JPH05229826A - 導電性物質及びその製造法 - Google Patents

導電性物質及びその製造法

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JPH05229826A
JPH05229826A JP4061029A JP6102992A JPH05229826A JP H05229826 A JPH05229826 A JP H05229826A JP 4061029 A JP4061029 A JP 4061029A JP 6102992 A JP6102992 A JP 6102992A JP H05229826 A JPH05229826 A JP H05229826A
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琢郎 森本
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伸 赤松
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正義 鈴江
Yukiya Haruyama
幸哉 晴山
Kiyoshi Koyama
潔 小山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】導電性物質、特にフッ素ドープされた導電性粉
末及びその経済的、効率的な製造方法を提供する。 【構成】各種原料粒子の表面がフッ素ドープされた酸化
錫で被覆された導電性物質を提供する。また、該導電性
物質を製造する方法として微細粒子の分散液中で第1錫
塩とアルカリ物質を反応させて粒子表面に含酸素錫化合
物を沈積し、次いで加熱処理するという簡便、効率的な
プロセスを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電性物質及びその製造
に関する。更に詳しくは、本発明は耐薬品性,経時安定
性に優れるとともに、電子材料,電極材料,制電材料,
導電材料等に優れた通電特性を付与することができる複
合材料用素材として有用な導電性物質及びその製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイテク技術の高度化と飛躍的進
展により新素材としての複合材料が先端材料として種
々、研究開発されてきている。しかしながら、これらの
材料において多くの課題が残されており、例えば導電性
素材においては、より高品位で安定且つ安価な素材の開
発が望まれている。
【0003】複合材料に適用される導電性物質、例えば
導電性粉末として、金、銀、銅、ニッケル等の金属粉お
よび炭素粉末等が知られているが、これらはいずれも高
価であるか、酸化安定性や耐酸性に劣るものである。
【0004】また、酸化安定性素材として金属酸化物、
特にアンチモンやインジウムをドープした酸化第2錫粉
末が古くから研究されており、その技術開発は現在も種
々なされてはいるが、強酸性の雰囲気下ではアンチモン
やインジウムが溶出しやすく、その用途が制限されてい
るのが現状である。
【0005】更に、フッ素ドープされた酸化第2錫を導
電材料とする技術開発も古くからなされており、塩化第
2錫とフッ化アンモニウムとの反応、及び、フッ素ドー
プされたSnO2 系導電性膜(いずれも昭和42年、朝倉
書店、「ガラス工業ハンドブック」、第16章電導性ガラ
ス、)等があり、これらは、各種絶縁基材の表面を導電
性薄膜で処理する手法としてフッ素ドープされた酸化第
2錫薄膜の製造法に関するものである。前記したフッ素
ドープされた酸化第2錫に関する技術は、いずれも塩化
第2錫とフッ化アンモニウムの溶液を加熱基板上で接触
させ、塩化第2錫が酸化第2錫に変化する際に酸素座位
にフッ素を一部置換させるものである。しかしながら前
記した方法は、高導電性のフッ素ドープされた被膜を与
えるものの、原料としてのフッ化アンモニウムを錫に対
し多量且つ無駄に用いる必要があり、危険なフッ化アン
モニウムが気化して廃ガス中に多量に排出されるため、
工業的生産技術としての利用性に乏しいものである。
【0006】近年、フッ素化学の発展により、有機金属
化合物に関する研究も進み、パーフルオロ基含有の有機
錫等が開発され、固定化されたフッ素源を利用してガラ
ス基材上で導電性被膜を形成する方法、及びこれらの化
合物を直接燃焼させたものを粉砕してフッ素ドープした
酸化第2錫粉末を製造する方法等が提案されてる(平成
元年、アイピーシー発行、丸山敏明編著「熱分解法によ
る透明導電性薄膜の塗布形成」、第11章)。前記した技
術によればフッ素の利用効率は向上するものの、有機錫
の修飾基が大きく錫含有量が少ないため生産性に乏し
く、又、原料合成に高度の技術と熟練を要するため高価
となり、更には錫20部に対し10部以上のフッ素を使用し
ないと安定且つ高導電性が得にくいこと、及び粉末化の
ために粉砕が必要であり均質粒状のものが得にくい等、
極めて産業利用性に乏しいものである。
【0007】本発明者は導電性素材について種々開発し
て来ており、フッ素ドープされた導電性物質の製造法に
関しては特願平2−235552として、導電性物質に
関しては特公昭61−26933、同62−4328、
同62−3767、同62−4029、特公平2−10
92、特開昭60−9005、同60−264326、
同61−117119、同61−141618、同61
−167017、同61−197422、同62−59
828、同62−216105、同62−12758、
同63−85171、同63−86205、特開平2−
149424として、また、その他の機能性粉末及びこ
れらを活用した複合材料についても種々提案を行なって
来ている。しかしながら、耐酸性を示す導電性素材とい
う観点からみると、まだ不十分なものである。また、製
造技術の観点からみると、気相法による粉末処理におい
ては高度の技術を要するため現段階では技術開発がなさ
れていないものの、前記したフッ素含有有機錫溶液を用
いた粉末処理においては粉末表面に均質に被覆コーティ
ングさせることが極めて困難である。この場合、粉末粒
子は凝集してしまい、高導電性粉末を得ることができ
ず、その技術開が強く望まれている。
【0008】以上、考察したように、導電性物質、特に
フッ素ドープされた導電性粉末に係る経済的、効率的な
製造技術の開発が強く望まれているのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、耐酸性が
優れ、含フッ素量が少なく、微細且つ形状が整い、製法
が簡便で優れた導電性を示す複合材料用素材としてのニ
ーズ適合性の高いフッ素ドープされた導電性物質を提供
することにある。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明を概説すれば、
本発明の第1の発明は、各種の粒子表面がフッ素ドープ
された酸化錫で被覆(コーティング)された導電性物質
に関するものである。また、第2の発明は、該導電性物
質を製造するプロセス、即ち、粒子表面を第1錫の酸化
物、水酸化物ならびにこれらの水和物で被覆するととも
に、含フッ素化合物と接触下で加熱焼成することを特徴
とするフッ素ドープされた導電性物質に関するものであ
る。
【0011】以下、本発明の技術的構成を詳しく説明す
る。本発明において粒子とは、長径5mm以下、好ましく
は1mm以下の溶液中で良好な分散系を示すものである。
従って、本発明では粒子形状は特に制限されないが、産
業利用上繊維状粒子、柱状粒子、板状粒子、球状粒子か
ら選ばれる。前記繊維状粒子にあっては、アスペクト比
(繊維長/繊維径)が1000以上のものは、繊維同志
のからみ合いが強く、均質な被覆層が形成されにくくな
るので好ましくないものである。但し近年開発された繊
維長1〜500μm程度でアスペクト比5〜500程度
のウイスカー、あるいはガラス繊維を粉末にしたアスペ
クト比500以下のミルドウール等は水分散性が可能で
あり本発明の構成に含まれる。
【0012】本発明に係る粒子の代表例としては、アス
ペクト比500以下のガラス粉末、岩綿粉末、チタニア
ウイスカー、チタン酸系ウイスカー、ホウ酸アルミニュ
ーム系ウイスカー、アルミナウイスカー、ホウ酸マグネ
シウムウイスカー、珪酸質ウイスカー、カーボンウイス
カー、粘土鉱物、合成及び天然雲母粒末、粉末ガラス、
溶融ガラス粒子、シリカ粒子、シラスバルーン、シリコ
ーン粒子等であり、これらの1種又は2種以上の混合物
であっても良い。
【0013】本発明において、前記した各種の粒子の中
にあって、各種ウイスカー、板状粒子、球状粒子が適し
ている。但し、本発明においては、フッ素をドープさせ
るときの加熱処理時にアルカリ成分が基材粒子から侵出
するものは不適当であるので、チタン酸アルカリ、チタ
ン酸アルカリ土類粒子にあっては、前もって、酸抽出し
てアルカリ成分の浸出を低減させるか、あるいはアルミ
ナ、シリカ等の酸化物、炭素、Ni、Cu等での安定化
処理が望ましく、アルカリガラス質についても同様の処
理が必要である。なおこれらの安定化処理技術について
は、前記した本発明者らの提案した特許出願に開示さ
れ、あるいはその一部については前記した参考文献にも
開示されている。
【0014】本発明において、第1錫塩とは、反応性、
入手の容易性から塩化第1錫及びその水和物が好ましい
が、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩等の各種の第1錫塩か
らも任意に選択することが出来る。
【0015】本発明において、前記した第1錫塩と反応
させるアルカリ物質とは、アンモニア、炭酸アンモニウ
ム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等から任意に選択することが出来
る。
【0016】本発明では、本発明に係る粒子の主として
水分散系、あるいは必要により分散剤やアルコール等の
表面張力低下剤を添加した分散系に、前記第1錫塩又は
アルカリ物質の一部、又は錫を添加溶解させ、残余を攪
拌下で分散系に通常溶液として攪拌下で滴下し、又は上
記粒子分散系に、攪拌下で全ての反応物質を同時に滴下
することにより、粒子表面に含酸素錫化合物を沈積さ
せ、濾別、洗浄、乾燥する第1工程により前駆体Aを調
製する。この時の第1錫塩とアルカリ物質の使用割合
は、使用原料、利用目的により相違するが、反応時は酸
性、アルカリ性のいずれの雰囲気でも良い。また、反応
温度も室温から溶媒の沸点まで任意に選択することが出
来るが、通常、室温で、アルカリ成分がやや過剰気味で
反応を終了させるのが好ましい。
【0017】本発明の方法で得られる含酸素錫化合物の
被覆層は反応条件により相違するが、SnO,SnO・
aH2 O(0<a<10),Sn(OH)2 ,Sn(O
H)2・bH2 O(0<b<10)で示される酸化第1
錫、水酸化第1錫及びスズ酸化合物と称される化合物の
一種又は二種以上の混合物で構成される。なお、反応条
件により微量の酸化第2錫及びこれらの水和物等も該被
覆層中に含まれることがある。本発明において、被覆層
が酸化第1錫で構成されるものからは、暗灰色の導電性
素材が得られる。一方、スズ酸化物からは明度の優れた
白色の導電素材が得られる。本発明の粒子と被覆層を構
成する含酸素錫化合物の割合は、利用目的、原料の種類
により相違するが、通常粒子100重量部(以下、同
じ。)に対し10〜200部、好ましくは20〜100
部であり、少なすぎると被覆が不充分で好適な導電性が
得られない。また、逆に多すぎると過剰被覆となり、表
面の平滑度が悪くなり複合材料として利用する時、吸油
量の増大や分散不良の原因となりやすい。
【0018】本発明において、含フッ素化合物とは、加
熱、焼成によりフッ素に分解するものであれば有機化合
物、無機化合物から任意のものを利用することが出来
る。
【0019】この種の含フッ素化合物のうち無機化合物
としては、フッ化水素及びその誘導体がある。代表的な
ものとしてはフッ化水素,フッ化アンモニウム,フッ化
水素酸,フッ化水素酸アンモニウム,フッ化アンチモ
ン,フッ化スズ,フッ化スズ酸,フッ化ホウ素,フッ化
インジウム,及びフッ化炭素,フッ化ウラン,フッ化オ
スミウム,フッ化臭素,フッ化ニトシル等がある。また
フルオロ硫酸ニトロシル等のフルオロ硫酸類などの無機
化合物も例示される。これらの含フッ素化合物のうち入
手のしやすさ、毒性及び安全性の観点からフッ化アンモ
ニウム,フッ化水素酸アンモニウム,フッ化スズ等が好
ましいものである。
【0020】他方、有機化合物としては、フルオロアル
キル基含有のフッ素化合物、即ち、フルオロアルカン,
フルオロアルコール,フルオロエーテル,フルオロエス
テル及びこれらの誘導体がある。代表的なものとして
は、 Cn 2n+l(2-l) (4≦n≦20,0≦l≦2,X:
H,ハロゲン及び1価の炭化水素基),Rf・R1 ・O
H(Rfはフルオロアルキル基,R1 は2価の炭化水素
基),R2 ・COOR6 ・R3 (R2 ,R3 は少なくと
も一方がフルオロアルキル基,残余は1価の炭化水素
基,R6 は2価の炭化水素基),等が例示される。更に
これらとの金属、例えば錫,アンチモン,ホウ素,ケイ
素との化合物が例示される。本発明において、前記した
含フッ素化合物を一種又は二種以上の混合物として利用
することが出来、それらを第1工程で得られた前駆体A
と接触させれば良い。
【0021】本発明において、前記含フッ素化合物と本
発明に係る前駆体Aとの接触の態様は、単に両成分を混
合接触させるだけでもよい。しかし、最も好ましい態様
としては、含フッ素化合物の水又は有機溶媒の溶液又は
分散液中に本発明に係る前駆体Aの粉体を分散後、分散
媒又は溶媒を揮散させ、前駆体Aの粉体の表面に含フッ
素化合物を均質に付着させることが望ましい。前記した
方法により得られる本発明に係る錫前駆体粉体と含フッ
素化合物との混合物を加熱焼成することにより、前駆体
中の錫化合物は酸化されて酸化第2錫に変化し、その状
態変化中に含フッ素化合物から放出される活性なフッ素
が酸化第2錫の酸素座位にドープされて導電性の酸化錫
粉末が得られる。
【0022】本発明において錫化合物を第1錫に限定し
たのは、次の理由による。従来、フッ素ドープされた酸
化第2錫は一般に気相反応により製造されるものであ
る。いま、これを塩化第2錫を出発原料とし、高温下で
酸化させ、酸化第2錫に変化させる反応系について考え
ると、雰囲気中に存在する活性なフッ素が酸化第2錫の
酸素座位にドープされて導電性物質に変化するものと考
えられる。しかしながら、後述する比較例が示す様に、
酸化第2錫粉末と含フッ素化合物とを接触下で加熱焼成
しても良好な導電性が得られない。このことは、酸化第
2錫に変化したもの(酸化第2錫の状態にあるもの)
は、錫と酸素の結合が安定で、フッ素ドープがしにくく
なっているものと考えられる。このことから、本発明に
おいては、出発原料として第1錫化合物を使用するもの
であり、第1錫化合物が酸化第2錫に変化する中間段階
において、活性なフッ素が酸素座位にドープする確率が
高められ、効率よくフッ素ドープされた酸化第2錫が得
られるのではないかという考え方に立脚している。
【0023】前記した点に関して、本発明の前駆体Aを
形成する含酸素第1錫化合物の特徴について説明する。
第1工程で得られた前駆体Aをアルカリ水溶液中で煮沸
すると被覆層の全体又は表層が酸化第1錫に変化し、色
調も黒色又は灰色となる。そこで、(イ)前記のように
煮沸処理したもの、(ロ)前記(イ)のものをフッ素処
理したもの、(ハ)第一工程を室温で行ない、かつ煮沸
しないもの(このものは白色であり、特に塩化第1錫を
用いるとその変化は著しい。)、及び(ニ)試薬の第1
酸化錫、とについてTG/DTAによる熱分析を行なっ
た。それによると、煮沸したもの(イ)及び酸化第1錫
試薬(ニ)では、600℃で発熱ピークが観察され、重
量変化もSnO→SnO2 と一致する。一方、煮沸しな
い白色のもの(ハ)は、種々の発熱ピークが観察され、
しかも重量変化も極めて少なく、第1錫酸の水和物であ
るSnO・aH2 O,Sn(OH)2 ・bH2 O(a,
bは前出)の脱水と酸化が同時に進行し、フッ素が構造
中に取り込まれ易いものと考えられる。
【0024】また、本発明において、出発原料として塩
化第1錫又はその水和物、フッ素ドープ剤としてフッ化
アンモニウム水溶液を用い、かつ、第1工程の終了pH
をアルカリ性にして前駆体を調製した。そして、これを
水中で再分散させるとpH4〜5の酸性を示し、前駆体
はスズ酸の性質を示す。また、これにフッ化アンモニウ
ム水溶液を加えて処理すると、アンモニア臭が認めら
れ、乾燥重量も使用したフッ素量に等しいものであっ
た。以上のことから、フッ素ドープ処理工程前(焼成
前)では、スズ酸化合物に何らかの形でフッ素が反応し
た物質となり、以後のフッ素ドープ工程(焼成工程)で
フッ素の揮散を抑制、効率良くフッ素がドープされ、良
好な導電層を形成するものと考えられる。なお、本発明
では、フッ素処理に用いるフッ素化合物の使用量は、前
駆体A中のSnに対し0.1〜1mol %(好ましくは
0.3〜 0.5mol %)、被覆層100に対しフッ素(F)
として0.1〜5%(好ましくは1〜2%)であり、少
なすぎると導電性が得られにくく、過剰でも良い結果を
得にくいことがある。
【0025】前記したように、本発明においては、本発
明に係る錫化合物に含フッ素化合物を接触後加熱するこ
とにより、錫化合物はフッ素ドープされた状態で酸化第
2錫に変化して導電性粉末が得られる。この時の加熱条
件は、原料の種類、組み合せ等により異なるが、通常2
00℃以上、好ましくは300℃以上であり、これより
低温下では酸化第2錫に変化するのに長時間を要し、更
にはフッ素化合物の分解が不充分でドープ効果に乏しく
良導電体が得られにくい。また、逆にこれより高温下で
はフッ素化合物が急激に分解して排ガスと共に排出さ
れ、必要量のフッ素をドープするのに多量の含フッ素化
合物を用いなければならないため、環境汚染の原因とな
りやすく、更には錫化合物が酸化第2錫に変化する時に
粒子同志の凝集、融着が生じ設計粒子径の調整を困難に
するので、上限は800℃程度が良い。本発明におい
て、加熱処理時間は、10分〜5時間,通常30分〜3
時間程度で良い。本発明において、加熱手段としては、
通常利用出来る任意の加熱器を用いることが出来るが、
均質な加熱雰囲気ガスとの接触という観点から、また大
量生産の観点からロータリーキルン等回転式連続焼成炉
が好ましい。なお、加熱雰囲気も空気中、あるいは一部
還元雰囲気で行なっても良い。
【0026】本発明は、粒子の表面をフッ素ドープされ
た酸化錫で被覆されたる導電性物質、特に導電性粉末に
関するものであるが、製造時に通常用いられる界面活性
剤を粉末分散剤として用いても良く、更には、フッ素と
ともに亜鉛、アンチモン,インジウム等の通常用いられ
る錫系化合物に対するドープ剤を併用しても良いことは
いうまでもないことである。
【0027】本発明において、市販されている酸化第1
錫粉末を前駆体A成分中の出発原料として用いることも
出来るが、一般にこれらは黒色又は濃褐色であり、焼成
後の導電性には差は認められないものの白色度に乏しい
ものである。この点を改良する方法としては、塩化第1
錫溶液とアルカリ性溶液との反応生成物から得られる前
駆体Aを利用すれば良い。この場合、フッ素化合物と接
触下で焼成すると白色度の高いものが得られ、導電性複
合材料として利用するときに、着色することも可能であ
り、産業利用性の高いものが得られる。なお、ここにお
いて、塩化第1錫溶液としては、水系、有機溶媒系など
任意のものが利用出来るが排水管理の観点から水系が好
ましく、通常10〜50%水溶液が用いられる。また、
アルカリ性溶液としては、塩化第1錫を加水分解するも
の、即ち前述のアンモニア,炭酸アンモニウム,炭酸カ
リウム,炭酸ナトリウム,水酸化ナトリウム,水酸化カ
リウム等、任意のものが利用出来るが、最終製品中にア
ルカリ金属を混在させないようにする観点からアンモニ
ア及びその誘導体が好ましい。
【0028】(実施例)以下、本発明を実施例により更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のものに限
定されるものではない。 実施例1 ホウ酸アルミニウムウイスカー(平均繊維長22μm,
平均繊維径0.8μm,大塚化学社製)25gと錫含有
量23.0wt%の塩化第1錫水溶液58gをガラス製容
器に仕込み、室温、攪拌下で4Nアンモニア水60mlを
約1時間を要して滴下後、以後攪拌を30分間維持、熟
成後、濾別、水洗、乾燥することにより白色粉末40.
4gを得た。なお、反応濾液の原子吸光法による錫の定
量では0.1ppm 以下であり、反応に用いた塩化第1錫
がほぼ全量消失されたことが確認された。また、走査型
電子顕微鏡による観察で、原料ホウ酸アルミニウムウイ
スカー以外の異物(粉体)が認められず、均質な付着状
態が確認された。更に、このものを10%硫酸で処理後
の原子吸光法による錫の定量で32.3%の錫が検出さ
れ、このものの過マンガン酸カリウム消費量は5.3
m.eq/gであり、被覆層の全錫量中95%以上は第1錫化
合物であった。
【0029】前記反応生成物10gを用い、メタノール
10g及び10%フッ化アンモニウム水溶液(森田化学
社製)4gとをポリエチレンビーカー中で30分間室温
で混練後、70℃で2時間乾燥することにより白色の粉
末10.2gを得た。このものを白金ルツボに移し、3
00℃で1時間マッフル炉中で加熱焼成することにより
白色の粉末10.1gを得た。なお、前記粉末を直径1
0mmの円筒リングに充填し、100Kgf/cmの加圧下で測
定した体積抵抗率は1.8Ωcmであった。(なお、以下
に示す体積抵抗率は本実施例1と同法で行なった測定値
を示す。)
【0030】また、前記粉末の2.0gを40%硫酸1
00mlと接触させ、50℃で1週間保持後、濾別、濾液
中のSnとFの溶出量を測定するとそれぞれ15ppm と
0.1ppm 以下であり、濾別後の体積抵抗率も1.7Ω
cmと変化せず、優れた耐硫酸性を示した。
【0031】実施例2〜9 実施例1において塩化第1錫液とアルカリ量を変化さ
せ、基材と被覆層の割合を変化させた結果を表1に示
す。表1により被覆層が基材に対し20wt%以下では導
電性が不充分であり、200wt%以上では、走査型電子
顕微鏡(SEM)の観察から過剰被覆のものであった。
【0032】
【表1】
【0033】比較例1〜4 実施例1において、フッ素処理しない未焼成品及びその
焼成品、フッ素処理後の未焼成品の導電性及び耐硫酸性
を調べた。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】比較例5〜8 実施例1において、塩化第1錫水溶液の代りに塩化第2
錫水溶液(錫含有量23.0%で同じ)58gと8Nア
ンモニア水60mlを用いた以外は同法で行ない43.6
gの白色粉末を得た。前記粉末を使用して、実施例1と
同法でフッ素処理、焼成処理を行なったが、表3に示す
ようにフッ素処理前後、焼成、未焼成品とも導電性、耐
硫酸性のいずれも不充分なものであった。
【0036】
【表3】
【0037】実施例10〜17 種々の基材を用いた実施例の結果を表4に示す。なお、
表中のBK300、リオベールNi、スーパーデントー
ルはチタン酸カリウイスカーにそれぞれカーボン、N
i、Agを被覆したものであり、被覆量は導電性物質中
の被覆層の割合を示す。
【0038】比較例10〜12 前記実施例1に対する比較の意味で、基材としてアルカ
リ含有基材を用いた場合の結果を表4に併せて示す。こ
れらのものは焼成時アルカリが被覆層に滲出するため、
良好な導電性が得られないことを示している。
【0039】
【表4】
【0040】比較例13 実施例1において、4Nアンモニア水滴下時、20%三
塩化アンチモン10gを平行滴下、濾別、水洗したもの
を500℃で1時間焼成することにより2.1Ωの導電
性物質を得た。但し、このものの耐硫酸性試験では15
0ppm の錫及び196ppm のアンチモンが検出され、使
用アンチモンのほぼ全量に近い溶出量が認められた。
【0041】
【発明の効果】本発明の導電性物質は、次のような優れ
た効果を奏するものである。 1) 製法が簡便であり、均質な良導電体を効率よくかつ
経済的に製造することができる。 2) 出発原料の素材形状が保持された導電性粉末が得ら
れるので、出発原料の選択により、利用目的に適合した
導電性粒子が得られる。例えば微細な粒子径をもつ原料
の形状特性を利用し、コーティング材、インキなどへの
適用性に優れた導電性粒子が得られる。 3) 耐酸性、特に抗硫酸性に優れているので電極材料等
への適用性が良い。 4) 白色度が高く、かつ着色が可能であるため各種の応
用分野において白色度や着色性の制約を受けることがな
い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子の表面がフッ素ドープされた酸化錫に
    より被覆された導電性物質。
  2. 【請求項2】微細粒子が、単分散性物質である請求項1
    に記載の導電性物質。
  3. 【請求項3】微細粒子が、異方形状物質である請求項1
    または2に記載の導電性物質。
  4. 【請求項4】微細粒子の均質分散液中で第1錫塩とアル
    カリ物質を反応させ、微細粒子の表面に含酸素錫化合物
    を沈積後、含フッ素化合物の溶液を接触、乾燥後200
    ℃〜800℃で焼成することを特徴とする導電性物質の
    製造法。
  5. 【請求項5】第1錫塩が塩化第1錫である請求項4に記
    載の導電性物質の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2516235A (en) * 2013-07-15 2015-01-21 William Blythe Ltd Free flowing stannous chloride

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