JPH052102A - ハードコート膜およびハードコート膜付基材 - Google Patents

ハードコート膜およびハードコート膜付基材

Info

Publication number
JPH052102A
JPH052102A JP3152098A JP15209891A JPH052102A JP H052102 A JPH052102 A JP H052102A JP 3152098 A JP3152098 A JP 3152098A JP 15209891 A JP15209891 A JP 15209891A JP H052102 A JPH052102 A JP H052102A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hard coat
coat film
oxide
component
sol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3152098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3031571B2 (ja
Inventor
Hirokazu Tanaka
中 博 和 田
Masabumi Hirai
井 正 文 平
Chiemi Murakami
上 千枝美 村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd filed Critical Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority to JP3152098A priority Critical patent/JP3031571B2/ja
Publication of JPH052102A publication Critical patent/JPH052102A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3031571B2 publication Critical patent/JP3031571B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】基材の表面に、屈折率が高く、その上耐熱水
性、耐候性、耐擦傷性、耐磨耗性および染色性に優れた
ハードコート膜を密着性良く形成する。 【構成】粒径が特定範囲にある特定比率の酸化鉄成分と
酸化チタン成分とからなる複合酸化物粒子とマトリック
スとを含んでなるハードコート膜およびこのようなハー
ドコート膜が表面に形成されたハードコート膜付基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ガラス、プラスチックな
どの基材の表面に形成されるハードコート膜に関し、さ
らに詳しくは、屈折率が高く、透明性に優れ、その上耐
熱水性、耐候性、耐擦傷性、耐磨耗性および染色性に優
れ、さらに基材との密着性にも優れたハードコート膜に
関する。
【0002】本発明は、さらにこのような優れたハード
コート膜が表面に形成されているハードコート膜付基材
にも関する。
【0003】
【発明の技術的背景】透明プラスチック、ガラスなどの
基材の表面に屈折率の高いハードコート膜を形成するこ
とを目的として、種々のハードコート膜およびこれらの
ハードコート膜を形成する方法が種々提案されている。
【0004】例えば、特開昭63−247702号公報
には、酸化チタン粒子と特定の有機ケイ素化合物とを含
むコーティング膜が開示されている。また、特開平2−
264902号公報には、酸化セリウムと酸化チタンと
の複合酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とからなるハー
ドコート膜が開示されている。さらに、特開平3−68
901号公報には、酸化チタン系微粒子をシリカおよび
/または有機ケイ素化合物で処理して得られた微粒子と
有機ケイ素化合物とからなるハードコート膜が開示され
ている。
【0005】しかしながら、特開昭63−247702
号公報に記載されたコーティング膜は、耐候性に劣り、
経時的に膜が変色し、基材との密着性も良くないという
問題点がある。また、特開平2−264902号公報お
よび特開平3−68901号公報に記載されたハードコ
ート膜は、特開昭63−247702号公報に記載され
たコーティング膜に比べて耐候性に多少優れているもの
の充分ではなく、耐擦傷性および耐磨耗性も実用的に充
分でないという問題点がある。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術におけ
る問題点を解決しようとするものであって、屈折率が高
く、透明性に優れ、その上耐熱水性、耐候性、耐擦傷
性、耐磨耗性および染色性に優れ、基材との密着性にも
優れたハードコート膜およびこのような優れた特性を有
するハードコート膜が表面に形成されたハードコート膜
付基材を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る第1のハードコート膜は、
マトリックスと複合酸化物粒子とからなるハードコート
膜であって、前記複合酸化物粒子が酸化鉄成分と酸化チ
タン成分とからなり、酸化鉄成分量をFe2 3 に換算
し、酸化チタン成分量をTiO 2 に換算した時の重量比
Fe2 3 /TiO2 が0.005〜1.0の範囲にあ
り、前記複合酸化物粒子の平均粒径が1〜100mμの
範囲にあることを特徴としている。
【0008】本発明に係る第2のハードコート膜は、マ
トリックスと複合酸化物粒子とからなるハードコート膜
であって、前記複合酸化物粒子が酸化鉄成分,酸化チタ
ン成分およびシリカ成分からなり、酸化鉄成分量をFe
2 3 に換算し、酸化チタン成分量をTiO2 に換算
し、シリカ成分量をSiO2 に換算した時の重量比Fe
2 3 /TiO2 が0.005〜1.0の範囲にあっ
て、重量比SiO2 /(Fe2 3 +TiO2 )比が
0.001〜1.0の範囲にあり、前記複合酸化物粒子
の平均粒径が1〜100mμの範囲にあることを特徴と
している。
【0009】上記本発明に係る第1および第2のハード
コート膜において、前記複合酸化物粒子は有機シラン化
合物で表面改質されていることが好ましい。本発明に係
るハードコート膜付基材は、基材表面に本発明に係る第
1または第2のハードコート膜が形成されていることを
特徴としている。
【0010】
【発明の具体的説明】以下に、本発明に係る第1のハー
ドコート膜(1)および第2のハードコート膜(2)、
並びにこのようなハードコート膜が表面に形成されてい
る本発明に係る第1のハードコート膜付基材(A)およ
び第2のハードコート膜付基材(B)について具体的に
説明する。
【0011】ハードコート膜(1) まず本発明に係る第1のハードコート膜(1)について
具体的に説明する。このハードコート膜(1)中には、
酸化鉄成分と酸化チタン成分とからなる複合酸化物粒子
が含まれている。
【0012】ここで酸化鉄成分と酸化チタン成分とから
なる複合酸化物とは、下記(a)〜(e)のいずれかを
意味する。(a)酸化鉄と酸化チタンとが化学的に結合
した複合酸化物、(b)鉄とチタンの酸化物からなる固
溶体、(c)酸化鉄と酸化チタンとが物理的に結合した
複合酸化物、(d)上記(a)〜(c)の混合物、
(e)単純な酸化鉄と酸化チタンとの混合物。
【0013】また、上記の酸化鉄または酸化チタンは、
いずれも水和物または水酸化物であっても良い。上記酸
化鉄は、酸化セリウムに比べて紫外線の吸収波長域が長
波長側にあるため、ハードコート膜(1)は、従来の酸
化セリウムと酸化チタンとの複合酸化物粒子を含むハー
ドコート膜に比較して耐候性に優れている。
【0014】ハードコート膜(1)に含まれている複合
酸化物粒子の平均粒径は、1〜100mμ、好ましくは
2〜60mμの範囲にある。平均粒径が100mμを越
える複合酸化物粒子を含むハードコート膜は、白濁して
不透明になる傾向があり、平均粒径が1mμ未満である
複合酸化物粒子を含むハードコート膜は、硬度が不充分
で耐擦傷性に劣ると同時に屈折率が充分に高くならない
といった傾向が生じる。
【0015】またハードコート膜(1)に含まれる複合
酸化物は、酸化鉄成分量をFe2 3 に換算し、酸化チ
タン成分量をTiO2 に換算した時の重量比Fe2 3
/TiO2 が0.005〜1.0、好ましくは0.01
〜0.70の範囲にある。なお本明細書において、複合
酸化物粒子におけるFe2 3/TiO2 比は、原料と
して用いた鉄化合物およびをそれぞれFe2 3 、Ti
2 に換算して計算した値である。
【0016】この重量比が0.005未満では耐候性が
良好なハードコート膜が得られず、1.0を越えるとハ
ードコート膜が黄変し、透明性にすぐれたハードコート
膜が得られないといった傾向が生じる。
【0017】ハードコート膜(1)形成用塗布液を調製
する際には、例えば、上記(a)〜(e)の複合酸化物
粒子が水または有機溶媒に分散したゾル(酸化鉄・酸化
チタン複合酸化物ゾル)が用いるのが好ましい。
【0018】このような酸化鉄・酸化チタン複合酸化物
ゾルは、特開平2−178219号公報に記載された方
法で製造することができる。さらに具体的に説明する
と、次の通りである。
【0019】チタン化合物と鉄化合物とが上記比率で含
まれている混合水溶液を加水分解して得られる鉄とチタ
ンの複合水和酸化物および/または水和酸化鉄と水和酸
化チタンとの混合物を含む分散液に過酸化水素を、好ま
しくはH22/(Fe2 3 +TiO2 )(重量比)が
4〜7になるように加え、好ましくは50℃以上の温度
で約0.5〜8時間加熱して分散液中に含まれる上記の
水和酸化物を溶解または解膠させる。この際、液中に含
まれる水和酸化物の濃度は、(Fe2 3 +TiO2
に換算して、通常、約6重量%以下、好ましくは約4重
量%以下に調整される。
【0020】次いで得られた溶液を60℃以上、好まし
くは80℃以上に加熱すると、液中の過酸化水素溶解化
合物が加水分解し、酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾル
が得られる。
【0021】このようにして得られた酸化鉄・酸化チタ
ン複合酸化物ゾルを、マトリックス(基質成分)が有機
溶媒中に溶解している溶液またはマトリックスが均一に
分散されている分散液と混合することにより、ハードコ
ート膜(1)形成用塗布液が調製される。
【0022】この際、酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾ
ルを、直接、上記溶液または分散液と混合してもよい
が、酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾルに有機溶媒を混
合するか、もしくは有機溶媒でゾルの溶媒を置換した後
に混合してもよい。
【0023】このように酸化鉄・酸化チタン複合酸化物
ゾルに混合したり、あるいはゾルの溶媒を置換する際の
用いられる有機溶媒としては、具体的には、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコ
ール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレ
ングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エ
チルなどのエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン類、ジクロルエタンなどのハロゲン化
炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素お
よびN,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
これらの溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】ハードコート膜(1)形成用塗布液を調製
する際には、上述したような酸化鉄・酸化チタン複合酸
化物ゾルを用いることが好ましいが、酸化鉄成分と酸化
チタン成分とからなる複合酸化物粒子が前記塗布液中に
単分散または単分散に近い状態で分散できればゾル以外
の状態にある微粒子を用いてもよい。
【0025】ハードコート膜(1)形成用塗布液には、
マトリックスとして下記に示す加水分解性有機ケイ素化
合物、あるいはアクリル系樹脂、メラミン樹脂、ポリビ
ニルアルコールなどの透明な樹脂などが用いられる。
【0026】ハードコート膜(1)形成用塗布液に用い
られる加水分解性有機ケイ素化合物としては、例えば、
下記一般式(I)で表されるシラン化合物が用いられ
る。
【0027】
【化1】 (ただし、式中、a、bは、0ないし2の整数であり、
a+bは、1ないし3である。R1は、アルキル基、ア
ルケニル基、フェニル基、ハロゲン化炭化水素基であ
り、R2は、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカ
プト基、メタクリロキシ基、シアノ基、ビニル基、ハロ
ゲンで核置換された芳香環を含む有機基であり、Xは、
加水分解可能な基、例えばハロゲン原子またはアルコキ
シル基、アルコキシアルコキシル基、アシルオキシ基で
ある。)前記式(I)で表されるシラン化合物として
は、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシランなどの4官能シラン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、N−,β−(アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイド
プロピルトリメトキシシラン、γ−シアノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−モルフォリノプロピルトリメトキ
シシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシ
ランなどの3官能シラン、前記3官能シランの1部がメ
チル基、エチル基、ビニル基で置換された2官能シラン
などが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は2種以
上を混合して用いてもよい。
【0028】また、これらの有機ケイ素化合物は、その
ままの状態でも、あるいは加水分解されていても、部分
的に縮合していてもよい。ハードコート膜(1)形成用
塗布液にこのような有機ケイ素化合物を用いる場合に
は、有機ケイ素化合物によって形成される被膜の硬化を
促進するため、ハードコート膜(1)形成用塗布液にさ
らに硬化用触媒を含んでいてもよい。
【0029】このような硬化用触媒としては、具体的に
は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、グアニジン
などのアミン、グリシンなどのアミノ酸、2−メチルイ
ミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェ
ニルイミダゾールなどのイミダゾール、アルミニウムア
セチルアセトネート、チタンアセチルアセトネートクロ
ムアセチルアセトナートなどの金属アセチルアセトネー
ト、酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸スズ
などの有機酸金属塩、SnCl4、TiCl4、ZnCl
2などのルイス酸、過塩素酸マグネシウムなどが挙げら
れる。
【0030】ハードコート膜(1)形成用塗布液に用い
られる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ
類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミド
類、水、フレオンが挙げられる。これらの溶媒は2種以
上を混合して用いてもよい。
【0031】さらにハードコート膜(1)形成用塗布液
には、ハードコート膜(1)を形成する目的、ハードコ
ート膜(1)を形成した基材の用途などに応じて界面活
性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、チクソトロピー剤、
顔料、染料、帯電防止剤、導電性物質などを添加しても
よい。またマレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、
無水イタコン酸などの多価カルボン酸を添加すると、ハ
ードコート膜の染色性、耐熱性、耐熱水性、耐磨耗性が
向上する。
【0032】ハードコート膜(1)形成用塗布液中の酸
化鉄・酸化チタン複合酸化物粒子は、酸化鉄成分量をF
2 3 の重量に換算して表し、酸化チタン成分量をT
iO 2 の重量に換算して表した際に、マトリックス10
0重量部に対して20〜500重量部、好ましくは60
〜300重量部の範囲に調製される。
【0033】本発明に係るハードコート膜(1)は、ガ
ラス、プラスチックなどの基材表面に上記のようなハー
ドコート膜(1)形成用塗布液をディッピング法、スピ
ナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷
などの方法で塗布・乾燥し、次いでこのようにして基材
表面に形成された被膜を基材の耐熱温度以下に加熱して
硬化するなどの方法により得られる。
【0034】このようにして得られるハードコート膜
(1)の膜厚は、通常0.1〜20μm、好ましくは1
〜7μmの範囲にある。ハードコート膜(2) 次に本発明に係るハードコート膜(2)について説明す
る。
【0035】本発明に係るハードコート膜(2)中に
は、酸化鉄成分、酸化チタン成分およびシリカ成分から
なる複合酸化物粒子が含まれている。ここで酸化鉄成
分、酸化チタン成分およびシリカ成分からなる複合酸化
物とは、下記(a)〜(e)のいずれかを意味する。
(a)酸化鉄、酸化チタンおよびシリカが化学的に結合
した複合酸化物、(b)鉄、チタンおよびケイ素の酸化
物からなる固溶体、(c)酸化鉄、酸化チタンおよびシ
リカが物理的に結合した複合酸化物、(d)上記(a)
〜(c)の混合物、(e)単純な酸化鉄、酸化チタンお
よびシリカの混合物。
【0036】また、上記の酸化鉄、酸化チタンおよびシ
リカは、それぞれハードコート膜(1)の項で説明した
状態をとり得る。すなわち、例えば、シリカは、無水ケ
イ酸またはその水和物を意味する。
【0037】ハードコート膜(2)中に含まれる上記複
合酸化物粒子の粒径範囲は、ハードコート膜(1)中に
含まれる複合酸化物粒子と同様である。ハードコート膜
(2)中に含まれる複合酸化物粒子中の酸化鉄成分量、
酸化チタン成分量およびシリカ成分量は、それぞれの量
をFe2 3 、TiO2 およびSiO2 の重量で表した
際、Fe2 3 /TiO2 比が0.005〜1.0、好
ましくは0.01〜0.7の範囲にあり、かつ、SiO
2 /(Fe2 3 +TiO2 )比が0.001〜1.
0、好ましくは0.005〜1.0の範囲にある。Si
2 /(Fe2 3 +TiO2 )比が1.0を越える
と、ハードコート膜の屈折率が低下し、0.001未満
では、シリカ成分の含有効果がほとんどない。
【0038】複合酸化物粒子中にシリカ成分が含まれて
いると、ハードコート膜の耐候性および塗布液の長期安
定性が向上する傾向がある。ハードコート膜(2)形成
用塗布液を調製する際には、酸化鉄・酸化チタン・シリ
カ複合酸化物ゾルが好適に用いられ、この酸化鉄・酸化
チタン・シリカ複合酸化物ゾルは、すでに説明した酸化
鉄・酸化チタン複合酸化物ゾルの場合と同様、特開平2
−178219号公報に記載された方法で製造すること
ができる。
【0039】ハードコート膜(2)形成用塗布液は、酸
化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾルに代えて酸化鉄・酸化
チタン・シリカ複合酸化物ゾルを用いる以外はハードコ
ート膜(1)形成用塗布液と同様にして調製される。
【0040】またハードコート膜(2)も、ハードコー
ト膜(1)形成用塗布液に代えてハードコート膜(2)
形成用塗布液を用いる以外は、ハードコート膜(1)と
同様にしてプラスチックなどの基材表面に形成すること
ができる。
【0041】上述したハードコート膜(1)および
(2)に含まれる複合酸化物粒子は、有機シラン化合物
で表面改質されていることもできる。複合酸化物粒子を
有機シラン化合物で表面改質すると、複合酸化物粒子と
マトリックスとの反応性および親和性およびハードコー
ト膜形成用塗布液中における複合酸化物粒子と溶媒との
親和性がより一層向上する。
【0042】このように複合酸化物粒子を有機シラン化
合物で表面改質する際には、シランカップリング剤とし
て通常用いられている有機シラン化合物が用いられ、そ
の種類は、マトリックスおよびハードコート膜形成用塗
布液の溶媒の種類などに応じて適宜選定される。このよ
うな表面改質用有機シラン化合物としては、具体的に
は、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが
挙げられる。
【0043】複合酸化物粒子の表面改質は、例えば上記
有機シラン化合物のアルコール溶液中に複合酸化物粒子
を一定時間浸漬させた後に溶媒を除去するか、あるいは
上記有機シラン化合物のアルコール溶液と複合酸化物ゾ
ルとを混合し、一定時間の後に限外ろ過などの方法で混
合溶液中の水を分離・濃縮することによって行われる。
【0044】この際に用いられる有機シラン化合物の量
は、複合酸化物粒子の表面に存在する水酸基の量などに
応じて適宜設定される。ハードコート膜付基材(A)、(B) 次に本発明に係るハードコート膜付基材(A)、(B)
について説明する。
【0045】本発明に係るハードコート膜付基材
(A)、(B)は、基材表面にハードコート膜(1)、
(2)が形成されている。このようなハードコート膜
(1)、(2)が形成される基材には、ガラス、プラス
チックなどからなる各種基材が用いられ、具体的には眼
鏡レンズ、カメラなどの各種光学レンズ、CRTの前面
板、フィルター、ショーウィンドのケース、窓ガラス、
複写機に用いられるコンタクトガラス、自動車などに用
いられるライトカバーなどが挙げられる。
【0046】
【発明の効果】本発明に係るハードコート膜は、屈折率
が高いため、プラスチックレンズの表面に本発明に係る
ハードコート膜を形成すると、プラスチックレンズとハ
ードコート膜の光干渉に基づく干渉縞を消去することが
できる。
【0047】さらに、本発明に係るハードコート膜は、
耐候性に優れ、しかも表面の硬度が高く、このため、耐
擦傷性および耐磨耗性に優れ、しかも染色性に優れてい
ることから、眼鏡レンズ、カメラなどの各種光学レンズ
に好ましく適用される。
【0048】また本発明に係るハードコート膜は、屈折
率が高いため、基材、例えば眼鏡レンズ、カメラのレン
ズなどの表面に本発明に係るハードコート膜を形成する
と、基材表面の反射防止がなされる。このため、本発明
に係るハードコート膜が表面に形成されているレンズを
用いたカメラなどの撮像装置は、ハードコート膜が表面
に形成されていないレンズを用いた撮像装置に比較して
少ない光量で鮮明な撮像が行えるなどの特長がある。
【0049】また、CRT用前面板、フィルター、ショ
ーウインドー、窓ガラスなどの表面に形成すると、透明
性に優れた基材が得られるとともに、これらの基材の寿
命、美観などを向上することができる。
【0050】さらに、本発明に係るハードコート膜は、
ガラス基材のみならずポリカーボネート系樹脂、アクリ
ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリウレタン系樹脂などのプラスチック基材の表面に形
成する被膜としても好適である。
【0051】以下本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
【実施例1】酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾルの調製 Fe23に換算して2gの第二塩化鉄とTiO2に換算
して98gの四塩化チタンとを純水に溶解し、10kg
の混合水溶液を調製した。この混合水溶液に15%アン
モニア水をpHが9.0になるまで除々に添加し、水和
酸化鉄と水和酸化チタンとの共沈ゲルを得た。
【0053】このようにして得られた共沈ゲルを脱水
し、洗浄した後、この共沈ゲル1,100gに35%過
酸化水素1,150gと純水250gとを加え、次いで
80℃に加熱したところ、赤褐色の溶液2,500gが
得られた。この溶液のpHは7.8であった。この溶液
中に含まれる鉄およびチタンの酸化物の濃度が(TiO
2+Fe23)換算で1.0重量%になるように純水で
希釈した後、200℃で96時間加熱した。
【0054】次いでこの溶液中の水をメタノールで置換
し、前記換算濃度が20重量%になるまで濃縮した結
果、平均粒径11mμ、Fe23/TiO2(重量比)
が2/98である酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾル
(ゾルA1)を得た。
【0055】ハードコート膜形成用塗布液の調製 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン276.
1重量部を入れた反応容器の温度を10℃に保持し、攪
拌しながら0.01NのHCl水溶液64.2重量部を
除々に滴下してγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランを加水分解した。この溶液にエタノール100.
2重量部およびイソプロパノール215重量部を加えて
マトリックスを形成した。
【0056】このマトリックスを含む液に上記ゾルA1
を1,173.4重量部加え、さらにアルミニウムアセ
チルアセトナート10.03重量部を添加して液を充分
に混合し、ハードコート膜形成用塗布液を得た。
【0057】ハードコート膜の形成 ポリカーボネート成形品(三菱ガス化学(株)社製のユ
ーピロンU−4000)を、47℃の13%NaOH水
溶液中に数分間浸漬した後で充分に水洗した。
【0058】次いでこのポリカーボネート成形品を、前
記塗布液中に浸漬した後に引上げ速度80mm/分で引
上げ、90℃で18分間乾燥し、104℃で90分間加
熱硬化して実施例1のハードコート膜を形成した。
【0059】ハードコート膜の特性 このようにして得られた実施例1のハードコート膜につ
き、以下の特性を評価した。 (a)高屈折性能 ハードコート膜表面の反射干渉スペクトルの解析結果か
ら得られた屈折率が、1.58以上である場合を○とし
た。 (b)耐擦傷性 ハードコート膜を有する1cm×3cmの試験片の表面
に♯000のスチールウールを2kgの荷重をかけなが
ら10回往復させてハードコート膜を前記スチールウー
ルで摩擦し、傷ついた程度を目視で次の段階に分類して
評価した。
【0060】A…殆ど傷がついていない B…少し傷がついている C…ひどく傷がついている (c)外観 ハードコート膜付基材の透明性が良く、着色が極めて少
ないものを○とした。 (d)染色性 赤、青および黄色の3種類の分散染料が溶解している9
2℃の熱水にハードコート膜付基材を5分間浸漬し、S
Mカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用い
て波長550nmにおける減光率を測定し、下記のよう
に評価した。
【0061】○…減光率が30%以上 △…減光率が20%以上30%未満 ×…減光率が20%未満 (e)耐候性 ハードコート膜付基材をウェザーメーター(スガ試験機
(株)製)を用いて、400時間の曝露加速試験を行っ
た後に外観の変化を評価し、変化の程度を○、△、×の
3段階で評価した。 (f)曇化度 黒い背景と3波長型白昼蛍光灯の間にハードコート膜付
基材を設置し、ハードコート膜付基材を透過して背景に
映る光のパターンを目視で観察し、ハードコート膜によ
る曇化度を○、△、×の3段階で評価した。 (g)長期安定性 ハードコート膜形成用塗布液を10℃で25日および4
5日保存した後に上記のようにしてハードコート膜を形
成して前記(a)〜(d)および(f)を評価し、ハー
ドコート膜形成用塗布液を調製した直後に形成したハー
ドコート膜との差異を○、△、×の3段階で評価した。
【0062】結果を表1に示す。
【0063】
【実施例2】Fe23/TiO2(換算重量比)が40
/60となるように第二塩化鉄および4塩化チタンの量
を調整した以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒径
9mμの酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾル(ゾル
2)を得た。
【0064】このゾルA2をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例2のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0065】結果を表1に示す。
【0066】
【実施例3】ゾルA11,000gを反応容器にとり、
63℃に加熱した後、攪拌しながらビニルトリエトキシ
シランとメタノールとの混合溶液2リットルを除々に添
加した。添加終了後、さらに溶液の温度を63℃に維持
して溶液中の酸化鉄・酸化チタン複合酸化物ゾルを熟成
させた後、この溶液を濃縮し、濃度30.5重量%のビ
ニルトリエトキシシランで表面改質された酸化鉄・酸化
チタン複合酸化物のメタノール分散ゾル(ゾルA3)を
得た。
【0067】このゾルA3をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例3のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0068】結果を表1に示す。
【0069】
【実施例4】ビニルトリエトキシシランをメチルトリメ
トキシシランに代えた以外は実施例3と同様にしてメチ
ルトリエトキシシランで表面処理された酸化鉄・酸化チ
タン複合酸化物のメタノール分散ゾル(ゾルA4)を得
た。
【0070】このゾルA4をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例4のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0071】結果を表1に示す。
【0072】
【実施例5】実施例1の酸化鉄・酸化チタン複合酸化物
ゾルの調製過程で得られるpH7.8の赤褐色の溶液
2,500gに予め水ガラス水溶液を陽イオン交換樹脂
で脱アルカリして調製したケイ酸液(SiO2換算濃
度:5重量%)を、酸化鉄成分、酸化チタン成分および
シリカ成分をそれぞれFe23、TiO2およびSiO2
として換算した際の重量比SiO2/(Fe23+Ti
2)が15/100となるような量で混合した後、1
70℃で10時間加熱した。
【0073】次いでこの溶液中の水をメタノールで置換
し、(Fe23+TiO2+SiO2)換算濃度が20重
量%になるまで濃縮した結果、平均粒径11mμの酸化
鉄・酸化チタン・シリカ複合酸化物ゾル(ゾルB1)を
得た。
【0074】このゾルB1をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例5のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0075】結果を表1に示す。
【0076】
【実施例6】ハードコート膜形成用塗布液の調製過程で
ゾルB1を1,577.0重量部とした以外は、実施例
5と同様にして、ハードコート膜形成用塗布液を調製
し、この塗布液を用いて実施例6のハードコート膜を形
成し、得られたハードコート膜の特性評価を行った。な
お、このハードコート膜(膜厚:1.5μm)の屈折率
は、被膜表面の反射干渉スペクトルを解析して求めた結
果、1.805であった。
【0077】結果を表1に示す。
【0078】
【実施例7】酸化鉄成分、酸化チタン成分およびシリカ
成分をそれぞれFe23、TiO2およびSiO2として
換算した際の重量比SiO2/(Fe23+TiO2)が
10/100となるように調製した以外は実施例5と同
様にして、平均粒径12mμの酸化鉄・酸化チタン・シ
リカ複合酸化物ゾル(ゾルB2)を得た。
【0079】このゾルB2をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例7のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0080】結果を表1に示す。
【0081】
【実施例8】酸化鉄成分、酸化チタン成分およびシリカ
成分をそれぞれFe23、TiO2およびSiO2として
換算した際の重量比Fe23/TiO2が5/95とな
り、SiO2/(Fe23+TiO2)が43/100と
なるように調製した以外は実施例5と同様にして、平均
粒径10mμの酸化鉄・酸化チタン・シリカ複合酸化物
ゾル(ゾルB3)を得た。
【0082】このゾルB3をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例8のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0083】結果を表1に示す。
【0084】
【実施例9】ゾルA1に代えてゾルB2を用い、ビニルト
リエトキシシランに代えてテトラエトキシシランを用い
た以外は、実施例3と同様にしてテトラエトキシシラン
で表面改質された酸化鉄・酸化チタン・シリカ複合酸化
物のメタノール分散ゾル(ゾルB4)を得た。
【0085】このゾルB4をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例9のハードコ
ート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価を
行った。
【0086】結果を表1に示す。
【0087】
【実施例10】テトラエトキシシランに代えてトリメチ
ルクロロシランを用いた以外は、実施例9と同様にして
トリメチルクロロシランで表面改質された酸化鉄・酸化
チタン・シリカ複合酸化物のメタノール分散ゾル(ゾル
5)を得た。
【0088】このゾルB5をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例10のハード
コート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価
を行った。
【0089】結果を表1に示す。
【0090】
【実施例11】テトラエトキシシランに代えてγ−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシランを用いた以外は、
実施例9と同様にしてγ−グリシドキシプロピルトリエ
トキシシランで表面改質された酸化鉄・酸化チタン・シ
リカ複合酸化物のメタノール分散ゾル(ゾルB6)を得
た。
【0091】このゾルB6をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例11のハード
コート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価
を行った。
【0092】結果を表1に示す。
【0093】
【実施例12】テトラエトキシシランに代えてγ−グリ
シドキシプロピルメチルジエトキシシランを用いた以外
は、実施例9と同様にしてγ−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシランで表面改質された酸化鉄・酸化チ
タン・シリカ複合酸化物のメタノール分散ゾル(ゾルB
7)を得た。
【0094】このゾルB7をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例12のハード
コート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価
を行った。
【0095】結果を表1に示す。
【0096】
【実施例13】テトラエトキシシランに代えてγ−メタ
クリロキシプロピルトリエトキシシランを用いた以外
は、実施例9と同様にしてγ−メタクリロキシプロピル
トリエトキシシランで表面改質された酸化鉄・酸化チタ
ン・シリカ複合酸化物のメタノール分散ゾル(ゾル
8)を得た。
【0097】このゾルB8をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液を調製し、この塗布液を用いて実施例13のハード
コート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価
を行った。
【0098】結果を表1に示す。
【0099】
【実施例14】酸化鉄成分、酸化チタン成分およびシリ
カ成分をそれぞれFe23、TiO2およびSiO2とし
て換算した際の重量比Fe23/TiO2が40/60
となり、SiO2/(Fe23+TiO2)が15/10
0となるように調製した以外は実施例1と同様にして、
平均粒径11mμの酸化鉄・酸化チタン・シリカ複合酸
化物ゾルを調製し、次いでこのゾルを実施例11と同様
にして、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
で表面改質された酸化鉄・酸化チタン・シリカ複合酸化
物のメタノール分散ゾル(ゾルB9)を得た。
【0100】このゾルB9をゾルA1の代わりに用いた以
外は、実施例1と同様にして、ハードコート膜形成用塗
布液の調製し、この塗布液を用いて実施例14のハード
コート膜を形成し、得られたハードコート膜の特性評価
を行った。
【0101】結果を表1に示す。
【0102】
【比較例1、2】ゾルB2をそれぞれ酸化チタン・酸化
セリウム複合酸化物ゾル(触媒化成工業(株)社製、オ
プトレイク1130A)、酸化アンチモンゾルに代えた
以外は、実施例7と同様にしてハードコート膜形成用塗
布液を調製し、これらの塗布液を用いて比較例1および
2のハードコート膜を形成し、得られたハードコート膜
の特性評価を行った。
【0103】結果を表1に示す。
【0104】
【実施例15〜19】ゾルB2の量をそれぞれ2,05
6.9重量部、2,374.5重量部に変えた以外は実
施例7と同様のハードコート膜形成用塗布液を調製し、
これらの塗布液をそれぞれ表2に示す屈折率を有するガ
ラスレンズの表面に実施例1と同様にして実施例15、
16のハードコート膜を形成した。
【0105】また、ゾルB4の量をそれぞれ1,34
8.8重量部、1,403.1重量部および1,55
7.0重量部に変えた以外は実施例9と同様のハードコ
ート膜形成用塗布液を調製し、これらの塗布液をそれぞ
れ表2に示す屈折率を有するガラスレンズの表面に実施
例1と同様にして実施例17〜19のハードコート膜を
形成した。
【0106】それぞれのハードコート膜表面に干渉縞が
形成されているか否かを蛍光灯の下で目視観察した。ま
たそれぞれのハードコート膜の耐擦傷性を実施例1と同
様にして評価した。
【0107】結果を表2に示す。
【0108】
【比較例3】ゾルB4を酸化チタン・酸化セリウム複合
酸化物ゾル(触媒化成工業(株)社製、オプトレイク1
130A)に代えた以外は、実施例19と同様にして比
較例3のハードコート膜を形成し、ハードコート膜表面
に干渉縞が形成されているか否かを蛍光灯の下で目視観
察した。またハードコート膜の耐擦傷性を実施例1と同
様にして評価した。
【0109】結果を表2に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックスと複合酸化物粒子とからな
    るハードコート膜であって、前記複合酸化物粒子が酸化
    鉄成分と酸化チタン成分とからなり、酸化鉄成分量をF
    2 3 に換算し、酸化チタン成分量をTiO2 に換算
    した時の重量比Fe2 3 /TiO2が0.005〜
    1.0の範囲にあり、前記複合酸化物粒子の平均粒径が
    1〜100mμの範囲にあることを特徴とするハードコ
    ート膜。
  2. 【請求項2】 マトリックスと複合酸化物粒子とからな
    るハードコート膜であって、前記複合酸化物粒子が酸化
    鉄成分,酸化チタン成分およびシリカ成分からなり、酸
    化鉄成分量をFe2 3 に換算し、酸化チタン成分量を
    TiO2 に換算し、シリカ成分量をSiO2 の重量に換
    算した時の重量比Fe2 3 /TiO 2 が0.005〜
    1.0の範囲にあって、重量比SiO2 /(Fe2 3
    +TiO2 )が0.001〜1.0の範囲にあり、前記
    複合酸化物粒子の平均粒径が1〜100mμの範囲にあ
    ることを特徴とするハードコート膜。
  3. 【請求項3】 前記複合酸化物粒子が有機シラン化合物
    で表面改質されていることを特徴とする請求項1または
    2に記載のハードコート膜。
  4. 【請求項4】 基材表面に請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載のハードコート膜が形成されてなることを特
    徴とするハードコート膜付基材。
JP3152098A 1991-06-25 1991-06-25 ハードコート膜およびハードコート膜付基材 Expired - Lifetime JP3031571B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3152098A JP3031571B2 (ja) 1991-06-25 1991-06-25 ハードコート膜およびハードコート膜付基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3152098A JP3031571B2 (ja) 1991-06-25 1991-06-25 ハードコート膜およびハードコート膜付基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH052102A true JPH052102A (ja) 1993-01-08
JP3031571B2 JP3031571B2 (ja) 2000-04-10

Family

ID=15533009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3152098A Expired - Lifetime JP3031571B2 (ja) 1991-06-25 1991-06-25 ハードコート膜およびハードコート膜付基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3031571B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0730168A2 (en) 1995-03-03 1996-09-04 Seiko Epson Corporation Film-forming coating solution and synthetic resin lens
US5654090A (en) * 1994-04-08 1997-08-05 Nippon Arc Co., Ltd. Coating composition capable of yielding a cured product having a high refractive index and coated articles obtained therefrom
WO1999031185A1 (fr) * 1997-12-16 1999-06-24 Catalysts & Chemicals Industries Co., Ltd. Liquide d'enduction pour former des revetements durs et substrats recouverts de revetements durs
US5963373A (en) * 1995-09-11 1999-10-05 Nippon Arc Co., Ltd. Primer composition
JP2003049092A (ja) * 2001-08-03 2003-02-21 Hitachi Chem Co Ltd 充填剤、樹脂組成物およびその利用
JP2010504863A (ja) * 2006-09-29 2010-02-18 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 高屈折率を有する耐引掻性層を含む被覆生成物
WO2013094738A1 (ja) 2011-12-21 2013-06-27 日揮触媒化成株式会社 オリゴマー修飾微粒子とその製造方法および塗料
JP2013156468A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Stanley Electric Co Ltd ハードコート膜を備えた樹脂物品
US8911098B2 (en) 2008-08-21 2014-12-16 Schott Ag Substrate for a mirror support with reduced weight as well as mirror with reduced-weight mirror support
US10926431B2 (en) 2013-06-25 2021-02-23 Schott Ag Tool head and glass or glass ceramic article producible using the tool head
WO2022239788A1 (ja) 2021-05-11 2022-11-17 日揮触媒化成株式会社 ルチル型酸化チタン粒子、分散液、塗膜形成用塗布液、および塗膜付基材
KR20220160005A (ko) 2020-03-31 2022-12-05 닛키 쇼쿠바이카세이 가부시키가이샤 지르코니아 피복 산화티탄 미립자의 제조방법, 지르코니아 피복 산화티탄 미립자 및 그의 용도

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4069369B2 (ja) 2002-09-25 2008-04-02 信越化学工業株式会社 反射防止膜及び反射防止膜の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61276832A (ja) * 1985-05-31 1986-12-06 Nippon Sheet Glass Co Ltd 耐摩耗性のすぐれた被覆プラスチツク成形体の製造方法
JPS63139302A (ja) * 1986-04-22 1988-06-11 Seiko Epson Corp 反射防止膜を有する光学成形物品
JPH0368901A (ja) * 1989-08-07 1991-03-25 Toray Ind Inc 高屈折率ハードコート膜

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61276832A (ja) * 1985-05-31 1986-12-06 Nippon Sheet Glass Co Ltd 耐摩耗性のすぐれた被覆プラスチツク成形体の製造方法
JPS63139302A (ja) * 1986-04-22 1988-06-11 Seiko Epson Corp 反射防止膜を有する光学成形物品
JPH0368901A (ja) * 1989-08-07 1991-03-25 Toray Ind Inc 高屈折率ハードコート膜

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5654090A (en) * 1994-04-08 1997-08-05 Nippon Arc Co., Ltd. Coating composition capable of yielding a cured product having a high refractive index and coated articles obtained therefrom
US5789476A (en) * 1995-03-03 1998-08-04 Seiko Epson Corporation Film-forming coating solution and synthetic resin lens
EP0730168A2 (en) 1995-03-03 1996-09-04 Seiko Epson Corporation Film-forming coating solution and synthetic resin lens
US5963373A (en) * 1995-09-11 1999-10-05 Nippon Arc Co., Ltd. Primer composition
US6858294B1 (en) 1997-12-16 2005-02-22 Catalyst & Chemicals Industries Co., Ltd. Coating fluid for forming hard coating and substrates covered with hard coating
JPH11172152A (ja) * 1997-12-16 1999-06-29 Catalysts & Chem Ind Co Ltd ハードコート膜形成用塗布液およびハードコート膜付基材
AU736533B2 (en) * 1997-12-16 2001-08-02 Catalysts & Chemicals Industries Co., Ltd. Coating liquid for forming hard coat film and substrate coated with such a film
WO1999031185A1 (fr) * 1997-12-16 1999-06-24 Catalysts & Chemicals Industries Co., Ltd. Liquide d'enduction pour former des revetements durs et substrats recouverts de revetements durs
JP2003049092A (ja) * 2001-08-03 2003-02-21 Hitachi Chem Co Ltd 充填剤、樹脂組成物およびその利用
JP2010504863A (ja) * 2006-09-29 2010-02-18 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 高屈折率を有する耐引掻性層を含む被覆生成物
US8911098B2 (en) 2008-08-21 2014-12-16 Schott Ag Substrate for a mirror support with reduced weight as well as mirror with reduced-weight mirror support
WO2013094738A1 (ja) 2011-12-21 2013-06-27 日揮触媒化成株式会社 オリゴマー修飾微粒子とその製造方法および塗料
US9534122B2 (en) 2011-12-21 2017-01-03 Jgc Catalysts And Chemicals Ltd. Oligomer-modified fine particles, method for producing the same, and coating containing the particles
JP2013156468A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Stanley Electric Co Ltd ハードコート膜を備えた樹脂物品
US10926431B2 (en) 2013-06-25 2021-02-23 Schott Ag Tool head and glass or glass ceramic article producible using the tool head
KR20220160005A (ko) 2020-03-31 2022-12-05 닛키 쇼쿠바이카세이 가부시키가이샤 지르코니아 피복 산화티탄 미립자의 제조방법, 지르코니아 피복 산화티탄 미립자 및 그의 용도
WO2022239788A1 (ja) 2021-05-11 2022-11-17 日揮触媒化成株式会社 ルチル型酸化チタン粒子、分散液、塗膜形成用塗布液、および塗膜付基材

Also Published As

Publication number Publication date
JP3031571B2 (ja) 2000-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2006305319B2 (en) Composition for use in the formation of hardcoat layer and optical lens
JP3998786B2 (ja) ハードコート膜形成用塗布液およびハードコート膜付基材
KR101907882B1 (ko) 이산화규소-산화제2주석 복합산화물 피복 산화티탄 함유 금속 산화물 입자
KR101437200B1 (ko) 표면 피복된 이산화티탄졸, 그 제조법 및 그것을 포함한 코팅 조성물
JP3969968B2 (ja) アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物粒子および該粒子分散ゾル、該微粒子含有透明被膜形成用塗布液、透明被膜付基材。
JPH0848940A (ja) 被膜形成用塗布液および合成樹脂製レンズ
WO1998039253A1 (fr) Procede de production de sols de composites, de composition de revetement et d'elements optiques
JP3031571B2 (ja) ハードコート膜およびハードコート膜付基材
JP3196558B2 (ja) ハードコーティング剤及びハードコート膜が形成された物品
JPH09202864A (ja) 透明被膜形成用塗布液および被膜付基材
JP2577670B2 (ja) 光学プラスチック成形品用塗料組成物
AU758819B2 (en) An optical element having cured coating film
JPH07149520A (ja) コーティング組成物
GB2288184A (en) Coating composition
JP2805877B2 (ja) コーティング用組成物
JP2684127B2 (ja) 光学プラスチック成形品用塗料組成物
JP2684364B2 (ja) 高屈折率コーティング膜
JP2696829B2 (ja) 高屈折率コーテイング膜およびその製造方法
JP3064605B2 (ja) 合成樹脂製レンズ
JPH01245062A (ja) コーテイング組成物およびその被膜の設けられたプラスチツク成形品
JP5432430B2 (ja) 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材
JPH07119386B2 (ja) コ−ティング用組成物
JPH02274781A (ja) コーティング用組成物
JP2798068B2 (ja) コーティング用組成物
JPS6193401A (ja) 合成樹脂製フオトクロミツクレンズ

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080210

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210

Year of fee payment: 12