JP2015007291A - 電解装置、冷蔵庫、電解装置の運転方法及び冷蔵庫の運転方法 - Google Patents

電解装置、冷蔵庫、電解装置の運転方法及び冷蔵庫の運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水素化反応が抑制され、効率が高い電解装置および冷蔵庫を提供することを目的とする。【解決手段】 実施形態にかかる電解装置は、陽極と、窒素が導入されたカーボンアロイ触媒を有する陰極と、陽極と前記陰極間に配置された電解質とで構成される膜電極接合体を有する電解セルを少なくとも備え、陽極と陰極に電圧あ印加される電解装置であって、電解質は酸性、中性又はアルカリ性のいずれかであり、電解質が酸性の場合は、電解装置によって陰極で水が生成し、電解質が中性又はアルカリ性の場合は、電解装置によって陽極で水酸化物イオンが生成することを特徴とする。【選択図】 図3

Description

電解装置および電解装置、冷蔵庫、電解装置の運転方法及び冷蔵庫の運転方法に関する。
従来、除湿装置、酸素濃縮装置、脱酸素装置、食塩電解装置、ガスセンサーや湿度センサーなどに電気分解による酸素還元反応を利用した装置の開発が進められている。この電気分解を行う電解セルの陽極には白金、鉛、酸化物、イリジウム複合酸化物やルテニウム複合酸化物の触媒が用いられ、陰極には白金系触媒が用いられている。
しかし、酸素還元反応において、陰極の印加電圧が理論水素発生電位を超えると、陰極側で水素が発生してしまう。例えば、脱酸素装置を冷蔵庫に用いた場合、水素化反応が進み電力効率が悪くなる。これはPtが非常に高い触媒能を有するために、水素化反応も起きやすく、酸素還元反応と並行するためである。また、電気分解の電圧を低くすると、大きな電流を取り出すことができないため、脱酸素効率が良くないといった問題がある。
特開平1−148327号公報
水素化反応が抑制され、効率が高い電解装置および冷蔵庫を提供することを目的とする。
実施形態にかかる電解装置は、陽極と、窒素が導入されたカーボンアロイ触媒を有する陰極と、陽極と陰極間に配置された電解質とで構成される膜電極接合体を有する電解セルを少なくとも備え、陽極と陰極に電圧が印加される電解装置であって、電解質は酸性、中性又はアルカリ性のいずれかであり、電解質が酸性の場合は、水素の発生電位は−0.2〜−0.7V vs. RHEとし、電解質が中性又はアルカリ性の場合は、水素の発生電位は−0.2〜−0.9V vs. RHEとすることを特徴とする。
実施形態の窒素置換された炭素の例を示す構造式である。 実施形態の陰極の概念図である。 実施形態の電解装置の概念図である。 実施形態のガス拡散電極を備えたソーダ電解装置の概念図である。 実施形態の電解装置を備えた装置の概念図である。 実施形態の電解装置を備えた装置の概念図である。 実施形態の脱酸素装置の概念図である。 実施形態の冷蔵庫の概念図である。 実施形態の3極式回転リングディスク電極セルの概念図である。 実施例1のXPS測定結果を示すグラフである。 実施例1のXPS測定結果を示すグラフである。
実施形態にかかる電解装置は、陽極と、窒素が導入されたカーボンアロイ触媒を有する陰極と、前記陽極と前記陰極間に配置された電解質とで構成される膜電極接合体とを有する電解セルを少なくとも備え、前記陽極と前記陰極に電圧が印加される。
上記電解装置セルは陽極と陰極に電圧が印加される電源を、陽極側で水の電気分解を行い、発生したプロトンを用いて、陰極側で酸素還元反応を行う。一般に電解用の酸素還元触媒にはPtが用いられているが、実施形態の電解セルの陰極には酸素還元開始電位の高いPtは含まれない。陰極にPtが含まれると、酸素還元開始電位が高いため、酸素還元反応は起こりやすい。具体的には、標準水素電極電位(NHE)基準で酸素還元標準電極電位の1.23V vs. NHEに対して、0.95〜1.0V vs.NHE程になる。しかし、優秀な水素発生触媒でもあるPtが含まれる陰極は水素発生電位も高いため、酸素還元開始電位と水素発生電位との差が小さいので陰極での水素化反応も生じやすい。具体的には、酸性中での水素発生標準電位は0V vs.NHEであり、陰極が0V vs. NHE以下になると直ちに水素を発生する。燃料電池用ではない実施形態の電解セルの用途を考慮すると、高い水素発生能力は利点にならない。
除湿装置や脱酸素装置等の場合は外部から電圧を印加するため、ある程度の消費電力の増加であれば、電解条件下で、Pt並の酸素還元性能よりも水素が発生しにくい触媒の方が利点を有する。特に、陽極及び陰極の各極の電位をモニターしない場合、各極の過電圧比率は陽極と陰極での触媒性能や物質の拡散速度で決まってくるため容易に知ることができず、印加される電圧(印加電圧)だけで水素が発生しているのかの判断ができない。その場合は、水素が発生しにくい触媒の方が、限界印加電圧を大きく設定することができるため、酸素還元反応が効率的に進行する。
窒素無置換の炭素(例えば、KetjenBlack(登録商標)やVulcan(登録商標)XC72R)の酸素還元開始電位は、可逆水素電極電位(RHE)基準で0.7〜0.6Vvs.RHE程度であるため、酸素還元能が高くない。そして、水素発生電位は約−0.1〜−0.2Vvs.RHEであり、水素発生能も低くない。従って、運転電位窓([酸素還元開始電位]−[水素発生電位])は約0.8〜0.9Vであり、酸素還元能も水素発生能も実施形態の陰極用触媒として好適ではない。
実施形態の電解セルの陰極に用いる触媒は、比較的早い反応速度で酸素還元反応を行い、高い水素発生抑制効果を有するものを用いる。
実施形態にかかるカーボンアロイ触媒は、炭素原子の集合体を主体とした化合物であり、炭素原子の一部が窒素原子で置換されたものである。触媒全体としては導電性や高比表面積を有するためにアモルファスやsp3炭素が含まれるが、窒素はsp2炭素の骨格中に図1の構造式の様に、ピリジン型(A)、ピロール・ピリドン型(B)、Nオキサイド型(C)、3配位型(D)のうち少なくともいずれかの形態で炭素原子が窒素原子で置換されたものが含まれる。図1の(A)〜(D)は、窒素置換の形態の例を示すものであり、図1の構造式のものが実施形態のカーボンアロイ触媒そのものを示しているのではない。
実施形態のカーボンアロイ触媒の窒素置換量は、カーボンアロイ触媒の表面元素量に対して0.1atom%以上30atom%以下である。この下限値より窒素置換量が少ないと、窒素置換による効果が十分でなく好ましくない。また、この上限値より窒素置換量が多いと、構造が乱れ導電性が低下することが好ましくない。なお、窒素置換量は0.1atm%以上10atom%以下が導電性の観点からさらに好ましい。カーボンアロイ触媒を陰極の触媒に用いると、窒素の置換量に依存して水素発生電位が下がり、運転電位窓が1Vを超えるため好ましい。具体的には、カーボンアロイ触媒として、酸素還元開始電位0.84V vs. RHE、水素酸化電圧−0.46V、電位窓として約1.3Vを観測しており、Ptよりも電位窓が広い。
なお本文中でのカーボンアロイ触媒の定義としては、炭素同士がsp2混成軌道を形成した炭素の一部が窒素に置換されたものを表している。
実施形態のカーボンアロイ触媒は、窒素が導入された炭素の量に比例して、触媒の活性点が増加する。また、実施形態の炭素触媒は、表面積が大きいほど酸素還元電流に寄与する活性点が多くなることから、炭素触媒の比表面積は大きいことが好ましい。
また、カーボンアロイ触媒の比表面積が大きくなりすぎると、カーボンアロイ触媒の表面に10nm径以下の微細孔の割合が増加する。この微細孔は、酸素還元反応に必要な酸素ガスの拡散速度が極端に遅くなるため好ましくない。従って、この微細孔の割合が少なく、カーボンアロイ触媒の孔の大部分(60%以上)が20nm以上の径となることが好ましい。以上のことから、カーボンアロイ触媒の比表面積は100m/g以上1200m/g以下となるものが好ましい。
窒素原子の置換量はX線光電子スペクトル(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により測定可能な炭素(C)に対する窒素(N)置換の割合(C/N比)である。C/N比は、炭素原子C1sの290eV近傍のシグナル、窒素原子N1sの400eV近傍のシグナル強度比から計算することができる。C/N比の算出には、Cなどの組成比が明らかな化合物を標準物質として用い、これを基準に算出することができる。
測定試料は、電解セルの陰極から削ることにより作製することができる。
ただし、XPSによる測定ではsp2炭素に置換された窒素の他に、アミンなどの非置換窒素も検出されてしまう。そこで、これら非置換窒素の影響を除外するために、作製試料をアルゴン雰囲気下で1時間800度にて焼成し、非置換窒素を分解、その後にXPS測定をすることで、非置換窒素の影響を無くしている。
ここで、さらに置換の形態を分離することも可能である。窒素原子N1sの400eV近傍のシグナルをピーク分離することにより398.5eV−ピリジン型、400.5eV−ピロール・ピリドン型、401.2eV−3配位型、402.9eV−Nオキサイド型に分離することができ、窒素の置換形態とその量が明確化できる。
窒素置換量を特定するためには、試料の加熱や混合時のムラを考慮して、1バッチの調製試料を質量で4等分し、それぞれをXPSにて表面状態を測定することが有効であり、これが品質の点検に有効である。
[カーボンアロイ触媒の製造方法]
実施形態のカーボンアロイ触媒の製造方法を下記に例示するがこれらに限定されるものではない。カーボンアロイ触媒は下記に例示するものを含む公知の製造方法によって製造することができる。
窒素を含む樹脂と、金属を含む化合物を不活性ガス雰囲気下(窒素、アルゴン等)で熱処理して炭素化し、炭素化したものを酸処理して、実施形態のカーボンアロイ触媒を製造する。
樹脂と金属を含む化合物を窒素存在雰囲気下で熱処理して炭素化し、炭素化したものを酸処理して、実施形態のカーボンアロイ触媒を製造する。樹脂と金属を含む化合物の代わりに、金属を含有する樹脂を用いても良い。
炭素に窒素プラズマ処理をして、実施形態のカーボンアロイ触媒を製造する。
炭素源と窒素源を含む物質から、化学蒸着することによって、実施形態のカーボンアロイ触媒を製造する。
窒素を含む樹脂としては、窒素含有フェノール樹脂、イミド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート、尿素樹脂、ビスマレイミドアニリン、ベンゾオキサジン等の樹脂が挙げられる。
金属としては、鉄やコバルト等が挙げられる。
金属を含む化合物としては、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、硫酸鉄、硫酸コバルト、塩化鉄、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸鉄、ヘキサシアノ鉄カリウム、硝酸コバルト、酢酸コバルト等の化合物が挙げられる。
炭素源を含む物質としては、メタン、エタン、アセチレン、エチレン、エタノール、メタノール等が挙げられる。
窒素源を含むターゲットとしては、アンモニア、3フッ化窒素、ヒドラジン等が挙げられる。
また、これらカーボンアロイ触媒の表面積や導電性が低い場合は、触媒を担体に担持させたり混合させたりすることも可能である。
担体としては、KetjenBlack(登録商標)、Vulcan XC72R(商標登録)、VGCF(商標登録)等の市販炭素や、フェノールなどの炭素を含む有機物を炭素化したもの、RuO、IrOなどの導電性酸化物を用いることができる。
窒素を含む樹脂又は金属及び窒素を含む樹脂と金属または金属を含む化合物等を混合する方法は、ボールミルや攪拌機による湿式および乾式混合が挙げられる。
炭素化によって、炭素に窒素を導入する場合は、窒素含有ガス雰囲気下で樹脂などの材料の焼成を行う。炭素化によって、炭素に窒素を導入する必要がない場合は、不活性ガス雰囲気下で樹脂などの材料を焼成すれば良い。炭素化の温度は例えば、600℃以上1200℃以下で数分から数時間行う。
また、炭素に窒素プラズマ処理をすることによっても、窒素を炭素に導入することができる。カーボンアロイ触媒に窒素プラズマ処理を行って、炭素をさらに導入してもよい。
なお、上記方法での作製後、金属化合物が含まれる場合は、酸で処理することによって取り除く。酸処理に用いる酸の種類は、用いる金属にもよるが例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
酸処理は、純水で希釈した溶液(0.1〜10M)に30〜20時間浸し、その後純水でろ過・洗浄、これを3回以上繰り返すことが処理例として挙げられる。
[陰極]
実施形態の陰極は、例えば、図2の概念図のように、電極支持材料3と、電極支持材料3上に、イオン導電性バインダー2で固定されたカーボンアロイ触媒1で構成される。陰極は、電極支持材料にカーボンアロイ触媒が固定されていればその構成は特に限定されない。
実施形態のカーボンアロイ触媒は、溶媒に分散させることによりそのスラリーを作製し、作製したスラリーを電極支持材料に塗布し、乾燥または焼成等の行程によって陰極電極を作製することができる。乾燥と焼成を両方行うなどしてもよい。焼成または乾燥させる前または後にイオン導電性バインダーを滴下または塗布することが好ましい。イオン導電性バインダーはスラリーに混合してもよい。塗布、乾燥と焼成の行程は複数回行ってもよい。
なお、酸性電解質の場合はNafion(商標登録)などのプロトン伝導性バインダーを、中性・アルカリ性電解質ではアルカリ伝導性バインダーを用いることが好ましい。
電極支持材料としては各種電解質膜、燃料電池などで持いられているガス拡散層(例えばカーボンペーパーなどの多孔質材)と同様の多孔質材、チタンメッシュ、SUSメッシュ、ニッケルメッシュ等が挙げられる。
スラリーの作製に用いる溶媒としては、燃料電池の電極触媒などを作製する際に用いられているものが挙げられる。具体的には、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
イオン伝導性バインダーとしては、プロトン伝導体としてフッ素系もしくは炭化水素系のアイオノマー、水酸化物イオン伝導体としてアンモニウム塩基を有したアイオノマーを一例として挙げることができ、エタノール等の溶媒に溶かして用いることが好ましい。
[陽極]
実施形態の陽極は、触媒に陽極用のものを用いて陰極と同様の材料および方法によって作製することができる。陽極に用いる触媒は、白金、鉛酸化物、イリジウム複合酸化物、ルテニウム複合酸化物等が挙げられる。これらの触媒の作製方法としては、熱分解法、ゾルゲル法、錯体重合法等が挙げられる。
また、酸化物の複合金属としては、Ti,Nb,V,Cr,Mn,Co,Zn,Zr,Mo,Ta,W,Tl,RuとIrのうち少なくともいずれか一種の金属が挙げられる。これらの触媒の電極支持元素としては、Ta、Ti等のバルブメタルが挙げられる。
[電解質]
実施形態の電解質は、液体電解質、カチオン交換性の膜やアニオン交換性の膜等を用いることができる。液体電解質としては、硫酸、硝酸、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、塩化カリウム水溶液等が挙げられる。カチオン交換性の膜としては、Nafion(登録商標)112,115,117,フレミオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)、ゴアセレクト(登録商標)が挙げられる。アニオン交換性の膜としては、(株)トクヤマ製のA201等が挙げられる。また、炭化水素膜系も電解質として用いることができる。
[電解反応]
電解質に酸性のものを用いた場合は、電極に電圧を印加すると陽極、陰極で次の反応(反応式1−2)が生じる。
陽極
2HO→O+4H+4e (反応式1)
陰極
+4H+4e→2HO (反応式2)
また、陰極の表面が水で覆われるなどして酸素の供給が足りなくなり、印加電圧が一定値(水素発生電位)を超えてくると、陰極では次の反応(反応式3)が並行して起こる。
2H+2e→H (反応式3)
電解質(電解液)に中性またはアルカリ性のものを用いた場合は、電極に電圧を印加すると陽極、陰極で次の反応(反応式4−5)が生じる。
陰極
+2HO+4e→4OH (反応式4)
陽極
4OH→O+2HO+4e (反応式5)
また、陰極の表面が水で覆われるなどして酸素の供給が足りなくなり、印加電圧が一定値(水素発生電位)を超えてくると、陰極では次の反応(反応式6)が並行して起こる。
2OH→O+H+2e (反応式6)
[膜電極接合体]
実施形態の膜電極接合体19は、図3の電解セルの概念図の一部に示すように、陽極12と陰極14の間に固体高分子電解質13が形成されている。膜電極接合体19は固体高分子電解質2の両面ホットプレスもしくは直接塗布により、両電極を密着させることができる。
[電解セル、電解装置]
実施形態の電解装置10−1は、図3の概念図に示すように、上記に説明した膜電極接合体19、水供給管15、水排出管16、供給空気導入管17と空気排出管18で構成された電解セルと膜電極接合体19の両極に電圧を印加する電源(直流電源)11を備えている。水供給管15、水排出管16、供給空気導入管17と空気排出管18は上記の反応に必要な気体や水(水溶液)を供給するための部材であるため、電解質の種類や電解セルの目的および用途に応じて任意の構成を作用することができる。電解セルに電圧を印加して反応を進行させる。
実施形態のカーボンアロイ触媒は水素発生抑制効果を持った酸素還元触媒として用いることができ、その用途は脱酸素素子や加湿、除湿素子に止まらない。例えばソーダ電解用の陰極として用いることができる。
実施形態の電解装置の他の例として、図4の概念図に示すようなソーダ電解装置10−2や塩素発生用の装置が挙げられる。カーボンアロイ触媒とバインダー(PTFE)とをエタノール中にて混合したスラリーをチタンメッシュに塗布し、これをAr中300度で焼成したガス拡散電極を陰極14とする。このとき陽極12はカーボン電極等を用い、電解液はNaCl水溶液で、陰極14と陽極12をイオン交換膜13にて分離する。図4の装置の陰極側は、ガス供給管17Cで酸素もしくは空気を、水供給管15Cで水を供給し、液体排出管16Cで苛性ソーダを、ガス排出管18Cで排出ガスを排出する構成となっている。図4の装置の陽極側は、液体供給管15Aで塩化ナトリウム水溶液を供給し、ガス排出管18Aで塩素ガスを排出する構成となっている。このような装置を用いて、外部電源11で電極間に電圧を印加すると陽極で塩素ガスが、陰極で水酸化ナトリウムが生成する。このとき窒素置換炭素により他の触媒に比べて高電圧印加時に水素の生成を抑制することができる。このことは発生した水素の処理や安全装置の導入が不要もしくは軽減させたり、極電位モニターをしない場合でも効率的に電流を取り出すことができ、有効である。
[膜電極接合体を備えた電解装置]
実施形態の電源が接続された膜電極接合体を容器に備えることで、減酸素装置、酸素濃縮装置、加湿装置や除湿装置とすることができる。
図5の装置20−1の概念図のように、容器22の空間が膜電極接合体19の陽極側と陰極側に分かれるように膜電極接合体19を固定する。膜電極接合体19には電源11が接続され、膜電極接合体の両極に電圧を印加することができる構成である。膜電極接合体の固定はそれぞれの電極側の反応系の空間が分離可能なように封止剤21を用いて封止されている。また、図6の装置20−2の概念図の様に、容器22は膜電極接合体の陽極側又は陰極側のどちらか一方に取り付けられていてもよい。装置20−1,20−2において、容器22と膜電極接合体19は脱着可能なように半固定されていてもよい。
電解質に酸性のものを用いた膜電極接合体の陽極側の空間では、水を酸素とプロトンに分解する反応が生じるので、酸素濃縮又は除湿の装置として機能する。一方、電解質に酸性のものを用いた電解セルの陰極側の空間は、酸素と陽極で発生したプロトンから水が生成する反応が生じるので、減酸素又は加湿の装置として機能する。電解質に中性またはアルカリ性のものを用いた場合は、陰極で水が消費され、陽極で水が生成する反応であり、電解質に酸性のものを用いた場合とは逆の機能になる。加湿や除湿を目的とする装置の場合は、容器22を給水容器又は貯水容器として用いる等してもよい。
図7に膜電極接合体を用いた減酸素装置20−3の一例の概念図を示す。減酸素装置20−3の電解質は酸性である。減酸素装置20−3には膜電極接合体19の陰極側に容器22が、陽極側に水タンク24が封止剤21で固定されている。容器22には減酸素下に置きたい物を出し入れできる扉23が備えられている。水タンク24側には水供給管25と酸素の排出管26が備えられている。
容器22には物の出し入れが可能な扉や、吸気管、排気管、給水管、排水管等の気体、液体または物質を供給し排出するための部材を備えてもよい。これらの扉や管は、装置の目的および用途に応じて任意の形状および機能のものを採用することができる。
また、膜電極接合体を備えた装置は、図示しない制御部によって、吸排気、給排水、密閉領域等を切り替えて、減酸素、酸素濃縮、除湿と加湿のいずれかの動作になるように制御してもよい。酸素濃度計や湿度計を設けて、装置の動作による効果を容易に確認できるようにしてもよい。また、任意の酸素濃度または湿度になるように制御してもよい。これらの制御は、マイコンやFPGA(Field−Programmable Gate Array)などのプログラム可能なICを用いて電子的に制御してもよいし、手動で制御してもよい。
[減酸素装置を備えた冷蔵庫]
図8は、膜電極接合体を有する装置20’を備えた冷蔵庫30の概念図である。減酸素を行う場合、膜電極接合体を有する装置20’は、例えば図8の減酸素装置20−3の扉23を冷蔵庫の扉とする態様が挙げられる。減酸素を行う場合、図8の冷蔵庫30では、冷蔵庫の1室が減酸素装置になっているが、1室のうちの一部に減酸素装置を配置した構成でもよいし、冷蔵庫内のどの位置に配置してもよい。生鮮食品を保存する庫内で減酸素動作を行うと、食品の酸化を抑えることができる。冷蔵庫30において、膜電極接合体を有する装置20’の換わりに膜電極接合体を備えた加湿装置、除湿装置を用いてもよい。
また、図示しない制御部によって、吸排気、給排水、密閉領域等を切り替えて、減酸素、除湿と加湿のいずれかの動作になるように制御可能な装置を減酸素装置20’の換わりに備えてもよい。酸素濃度計や湿度計を設けて、装置の動作による効果を容易に確認できるようにしてもよい。また、任意の酸素濃度または湿度になるように制御してもよい。これらの制御は、マイコンやFPGAなどのプログラム可能なICを用いて電子的に制御してもよいし、手動で制御してもよい。
[酸素還元と水素発生に関する電極活性試験]
触媒単体の酸素還元特性と水素発生特性とを評価する手法として、電極の電位走査が簡便な方法として挙げられる。酸素還元と水素発生に関する電極活性を図9の概念図に示す3極式回転リングディスク電極セルを用いて電位を走査して測定する。具体的には図9の中央部の作用電極41、図面左側に参照電極(Ag/AgCl)42と図面右側に対極(カーボンフェルト)43が備えられている。この作用電極41は、中央部にガラス状繊維でできたディスク電極、ディスク電極の外周には上記触媒インクを塗布、焼成、乾燥させた触媒が形成されている。そして、触媒は高分子絶縁体で覆われ、その周囲をAuのリング電極が覆っている。さらに、リング電極の周囲を高分子絶縁体で覆っている。電解液44としては窒素又は酸素をバブリングした酸性水溶液(0.5M HSO aq.)又は、アルカリ性水溶液(0.1M KOH aq.)を用いた。
図9の模式図に記載した形態の装置でポテンシオスタットを用いて10mV/sで電位走査をする。なお、回転数は2000rpmに固定し、電位範囲は1.2〜−0.7V vs. RHEとした。
(1)酸化還元開始電位
電極活性試験で、窒素及び酸素をパージした電解質を用いて電位走査をして得られたボルタモグラムから差分をとり、負電流が流れ始めた電位を酸素還元開始電位とする。
(2)水素発生開始電位
窒素をパージした電解質でも水素を発生すること、水素の吸着電流が流れること等の理由により、正確な水素発生開始電位を見積もることができない。そこで、標準電極電位以下で、−5mA/cm以上の電流が流れた電位を水素発生開始電位とする。
(3)過酸化水素生成率
酸性電解液の場合、反応式2の反応が途中で止まり、反応式7の反応により水ではなく過酸化水素が生成する場合もある。そこで、作用電極21の金電極27に電圧をかけて、反応式8の反応を起こさせて、その際の反応電流から過酸化水素生成率を求める。
同様に中性・アルカリ性電解液の場合、反応式5の反応が途中で止まり、反応式9の反応により水ではなく過酸化水素が生成する場合もある。そのため、反応式10の反応を起こさせて、同様に過酸化水素生成率を求める。
+2H+2e→H (反応式7)
→O+2H+2e (反応式8)
1.5O+HO+2e→2HO (反応式9)
2HO →1.5O+HO+2e (反応式10)
具体的には、金のリング電極に1.2VvsRHEを印加し、電位走査中の電流値から過酸化水素生成率を求める。
過酸化水素生成率xの導出式(式1)は次の通り。
…式1
x:過酸化水素生成率(%)
:リング電流(A)
:ディスク電流(A)
N:補足率(−)
なお捕捉率(N)はリング電流とディスク電流の絶対値の比として定義し、今回、N=0.4であった。
捕捉率(Collection Efficiency)Nは下記の式(式2)にて算出した
N=|I|/|I| …式2
以下、実施例により実施形態にかかる電解セル、装置、冷蔵庫について具体的に説明する。
なおMEAでの水素発生検出には、水素ガス検知器を用い、ポンプによる排出ガスおよび密閉容器内の水素濃度から算出した。
また、酸素消費理論量(NO2)は次の式(式3)から求めた。
…式3
O2:理論酸素消費量(CCM)
I:印加電流(A)
n:反応電子数
F:ファラデー定数
T:温度(K)
(実施例1)
窒素を含有するベンズグアナミン樹脂8gと塩化第2鉄1gと担体であるKetjenBlack(登録商標)EC300J 5gをTHF(テトラヒドロフラン)150mlと混合する。混合後、スターラー300rpmで攪拌しながら80℃で2時間還流を行う。還流した溶液を45℃の湯浴を用いたエバポレータによって乾燥させて、乾固した材料を800℃のアルゴン雰囲気下で1時間焼成する。焼成後、2M塩酸で焼成物を洗ってカーボンアロイ触媒を製造した。作製した試料をステンレスパン(直径1mm、深さ30μm)に詰め、XPS(PHI社製 Quantum−200 X線源/出力/分析領域:単結晶分光AlKα線/40W/φ200μm)により触媒表面の元素分析の結果を行い4点測定の結果、窒素置換量は1.3〜1.8%含まれていることを確認した。このときのN1sスペクトル(測定4サンプル中の1サンプル)を図10に示す。図10のスペクトルには少なくとも、ピリジン型(A)、ピロール・ピリドン型(B)、Nオキサイド型(C)、3配位型(D)が含まれているため、図11にこれらのピークを分離したものを示す。このピーク分離をするとピリジン型(A)の強度が最も強いことがわかる(図11)。
水とエタノールを質量比で1:1となるように調整した分散媒1mlに、製造したカーボンアロイ触媒10mgを加えた。カーボンアロイ触媒を加えた分散媒を、超音波によって30分間分散させて、触媒インクを製造した。マイクロピペッターで1μl分取し、Φ3mmのグラッシーカーボン(登録商標)に滴下し、60℃の恒温室で30分間乾燥させた。乾燥後、0.05wt%Nafion(登録商標)アイオノマーを3μl滴下して、再度乾燥させで作用電極を製造した。
製造した作用電極を用いて、上記の酸素還元と水素発生に関する電極活性試験を行った。なお、特に記載が無い限り、上記に記載した条件で電極活性試験を行った。
実施例1の電極活性試験において、電解液は0.5Mの硫酸水溶液を用い、走査速度を10mV/sとした。
測定結果から、実施例1の酸素の還元開始電位は約0.84V vs. RHEである。水素の発生電位は0.46Vvs.RHEである。酸素還元から水素発生までの運転電位窓は1.3Vである。この時の過酸化水素生成率は2〜50%である。
(比較例1)
触媒としてPt/C(田中貴金属製 TEK10E70TPM)をカーボンアロイ触媒の代わりに用いた電極で電極活性試験を行ったこと以外は実施例1と同様である。
測定結果から、比較例1の酸素の還元開始電位は約0.98V vs. RHEである。水素の発生開始電位は−0.012V vs. RHEである。酸素還元から水素発生までの運転電位窓は0.992Vである。この時の過酸化水素生成率は2〜15%である。
比較例1のPtに比べて実施例1のカーボンアロイ触媒を用いた場合は、酸素還元開始電位は低いが、水素発生開始電位はもっと低く、水素の発生が抑制されていることがわかる。また、酸素還元開始電位から水素発生開始電位までの間、すなわち酸素還元反応のみが起こる電位範囲が比較例1のPtを触媒として用いた場合よりも拡大した。このため、実施例1のカーボンアロイ触媒を陰極電極の触媒として用いた膜電極接合体は、Ptを触媒として用いた膜電極接合体よりも高電圧をかけることができ、水素発生を抑制しつつ高電流を流せる潜在能力を持っていることになる。
(比較例2)
触媒として窒素を含有していない炭素(KetjenBlack(登録商標) EC300J)をカーボンアロイ触媒の代わりに用いた電極で電極活性試験を行ったこと以外は実施例1と同様である。
比較例2の酸素の還元開始電位は約0.7V vs. RHEである。水素の発生開始電位は−0.07V vs. RHEである。酸素還元から水素発生までの運転電位窓は0.77Vである。この時の過酸化水素生成率は50〜100%である。酸素から水への還元反応には陰極にカーボンアロイ触媒が欠かせないことがわかる。
(実施例2)
実施例2では電解液にアルカリ性の溶液を用いて電極活性評価試験を行った。作用電極の作製時にアイオノマーを用いずに電極を作成し、電解液に0.1M KOH水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様である。アイオノマーを用いずに作製した電極であるため、触媒が剥がれないように慎重に作用電極を浸漬した。電極活性評価試験の前後でサイクリックボルタモグラムの大きさが変化しなかったことから、触媒の電解液中への脱離は無かったと考えられる。
実施例2の酸素の還元開始電位は約0.95V vs. RHEである。水素の発生開始電位は−0.61V vs. RHEである。酸素還元から水素発生までの運転電位窓は1.56Vである。この時の過酸化水素生成率は2〜50%である。
(比較例3)
触媒としてPt/C(田中貴金属製 TEK10E70TPM)をカーボンアロイ触媒の代わりに用いた電極で電極活性試験を行ったこと以外は実施例2と同様である。
比較例3の酸素の還元開始電位は約0.99V vs. RHEである。水素の発生開始電位は−0.096V vs. RHEである。酸素還元から水素発生までの運転電位窓は1.08Vである。この時の過酸化水素生成率は2〜15%である。
(比較例4)
触媒として窒素を含有していない炭素(KetjenBlack(登録商標) EC300J)をカーボンアロイ触媒の代わりに用いた電極で電極活性試験を行ったこと以外は実施例2と同様である。
比較例4の酸素の還元開始電位は約0.93V vs. RHEである。水素の発生開始電位は−0.58V vs. RHEである。酸素還元から水素発生までの運転電位窓は1.41Vである。この時の過酸化水素生成率は50〜100%である。運転電位窓は実施例2と同程度であるが、過酸化水素生成率は非常に高い。従って、酸素から水までの還元性能を十分に有するのは窒素が含まれる実施形態のカーボンアロイ触媒であることがわかる。
なお、実施形態において、酸素還元触媒として用いるカーボンアロイ触媒は、実施例1、2に示した原材料に限定されるものではない。例えば、窒素を含む炭素前駆体として窒素含有フェノール樹脂、イミド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などをあげることができ、金属の化合物として鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、硫酸鉄、硫酸コバルト、塩化鉄、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸鉄、ヘキサシアノ鉄カリウム、硝酸コバルト、酢酸コバルトをあげることができる。これらの原料を各樹脂8gと金属前駆体1gと担体であるKetjenBlack(登録商標)EC300J gをTHF(テトラヒドロフラン)150mlと混合。混合後、スターラー300rpmで攪拌しながら80℃で2時間還流を行う。還流した溶液を45℃の湯浴を用いたエバポレータによって乾燥させて、乾固した材料を800℃のアルゴン雰囲気下で1時間焼成する。焼成後、2M塩酸で焼成物を洗って種々のカーボンアロイ触媒を製造した。これら製造した触媒はXPSにより表面の窒素置換率が〜10%である。
この触媒を第1の実施形態同様に電極化し。酸素還元特性を評価すると、
酸性電解質中では酸素の還元開始電位は約0.88〜0.75V vs. RHEであり、水素の発生電位は−0.2〜−0.7V vs. RHE、アルカリ性・中性電解質中では酸素の還元開始電位は約0.94〜0.87V vs. RHEであり、水素の発生電位は−0.2〜−0.9V vs. RHEである。このときの過酸化水素生成率は1〜50%である。
(実施例3)
図3の概念図に示す電解装置10−1を作成し、電解試験を行った。
実施例3の陽極は、塩化イリジウム(IrCl・nHO)に1−ブタノールを0.25M(Ir)になるように加えて調整した溶液を、あらかじめ、10wt%シュウ酸水溶液中1時間80度でエッチングしたチタンメッシュ(0.1t×LW0.2×SW0.1)に塗布する。その後、乾燥(10分、80℃)、焼成(10分、450℃)した。塗布−乾燥−焼成を5回繰り返して陽極を作製した。
実施例3の陰極は、実施例1で得られた触媒60mgを水50cc中へ分散する。この液を沸騰させながら攪拌して懸濁させる。その懸濁液を撥水処理(20wt%)されたカーボンペーパー(東レ製 TPG−H−090、厚み0.28mm、面積12cm)上に流し込み、0.09MPaで濾液が透明になるまで吸引濾過を繰り返し、その後、乾燥させる。乾燥させた物にエタノールで溶かした2wt%Nafion(登録商標)溶液を減圧滴下法で滴下(0.09MPa)し、その後、エタノールで溶かした4wt%Nafion(登録商標)溶液に含浸させる。含浸させた物を一時間純水中で煮沸し、陰極とする。
実施例3の膜電極接合体は作製した陽極と陰極をポリマーの電解質であるNafion(登録商標)112(50μm)の両側に挟み、125℃、5分、0.36MPaでホットプレスし、膜電極接合体とする。
膜電極接合体に水供給管15、水排出管16、供給空気導入管17と空気排出管18を取り付けて、作製した電解セルに外部直流電圧を印加して、流れる電流(A)と、供給空気導入管17と空気排出管18の流量(1CCM=1.667×10−8/s)と酸素濃度(vol%)を測定した。
供給空気導入管17の空気量を100CCM(酸素21%)としたとき、1Aの印加電流で、空気排出管18の空気は、96.5CCMで酸素濃度は18.1%であった。印加電流を2Aとしたときは、空気排出管18の空気は、93CCMで酸素濃度は15.1%であった。いずれの結果も、ほぼ理論通りの結果が得られ、水素の生成は認められなかった。また、電圧印加中に陰極表面に水が生成しているのを確認した。
(比較例5)
陰極の触媒にPt/Cを用いたこと以外は実施例3と同様である。
供給空気導入管17の空気量を100CCM(酸素21%)としたとき、1Aの印加電流で、空気排出管18の空気は、96.5CCMで酸素濃度は18.1%であった。印加電流を2Aとしたときは、空気排出管18の空気は、93CCMで酸素濃度は15.1%であった。比較例5の触媒にはPt/Cを用いているため、印加電圧が1.7Vにおける水素の発生率は1〜50%と見積もられた。比較例5では水素発生反応の分だけ、酸素還元反応が起きないだけでなく、無駄な電力を消費することになる。
(実施例4)
実施例3において作製した膜電極接合体を図7の減酸素装置20−3のように開閉可能な密閉容器に取り付けた減酸素装置を作成した。膜電極接合体に取り付けた電源11から電流を流すと、電流に対して酸素濃度が理論通りに減少し、約20%から約5%まで濃度が低下したことを確認した。また、膜電極接合体への印加電圧を1.7Vにしても、水素の発生が認められなかった。
(比較例6)
陰極の触媒にPt/Cを用いたこと以外は実施例4と同様である。膜電極接合体に取り付けた電源11から電流を流すと、酸素濃度は減少したが、膜電極接合体への印加電圧を1.7Vとすると、陰極での反応のうち1〜20%が水素を発生させる反応であった。
実施例4と比較例6を比較すると、実際の装置として、水素の発生を抑制する点で違いが見られた。比較例6では水素発生反応の分だけ減酸素反応が起きず、無駄な電力を消費することになる。
(実施例5)
例えば、実施例4の減酸素装置を冷蔵庫取り付けることで、冷蔵庫内に減酸素された空間を備えることができる。減酸素装置を動作させると、電流に対して酸素濃度が理論通りに減少し、約21%から約10%まで濃度が低下したことを確認した。冷蔵庫の閉時に庫内の酸素濃度を減らすことができるため、酸化による腐食を抑え、食品の保存期間を伸ばすことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、明細書および図中の元素の一部は元素記号で記載したものもある。
1…カーボンアロイ触媒
2…イオン導電性バインダー
3…電極支持材料
10…電解装置、ソーダ電解装置
11…電源
12…陽極
13…電解質、イオン交換膜
14…陰極
15…液体(水)供給管
16…液体(水)排出管
17…ガス(空気)供給管
18…ガス(空気)排出管
19…膜電極接合体
20…電解装置(減酸素装置、酸素濃縮装置、加湿装置、除湿装置)
21…封止剤
22…容器
23…扉
24…水タンク
25…水供給管
26…空気排出管
30…冷蔵庫
41…作用電極
42…参照電極
43…対極
44…電解質

Claims (16)

  1. 陽極と、窒素が導入されたカーボンアロイ触媒を有する陰極と、前記陽極と前記陰極間に配置された電解質とで構成される膜電極接合体を有する電解セルを少なくとも備え、前記陽極と前記陰極に電圧が印加される電解装置であって、
    前記電解質は酸性、中性又はアルカリ性のいずれかであり、
    前記電解質が酸性の場合は、水素の発生電位は−0.2〜−0.7V vs. RHEとし、
    前記電解質が中性又はアルカリ性の場合は、水素の発生電位は−0.2〜−0.9V vs. RHEとすることを特徴とする電解装置。
  2. 前記電解質において、
    前記電解質が酸性の場合は、酸素の還元開始電位を約0.88〜0.75Vvs.RHEとし、
    前記電解質が中性又はアルカリ性の場合は、酸素の還元開始電位を約0.94〜0.87Vvs.RHEとすることを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
  3. 前記膜電極接合体の前記電解質は酸性であり、カチオン交換性の膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解装置。
  4. 前記膜電極接合体の前記電解質は中性又はアルカリ性であり、アニオン交換性の膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解装置。
  5. 前記電解セルは、密閉可能な容器に備られていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電解装置。
  6. 前記カーボンアロイ触媒は、その表面元素量に対して、0.1atm%以上30atm%以下が炭素から窒素置換されたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電解装置。
  7. 前記カーボンアロイ触媒は、その表面元素量に対して、0.1atm%以上10atm%以下が炭素から窒素置換されたものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電解装置。
  8. 前記カーボンアロイ触媒は、炭素同士がSp2混成軌道を形成した炭素の一部が窒素に置換されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電解装置。
  9. 前記カーボンアロイ触媒は、ピリジン型の窒素置換、ピロール・ピリドン型の窒素置換と、Nオキサイド型の窒素置換のうちの少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電解装置。
  10. 前記カーボンアロイ触媒は、孔を有し、孔の60%以上は20nm以上の径であることと特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電解装置。
  11. 前記カーボンアロイ触媒は、その比表面積が100m/g以上1200m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電解装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電解装置を有することを特徴とする冷蔵庫。
  13. 前記電解質が酸性の場合は、水素の発生電位は−0.2〜−0.7V vs. RHE、
    前記電解質が中性又はアルカリ性の場合は、水素の発生電位は−0.2〜−0.9V vs. RHEで動作させることを特徴とする電解装置の運転方法
  14. 前記電解質において、
    前記電解質が酸性の場合は、酸素の還元開始電位を約0.88〜0.75Vvs.RHE、
    前記電解質が中性又はアルカリ性の場合は、酸素の還元開始電位を約0.94〜0.87Vvs.RHEで前記電解装置を動作させることを特徴とする請求項13に記載の運転方法。
  15. 過酸化水素生成率が1〜50%であることを特徴とする請求項13又は14に記載の電解装置の運転方法。
  16. 前記請求項13乃至15のいずれか1項に記載の電解装置の運転方法を用いた冷蔵庫の運転方法。
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