた部分のみを固定化することができる。
黒鉛の粒子径は、5μm〜500μmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜100μmである。黒鉛の粒子径が上記範囲であると、液不浸透性接着剤が、電気化学反応場である繊維表面を覆うことなく、繊維集合体と炭素質固形物との接点のみを効率的に固定することができる。
カーボンブラックの粒子径は、10nm〜500nmであることが好ましい。カーボンブラックの粒子径が上記範囲であると、液不浸透性接着剤が、電気化学反応場である繊維表面を覆うことなく、繊維集合体と炭素質固形物との接点のみを効率的に固定することができる。
また、液不浸透性接着剤において、黒鉛及びカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの含有量は、黒鉛の含有量1質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上である。また、0.5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.4質量部以下である。黒鉛とカーボンブラックの含有量の割合が上記範囲であると、炭素質繊維集合体と炭素質固形物との間の損失を効果的に低減することができる。
また、液不浸透性接着剤中、ゴムの含有量は、炭素粒子の含有量1質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.03質量部以上であり、さらに好ましくは0.05質量部以上である。ゴムの含有量が多いほど、液不浸透層の液不浸透性を向上できる。また、ゴムの含有量は、炭素粒子の含有量1質量部に対して、0.25質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以下であり、さらに好ましくは0.15質量部以下である。ゴムの含有量が適度であると、液不浸透性を維持したまま、液不浸透層の導電性を向上できる。
本発明の炭素電極は、炭素質繊維集合体と、炭素質固形物とを、液不浸透性接着剤を用いて接着し、80℃以上200℃以下の温度で熱処理することにより製造される。本発明の炭素電極は、炭素質繊維集合体と、炭素質固形物とを、液不浸透性接着剤を用いて接着しているため、接着後の炭素化処理が不要であり、熱処理温度を低減できる。その結果、炭素質繊維集合体表面を電気化学反応に適した状態に維持できるとともに、工業的にも有利である。
特に、炭素質繊維集合体の空隙率が低い(例えば90%未満、より好ましくは87%以下)場合、液不浸透性接着剤の付着量は、0.05g/cm2以下でもよく、0.03g/cm2以下でもよい。また、炭素質繊維集合体の空隙率が高い(例えば90%以上)場合、液不浸透性接着剤の付着量は、0.01g/cm2以上であることが好ましく、より好ましくは0.05g/cm2以上であり、さらに好ましくは0.07g/cm2以上である。
本発明の炭素電極は、水溶液系電解液を用いるレドックスフロー電池に使用される。レドックスフロー電池は、前述のように、例えば対向して配設された一対の集電板(炭素質固形物)間に隔膜が配設され、該集電板と隔膜との間に少なくとも一方に多孔電極材(炭素質繊維集合体)が圧縮挟持され、多孔電極材は活物質を含有する水溶液系電解液を含んだ構造を有する電解セルを備える。図1の概略図を例に取ると、レドックスフロー電池において、電解セルECは、外部液路12,13を通じて電解液タンク(正極電解液タンク6、負極電解液タンク7)と接続され、ポンプ8,9によって電解液(水溶液系電解液)が循環される。レドックスフロー電池は、電解セルの外側に筺体を備えていてもよい。レドックスフロー電池(電解セル)に用いられる構成部品(隔膜、筺体、通液路、ポンプ等)としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。
以下、本発明で使用した測定方法について説明する。
炭素質繊維集合体を、メノウ乳鉢で粒径10μm程度になるまで粉砕した。粉砕した炭素質繊維集合体に対して約5質量%のX線標準用高純度シリコン粉末を内部標準物質として混合した。これを試料セルに詰め、CuKα線を線源として、ディフラクトメーター法によって広角X線を測定した。得られた広角X線回折曲線の補正には、いわゆるローレンツ因子、偏光因子、吸収因子、原子散乱因子等に関する補正を行わず、簡便法を用いた。すなわち、広角X線回折曲線の<002>回折に相当するピークに関し、ベースラインからの実質強度をプロットし直して<002>補正強度曲線とした。
さらに、ピーク高さの1/2の高さに引いた角度軸(横軸)に平行な線が補正強度曲線と交わる線分の長さ(半値幅β)から数式2によってc軸方向の結晶子の大きさLcを求めた。
まず炭素質繊維集合体を水洗、乾燥後、約1gを採取し、120℃で12時間真空乾燥して秤量し、1/10MのNaOH水溶液50ml中に浸漬して、25℃で2時間振盪した。次に、この液をガラス濾過器で濾過し、濾液20mlを正確に分取して1/10MのHCl水溶液により逆滴定した。滴定の際は0.1質量/体積%のメチルオレンジ溶液(和研薬社製)を指示薬として用いた。空試験(1/10MのNaOH水溶液の1/10MHCl水溶液による逆滴定)も同様に行った。炭素質繊維についての試験における滴定量から、空試験での滴定量を差し引いて、化学滴定による表面酸性官能基量(単位:meq/g)を求めた。
X線光電子分析装置として、島津ESCA750、解析にはESCAPAC760を用いた。
測定に際して、まず炭素質繊維集合体を硝酸銀のアセトン溶液に浸漬し、酸性官能基のプロトンを完全に銀置換した。アセトン及び水でそれぞれ洗浄して過剰の硝酸銀を除去した後、炭素質繊維集合体を6mm径に打ち抜き、導電性ペーストにより加熱式試料台に貼り付け、分析に供した。測定前に試料を120℃に加熱し、3時間以上真空脱気した。線源にはMgKα線(1253.6eV)を用い、装置内真空度は10-7torrとした。
測定は、C1s、N1s、Ag3dピークに対して行い、各ピークをESCAPAC760(J.H.Scofieldによる補正法に基づく)を用いて補正解析し、各ピーク面積を求めた。得られた面積について、C1sには1.00、Ag3dには10.68の相対強度を乗じることにより、これらの相対強度を乗じた面積比を原子数比として算出した。得られた原子数比に基づき、全表面炭素原子数に対する表面酸性官能基数を(表面銀原子数/表面炭素原子数)比を百分率(%)で算出した。
炭素電極の電極特性は、以下の方法で評価した。
上下方向(通液方向)に10cm、幅方向に1.6cmの電極面積16cm2を有する小型の電解セルを作り、定電流密度で充放電を繰り返し、電極性能のテストを行った。正極電解液にはオキシ硫酸バナジウムの2mol/l硫酸水溶液を用い、負極電解液には硫酸バナジウムの2mol/l硫酸水溶液を用いた。電解液量は電解セル、配管に対して大過剰とした。液流量は毎分10mlとし、30℃で測定を行った。隔膜としては、特願2011−180351号の実施例2に記載のイオン交換膜を用いた。
充電に始まり、放電で終わる1サイクルのテストにおいて、電流密度を電極幾何面積当たり62.5mA/cm2(1000mA)として、1.7Vまでの充電に要した電気量をQ1クーロン、1.0Vまでの定電流放電で取りだした電気量をそれぞれQ2クーロンとし、数式3で電流効率ηIを求めた。
負極電解液中のV3+をV2+に完全に還元するのに必要な理論電気量Qthに対して、1.15Vでの定電圧放電で取り出した電気量をQ3クーロン、放電により取りだした電気量の比を充電率とし、数式4で充電率を求めた。
上記の方法で求めたセル抵抗(R)を用いて数式6の簡便法により電圧効率ηVを求めた。ここで、Iは定電流充放電における電流値0.4Aである。
前述の電流効率ηIと電圧効率ηVを用いて、数式7によりエネルギー効率ηEを求めた。
(a)、(b)、(c)、(d)の測定後、続いて同電解セルを用い、40mA/cm2の定電流密度でセル電圧1.0〜1.7V間で充放電を繰り返し実施した。規定サイクル経過後、再び(a)、(b)、(c)、(d)の測定を行い、ηE及びその初期からの1500サイクル後の変化量ΔηEを求めた。
平均繊維径16μmのポリアクリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化した。その後、該耐炎化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用いてフェルト針SB#40(Foster Needle社)、パンチング密度250本/cm2でフェルト化して目付量600g/m2、厚み5.0mmの不織布を作製した。該不織布を、窒素ガス中で10℃/分の昇温速度で1300℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、さらに空気中700℃で質量収率95%になるまで乾式酸化処理し、炭素質繊維不織布Aを得た。尚、炭素結晶面間隔d002は0.353nm、c軸方向の結晶子の大きさは1.6nm、化学滴定による表面酸性官能基量は0.03meq/g、XPSによる酸性基量の炭素に対する比は1.2%、空隙率は95.5%であった。
なお、集電板には、天然黒鉛100%である、商品名PERMA−FOIL(登録商標)(東洋炭素株式会社)をかさ密度2g/cm3、厚み0.5mmになるように作製し、表面に液不浸透性組成物を0.1g/cm2塗布して完全に被覆し、溶剤を乾燥除去した炭素質固形物を用いた。前記液不浸透性組成物としては、キシレン(溶剤)81質量%に、粒子径10μmの天然黒鉛11質量%、粒子径30nmのカーボンブラック2質量%、ゴム系バインダー(スチレン−ブタジエン−ゴム)6質量%を混合したものを使用した。
該不織布Aを集電板である炭素質固形物と液不浸透性接着剤で接着することなく、スペーサー厚2.5、3.0、3.5mmとして電解セルを作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表1に示す。また、スペーサー厚と2サイクル目のセル抵抗(R)との関係を図3に示す。なお、炭素質繊維集合体の圧縮状態における空隙率は、スペーサー厚2.5mmのときは91%、スペーサー厚3.0mmのときは92.5%、スペーサー厚3.5mmのときは93.6%であった。
前記電解セルにおいて、スペーサーとしてはポリテトラフルオロエチレンシートを使用し、隔膜としては上記電極特性の測定の際に用いたものと同じイオン交換膜を用いた。
商品名PERMA−FOIL(登録商標)(東洋炭素株式会社)をかさ密度2g/cm3、厚み0.5mmになるように作製した炭素質固形物について、表面に液不浸透性組成物を付着量0.002g/cm2塗布して完全に被覆したものとそうでないもののみを用いて(炭素質繊維集合体を用いずに)それぞれ電解セルを組み、1500サイクルの電池試験を行ったところ、表面に液不浸透性組成物を塗布した電解セルは問題なかったが、塗布しなかった炭素質固形物を用いた電解セルでは電解液が炭素質固形物からにじみ出てており、液不浸透性が十分ではなかった。
商品名PERMA−FOIL(登録商標)(東洋炭素株式会社)をかさ密度2g/cm3、厚み0.5mmになるように作製し、表面に液不浸透性組成物を付着量0.002g/cm2塗布して完全に被覆した炭素質固形物と、比較例1で得られた炭素質繊維不織布Aとを付着量0.002g/cm2の液不浸透性接着剤で接着した。前記液不浸透性接着剤としては、キシレン(溶剤)81質量%に、粒子径10μmの天然黒鉛11質量%、粒子径30nmのカーボンブラック2質量%、ゴム系バインダー(スチレン−ブタジエン−ゴム)6質量%を混合したものを使用した。100℃で24時間の乾燥することで液不浸透性接着剤に含まれていた有機溶剤を完全に除去し、一体化炭素電極Bを得た。炭素質繊維不織布Aの空隙率には変化はなかった。該一体化炭素電極Bについて、スペーサー厚2.5、3.0、3.5mmとして電解セル(スペーサー:ポリテトラフルオロエチレンシート、隔壁:比較例1と同一のイオン交換膜)を作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表1に示す。また、スペーサー厚と2サイクル目のセル抵抗(R)との関係を図3に示す。なお、炭素質繊維集合体の圧縮状態における空隙率は、スペーサー厚2.5mmのときは91%、スペーサー厚3.0mmのときは92.5%、スペーサー厚3.5mmのときは93.6%であった。
平均繊維径16μmのポリアクリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維の短繊維(長さ約80mm)を用いてフェルト針SB#40(Foster Needle社)、パンチング密度250本/cm2でフェルト化して目付量400g/m2、厚み4.2mmの不織布を作製した。該不織布を、窒素ガス中で10℃/分の昇温速度で1300℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、さらに空気中700℃で質量収率95%になるまで乾式酸化処理し、炭素質繊維不織布Cを得た。尚、炭素結晶面間隔d002は0.353nm、c軸方向の結晶子の大きさは1.6nm、化学滴定による表面酸性官能基量は0.03meq/g、XPSによる酸性基量の炭素に対する比は1.2%、空隙率は95.6%であった。該不織布Cと集電板である炭素質固形物とを液不浸透性接着剤で接着することなく、スペーサー厚2.0、2.2、2.5mmとして電解セル(スペーサー:ポリテトラフルオロエチレンシート、隔壁:比較例1と同一のイオン交換膜)を作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表2に示す。また、スペーサー厚と2サイクル目のセル抵抗(R)との関係を図4に示す。なお、炭素質繊維集合体の圧縮状態における空隙率は、スペーサー厚2.0mmのときは90.8%、スペーサー厚2.2mmのときは91.6%、スペーサー厚2.5mmのときは92.6%であった。
商品名PERMA−FOIL(登録商標)(東洋炭素株式会社)をかさ密度2g/cm3、厚み0.5mmになるように作製し、表面に液不浸透性組成物を付着量0.002g/cm2塗布して完全に被覆し溶剤を乾燥除去して炭素質固形物を得た。液不浸透性組成物としては、比較例1で使用したものと同一のものを使用した。
この炭素質固形物と、比較例2で得られた炭素質繊維不織布Cとを付着量0.002g/cm2の液不浸透性接着剤で接着した。液不浸透性接着剤は、実施例1で使用したものと同一のものを使用した。さらに、100℃で24時間の乾燥することで液不浸透性接着剤に含まれていた有機溶剤を完全に除去し、一体化炭素電極Dを得た。炭素質繊維不織布Cの空隙率には変化はなかった。該一体化炭素電極Dを、スペーサー厚2.0、2.2、2.5mmとして電解セル(スペーサー:ポリテトラフルオロエチレンシート、隔壁:比較例1と同一のイオン交換膜)を作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表4に示す。また、スペーサー厚と2サイクル目のセル抵抗(R)との関係を図4に示す。なお、炭素質繊維集合体の圧縮状態における空隙率は、スペーサー厚2.0mmのときは90.8%、スペーサー厚2.2mmのときは91.6%、スペーサー厚2.5mmのときは92.6%であった。
平均繊維径16μmのポリアクリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維を撚り合わせて紡績糸とし、目付400g/m2、厚み1.0mmの平織物を作製した。該織物を、窒素ガス中で10℃/分の昇温速度で1300℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、さらに空気中700℃で質量収率95%になるまで乾式酸化処理し、炭素質繊維織物Eを得た。尚、炭素結晶面間隔d002は0.353nm、c軸方向の結晶子の大きさは1.6nm、化学滴定による表面酸性官能基量は0.03meq/g、XPSによる酸性基量の炭素に対する比は1.2%、空隙率は85.3%であった。該織物Eと集電板である炭素質固形物とを液不浸透性接着剤で接着することなく、スペーサー厚1.0mmとして電解セル(スペーサー:ポリテトラフルオロエチレンシート、隔壁:比較例1と同一のイオン交換膜)を作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表3に示す。なお、炭素質繊維集合体の厚みと、スペーサー厚とがともに1.0mmであったため、圧縮状態(電池に組み込まれた状態)における炭素質繊維集合体の空隙率は、85.3%で変化がなかった。
商品名PERMA−FOIL(登録商標)(東洋炭素株式会社)をかさ密度2g/cm3、厚み0.5mmになるように作製し、表面に液不浸透性組成物を付着量0.002g/cm2塗布して完全に被覆し、液不浸透性組成物中の溶剤を乾燥除去して炭素質固形物を得た。液不浸透性組成物としては、比較例1で使用したものと同一のものを使用した。この炭素質固形物と、比較例3で得られた炭素質繊維織物Eとを付着量0.002g/cm2の液不浸透性接着剤で接着し、100℃で24時間の間乾燥することで液不浸透性接着剤に含まれていた有機溶剤を完全に除去し、一体化炭素電極Fを得た。炭素質繊維織物Eの空隙率には変化はなかった。該一体化炭素電極Fを、スペーサー厚1.0mmとして電解セル(スペーサー:ポリテトラフルオロエチレンシート、隔壁:比較例1と同一のイオン交換膜)を作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表3に示す。なお、炭素質繊維集合体の厚みと、スペーサー厚とがともに1.0mmであったため、圧縮状態(電池に組み込まれた状態)における炭素質繊維集合体の空隙率は、85.3%で変化がなかった。
液不浸透性接着剤の塗布量を付着量0.1g/cm2にした以外は実施例1と同様に処理をして、一体化炭素電極Gを得た。炭素質繊維不織布Cの空隙率には変化はなかった。該一体化炭素電極Gを、スペーサー厚3.5mmとして電解セル(スペーサー:ポリテトラフルオロエチレンシート、隔壁:比較例1と同一のイオン交換膜)を作製し、測定した電池性能結果(充放電サイクル2サイクル目のηI、ηV、ηEと1500サイクル目の低下量ΔηE)を表4に示す。なお、炭素質繊維集合体の圧縮状態(スペーサー厚3.5mm)における空隙率は、93.6%であった。
2 スペーサー
3 イオン交換膜
4a,4b 液流路
5 多孔電極材
6 正極電解液タンク
7 負極電解液タンク
8,9 ポンプ
10 液流入口
11 液流出口
12,13 外部液路
Claims (7)
- 水溶液系電解液を用いるレドックスフロー電池に使用される炭素電極であって、
炭素質繊維集合体と炭素質固形物とを有し、
炭素質繊維集合体と炭素質固形物が、液不浸透性接着剤により接着されていることを特徴とする炭素電極。 - 液不浸透性接着剤は、炭素粒子と、バインダーとを含むものである請求項1に記載の炭素電極。
- 前記液不浸透性接着剤の付着量が、0.09g/cm2以下である請求項1または2に記載の炭素電極。
- 炭素質繊維集合体は、70%以上の空隙を有するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素電極。
- 炭素質固形物は、1g/cm3以上のかさ密度を有するものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素電極。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素電極の製造方法であって、
炭素質繊維集合体と、炭素質固形物とを、液不浸透性接着剤を用いて接着し、80℃以上200℃以下の温度で熱処理することを特徴とする炭素電極の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素電極を使用したことを特徴とするレドックスフロー電池。
Priority Applications (1)
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