JP5136904B2 - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents
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Description
一般に、電子部品材料用として用いられる粒子径1.0μm以下のニッケル粉は、気相還元法、湿式還元法、噴霧熱分解法、蒸発凝集法などの公知の技術により製造されている。ただし、電子部品材料の小型化や高効率化が求められ、従来よりも粒子径が小さく、かつ、分散性が優れた粒子への要求が大きくなると、それぞれ以下のような欠点が顕在化し、その改善が求められてきた。
また、前記工程(D)の還元は、430〜450℃で行うことが好ましい。
本発明のニッケル粉の製造方法は、塩化ニッケル水溶液をアルカリ水溶液で中和して水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程(A)と、工程(A)で生成した水酸化ニッケルを、濃度0.0004〜0.0015[モル/L]の硫酸あるいは硫酸塩水溶液で洗浄し、さらに水洗して前記水酸化ニッケルに残留している塩素を除去する工程(F)と、該水酸化ニッケルを空気中で熱処理して酸化ニッケルを生成させる工程(B)と、該酸化ニッケル表面を水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物で被覆あるいは付着させる工程(C)と、該水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物を表面を被覆あるいは付着させた酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする工程(D)と、前記アルカリ金属ハロゲン化物を洗浄除去する工程(E)とを備えたニッケル粉の製造方法である。
本発明のニッケル粉の製造方法においては、水酸化ニッケルに特定の水溶性アルカリ金属ハロゲン化物を付加した後に還元処理すること、および還元後にアルカリ金属ハロゲン化物を特定条件で洗浄除去することが重要である。すなわち、工程(C)において酸化ニッケル表面に被覆あるいは付着した水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物が、工程(D)の還元処理においてニッケル粉の過度の焼結による連結粒子の発生を抑制するので、分散性に優れたニッケル粉を得ることができる。さらに、還元処理後に工程(C)で付加したアルカリ金属ハロゲン化物を洗浄除去することでニッケル粉の不純物品位を電子部品用として好適な範囲に低減させることができる。
[工程A]
工程(A)はニッケル塩水溶液をアルカリ水溶液で中和して水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程である。ニッケル塩は、廃水処理の容易さなど環境への影響とコスト面を考慮すると、塩化ニッケルを用いることが好ましい。水酸化ニッケルの沈殿を生成させる方法については、公知の技術を用いることができるが、均一な沈殿を得るためにニッケル塩水溶液とアルカリの中和は、pHを一定に保ちながら行うのが、沈殿生成速度を一定に保つことができるため好ましい。この時、均一な特性の水酸化ニッケルを得るために、十分に攪拌されている反応槽内に、ニッケル塩水溶液と水酸化ナトリウム水溶液をダブルジェット方式で添加しながら中和生成させることが有効である。反応槽内にあらかじめ入れておく液は純水を用いることができるが、中和生成に一度使用したろ液を所定のpHにアルカリで調整した液を用いることが好ましい。使用するアルカリ水溶液については、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などの水酸化アルカリ金属の水溶液を用いることが好ましく、入手しやすさや価格などの点で水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。また、より分散性に優れたニッケル粉を得るために、公知の技術の利用として、水酸化ニッケルにマグネシウムなどの周期表第II属元素を添加することができ、本発明と併用することでその効果を一層高めることができる。
また、ニッケル粉中の不純物塩素をより効果的に低減するために、硫酸あるいは硫酸塩水溶液で洗浄した後、さらに水洗する工程(F)を備えることが好ましい。
工程(F)は、原料水酸化ニッケル粉中の不純物濃度を低減させるために、生成した水酸化ニッケルを硫酸あるいは硫酸塩水溶液で洗浄した後、さらに水洗する工程である。
工程(F)は、得られた水酸化ニッケルのゲルを解消しながらの洗浄となるため、水酸化ニッケルに残留する塩素を効率よく低減させることができる。そのため、次工程以降の塩素による負荷を下げることにもなり、得られる効果は大きい。
工程(F)を実施するときに洗浄に使用する硫酸あるいは硫酸塩水溶液濃度は、0.0004〜0.0015mol/Lであることが好ましい。硫酸あるいは硫酸塩水溶液濃度が0.0004mol/L未満であると洗浄効果が十分に得られず、濃度が0.0015mol/Lを超えた場合、残留する硫黄濃度が高くなりすぎて粒子の焼結挙動を著しく変化させるため、次工程以降の熱処理時に目的とする粒子が得られない可能性があるため好ましくない。洗浄時の水溶液の温度は常温で可能であるが、洗浄効果を高めるため加熱してもよい。
水酸化ニッケル粉に対する硫酸あるいは硫酸塩水溶液の量は特に限定されるものではなく、残留塩素が十分に低減できる量とすればよいが、水酸化ニッケル粉を良好に分散させるためには、水酸化ニッケル粉/処理液の混合比を100g/L程度とすることが好ましい。また、洗浄時間は特に限定されるものではなく、洗浄条件により残留塩素濃度が十分に低減される洗浄時間とすればよい。
工程(F)における洗浄は、あらかじめ硫酸あるいは硫酸塩濃度を調整した水溶液を準備し、これに攪拌しながら乾燥した水酸化ニッケルの粉末を加えることで行えるが、含水したままのケーキ状のものを使用する方が、均一な処理を行いやすく洗浄の効率が良くなるばかりか、工程の短縮にもなるために好ましい。ケーキ状の水酸化ニッケルを洗浄する場合には、水酸化ニッケルのろ過ケーキに少量の水を加えてスラリー状にした後、添加後に所定の濃度となるように調整した硫酸あるいは硫酸塩水溶液を攪拌しながら一度に添加することが、均一な処理のために好ましい。
水酸化ニッケルケーキの水分含有率については、10〜40質量%であることが好ましく、30質量%程度にすることがさらに好ましい。水分含有率が10質量%よりも低い場合、均一に水溶液中に分散しにくく洗浄の効率が悪くなることや、水分含有率を下げるためにより厳しい脱水処理が必要となるなどの制約があり好ましくない。一方で、水分含有率が40質量%よりも高い場合、水酸化ニッケルのハンドリング性が悪く、均一な処理を妨げる場合がある。また、一定量の水酸化ニッケルを得るために必要な処理量が増加してしまう。
洗浄後の水酸化ニッケルは、真空乾燥などの公知の方法で乾燥すればよい。
工程(B)は、工程(A)で得られた水酸化ニッケルを空気中で熱処理して酸化ニッケルとする酸化ニッケルを生成させるための熱処理工程である。熱処理工程(B)では、静置式焙焼炉、転動炉、バーナー炉、搬送式連続炉、流動焙焼炉など、一般的な焙焼炉を用いて公知の方法で行うことができるが、目的とするニッケル微粉を得るためには、ここで均一な特性の酸化ニッケルを得ることが重要である。その際の条件は、目的とする粒子径などの特性が得られるように、炉の特性に応じて任意に設定することができるが、均一な処理を行うためには、ガス気流中で行うことが好ましい。
熱処理の雰囲気は、非還元性雰囲気であれば問題なく、ガス種については不活性ガスおよび酸化性ガスであれば種類は制約されるものではないが、空気を使用することがコストや取り扱いやすさなどの点で優れている。
工程(C)は、工程(B)で得られた酸化ニッケル表面に水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物を被覆あるいは付着させる工程である。ここで、酸化ニッケルに前記アルカリ金属ハロゲン化物を付加することが重要である。工程(C)で酸化ニッケル表面に前記アルカリ金属ハロゲン化物を被覆あるいは付着させることで、次の工程(D)の還元処理において焼結を抑制して粒子同士の連結が防止され、高い分散性のニッケル粉を得ることができる。
本発明で採用している酸化物粉末還元法は、還元処理する際に起きる酸化ニッケルの粒子形状の変化を制御して目的とするニッケル粉を生成させる技術である。すなわち、形状などが均一な酸化ニッケルの還元処理を制御しながら行うことで、目的とする特性を持った均一なニッケル粉が得られるのであり、焼結防止剤の役割を果たすアルカリ金属ハロゲン化物の付加は、酸化ニッケルへの転換後に行う必要がある。
例えば、水酸化ニッケル生成時に、添加あるいは反応生成物を利用することにより、アルカリ金属ハロゲン化物を水酸化ニッケルに付加させる方法では、その後の熱処理によって得られる酸化ニッケルが微細になり過ぎるとともに粒径が不均一になるため、最終的に得られるニッケル粉は微細で粒度分布が広いものとなってしまう。また、水酸化ニッケルは表面の一部ないし全体がゲル状になりやすいことから、均一なアルカリ金属ハロゲン化物の付加を行なうことができない。したがって、アルカリ金属ハロゲン化物の付加は酸化ニッケルに対して行う必要がある。
使用するアルカリ金属ハロゲン化物としては、入手しやすさやコスト、さらには除去した場合の環境への影響等を考慮すると、塩化ナトリウムあるいは塩化カリウムの少なくとも一種を用いることが好ましい。また、酸化ニッケル表面に被覆あるいは付着させるために添加するアルカリ金属ハロゲン化物の量は、酸化ニッケルの質量を100とした場合の質量比で0.05〜10とすることが好ましい。付加量比が0.05未満の場合には、焼結抑制の効果が十分に得られないことや、均一な付加処理が難しくなる場合があり、付加量比が10を超えると、工程(D)における還元を妨げる場合があるほか、不純物品位が増大するリスクが増えるので好ましくない。
工程(D)は、得られた酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元処理してニッケル粉を生成する工程である。還元処理においても、目的とする粒子径などに応じて適宜、処理温度および時間などの処理条件を設定することができるが、工程(B)と同様にガス気流中で行うことが、均一なニッケル粉を得るために好ましい。
還元処理は一般的な熱処理炉を使用できるが、その場合1μm以下の粒子径のニッケル粉を得るためには、還元温度は300〜550℃とすることが好ましい。300℃未満では、還元が十分に行われず、酸素含有量が多くなり過ぎる場合がある。還元温度が高いほど、また、還元時間を長く設定するほど粒子径は大きくなる傾向があるため、電子部品材料用としてより好ましい0.5μm以下で酸素含有量が十分に少ない微細なニッケル粉を得るためには、還元温度は350〜500℃とすることが好ましい。特に、比表面積を低減させたい場合には、還元温度を430〜450℃とすることが好ましい。430℃未満では、比表面積を十分に低減できない場合がある。
還元時間は温度、処理量により、得ようとするニッケル粉の粒径に応じて適宜設定すればよいが、可能な限り短時間とすることが好ましい。
還元ガスは特に制約されるものではないが、入手しやすさや環境への影響を考慮すると、含水素ガスを使用することが好ましい。上記温度範囲で還元処理を行う場合には、付加したアルカリ金属ハロゲン化物は安定して存在できるため、塩化水素ガスの発生などの原因とはならない。
工程(E)は、還元処理後に工程(C)で付加したアルカリ金属ハロゲン化物を洗浄除去する工程である。工程(E)により、不純物であるアルカリ金属品位やハロゲン品位を低下させたニッケル粉を得ることが可能となる。一方で、湿式の洗浄工程を経ることにより、乾燥時に乾燥凝集が発生してニッケル粉の分散状態が悪化することや、表面の酸化による比表面積の増加が発生する。乾燥凝集に関しては焼結による粗大粒子の発生とは異なり、乾式・湿式の解砕処理により容易に解消することができる。また、比表面積の増加に関しては、工程(E)における洗浄液を有機酸水溶液とすることで緩和できるため好ましい。前記水溶液中に含有させる有機酸は、クエン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸から選ばれる少なくとも一種とすることが好ましい。工程(C)で付加されたアルカリ金属ハロゲン化物は水溶性のため、純水を用いた洗浄によってもかなりの部分を除去することが可能であるが、洗浄液に上記有機酸を含有させて攪拌して洗浄した場合には、付加したアルカリ金属ハロゲン化物をより効率よく除去することができる。また、アルカリ金属ハロゲン化物以外にも工程(A)で塩化ニッケルを用いた場合に残留した塩化ニッケル由来の塩素や、分散性向上のために添加した第II族元素なども除去することができる。さらに、上記有機酸はニッケル表面への吸着性が高いため、表面保護剤としてニッケル粉の過度の酸化を抑制する作用も示す。
上記洗浄の温度は任意の温度で行うことが可能であるが、30〜80℃に加熱して行うことが好ましく、40〜60℃とすることがさらに好ましい。洗浄温度を高くする方が不純物の除去という点においては優れているが、洗浄温度が高いほどニッケル粉が酸化されやすくなるほか、温度を上げるためのエネルギーが必要になるなどの問題点がある。したがって、その影響を加味すると上記範囲が好ましい。
洗浄に用いる装置は特に限定されるものではなく、通常の湿式反応槽を用いることができる。洗浄中はニッケル粉を含むスラリーを攪拌することが好ましく、洗浄には例えば超音波攪拌を用いるか機械式攪拌を用いることができる
本発明のニッケル粉の製造方法は、湿式法により製造した水酸化ニッケルを還元処理するため、複雑な工程を備えておらず、さらに簡便な方法で不純物品位を低減させることができるので、その製造コストも低く抑えることができる。
還元時の融着抑制剤となるマグネシウムを0.04g/L含んだニッケル濃度60g/Lの塩化ニッケル水溶液と、24質量%の水酸化ナトリウム水溶液をpH=8.3となるように調整しながら連続的に添加することで水酸化ニッケルの沈殿を生成させた。その後、ろ過と30分の純水レパルプを3回繰り返して水分含有率30質量%の水酸化ニッケルろ過ケーキを得た。さらに、このろ過ケーキ3kgに少量の水を加えた後、先に加えた水との合計で0.0015mol/Lの硫酸10Lとなるように濃度調整した硫酸を加え、30分間攪拌して洗浄した。洗浄後にろ過し、再度、純水でレパルプ洗浄し、乾燥して水酸化ニッケル微粉末を得た。
NaCl比が0.1となるように調整した以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得た。なお、還元ニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.31μm、D50が0.49μm、D90が0.80μmであり、比表面積が4.5m2/g であった。また、酸素と塩素、ナトリウム、マグネシウムを測定したところ、酸素品位は1.1質量%であり、塩素品位は1200質量ppmであり、ナトリウム品位は520質量ppmであり、マグネシウム品位は590質量ppmであった。
また、還元処理後に洗浄して最終的に得られたニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.31μm、D50が0.50μm、D90が0.83mであり、比表面積が5.1m2/g であった。
また、塩素とナトリウム、マグネシウムの品位を測定したところ、塩素品位は30質量ppm未満であり、ナトリウム品位は30質量ppm未満であり、マグネシウム品位は60質量ppmであった。得られたニッケル粉の比表面積、粒度分布の測定結果を表1に、洗浄前後の塩素、ナトリウム、マグネシウムの分析結果をそれぞれ表2に示す。
NaCl比が10となるように調整した以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得た。なお、還元ニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.32μm、D50が0.48μm、D90が0.75μmであり、比表面積が4.3m2/gであった。また、酸素品位は、1.4質量%であった。
また、還元処理後に洗浄して、最終的に得られたニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.32μm、D50が0.47μm、D90が0.77μmであり、比表面積が6.6m2/g であった。得られたニッケル粉の比表面積、粒度分布の測定結果を表1に示す。
前記被覆酸化ニッケルとする処理を行わなかったこと、還元ニッケル粉に対する洗浄処理を行わなかった以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得た。得られたニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.45μm、D50が0.73μm、D90が1.13μmであり、比表面積が4.2m2/g であった。また、酸素濃度の測定を行ったところ、0.88質量%であった。得られたニッケル粉の比表面積、粒度分布の測定結果を表1に示す。
前記被覆酸化ニッケルとする処理に変えて、同量の塩化ナトリウムと酸化ニッケルを混合した以外は実施例1と同様にして還元ニッケル粉を得た。得られた還元ニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.35μm、D50が0.60μm、D90が1.04μmであり、比表面積が4.0m2/g であった。洗浄前の還元ニッケル粉でD90が1.0μmを越えており、塩化ナトリウムと酸化ニッケルを混合するのみでは、分散性を改善する効果が十分でないことが分かる。
さらに、表2より実施例1および2は還元ニッケル粉を洗浄することで塩素品位、ナトリウム品位、カリウム品位がいずれも100質量ppm以下のニッケル粉となり、残留する塩素やアルカリ金属元素濃度が十分に低減されていることがわかる。
前記還元処理時の温度を420℃から430℃とした以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得た。得られたニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.33μm、D50が0.53μm、D90が0.82μmであり、比表面積が4.6m2/g であった。また、酸素濃度の測定を行ったところ、0.88質量%であった。得られたニッケル粉の比表面積、粒度分布の測定結果を表3に示す。
前記還元処理時の温度を440℃とした以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得た。得られたニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.32μm、D50が0.53μm、D90が0.88μmであり、比表面積が4.2m2/gで あった。また、酸素濃度の測定を行ったところ、0.87質量%であった。得られたニッケル粉の比表面積、粒度分布の測定結果を表3に示す。
前記還元処理時の温度を450℃とした以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得た。得られたニッケル粉の粒度分布の測定を行ったところ、D10が0.32μm、D50が0.55μm、D90が0.94μmであり、比表面積が4.1m2/g であった。また、酸素濃度の測定を行ったところ、0.80質量%であった。得られたニッケル粉の比表面積、粒度分布の測定結果を表3に示す。
Claims (8)
- 塩化ニッケル水溶液をアルカリ水溶液で中和して水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程(A)と、工程(A)で生成した水酸化ニッケルを、濃度0.0004〜0.0015[モル/L]の硫酸あるいは硫酸塩水溶液で洗浄し、さらに水洗して前記水酸化ニッケルに残留している塩素を除去する工程(F)と、該水酸化ニッケルを空気中で熱処理して酸化ニッケルを生成させる工程(B)と、該酸化ニッケル表面を水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物で被覆あるいは付着させる工程(C)と、該水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物を表面を被覆あるいは付着させた酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする工程(D)と、前記アルカリ金属ハロゲン化物を洗浄除去する工程(E)とを備えることを特徴とするニッケル粉の製造方法。
- 前記工程(C)において、工程(B)で得られた酸化ニッケルと水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物の水溶液とを混合してスラリー化した後、このスラリーを乾燥して水分を除去することによってアルカリ金属ハロゲン化物で表面を被覆あるいは付着させた酸化ニッケルを得ることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物が、塩化ナトリウムあるいは塩化カリウムの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記工程(C)において、水溶性のアルカリ金属ハロゲン化物の量を、酸化ニッケルの質量を100とした場合の質量比で0.05〜10とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記工程(D)の還元を、430〜450℃で行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記工程(E)の洗浄除去を、ニッケル粉を有機酸水溶液中で攪拌することにより行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記有機酸をクエン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸から選ばれる少なくとも一種とすることを特徴とする請求項6に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記工程(E)において、洗浄を30〜80℃に加熱した状態で行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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