JP2955938B2 - 電解槽用炭素系電極材 - Google Patents

電解槽用炭素系電極材

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、レドックスフロー型電池等の電解槽に使用
される電極材に関し、さらに詳しくはエネルギー効率に
優れ、長期間使用に伴う性能の変化の少ない炭素系電極
材に関する。
(従来の技術) 電解槽を利用する分野としては、各種電池および電気
メッキ、食塩電解、有機化合物の電解合成などの電解工
業が代表的である。これらの電解槽に用いられる電極材
には、鉛蓄電池などの電池に多くみられるような電極そ
のものが活物質として電気化学的反応を生じるものと、
活物質の電気化学的反応を進行させる反応場として働き
そのもの自身は変化しないものとがある。後者の電極材
は、主に電解工業や新型2次電池に適用されている。こ
の新型2次電池は、将来的なエネルギーの有効利用の面
から、夜間の余剰電力を貯蔵し、これを昼間の需要増大
時に放出して需要の変動を平準化するための電力貯蔵用
電池として開発が行われており、ナトリウム−硫黄電
池、金属−ハロゲン電池、レドックスフロー型電池等が
知られている。また、これらの新型2次電池は、太陽
光、風力、波力等の自然エネルギーを利用した発電のバ
ックアップ電源、あるいは電気自動車用電源としても開
発が進められている。
新型2次電池の構成は、例えばレドックスフロー型電
池の場合、通常、電解液を貯える外部タンクと電解槽か
ら成り、活物質を含む電解液を外部タンクから電解槽に
供給して電解槽に組み込まれた電極上で電気化学的なエ
ネルギー変換、すなわち充放電が行われる。一般に、充
放電の際は、電解液を外部タンクと電解槽との間で循環
させるため、電解槽は第1図に示すように液流通型構造
をとる。該液流通型電解槽を単セルと称し、これを最小
単位として単独もしくは多段積層して用いられる。液流
通型電解槽における電気化学反応は、電極表面で起こる
不均一相反応であるため、一般的には二次元的な電解反
応場を伴うことになる。電解反応場が二次元的である
と、電解槽の単位体積当たりの反応量が小さいという難
点がある。
そこで、単位面積当りの反応量、すなわち電流密度を
増すために電気化学反応場の三次元化が行われるように
なった。
第2図は、三次元電極を有する液流通型電解槽の模式
図である。
該電解槽では、相対する二枚の集電板1、1間にイオ
ン交換膜が配設され、イオン交換膜3の両側にスペーサ
2によって集電板1、1の内面に沿った電解液の流路4
a、4bか形成されている。該流通路4a、4bの少なくとも
一方には炭素繊維集合体等の電極材5が配設されてお
り、このようにして三次元電極が構成されている。
正極電解液に塩化鉄、負極電解液に塩化クロムの各々
塩酸酸性水溶液を用いたレドックスフロー型電池の場
合、放電的には、Cr2+を含む電解液が負極側の液流路4a
に供給され、正極側の流路4bにはFe3+を含む電解液が供
給される。負極側の流路4aでは、三次元電極5内でCr2+
が電子を放出しCr3+に酸化される。放出された電子は外
部回路を通って正極側の三次元電極内でFe3+をFe2+に還
元する。
この酸化還元反応に伴って負極電解液中のCl-が不足
し、正極電解液ではCl-が過剰になるため、イオン交換
膜3を通ってCl-が正極側から負極側に移動し電荷バラ
ンスが保たれる。あるいは、H-がイオン交換膜を通って
負極側から正極側へ移動することによっても電荷バラン
スを保つことができる。現在のところ、イオン交換膜に
陽イオン交換膜を用い、H+の移動により電荷をバランス
させる方式が多い。充電時には放電と逆の反応が進行す
る。
これらの新型2次電池等に用いられる電解槽用電極材
の特性としては、特に以下に示す性能が要求される。
目的とする反応以外の副反応を起こさないこと(反
応選択性が高いこと)、具体的には電流効率(η)が
高いこと。
電極反応活性が高いこと、具体的にはセル抵抗
(R)が小さいこと。すなわち電圧効率(η)が高い
こと。
、に関連するが電池エネルギー効率(η)が
高いこと。
η=η×η くり返し使用に対する劣化が小さいこと(高寿
命)、具体的にはセル抵抗(R)の増加量および電流効
率(η)の低下が小さいこと。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、これら新型2次電池を実用化するためには、
解決しなければならない問題点が内在している。すなわ
ち、エネルギー効率等の性能の向上および高寿命化であ
る。例えば、レドックスフロー型電池において、現在最
も開発の進んでいる正極活物質に塩化鉄水溶液、負極活
物質に塩化クロム水溶液を用いる鉄−クロムレドックス
フロー型2次電池の電極材には、耐薬品性があり、導電
性を有する炭素繊維集合体が用いられている。
該電池において炭素繊維集合体を用いる正極での鉄イ
オンの酸化還元反応は反応速度が比較的速く副反応も生
じ難いのでさほど問題ではない。しかるに、負極では、
鉄イオンに比べ錯交換反応を含むクロム錯イオンの酸化
還元反応速度が遅いためセル抵抗Rが大きくなり(電圧
効率ηが低くなり)、また、充電時に副反応として水
素が発生するため電流効率ηが低下することが問題と
なっていた(第1の問題点)。それと共に充放電サイク
ルのくり返しに伴ってセル抵抗Rが増加し、エネルギー
効率ηの変化(低下率)が大きいことが第2の問題点
となっていた。
これらの問題点をまとめると以下のように表わせる。
第1の問題点:初期のエネルギー効率ηが低い
(低ηV,低η→低η)。
第2の問題点:充放電サイクルのくり返しに伴い、
エネルギー効率ηが初期に比べ大きく低下する(充放
電サイクル経過によりR増加→η低下)。
本発明者はかかる事情に鑑み、電池のエネルギー効率
を高め、かつ充放電サイクル寿命を改善する電解槽用電
極材について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、X線広角解析により求めた<002>面間隔
が3.70Å以下の擬黒鉛結晶構造を有し、全酸性官能基量
が0.01meq/g以上であり、BET表面積が1m2/g以上である
炭素材料からなる電解槽用炭素系電極材であって、前記
炭素材料の表面の結合窒素原子数が炭素原子数に対して
1.0%以上であり、且つ、該表面に結合した窒素原子が
含窒素酸性官能基の形で存在してなることを特徴とする
電解槽用炭素系電極材である。
本発明において擬黒鉛結晶構造を有する炭素とは、X
線広角解析より求めた<002>面間隔が3.70Å以下で2.3
54Å(黒鉛構造)までの範囲、好ましくは3.40〜3.70Å
の炭素材料である。該炭素材料を電極材に用いることに
より、充電時、負極における水素発生等の副反応が抑制
され、電流効率ηを著しく高め得ることができる。
一方、<002>面間隔が3.70Åより大きな炭素材料を
用いた場合は、充電時、負極における水素発生などの副
反応が進行し電流効率ηを高めることができない。ま
た、結晶性の高い完全黒鉛構造よりは擬黒鉛結晶構造の
方が後述する表面酸化処理が容易で、かつより大きなBE
T表面積が得られる。
尚、本発明の炭素材料の原料としては、炭化可能な原
料全てを適用しうるものであり、例えば石炭・石油から
のピッチ、フェノール系、アクリル系、芳香族ポリアミ
ド系、セルロース系原料等を挙げることができる。ま
た、さらに炭素材料の構成組織としては、紡績系、フィ
ラメント集束糸、不織布、編地、織地、特殊編織物(特
許公開昭和63−200467に開示されているような)、ある
いはこれらの混成組織からなる炭素質繊維集合体、多孔
質炭素体、炭素−炭素複合体、粒子状炭素材料等を挙げ
ることができ、特に制限を設けるものではない。尚、該
炭素質材料の目付量は組織にもよるが50g/m2〜1,000g/m
2、好ましくは、100g/m2〜500g/m2が望ましい。
本発明における全酸性官能基量とは、上述した炭素材
料の表面カルボキシル基 および/または水酸基 および/またはヒドロキシアミノ基 および/またはヒドロキシイミノ基 を意味する。
この全酸性官能基量が0.01meq/g以上、好ましくは0.0
1meq/g〜0.5meq/gの炭素質材料を電極材に用いることに
より表面積の利用率を高めることができる。一方、全酸
性官能基量が0.01meq/g未満の場合、表面積の利用率が
低くなり、セル抵抗Rが増大し著しく電圧効率ηが低
下する。
本発明におけるBET表面積とは、後述する方法(B.E.
T.法)で求めた該炭素質材料の重量当りの比表面積であ
る。このBET表面積が1m2/g以上、好ましくは1.5m2/g〜1
00m2/gの炭素質材料を電極材に用いた場合、該炭素質材
料の全酸性官能基量が前述の0.01meq/g以上であれば、
セル抵抗Rが減少し電圧効率ηを著しく高めることが
できる。一方、BET表面積が1m2/g未満の場合、電極表面
積が小さいためセル抵抗Rが増大し、電圧効率ηが低
下する。また、BET表面積が100m2/gより大きくなると炭
素質材料表面が粗れてくるため接触抵抗が増大したり、
細孔内への電解液の淀み等が生じ水素発生などの副反応
が進行しやすくなるので好ましくない。
このような全酸性官能基量およびBET表面積を高めた
炭素質材料は、前述した擬黒鉛結晶構造を有する炭素材
料を乾式酸化処理することにより得られる。例えば1×
10-2torr以上の酸素分圧を有する酸素雰囲気下で重量収
率にして65〜99%の範囲になる様に実施される。処理温
度は通常400℃以上が好ましい。低温(例えば300℃以
下)では処理する炭素材料の反応性が落ちるため酸化の
効果が得られない。酸化処理を湿式で行うと層間化合物
の生成、処理時の有害ガスの発生等問題が多いので避け
るべきである。この乾式酸化処理は、一段階の方式でも
よいし、異なる温度で二段階以上に分れた方式をとって
もよい。また、加熱の代りにプラズマを発生させたり、
プラズマ発生と加熱とを併用して処理を行ってもよい。
上記構成をとることにより電流効率η、電圧効率η
の高い電極材が得られ、電池のエネルギー効率η
大幅に上昇させることができ、前述の第1の問題点を解
決することができる。
本発明における表面の結合窒素原子数とはESCA表面分
析によって検出される炭素質材料表面の結合窒素量を意
味し、結合窒素原子数の炭素原子数に対する割合として
表わす(%、以下N/C比という)。この値が1.0%以上、
好ましくは1.5%〜6.0%の炭素質材料を電極材に用いる
ことにより、充放電サイクルに伴うセル抵抗Rの増加を
抑制し電圧効率ηの低下をおさえることができる。
一方、N/C比が1.0%未満の場合、充放電サイクルの経
過に伴って、徐々にセル抵抗Rが増加し、電圧効率η
が低下していく。そのため、充放電サイクル数が数十〜
100サイクル経過後、電池のエネルギー効率が大幅に低
下してしまう。
このような表面結合窒素量(N/C比)を高めた炭素質
材料は、例えばアクリル系,芳香族ポリアミド系原料の
ように元来窒素を含有する原料を炭化することによって
得られる。この際、炭化処理温度が高すぎると窒素の揮
散が進行し、残留する窒素量が減少してしまう。また、
逆に処理温度が低すぎると結晶性が低くなり、前述の<
002>面間隔が3.70Å以上になってしまうため、原料の
構造にもよるが800℃〜1700℃の範囲内で炭化処理を行
うことが好ましい。このようにして得られた炭素材料に
前述の乾式酸化処理を施すことにより、表面近傍に電極
性能に有効な結合窒素が形成される。
一方、石炭,石油ピッチ系、フェノール系、セルロー
ス系原料のように元来窒素を含有しないか、または窒素
の含有量の少ない原料の場合は、炭化処理後、前述の乾
式酸化処理を行った炭素材料を、例えば、ヒドロキシル
アミン塩酸塩等の含窒素試薬の溶液中に浸せきし、加熱
処理することにより同様に表面へ窒素原子を結合(含窒
素官能基を導入)させることができる。その他、炭素材
料の表面をハロゲン化後、同様にヒドロキシルアミン塩
等の溶液で処理したり、雰囲気中に窒素含有物質(例え
ば、アンモニアガス等)を共存させて炭化処理した後、
乾式酸化処理を行ってもよい。何れにしても炭素材料表
面に結合窒素を形成させる方法については、特に制限を
設けるものではない。
このようにして、前述の擬黒鉛結晶構造および表面構
造を有する炭素質材料の表面に結合窒素を形成させるこ
とにより第1の問題点とあわせて第2の問題点を解決す
ることができる。
次に本発明において採用される<002>面間隔
(d002)、電流効率η・セル抵抗R・電圧効率η
電池エネルギー効率ηおよびこれらの充放電サイクル
の経時変化、全酸性官能基量、BET表面積、N/C比の各測
定法について説明する。
<002>面間隔:d002 電極材料をメノウ乳鉢で、粒径10μm程度になるまで
粉砕し、試料に対して約5重量%のX線標準用高純度シ
リコン粉末を内部標準物質として混合し、試料セルにつ
め、CuKα線を線源として、ディフラクトメーター法に
よって広角X線解析曲線を測定する。
曲線の補正には、いわゆるローレンツ因子,偏光因
子、吸収因子、原子散乱因子等に関する補正を行わず次
の簡便法を用いる。則ち<002>回析に相当するピーク
のベースラインを引き、ベースラインからの実質強度を
プロットし直して、<002>補正強度曲線を得る。この
曲線のピーク高さの2/3の高さに引いた角度軸に平行な
線が補正強度曲線と交わる線分の中点を求め、中点の角
度を内部標準で補正し、これを回折角の2倍とし、CuK
αの波長λとから次式のBraggの式によって<002>面間
隔を求める。
電極特性 2図に示す液流通型電解槽と同じ形状で上下方向(通
液方向)に10cm、幅方向に1cmの電極面積10cm2を有する
小型のセルを作り、定電流密度で充放電をくり返し、電
極性能のテストを行う。正極電解液には塩化第一鉄、塩
化第二鉄を各1M/の濃度で混合した4N塩酸酸性水溶液
を用い、負極電解液には1M/の塩化クロムの4N塩酸酸
性水溶液を用いた。正極電解液量は負極電解液量に対し
大過剰とし、負極特性を中心に検討できるようにした。
尚、用いたスペーサ厚みは1.5mm、液流量は毎分4.8mlと
し、40℃で測定を行った。
(1) 電流効率:η 充電に始まり放電で終わる1サイクルのテストにおい
て、電流密度を電極幾何面積当り40mA/cm2(400mA)と
して、1.2Vまでの充電に要した電気量をQ1クーロン、0.
2Vまでの定電流放電、およびこれに続く0.8Vでの定電圧
放電で取り出した電気量をそれぞれQ2、Q3クーロンと
し、次式で電流効率ηを求める。
充電時にCr3+からCr2+への還元以外の反応、例えばH+
の還元等の副反応(水素ガスの発生)が起こると、取り
出せる電気量が減り、電流効率ηは減少する。
(2) セル抵抗:R 負極液中のCr3+をCr2+に完全に還元するのに必要な理
論電気量Qthに対して、放電により取り出した電気量の
比を充電率とし、 充電率が50%のときの電流・電圧曲線の傾きから電極
幾何面積に対する抵抗R(Ωcm2)を求める。
(3) 電圧効率:η 上記した方法で求めたセル抵抗Rを用いて次式の簡便
法により電圧効率ηを求める。
ここで、Eは充電率50%のときのセルの開回路電圧
(V)、Iは、定電流充放電における電流値(A)であ
る。Eには実測値である0.987Vを用い、I=0.4A、すな
わち電流密度40mA/cm2の時の電圧効率ηで評価した。
Rは前記したセル抵抗(Ωcm2)である。セル抵抗Rが
小さい程、活物質のイオンの酸化還元反応はすみやかに
起こるため高電流密度での放電電圧は高くなり、従って
セルの電圧効率ηが高くなる。
(4) 電池のエネルギー効率:η 前述の電流効率ηと電圧効率ηを用いて、次式に
より電池エネルギー効率ηを求める。
電流効率ηおよび電圧効率ηが高くなる程、電池
エネルギー効率ηは高くなり、従って、充放電におけ
るエネルギーロスが小さく、優れた電極であると判断さ
れる。
(5) 充放電サイクルの経時変化 (1)、(2)の測定後、続いて同セルを用い、40mA
/cm2の定電流密度でセル電圧0.2V〜1.2V間で充放電をく
り返し実施する。規定サイクル経過後、(1)、(2)
の測定を行い、(1)、(2)、(3)、(4)に示し
た算出法によりη、R、η、ηを求める。
全酸性官能基量 電極材を水洗、乾燥後、約1gを採取し、120℃で12時
間真空乾燥して秤量し、1/100NのNaOH水溶液60ml中に浸
漬し、25℃で6時間振とうした。この液をガラス濾過器
で濾過し、濾液25mlを正確に分取して、1/100NのHCl標
準溶液により逆滴定した。滴定の際はフェノールフタレ
インを指示薬として用いた。空試験も同様に行い、次式
により電極材重量当りの全酸性官能基量を求めた。
ここでDは、1/100NのHCl標準溶液の滴定量から空試
験での滴定量を差しひいた量(ml)、KはHCl標準溶液
の規定度、Wは電極材重量(g)である。
BET表面積 電極材を約0.1g採取し、120℃で12時間真空乾燥して
秤量し、液体窒素の沸点(−195.8℃)における窒素ガ
スの吸着量を相対圧を0.0〜0.2の範囲で徐々に高めなが
ら数点測定し、B.E.T.プロットにより電極材重量当りの
比表面積(m2/g)を求めた。
N/C比 ESCAあるいは、XPSと略称されているX線光電子分光
法により炭素質材料表面のN/C比を測定する。測定装置
は島津ESCA750、解析にはESCA PAC760を用いた。電極
材を6mm径に切り出し、導電性ペーストにより加熱試料
台に貼り付けて、試料を120℃で加熱しながら、3時間
以上真空脱気した後測定を行った。線源にはMgKα線(1
253.6eV)を用い、装置内真空度は10-7torrの条件で試
料表面の分析を行った。尚、ここで言う表面とは試料の
最外層から数十Åまでの深さの領域を意味する。
測定は、C1s、N1sピークに対して行いESCA PAC760を
用いて、各ピーク面積を求める。
得られた面積を、J.H.Scofieidによる補正法に基づき
C1sについては1.00、N1sに対しては1.77の相対強度で除
して、その値から直接表面(窒素/炭素)原子数比を%
で算出した。
(作用) 新型2次電池等の電解槽用電極材の特性は、主に上記
のように電流効率η、電圧効率η(セル抵抗R)お
よび電池エネルギー効率ηとこれらの効率の充放電サ
イクル安定性(寿命)で表わされる。
電流効率ηは、主に充電時における水素発生等の副
反応によって充電電気量の一部が消費されるために低下
する。通常の炭素材料は、原料系によってその度合は異
なるが、処理温度の上昇と共に結晶化が進行し、d002
値が減少し、黒鉛結晶の値に近づいていく。この結晶化
の状態、すなわち炭素材料の結晶構造が異なれば、対応
する電子エネルギー構造も異なる。一般に金属元素を電
極に用いた場合、各元素で電気化学的反応選択性が異な
ることが認められるように、炭素においてもその結晶構
造が電気化学的反応選択性、すなわち電流効率ηに大
きく影響すると考えられる。本発明によって、d002が3.
70Å以下の擬黒鉛結晶構造を有すれば、電流効率η
著しく高めることができる。おそらく、上記構造の炭素
材料の電子エネルギー構造に基づく反応選択性が使用す
る系の最適な状態にあるものと推測される。また、加熱
処理による結晶化の進行に伴い炭素内部構造が均一化
(平均化)し、構造欠陥等も減少あるいは消失していく
ため、電極材に用いた時の電極電位が均一化(電極電位
分布が狭くなる)することも電流効率ηの上昇に寄与
していると推測される。尚、公知の通り金属不純物、特
に鉄、クロム、ニッケルなどの遷移金属は、副反応促進
の触媒となるため、これらの不純物量を極力おさえた炭
素材料を用いることが重要である。
炭素材料の結晶構造を上記した本発明における範囲内
に制御することにより電流効率ηを高めることができ
る。また、同じ結晶構造の炭素材料であれば、その単位
表面積当りの電極(反応)活性が同等であると考えた場
合、電極材の重量が同じであれば、電極活性はその表面
積に比例すると考えられる。
ところが、炭素が元来疎水性であるため水溶液系電解
液等の極性の強い電解液を用いた時、炭素材料表面のこ
れら電解液に対する濡れ性が不十分となり表面積の利用
率が低くなる。そこで、本発明により炭素材料表面に電
解液の濡れ性に寄与する全酸性官能基を0.01meq/g以上
にすることにより、電解液との濡れ性が向上し、表面積
の利用率が大幅に上昇する。このように全酸性官能基を
増加させた炭素質材料であれば、電極活性は該炭素質材
料の表面積に比例すると考えられる(例えば白金と白金
黒との関係)。本発明における電解槽用炭素系電極材
は、前記の全酸性官能基量で電解液の濡れ性を確保し、
表面積を増加させた炭素質材料であるため、電極有効表
面積が著しく増加し、セル抵抗Rが減少し、従って電圧
効率ηを大幅に上昇させることができる。尚、表面積
を増加させるに従い、炭素質材料の表面エッチングが進
行するため接触抵抗が増大したり、細孔の増加に伴う電
解液の淀み等が生じて、この部分への活物質イオンの供
給がスムーズに行われず過電圧が上昇して水素発生等の
副反応が生じやすくなるので、表面積は100m2/g以下が
好ましい。
以上示した擬黒鉛結晶構造および表面構造を有する炭
素質材料を電極材に用いることにより電流効率η、電
圧効率ηが上昇し、従って電池エネルギー効率η
大幅に高めることができる。一方、該炭素質材料を用い
て充放電サイクルをくり返していくと電流効率ηは初
期に比べて大きく変化しないが、セル抵抗Rが徐々に増
加し、数十〜100サイクル経過後では電池エネルギー効
率ηが大きく低下する。この場合の電極材の表面酸性
官能基は、ESCA分析によりカルボキシル基 および/または水酸基 であり、これらの含酸素酸性官能基が電極材表面の濡れ
性を発現させていると考えられる。充放電サイクルのく
り返しに伴うセル抵抗Rの増加は、これらの含酸素酸性
官能基が充電により負極上で一部還元等の反応により変
質し、濡れ性に寄与しなくなると推測される。従って、
電極有効表面積が減少しセル抵抗Rが増加したものと思
われる。
本発明による電極材は、上記含酸素酸性官能基に加え
て炭素質材料の表面に結合窒素を形成させたものであ
り、該炭素質材料を電極に用いることにより、充放電サ
イクル経過後のセル抵抗Rの増加を著しく抑制し、電池
エネルギー効率ηの低下を極めて小さくすることがで
きる。
今のところ、この結合窒素の効果については不明であ
るが、例えば、炭素質材料表面でヒドロキシアミノ基 やヒドロキシイミノ基 の形で存在し、これらの含窒素酸性基が前述の含酸素酸
性基と同様に電極材表面の濡れ性に寄与していると考え
られる。さらに、これらの含酸素酸性官能基が含酸素酸
性官能基に比べ還元されにくい(変質しにくい;変質電
位がより卑な電位にある)状態にあると考えられ、充放
電サイクル経過後も安定して電極材表面の濡れ性に寄与
し、セル抵抗の増加を抑制していると推測される。
(実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例1 平均繊維径16μmのポリアクリロニトリル繊維を空気
中250℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維の短繊維を用い
てフェルト化して目付量400g/m2の布帛を作製した。該
布帛を不活性ガス中で10℃/分の昇温速度で1250℃まで
昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行って冷却し、
続いて空気中650℃で重量収率91%になるまで酸化処理
して布帛Aを得た。布帛Aの目付量は203g/m2、平均繊
維径は10μmであり、また、d002は3.55Å、全酸性官能
基量は0.035meq/g、BET表面積は8.62m2/g、N/C比は2.8
%であった。
この布帛Aを用いて電極性能を測定した結果、充放電
サイクル2サイクル目で、電流効率η=98.6%、セル
抵抗R=1.04Ωcm2、電圧効率η=91.9%、電池エネ
ルギー効率η=90.6%であり、また同100サイクル目
では、η=98.8%、R=1.12Ωcm2、η=91.3%、
η=90.2%であった。
実施例2 平均繊維径23μmの芳香族ポリアミド短繊維をフェル
ト化し目付量283g/m2の布帛を作製した。この布帛を不
活性ガス中で10℃/分の昇温速度で1500℃まで昇温し、
この温度で1時間保持して炭化を行って冷却し、続いて
空気中700℃で重量収率90%になるまで酸化処理して布
帛Bを得た。布帛Bの目付量は210g/m2、平均繊維径は1
8μm、d002は3.60Å、全酸性官能基量は、0.030meq/
g、BET表面積は6.51m2/g、N/C比は2.2%であった。この
布帛Bを用いて電極性能を測定した結果、充放電サイク
ル2サイクル目で、電流効率η=98.0%、セル抵抗R
=1.30Ωcm2、電圧効率η=90.0%、電池エネルギー
効率η=88.2%であった。また、同100サイクル目で
はη=98.0%、R=1.46Ωcm2、η=88.8%、η
=87.0%であった。
実施例3 平均繊維径14μmのフェノールノボラック短繊維をフ
ェルト化して作製した目付量260g/m2の布帛を不活性ガ
ス中、10℃/分の昇温速度で1800℃まで昇温し、この温
度で1時間保持して炭化を行って冷却し、続いて空気中
700℃で重量収率93%になるまで酸化処理して炭素繊維
よりなる布帛を得た。該炭素質繊維布帛をヒドロキシル
アミン2塩酸塩(NH2OH・2HCl)の10wt%水溶液中、95
℃で5時間処理した後、水洗・乾燥して布帛Cを得た。
布帛Cの目付量は195g/m2、平均繊維径は10.3μmであ
り、d002は3.65Å、全酸性官能基量は、0.040meq/g、BE
T表面積は30.00m2/g、N/C比は1.7%であった。この布帛
Cを用いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2
サイクル目で電流効率η=98.1%、セル抵抗R=1.35
Ωcm2、電圧効率η=89.6%、電池エネルギー効率η
=87.9%であった。また、同100サイクル目ではη
=98.0%、R=1.57Ωcm2、η=88.0%、η=86.2
%であった。
実施例4 充分に脱硫・漂白・水洗・乾燥を行った平均繊維径25
μmの再生セルロース短繊維をフェルト化して作製した
目付量313g/m2の布帛を不活性ガス中、1℃/分の昇温
速度で270℃まで昇温し(耐炎化処理)次いで10℃/分
の昇温速度で2000℃まで昇温し、この温度で1時間保持
して炭化を行って冷却し、続いて空気中700℃で重量収
率93%になるまで酸化処理して炭素質繊維の布帛を得
た。該炭素質繊維布帛をヒドロキシルアミン2塩酸塩
(NH2OH・2HCl)の10wt%水溶液中、95℃で5時間処理
した後、水洗、乾燥して布帛Dを得た。布帛Dの目付量
は198g/m2、平均繊維径は21.0μmであり、d002は3.61
Å、全酸性官能基量は、0.046meq/g、BET表面積は65.00
m2/g、N/C比は1.8%であった。この布帛Dを用いて電極
性能を測定した結果、充放電サイクル2サイクル目で電
流効率η=97.5%、セル抵抗R=1.33Ωcm2、電圧効
率η=89.8%、電池エネルギー効率η=87.6%であ
った。また、同100サイクル目では、η=97.7%、R
=1.55Ωcm2、η=88.2%、η=86.2%であった。
実施例5 平均繊維径15μmの等方性ピッチ繊維を空気中、1.5
℃/分の昇温速度で350℃まで昇温し、この温度で1.5時
間保持して不融化した後、該不融化繊維の短繊維をフェ
ルト化して作製した目付量240g/m2の布帛を不活性ガス
中10℃/分の昇温速度で1500℃まで昇温し、この温度で
1時間保持し炭化を行って冷却し、続いて空気中650℃
で重量収率93%になるまで酸化処理して炭素質繊維の布
帛を得た。該炭素質繊維布帛をヒドロキシルアミン2塩
酸塩(NH2OH・2HCl)の10wt%水溶液中、95℃で5時間
処理した後、水洗、乾燥して布帛Eを得た。布帛Eの目
付量は、250g/m2、平均繊維径13μm、d002は3.67Å、
全酸性官能基量は0.083meq/g、BET表面積は76.5m2/g、N
/C比は、1.6%であった。
この布帛Eを用いて電極性能を測定した結果、充放電
サイクル2サイクル目で、電流効率η=97.7%、セル
抵抗R=1.32Ωcm2、電圧効率η=89.8%、電池エネ
ルギー効率η=87.1%であった。また、同100サイク
ル目では、η=97.7%、R=1.66Ωcm2、η=87.4
%、η=85.4%であった。
実施例6 平均繊維径13μmの異方性ピッチ繊維(メソフェーズ
ピッチ繊維)を空気中1.5℃/分の昇温速度で350℃まで
昇温し、この温度で1.5時間保持して不融化した後、該
不融化繊維の短繊維をフェルト化して作製した目付量25
5g/m2の布帛を不活性ガス中10℃/分の昇温速度で1300
℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行って冷
却し、続いて空気中650℃で重量収率97%になるまで酸
化処理を行い炭素質繊維の布帛を得た。該炭素質繊維布
帛をヒドロキシルアミン2塩酸塩(NH2OH・2HCl)の10w
t%水溶液中、95℃で5時間処理した後、水洗、乾燥し
て布帛Fを得た。布帛Fの目付量は232g/m2、平均繊維
径10μm、d002は3.50Å、全酸性官能基量は0.012meq/
g、BET表面積は3.96m2/g、N/C比は1.5%であった。
この布帛Fを用いて電極性能を測定した結果、充放電
サイクル2サイクル目で電流効率η=98.5%、セル抵
抗R=2.08Ωcm2、電圧効率η=84.5%、電池エネル
ギー効率η=83.2%であった。また同100サイクル目
では、η=98.3%、R=2.33Ωcm2、η=82.7%、
η=81.3%であった。
比較例1 実施例3で用いたヒドロキシルアミン2塩酸塩処理を
行う前の炭素質繊維布帛を布帛Gとして、この布帛Gを
用いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2サイ
クル目で電流効率η=98.2%、セル抵抗R=1.38Ωcm
2、電圧効率η=89.4%、電池エネルギー効率η=8
7.8%であった。また、同100サイクル目では、η=9
8.4%、R=2.28Ωcm2、η=83.1%、η=81.8%で
あった。尚布帛Gの目付量は193g/m2、平均繊維径10.3
μm、d002は3.65Å、全酸性官能基量は、0.032meq/g、
BET表面積は30.00m2/g、N/C比は0.3%であった。
比較例2 実施例4で用いたヒドロキシルアミン2塩酸塩処理を
行う前の炭素質繊維布帛を布帛Hとして、この布帛Hを
用いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2サイ
クル目でη=97.5%、セル抵抗R=1.35Ωcm2、電圧
効率η=89.6%、電池エネルギー効率η=87.4%で
あった。また、同100サイクル目では、η=97.5%、
R=2.20Ωcm2、η=83.6%、η=81.5%であっ
た。尚、布帛Hの目付量は197g/m2、平均繊維径は21.0
μm、d002は3.61Å、全酸性官能基量は、0.037meq/g、
BET表面積は65.00m2/g、N/C比は0.4%であった。
比較例3 実施例5で用いたヒドロキシルアミン2塩酸塩処理を
行う前の炭素質繊維布帛を布帛Iとして、この布帛Iを
用いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2サイ
クル目で、電流効率η=97.7%、セル抵抗R=1.35Ω
cm2、電圧効率η=89.6%、電池エネルギー効率η
=87.5%であった。また、同100サイクル目では、η
=97.5%、R=2.40Ωcm2、η=82.3%、η=80.2
%であった。尚、布帛Iの目付量は245g/m2、平均繊維
径13μm、d002は3.67Å、全酸性官能基量は、0.070meq
/g、BET表面積は76.50m2/g、N/C比は0.4%であった。
比較例4 実施例6で用いたヒドロキシルアミン2塩酸塩処理を
行う前の炭素質繊維布帛を布帛Jとして、この布帛Jを
用いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2サイ
クル目で電流効率η=98.4%、セル抵抗R=2.10Ωcm
2、電圧効率η=84.3%、電池エネルギー効率η=8
3.0%であった。また、同100サイクル目では、η=9
8.3%、R=2.8Ωcm2、η=79.6%、η=78.2%で
あった。尚、布帛Jの目付量は225g/m2、平均繊維径10
μm、d002は3.50Å、全酸性官能基量は、0.010meq/g、
BET表面積は3.96m2/g、N/C比は0.3%であった。
以下に示す比較例5〜比較例12は、本発明の効果をよ
り明確にするために従来例について説明する。
比較例5 実施例1で用いた酸化処理を行う前の炭化繊維布帛を
布帛Kとし、この布帛Kを用いて電極性能を測定した結
果、充放電サイクル2サイクル目で電流効率η=98.5
%、セル抵抗R=5.17Ωcm2、η=65.4%、η=64.
4%であった。尚、布帛Kの目付量は215g/m2、平均繊維
径11μmであり、d002は3.55Å、全酸性官能基量は、0.
001meq/g、BET表面積は0.20m2/g、N/C比は1.4%であっ
た。
比較例6 実施例2で用いた酸化処理を行う前の炭化繊維布帛を
布帛Lとし、この布帛Lを用いて電極性能を測定した結
果、充放電サイクル2サイクル目でη=97.7%、セル
抵抗R=8.07Ωcm2、電圧効率η=51.0%、電池エネ
ルギー効率η=49.8%であった。尚、布帛Lの目付量
は230g/m2、平均繊維径は19.5μmであり、d002は3.60
Å、全酸性官能基量は0.002meq/g、BET表面積は0.14m2/
g、N/C比は1.5%であった。
比較例7 実施例3で用いた酸化処理を行う前の炭化繊維布帛を
布帛Mとし、この布帛Mを用いて電極性能を測定した結
果、充放電サイクル2サイクル目で電流効率η=98.0
%、セル抵抗R=10.0Ωcm2、電圧効率η=42.3%、
電池エネルギー効率η=41.5%であった。尚、布帛M
の目付量は、204g/m2、平均繊維径10.9μmであり、d
002は3.65Å、全酸性官能基量は0.002meq/g、BET表面積
は0.53m2/g、N/C比は0.2%であった。
比較例8 実施例4で用いた酸化処理を行う前の炭化繊維布帛を
布帛Nとし、この布帛Nを用いて電極性能を測定した結
果、充放電サイクル2サイクル目で電流効率η=97.3
%、セル抵抗R=8.9Ωcm2、電圧効率η=47.0%、電
池エネルギー効率η=45.7%であった。尚、布帛Nの
目付量は205g/m2、平均繊維径は22.0μmであり、d002
は3.61Å、全酸性官能基量は、0.003meq/g、BET表面積
は0.61m2/g、N/C比は0.3%であった。
比較例9 実施例5で用いた酸化処理を行う前の炭化繊維布帛を
布帛Oとし、この布帛Oを用いて電極性能を測定した結
果、充放電サイクル2サイクル目で、電流効率η=9
7.6%、セル抵抗8.5Ωcm2、電圧効率η=48.8%、電
池エネルギー効率η=47.6%であった。尚、布帛Oの
目付量は267g/m2、平均繊維径13.7μm、d002は3.67
Å、全酸性官能基量は0.005meq/g、BET表面積は0.63m2/
g、N/C比は0.3%であった。
比較例10 実施例6で用いた酸化処理を行う前の炭化繊維布帛を
布帛Pとし、この布帛Pを用いて電極性能を測定した結
果、充放電サイクル2サイクル目で電流効率η=98.3
%、セル抵抗R=7.4Ωcm2、電圧効率η=53.8%、電
池エネルギー効率η=52.9%であった。尚、布帛Pの
目付量は248g/m2、平均繊維径10.6μm、d002は3.50
Å、全酸性官能基量は、0.002meq/g、BET表面積は0.16m
2/g、N/C比は0.4%であった。
比較例11 実施例3で用いたフェノールノボラック繊維よりなる
フェルト状布帛を、不活性ガス中、10℃/分の昇温速度
で1300℃まで昇温し、この温度で1時間保持して炭化を
行って冷却して炭化繊維布帛Qを得た。この布帛Qを用
いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2サイク
ル目で電流効率η=68.0%、セル抵抗R=9.2Ωcm2
電圧効率η=45.7%、電池エネルギー効率η=31.1
%であった。尚、布帛Qの目付量は224g/m2、平均繊維
径は11.8μm、d002=3.74Å、全酸性官能基量は、0.00
6meq/g、BET表面積は0.83m2/g、N/C比は0.4%であっ
た。
比較例12 実施例5で用いた等方性ピッチ繊維の不融化繊維より
なるフェルト状布帛を不活性ガス中10℃/分の昇温速度
で1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持して炭化を
行って冷却して炭化繊維布帛Rを得た。この布帛Rを用
いて電極性能を測定した結果、充放電サイクル2サイク
ル目で電流効率η=62.0%、セル抵抗R=8.7Ωcm2
電圧効率η=47.9%、電池エネルギー効率η=29.7
%であった。尚、布帛Rの目付量は、258g/m2、平均繊
維径13.5μm、d002は3.81Å、全酸性官能基量は、0.00
6meq/g、BET表面積は0.59m2/g、N/C比は0.4%であっ
た。
上記した比較例5〜比較例12は、測定電極材の抵抗R
が大きいため、電流密度10mA/cm2で測定を行い電流効率
ηを求めた。また、セル抵抗Rについても電流密度10
mA/cm2以下の測定から求めた。尚、電圧効率η、前記
の測定法で示した電流密度40mA/cm2のときの計算式に上
記方法により求めた抵抗Rを代入して算出した。
以上の実施例、比較例の結果を表1にまとめる。尚、
本実施例においては、電極材の構成組織としてフェルト
(不織布)の場合について説明したが、他の組織、例え
ば編地、織地、特殊編織物、フィラメント集束糸等にお
いても本実施例と同様な効果が認められる。
(発明の効果) 本発明の電極材を用いることにより、各種電解槽を利
用する分野において、有害な副反応を抑圧して電流効率
を高め、またセル抵抗を低くおさえて電圧効率を高める
ことができ、従って電池エネルギー効率を高めることが
できる。さらに充放電サイクルの経時変化を極めて低減
することができ、工業的に多大な実用性をもたらすこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はレドックスフロー型電池等の流通型電解槽を用
いた電池の概略図、第2図は本発明の一実施例を示す三
次元電極を有する液流通型電解槽の分解斜視模式図であ
る。 1……集電板、2……スペーサ、3……イオン交換膜、
4a,b……通液路、5……電極材、11……液流入口、12…
…液流出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−253164(JP,A) 特開 昭63−2261(JP,A) 特開 昭64−67873(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 4/86 - 4/98

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線広角解析により求めた<002>面間隔
    が3.70Å以下の擬黒鉛結晶構造を有し、全酸性官能基量
    が0.01meq/g以上であり、BET表面積が1m2/g以上である
    炭素材料からなる電解槽用炭素系電極材であって、前記
    炭素材料の表面の結合窒素原子数が炭素原子数に対して
    1.0%以上であり、且つ、該表面に結合した窒素原子が
    含窒素酸性官能基の形で存在してなることを特徴とする
    電解槽用炭素系電極材。
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