JP5125411B2 - ニッケル粉およびその製造方法 - Google Patents
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また、金属ハロゲン化物の蒸気を気相還元して得た金属粉を、界面活性剤を添加した水により洗浄し、残留する金属ハロゲン化物を除去する洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この提案では、界面活性剤の添加により残留ハロゲン化物の量を効果的に低減することができること、塩化ニッケルを気相還元したニッケル粉への適用が可能であることが開示されている。
一方、アンモニア水によるニッケル粉の洗浄方法も提案されている。例えば金属ハロゲン化物の蒸気を気相還元して得た金属粉をアンモニア水を用いて洗浄することが提案され、その実施例において、塩化ニッケルの水素還元により得られたニッケル粉への適用が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、有機酸によるニッケル粉の洗浄方法も提案され、例えば金属ハロゲン化物の蒸気を気相還元して得た金属超微粉を、グルタミン酸で洗浄することが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この中で、金属ハロゲン化物として、ハロゲン化ニッケルを用いた場合について検討され、ハロゲンとして特に塩素の場合にその洗浄方法が好適に用いられることが開示されている。
低残留ハロゲンのニッケル粉を得ようとした場合、塩化ニッケルよりも硝酸ニッケルや硫酸ニッケルを出発原料とする方が有利である。しかし、硝酸ニッケルを原料とした場合には、硝酸ニッケルが高価であるばかりか、硝酸性窒素濃度の高い廃液が発生するため、環境負荷を考慮すると処理設備に多くのコストが必要となるという問題がある。また、硫酸ニッケルを原料とした場合には、溶解度が塩化ニッケルよりも小さく、かつ単位質量あたりのニッケル量も低いため、生産性が低く高コストになる。
さらに、前記工程(D)においては、洗浄液中に不活性ガスを連続して導入することが好ましく、不活性ガスは窒素ガスであることが好ましい。
本発明に係る製造方法においては、前記工程(C)における還元ガスは、含水素ガスであることが好ましく、還元は300〜450℃で行なうことが好ましい。
本発明においては、本発明のニッケル粉の製造方法によって得られるニッケル粉であって、残留塩素濃度が150質量ppm以下であることを特徴とするニッケル粉をも提供する。
本発明のニッケル粉の製造方法は、塩化ニッケル水溶液をアルカリ水溶液で中和して水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程(A)と、水酸化ニッケルを空気中で熱処理して酸化ニッケルを生成させる工程(B)と、酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする工程(C)と、還元後のニッケル粉を洗浄する工程(D)を備えたニッケル粉の製造方法であって、前記工程(D)において、洗浄液としてアスコルビン酸、グルタミン酸、クエン酸から選ばれる1種ないし2種以上を含む水溶液を用いることを特徴とするものである。
生成した水酸化ニッケルをろ過により脱水し、ろ過ケーキを得る。この時、十分に残留塩素濃度を下げることが好ましいため、数回のろ過・レパルプ洗浄を繰り返してもよいが、残留塩素濃度を下げながらスラリー濃度を上げていく方法としてクロスフロー方式のろ過を用いることも有効である。
工程(B)で得られた酸化ニッケルを、工程(C)において、還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする。この時、還元性ガスは適宜選定することができるが、入手しやすさや環境への影響を考慮すると、含水素ガスを使用することが好ましい。また、還元条件についても、得ようとするニッケル粉に応じて設定することができるが、温度は300〜450℃とすることが好ましい。還元温度が450℃よりも高い場合には、ニッケル粉の焼結が進行し、分散性の良好な粒子が得られなくなる。一方で、還元温度が300℃よりも低い場合には、酸化ニッケルからニッケルへの還元反応が起こりにくく、ニッケル粉の製造効率が著しく悪化する。
ニッケル粉の洗浄は、アスコルビン酸、グルタミン酸、クエン酸から選ばれる1種ないし2種以上を含む水溶液に、ニッケル粉を分散させてスラリー状態に保持することで行う。 有機酸の効果については必ずしも明確ではないが、塩素と交換吸着することで残留塩素を効率的に除去することができると考えられ、前記アスコルビン酸、グルタミン酸、クエン酸はその効果が大きく、これらの水溶液を用いて洗浄することで、比表面積の増加を抑制しながら残留塩素を大幅に低減することが可能である。
洗浄液の濃度は5〜50g/Lとすることが好ましい。濃度が5g/L未満の場合には洗浄効果が十分でなく、残留塩素が低減できない可能性がある。濃度が50g/Lよりも大きくしても特に問題はないが、洗浄効果に向上が見られず、経済的でない。
ニッケル粉を洗浄する工程(D)においては、洗浄液中に不活性ガスを連続して導入することが好ましく、不活性ガスは窒素ガスであることが好ましい。不活性ガスを導入することでニッケル粉の酸化を抑制し比表面積の増加をさらに抑制しながら効率よく塩素濃度を下げることができる。
効率よく水溶液中全体に導入するため、不活性ガスは可能な限り微細な気泡にして導入することが好ましい。バブラーを用いて微細な気泡を発生することが、酸化の抑制と攪拌効率の向上の面で有効である。
硫酸あるいは硫酸塩水溶液濃度が0.0004mol/L未満であると洗浄効果が十分に得られず、濃度が0.0015mol/Lを超えると洗浄効果の改善が得られないばかりか、残留する硫黄濃度が高くなりすぎて得られるニッケル粉が電子材料として不適となる可能性があるため、好ましくない。洗浄時の水溶液の温度は常温で可能であるが、洗浄効果を高めるため加熱してもよい。
洗浄に用いる装置は特に限定されるものではなく、工程(D)においてニッケル粉の洗浄と同様の装置を用いることができる。
[実施例]
得られたニッケル粉5gを窒素ガスの導入により溶存酸素を除去した10g/Lのグルタミン酸水溶液50mL中に分散し、60℃で30分間攪拌洗浄した。洗浄後のニッケル粉は、吸引ろ過後に再度純水でレパルプ洗浄し、ろ過後80℃で真空乾燥しニッケル粉末を得た。得られたニッケル粉の塩素濃度は、30質量ppmであった。
(比較例1)
(比較例2)
(比較例3)
また、水酸化ニッケルの洗浄とニッケル粉の洗浄を本発明に従って行った実施例2および3は、残留塩素濃度が実施例1よりさらに低減されていることがわかる。一方、水酸化ニッケルの洗浄のみを行った比較例2および3は、残留塩素濃度が低減されていないことがわかる。
得られたニッケル粉の残留塩素濃度は30質量ppmであり、比表面積は4.79m2/gであった。この時の比表面積の増加量は0.42m2/gであり、比表面積の増加率は9.6%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
得られたニッケル粉の残留塩素濃度は、30質量ppmであり、比表面積は4.70m2/gであった。この時の比表面積の増加量は0.33m2 /gであり、比表面積の増加率は7.6%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
得られたニッケル粉の残留塩素濃度は20質量ppmであり、比表面積は4.79m2/gであった。この時の比表面積の増加量は0.36m2 /gであり、比表面積の増加率は8.1%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
得られたニッケル乾燥粉の残留塩素濃度は30質量ppmであり、比表面積は4.63m2/gであった。この時の比表面積の増加量は0.20m2/gであり、比表面積増加率は4.5%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
得られたニッケル粉の残留塩素濃度は40質量ppmであり、比表面積は4.43m2/gであった。この時の比表面積の増加量は0.16m2/gであり、比表面積の増加率は3.7%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
得られたニッケル粉の残留塩素濃度は150質量ppmであり、比表面積は4.85m2 /gであった。この時の比表面積の増加量は0.42m2 /g、比表面積増加率は9.5%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
(比較例4)
得られたニッケル粉の残留塩素濃度は50質量ppm、比表面積は6.13m2/gであった。この時の比表面積の増加量は1.70m2/gであり、比表面積の増加率は38%であった。表2に洗浄条件、残留塩素濃度、比表面積変化をまとめて示す。
Claims (8)
- 塩化ニッケル水溶液をアルカリ水溶液で中和して水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程(A)と、該水酸化ニッケルを空気中で熱処理して酸化ニッケルを生成させる工程(B)と、該酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする工程(C)と、還元後のニッケル粉を洗浄する工程(D)を備えたニッケル粉の製造方法であって、前記洗浄する工程(D)において、アスコルビン酸、グルタミン酸、クエン酸から選ばれる1種ないし2種以上を5〜50g/L含む水溶液を用いることを特徴とするニッケル粉の製造方法。
- 前記水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程(A)の後に、工程(A)で生成した水酸化ニッケルを濃度0.0004〜0.0015mol/Lの硫酸あるいは硫酸塩水溶液で洗浄し、さらに水洗する工程(E)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記工程(E)において、水酸化ニッケルの沈殿を生成させる工程(A)で生成した水酸化ニッケルをろ過分離したままの状態で硫酸あるいは硫酸塩水溶液中に再分散させて洗浄することを特徴とする請求項2に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記洗浄する工程(D)において、洗浄液を30〜90℃に加熱することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記洗浄する工程(D)において、洗浄液中に不活性ガスを連続して導入することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記不活性ガスが窒素ガスであることを特徴とする請求項5に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする工程(C)において、還元ガスが含水素ガスであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記酸化ニッケルを還元ガス雰囲気中で還元してニッケル粉とする工程(C)において、還元を300〜450℃で行なうことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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