JP2003119023A - Ito粉末の製造方法及びito粉末 - Google Patents

Ito粉末の製造方法及びito粉末

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JP2003119023A
JP2003119023A JP2001314818A JP2001314818A JP2003119023A JP 2003119023 A JP2003119023 A JP 2003119023A JP 2001314818 A JP2001314818 A JP 2001314818A JP 2001314818 A JP2001314818 A JP 2001314818A JP 2003119023 A JP2003119023 A JP 2003119023A
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Junichi Kashiwagi
淳一 柏木
Koichi Kawaratani
浩一 瓦谷
Hisao Hayashi
尚男 林
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決課題】導電性の経時的減少のない安定性に優れる
ITO粉末を製造することができる方法、並びに、この
ような優れた導電特性を有するITO粉末を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】本発明は、インジウム塩及び錫塩を含む酸
性溶液とアルカリ溶液とを混合することにより得られる
混合水酸化物を加熱処理する工程を含むITO粉末の製
造方法において、アンモニア又はアンモニア化合物を、
前記インジウム塩中のインジウム金属重量と前記錫塩中
の錫金属重量との合計重量に対して0.1〜5%(アン
モニア質量基準の重量比)の比率で前記混合水酸化物に
共存させて加熱することを特徴とするITO粉末の製造
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ITO粉末の製造
方法及びITO粉末に関する。詳しくは、結晶子径を増
大させつつITO粒子の焼結、凝集を抑制することので
きるITO粉末の製造方法、並びに、高い導電率を有す
ると共に導電率の経時変化が少なく、透明性に優れたI
TO粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】ITO(Indium Tin Oxi
de:酸化錫添加酸化インジウム)は優れた導電性を有
する上に透光性が高いことから、液晶ディスプレイ、プ
ラズマディスプレイ等の透明電極材料やディスプレイフ
ィルタの電磁波シールド材料にも適用されている。この
ITOは主に薄膜の形態で使用されるが、ITO薄膜の
製造方法としては、スパッタリング法が主流であり、ス
パッタリング法によるITO薄膜は膜厚管理が極めて厳
密な薄膜電極に多用されているが、スパッタリング法は
装置コストが高くまた薄膜の製造効率に劣ることがある
ことから、ITOを粉末として適当な溶媒に分散させて
塗料としてこれを塗布する方法も採られている。
【0003】このITO塗料の原料となるITO粉末の
製造方法としては、共沈法による場合が多い。共沈法に
よるITO粉末の製造方法としては、錫及びインジウム
を含有する酸性溶液にアルカリ溶液を添加して中和反応
により錫水酸化物とインジウム水酸化物との混合水酸化
物を析出させる。そして、この混合水酸化物を熱処理す
ることで水酸化物を酸化物に酸化させると共にインジウ
ム中に錫を拡散させることで、ITO粉末とするのであ
る。
【0004】ところで、ITOは粉末の状態であっても
導電性に優れることは当然に要求されるものであるが、
ITO粉末の導電性向上の手法として上記熱処理を還元
雰囲気で行うことが知られている。この還元雰囲気下で
の加熱処理はITO粒子に微量の酸素欠損を導入させる
ことを目的としてなされるものであるが、酸素欠損の導
入により導電性が向上することが確認されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに酸素欠損の導入によりITO粉末の導電性を向上さ
せても、時間経過と共に導電性が低下するという現象が
みられることが明らかとなっている。この原因として
は、必ずしも明確ではないが、使用過程においてITO
粒子が使用雰囲気の酸素を吸収し導入された酸素欠損が
消滅することによるものと考えられている。そして、か
かる導電率の経時的安定性に劣るITO粉末は、例えば
電磁波シールド材に適用した場合、その電磁波遮蔽能が
経時的に劣化し十分機能しないこととなる。
【0006】本発明は、以上のような背景の下になされ
たものであり、酸素欠損を導入させて導電性を向上させ
るITO粉末の製造方法について、導電性の経時的減少
のない安定性に優れるITO粉末を製造することができ
る方法、並びに、このような優れた導電特性を有するI
TO粉末を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】導電性の向上には酸素欠
損の形成が不可欠であるが、導電性の安定化には形成し
た酸素欠損を安定的に維持できるようにすることが必要
である。本発明者等は、この点について詳細な検討を行
ない、その結果、導電性安定化のためには、ITO粉末
を構成するITO粒子の結晶子を成長させてその径を大
きくすることが有効であることを見出した。ここで、I
TO粒子は微細な単結晶が集合する多結晶集合体であ
り、結晶子とはこの多結晶集合体を構成する単結晶をい
う。そして、本発明者等の検討によれば、結晶子径の増
大による導電性安定化の効果は、粒子径と結晶子径とが
極力等しくなるとき、換言すれば、ITO粒子が単結晶
に近似される状態にあるときに最も大きい。
【0008】一方、ITOの結晶子を成長させる方法と
しては、上記した混合水酸化物の熱処理における処理温
度を高温とすることで可能であるが、熱処理温度を高温
とした場合、結晶子径の増大と共にITO粒子同士の焼
結、凝集が生じることとなる。そして、かかるITO粒
子が焼結、凝集した状態にあるITO粉末は、溶媒に対
する分散性が悪く、塗料にした場合の透明性が損なわれ
てしまう。また、焼結の進行したITO粒子はその径が
粗大であり、これにより塗料としたときの平滑性を害す
ることとなる。
【0009】そこで、本発明者等はITO粒子の焼結、
凝集の進行しない比較的低温での熱処理を行なっても、
結晶子を成長させることができる方法を見出すべく鋭意
検討を行なったところ、熱処理工程において、混合水酸
化物とアンモニア化合物とが共存した状態で熱処理する
ことにより上記目的を達成することができることを見出
した。この要因については必ずしも明らかではないが本
発明者等によれば、このように加熱時においてITOと
アンモニア化合物が共存することによりITO結晶子の
成長が促進されるためであると考える。この点、従来の
ITO粉末の製造においては、錫水酸化物とインジウム
水酸化物との混合水酸化物を共沈させるときの中和反応
において使用されるアルカリ溶液としてアンモニア化合
物が使用されることはあるが、従来法では中和後の洗浄
によりアンモニアを完全に除去し熱処理時にアンモニア
が残留しないようにしている。これに対し、本発明者ら
は従来法とは逆にアンモニア等を意図的に共存させて熱
処理することとし、更に、その際に共存させるアンモニ
ア等の量の最適な範囲を明確としたものである。
【0010】即ち、本発明は、インジウム塩及び錫塩を
含む酸性溶液とアルカリ溶液とを混合することにより得
られる混合水酸化物を加熱処理する工程を含むITO粉
末の製造方法において、アンモニア又はアンモニア化合
物を、前記インジウム塩中のインジウム金属重量と前記
錫塩中の錫金属重量との合計重量に対して0.1〜5%
(アンモニア質量基準の重量比)の比率で前記混合水酸
化物に共存させて加熱することを特徴とするITO粉末
の製造方法である。
【0011】以下、本発明についてより詳細に説明す
る。本発明に係るITO粉末の製造方法は、全体的な工
程は従来のものと大きく相違するものではなく、共沈法
により製造されるインジウム及び錫の混合水酸化物水酸
化物を熱処理するものである。そして、この共沈法によ
るインジウム及び錫の混合水酸化物の製造工程について
は、特に限定はない。即ち、共沈法による混合水酸化物
の製造は、インジウム塩及び錫塩を含む酸性溶液とアル
カリ溶液とを混合することによりなされる。
【0012】この酸性溶液はインジウム塩及び錫塩を溶
媒に溶解させ酸を適宜添加することで製造されるが、こ
のインジウム塩及び錫塩の種類についての限定はなく、
インジウム塩としては、硝酸インジウム(In(N
)、硫酸インジウム(In (SO)、
塩化インジウム(InCl)等が、錫塩としては、塩
化錫(SnCl)、臭化錫(SnBr)、硫酸錫
(SnSO)等といった可溶性化合物が適用可能であ
る。また、アルカリ溶液についても同様に特に限定され
るものではないが、アンモニア、炭酸アンモニウム、重
炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等のアルカリ化合物溶液が適用される。
【0013】また、酸性溶液とアルカリ溶液との混合方
法についても特に限定はされず、酸性溶液とアルカリ溶
液とを一定量同時に混合してもよく、酸性溶液にアルカ
リ溶液を添加、攪拌する形式やその逆の形式のいずれを
採用しても良い。
【0014】そして、酸性溶液とアルカリ溶液との混合
により製造された混合水酸化物は、適宜の方法により分
離、洗浄、乾燥され加熱処理を行なう。本発明は、この
加熱工程において混合水酸化物と所定濃度のアンモニア
又はアンモニア化合物とが共存した状態で加熱すること
を特徴とするものである。ここで、アンモニア又はアン
モニア化合物が反応系に共存する状態にさせる方法とし
ては、酸性溶液又はアルカリ溶液のいずれかに添加して
も良く、また、混合水酸化物を製造した後に混合水酸化
物に添加しても良く、いずれの場合でも熱処理の際にア
ンモニア化合物が存在していれば良い。
【0015】また、この熱処理時に共存させるアンモニ
ア又はアンモニア化合物の量は、上記したインジウム塩
中のインジウム金属重量と錫塩中の錫金属重量との合計
重量に対して0.1〜5%(アンモニア質量基準の重量
比)の比率で共存させるのが好ましい。0.1%未満で
は焼成時の結晶子成長が生じ難く導電率の経時安定性に
乏しくなるからである。また、5%を超えて添加する
と、ITO粉末の導電性が悪化したり、薄膜とする際に
混合する樹脂に悪影響が出ることが懸念されるからであ
る。
【0016】そして、この添加するアンモニア化合物と
しては、不溶性のものでなければ特に限定されないが、
フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム等が適用できる。
【0017】一方、この混合水酸化物の加熱処理は、水
酸化物の酸化及び錫のインジウムへの拡散を主な目的と
してなされるものであるが、上記した様に、ITO粉末
の導電性を向上させるためには、熱処理を微還元性雰囲
気で行なうのが好ましい。この際の熱処理雰囲気として
は、水素のような還元性ガスを0.1〜3%程度含有す
る不活性ガスを通気させた状態とするのが好ましい。
【0018】また、熱処理の加熱温度としては、350
℃〜800℃の範囲で行なうものとする。350℃未満
の加熱では酸素欠損量が不足し導電性が低くなるからで
ある。また、350℃未満の加熱では水酸化物が残存す
るおそれがあるだけでなく、十分に結晶子径を増大させ
ることができず導電性の経時安定性も望めないからであ
る。一方、800℃を超える高温で加熱すると、既に述
べたようにITO粒子の焼結、凝集が生じるため、IT
O粉末の分散性が悪くなり薄膜の透明性を確保し難くな
るからである。
【0019】以上の方法により製造されるITO粉末
は、その結晶子径が大きく、ITO粒子の焼結、凝集の
少ないものである。即ち、ITO粉末を構成する各粒子
が単結晶に近似しうる状態にある。ここで、本発明者等
は、ITO粉末の粒子径と結晶子径との相関より、導電
率安定性及び透明性が良好となるものを検討したとこ
ろ、平均粒子径が200Å以上1000Å未満の範囲に
あり、且つ、この平均粒子径と結晶子径との比率が0.
8以上1.0未満となるITO粉末がかかる目的に沿う
ものであることを見出した。
【0020】ここで、平均粒子径及び結晶子径の算定方
法としては、平均粒子径については透過電子顕微鏡(T
EM)を、結晶子径についてはX線回折法(XRD)に
より定めることとする。両者は共に平均粒子径及び結晶
子径の測定に一般的に用いられる方法であるが、それぞ
れの値を簡便且つ正確に測定することができる。
【0021】そして、本発明において、平均粒子径を2
00Å以上1000Å未満の範囲とするのは、200Å
未満のITO粒子は導電性の安定性に乏しく長期間使用
による経時的低下が顕著となるからである。また、10
00Åを超えるものは塗料としたときに平滑な塗膜を形
成することが困難となるからである。一方、平均粒子径
と結晶子径との比率が0.8以上1.0未満の範囲とす
るのは、0.8未満となると粒子の凝集がみられ始め薄
膜としたときの透明性が損なわれるからである。また、
この比率の値が1.0となるのはITO粒子が完全な単
結晶であることを示すものであり、理論上1.0以上と
なることはないからである。
【0022】一方、本発明に係る製造方法によれば、こ
のような平均粒子径、結晶子径を有するITO粉末の製
造は容易となるが、この方法は熱処理過程でアンモニア
化合物を共存させるものであり、その後のアンモニアの
残留することとなる。本発明者等によれば、平均粒子径
の値及び平均粒子径/結晶子径の値が上記範囲内のIT
O粉末はアンモニアの含有量が200ppm以上200
0ppm以下とするのが好ましい。200ppm以下の
アンモニアは不可避の不純物である一方、2000pp
mを超えるアンモニアの混入があるITO粉末は導電性
に好ましくないものがあるからである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面と共に説明する。
【0024】第1実施形態:硝酸インジウム溶液(In
(NO溶液:インジウム換算312g/l)を6
41ml(インジウム金属換算200g)と、60重量
%SnCl水溶液56.5g(錫金属換算34g)と
を混合し、混合溶液を製造した。この混合溶液をステン
レス製タンク(容量10l)に入れ、ホットスターラー
で攪拌しながら40℃に加熱した。
【0025】そして、この溶液にアンモニア化合物とし
てフッ化アンモニウムを3.9g(インジウム塩中のイ
ンジウム金属重量と前記錫塩中の錫金属重量との合計重
量に対して0.8%(アンモニア質量基準)である。)
添加し更に10分間加熱した。
【0026】この溶液の液温が安定したところで、10
%アンモニア水溶液をローラーポンプにて流量1l/m
inで添加しpH4となるまで添加した。このアンモニ
ア水溶液の添加により溶液は白濁し、錫水酸化物及びイ
ンジウム水酸化物からなる混合水酸化物を含むスラリー
が生成された。
【0027】このスラリーを50℃の温水によるデカン
テーションを4回繰り返して洗浄した。この際、上澄み
液の導電率を測定し500μS/secであることを確
認した。洗浄後のスラリーに純水を添加し100g/l
とし、これをスプレードライヤーにて噴霧乾燥した(入
り口温度140℃、出口温度75℃)。
【0028】次に、得られた乾燥粉末25gを回転管状
雰囲気炉内に封入し、1%水素添加した窒素ガスを15
0ml/minの流量で管内に供給し微還元性雰囲気で
600℃、2時間加熱して熱処理をした。熱処理後ガス
雰囲気を窒素雰囲気に切り替え常温まで冷却しITO粉
末を得た。
【0029】第2〜第5実施形態:第1実施形態で混合
酸性溶液に添加したアンモニア化合物をフッ化アンモニ
ウムから、それぞれ、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニ
ウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムを添加し
た。添加量は、それぞれ、10.0g、8.6g、5.
6g、13.8gとした(いずれもインジウム金属重量
と錫金属重量との合計重量に対して0.8%であ
る。)。その他の共沈反応の条件、熱処理条件は第1実
施形態と同様とした。
【0030】第6実施形態:本実施形態では、アンモニ
ア化合物の添加のタイミングを変更し、第1実施形態に
おける酸性溶液への添加から、共沈反応後の混合水酸化
物へ添加することとした。
【0031】本実施形態におけるアンモニア化合物の添
加は、第1実施形態と同様の方法にて製造した混合酸性
溶液に、10%アンモニア水溶液をpH4となるまで添
加して得られるスラリーをデカンテーション洗浄した。
このスラリーにフッ化アンモニウムを3.9g添加し、
攪拌機にて30分攪拌した。この後の工程は第1実施形
態と同様とした。
【0032】第7〜第9実施形態:これらの実施形態
は、第1実施形態で添加したフッ化アンモニウムの添加
量を変更し、それぞれ2g、10g、20gとした(イ
ンジウム金属重量と錫金属重量との合計重量に対する比
率は、それぞれ、0.4%、2.0%、3.9%であ
る。)。その他フッ化アンモニウムの添加のタイミン
グ、熱処理条件等は第1実施形態と同様とした。
【0033】第10実施形態:本実施形態では第6実施
形態と同様、アンモニア化合物の添加のタイミングを共
沈反応後の混合水酸化物へ添加することとし、アンモニ
ア化合物としてアンモニア水を適用した。第6実施形態
と同様の方法にて製造したスラリーをデカンテーション
洗浄し、このスラリーに25%アンモニア水16ml添
加し、攪拌機にて30分攪拌した。この後の工程は第1
実施形態と同様とした。
【0034】比較例:以上の実施形態に対する比較例と
して、熱処理時にアンモニア化合物を共存させずに混合
水酸化物を熱処理した。即ち、第1実施形態において酸
性溶液製造後にフッ化アンモニウムを添加していたのに
対し、比較例ではこれを行わずに直ちにアンモニアを添
加して混合水酸化物を得て、混合水酸化物を十分洗浄し
て熱処理を行ってITO粉末を製造した。この熱処理条
件については第1実施形態と同様とした。
【0035】以上の第1〜第10形態及び比較例にて製
造されたITO粉末は、ICPにて組成を分析すると共
に、以下の方法にて各種特性を測定した。
【0036】体積固有抵抗率測定:直径45mm、深さ
10mmのアルミニウム製カップにITO粉末試料を充
填し、これをプレス成型機にて加圧力49MPaで加圧
成型してペレットとした。そして、このペレットを抵抗
率測定器(三菱化学社製ロレスタAP)及び四短針プロ
ーブにてまず製造後のITO粉末の体積抵抗率を測定し
た。次に、このペレットをステンレス製バットに入れ、
箱型温風循環式乾燥機中で70℃、240時間加熱保持
した後に、同様の方法で加熱後のITO粉末の体積固有
抵抗率を測定した。得られたこれらの値については、
(加熱後の体積固有抵抗率−初期体積固有抵抗率)/初
期体積固有抵抗値×100)の式にて抵抗率の増加率を
求め、導電率の安定性を検討した。
【0037】結晶子径測定:結晶子径の測定は、製造さ
れたITO粉末についてX線回折分析(XRD)にて行
なった。X線回折分析は、自動X線回折装置(リガク社
製RINT−2000)を用い、X線源としてCu管を
用いた。尚、測定範囲は20°≦2θ≦40°とし、結
晶子径の測定には、2θ=21.5°、30.5°、3
5.5°、37.7°のピークをもとに行なった。結晶
子径の測定は、これらのピークからWillson法に
より得られる値を最小自乗法から求めることとした。
【0038】粒子径測定:ITO粉末の粒子径の測定
は、以下のようにして行なった。試料1gを50mlの
水に入れて超音波分散させる。この液をスポイトで採取
し、コロジオン溶液の中に1滴滴下してコロジオン膜を
作成し、銅メッシュで掬い取る。そして、膜を乾燥させ
た後カーボン蒸着して透過電子顕微鏡(TEM:日立製
作所製H−9000NAR)にて観察した。この際、任
意の50個の粒子について選定を行ないその平均値を平
均粒子径とした。
【0039】アンモニア残存量測定:試料100gを1
lビーカーに入れ、これに純水500mlを添加し、攪
拌しながら80℃まで加熱してこの温度で保持する。1
時間攪拌した後に常温まで冷却して固液分離して濾液に
純水を加えて1lにする。この液のアンモニア量をキレ
ート試薬による比色測定で測定した。
【0040】第1〜第10実施形態及び比較例にて製造
されたITO粉末の各種測定値を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】この結果、第1〜第10実施形態において
製造されたITO粉末は粒子径が300Å前後と比較例
で製造したITO粉末の粒子径(約150Å)の倍の粒
子径を示している。これは、比較例では熱処理時の温度
を各実施形態と同じとしたが、この温度が低すぎるため
にITO粒子の成長が生じなかったことによると考えら
れる。また、各実施形態で製造したITO粒子は、XR
Dで測定される結晶粒子径とTEMにて測定される粒子
径とが近似していることから、本実施形態で製造したI
TO粒子は焼結、凝集の少ない単結晶状態に近いものと
考えられる。
【0043】そして、第1〜第10実施形態で製造され
たITO粉末の導電率の安定性については、抵抗率の増
加率が約100%以下であることからみるといずれも良
好であることが確認された。特に、第1、第6実施形態
に係るITO粉末は、増加率60%と極めて優れた安定
性を示した。一方、比較例に係るITO粉末は、初期の
導電率は実施形態と同様ではあるが、抵抗率の増加率2
50%以上と大きく導電率の安定性に乏しいことがわか
る。この要因としては、比較例に係るITO粉末は熱処
理温度が各実施形態と同じであるが、アンモニア化合物
を共存させなかったために結晶子が成長し難く、結晶子
径が小さいことによるものと考えられる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、結
晶子径が大きく且つ粒子同士の焼結、凝集の少ないIT
O粉末を製造することができる。そして、本発明に係る
ITO粉末は、平均粒子径の値、及び、平均粒子径と結
晶子径との比の値を適正な範囲としたことで、高い導電
率を有し、その経時的変化も少なく安定性にも優れてい
る。また、本発明に係るITO粉末は粒子の焼結、凝集
が少ないことから透明性にも優れている。そのため、本
発明に係るITO粉末は、ITO膜製造用の塗料として
好適であり、例えば、電磁波シールド用のITO膜に適
用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 尚男 山口県下関市彦島西山町1丁目1番1号彦 島製錬株式会社機能粉工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インジウム塩及び錫塩を含む酸性溶液と
    アルカリ溶液とを混合することにより得られる混合水酸
    化物を加熱処理する工程を含むITO粉末の製造方法に
    おいて、アンモニア又はアンモニア化合物を、前記イン
    ジウム塩中のインジウム金属重量と前記錫塩中の錫金属
    重量との合計重量に対して0.1〜5%(アンモニア質
    量基準の重量比)の比率で前記混合水酸化物に共存させ
    て加熱することを特徴とするITO粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 アンモニア化合物として、フッ化アンモ
    ニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムを共存さ
    せる請求項1記載のITO粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 加熱処理を微還元性雰囲気で行なう請求
    項1又は請求項2記載のITO粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱温度を、350〜800℃とする請
    求項1〜請求項3記載のITO粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 透過電子顕微鏡により観察される粒子の
    平均粒子径が200Å以上1000Å以下であり、前記
    平均粒子径とX線回折法により測定される結晶子径との
    比が、0.8以上1.0未満であるITO粉末。
  6. 【請求項6】 アンモニア含有量が200ppm以上2
    000ppm以下である請求項5記載のITO粉末。
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Cited By (7)

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