JPH0521068U - キーシリンダ取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドア外板が合成樹脂とされたガルウィングド
アの下部にドアロック用のキーシリンダを取り付けるも
のにおいて、該キーシリンダの組み付け性を確保しつ
つ、ロック破壊阻止機能を備えた取付構造とする。 【構成】 インナパネル６に固着したブラケット７にキ
ーシリンダ４を取り付けて、ブラケット上壁部７ａのリ
テーナ挿し込み穴９から挿し込んだ抜け止めリテーナ８
を係合させると共に、該リテーナ８にリテーナ挿し込み
穴９を覆い、かつ周辺部がブラケット上壁部７ａに近接
するカバー部８ａを設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両においてドア等のロックおよびロック解除操作を行うキーシリ ンダの取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車等の車両においては、ドア部分、トランク部分などの開閉部分に車外か ら操作するロック用のキーシリンダを取り付けることになるが、その場合、たと えば実開昭６３−５１０６５号公報には、自動車のドアロック用として、ドア外 板に外側から挿し込んだキーシリンダに、二股状の板バネ部材からなる抜け止め リテーナを係合させて、キーシリンダの先端フランジ部と抜け止めリテーナとに よってドア外板を挟んで固定するキーシリンダ取付構造が開示されている。これ によればキーシリンダの取り付けが簡単に行え、組み付け性が向上することにな る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、たとえば上記のキーシリンダを取り付けようとする車体部材が跳ね 上げ式のガルウィングドアであるような場合、ドア外板が軽量目的などによって 合成樹脂から製作されると、上記のようにドア外板をキーシリンダと抜け止めリ テーナとで挟みつけて固定する構造では、ドア外板の剛性不足のため、キーシリ ンダの堅牢な取り付け状態を期待できないので、その場合はドア内部に専用のブ ラケットを設け、該ブラケットにキーシリンダを取り付けることになる。しかし 、それではドア外板にはキーシリンダに対応するキー挿し込み用の穴のみが開く ことになって不体裁となる。

【０００４】 これに対しては、図５に示すように、従来はドライバのベルトライン近傍を目 安としてドアＡに取り付けていたキーシリンダＫを、矢印ａに示すドア下部位置 に下げて取り付けることによって、ドア外板の穴を目立たないようにすることが 考えられる。ところが、上記のドアＡのベルトライン相当部分では、該ドアＡに 外方へのふくらみがあり、ドアガラスＢの昇降経路からずらしてキーシリンダＫ を取り付けることができるので、窓枠の隙間ｂから棒Ｘを挿し込んでもキーシリ ンダＫに細工することが困難であるが、矢印ａで示すドア下部となると、ドア内 スペースに余裕がなく、上記の隙間ｂから挿し込んだ棒Ｘが簡単に届く位置にキ ーシリンダを取り付けねばならない事態も生じる。したがって、このドア下部位 置のように外部からの細工が可能となる箇所にキーシリンダを配置するときには 、上記細工による不当なロック解除操作を阻止できる防犯上の保護構造が必要と なり、該構造いかんによってはキーシリンダの組み付け性が損なわれる虞れが出 てくる。

【０００５】 そこで本考案は、キーシリンダの良好な組み付け性を損なうことなく、該キー シリンダに対する外部からの細工を困難にすることができるキーシリンダ取付構 造の提供を課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

すなわち、本考案の請求項１にかかる考案（以下、第１考案と称す）は、キー 挿入面を車体外板に設けた穴に臨ませて該車体外板の内側にキーシリンダを配置 している車両において、上記車体外板の内側に縦壁部と上壁部とで断面が略逆Ｌ 字状とされたブラケットを設け、該ブラケットの縦壁部に設けられている穴にキ ーシリンダを車外側から係合させ、かつ上記上壁部に設けられている穴に通した 抜け止めリテーナを上記縦壁部の車内側においてキーシリンダに挿嵌させてブラ ケットに固定すると共に、上記抜け止めリテーナに、ブラケットにおける抜け止 めリテーナ挿通部の上方を覆うカバー部を設けたことを特徴とする。

【０００７】 また、請求項２にかかる考案（以下、第２考案と称す）は、キー挿入面を車体 外板に設けた穴に臨ませて該車体外板の内側にキーシリンダを配置している車両 において、上記車体外板の内側に縦壁部と上壁部とで断面が略逆Ｌ字状とされた ブラケットを設け、該ブラケットの縦壁部に設けられている穴にキーシリンダを 車外側から係合させ、かつ上記上壁部に設けられている穴に通した抜け止めリテ ーナを上記縦壁部の車内側においてキーシリンダに挿嵌させてブラケットに固定 すると共に、上記抜け止めリテーナに、ブラケットにおける抜け止めリテーナ挿 通部の上方を覆うカバー部を設けたことを特徴とする。

【０００８】 さらに、請求項３に記載の考案（以下、第３考案と称す）は、カバー部の周囲 に周縁がブラケットの上壁部に接近して位置する下方への折り曲げ部を設けたこ とを特徴とする

【０００９】

【作用】

上記の第１考案によれば、ブラケットにおけるリテーナ挿通部を、抜け止めリ テーナに設けたカバー部によって覆っているので、該リテーナ挿通部に引っかけ 具のような棒を通して、キーシリンダと抜け止めリテーナとの係合を外すような 操作を加えることができなくなる。したがって、キーシリンダへの細工が阻止さ れ、車両開閉部分のロック破壊を防止できる。しかも、キーシリンダはブラケッ トに抜け止めリテーナによって固定するものであって、従来のドア外板に対し固 定するものとなんら作業性が変わりないから、キーシリンダの組み付け性を損な うことがない。

【００１０】 そして、第２考案のように合成樹脂製の外板を有するガルウィングドアにおい ては、ドアロック用としてのキーシリンダの取り付け位置をドア下部に選んだた めに、特に窓枠部分から細工しやすい箇所にキーシリンダが来ることになっても 、カバー部によってリテーナ挿通部を覆う構造によって、キーシリンダへの細工 を阻止し、ロック破壊を防止できる。

【００１１】 さらに、第３考案によれば、抜け止めリテーナのカバー部に、周縁がブラケッ トの上壁部に接近して位置する下方への折り曲げ部を設けたから、抜け止めリテ ーナと上壁部との間に隙間が少なくなり、該抜け止めリテーナに引っかけ具を引 っかけてブラケットから抜き取るような操作を加えることも困難になる。したが って、この場合もキーシリンダと抜け止めリテーナとの係合を外すような操作が できなくなる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。

【００１３】 図１はガルウィングドア１を備えた自動車２を示し、該ガルウィングドア１は そのドア外板となるアウターパネル３が合成樹脂によって製作されると共に、図 １の矢印ａで示すドア下部にキーシリンダ４が内蔵され、それに対応してアウタ パネル３にキー挿し込み用の孔５が設けられる。

【００１４】 その場合、ガルウィングドア１の内部では図２および図３に示すように、キー シリンダ４の装備位置においてインナパネル６にブラケット７が設けられ、該ブ ラケット７にキーシリンダ４が抜け止めリテーナ８によって取り付けられ、かつ 該取り付け状態でキーシリンダ４のキー挿入面４ａが前述のアウタパネル３の穴 ５に内側から臨むように配置される。

【００１５】 すなわち、上記のブラケット７は上壁部７ａと縦壁部７ｂとからなる略逆Ｌ字 状断面を有すると共に、縦壁部７ｂの両側に一対の側壁部７ｃ，７ｃが上壁部７ ａ側において対向して連設されることにより補強され、かつ両側壁部７ｃ，７ｃ の下端に設けられた折り曲げ部７ｄ，７ｄと、上記縦壁部７ｂの下端に設けられ た折り曲げ部７ｅとをインナパネル６に溶接して固着される。また、該ブラケッ ト７には上壁部７ａに横長のリテーナ挿し込み穴９が開設されると共に、縦壁部 ７ｂにキーシリンダ取り付け穴１０が開設される。。

【００１６】 これに対してキーシリンダ４にはキー挿入面４ａの周部にフランジ部４ｂが形 成されると共に、該フランジ部４ｂから所定の距離をおいた本体側面に略１８０ 度の角度位相をおいて一対の突起１１（図２参照。但し、一方の突起のみ図示す る）を設けられており、該キーシリンダ４を外側（アウターパネル側）からキー シリンダ取り付け穴１０に挿し込み、かつリテーナ挿し込み穴９から挿し込んだ 抜け止めリテーナ８を縦壁部７ｂと突起１１との間でキーシリンダ４に嵌めて、 該抜け止めリテーナ８の弾性力を用いてキーシリンダ４を内側方向に牽引し、該 抜け止めリテーナ８とキーシリンダ先端のフランジ部４ｂとの間で縦壁部を挟む ことによってキーシリンダ４の取り付けがなされている。なお、キーシリンダ４ にはフランジ部４ｂと縦壁部７ｂとの間にパッキン１２を嵌めて、より弾性的、 かつ強力な挟み付け状態が得られるようにしている。

【００１７】 一方、前述のアウタパネル３には該パネルの成形時に、パネル裏面側において 適宜数の埋め込みボルト１３が取り付けられ、該埋め込みボルト１３をインナパ ネル６にナット１４によって締結することでアウタパネル３とインナパネル４と の結合がなされるように構成されている。また、キーシリンダ４にはキー操作に よって回転されるリンク１５が設けられ、該リンク１５が、たとえば連結ロッド １６等によってドアロック手段（図示せず）に連結される。その場合、リンク１ ５と連結ロッド１６との連結部分をブラケット７の上壁部７ａによって覆うよう に構成している。

【００１８】 以上のような構造によれば、インナパネル６に固着されているブラケット７に 対しキーシリンダ４を挿し込み、かつ該キーシリンダ４を抜け止めリテーナ８に よって抜け止めするだけで、キーシリンダ４の取り付けが行えるから、従来の取 り付け作業と変わらない簡便さで取り付けができ、良好な組み付け性が得られる 。また、該キーシリンダ４の組み付け後にアウターパネル３をインナパネル６に 連結すれば、キーシリンダ４のキー挿入面４ａがアウタパネル３の穴を通して外 部に露出することになって、キー操作によるガルウィングドア１のロック、およ びロック解除が円滑に行えることになる。

【００１９】 ところで、キーシリンダ４をガルウィングドア１の下部に装備した場合、明細 書の冒頭で説明したように、窓枠から挿し込んだ棒がキーシリンダに届く事態が 生じることもある。その場合、キーシリンダ４のリンク１５と連結ロッド１６と の連結部分がブラケット７の上壁部７ａによって覆われているため、該連結部分 を操作してドアロックを解除することはできないが、引っかけ具を抜け止めリテ ーナ８に引っかけて抜き去り、キーシリンダ４の固定状態を解いて、該キーシリ ンダ４を回転させ、ドアロック状態を解除するような盗難上の問題が想定できる 。あるいは、上記リテーナ挿し込み穴９に棒を入れて直接キーシリンダ４と抜け 止めリテーナ８との係合を解くことも考えられる。

【００２０】 そのため、前述の抜け止めリテーナ８には、図４に示すように、該リテーナ８ をリテーナ挿し込み穴９に挿し込んだ状態でリテーナ挿し込み穴９を覆う大きさ の板状のカバー部８ａが設けられ、このカバー部８ａの１辺からリテーナ挿し込 み穴９に通る湾曲部８ｂが下方に連設され、かつ該湾曲部８ｂに続いてキーシリ ンダ４に嵌る二股状の板バネ部８ｃ，８ｃが垂直方向に設けられた構造とされる と共に、カバー部８ａの、上記湾曲部８ｂが連設されている辺以外の３辺に斜め 下方に傾斜する折り曲げ部８ｄ，８ｄ，８ｅが形成された構造とされ、したがっ て前述のブラケット７に抜け止めリテーナ８を取り付けた場合には、カバー部８ ａがブラケット７におけるリテーナ挿し込み穴９を覆い、かつ２辺の折り曲げ部 ８ｄ，８ｄが上壁部７ａに近接あるいは接触すると共に、残るカバー部８ｅがア ウタパネル３の裏面に近接するようになされている。

【００２１】 このためカバー部８ａとブラケット７との間、およびカバー部８ａとアウター パネル３との間に隙間が生じないので、盗難目的等のために引っかけ具を抜け止 めリテーナ８に引っかけて引き抜こうとしても、該引っかけができなくなる。ま た、カバー部８ａならびに折り曲げ部８ｄ，８ｄ，８ｅがリテーナ挿し込み穴９ を完全に覆っているから、該リテーナ挿し込み穴９に直接棒を挿し込んでキーシ リンダ４に細工を加えることもできなくなる。これによりキー操作以外のドアロ ック解除操作を防止できて自動車の盗難防止性が向上する。

【００２２】 なお、前述のブラケット７は上壁部７ａと縦壁部７ｂとを有する形状以外、実 施例の図示構造に限定されるものではない。同様にキーシリンダ４とドアロック 手段との連結構造も図示のものに限定されるものではない。

【００２３】 さらに、ガルウィングドア以外の車体開閉部分のキーシリンダ取付構造にも本 考案は適用できるものである。

【００２４】

【考案の効果】

以上の記載によって明らかなように、本考案の第１考案によれば、ブラケット に対するキーシリンダの取り付けを抜け止めリテーナによって抜け止めして行う ので、キーシリンダの取り付けが簡単にできて組み付け性を損なうことがなくな る。その場合、ブラケットにおけるリテーナ挿通部を、抜け止めリテーナに設け たカバー部によって覆っているので、該リテーナ挿通部に引っかけ具のような棒 を通して、キーシリンダと抜け止めリテーナとの係合を外すような操作を加える ことができなくなる。したがって、キーシリンダへの細工が阻止され、車両開閉 部分のロック破壊による盗難等を防止できる。

【００２５】 そして、第２考案のように合成樹脂製の外板を有するガルウィングドアにおい ては、ドアロック用としてのキーシリンダの取り付け位置をドア下部に選んだた めに、特に窓枠部分から細工しやすい箇所にキーシリンダが来ることになっても 、カバー部によってリテーナ挿通部を覆う構造によって、特にドアのロック破壊 防止効果が増大し、車両の盗難防止性が向上する。

【００２６】 さらに、第３考案によれば、抜け止めリテーナのカバー部に、周縁がブラケッ トの上壁部に接近して位置する下方への折り曲げ部を設けたから、抜け止めリテ ーナと上壁部との間に隙間が少なくなり、該抜け止めリテーナに引っかけ具を引 っかけてブラケットから抜き取るような操作を加えることも困難になる。したが って、この場合もキーシリンダと抜け止めリテーナとの係合を外すような操作が できなくなり、車両開閉部分の盗難防止効果が一層増大する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案を適用するガルウィングドアタイプ
の自動車の側面図。

【図２】 図１におけるＡ−Ａ線矢視切断拡大図。

【図３】 図２におけるキーシリンダ取り付け部分の
斜視図。

【図４】 キーシリンダの固定に用いる抜け止めリテ
ーナの斜視図。

【図５】 従来の不都合を説明するドアの概略図。

【符号の説明】

１ ガルウィングドア ３ アウタパネル ４ キーシリンダ ５ 穴 ６ インナパネル ７ ブラケット ８ 抜け止めリテーナ ８ａ カバー部 ９ リテーナ挿し込み穴 １０ キーシリンダ取り付け穴

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 キー挿入面を車体外板に設けた穴に臨ま
   せて該車体外板の内側にキーシリンダを配置している車
   両において、上記車体外板の内側に縦壁部と上壁部とで
   断面が略逆Ｌ字状とされたブラケットを設け、該ブラケ
   ットの縦壁部に設けられている穴にキーシリンダを車外
   側から係合させ、かつ上記上壁部に設けられている穴に
   通した抜け止めリテーナを上記縦壁部の車内側において
   キーシリンダに挿嵌させてブラケットに固定すると共
   に、上記抜け止めリテーナに、ブラケットにおける抜け
   止めリテーナ挿通部の上方を覆うカバー部を設けたこと
   を特徴とするキーシリンダの取付構造。
2. 【請求項２】 ドア外板が合成樹脂製とされたガルウィ
   ングドア内の下部位置にキーシリンダを配置すると共
   に、キー挿入面を上記ドア外板に設けた穴に臨ませてい
   る車両において、上記ドア外板の内側に縦壁部と上壁部
   とで断面が略逆Ｌ字状とされたブラケットを設け、該ブ
   ラケットの縦壁部に設けられている穴にキーシリンダを
   車外側から係合させ、かつ上記上壁部に設けられている
   穴に通した抜け止めリテーナを上記縦壁部の車内側にお
   いてキーシリンダに挿嵌させてブラケットに固定すると
   共に、上記抜け止めリテーナに、ブラケットにおけるリ
   テーナ挿通部の上方を覆うカバー部を設けたことを特徴
   とするキーシリンダの取付構造。
3. 【請求項３】 カバー部の周囲に周縁がブラケットの上
   壁部に接近して位置する下方への折り曲げ部を設けたこ
   とを特徴とする請求項１または請求項２に記載のキーシ
   リンダ取付構造。