JP4253721B2 - スズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法 - Google Patents

スズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法に関し、特に透明導電性塗料などに使用するスズドープ酸化インジウム粉末およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明導電性塗料などに使用する透明導電性材料として、三酸化インジウム(In2O3)に二酸化スズ(SnO2)を添加したスズドープ酸化インジウムが知られている。このスズドープ酸化インジウムは、可視光に対して透明であるとともに酸素欠損型の導電性を示す半導体であり、添加された二酸化スズ(SnO2)によるSn4+が自由電子の供給源すなわちドナーとなり、伝導帯下端近傍のドナーレベルに蓄積され、高い導電性を付与するものである。
【0003】
このようなスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法として、三塩化インジウム(InCl3)と四塩化スズ(SnCl4)の混合水溶液を重炭酸アンモニウム(NH4HCO3)などのアルカリ水溶液に滴下してインジウムとスズの水酸化物を共沈させ、この共沈水酸化物をデカンテーションまたは遠心分離法によって水洗することにより、副生した塩化ナトリウムなどの不純物を除去した後、乾燥し、水素雰囲気または真空雰囲気中で加熱還元し、粉砕することによりスズドープ酸化インジウム粉末を製造する還元焼成方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法においては、出発原料に起因する不純物、特に残留塩素や残留塩が、塗料化の際にイオン化して溶媒との相溶性、分散性に悪影響を与えるという問題があった。また、これらの不純物は、粒子そのものの導電性を阻害すると考えられている。
【0005】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、不純物としての塩素や塩の量が少なく、優れた分散性を有し、透明導電性塗料などに使用するのに適した低抵抗のスズドープ酸化インジウム粉末およびこのようなスズドープ酸化インジウム粉末を低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、インジウムとスズの酸性溶液とアルカリ溶液とを混合することにより得られたインジウムとスズの共沈水酸化物をアンモニア水で洗浄することにより、不純物としての残留塩素や残留塩が少なく、分散性が良好で、低抵抗で透明性に優れたスズドープ酸化インジウム粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法は、インジウムとスズの酸性溶液と、アルカリ溶液、好ましくはアンモニア水、アンモニウム塩溶液またはこれらの混合溶液とを混合することにより生成したインジウムとスズの共沈水酸化物を、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法において、共沈水酸化物を焼成する前に共沈水酸化物を好ましくはpH9〜12のアンモニア水で洗浄することにより不純物としての塩素や塩を除去し、洗浄後の共沈水酸化物の塩素含有量が好ましくは200重量ppm以下になるようにすることを特徴とする。また、このスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法において、還元ガスを不活性ガスに水分を含有させるのが好ましい。
【0008】
本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末は、BET1点法によって測定した比表面積が10乃至50m/gであり、スズドープ酸化インジウム粉末に純水を加えて煮沸した液の電気伝導度が10μS/cm以下であることを特徴とする。
【0009】
上記のスズドープ酸化インジウム粉末に純水を加えて煮沸した液のpHは4.5乃至7.0であるのが好ましい。また、上記のスズドープ酸化インジウム粉末の塩素含有量は250重量ppm以下であるのが好ましい。さらに、上記のスズドープ酸化インジウム粉末は、0.01mol/lのKCl水溶液中で測定したゼータ電位が+5mV以上であるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法の実施の形態では、出発物質として、可溶性インジウム化合物(例えば三塩化インジウム(InCl3))と可溶性スズ化合物(例えば二塩化スズ(SnCl2))を使用する。インジウムに添加するドーピング剤として従来の4価のスズの化合物を使用することもできるが、酸素欠損を増大させ、より低抵抗化を実現するためには、2価のスズの化合物を使用するのが好ましい。三塩化インジウム(InCl3)は、インジウムメタルを塩酸酸性溶液中で加熱溶解することにより容易に得られる。また、二塩化スズ(SnCl2)は、スズメタルを塩酸に溶かすことにより得られ、この溶解液を濃縮することにより安定した二水塩が得られる。なお、上記の可溶性インジウム化合物は、硝酸インジウムや硫酸インジウムなどの硝酸塩や硫酸塩でもよい。また、2価の可溶性スズ化合物も、硝酸スズや硫酸スズなどの硝酸塩や硫酸塩でもよい。
【0011】
このようにして得られた三塩化インジウム(InCl3)の水溶液と二塩化スズ(SnCl2)の水溶液を、高い導電性の粉末を得るために、焼成後のスズドープ酸化インジウム粉末中のSn含有量がSnO換算で0.1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%となるような割合で混合する。スズドープ酸化インジウム粉末のSn含有量をSnO換算で0.1〜30重量%とするのは、この範囲外では良好な導電性粉末が得られないからである。
【0012】
このようにして得られた混合溶液に、アルカリ溶液を添加し、攪拌して反応させることにより、水酸化インジウムと水酸化スズの共沈生成物が得られる。添加するアルカリ溶液としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの溶液またはこれらの混合溶液を使用することができるが、金属成分が入ると導電性が阻害されるので、アンモニア水、アンモニウム塩、アンモニウム炭酸塩などの溶液またはこれらの混合溶液を使用するのが好ましい。
【0013】
なお、優れた分散性を有するスズドープ酸化インジウム粉末を得るためには、上記の反応工程において、酸性の三塩化インジウム(InCl3)と二塩化スズ(SnCl2)の混合水溶液中にアルカリ溶液を短時間で添加して中性領域において一気に核生成させ、粒子の均一化を図るように分散させるとともに粗粒子の発生を抑制する必要があり、このようにすることにより、塗膜にした時に高い透光性の粉体を得ることができる。
【0014】
次いで、得られた水酸化インジウムと水酸化スズの共沈生成物を、純水によるデカンテーション等で洗浄した後、pH9〜12程度のアンモニア水により洗浄し、さらに純水により洗浄した後、脱水し、その後150℃程度の温度で乾燥する。共沈水酸化物をアンモニア水で洗浄するのは、共沈水酸化物中の不純物である塩素や塩の量を低減するためである。また、アンモニア水のpHは9〜12程度が好ましいが、これは、アンモニア水のpHが9未満であると十分な洗浄効果が得られず、pHが12を超えると共沈水酸化物の溶解が起こり、収率が低下するなどのおそれがあるからである。このように、アンモニア水で洗浄することにより、共沈水酸化物の表面の塩素分を塩化アンモニウムとして除去することができる。また、共沈水酸化物に残留している塩化アンモニウムは、純水による洗浄で置換され除去される。この洗浄工程により、乾燥した共沈水酸化物中の塩素含有量を200重量ppm以下に低減することができる。
【0015】
次いで、得られた乾燥粒材を雰囲気炉内に保持し、不活性ガスを炉内に通しながら500℃〜800℃の高温度で数時間程度保持することにより焼成処理を行う。この焼成工程において、炉内を昇温中に還元ガスまたは水分を不活性ガスに含有させる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどを使用することができるが、特性および費用の面から、窒素、アルゴンが好ましく、特に窒素が好ましい。
【0016】
不活性ガスに還元ガスを含有させることにより炉内を還元性雰囲気とするのは、不活性ガスのみを使用すると、酸素欠損を生じさせるには必ずしも十分とはいえず、さらに十分な酸素欠損を生じさせるためである。不活性ガスに含有させる還元ガスとしては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどの還元ガスを使用することができるが、比較的還元力の低いアンモニアを使用するのが好ましい。含有させる還元ガスの量は、不活性ガス100体積に対して0.005〜5体積の還元ガスを添加するのが好ましく、0.01〜0.4体積の還元ガスを添加するのがさらに好ましい。0.005〜5体積の還元ガスが好ましいのは、0.005体積未満では必要な量の酸素欠損を得ることができず、5体積を超えると酸化インジウムやインジウムメタルへの還元が起こり易く、また部分的に焼結し易くなるからである。
【0017】
また、不活性ガスに水分を含有させるのは、水酸化物の分解時に発生するHOの影響を低減させ、雰囲気の均一化を図り、酸化物の物性のばらつきを低減させ、良好な透明性と分散性が得られるようにするためである。すなわち、低抵抗化処理を施して電磁波シールド効果を高めるために焼成温度を高くすると、焼成中に焼結が進んで凝集が激しくなり、得られた粉末を分散させて塗料にする際に分散不良を起こし、塗料中で沈積してしまうという問題があるが、このような問題を解消するためである。
【0018】
含有させる水分の量は、例えば室温における飽和水蒸気圧程度であればよく、不活性ガス100体積に対して0.05〜10体積の水分を添加するのが好ましく、0.5〜5体積の水分を添加するのがさらに好ましい。このようにアンモニアとともに水分が系内に存在すると、炉内の気流上流部へのアンモニアの吸着が妨げられ、結果として過剰な焼結部分を低減するとともに、粒子の表面特性が制御されると考えられ、低抵抗かつ分散性の良好なスズドープ酸化インジウム粉末を得ることができる。
【0019】
焼成温度を500℃〜800℃の範囲とするのは、脱水は300〜400℃の範囲で起こるが、焼成温度が500℃より低いと焼成が不十分で、得られる粉体の抵抗が高くなり、導電性材料としての十分な結晶性が得られず、焼成温度が800℃より高いと焼結と凝集が進み、得られる粉体の分散性が不良になるとともに、焼結により粒径が大きくなり、塗膜にしたときの可視光透過性が得られないからである。
【0020】
また、焼成工程において、通気ガスの流量は、1.0ml/min・g(乾燥共沈水酸化物1g当たりの毎分供給量)以上にするのが好ましい。通気ガスの流量が1.0ml/min・g以上の場合には、雰囲気の均一化が図られ、部分的な焼結を抑制でき、分散性の良好な粉末を得ることができるが、通気ガスの流量が1.0ml/min・g未満の場合には、焼成炉内に雰囲気のばらつきを生じ、特性ムラとなり好ましくないからである。
【0021】
また、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末を水に加えて煮沸した液のpHは、中性領域に近いことが好ましく、具体的には、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末と電気伝導度が1μS/cm以下の純水(イオン交換水または蒸留水)とを重量比で1:9の割合で混合した溶液を5分間煮沸し、冷却後に電気伝導度が1μS/cm以下の純水を追加して、煮沸前の溶液と同じ重量にした後にとった上澄み液のpHが4.5〜7.0であることが好ましい。このpHは、焼成品の表面に可溶性成分が多量に存在すると低くなり、pHが4.5より低いとイオンの影響で溶剤中の分散性、相溶性が低下し、pHが7.0を超えると同様に分散性が低下するので好ましくない。
【0022】
また、上述したようにスズドープ酸化インジウム粉末を水に加えて煮沸した液のpHが低い粉末は、可溶性成分が多く分散性、相溶性を低下させるので、スズドープ酸化インジウム粉末を水に加えて煮沸した液の電気伝導度が低いことが要求される。したがって、上述した上澄み液の電気伝導度が、10μS/cm以下であるのが好ましく、4μS/cm以下であるのがさらに好ましい。10μS/cmを超えると電気伝導度を増加させているイオンの影響で分散性、相溶性が低下するからである。
【0023】
また、粉体の分散性を示す指標として、ゼータ電位の値が大きいことが好ましく、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末は、0.01mol/lのKCl水溶液中で測定したゼータ電位が+5mV以上であるのが好ましい。ゼータ電位が+5mVより小さいと溶剤中の分散が不十分となるからである。
【0024】
また、スズドープ酸化インジウムを製造する原料として塩化インジウム溶液を用いた場合、特に粉体に残留する塩化物が可溶性成分となることが考えられるので、粉体中の塩素の含有量を少なくする必要がある。したがって、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末は、塩素含有量が250重量ppm以下であるのが好ましい。塩素含有量が250重量ppmより多くなると、溶出成分の影響で溶剤中の分散性、相溶性が低下するからである。
【0025】
また、酸化物中の塩素含有量を少なくするためには、焼成前の共沈水酸化物の乾燥品中の塩素含有量を少なくすればよく、酸化物中の塩素含有量を250重量ppm以下にするためには、上述したように共沈水酸化物中の塩素含有量を200重量ppm以下にすればよい。
【0026】
さらに、本発明によるスズドープ酸化インジウム粉末のBET1点法によって測定した比表面積は、好ましくは10〜50m/gであり、粒径(TEM径:透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定した一次粒径)は、好ましくは10〜100nmである。
【0027】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明によるスズドープ酸化インジウム粉体およびその製造方法について詳細に説明する。
【0028】
[実施例1]
インジウムメタル150gを塩酸水溶液により加熱溶解して三塩化インジウム(InCl3)溶液を作り、この溶液に二塩化スズ二水和物(SnCl2・2H2O)14.4g(焼成後のスズドープ酸化インジウム粉末中のSn含有量がSnO換算で5重量%になるような割合)を混合溶解し、純水を加えて、1500mlのインジウムとスズの混合溶液を調製した。また、純水1950gに重炭酸アンモニウム420gを加えた溶液に、重炭酸アンモニウムの溶解を促進するためにアンモニア水を加えたアルカリ溶液を調製した。次いで、上記のインジウムとスズの混合溶液を50℃で攪拌しながら、40℃に調整した上記のアルカリ溶液を180秒かけて添加して反応させた。反応終了時のpHは8であった。得られた水酸化インジウムと水酸化スズの共沈生成物を、純水によるデカンテーションで繰り返し洗浄した。さらに、pH10.5のアンモニア水を加えて攪拌し、これを濾過、純水による水洗、脱水した後、150℃で乾燥した。
【0029】
この乾燥品を硝酸溶液に加熱溶解し、残留Sn化合物の沈殿を濾過した液に硝酸銀を加え、塩化銀を沈殿させ、比濁法により塩素含有量を分析したところ、70重量ppmであった。
【0030】
次に、上記の乾燥品を管状炉に仕込み、窒素ガスを100ml/mim・g(乾燥共沈水酸化物1g当たりの毎分供給量)の流量で流しながら炉内を昇温させ、炉内の温度が400℃になったときに、窒素ガス100体積に対して0.05体積のアンモニアガスと、窒素ガス100体積に対して1.5体積の水蒸気を窒素ガスに添加し、その後、さらに昇温させて730℃で2時間保持し、アンモニアガスと水蒸気の添加を停止して冷却した。このようにして得られたスズドープ酸化インジウムの焼成品を卓上ミルで解砕した。
【0031】
得られた焼成品について以下の方法で評価を行った。
【0032】
粉体の比表面積はBET1点法により測定し、粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)写真により測定した。また、塩素含有量は、共沈水酸化物と同様に測定した。また、粉体を1t/cmの圧力で成形した圧粉体の体積固有抵抗を四探針法で測定した。また、粉体と電気伝導度が1μS/cm以下の純水(イオン交換水または蒸留水)とを重量比で1:9の割合で混合した後、5分間煮沸し、冷却後に電気伝導度が1μS/cm以下の純水を追加して、煮沸前の溶液と同じ重量にした後に、上澄み液をとり、この上澄み液のpHと電気伝導度をそれぞれpH電極および電気伝導度計により測定した。さらに、粉体を0.01mol/lのKCl水溶液中で5分間超音波分散させ、レーザー回転プリズム方式のゼータ電位計を使用して、100Vの印加電圧でゼータ電位を測定した。また、粉体、水、IPA、ブチルセロソルブおよびアルキルシリケート希釈溶液を混合し、超音波分散して、塗料の分散性を粉体の沈降度合により相対評価した。この粉体の沈降度合(分散)は、沈降が最も早いものを1(分散性が悪い)とし、沈降が最も遅いものを5(分散性が良好)として5段階で相対評価した。
【0033】
上記の方法により得られた粉体の比表面積は12m/g、粒径は60nm、塩素含有量は80重量ppm、圧粉体の体積固有抵抗は0.10Ωcm、煮沸液のpHは5.0、電気伝導度は6.5μS/cm、ゼータ電位は+7mVであった。また、塗料の分散性は相対値で3であり、分散性は良好であった。
【0034】
[実施例2]
実施例1で得られた共沈水酸化物の乾燥品を使用し、焼成の保持温度を685℃にした以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0035】
得られた粉体の比表面積は18m/g、粒径は48nm、塩素含有量は80重量ppm、圧粉体の体積固有抵抗は0.15Ωcm、煮沸液のpHは5.5、電気伝導度は4.8μS/cm、ゼータ電位は+10mVであった。また、塗料の分散性は相対値で4であり、分散性は良好であった。
【0036】
[実施例3]
実施例1で得られた共沈水酸化物の乾燥品を使用し、焼成の保持温度を605℃にした以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0037】
得られた粉体の比表面積は28m/g、粒径は26nm、塩素含有量は90重量ppm、圧粉体の体積固有抵抗は0.25Ωcm、煮沸液のpHは5.9、電気伝導度は3.5μS/cm、ゼータ電位は+16mVであった。また、塗料の分散性は相対値で5であり、分散性は非常に良好であった。
【0038】
[実施例4]
実施例1で得られた共沈水酸化物の乾燥品を使用し、焼成の保持温度を560℃にした以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0039】
得られた粉体の比表面積は40m/g、粒径は20nm、塩素含有量は90重量ppm、圧粉体の体積固有抵抗は0.55Ωcm、煮沸液のpHは6.5、電気伝導度は2.9μS/cm、ゼータ電位は+34mVであった。また、塗料の分散性は相対値で5であり、分散性は非常に良好であった。
【0040】
[比較例1]
共沈水酸化物をデカント洗浄した後にアンモニア水による攪拌を行わない以外は実施例1と同様の操作を行い、共沈水酸化物の乾燥粉を得た。乾燥粉の塩素含有量は250重量ppmであった。
【0041】
得られた乾燥粉について、実施例3と同様の条件で気流中で焼成を行った。
【0042】
得られた粉体の比表面積は29m/g、粒径は26nm、塩素含有量は300重量ppm、圧粉体の体積固有抵抗は0.9Ωcm、煮沸液のpHは4.5、電気伝導度は18.5μS/cm、ゼータ電位は+5mVであった。また、塗料の分散性は相対値で2であり、分散性はやや悪かった。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、インジウムとスズの酸性溶液にアルカリ溶液を添加することにより得られたインジウムとスズの共沈水酸化物を水で洗浄した後に、アンモニア水で洗浄することにより、出発原料に起因する不純物としての残留塩素や残留塩が少なく、分散性が良好で、透明導電性塗料などに使用するのに適した低抵抗のスズドープ酸化インジウム粉末を低コストで製造することができる。

Claims (7)

  1. 三塩化インジウムと二塩化スズの酸性混合水溶液アルカリ溶液を混合することにより生成したインジウムとスズの共沈水酸化物を、洗浄、乾燥し、還元ガスを含む不活性ガスの雰囲気において500〜800℃で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法において、前記共沈水酸化物を洗浄するに前記共沈水酸化物をpH9〜12のアンモニア水で洗浄して、前記共沈水酸化物の乾燥後の塩素含有量を200重量ppm以下にすることにより、BET1点法によって測定した比表面積が10〜50m /g、塩素含有量が250重量ppm以下、Sn含有量がSnO 換算で0.1〜30重量%であるスズドープ酸化インジウム粉末を製造することを特徴とする、スズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
  2. 前記還元ガスを含む不活性ガスが、不活性ガス100体積に対して0.05〜5体積の還元ガスと0.05〜10体積の水分を含ことを特徴とする、請求項に記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
  3. 前記共沈水酸化物を乾燥した乾燥共沈水酸化物1g当りの前記還元ガスを含む不活性ガスの供給量が1.0ml/分・g以上になるように、前記還元ガスを含む不活性ガスを炉内に供給して前記焼成を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
  4. 前記三塩化インジウムと二塩化スズの酸性混合水溶液が、焼成後のスズドープ酸化インジウム粉末中のSn含有量がSnO 換算で0.1〜30重量%になるように、三塩化インジウムの水溶液と二塩化スズの水溶液を混合した溶液であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
  5. 前記アルカリ溶液が、アンモニア水、アンモニウム塩溶液またはこれらの混合溶液であることを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法。
  6. 前記スズドープ酸化インジウム粉末と電気伝導度が1μS/cm以下の純水重量比で1:9の割合で混合した溶液を煮沸し、冷却後に電気伝導度が1μS/cm以下の純水を追加して、煮沸前の溶液と同じ重量にした後に取った上澄み液のpHが4.5〜7.0であり、その上澄み液の電気伝導度が10μS/cm以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法
  7. 前記スズドープ酸化インジウム粉末の0.01mol/lのKCl水溶液中で測定したゼータ電位が+5mV以上であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載のスズドープ酸化インジウム粉末の製造方法
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