JP3838615B2 - スズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法に関し、特に透明導電性塗料などに使用するスズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明導電性塗料の材料として、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、銀などの金属が知られている。これらのうち、酸化インジウムにスズをドープしたスズドープ酸化インジウムは、その可視光に対する透光性と高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽のために、テレビやコンピューター等のディスプレイとして用いられるCRTの表示面に塗布されている。このスズドープ酸化インジウムは、可視光に対して透明であるとともに酸素欠損により導電性を示す半導体であり、添加されたSnがSn4+として電子供給源となり、高い導電性を示すものである。
【0003】
このスズドープ酸化インジウムを塗布する方法として、導電性粉末であるスズドープ酸化インジウム粉末を溶媒に分散させて無機または有機バインダーを加えた塗布液をコーティングする方法が使用されている。この塗布液に用いられるスズドープ酸化インジウム粉末は、透明性を得るために、微粒子であるとともに塗布液中で凝集等がなく分散されることが必要である。
【0004】
このようなスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法として、塩化インジウムと塩化スズの混合水溶液に、アンモニア水や炭酸アンモニウム水溶液などのアルカリ水溶液を加えることにより得られた共沈水酸化物を、熱処理することにより微粒子導電性酸化物粉末を得る方法が知られている(特開昭62−7627等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法においては、共沈水酸化物を熱処理により酸化物とした後に、さらに結晶性の高い粒子を得るために熱処理温度を上げると、焼結により凝集粒子が形成され、塗料化時に分散され難くなるという問題がある。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、熱処理温度を上げても焼結により凝集粒子が形成されるのを防止し、塗料化時に優れた分散性を有し、透明導電性塗料などに使用するのに適した低抵抗のスズドープ酸化インジウム粉末およびこのようなスズドープ酸化インジウム粉末を低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、塩化インジウムと塩化スズの酸性混合水溶液にアルカリ溶液を加えることにより生成したインジウムとスズの水酸化物を、洗浄、乾燥し、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法において、水酸化物にカリウムを含有させることにより、熱処理温度を上げても焼結により凝集粒子が形成されるのを防止することができ、塗料化時の分散性が良好で、低抵抗で透明性に優れたスズドープ酸化インジウム粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法は、塩化インジウムと塩化スズの酸性混合水溶液にアルカリ溶液を加えることにより生成したインジウムとスズの水酸化物を、洗浄、乾燥し、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法において、水酸化物にカリウムを含有させることを特徴とする。
【0009】
上記製造方法において、アルカリ溶液として水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなど、好ましくは水酸化カリウムを使用することにより、あるいは水酸化物の洗浄の際または洗浄後に水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの水溶液、好ましくは水酸化カリウム水溶液を加えることにより、水酸化物にカリウムを含有させることができる。
【0010】
また、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末は、BET比表面積が8乃至40m2/g、カリウム含有量が10より大きく且つ100ppm以下であり、Sn含有量がSnO2換算で0.1乃至20重量%であることを特徴とする。このスズドープ酸化インジウム粉末は、粉体pHが4.5乃至8.5であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法の実施の形態では、出発原料として、塩化インジウム水溶液と塩化スズ水溶液を使用する。高い導電性の粉末を得るために、これらの水溶液を、焼成後のスズドープ酸化インジウム粉末中のSn含有量がSnO2換算で0.1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%となるような割合で混合する。この範囲は、酸化インジウム結晶中にドープされるSnが導電キャリアとして働く範囲であり、Sn含有量がこの範囲より少ないとSnとの複合化の効果が得られず、この範囲より多いと逆に導電性を阻害するため、良好な導電性粉末が得られないからである。
【0012】
このようにして得られた酸性混合溶液に、中和剤としてアルカリ溶液を添加し、撹拌して反応させることにより、水酸化インジウムと水酸化スズの複合水酸化物の沈殿が得られる。添加するアルカリ溶液としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの溶液またはこれらの混合溶液を使用することができる。
【0013】
次に、得られた水酸化物を洗浄して固液分離する。この洗浄方法としてデカンテーション、洗浄濾過方法として遠心脱水やフィルタプレスなどを使用することができる。
【0014】
上記の中和反応時の中和剤としてカリウム化合物以外のアルカリ溶液を使用する場合には、水酸化物の洗浄時の溶液としてカリウム化合物の水溶液を使用する。これは、水酸化物のカリウム含有量を制御することにより、塗料化時の分散性を向上させることができるからである。すなわち、カリウムを含有させることにより、後述する焼成工程において粒子同士が焼結により凝集粒子が形成されるのを防止して、塗料化時の粒子の分散性が向上し、塗膜化時に粒子が不均一になって抵抗が高くなるのを防止することができるからである。カリウム成分は水酸化物の洗浄時や焼成時の揮発により除去されるが、酸化物中に残留するカリウムの量が10より大きく且つ100ppm以下、好ましくは15〜50ppmになるようにする。本発明において、水酸化カリウムとして水酸化物中に存在するカリウム分は、焼成時に残留塩素やインジウム、スズ、酸素と化合することで粒子成長、焼結を部分的に妨げる働きをすると考えられる。残留カリウムが10ppm以下では、実質的に焼結防止効果が得られず、また粉体pHも低く、分散性が悪い。一方、100ppmを超えると、酸化物粒子からの溶出が多くなり、結晶成長し過ぎて粒子が大きくなり過ぎ、塗膜化時の導電性が低下し、粉体pHも高くなり、分散性が悪い。酸化物の粉体pHは、残留塩素が多いと低くなり、少ないと中性領域に近づくが、水酸化物にカリウム分が存在すると、カリウム分と塩素分が化合して粉体pHが高くなる。
【0015】
次いで、得られた水酸化物を乾燥し、得られた乾燥粒材を焼成することにより、スズドープ酸化インジウム粉末が得られる。この焼成工程は、不活性ガスを炉内に導入し、500〜900℃の温度で数時間保持することにより行う。導電性を高めるため、不活性ガスに還元性ガスなどを含有させてもよい。焼成雰囲気が大気または酸化性雰囲気であると、酸化物の酸素欠損が形成されず、導電性の低い粒子となるので好ましくない。
【0016】
このようにして得られる酸化物粉末の比表面積は、BET1点法により測定した比表面積が8〜40m2/gであるのが好ましく、特に8〜20m2/gであるのが好ましい。比表面積は、粉末の一次粒子サイズと逆相関があり、粒子サイズが小さくBETが大きい方が、焼結による凝集が弱く、塗料化時に分散され易く、また粒子の光散乱の影響を受け難いため、可視光透過率も高くなる。しかし、一次粒子サイズが小さいと、塗膜中の粒子接触界面数が多くなり、導電性が低くなる。したがって、粒子サイズを大きくする(すなわちBETを下げる)ことにより、導電性を高めるとともに分散性を高める必要がある。本発明による焼結防止効果は、より低BET側で効果が見られるが、BETが8m2/gより小さいと、粒子サイズが大きくなり、透過率が低くなる。一方、BETが40m2/gより大きいと、粒子サイズが小さ過ぎて凝集力が強くなり、逆に分散し難くなる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
[実施例1]
インジウムメタル150gを塩酸水溶液に入れて加熱溶解し、三塩化インジウム(InCl3)溶液を作り、この溶液に二塩化スズ二水和物(SnCl2・2H2O)14.4g(焼成後のスズドープ酸化インジウム粉末中のSn含有量がSnO2換算で5重量%となるような割合)を混合溶解し、純水を加えて、1500mlのインジウムとスズの酸性混合溶液を調整した。この混合溶液に水酸化カリウムの20重量%水溶液を添加して反応させ、最終pH9とした。反応時の温度は50℃に調整した。得られたインジウムとスズの複合水酸化物を、純水によるデカンテーションで繰り返し洗浄し、濾過した後、150℃で乾燥した。
【0019】
得られた水酸化物を硝酸溶液に加熱溶解し、残留Sn化合物の沈殿を濾過した液に硝酸銀を加えて塩化銀を沈殿させ、比濁法により塩素含有量を分析したところ、水酸化物中の塩素含有量は140ppmであった。また、得られた水酸化物を純水に入れ、5分間超音波分散した後、上澄み液をとり、原子吸光法により水酸化物中のK含有量を分析したところ、K含有量は130ppmであった。
【0020】
次に、得られた水酸化物を管状炉に入れ、窒素ガスに0.05体積%のアンモニアガスと1.5体積%の水蒸気を加えた雰囲気中において、750℃で2時間の焼成を行った。このようにして得られたスズドープ酸化インジウムの焼成品を卓上ミルで解砕した。
【0021】
得られた粉体の比表面積をBET1点法により測定したところ、この粉体のBETは12.0m2/gであった。また、得られた粉体と電気伝導度が1μS/cm以下の純水(イオン交換水または蒸留水)とを重量比で1:9の割合で混合した溶液を5分間煮沸し、冷却後に電気伝導度が1μS/cm以下の純水を追加して、煮沸前の溶液と同じ重量にした後にとった上澄み液のpHを測定することにより、得られた粉体pHは8.0であった。さらに、上記と同様の方法で測定したK含有量は100ppmであった。
【0022】
この粉末の粉体pHを測定した溶液には、わずかであるがインジウムとスズの溶出が見られた。これにより、焼結時にカリウムがインジウムおよびスズと化合して焼結を阻害していると考えられる。
【0023】
また、この粉末6gとIPA30gを遊星ボールミル(フリッチュ製P−5型、容器容量80ml、PSZ 1mmφボールを使用)に入れ、回転数2000rpmで30分間回転させて分散させた後、粒度分布を測定したところ、平均径0.12μmであった。さらに、この分散液にコロイダルシリカとエチルアルコールを加え、スズドープ酸化インジウム粉末の含有量が2%、シリカ含有量が2%、残部がIPAおよびエチルアルコールである塗料を作製し、ガラス板にスピンコートした後、150℃で30分間加熱し、膜厚0.3μmの透明導電性膜を形成した。
【0024】
このようにして形成された透明導電性膜の抵抗値を四探針法で測定したところ、4.0kΩ/□であった。また、分光光度計による透過率は90%(波長540nm)であり、良好な透明導電性膜が得られた。
【0025】
[実施例2]
実施例1と同様の手順により調整した酸性混合溶液に、重炭酸アンモニウムの20重量%水溶液と25%のアンモニア水を4:1の割合で混合した混合溶液を添加して反応させ、最終pH8.5とした。反応時の温度は50℃に調整した。得られたインジウムとスズの複合水酸化物を、純水によるデカンテーションで繰り返し洗浄し、濾過し、濾過物に対して10%の水酸化カリウム水溶液を通液した後、150℃で乾燥した。
【0026】
得られた水酸化物中の塩素含有量およびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、塩素含有量は100ppmであり、 K含有量は30ppmであった。
【0027】
次に、得られた水酸化物を実施例1と同様の手順で焼成、解砕し、得られた粉体の比表面積を実施例1と同様の方法により測定したところ、この粉体のBETは12.0m2/gであった。また、粉体pHおよびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、粉体pHは6.7であり、K含有量は20ppmであった。
【0028】
また、この粉末6gとIPA30gを実施例1と同様の手順で分散させた後、粒度分布を測定したところ、平均径0.15μmであった。さらに、この分散液から実施例1と同様の手順で膜厚0.3μmの透明導電性膜を形成し、この膜の抵抗値を四探針法で測定したところ、3.5kΩ/□であった。また、分光光度計による透過率は90%(波長540nm)であり、良好な透明導電性膜が得られた。
【0029】
[実施例3]
実施例2と同様の手順により得られたインジウムとスズの複合水酸化物を、純水によるデカンテーションで繰り返し洗浄し、濾過し、濾過物に対して10%の水酸化カリウム水溶液を通液した後、150℃で乾燥した。この実施例では、水酸化カリウム水溶液の通液量を調整して、水酸化物中のK含有量が実施例2と異なるようにした。
【0030】
得られた水酸化物中の塩素含有量およびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、塩素含有量は100ppmであり、K含有量は60ppmであった。
【0031】
次に、得られた水酸化物を実施例1と同様の手順で焼成、解砕し、得られた粉体の比表面積を実施例1と同様の方法により測定したところ、この粉体のBETは12.2m2/gであった。また、粉体pHおよびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、粉体pHは7.5であり、K含有量は50ppmであった。
【0032】
また、この粉末6gとIPA30gを実施例1と同様の手順で分散させた後、粒度分布を測定したところ、平均径0.17μmであった。さらに、この分散液から実施例1と同様の手順で膜厚0.3μmの透明導電性膜を形成し、この膜の抵抗値を四探針法で測定したところ、3.6kΩ/□であった。また、分光光度計による透過率は92%(波長540nm)であり、良好な透明導電性膜が得られた。
【0033】
[実施例4]
実施例2と同様の手順により得られたインジウムとスズの複合水酸化物を、純水によるデカンテーションで繰り返し洗浄し、濾過し、濾過物に対して10%の水酸化カリウム水溶液を通液した後、150℃で乾燥した。この実施例においても、水酸化カリウム水溶液の通液量を調整して、水酸化物中のK含有量が実施例2と異なるようにした。
【0034】
得られた水酸化物中の塩素含有量およびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、塩素含有量は100ppmであり、K含有量は20ppmであった。
【0035】
次に、得られた水酸化物を、焼成温度を700℃にした以外は実施例1と同様の手順で焼成、解砕し、得られた粉体の比表面積を実施例1と同様の方法により測定したところ、この粉体のBETは17.0m2/gであった。また、粉体pHおよびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、粉体pHは6.2であり、K含有量は15ppmであった。
【0036】
また、この粉末6gとIPA30gを実施例1と同様の手順で分散させた後、粒度分布を測定したところ、平均径0.12μmであった。さらに、この分散液から実施例1と同様の手順で膜厚0.3μmの透明導電性膜を形成し、この膜の抵抗値を四探針法で測定したところ、3.8kΩ/□であった。また、分光光度計による透過率は92%(波長540nm)であり、良好な透明導電性膜が得られた。
【0037】
[実施例5]
実施例2と同様の手順により得られたインジウムとスズの複合水酸化物を、純水によるデカンテーションで繰り返し洗浄し、濾過し、濾過物に対して10%の水酸化カリウム水溶液を通液した後、150℃で乾燥した。この実施例においても、水酸化カリウム水溶液の通液量を調整して、水酸化物中のK含有量が実施例2と異なるようにした。
【0038】
得られた水酸化物中の塩素含有量およびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、塩素含有量は100ppmであり、K含有量は30ppmであった。
【0039】
次に、得られた水酸化物を、焼成温度を550℃にした以外は実施例1と同様の手順で焼成、解砕し、得られた粉体の比表面積を実施例1と同様の方法により測定したところ、この粉体のBETは38.0m2/gであった。また、粉体pHおよびK含有量を実施例1と同様の方法で測定したところ、粉体pHは6.5であり、K含有量は25ppmであった。
【0040】
また、この粉末6gとIPA30gを実施例1と同様の手順で分散させた後、粒度分布を測定したところ、平均径0.14μmであった。さらに、この分散液から実施例1と同様の手順で膜厚0.3μmの透明導電性膜を形成し、この膜の抵抗値を四探針法で測定したところ、4.5kΩ/□であった。また、分光光度計による透過率は92%(波長540nm)であり、良好な透明導電性膜が得られた。
【0041】
[比較例1]
実施例2の粉体製造工程において、濾過物に対して水酸化カリウム溶液を通液しなかった以外は、実施例2と同様の操作で粉体を得た。
【0042】
得られた粉体の比表面積と実施例1と同様の方法により測定したところ、この粉体のBETは12.1m2/gであった。また、粉体pHは5.0であり、K含有量は検出されなかった。
【0043】
また、この粉末6gとIPA30gを実施例1と同様の操作で分散させた後、粒度分布を測定したところ、平均径0.25μmであった。さらに、この分散液実施例1と同様の手順で膜厚0.3μmの透明導電性膜を形成し、この膜の抵抗値を四探針法で測定したところ、8.5kΩ/□であった。また、分光光度計による透過率は88%(波長540nm)であり、実施例2と比較して分散性が悪いため、塗膜抵抗値が高く、光透過率もやや低下した。
【0044】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、塩化インジウムと塩化スズの酸性混合水溶液にアルカリ溶液を加えることにより生成したインジウムとスズの水酸化物を、洗浄、乾燥し、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法において、アルカリ溶液としてカリウム化合物の水溶液を使用し、あるいは水酸化物の洗浄の際または洗浄後にカリウム化合物の水溶液を加えて、水酸化物にカリウムを含有させることにより、熱処理温度を上げても焼結により凝集粒子が形成されるのを防止することができ、塗料化時の分散性が良好で、低抵抗で透明性に優れたスズドープ酸化インジウム粉末を低コストで製造することができる。
Claims (3)
- BET比表面積が8乃至40m2/g、カリウム含有量が10ppmより大きく且つ100ppm以下、Sn含有量がSnO2換算で0.1乃至20重量%、粉体pHが4.5乃至8.5であることを特徴とする、スズドープ酸化インジウム粉末。
- 塩化インジウムと塩化スズの酸性混合水溶液にアルカリ溶液を加えることにより生成したインジウムとスズの水酸化物を、洗浄、乾燥し、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法において、前記生成したインジウムとスズの水酸化物に水酸化カリウムを添加し、前記焼成の際の焼成温度を500〜900℃にすることにより、BET比表面積が8乃至40m2/g、カリウム含有量が10ppmより大きく且つ100ppm以下、Sn含有量がSnO2換算で0.1乃至20重量%、粉体pHが4.5乃至8.5であるスズドープ酸化インジウム粉末を製造することを特徴とする、スズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
- 前記水酸化カリウムとして水酸化カリウム水溶液を前記水酸化物の洗浄の際または洗浄後に添加することを特徴とする、請求項2に記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
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